説明

カメラおよび電子機器

【課題】 パノラマ画像等の大型画像を効率的に投映することができるカメラを提供する。
【解決手段】 撮影時における撮影部の位置情報を有する画像データの画像の一部を、投映面に投映する投映部46と、前記投映部の前記投映面に対する移動量を検出する移動量検出部40と、前記移動量検出部による検出結果に基づいて、前記撮影部の位置情報を用いて前記画像内における前記画像の一部の位置を移動させる投映制御部56とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラおよび電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パノラマ画像等の大型画像を撮影可能なカメラが知られている(例えば、特許文献1参照)。このカメラにおいては、連続撮影を行った画像の重複部分に対して画像処理を行うことにより1枚のパノラマ画像を生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−43505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなカメラにより撮影されたパノラマ画像等の大型画像を投映する場合には、大型画像を縮小して全体の投映を行ったり、大型画像の一部のみを投映していた。
【0005】
本発明の目的は、パノラマ画像等の大型画像を効率的に投映することができるカメラおよび電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るカメラは、撮影時における撮影部の位置情報を有する画像データの画像の一部を、投映面に投映する投映部と、前記投映部の前記投映面に対する移動量を検出する移動量検出部と、前記移動量検出部による検出結果に基づいて、前記撮影部の位置情報を用いて前記画像内における前記画像の一部の位置を移動させる投映制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る電子機器は、撮影時における撮影部の位置情報を有する画像データの画像の一部を、投映面に投映する投映部と、前記投映部の前記投映面に対する移動量を検出する移動量検出部と、前記移動量検出部による検出結果に基づいて、前記撮影部の位置情報を用いて前記画像内における前記画像の一部の位置を移動させる投映制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、パノラマ画像等の大型画像を効率的に投映することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係るカメラの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るカメラの背面を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るカメラのシステム構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るカメラのパノラマ撮影処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係るパノラマ撮影時のカメラの動きを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るカメラのパノラマ画像の投映処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係るパノラマ画像投映時のカメラの動きを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るカメラのタッチパネルを用いた投映画像の変更を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係るカメラについて説明する。図1は、実施の形態に係るカメラの外観を示す斜視図である。カメラ2はプロジェクタを備えるデジタルカメラであって、カメラ2の前面には被写体光を入射させる撮影窓6、画像を投映するプロジェクタ投映窓8、オートフォーカス(AF)を行う際の補助光を発光するAF補助光ランプ10が設けられている。また、カメラ2の上面には、レリーズ指示を行うレリーズボタン12、電源スイッチ14、プロジェクタにより投映される画像のピント合わせを行うためのフォーカスレバー16、プロジェクタによる投映を行うプロジェクタモードへの切替指示を行うプロジェクタボタン18が設けられている。
【0011】
図2は、実施の形態に係るカメラの背面を示す図である。カメラ2の背面には、撮像画像やメニュー画面等を表示するLCD表示部20、撮影を行う撮影モードへの切替指示を行う撮影モードボタン24、LCD表示部20において撮像画像の表示を行う再生モードへの切替指示を行う再生ボタン26が設けられている。ここで、LCD表示部20にはプロジェクタモードにおける投映画像の選択指示や決定指示、撮影モードにおける静止画撮影、動画撮影、パノラマ撮影等の選択指示の受け付けを行う透明電極により構成されるタッチパネル28が積層して配置されている。
【0012】
図3は、実施の形態に係るカメラのシステム構成を示すブロック図である。カメラ2は、CPU30を備え、CPU30にはAF補助光ランプ10、操作部34、被写体を撮像して撮像信号(蓄積電荷としてのアナログ信号)を生成するCCD或いはCMOS等により構成される撮像素子36、撮像素子36から出力された撮像信号を図示しないA/D変換部においてA/D変換することにより生成された画像データを記憶する画像記憶部38、パノラマ撮影において撮影を行った画像の重複部分を処理することによりパノラマ画像を合成する画像処理部39、カメラ2の回転角度または移動距離を測定する移動量センサ40、撮像画像や投映画像、種々のデータを記憶するメモリカード42、LCD表示部20の表示制御を行う表示制御部44、タッチパネル28、画像記憶部38やメモリカード42に記憶された画像や種々のデータを投映する投映部46が接続されている。
【0013】
ここで、操作部34は、レリーズボタン12、電源スイッチ14、フォーカスレバー16、プロジェクタボタン18、撮影モードボタン24、再生ボタン26を含み、投映部46は、光源であるLED52、投映する画像を表示するLCOSもしくはDLP54の表示制御を行う投映制御部56を備えている。
【0014】
次に、図4に示すフローチャートを参照して実施の形態に係るカメラのパノラマ画像撮影処理について説明する。ここで、本実施の形態に係るパノラマ撮影においては、カメラ2が一定方向へ移動しながら複数枚の画像の撮影を行い、画像処理部39により重複部分の処理を行い1枚のパノラマ画像の作成を行う。
【0015】
撮影モードにおいて、パノラマ撮影が選択され、レリーズボタン12が操作されると、パノラマ画像を構成する1枚目の画像の撮影を行う(ステップS1)。このとき、移動量センサ40によりカメラ2の動きを認識する(ステップS2)。
【0016】
次に、カメラ2により認識した動きが同一方向への移動であるか否かを判定する(ステップS3)。図5に示すようにカメラ2の動きが同一方向への移動である場合には、移動量センサ40により測定した撮影開始位置からの移動量を撮影画像に付加して記憶し(ステップS4)、ステップS1に示す処理に戻り次の画像の撮影を行う。即ち、カメラ2が同一方向に移動している間は、所定時間毎に画像の撮影を行う。なお、図5においては撮影開始位置から使用者がカメラ2を同一方向へ並進移動してパノラマ撮影を行う例を示しているが、カメラ2の位置を変えずカメラ2による撮影方向を一定の方向へ移動させてパノラマ撮影を行ってもよい。また、ステップS4において記憶する移動量は、カメラ2を並進移動させてパノラマ撮影を行った場合には撮影位置を移動させた際の移動距離であり、カメラ2の撮影方向を移動させてパノラマ撮影を行った場合には撮影位置を移動させた際のカメラ2の回転角度である。また、図5においては撮影開始から終了までの間に使用者がカメラ2を矢印で示す方向に移動し3枚の画像を撮影する例を示しているが、撮影開始から撮影終了までの間に撮影する画像の数は任意である。
【0017】
一方、ステップS3において同一方向への移動でないと判定した場合、即ち移動方向に変更があった場合にはパノラマ画像撮影処理を終了する。
【0018】
なお、図5に示すようにパノラマ撮影を行う場合には連続撮影により得られた画像に重複部分60が存在する。従って、画像データに付加された移動量を用いて画像処理部39により撮影画像の重複する部分を処理し連続撮影により得られた画像を合成することによりパノラマ画像を生成する。また、生成したパノラマ画像の画像データに撮影終了時における移動量を移動量情報として付加しメモリカード42に記憶する。
【0019】
次に、図6に示すフローチャートを参照して実施の形態に係るカメラのパノラマ画像投映処理について説明する。タッチパネル28を用いたメニュー操作によりパノラマ画像の投映が選択されプロジェクタボタン18が操作されると、パノラマ画像の投映を行う(ステップS11)。即ち、CPU30は投映制御部56を制御して、パノラマ画像の撮影開始位置における部分画像をLCOSもしくはDLP54に表示させ、投映部46によりこの部分画像の投映を行う。
【0020】
次に、移動量センサ40によりカメラ2の動きを検出したか否かの判定を行う(ステップS12)。カメラ2の動きが検出されない場合には、ステップS12に示す処理を繰り返す。
【0021】
一方、カメラ2の動きを検出した場合にはパノラマ画像の画像データに付加された移動量情報と照合し、移動量センサ40により検出した移動量がパノラマ画像の画像データに付加された移動量情報の範囲内であるか否かの判定を行う(ステップS13)。図7に示すように移動量センサ40により検出した移動量がパノラマ画像の画像データに付加された移動量情報の範囲内である場合には、投映制御部56は移動量に応じてLCOSもしくはDLP54に表示する部分画像を変更する(ステップS14)。この場合において、LCOSもしくはDLP54に表示する部分画像はパノラマ画像の一部である。また、投映面においては投映領域がカメラ2の動きに応じて移動すると共に投映される部分画像がカメラ2の動きに応じて変更される。なお、図7においては投映開始位置から使用者がカメラ2を並進移動して投映を行う例を示しているが、カメラ2の位置を変えず、カメラ2による投映位置を移動させて投映を行ってもよい。
【0022】
また、図7においては投映領域が移動すると共に部分画像が変更される例として、使用者がカメラ2を矢印で示す方向に移動させてパノラマ画像を3つの部分画像に分けて投映する例を示しているが、パノラマ画像は任意の位置で投映領域の大きさを有する部分画像に分けて投映を行うことができる。即ち、カメラ2の移動速度に応じてスムーズに部分画像を切り替えてパノラマ画像を投映することができる。
【0023】
なお、図4のフローチャートに示すパノラマ撮影処理においてはカメラ2の動きが同一方向への動きでない場合には撮影を終了する構成としたが、図6のフローチャートに示す投映処理においてはカメラ2の動きが同一方向への動きでない場合においても、ステップS12に示す処理において認識した移動量がパノラマ画像の画像データに付加された移動量情報の範囲内である場合には、ステップS14に示す処理を行い、移動量に応じた部分画像の投映を行う。
【0024】
一方、ステップS13において認識した移動量が投映中のパノラマ画像の画像データに付加された移動量情報の範囲よりも大きいと判定した場合には、投映を行う部分画像が存在しないため、パノラマ画像の投映を終了する。
【0025】
本実施の形態に係るカメラによれば、カメラを動かすことによりパノラマ画像等の大型画像を効率的に投映することができる。また、使用者がカメラを動かす速度にかかわらず視やすい画像を投映することができる。
【0026】
なお、上述の実施の形態において、パノラマ撮影を行った後に撮影した画像を合成しパノラマ画像を生成する構成として説明したが、パノラマ撮影おいて撮影した各画像データを合成せずにメモリカード42に記憶する構成としてもよい。このとき、各画像データには移動量センサ40により検出した撮影開始位置からの移動量情報を付加して記憶する。また、これらの画像を投映する場合には、パノラマ撮影開始時に取得した画像データを読み出して投映し、各画像データに付加された移動量情報を参照し投映時のカメラ2の移動量に応じて順次画像データを読み出して投映を行う。
【0027】
また、上述の実施の形態においては、パノラマ画像の画像データに付加された移動量情報を用いてパノラマ画像の投映を行う構成として説明したが、カメラ2が備えるAF機能を用いて投映面までの距離を測定することによりパノラマ画像の投映を行う構成としてもよい。この場合には、パノラマ画像の撮影時に被写体までの距離情報を画像データに付加して記憶する。また、このパノラマ画像を投映する場合には、画像データに付加して記憶した距離情報を参照し、投映面までの距離を用いて投映面に投映される部分画像のサイズが算出可能となる。従って、パノラマ画像の画像データに移動量情報が付加されていなくても、投映領域をカメラ2の動きに応じて移動すると共に投映される部分画像をカメラ2の動きに応じて変更することができる。
【0028】
また、上述のようにパノラマ撮影の際に被写体までの距離情報を画像データに付加して記憶し、AF機能を用いて投映を行う場合には、投映画像に含まれる被写体を実寸大で投映する構成としてもよい。この場合においては、画像データに付加して記憶した距離情報を参照し、投映面までの距離に基づき操作者にフォーカスレバー16を用いたフォーカスを行なわせるための指示、例えばフォーカスレバー16の移動量等をLCD表示部20に表示する。使用者は、LCD表示部20に表示された指示を参照して投映面における被写体の大きさが実寸大となるようにフォーカスレバー16を用いて画像のサイズ調整を行う。このとき、投映部46がズーム機能を備える場合にはズーム機能を用いて投映面における被写体の大きさが実寸大となるように画像のサイズ調整を行ってもよい。
【0029】
また、AF機能を用いて投映面までの距離を測定しパノラマ画像の投映を行う構成に限らず、撮影した画像を用いて投映面までの距離を測定しパノラマ画像の投映を行う構成としてもよい。例えば、カメラ2が単焦点の撮影レンズを有するカメラである場合には、投映面に投映された画像を撮影することにより、その大きさに基づき投映面との距離を測定することができる。従って、得られた投映面との距離を用いて実寸大での投映を行ってもよい。
【0030】
また、上述の実施の形態の図4に示すパノラマ撮影処理において3D画像の撮影が可能である場合には、図6に示すパノラマ画像投映処理において3D画像の投映を行ってもよい。このとき、投映された画像を使用者は3D画像鑑賞用のメガネ等を用いて鑑賞する。
【0031】
また、上述の実施の形態においては、カメラ2の動きに応じて投映面における投映領域が移動する構成として説明したが、図8に示すように投映面における投映領域を固定しタッチパネル28を用いたスライド操作に応じて投映を行う部分画像を変更する構成としてもよい。この場合において、例えば使用者が指をLCD表示部20に触れたまま上下左右にスライドさせる操作に応じてLCOSもしくはDLP54に表示する部分画像をLCD表示部20の略中央の所定領域に表示される部分に変更する。従って、投映面における投映領域にはLCD表示部20の略中央の所定領域に表示される部分が投映される。
【0032】
また、上述の実施の形態においては、横長のパノラマ画像の撮影及び投映を行う構成を説明したが、縦長の画像の撮影及び投映を行う構成としてもよい。縦長の画像の投映を行う場合には、カメラ2の上下方向への動きに応じて投映領域をそれぞれ上下方向へ移動すると共に投映する部分画像をカメラ2の動きに応じて変更する。
【0033】
また、パノラマ画像に限られず、投映領域に対して横及び縦のサイズが大きい大型画像の撮影及び投映を行う構成としてもよい。投映領域に対して横及び縦のサイズが大きい大型画像の投映を行う場合には、カメラ2の上下左右方向への動きに応じて投映領域をそれぞれ上下左右方向へ移動すると共に投映される部分画像をカメラ2の動きに応じて変更する。
【0034】
また、上述の実施の形態は、カメラだけでなく、投映のみを行なうプロジェクタなどの電子機器に適用してもよい。
【符号の説明】
【0035】
2…カメラ、12…レリーズボタン、18…プロジェクタボタン、20…LCD表示部、28…タッチパネル、30…CPU、39…画像処理部、40…移動量センサ、46…投映部、56…投映制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影時における撮影部の位置情報を有する画像データの画像の一部を、投映面に投映する投映部と、
前記投映部の前記投映面に対する移動量を検出する移動量検出部と、
前記移動量検出部による検出結果に基づいて、前記撮影部の位置情報を用いて前記画像内における前記画像の一部の位置を移動させる投映制御部と
を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
撮影部と、
撮影時における前記撮影部の位置情報を有する前記画像の画像データを記憶する画像データ記憶部と
を備えることを特徴とする請求項1記載のカメラ。
【請求項3】
前記投映面までの距離を計測する測距部を備え、
前記投映制御部は、前記測距部による計測結果に基づいて前記画像内における前記画像の一部の位置を移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ。
【請求項4】
撮影時における被写体までの距離情報を有する前記画像の画像データを記憶する画像データ記憶部を備え、
前記投映制御部は、前記被写体までの距離情報及び前記測距部による計測結果に基づいて実寸大の画像を投映することを特徴とする請求項3記載のカメラ。
【請求項5】
前記撮影部は3D撮影を行う3D撮影部であることを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載のカメラ。
【請求項6】
使用者による操作を受け付けるタッチパネルを備え、
前記投映制御部は、前記タッチパネルにおける操作に応じて投映する前記画像内における前記画像の一部を変更することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のカメラ。
【請求項7】
撮影時における撮影部の位置情報を有する画像データの画像の一部を、投映面に投映する投映部と、
前記投映部の前記投映面に対する移動量を検出する移動量検出部と、
前記移動量検出部による検出結果に基づいて、前記撮影部の位置情報を用いて前記画像内における前記画像の一部の位置を移動させる投映制御部と
を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−60552(P2012−60552A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203984(P2010−203984)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】