説明

カメラのピント調整装置及びピント調整方法

【課題】ピント調整にかかる労力を削減しつつ個体差を低減し得るピント調整装置を提供する。
【解決手段】アジャスタ部23の外周に従動歯車部23Cを形成する。ホルダ部24の外周部にアジャスタ部23の移動量に対応した目印24Mを軸方向に沿って付す。入力操作部13Aaの回転操作指令により回転駆動部13を用いてアジャスタ部23を回転させ、表示部12により基準図形14の撮像画像を確認しながら、車載カメラ20のピント調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラのピント調整装置及びそれに関連する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8に示す如く、カメラ91に於いては、その組立段階でピント調整が必要とされ、CCD(Charge Coupled Device: 電荷結合素子)等の撮像素子92を実装した状態で、基準図形93を撮像して表示装置94に表示させ、調整者がこれを視認しながら、手作業でアジャスタ部95を回転することでレンズユニット96をレンズホルダ97に対して光軸方向に前後移動させてカメラ91のピント調整を行っていた。
【0003】
また、調整者が同種で複数のカメラ91のピント調整を順次行う際には、一のカメラと他のカメラとではピント調整に係るアジャスタ部95の回転量に著しい個体差がないと考えられるために、アジャスタ部95の大凡の回転量を目分量で記憶して、他のカメラのピント調整を行っていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術に於いては、手作業でアジャスタ部95を回転させるため、ピントが合うまでのアジャスタ部95の移動量(回転量)が多い場合に大変な労力が必要となる。
【0005】
また、同種で複数のカメラのピント調整を順次行う際には、ピント調整に係るアジャスタ部95の移動量(回転量)を目分量で記憶しているために移動量(回転量)を正確に認識することが困難である。
【0006】
したがって、本来、個体差がないと考えられるカメラのピント調整を同じ調整者が行っているにも拘わらず、個体差が生じてしまう可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、第1の課題として、ピント調整に係る労力を削減し得るカメラのピント調整装置及びピント調整方法を提供することにあり、第2の課題として、ピント調整にかかる労力を削減しつつ個体差を低減し得るカメラのピント調整装置及びピント調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、略筒状のホルダ部と、前記ホルダ部内に挿入配置されたレンズユニット部と、前記レンズユニット部の外周部にその軸周りに回転自在に取り付けられて、前記ホルダ部に螺合し、その回転により前記レンズユニット部を前記ホルダ部に対し軸方向に相対移動させるアジャスタ部と、前記レンズユニット部を介して撮像する撮像部とを備えたカメラのピント調整装置であって、回転操作指令を与える入力操作部と、前記回転操作指令に応じて前記アジャスタ部を回転駆動する回転駆動部と、前記撮像部により撮像された撮像画像を表示する表示部とを備えたものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、略筒状のホルダ部と、前記ホルダ部内に挿入配置されたレンズユニット部と、前記レンズユニット部の外周部にその軸周りに回転自在に取り付けられて、前記ホルダ部に螺合し、その回転により前記レンズユニット部を前記ホルダ部に対し軸方向に相対移動させるアジャスタ部と、前記レンズユニット部を介して撮像する撮像部とを備えたカメラのピント調整装置であって、前記撮像部による撮像画像に基づいて前記カメラのピント調整を検出するピント調整検出部と、前記アジャスタ部を回転駆動する回転駆動部と、前記ピント調整検出部による検出結果に基づいて前記カメラのピントが合うように前記回転駆動部による前記アジャスタ部の回転駆動を制御する制御部とを備えたものである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のピント調整装置であって、前記カメラは前記アジャスタ部の外周に従動歯車部を有し、前記ピント調整装置の前記回転駆動部は、前記従動歯車部に噛合して回転駆動する駆動歯車部を少なくとも1つ有するものである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のカメラのピント調整装置を用いたカメラのピント調整方法であって、前記カメラは、前記ホルダ部の外周に、前記ホルダ部の軸方向に沿って前記アジャスタ部の移動量に対応した目印が付されており、前記目印に基づき前記アジャスタ部の回転量を調整して前記カメラのピント合わせの粗調整を行った後、前記表示部に表示された撮像画像に基づき前記アジャスタ部の回転量を調整して前記カメラのピント合わせの微調整を行うことを特徴とするカメラのピント調整方法である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載のカメラのピント調整装置に依れば、表示部により表示された撮像画像を視認しながら入力操作部により回転操作指令を与えるだけで、回転駆動部によりアジャスタ部を回転させてピント調整を行えるので、カメラのピント調整に係る労力を低減することが可能となる。
【0013】
請求項2に記載のカメラのピント調整装置に依れば、ピント調整検出部が撮像部による撮像画像に基づいてカメラのピント調整を検出し、制御部がピント調整検出部による検出結果に基づいてカメラのピントが合うように回転駆動部によるアジャスタ部の回転駆動を制御するため、カメラのピント調整が自動的に行われて、ピント調整に係る労力を削減することが可能となると共に、ピント調整の個体差を低減することがが可能となる。
【0014】
請求項3に記載のカメラのピント調整装置に依れば、アジャスタ部の外周に従動歯車部を有する一方、回転駆動部に従動歯車部を噛合して回転駆動する駆動歯車部を少なくとも1つ有しているので、これら歯車部を介して回転駆動部によりアジャスタ部を確実に回転させることが可能となり、簡易な構成でカメラのピント調整を精度良く行うことが可能となる。また、複数方向から同期した駆動歯車部を噛合させることにより、ピント調整に伴う光軸の偏心を抑制することが可能となる。
【0015】
請求項4に記載のカメラのピント調整方法に依れば、ホルダ部の外周にホルダ部の軸方向に沿ってアジャスタ部の移動量に対応した目印が付されているので、調整者は目印に基づきアジャスタ部の回転量を調整してカメラのピント合わせの粗調整を行った後、表示部により表示された撮像画像に基づきアジャスタ部の回転量を調整してカメラのピント合わせの微調整を行うことにより、ピント調整作業を簡易迅速且つ精度良く行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
{第1実施形態}
<構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る車載カメラ20のピント調整装置を示す図であり、図2は、車載カメラ20の縦断面図であり、図3は、車載カメラ20の分解斜視図である。
【0017】
車載カメラ20は、カメラ本体部21と、レンズユニット部22と、アジャスタ部23とを備えて構成されている。
【0018】
カメラ本体部21は、前側ケース21Aと、後側ケース21Bと、基板ユニット21Cとを備えている。
【0019】
基板ユニット21Cは、例えば、CCD(Charge Coupled Device: 電荷結合素子)等の撮像素子21Caを備えており、上記撮像素子21Caが前側ケース21Aの前方開口部に臨む位置関係でネジ21Cbにより前側ケース21A内に固定され、前側ケース21Aと後側ケース21Bとで構成される略筺状の収容空間内に収容されている。尚、後側ケース21Bの後端に設けられた貫通孔21Baは、接続ケーブルを引き出すためのものである。
【0020】
尚、本明細書に於いて、前とは、車載カメラ20の軸方向に対して前側ケース21Aが存在する側を意味し、後とは、後側ケース21Bが存在する側を意味するものとする。
【0021】
尚、前側ケース21Aと後側ケース21Bは、両者の間にパッキング21Dを挟んでネジ21Daで固定される。
【0022】
また、前側ケース21Aの前面側には、レンズユニット部22を保持する略筒状のホルダ部24が設けられている。
【0023】
ホルダ部24の外周部には、ホルダ部の軸方向に沿ってアジャスタ部23の回転操作に伴う移動量に対応した目印24Mが付されている。目印24Mは、例えば、前端からの距離に応じて予め定められた距離間隔(例えば1mm間隔)で軸方向に沿って付されており、ホルダ部24とアジャスタ部23の位置関係を調整者が認識するためのもので、より具体的には、例えば、アジャスタ部23の後端がホルダ部24の先端から何mm後方に位置しているかを調整者が認識するためのものである。
【0024】
尚、目印24Mは、必ずしも前端からの距離に応じて付されている必要はなく、ホルダ部24の後端からの距離に応じて付されていても良い。
【0025】
このホルダ部24に、レンズユニット部22が前側から挿入配置される。
【0026】
レンズユニット部22は、レンズ群22Aと、略筒状の鏡筒22Bと、リング状のレンズ押さえ22Cとを備えている。
【0027】
レンズ群22Aは、予め定められた視野範囲を撮像可能となるように複数のレンズを備えており、各レンズが鏡筒22B内に収容された状態で、レンズ押さえ22Cが鏡筒22Bに螺着されている。
【0028】
上記鏡筒22Bは、前端側の太径部22Baと後端側の細径部22Bbとが段部22Bcを介して連設された構成とされており、このうちの細径部22Bbが上記ホルダ部24内に挿入可能とされている。
【0029】
尚、細径部22Bbの後方部分には周溝22Beが形成され、ここに環状弾性部材であるパッキング22Dが嵌め込まれている。これによりレンズユニット部22の外周面とホルダ部24の内周面との間の隙間がシールされている。
【0030】
アジャスタ部23は、ホルダ部24の軸方向に沿ってレンズユニット部22の固定位置を調整するための部材である。ここでは、アジャスタ部23は、上記レンズユニット部22の外周部に回転自在且つ抜止め状に外嵌めされると共に、ホルダ部24の内周部に螺合可能とされている。そして、アジャスタ部23をホルダ部24に螺合させつつ回転させることで、ホルダ部24の軸方向に沿ってレンズユニット部22が移動する構成となっている。
【0031】
より具体的に説明すると、アジャスタ部23は、例えば、図4に示す如く、アジャスタ本体部23Aと、アジャスタ本体部23Aの前部から径方向外側へ張り出す鍔状操作部23Bとを備えており、鍔状操作部23Bの径方向外側にはその外周に沿って従動歯車部23Cが形成されている。
【0032】
アジャスタ本体部23Aは、細径部22Bbの外周部であって段部22Bcから後方へ予め定められた距離だけ離れた位置に形成されている位置決め凹部22Bdよりも前側の部分に外嵌め可能となっている。
【0033】
そして、アジャスタ本体部23Aを細径部22Bbの外周部であって位置決め凹部22Bdよりも前側の部分に回転自在に外嵌めし、位置決め凹部22Bdに止め輪25を固定することによって、アジャスタ部23が段部22Bcと止め輪25との間で回転自在に抜止め状に保持されることになる。
【0034】
また、上記アジャスタ本体部23Aの外周部には、例えば、雄ネジ部26Aが形成され、ホルダ部24の内周先端部には雌ネジ部26Bが形成されている。そして、レンズユニット部22の細径部22Bbをホルダ部24内に挿入することで、雄ネジ部26Aが雌ネジ部26Bに螺合可能な状態となる。
【0035】
この状態で、上記鍔状操作部23B及び従動歯車部23Cは、ホルダ部24と太径部22Ba間を通って外側に露出している。
【0036】
そして、従動歯車部23Cに後述する回転駆動部13の駆動歯車部13Bを噛み合わせて、アジャスタ本体部23Aの雄ネジ部26Aをホルダ部24の雌ネジ部26Bに螺合させつつアジャスタ部23を回転させると、ホルダ部24に対するアジャスタ部23のねじ込み量が変わり、該アジャスタ部23がホルダ部24の軸方向に沿って移動する。
【0037】
この際、アジャスタ部23は、レンズユニット部22に対して抜止め状に保持されているので、レンズユニット部22もアジャスタ部23と一体となって上記軸方向に沿って移動する。
【0038】
外部駆動力によってアジャスタ部23を適宜締結方向或いは弛緩方向に回転させることで、レンズユニット部22がホルダ部24に対し上記軸方向に沿って前後(或いは上下)移動し、撮像素子21Caの受光面に対するレンズユニット部22の位置調整(ピント調整)が行われる。
【0039】
上記位置調整後、例えば、ホルダ部24に形成された2つのネジ穴24H、24Iにネジ27H、27Iを各々螺合締結することによってレンズユニット部22及びアジャスタ部23がホルダ部24に軸方向に対して一定位置に固定される。
【0040】
ここで、一方のネジ穴24Hとネジ27Hを螺合締結することによって、該ネジ27Hが細径部22Bbに当接してレンズユニット部22の最終的な位置決め固定を図り、他方のネジ穴24Iとネジ27Iを螺合締結することによって、該ネジ27Iがアジャスタ部23に当接して、アジャスタ部23の回転防止を図るようになっている。
【0041】
このような車載カメラ20のピント調整を行うピント調整装置について次に説明する。
【0042】
このピント調整装置は、図1に示す如く、回転操作指令を与える入力操作部13Aaと、回転操作指令に応じてアジャスタ部23を回転駆動する回転駆動部13と、車載カメラ20により撮像された撮像画像を表示する表示部12とを備える。
【0043】
表示部12は、車載カメラ20の撮像素子21Caに接続されて車載カメラ20が撮像したカメラ映像を表示するものである。
【0044】
回転駆動部13は、例えば、動力発生部13Abと駆動歯車部13Bと回転軸13Cを備えている。
【0045】
入力操作部13Aaは、例えば、2つのボタンから構成されて駆動歯車部13Bの回転方向を動力発生部13Abに入力するものであり、一方のボタンを押すことによって正方向の回転を命令する正転命令信号を入力し、他方のボタンを押すことによって逆方向の回転を命令する逆転命令信号を入力するようになっている。尚、これらのボタンのうち何れか一方を押し続けることによって連続回転を命令することが可能となっている。
【0046】
動力発生部13Abは、入力操作部13Aaに接続されて入力操作部13Aaからの入力信号に応じて回転子(図示省略)を回転させて回転動力を発生または停止するものである。具体的には、動力発生部13Abは、例えば、回転制御手段を含むモータモジュールであり、入力信号に基づいて電流が供給されてモータを回転させるものであり、外部から力が加わらない限り電流が供給されず、これを保持するものである。
【0047】
駆動歯車部13Bは、回転軸13Cによって動力発生部13Abの回転子(図示省略)と接続されている。また、駆動歯車部13Bのピッチは、アジャスタ部23の従動歯車部23Cと一致しており、駆動歯車部13Bと従動歯車部23Cが噛み合った状態で、駆動歯車部13Bによってアジャスタ部23を回転させることが可能となっている。
【0048】
<動作>
上記構成のピント調整装置の動作を説明する。
【0049】
まず、図1に示す如く、一の車載カメラ20の撮像素子21Caと表示部12を接続し、車載カメラ20の従動歯車部23Cとピント調整装置の駆動歯車部13Bを噛み合わせて、車載カメラ20の前方正面に基準図形14を配置する。このとき、ネジ27H、27I(図2、図3参照)は緩められてアジャスタ部23は回転操作可能な状態となっている。
【0050】
次に、調整者が、表示部12に表示されたカメラ映像を見ながら入力操作部13Aaを操作して駆動歯車部13Bを回転させる。これにより、アジャスタ部23は駆動歯車部13Bに追従して回転する。
【0051】
こうして、調整者は、カメラ映像によりピント調整度合いを確認しながら、アジャスタ部23、即ち、レンズユニット部22を軸方向に沿って前後(或いは上下)に移動させ、撮像素子21Caの受光面に対するレンズユニット部22の位置調整(ピント調整)を行う。ピント調整後は、ネジ27H、27I(図2、図3参照)を締め付けることにより、レンズユニット部22をホルダ部24に固定すると共に、アジャスタ部23を回り止めしてピントを固定する。
【0052】
上記位置調整後、調整者がアジャスタ部23の後端がホルダ部24の外周部に付された目印24M上のどの位置にあるか、即ち、アジャスタ部23の後端がホルダ部24の先端から何mm後方に位置しているか(例えば、2.5mm)を記憶する。
【0053】
他の車載カメラ20のピント調整を行う際には、調整者はまず、入力操作部13Aaを操作してアジャスタ部23を連続回転させてアジャスタ部23の後端を目印24Mの2.5mmと表示されている位置まで移動させ(粗調整)、然る後に、表示部12に表示されたカメラ映像を見ながらアジャスタ部23の位置を微調整してピント調整を行う。
【0054】
以上のように、表示部12に表示された撮像画像を視認しながら、言い換えれば撮像画像によりピント調整度合いを確認しながら、入力操作部13Aaにより回転操作指令を与えるだけで、回転駆動部13によりアジャスタ部23を回転させて車載カメラ20のピント調整を行えるので、従来のようにアジャスタ部23を人手により回転操作する場合に比べて、ピント調整にかかる労力を低減することが可能となる。
【0055】
また、アジャスタ部23はその外周に従動歯車部23Cを有する一方、回転駆動部13に従動歯車部23Cに噛合して回転駆動する駆動歯車部13Bを有しているので、これら歯車部23C、13Bを介して回転駆動部13によりアジャスタ部23を確実に回転させることができ、簡易な構成で車載カメラ20のピント調整を精度良く行うことが可能となる。
【0056】
しかも、ホルダ部24の外周にホルダ部24の軸方向に沿ってアジャスタ部23の移動量に対応した目印24Mが付されているので、調整者は目印24Mに基づきアジャスタ部23の回転量を調整して車載カメラ20のピント合わせの粗調整を行った後、表示部12により表示された撮像画像に基づきアジャスタ部23の回転量を調整して車載カメラ20のピント合わせの微調整を行うことにより、ピント調整作業を簡易迅速に且つ精度良く行うことが可能となると共に、ピント調整の個体差を低減することが可能となる。
【0057】
{第2実施形態}
<構成>
図5は、本発明の第2実施形態に係る車載カメラ20のピント調整装置を示す図である。
【0058】
尚、図5では第1実施形態と同様の機能を有する要素については同一符号を付している。
【0059】
図5に示す如く、この実施の形態のピント調整装置に於ける回転駆動部13は、環状ベルト61を備えている。
【0060】
環状ベルト61は、その内周部に於いて駆動歯車部13Bの外周部とアジャスタ部23の外周間に掛け渡されており、駆動歯車部13Bが回転した場合に、環状ベルト61を介してアジャスタ部23が追従回転可能となっている。これにより、第1実施形態と同様の動作を行うことが可能となっている。
【0061】
尚、環状ベルト61を介してアジャスタ部23を回転させる場合には、駆動歯車部13Bは必ずしも歯部(図示省略)を備えている必要はない。また、アジャスタ部23の外周部にも必ずしも従動歯車部23Cが形成されている必要はない。
【0062】
以上のように、外部からの駆動力(回転駆動部13)によってアジャスタ部23を回転させるので、ピント調整にかかる労力を削減することが可能となる。その他、上記第1実施形態と同様の効果を達成することが可能である。
【0063】
{第3実施形態}
<構成>
図6は、本発明の第3実施形態に係る車載カメラ20ピント調整装置を示す図である。
【0064】
尚、図6では第1実施形態と同様の機能を有する要素については同一符号を付している。
【0065】
図6に示す如く、この実施の形態のピント調整装置は、例えば、テンキー71Aを有する入力操作部71と、回転駆動部13を構成する回転駆動制御部72及び動力発生部73とを備えている。
【0066】
テンキー71Aは、アジャスタ部23を軸方向に移動させたい距離(目標移動距離)を入力し回転駆動制御部72に伝送する。
【0067】
回転駆動制御部72は、CPU等により構成され、フラッシュROMやHDDに予めストアされたプログラムに従って、テンキー71Aから伝送された目標移動距離を、これに要する駆動歯車部13Bの回転角度(目標回転角度)に変換し、動力発生部73に伝送する。
【0068】
動力発生部73は、回転駆動制御部72から伝送された目標回転角度に応じて回転子(図示省略)を回転させて回転動力を発生または停止するものである。
【0069】
尚、入力操作部71は、例えば、テンキー71Aのうち予め定められたキーを1回押すことによって回転子(図示省略)を微少角だけ回転させ、即ち、駆動歯車部13Bを微少角だけ回転させるようになっていても良い。
【0070】
また、例えば、テンキー71Aのうち予め定められたキーを押し続けることによって回転子(図示省略)を連続回転させ、即ち、駆動歯車部13Bを連続回転させるようになっていても良い。
【0071】
その他の構成は第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0072】
<動作>
上記構成のピント調整装置の動作を説明する。
【0073】
まず、図6に示す如く、車載カメラ20の撮像素子21Caと表示部12を接続し、車載カメラ20の従動歯車部23Cとピント調整装置11の駆動歯車部13Bを噛み合わせて、車載カメラ20の前方正面に基準図形14を配置する。このとき、ネジ27H、27I(図2、図3参照)は緩められてアジャスタ部23は回転操作可能な状態となっている。
【0074】
次に、調整者が、表示部12に表示されたカメラ映像を見ながらテンキー71Aを操作して駆動歯車部13Bを回転させる。これにより、アジャスタ部23は駆動歯車部13Bに追従して回転する。
【0075】
こうして、調整者は、カメラ映像によりピント調整度合いを確認しながら、アジャスタ部23、即ち、レンズユニット部22を軸方向に沿って前後(或いは上下)に移動させ、撮像素子21Caの受光面に対するレンズユニット部22の位置調整(ピント調整)を行う。ピント調整後は、ネジ27H、27I(図2、図3参照)を締め付けることにより、レンズユニット部22をホルダ部24に固定すると共に、アジャスタ部23を回り止めしてピントを固定する。
【0076】
上記位置調整後、調整者がアジャスタ部23の後端がホルダ部24の外周部に付された目印24M上のどの位置にあるか、即ち、アジャスタ部23の後端がホルダ部24の先端から何mm後方に位置しているか(例えば、2.5mm)を記憶する。
【0077】
他の車載カメラ20のピント調整を行う際には、調整者はまず、テンキー71Aを介して回転駆動制御部72に例えば、“2.5”と入力することで、アジャスタ部23の後端をホルダ部24の先端から2.5mm後方の位置まで移動させ(粗調整)、然る後に、調整者が表示部12に表示されたカメラ映像を見ながらアジャスタ部23の位置をテンキー71Aからの入力により微調整してピント調整を行う。
【0078】
以上のように、外部からの駆動力(回転駆動部13)によってアジャスタ部23を回転させるので、ピント調整に係る労力を削減することが可能となることに加えて、ホルダ部24の外周部にホルダ部24の軸方向に沿ってアジャスタ部23の移動量に対応した目印24Mが付されているので、調整者が一の車載カメラ20の調整をした後に他の車載カメラ20の調整を行う際に目印24Mを参考にしてピント調整を行うことが可能となり、ピント調整の個体差を低減することが可能となる。また、テンキー71Aによりアジャスタ部23の移動量を数値入力することが可能となり、より精度良くカメラ装置20のピント調整が可能となる。その他、上記第1実施形態と同様の効果を達成することが可能である。
【0079】
{第4実施形態}
<構成>
図7は、本発明の第4実施形態に係る車載カメラ20のピント調整装置を示す図である。
【0080】
尚、図7では第1実施形態と同様の機能を有する要素については同一符号を付している。
【0081】
図7に示す如く、この実施の形態のピント調整装置は、第1実施形態(図1)に於ける入力操作部13Aaが省略され、代わりに、撮像素子21Caによる撮像画像に基づいて車載カメラ20のピント調整を検出するピント調整検出部80と、ピント調整検出部80による検出結果に基づいて車載カメラ20のピントが合うように回転駆動部13によるアジャスタ部23の回転駆動を制御する制御部81とを備える。これらピント調整検出部80及び制御部81は、例えばROM等に内蔵された所定のプログラムに従って動作するCPU内の機能要素として構成される。
【0082】
ピント調整検出部80は、車載カメラ20の撮像素子21Caに接続され、撮像素子21Caにより撮像された撮像画像に基づいて、ピント調整を検出する。ピント調整の検出原理は、オートフォーカス等の一般的な画像処理による手法が用いられ、例えば、ピントを順次変えながら撮像画像を時系列的に取得して、それら撮像画像に映し込まれた白色部分から黒色部分までの幅(差)が予め定められた閾値以下となったときにピントが合ったと判断する。
【0083】
制御部81は、外部から与えられるピント調整開始信号に基づいて回転駆動部13によるアジャスタ部23の回転動作を開始させると共に、ピント調整検出部80による検出結果に基づいて、ピントが合うように回転駆動部13を制御して駆動歯車部13Bを回転させ、アジャスタ部23、即ちレンズユニット部22の撮像素子21Caの受光面に対する軸方向の相対的な位置関係を調整(ピント調整)するものである。
【0084】
その他の構成は第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0085】
<動作>
上記構成のピント調整装置の動作を説明する。
【0086】
まず、図7に示す如く、車載カメラ20の撮像素子21Caとピント調整検出部80を接続し、車載カメラ20の従動歯車部23Cと駆動歯車部13Bを噛み合わせて、車載カメラ20の前方正面に基準図形14を配置する。このとき、ネジ27H、27I(図2、図3参照)は緩められてアジャスタ部23は回転操作可能な状態となっている。
【0087】
この状態で、制御部81に対し、外部よりピント調整開始信号を与える。これにより、回転駆動部13によるアジャスタ部23の回転動作が開始されて、車載カメラ20のピントが連続的に変更されていく。これに併行して、撮像素子21Caにより基準図形14が連続的に撮像され、各撮像画像がピント調整検出部80に入力される。ピント調整検出部80では、時系列的に入力される撮像画像に基づいて、ピント調整を検出し、その検出結果を制御部81に出力する。制御部81では、ピント調整検出部80による検出結果に基づいて、ピントが合うように回転駆動部13を制御してアジャスタ部23を回転調整する。このとき、撮像素子21Caからの撮像画像を表示部12に表示させるようにすれば、制御部81によるレンズユニット部22の位置調整(ピント調整)が正常に行われているか否かを調整者が目視により確認することが可能となる。こうしてピント調整が終了すると、ネジ27H、27I(図2、図3参照)を締め付けることにより、レンズユニット部22をホルダ部24に固定すると共に、アジャスタ部23を回り止めしてピントを固定する。
【0088】
以上のように、このピント調整装置に依れば、ピント調整検出部80が撮像素子21Caによる撮像画像に基づいて車載カメラ20のピント調整を検出し、制御部81がピント調整検出部80による検出結果に基づいて車載カメラ20のピントが合うように回転駆動部13によるアジャスタ部23の回転駆動を制御するため、車載カメラ20のピント調整が自動的に行われて、ピント調整にかかる労力を削減することが可能となると共に、ピント調整の個体差を低減することが可能となる。その他、上記第1実施形態と同様の効果を達成することが可能である。
【0089】
尚、上記第1〜第4実施形態では車載カメラについて説明したが、特に車載カメラに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車載カメラのピント調整装置を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に使用される車載カメラを示す図である。
【図3】車載カメラの分解斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るアジャスタ部を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るピント調整装置を示す図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るピント調整装置を示す図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係るピント調整装置を示す図である。
【図8】従来の車載カメラのピント調整を説明する図である。
【符号の説明】
【0091】
20 車載カメラ
21Ca 撮像素子
22 レンズユニット部
23 アジャスタ部
23C 従動歯車部
24 ホルダ部
12 表示部
13 回転駆動部
13Aa 入力操作部
13B 駆動歯車部
61 環状ベルト
71 入力操作部
71A テンキー
80 ピント調整検出部
81 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略筒状のホルダ部と、
前記ホルダ部内に挿入配置されたレンズユニット部と、
前記レンズユニット部の外周部にその軸周りに回転自在に取り付けられて、前記ホルダ部に螺合し、その回転により前記レンズユニット部を前記ホルダ部に対し軸方向に相対移動させるアジャスタ部と、
前記レンズユニット部を介して撮像する撮像部と
を備えたカメラのピント調整装置であって、
回転操作指令を与える入力操作部と、
前記回転操作指令に応じて前記アジャスタ部を回転駆動する回転駆動部と、
前記撮像部により撮像された撮像画像を表示する表示部と
を備えたことを特徴とするカメラのピント調整装置。
【請求項2】
略筒状のホルダ部と、
前記ホルダ部内に挿入配置されたレンズユニット部と、
前記レンズユニット部の外周部にその軸周りに回転自在に取り付けられて、前記ホルダ部に螺合し、その回転により前記レンズユニット部を前記ホルダ部に対し軸方向に相対移動させるアジャスタ部と、
前記レンズユニット部を介して撮像する撮像部と
を備えたカメラのピント調整装置であって、
前記撮像部による撮像画像に基づいて前記カメラのピント調整を検出するピント調整検出部と、
前記アジャスタ部を回転駆動する回転駆動部と、
前記ピント調整検出部による検出結果に基づいて前記カメラのピントが合うように前記回転駆動部による前記アジャスタ部の回転駆動を制御する制御部と
を備えたことを特徴とするカメラのピント調整装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のピント調整装置であって、
前記カメラは前記アジャスタ部の外周に従動歯車部を有し、
前記ピント調整装置の前記回転駆動部は、前記従動歯車部に噛合して回転駆動する駆動歯車部を少なくとも1つ有することを特徴とするカメラのピント調整装置。
【請求項4】
請求項1に記載のカメラのピント調整装置を用いたカメラのピント調整方法であって、
前記カメラは、前記ホルダ部の外周に、前記ホルダ部の軸方向に沿って前記アジャスタ部の移動量に対応した目印が付されており、
前記目印に基づき前記アジャスタ部の回転量を調整して前記車載カメラのピント合わせの粗調整を行った後、前記表示部に表示された撮像画像に基づき前記アジャスタ部の回転量を調整して前記カメラのピント合わせの微調整を行うことを特徴とするカメラのピント調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−33728(P2007−33728A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−215251(P2005−215251)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】