説明

カメラモジュールの自動焦点調節光学系

【課題】本発明は自動焦点調節光学系に関するもので、より詳しくは印加される電圧に応じて曲率の変わる液体レンズを使用し、小型でありながらも高解像度を得られるカメラモジュールの自動焦点調節光学系に関するものである。
【解決手段】自動焦点調節光学系であって、物体側から順次に、印加される電圧に応じて内部に含まれる相異する液体間に形成される境界面の曲率が変わり、上記境界面がレンズの面の役目を果たす液体レンズと、少なくとも1個の屈折面が非球面である少なくとも1個の光学レンズとを備え、プラスの光学的パワーを有する第1レンズ群と、少なくとも1個の屈折面が非球面であるレンズを備え、プラスの光学的パワーを有する第2レンズ群と、少なくとも1個の屈折面が非球面であるレンズを備え、マイナスの光学的パワーを有する第3レンズ群とを含み、上記液体レンズの境界面の曲率が変わることにより自動焦点調節が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動焦点調節光学系に関するもので、より詳しくは印加される電圧に応じて曲率の変わる液体レンズを使用し小型でありながらも高解像度を得られるカメラモジュールの自動焦点調節光学系に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にカメラは複数個のレンズを具備しており、夫々のレンズを移動させ相対距離を変化することにより光学的な焦点距離を調節するよう構成される。最近のカメラを搭載した携帯電話の登場に伴い、携帯電話により停止画像及び動画像の撮像が可能となり、高解像度及び高画質の撮像のためにカメラの性能が次第に改善される傾向にある。
【0003】
図1は焦点調節機能を持たない従来のカメラモジュールの斜視図である。
図1のような従来のカメラモジュールにおいては、イメージセンサ(54)及びフィルターはハウジング(51)の下部に組立てられ、レンズバレル(52)内には複数のレンズが装着される。
【0004】
上記レンズバレル(52)は、上記ハウジング(51)の内周面と上記レンズバレル(52)の外周面に形成されたネジ山を利用してレンズアレー(53)と上記イメージセンサ(54)の焦点を合わせてから、エポキシなどにより上記ハウジング(51)に固定される。
【0005】
しかし、このような固定焦点方式は特定距離における焦点調節が不可能であり画質の鮮明度が制限されるとの問題があった。
【0006】
したがって、メガピクセル以上のカメラモジュールにおいては焦点機能が必須とされる。
【0007】
このために自動焦点調節装置、接写装置及び光学ズーム装置などを具備したカメラモジュールを携帯電話に適用する必要性が提起されたが、従来の方式により作製されたカメラモジュールは小型の携帯電話に搭載されるのに無理があった。
【0008】
即ち、従来の方式はイメージセンサとレンズとの相対的な距離を変化させ焦点調節及び/またはズーム機能の駆動源としてDCモータを使用しているが、複数の減速ギアを相互連結してレンズ同士の相対距離を変化させるものなので、応答速度の低下及び回転速度の偏差により焦点調節を精密に行うための正確な位置制御が困難である。しかも、嵩張り装置が複雑なので携帯電話などの小型光学機器内の極めて制限された空間で焦点調節機能などを具現し難いとの問題があった。
【0009】
また、高解像度を得るためには複数のレンズを使用することになり作製費が高く、機械的駆動を要するので、電力消費が大きいとの問題があった。
【0010】
一方、PCT国際公開番号WO 03/069380には、可変焦点レンズが開示されている。
【0011】
図2はWO 03/069380の実施例として提案された可変焦点の簡略断面図である。
図2のように上記可変焦点レンズは屈折率が相異しメニスカス(meniscus)(74)を通して接触する非混合性の第1流体(A)及び第2流体(B)を具備し、シリンダー壁を有するシリンダー形状の流体チャンバー(chamber)(65)、上記シリンダー壁の内側に配された流体接続層(contact layer)(70)、上記流体接続層(70)により上記第1流体(A)及び第2流体(B)と分離される第1電極(62)、及び上記第2流体(B)を活性化させる第2電極(72)を含む。
【0012】
ここで、上記第1電極(62)はシリンダー形状として、絶縁層(insulating layer)(68)によりコーティングされ金属製物質から成り、上記第2電極(72)は流体チャンバー(65)の一側に配される。
【0013】
また、透明な前方要素(64)と透明な後方要素(66)は上記両流体を収容する上記流体チャンバー(65)のカバー部分を成す。
【0014】
このような構成を有する可変焦点レンズの作用は次のとおりである。
【0015】
上記第1電極(62)と第2電極(72)との間に電圧が印加されない場合、上記流体接続層は第2流体(B)より第1流体(A)に対して高い湿潤性(wettability)を有する。
【0016】
もし、上記第1及び第2電極間に電圧が印加されると、エレクトロウェッティング(electrowetting)のために上記第2流体(B)による湿潤性が変わり、図2のようにメニスカス(74)の接触角(Q1、Q2、Q3)が変わるようになる。
【0017】
したがって、印加された電圧に応じてメニスカスの形状が変化し、これを利用して焦点調節が行われるようになるのである。
【0018】
即ち、図2(a)、2(b)及び2(c)のように印加された電圧の大きさに応じて第1流体(A)において測定された上記メニスカス(74)と流体接続層(70)間の角度は夫々約140°、100°、60°などに変化するようになる。
【0019】
ここで、図2(a)は高いマイナスのパワー、図2(b)は低いマイナスのパワー、図2(c)はプラスのパワーを有する配置を示している。
【0020】
このように、流体を利用した可変焦点レンズ(以下、「液体レンズ」という)は従来のレンズの機械的駆動により焦点を調節する方式に比して小型化に有利であるとの利点がある。
【0021】
しかし、液体レンズのみを利用する場合には解像度が約30万画素級に留まり高解像度を得られないので、現在のメガピクセルカメラへの適用には限界があった。
【0022】
こうした問題を解決するために高解像度を得られながらも小型化可能な自動焦点調節光学系に対するニーズが高まってきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は上記のような問題を解決するためのもので、小型化が可能でありながらも高解像度を得られるカメラモジュールの自動焦点調節光学系を提供することに目的がある。
【0024】
とりわけ、カメラホンのように超小型のカメラモジュールが要される場合にパワーの集中により光学系の効率を最大化し、全光学系の長さを短縮させられるカメラモジュールの自動焦点調節光学系を提供することに目的がある。
【0025】
また、本発明は電力消費の少ない自動焦点調節光学系を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記のような目的を成し遂げるために本発明は物体側から順次に、印加される電圧に応じて内部に含まれた相異する液体間に形成される境界面の曲率が変わり上記境界面がレンズの面の役目を果たす液体レンズ、及び少なくとも1個の屈折面が非球面である少なくとも1個の光学レンズを具備し、プラスの光学的パワーを有する第1レンズ群; 少なくとも1個の屈折面が非球面のレンズを具備し、プラスの光学的パワーを有する第2レンズ群; 及び、少なくとも1個の屈折面が非球面のレンズを具備し、マイナスの光学的パワーを有する第3レンズ群;を含み、上記液体レンズの境界面の曲率が変わることにより自動焦点調節が行われる自動焦点調節光学系を提供する。
【0027】
好ましくは、上記液体レンズの屈折能について次の条件式1を満足する自動焦点調節光学系を提供する。
(条件式1)
-7< D <35
D:上記液体レンズの曲率の変わる面の屈折能(単位:ジオプトリー)
【0028】
より好ましくは、上記レンズ群全体の光軸方向寸法について次の条件式2をさらに満足する自動焦点調節光学系を提供する。
(条件式2)
oal/f < 2.0
oal:開口絞りから像面までの距離
f:レンズ全界の合成焦点距離
【0029】
さらに好ましくは、上記第1 レンズ群のパワーについて次の条件式3をさらに満足する自動焦点調節光学系を提供する。
(条件式3)
0.85< f1/f <1.5
f1:第1レンズ群の合成焦点距離
【0030】
さらに、上記自動焦点調節光学系は上記第3レンズ群のパワーについて次の条件式4をさらに満足することが好ましい。
(条件式4)
2.0< |f3/f| <5.5
f3:第3レンズ群の合成焦点距離
【0031】
さらに好ましくは、上記第1レンズ群は物体側から順次に上記液体レンズの物体側カバー面に該当し、上記光学レンズのうちの1つから成る第1レンズ、上記液体レンズから成る第2レンズ、及び上記液体レンズの像側カバー面に該当し、上記光学レンズのうちの1つから成る第3レンズから成る。
【0032】
一方、上記自動焦点調節光学系において開口絞りは物体側の最近傍に配されることが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
以上のように本発明によると液体レンズを含む自動焦点調節光学系により小型化が可能でありながら高解像度を得られる効果がある。
【0034】
とりわけ、液体レンズを第1レンズ群に含むことにより第1レンズ群のパワーを高くして光学系の効率を最大化し全体光学系の長さを短くすることができ、したがってカメラホンのように超小型のカメラモジュールに適用できる有利な効果を奏する。
【0035】
また、本発明は液体レンズを使用することにより従来の機械的駆動方式に比して電力消費が少なく、近接撮影が可能でコードサービス(code service)に有利で、ひいてはスキャン機能にも適用できる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施例について添付の図面に基づいてより詳しく説明する。
【0037】
図4は本発明による自動焦点調節光学系の一実施例を示すレンズの構成図である。図において、レンズの厚さ、大きさ、形状は説明のためにやや誇張され図示しているが、とりわけ図に開示された球面及び非球面の形状は一例として提示されるだけであり、この形状に限られるわけではない。
【0038】
図4に示すように、本発明の実施例による自動焦点調節光学系は物体側の最近傍に、不要な光を除去するための開口絞り(1)を配し、以後物体側から順次に、液体レンズ及び少なくとも1個の屈折面が非球面のレンズを具備しプラスの光学的パワーを有する第1レンズ群(LG1)、少なくとも1個の屈折面が非球面のレンズを具備しプラスの光学的パワーを有する第2レンズ群(LG2)、及び少なくとも1個の屈折面が非球面のレンズを具備しマイナスの光学的パワーを有する第3レンズ群から成る。
【0039】
ここで、光学系の絞り(1)を曲率変化部である第1レンズ群(LG1)の前に配することにより、被写体の位置変化による自動焦点調節を行うための第1レンズ群(LG1)内の曲率変化が全フィールドに及ぼすデフォーカス(defocus)量を最少化することができる。
【0040】
一方、第1レンズ群(LG1)は、物体側から順次に、正の屈折力を有し、物体側面(2)が盛り上がり像側面(3)が偏平な第1レンズ(110)、物体側面(3)及び像側面(5)が偏平でその間に曲率の変わる面(4)を有する第2レンズ(120)、並びに負の屈折力を有し物体側面(5)が偏平で像側面(6)が窪んだ第3レンズ(130)を含む。
【0041】
好ましくは、上記第2レンズ(120)は印加される電圧に応じて内部に含まれた相異する液体間に形成される境界面(4)の曲率が変わり上記境界面(4)がレンズの面の役目を果たす液体レンズから成る。
【0042】
即ち、液体レンズから成る上記第2レンズ(120)は境界面(4)を前後として2個のレンズ(120A、120B)に分かれ、図2に示すように、印加される電圧に応じて境界面(4)の曲率が変わり、これにより自動焦点調節が行われるものである。
【0043】
この際、上記第1レンズ(110)及び第3レンズ(130)は上記第2レンズ(120)のカバー部分を形成することができる。
【0044】
このような液体レンズである第2レンズ(120)を導入することにより印加される電圧に応じて自動で焦点調節が行われることができる。
【0045】
一方、上記液体レンズを第1レンズ群(LG1)に含むことにより、後述するように第1レンズ群のパワーを高め光学系のパワーを最大化し全体光学系の長さを短くすることができ、したがって小型のカメラモジュールにおいて自動焦点調節が可能となる有利な効果を奏する。
【0046】
また、第2レンズ群(LG2)は正の屈折力を有し像側面(8)が盛り上がる第5レンズ(210)を含み、第3レンズ群(LG3)は負の屈折力を有し像側面(10)が窪んだ第6レンズ(310)を含む。
【0047】
一方、レンズの後方には光学的低域フィルターや色フィルター、フェースプレート(face plate)などに対応して設計上具備されるガラスブロック(glass block)(400)及びCCDセンサやCMOSセンサなどから成りレンズが形成される像を受光する感光面(500)を具備した固体撮像素子(光電変換素子)が設けられている。
【0048】
こうした特徴を有する本発明の実施例による光学系は次の条件を満足する。
(条件式1)
-7< D <35
ここで、Dは自動で曲率の変わる面(4)の屈折能であり、単位はジオプトリー(Diopter)である。
上の条件式1は光学系のパワーに関する項目である。
【0049】
もし、条件式1を満足せずに上限を超えると面光学系のパワー配置が正しくなく、第2レンズ群(LG2)と第3レンズ群(LG3)のパワー配置が異なってしまい近接に対する収差特性が良くなくなってしまう。
(条件式2)
oal/f <2.0
ここで、oalは開口絞り面(1)から像面(13)までの距離(overall length)で、fは光学系全体の焦点距離である。
【0050】
条件式2はレンズ全体の長さ(光学系の長さ)を規定するもので、小型化に関する条件である。
【0051】
即ち、条件式2の上限を超えると収差補正の面において有利であるが、光学系の長さがあまり長すぎて小型光学機器、例えばカメラホンまたはPDAに安着できなくなる。
【0052】
(条件式3)
0.85< f1/f <1.5
ここで、f1は第1レンズ群(LG1)の焦点距離で、fは光学系全体の焦点距離である。
【0053】
条件式3は第1レンズ群(LG1)のパワーに関する項目として曲率変化部である第1レンズ群(LG1)のパワーを全体パワーとほぼ同様に与え球面収差を補正するのに効果的である。
【0054】
もし、上限を超えてf1が大きくなると第2レンズ群(LG2)と第3レンズ群(LG3)のパワーも大きくならずにを得ず色収差が大きくなる。逆に、下限を超えてf1が小さくなると第1レンズ群(LG1)のパワーが過大になり球面収差、コマ収差が大きくなり、第1レンズ群(LG1)を構成しているレンズ球面の曲率半径が小さくなり加工が困難になる。
【0055】
(条件式4)
2.0<|f3/f|<5.5
ここで、f3は第3 レンズ群(LG3)の焦点距離で, fは光学系全体の焦点距離である。
【0056】
条件式4は第3レンズ群(LG3)のパワーに関する項目として、第1レンズ群(LG1)と第2レンズ群(LG2)がプラスパワーを有するので第3レンズ群(LG3)にマイナスパワーを与え像側に入射する光線の角度を小さくする。
【0057】
もし、上限を超えてテパワーが小さくなると レンズ全体系の望遠比が悪化し小型化が困難となり、下限を超えると小型化には有利であるが周辺部のテレセントリック性、歪み収差に対して不利になる。
【0058】
以上のように、液体レンズを第1レンズ群(LG1)に含ませることにより第1レンズ群(LG1)のパワーを大きくして光学系の効率を最大化させ全体光学系の長さを短くすることができ、したがってカメラホンのように超小型のカメラモジュールに適用できるとの有利な効果を得ることができる。
【0059】
一方、各群の曲率半径に対する項目は次のとおりである。
(条件式5)
0.3< r2/f <0.8
ここで、r2は第2面の曲率半径で、fは光学系全体の焦点距離である。
条件式5は第1レンズ群(LG1)の形状を規定する要素で、球面収差、コマ収差を基本的に補正する意味を有する。上限と下限を超えると光学系の球面収差及び歪み収差の特性が悪くなり第2レンズ群(LG2)と第3レンズ群(LG3)で補正できなくなる。
【0060】
(条件式6)
1.0< |r6/f| <0.8
ここで、r6は第6面の曲率半径で、fは光学系全体の焦点距離である。
条件式6もレンズの形状を規定する要素で、上限と下限を超えると光学系の球面収差及び非点収差の特性が悪くなり第2レンズ群(LG2)と第3レンズ群(LG3)で補正できなくなる。
【0061】
(条件式7)
0.15< |r7/f| <1.0
ここで、r7は第7面の曲率半径で、fは光学系全体の焦点距離である。
【0062】
条件式7は第2レンズ群(LG2)の形状を規定する要素で、上限と下限を超えると光学系の球面収差及び歪み収差の特性が良くなくなる。
【0063】
さらに、上限を超えると軸外主光線角度が小さくなり過ぎ、第3レンズ群(LG3)では修正不能であるためテレセントリック性が悪化してしまう。下限を超えるとテレセントリック性の面では有利であるが、軸外コマフレアが増大して性能が悪化する。
【0064】
(条件式8)
0.4< |r10/f| <3.0
ここで、r10は第10面の曲率半径で、fは光学系全体の焦点距離である。
条件式8は第3レンズ群(LG3)の軸上光束の付近の形状についた条件で、後面にマイナスのパワーを有するようにさせることを意味する。
【0065】
条件式8の上限を超えると後面のマイナスパワーが小さくなり小型化に不利になり、逆に下限を超えると周辺部の形状との差が広がり画面 中心から周辺部への性能変化が大きくなり撮像面への入射角が大きくなるので好ましくない。
【0066】
また、上限と下限を超えると光学系の歪み収差及び非点収差の特性が悪くなり補正できなくなる。
【0067】
以下においては、こうした条件式1ないし8を満足するよう具現される本発明の一実施例について説明する。
【0068】
本発明の一実施例による自動焦点レンズのFナンバー(F NO)は2.6、焦点距離fは4.7mm、画角(field angle、2ω)は64°である。
【0069】
表1には、本発明の一実施例によるレンズを構成する各レンズの実施例の数値を記載する。
【0070】
ここで、fは焦点距離を示し、rはレンズ面の曲率半径、dはレンズの厚さまたはレンズ面間の距離を示し、ndは屈折を示す。一方、長さを示す単位はmmである。
【表1】

【0071】
表1において、※は曲率が可変である面を示し、物体の距離による第4面の曲率半径は次の表2のとおりである。
【表2】

【0072】
表2に示したように、液体レンズを使用する場合、液体レンズの曲率半径の変化により自動焦点調節が行われるので超近接撮影が可能となる。したがって、携帯電話に装着されたカメラモジュールを通して指紋認識や文字認識が可能であるとの利点がある。
【0073】
即ち、コードサービス(新聞、雑誌などに付けられたバーコードのような特殊文字にカメラを当てると携帯電話に関連情報が表示されるサービス)を一層発展させられ、ひいてはスキャナ機能を具現することもできる。
【0074】
一方、*は非球面を示し、非球面係数のための式は次のとおりである。
【数1】

【0075】
こうした数学式1に応じて算出される本発明の一実施例による各非球面係数は次の表3のとおりで、図4に示した上記実施例においては、第1レンズ群(LG1)の第1レンズ(110)の物体側面(2)、第1レンズ群(LG1)の第3レンズ(130)の像側面(6)、第2レンズ群(LG2)の第4レンズ(210)の物体側面(7)と像側面(8)、及び第3 レンズ群(LG3)の第5レンズ(310)の物体側面(9)と像側面(10)が非球面である。
【0076】
【表3】

【0077】
図5には、こうした実施例の数値から成る本発明の実施例による球面収差、非点収差、歪みの特性を示してある。
【0078】
一方、図6にはこうした実施例の数値から成る本発明の実施例による光学系MTF特性を示し、図6Aは遠距離、図6Bは近距離に対するMTF特性を示している。
【0079】
図6a及び6bを参照すると、f0は像高(レンズ中心からの距離)が0におけるミリメートル当たり空間周波数のMTFの変化を示し、f1は0.6フィールド、f2は0.8フィールド、f3とf4は1.0フィールドにおけるミリメートル当たり空間周波数のMTFの変化を夫々示している。また、Tは遠心円状(tangential)のMTF、Rは放射円状のMTFを示す。
【0080】
ここで、MTF(Modulation Transfer Function)はミリメートル当たりサイクルの空間周波数に依存し、光の最大強度(Max)と最小強度(Min)との間に次の数学式2により定義される数値である。
【0081】
【数2】

即ち、MTFが1の場合、最も理想的でMTF値が減少するほど解像度が落ちる。
【0082】
一方、図3a及び3bは夫々液体レンズを第2または第3 レンズ群に装着した場合における遠距離と近距離に対するMTF特性を示したグラフである。
【0083】
図3a及び3bを参照すると、h0は像高(レンズの中心からの距離)が0におけるミリメートル当たり空間周波数のMTF変化を示し、h1は0.6フィールド、h2は0.8フィールド、h3は1.0フィールドにおけるミリメートル当たり空間周波数のMTFの変化を夫々示している。全体として、像高が0(h0)の場合に空間周波数の変化に関係なくMTFが最も高く、1.0フィールド(h3)である場合にMTFが最も低い。
【0084】
図3のMTFグラフから空間周波数の数値が高くなるほど MTFが急激に減少することが分かり、MTF値が減少するほど投射光学系が具現できる映像の解像度が劣るようになる。
【0085】
とりわけ、図3bの近距離MTFグラフに示すように、1.0フィールドの場合遠心円状(tangential)のMTF値が急激に減少するので解像度が大きく劣るようになる。
【0086】
こうした問題を解決するために液体レンズ(120)を第1レンズ群に導入すると図6bのように1.0フィールドの遠心円状(tangential)のMTF値が急激に減少することを防げるようになる。
【0087】
即ち、図3のように液体レンズを第2レンズ群または第3レンズ群に装着する場合には1.0フィールド近傍において解像度が急激に減少するので、こうした問題を解決するために液体レンズを第1 レンズ群に装着することが好ましい。
【0088】
したがって、本発明の実施例による自動焦点調節光学系は高コントラスト比と高解像度を実現することができる。
【0089】
本発明は特定の実施例に係わり図示し説明したが、当業界において通常の知識を有する者であれば、以下の特許請求範囲に記載された本発明の思想及び領域を外れない範囲内において本発明を多様に修正及び変更させられることを明かしておく。
【0090】
とりわけ、本発明は主に自動焦点調節に係わり説明したが、光学的ズーム機能を有するカメラモジュールの光学系にも適用することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】従来の焦点調節機能を持たないカメラモジュールの簡略斜視図である。
【図2】(a)、(b)及び(c)は従来の可変焦点レンズの簡略断面図である。
【図3a】従来の光学系の遠距離及び近距離に対するMTF特性を示すグラフである。
【図3b】従来の光学系の遠距離及び近距離に対するMTF特性を示すグラフである。
【図4】本発明の一実施例による光学系のレンズ構成図である。
【図5】本発明の一実施例による光学系の球面収差、非点収差、歪みの特性を示すグラフである。
【図6a】本発明の一実施例による光学系の遠距離及び近距離に対するMTF特性を示すグラフである。
【図6b】本発明の一実施例による光学系の遠距離及び近距離に対するMTF特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0092】
LG1 第1 レンズ群
LG2 第2 レンズ群
LG3 第3 レンズ群
110 第1 レンズ
120 液体レンズ(第2レンズ)
130 第3 レンズ
210 第4レンズ
310 第5 レンズ
1 絞り開口面
2、3、4、5、6、7、8、9、10 レンズの面
11、12 フィルターの面
13 像面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順次に、
印加される電圧に応じて内部に含まれる相異する液体間に形成される境界面の曲率が変わり、上記境界面がレンズの面の役目を果たす液体レンズと、少なくとも1個の屈折面が非球面である少なくとも1個の光学レンズとを備え、プラスの光学的パワーを有する第1レンズ群と、
少なくとも1個の屈折面が非球面であるレンズを備え、プラスの光学的パワーを有する第2レンズ群と、
少なくとも1個の屈折面が非球面であるレンズを備え、マイナスの光学的パワーを有する第3レンズ群と
を含み、
上記液体レンズの境界面の曲率が変わることにより自動焦点調節が行われる、自動焦点調節光学系。
【請求項2】
上記液体レンズの屈折能について次の条件式1を満足する、請求項1に記載の自動焦点調節光学系。
(条件式1)
-7<D<35
D:上記液体レンズの曲率の変わる面の屈折能(単位:ジオプトリー)
【請求項3】
上記レンズ群全体の光軸方向寸法について次の条件式2をさらに満足する、請求項2に記載の自動焦点調節光学系。
(条件式2)
oal/f<2.0
oal:開口絞りから像面までの距離
f:レンズ全界の合成焦点距離
【請求項4】
上記第1レンズ群のパワーについて次の条件式3をさらに満足する、請求項2または3に記載の自動焦点調節光学系。
(条件式3)
0.85<f1/f<1.5
f1:第1レンズ群の合成焦点距離
【請求項5】
上記第3レンズ群のパワーについて次の条件式4をさらに満足する、請求項4に記載の自動焦点調節光学系。
(条件式4)
2.0<|f3/f|<5.5
f3:第3レンズ群の合成焦点距離
【請求項6】
上記第1レンズ群は、物体側から順次に上記液体レンズの物体側カバー面に該当し、上記光学レンズのうちの1つから成る第1レンズと、上記液体レンズから成る第2レンズと、上記液体レンズの像側カバー面に該当し、上記光学レンズのうちの1つから成る第3レンズとを備える、請求項1に記載の自動焦点調節光学系。
【請求項7】
物体側の最近傍に開口絞りをさらに含む、請求項1または6に記載の自動焦点調節光学系。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【公開番号】特開2006−72295(P2006−72295A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−375082(P2004−375082)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】