説明

カメラ

【課題】カメラのメモリに大量の情報を格納することなく、カメラで必要な情報を迅速にユーザに報知できるようにする。
【解決手段】カメラで異常が発生すると、発生したエラーの種類に応じて、その対処情報にアクセスするためのアクセス情報(URL)が選択され、そのアクセス情報が二次元コードで液晶モニタに表示される。このアクセス情報は、複数あるエラー対処方法掲載ページのうちの、当該機種における当該エラーの対処情報を掲載するページのURLである。ユーザは、アクセス情報が表示されているときにこれを携帯電話機で読み取ることにより、即座に目的のページにアクセスし、詳細な対処情報を表示させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラに関し、必要な情報を迅速に得られるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
カメラで発生した異常をユーザに報知するカメラがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−218828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カメラで異常が発生した場合に、カメラがユーザに対して的確な対処方法を迅速に報知できるようにすることが望ましい。これは、予め異常の種類ごとに詳細な対処方法をカメラ内のメモリに格納しておくことで実現できるが、そのためには膨大な量の情報を格納できる大容量のメモリが必要となり、コストアップとなる。また、異常対処以外のユーザにとって有益な情報を提供する機能を設ける場合も、それらの情報を格納できる大容量のメモリが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るカメラは、表示手段と、カメラの状態または外部操作に応じて、必要な情報を取得するための情報を、外部機器で読取り可能な形態で表示手段に表示する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、カメラのメモリに大量の情報を格納することなく、カメラで必要な情報を迅速にユーザに報知できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態に係るシステムの構成図。
【図2】カメラの制御ブロック図。
【図3】情報提供機能の一例を示すフローチャート。
【図4】情報提供機能の他の例を説明する図。
【図5】図4の「撮影スポット」を選択したときに実行される処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1〜図5により本発明の一実施形態を説明する。
図1は本実施形態におけるシステム構成図である。デジタルカメラ100の背面には液晶モニタ4が設けられ、ここに画像やメニュー情報などを表示可能である。また液晶モニタ4には、後述するようにユーザに種々の情報を提供するための二次元コード(二次元バーコード)Cを表示することもできる。
【0009】
二次元コードCは、別体の携帯電話機200のカメラ機能を使って読み取ることができる。すなわち、携帯電話機200で二次元コード部分を撮影すると、携帯電話機200に予め組み込まれたソフトウェアが、その画像データを解析して二次元コード情報をデコードし、人間が認識可能な情報としてディスプレイ21に表示する。また携帯電話機200は、公衆回線網300を介してサーバ400(Webサーバやメールサーバ)にオンライン接続し、情報や電子メールを授受する機能を有している。
【0010】
図2はカメラ100の制御ブロック図である。撮影レンズ1を透過した被写体光束は、撮像素子2で撮像され、その撮像信号は画像処理部3に入力される。画像処理部3を構成する画像処理回路3aは、入力された撮像信号に種々の処理を施して画像データを生成する。生成された画像データは、コンピュータで扱うことが可能なファイル形式で、記録/再生回路3cによりメモリカード等の記録媒体5に記録される。
【0011】
再生モードでは、記録媒体5に記録された画像データを記録/再生回路3cにて読み出し、画像処理回路3aおよび表示回路3bによる処理を経て液晶モニタ4に画像として表示することができる。
【0012】
制御部6は、CPUやメモリ等から成り、操作部7からの入力に応答して画像処理部3や不図示の回路を制御する。操作部7は、電源ボタンやレリーズボタン、再生操作や情報入力等で用いる各種操作部材等を含む。
【0013】
次に、カメラ100における情報提供機能について説明する。
例えばカメラ100に異常が発生したとき、ユーザは、その原因や対処方法、修理に出す必要があるか否か(ユーザ自身でリカバリできるか否か)などを速やかに知る必要がある。しかし、先にも述べたように、これらの具体的な対処情報をカメラで報知できるようにすると、カメラに大容量のメモリを搭載しなければならない。そこで本実施形態では、カメラ100で対処情報を報知するのではなく、対処情報を入手するためのアクセス情報を上記二次元コードCにて液晶モニタ4に表示するようにした。これによれば、カメラ100のメモリに詳細な対処情報を格納する必要はなく、大容量のメモリは不要である。
【0014】
例えば異常発生時に、アクセス情報として、カメラメーカーのサポートセンターの電話番号やメールアドレスを二次元コードで表示することが考えられる。この二次元コードは、予めカメラ100のメモリに記憶されている。ユーザは、携帯電話機200でその二次元コードを読取り、直ちにサポートセンターに電話したり、電子メールを送信することができる。携帯電話機200は、二次元コードをデコードした時点で電話番号(メールアドレス)を把握するので、ユーザがそれらを手入力することなく電話やメールの送信が行える。従来のように、取扱説明書やWebサイトなどでサポートセンターの電話番号(メールアドレス)を調べ、それらを手入力して通信を行うといった手間が省ける。
【0015】
ここで、上記二次元コードに加え、発生した異常の種類に応じたエラーコードを表示するようにすれば、サポートセンターのオペレータにそのエラーコードを告げることで、当該異常の対処情報をいち早く知ることができる。
【0016】
また、サポートセンターを利用しない方法として、カメラメーカーのWebサーバ400に、各エラーに対する詳細な対処情報を機種別に格納しておき、カメラ100がサーバ400にアクセスするためのアクセス情報を二次元コードで表示するようにしてもよい。その手順例を図3に示す。
【0017】
図3において、制御部6は、異常発生を検知するとこのエラー割込処理を実行し、ステップS1において、発生したエラーの種類に応じて、その対処情報にアクセスするためのアクセス情報(URL)を選択する。ステップS2では、アクセス情報を二次元コードで液晶モニタ4に表示する。このアクセス情報は、複数あるエラー対処方法掲載ページのうちの、当該機種における当該エラーの対処情報を掲載するページのURLである。エラーの種類によってURLは異なり、また同じエラーであっても機種によってURLは異なる可能性がある。
【0018】
その後、ユーザがOK操作を行うまでアクセス情報は表示され続け、ステップS3でOK操作を確認すると、ステップS4で二次元コードの表示を解除してリターンする。
【0019】
ユーザは、アクセス情報が表示されているときにこれを携帯電話機200で読み取ることにより、即座に目的のページにアクセスし、詳細な対処情報をディスプレイ21に表示させることができる。
【0020】
以上はカメラ100が異常を検出したときの処理であったが、ユーザが情報提供モードを選択して情報を得る場合について説明する。
メニュー画面等で「情報提供モード」を選択すると、例えば図4に示すような画面が表示される。ユーザは、この画面にていくつかのサブ項目を選択できる。例えばカメラ100が検出不能な故障が発生した場合は、「故障」を選択する。この選択操作に応答して、制御部6はサーバ400のサポートページのうち、当該機種の故障対処ページにアクセスするためのアクセス情報(URL)を表示する。ユーザは、上述と同様に携帯電話機200でアクセス情報を読み込んで当該故障対処ページに即座にアクセスできる。このページでは、故障が発生した部位、あるいは故障の症状を選択することができる。例えば、「ミラーがアップしたまま」や「レリーズできない」などの症状を選択できる。これによれば、ユーザは、自身が知りたい故障対処情報を迅速に得ることができる。
【0021】
なお、故障部位や症状をWebページにて選択する例を示したが、これをカメラにおいて選択できるようにし、その選択結果に基づいてカメラがアクセス情報を選択するようにしてもよい。これによれば、知りたい情報が掲載されたページを携帯電話機200でダイレクトに表示させることができるが、カメラのメモリにはより多くの情報を格納する必要がある。
また、アクセス情報は、Q&Aページにアクセスするための情報であってもよい。
【0022】
「撮影アドバイス」を選択した場合は、撮影アドバイス提供サイトにアクセスするためのアクセス情報(URL)が二次元コードで表示される。ユーザは、上述と同様に携帯電話機200でアクセス情報を読み込んで撮影アドバイス提供サイトにアクセスできる。このサイトでは、撮影対象(風景、人物など)を選択でき、各選択先のページでは、豊富な作例を挙げて撮影に対するアドバイス情報を紹介している。ユーザは、知りたいアドバイス情報に直ぐに到達できる。この場合も、撮影対象の選択をカメラで行うようにしてもよい。
【0023】
また、カメラ100で設定されているシーンモード(風景モード、ポートレートモード、マクロモードなど)に応じて、そのモードに対応するアドバイスページにダイレクトにアクセスするためのアクセス情報を表示するようにしてもよい。例えば、風景モードが設定されているときに「撮影アドバイス」が選択されると、風景写真をうまく撮るためのページに直接アクセスするためのアクセス情報が表示されるようにしてもよい。
【0024】
「撮影スポット」を選択した場合は、撮影スポット提供サイトにアクセスするためのアクセス情報(URL)が表示される。その際の処理手順例を図5に示す。なお、カメラ100はGPS受信機8(図2)を備えているものとする。
【0025】
図5において、制御部6は、ステップS11でGPS受信機から現在の位置情報を取得するとともに、ステップS12で内蔵時計から現在の日付を取得する。ステップS13では、位置情報と日付(季節)情報とに基づき、アクセスすべきページのアクセス情報を選択する。すなわち、カメラ100のメモリには、各地域と、季節別の撮影スポット情報を紹介するページにアクセスするためのアクセス情報とを対応づけたデータベースが予めメモリに記憶され、このデータベースから、上記取得した位置情報と日付に基づいてアクセス情報を選択する。ステップS14では、選択したアクセス情報を二次元コードで液晶モニタ4に表示する。
【0026】
例えば、現在位置が北海道で季節が夏であれば、北海道内の夏の撮影スポット情報を提供するページにアクセスするためのアクセス情報を表示する。ユーザは、携帯電話機200でアクセス情報を読み込んで情報提供ページに即座にアクセスでき、知りたい情報をいち早く知ることができる。
【0027】
位置情報に基づくエリアをより狭めてもよい。例えば、現在位置が札幌であれば、札幌周辺の撮影スポットを紹介するページにアクセスするためのアクセス情報を表示するようにしてもよい。また、日付に代えて、あるいは加えて時刻(時間帯)に基づいてアクセス情報を選択するようにしてもよい。例えば、現在位置が函館で夜の時間帯であれば、函館の夜の撮影スポット、昼の時間帯であれば昼の撮影スポットをそれぞれ提供するページにアクセスするためのアクセス情報を表示する。夜の撮影スポットには夜景が含まれるが、昼間の撮影スポットには含まれない。また、夜の時間帯、昼の時間帯は季節によって異なるので、季節を加味して時間帯決定し、その上でアクセス情報を選択することが望ましい。
【0028】
以上のように本実施形態では、カメラの状態または外部操作に応じて、必要な情報を取得するためのアクセス情報を二次元コードCで表示するようにしたので、時と場所を選ばず手持ちの携帯電話機を利用して迅速に情報を取得できる。したがって、カメラに予め多くの情報を格納しておく必要がなく、大容量のメモリは不要であり、また情報が更新された場合も問題なく対処できる。
【0029】
上記以外の情報提供として、例えば知りたいカメラ機能を入力、あるいは一覧から選択すると、サーバにおける当該機種の取扱説明書掲載ページのうち、選択された機能について掲載された箇所にアクセスするためのアクセス情報を二次元コードで表示するようにしてもよい。また、例えば前回のカメラ使用時から所定期間以上経過してからカメラの電源をオンしたときは、カメラの基本機能を掲載するページにアクセスするためのアクセス情報を二次元コードで表示するようにしてもよい。
【0030】
さらに、携帯電話機200のディスプレイ21は小型のため、情報が複雑な場合はパーソナルコンピュータ(以下、PC)500の大画面で情報を確認したいという要望があるかも知れない。この場合は、例えば携帯電話機200からPC500に二次元コードの撮影画像データを転送し、PC側に組み込んだデコートソフトウェアで二次元コードをデコードして表示し、それに基づいて必要な情報(ページ)を表示させることもできる。
【0031】
なお、二次元コードを利用したが、アクセス情報によっては一次元バーコードやその他のコードを用いてもよい。また、アクセス情報の読取り装置は携帯電話機に限定されない。
【符号の説明】
【0032】
4 液晶モニタ
6 制御部
8 GPS受信機
21 ディスプレイ
100 デジタルカメラ
200 携帯電話機
300 公衆回線網
400 サーバ
500 パーソナルコンピュータ
C 二次元コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、
カメラの状態または外部操作に応じて、必要な情報を取得するための情報を、外部機器で読取り可能な形態で前記表示手段に表示する制御手段とを有することを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記制御手段は、カメラの状態または外部操作に応じて必要な情報を選択する選択部と、前記選択された情報を取得するためのアクセス情報を前記表示手段に表示する表示制御部とを含むことを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記選択部は、カメラの位置情報、日付情報、時刻情報の少なくともいずれかに基づいて必要な情報を選択することを特徴とする請求項2に記載のカメラ。
【請求項4】
前記選択部は、カメラで発生した異常に応じて必要な情報を選択することを特徴とする請求項2に記載のカメラ。
【請求項5】
前記必要な情報を取得するための情報は、必要な情報を提供する施設にアクセスするためのアクセス情報であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカメラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−97287(P2011−97287A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248142(P2009−248142)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】