説明

カラーデバイスの特性化に品質評価を提供する方法、装置、及びシステム

カラー特性品質を評価する方法、装置、及びシステムは、第1のデバイス依存入力カラー値のセット及び前記第1のデバイス依存入力カラー値のセットに関して前記ディスプレイにおいて測定された出力表示値から正変換及び逆変換のうち一方を判定し、且つ、正変換及び逆変換のうち前記判定された少なくとも一方を使用しつつ第2のデバイス依存入力カラー値のセットを変換して中間的なデバイス依存入力カラー値のセットを提供するように構成された特性化ユニットを含む。方法、装置、及びシステムは、正変換品質評価及び逆変換品質評価のうち少なくとも一方を実行する検査ユニットをさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年2月9日に出願されたヨーロッパ特許出願第09305118.3号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、ビデオディスプレイの較正に一般的に関し、特に、ディスプレイ装置のカラー特性の品質を評価する方法、装置、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
最近、様々なタイプの専門的ビデオディスプレイ装置及び消費者レベルのビデオディスプレイ装置が市場で利用可能である(例えば、液晶ディスプレイ、シリコン上の液晶(LCoS: Liquid Crystal on Silicon)、プラズマ、DLP、及びCRT)。ディスプレイ装置は、フィルムプリンタ、プロジェクタ、ダイレクト画面ディスプレイ、フォトプリンタ等、すべての種類の色再現デバイスを含む。製造業者は、カラー、コントラスト、及びガンマに関して画像ディスプレイの品質を高める取り組みを行っており、自身のディスプレイが広範囲のカラー、高コントラスト比等を呈すると多くの場合主張する。しかしながら、それらカラー、コントラスト、ガンマ等は、基準ディスプレイ上で見られるものと比べて、ユーザのディスプレイ(例えば、「ターゲット(target)」ディスプレイ)上では全く異なるように見えることがよくある。当該基準ディスプレイは、ポストプロダクションの間、ビデオコンテンツを作成するのに使用される。その結果として、エンドユーザのディスプレイは、責任者若しくはクリエイタの意図するディスプレイ品質を消費者に信頼性良く送ることができない。
【0004】
ターゲットディスプレイの較正のフレームワークにおいて、基準ディスプレイ(例えば、フィルム映写機又はCRT)上で再現されたのと同程度に、ターゲットディスプレイに色を再現するために、ターゲットディスプレイ及び基準ディスプレイは特性化されなければならず、これは、デバイスモデルを導く。デバイスモデルは、入力、すなわちデバイス依存カラー値を、出力、すなわちデバイス独立カラー値に変換する。ディスプレイ装置は、その逆デバイスモデルによって説明され得る。逆デバイスモデルは、出力、すなわちデバイス独立カラー値を、入力、すなわちデバイス依存カラー値に変換する。
【0005】
良好な較正品質を確実にする1つの方法は、多数の被験者により基準ディスプレイとターゲットディスプレイとの目視比較を実行することである。しかしながら、これは非常に時間的及び経済的コストを要するアプローチである。
【0006】
別のアプローチとして、参照デバイスモデル及びターゲットデバイスモデルの客観的なエラー測定値を計算することがある。しかしながら、逆デバイスモデルの品質は、客観的評価を容認しないデバイス依存色空間において、多くの場合評価される。品質がデバイス独立絶対的色空間において評価される場合、固有の誤差を有するカラー変換が必要とされるので、得られた品質は、評価されるべきデバイスモデルにのみ依存するものではない。
【0007】
図1は、客観的評価を容認しない一般的なカラーマネージメントワークフローを表す図である。図1に示されているように、ディスプレイの特性は、2つのディスプレイモデルの色測定及び構築を通常含む。当該2つのディスプレイモデルは、基準ディスプレイ正モデル105及び測定されたカラーからのターゲットディスプレイ逆モデル107である。測定されたカラーは、第1のセットのデバイス依存入力カラー及び第1のセットの対応する応答性デバイス独立出力カラーからなる。ディスプレイ正モデル105は、デバイス依存入力カラー(例えば、基準ディスプレイ101からの画像)を、デバイス独立表示出力カラー(例えば、絶対的カラー値)に変換することができる。ターゲットディスプレイ逆モデルは、デバイス独立表示出力カラー(絶対的カラー値)を、ターゲットディスプレイ109に入力されたデバイス依存カラーに変換することができる。
【0008】
ターゲットディスプレイの較正102は、最初に正の参照デバイスモデル105によって、次に逆ターゲットデバイスモデル107によって、表示されるべき全てのカラーを変換することによって、多くの場合、実行される。
【0009】
品質評価の1つのアプローチは、正の参照デバイスモデル及び逆ターゲットデバイスモデルの客観的エラー測定値を計算することである。そうするために、通常、第2の測定されたカラーは、第2のセットのデバイス依存入力カラー及び第2のセットの対応する応答性デバイス独立出力カラーからなる各表示に対して使用される。
【0010】
正の参照モデルの検証のために、基準ディスプレイ装置の第2のセットのデバイス依存入力カラーは、正の参照モデルを通過させられ、第3のセットの応答性デバイス独立出力カラーが生じさせられる。第2のセットのデバイス独立出力カラーと、第3のセットのデバイス独立出力カラーとの差は、デバイス独立色空間における正の参照デバイスモデルの品質を示す。この品質評価は、デバイス独立及び絶対的色空間において実行されるので、十分である(すなわち、誤差は、人間の視覚的判断と関連しており、放射分析測定値と関連している)。
【0011】
逆ターゲットモデルの検証のために、ターゲットデバイスの第2のセットのデバイス独立出力カラーは、逆ターゲットデバイスモデルを通過させられ、第3のデバイス依存入力カラー値のセットが生じさせられる。第3のセットのデバイス依存入力カラーと、ターゲットデバイスの第2のセットのデバイス依存入力カラーとの差は、デバイス依存色空間の逆ターゲットモデルの品質を示す。この品質評価は、デバイス依存色空間において実行され、十分でない(すなわち、誤差は、人間の視覚的判断とは関連しておらず、ターゲットデバイスに依存する)。
【0012】
デバイス独立及び絶対的な色空間において、ターゲットデバイスの特性化誤差を計算するために、1つの周知の方法は、以下の処理手順を利用する。すなわち、図2は、第1の例示的品質評価方法を表している。図2に示されているように、テストされるべきデバイス依存入力カラー203(すなわち、第2のセットのデバイス独立入力カラー)は、デバイス独立絶対的カラー207(すなわち、第2のセットのデバイス独立入力カラー)に変換される。これらカラーは、テストされるべき逆ターゲットデバイスモデルによって、テストされるべきデバイス依存入力カラー203に変換される。デバイス独立色空間へのカラー変換を行うために、正ターゲットデバイスモデル105が使用される。そして、変換されたデバイス独立カラー207と、測定されたデバイス独立カラー205との間の色差が評価される。第2のセットのデバイス独立出力カラー205は、逆ターゲットデバイスモデル107の品質を示す。しかしながら、正デバイスモデルを使用することは、残念ながら、固有の誤差を有する。例えば、正デバイスモデルはターゲットディスプレイ109の測定されたカラーから計算されるので、それには、観測誤差、特性モデル化誤差等のエラーがある。さらに、色差によって示された品質は、逆モデル及び正モデルの双方の品質である。この既知の方法は、逆ターゲットデバイスモデル107のみのエラーを正確に評価することにおいて機能しない。
【0013】
別の例示的品質評価方法が図3に表されている。図3に示すように、テストされるべきデバイス依存入力カラー203及びターゲットデバイスの第2のセットのデバイス依存入力カラー201の双方は、ターゲットディスプレイ109に入力される。これらカラーを測定することによって、第1及び第2のセットの測定された絶対的なデバイス独立出力カラーがそれぞれ生じさせられる。第2のセットの測定された絶対的なデバイス独立出力カラーは、テストされるべき逆ターゲットデバイスモデル107における入力であり、テストされるべきデバイス依存入力カラー203を生じさせる。そして、色差が、第1及び第2のセットのデバイス独立出力カラー(205,209)の間において評価される。当該色差は、逆ターゲットデバイスモデル107の品質を示す。しかしながら、この測定プロセスは、測定され且つ変換されたデバイス独立カラー205の測定プロセスからの固有の誤差、例えば、測定ノイズを有する。また、色差によって示された品質は、逆モデル及び測定プロセスの双方の品質である。この既知の方法は、逆ターゲットデバイスモデルのみのエラーを正確に評価することにおいて機能しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
正デバイスモデル及び逆デバイスモデルは完全な逆オペレータではないものの、固有の誤差を含むことが留意されるべきであることが留意されるべきである。その内の幾つかは、以下の通りである。
【0015】
‐カラー領域外:デバイス独立カラーの幾つかは、デバイスのカラー領域外にあり得る。それらデバイス独立カラーに対してデバイス依存カラー値が全くない。逆デバイスモデルはそれらデバイス独立カラーに対して定義されない。通常、それらデバイス独立カラーは、デバイスの全域カラー領域に写像される必要がある。このカラーマッピングはエラーを引き起こす。
【0016】
‐カラー範囲外:デバイス独立カラーの幾つかは、デバイスのダイナミックレンジ外であり得る。それら振幅は、過小すぎるか(暗過ぎる)又は過大過ぎる(発光し過ぎる)。それらデバイス独立カラーに対してデバイス依存カラー値が全くない。逆デバイスモデルはそれらデバイス独立カラーに対して定義されない。通常、それらデバイス独立カラーは、デバイスのダイナミックレンジに写像される必要がある。この色調マッピングはエラーを引き起こす。
【0017】
‐量子化:デバイス依存カラー値は、現行のビデオシステムにおいて量子化される。量子化は既存の逆オペレーションがなければ非可逆的なオペレーションである。この理由のため、逆デバイスモデルは、量子化を一般に補償することができない(又は反転することができない)。したがって、量子化はモデルにおいてエラーを生じさせるであろう。また、コンピュータ上で逆及び正モデルの組み合わせ又は正及び逆モデルの組合せを計算するとき、デバイス独立カラー値は、多くの場合、量子化される。
【0018】
‐ノイズ:デバイス依存カラー値を使用してデバイスが制御されているとき、その電子回路及び光学回路は、これらカラー値を表す信号にノイズを付加させるであろう。ノイズが確率的であり、その即時の実現が未知であるので、この効果は、反転され得ないし、逆デバイスモデルにおいて考慮され得ない。ノイズは再現エラーを生じさせるであろう。
【0019】
‐モデル誤差:逆デバイスモデル(又はあらゆる他の変換)は、多かれ少なかれ複雑な数学的モデルに通常基づいている。このモデルは、モデル化されるべき逆デバイスモデル(又はあらゆるカラー再生処理)に関して、簡易にされ得るし、単純に完全ではあり得ない。その上、(例えば、正モデルから逆デバイスモデルを構築するか又は逆モデルから正モデルを構築する)モデルから逆モデルを構築するとき、モデルと組み合わされた逆モデルは、1つモデル若しくは双方のモデルの単純性、数値的正確性又は線形性の理由により、多くの場合、中間色のオペレーションを与えない。これはモデル誤差を生じさせる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本原理の実施形態は、カラーデバイス特性評価とその品質評価を提供する方法、装置、及びシステムを提供することによって、先行技術の欠陥に対応している。
【0021】
本願発明の1つの実施形態において、ディスプレイ装置のカラー特性化品質を評価する方法は、第1のデバイス依存入力カラー値のセットと、前記第1のデバイス依存入力カラー値のセットに関して前記ディスプレイにおいて測定された出力表示値とから正変換(forward transform)及び逆変換(inverse transform)のうち一方を判定するステップと、正変換及び逆変換のうち前記判定された少なくとも一方を使用して第2のデバイス依存入力カラー値のセットを変換し、中間的なデバイス依存入力カラー値のセットを提供するステップと、正変換品質評価及び逆変換品質評価のうち少なくとも一方を実行するステップと、を含む。上述した発明の1つの実施形態において、正変換品質評価は、正変換及び逆変換のうち前記判定された少なくとも一方を使用して、前記第2のデバイス依存入力カラー値のセットを中間的なデバイス独立出力カラー値のセットに変換するステップと、中間的なデバイス独立出力カラー値のセットを、前記中間的なデバイス依存入力カラー値のセットに関して前記ディスプレイにおいて測定された出力表示値と比較して、品質測定値を判定するステップとを含む。
【0022】
本願発明の方法は、第1のデバイス依存入力カラー値のセット及び第2のデバイス依存入力カラー値のセットを作成するステップと、前記ディスプレイ装置において、前記第1のデバイス依存入力カラー値のセット及び前記中間的なデバイス依存入力カラー値のセットの出力表示値を測定するステップと、をさらに含み得る。
【0023】
本願発明の代替的実施形態において、ディスプレイ装置のカラー特性化品質を評価する装置は、正変換及び逆変換のうち少なくとも一方を、第1のデバイス依存入力カラー値のセットと、前記第1のデバイス依存入力カラー値のセットに関して前記ディスプレイにおいて測定された出力表示値とから判定するように構成され、且つ、正変換及び逆変換のうち該判定された少なくとも一方を使用して、中間的なデバイス依存入力カラー値のセットを提供するように構成された特性化ユニットを含む。かかる実施形態において、装置は、検査ユニットをさらに含み得る。当該検査ユニットは、少なくとも第2のデバイス依存入力カラー値のセットを使用して、正変換品質評価及び逆変換品質評価のうち少なくとも一方を実行する。
【0024】
本願発明の装置は、前記第1のデバイス依存入力カラー値のセット及び前記第2のデバイス依存入力カラー値のセットのうち少なくとも一方を作成するカラーセットジェネレータ変換モジュールと、前記ディスプレイ装置で表示された前記第1のデバイス依存入力カラー値のセットの出力表示値及び前記ディスプレイ装置で表示された前記中間的なデバイス依存入力カラー値のセットの出力表示値のうち少なくとも一方を測定する測定ユニットと、をさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、ターゲットディスプレイ装置を較正する一般的なカラーマネージメントワークフローを表す図である。
【図2】図2は、第1の先行技術の品質評価方法を表す図である。
【図3】図3は、第2の先行技術の品質評価方法を表す図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係る較正デバイスの高レベルブロック図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に係るディスプレイの特性化を実行する方法のフロー図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態に係る図5の方法500の使用に適切な正変換品質評価を実行するワークフロー概略図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態に係る図6のワークフローの正変換品質評価を実行する方法のフロー図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態に係る図5の方法の使用に適切な逆変換品質評価を実行するワークフロー概略図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態に係る図8のワークフローの逆変換品質評価を実行する方法のフロー図である。
【0026】
図面は本発明の概念を例証することのみが目的であり、必ずしも本発明を例証する唯一の可能な構成ではないことが理解されるべきである。理解を容易にするために、図面に共通な同一の要素を特定するため、可能な箇所において、同じ参照番号が使用されている。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に関する教唆は、添付図面と伴に以下の詳細な説明を考慮することによって、容易に理解され得る、
ディスプレイのカラー特性化を実行し且つディスプレイ装置の特性の品質評価を実行する方法、装置、及びシステムは、本原理の様々な態様に応じて、有利に提供される。本発明は、主として特定のカラーディスプレイシステム及び方法の内容で説明されているものの、本原理の特定の実施形態は、本発明の範囲を限定するものとして扱われるべきでない。当業者であれば、本原理の概念がディスプレイの較正と品質の検証が望まれている他の環境において有利に適用され得ることを容易に理解できるであろうし、本原理の教唆によって知見を得るであろう。
【0028】
図面に示された様々な要素の機能は、専用ハードウェア及び適切なソフトウェアと関連してソフトウェアを実行することが可能なハードウェアの使用を介して提供され得る。プロセッサによって提供されるとき、機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共用プロセサ、又は複数の個々のプロセッサによって提供され、その内の幾つかが共有され得る。その上、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的使用は、ソフトウェアを実行させることが可能なハードウェアを排他的に意味するよう解釈するべきでないし、限定することなく、デジタルシグナルプロセッサ(「DSP」)ハードウェア、ソフトウェアを記憶するリードオンリーメモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、及び不揮発性記憶装置を暗示的に含み得る。その上、本明細書に本発明の原理、態様、及び実施形態を列挙するすべての記述並びにそれらの具体的実施例は、それらの構造的及び機能的な均等物を包含すると、意図されている。さらに、かかる均等物は、現時点で知られている均等物と、将来開発された均等物の双方を含む(すなわち、構築に関係なく、同じ機能を実行し、開発されたあらゆる要素)ことを意図している。
【0029】
したがって、例えば、当業者であれば、本明細書に表されたブロック図は、本発明の原理を具現化する例示的システム要素及び/又は回路構成の概念的ものを表していることを容易に理解できるであろう。同様に、かかるコンピュータ又はプロセッサが明示的にしめされているかどうかに関係なく、あらゆるフローチャート、フロー図、状態遷移図、擬似コード等がコンピュータ読取可能媒体において実質的に表されて、コンピュータ又はプロセッサによって実行され得る様々なプロセスを表していることが十分理解されるだろう。なお、「(複数の)カラー」及び「(複数の)カラー値」という用語は、本明細書の説明において、同義的に用いられており、用語が使用されている状況に依存して、(複数の)カラー及び(複数の)関連カラー値を説明することを意図されるべきである。
【0030】
上述したように、図1は、ターゲットディスプレイ装置を較正する一般的なカラーマネージメントワークフローを表す図である。図1に示されていたカラーマネージメントワークフローは、2つの異なる変換を伴う。当該2つの異なる変換は、基準ディスプレイ正変換/モデル105及びターゲットディスプレイ逆変換/モデル107である。正変換は、デバイス依存値(例えば、RGB)をデバイス独立値(例えば、CIE、XYZ)にマップする。正変換は、正モデル特性化プロセスから、定義され、基準ディスプレイのみに知られていることが必要である。逆変換は、絶対的なデバイス独立値をデバイス依存値にマップするのに使用される。この変換は、逆モデル特性化プロセスから定義されており、ターゲットディスプレイのみに知られていることが必要である。
【0031】
基準ディスプレイ101に到達した画像信号は、基準ディスプレイ正モデル105に供給される。当該基準ディスプレイ正モデル105は、絶対的なディスプレイ独立カラー値を出力する。例えば、これらは、CIE、XYZ3刺激値を含み得る。CIEカラーモデルは、あらゆるデバイス又は発光若しくは再現に関する他の手段とは独立するように、開発され、人間が色をどのように知覚するのかという事に可能な限り密接に基づいている。
【0032】
ターゲットディスプレイが絶対的なデバイス独立カラー値に可能な限り良好に対応するカラーを生成する場合に、ターゲットディスプレイ逆モデル107はターゲットディスプレイ109に示されるべきデバイス依存カラー値を作成する。この手法は、基準ディスプレイが色再現に関するイメージを再現する手法に可能な限り近似して、イメージがターゲットディスプレイ上に再現されることを確実にする。再現された外観は、明度、コントラスト、飽和度、色相、及びトーン等の種々の色再現特性に対処し得るものの、一般に、これは、あらゆる色知覚に関する特性をも含み得る。この種類の較正は、測色的色再現と称されており、フレームワークは、カラーマネージメントフレームワークと称されている。
【0033】
さらに、他の方法が、ディスプレイを較正するのに使用され得る。例えば、ターゲットディスプレイに狙いを定められたディスプレイカラー値を作成するために、画像信号は、ルック‐アップテーブル(LUT: Look-Up Table)、パラメータ関数又は双方の組合せ等のダイレクト変換に通される。
【0034】
本願発明の原理の様々な実施形態によれば、上記説明したように、更正が完了された後に、その性能又は品質が、所定のカラーマネージメントワークフローが正確に且つ限定された範囲の誤差内で実行されることを検査するのに評価されるべきである。例えば、本願発明の1つの実施形態において、ターゲットディスプレイ又は基準ディスプレイに関係なく、新規な客観的品質測定値が、あらゆるディスプレイ装置の特性化に対しても利用され得るディスプレイ装置の特性化品質を評価/検証するために、提供される。本発明の様々な実施形態において、システム及び方法は、ディスプレイ装置の第1のデバイス依存入力カラー値のセットのカラー特性化品質を評価し、ディスプレイに関する正特性化及び逆特性化プロセスに適用する。品質測定値から計算された誤差は、人間による視覚システムが、基準ディスプレイとターゲットディスプレイとの間の差異をどのようにして知覚するのかを表している。したがって、かかるシステム及び方法は、実装されたカラーマネージメントワークフローの有効性が、被験者の関与を必要とすることなく正確に評価され得る。
【0035】
本願の様々な実施形態に係るシステム及び方法は、少なくとも、以下の利点を有する。
1.正特性化モデルのエラーが逆特性化モデルのエラーから独立して計算され得る。
2.逆特性化モデルのエラーが正特性化モデルのエラーから独立して計算され得る。
3.誤差は、付加的な誤差による影響を伴うことなく、デバイス依存色空間及びデバイス独立色空間において、計算され得る。
【0036】
すなわち、本原理の様々な実施形態に係るシステム及び方法は、新規な客観的品質測定値を有利に提供して、他の色変換の誤差の影響を伴うことなく、デバイス独立絶対的色空間においてディスプレイモデルの特性化品質を評価し且つ検証する。カラーデバイス特性評価を、正特性化ワークフロー及び逆特性化ワークフローにおいて品質評価又は検証に提供するシステム及び方法が提供される。
【0037】
図4は、本発明の実施形態に係る較正デバイス400の高レベルブロック図を示している。図4の較正デバイス400は、特性化ユニット401,検査ユニット403,及び任意的な測定ユニット404を例示的に含む。図4の較正デバイス400の特性化ユニット401の例示的実施形態において、特性化ユニット401は、任意的なカラーセットジェネレータ変換ユニット402を例示的に含む。かかる実施形態において、特性化ユニット401は、カラーセットジェネレータ変換ユニット402を使用して、第1のデバイス依存入力カラー値のセット及び上記第2のデバイス依存入力カラー値のセットを少なくとも作成することが可能である。図4において、カラーセットジェネレータ変換ユニット402は本願発明の代替的実施形態において特性化ユニット401の統合要素として実例として表わされているものの、カラーセットジェネレータ変換ユニット402は、較正デバイス400の別々の要素を含み得る。さらに、本願発明の代替的実施形態において、図4の較正デバイス400の実施形態は、第1のデバイス依存入力カラー値のセット及び第2のデバイス依存入力カラー値のセットを少なくとも作成する第1のカラーセットジェネレータ変換ユニット402を例示的に含むものの、第1のデバイス依存入力カラー値のセット及び第2のデバイス依存入力カラー値のセットに関する情報は、本明細書に記載された新規な方法を実行する本願発明の較正デバイスと通信させられ得る。そういうものとして、本発明の代替的実施形態に係る較正デバイスは、第1のカラーセットジェネレータ変換ユニット402を含む必要はない。
【0038】
図4の較正デバイス400の図示された実施形態において、任意的な測定ユニット404は、色度計、露出計又はディスプレイ装置に表されたデバイス依存入力カラー値の出力表示値を測定する他の測定デバイスを含み得る。本願発明の代替的実施形態において、図4の較正デバイス400の実施形態は、ディスプレイ装置に表されたデバイス依存入力カラー値の出力表示値を測定する測定ユニット404を例示的に含むものの、ディスプレイ装置に表されたデバイス依存入力カラー値に関して当該測定された出力表示値に関する情報は、本明細書に記載された新規な方法を実行する本願発明の較正デバイスと通信させられ得るし、そういうものとして、本発明の代替的実施形態に係る較正デバイスは、測定ユニット404を含む必要はない。
【0039】
図4の較正デバイス400において、本願発明の様々な実施形態に係るディスプレイの特性に関する品質評価を実行する検査ユニット403が備えられている。より具体的には、図4の較正デバイス400の図示された実施形態において、検査ユニット403は、1セットのカラー値の正変換及び逆変換評価を実行する変換評価ユニット407と、以下においてさらに詳細に説明される品質測定値を計算するための1セットの2つ以上のカラー値の差異を評価する比較ユニット412と、を含む。図4において、変換評価ユニット407及び比較ユニット412は、本願発明の代替的実施形態において検査ユニット403の統合要素として実例として表わされているものの、変換評価ユニット407及び比較ユニット412は、較正デバイス400の別々の要素を含み得る。さらに、図4の較正デバイス400は、別々の特性化ユニット401及び関連要素及び別々の検査ユニット403及び関連要素を例示的に含むものの、例示された別々の要素は、本願発明の様々な実施形態の較正デバイスの説明をより容易にするために使用された。そして、本願発明の代替的実施形態において、本願発明の較正デバイスは、本願発明の様々な説明した実施形態の説明した小説、本発明の態様、および原理を実行する単一のデバイスを含み得る。本願発明の1つの実施形態において、かかるデバイスは、本願発明について説明した様々な実施形態の説明された新規であり独創的な態様及び原理を実行する論理積で動作する少なくともプロセッサ、メモリ、および集積回路を有するコンピュータ等のデバイスを含み得る。
【0040】
本願発明の1つの実施形態において、本願発明の較正デバイスは、正変換及び逆変換のうち一方を、(例えば、カラーセットジェネレータ変換ユニット402を使用して)第1のデバイス依存入力カラー値のセットと、上記第1のデバイス依存入力カラー値のセットに関して上記ディスプレイにおいて測定された出力表示値とから判定し、正変換及び逆変換のうち上記判定された少なくとも一方を使用しつつ第2のデバイス依存入力カラー値のセットを変換して、(例えば、カラーセットジェネレータ変換ユニット402を使用して)中間的なデバイス依存入力カラー値のセットを提供し、(すなわち、例えば変換評価ユニット407を使用して)正変換品質評価及び逆変換品質評価のうち少なくとも一方を実行する。本願発明の較正デバイスの代替的実施形態において、デバイスは、(例えば、カラーセットジェネレータ変換ユニット402を使用して)第1のデバイス依存入力カラー値のセット及び第2のデバイス依存入力カラー値のセットをさらに作成し得る。本願発明の較正デバイスは、例えば測定ユニット404を使用して、上記ディスプレイ装置における上記第1のデバイス依存入力カラー値のセット及び上記第2のデバイス依存入力カラー値のセットの出力表示値をさらに測定し得る。比較ユニット412は、中間的なデバイス独立出力カラーのセットを、第2のデバイス独立出力カラーのセットと比較するのに使用され得るし、又は、第2の中間的なデバイス独立出力カラー値のセットを、第2のデバイス独立出力カラーのセットと比較するのに使用され得るし、そして、当該2つのカラー値のセットの差を計算して、品質測定値を計算するのに使用され得る。
【0041】
図4の較正デバイス400等の本願発明の較正デバイスは、少なくとも以下を含む様々なアプリケーションと形成因子を含むことができる。
【0042】
1.PC上において:本願発明の較正デバイスは、特性化モデルを特性化して、検証するために、露出計からの出力カラーの測定値を使用して、ソフトウェアにより、カラー出力デバイス(例えば、ディスプレイ、プロジェクタ、プリンタ)を測定し、特性化し、較正するように実装され得る。
【0043】
2.本願発明の較正デバイスは、カラー出力デバイスに組み込まれたシステムにおいて提供され得る。かかる実施形態において、出力カラーが較正されるように特性化モデルを使用して、入力信号を変換する入力信号変換ユニット405が、含まれる。
【0044】
3.本願発明の較正デバイスは、出力カラーの較正に対して他の設備によって使用されるべき特性化モデルを(例えば、外部の入力信号変換ユニットに)出力する代わりに、上記(2)と同一であるものの、入力信号変換ユニット405がない携帯用特性化システムにおいて提供され得る。
【0045】
図5は、本発明の実施形態に係るディスプレイの特性化を実行し且つディスプレイ装置のカラー特性品質を評価する方法500のフロー図を示している。本発明のかかる方法は、ターゲットディスプレイ又は基準ディスプレイが単一のディスプレイに対して一度に実行され得るかどうかに関係なく、あらゆるディスプレイに対して実行され得る。方法500は任意的ステップ501で開始する。任意的ステップ501において、第1のデバイス依存入力カラー値のセットが所定のディスプレイ装置に対して作成される。「デバイス依存」カラー値とは、デバイス依存カラー値に対して応答性が有り関連付けられた且つ再現された絶対的カラーが、色の再現のために使用されるディスプレイに依存する場合を意味する。第1のデバイス依存入力カラー値のセットは、例えば、デバイス依存色空間における特定の第1のグリッドにおけるあらゆる所定のカラー、無作為に作成されたカラー、及びすべてのカラーを含み得る。上述したように、本発明の較正デバイスによる第1のデバイス依存入力カラー値のセットの作成は任意的である。なぜならば、かかる情報は、記憶され得るし、または、本願発明の較正デバイスと通信され得るからである。そして、方法500は任意的ステップ503に進む。
【0046】
任意的ステップ503において、第1のデバイス依存入力カラーのセットに対応するディスプレイ装置で再現された第1のセットの絶対的なデバイス独立出力カラーが測定される。上述したように、本発明の較正デバイスによる第1のデバイス依存入力カラー値のセットの測定は任意的である。なぜならば、かかる情報は記憶され得るし、または、本願発明の較正デバイスと通信され得る。そして、方法500は任意的ステップ505に進む。
【0047】
ステップ505において、正変換及び逆変換のうち一方は、上記第1のデバイス依存入力カラー値のセットと、上記第1のデバイス依存入力カラー値のセットに関して上記ディスプレイにおいて測定された出力表示値とから判定される。本願発明の1つの実施形態において、正変換及び逆変換が作成されるので、正変換は第1のデバイス依存入力カラーのセットを第1の絶対的なデバイス独立出力カラーのセットに変換することが可能である。そして、逆変換は、第1の絶対的なデバイス独立出力カラーのセットを、第1のデバイス依存入力カラーのセットに変換することが可能である。これら変換は、第1のデバイス依存入力カラーのセットを第1の絶対的なデバイス独立出力カラーのセット等にそれぞれ変換することが可能である。そして、方法500は任意的ステップ507に進む。
【0048】
任意的ステップ507において、第2のデバイス依存入力カラー値のセットが品質評価のために作成される。本願発明の1つの実施形態において、上記第2のデバイス依存入力カラー値のセットは、あらゆる所定のカラー、第2の無作為に作成されたカラー及びデバイス依存色空間における第1のグリッドと組み合わされる特定の第2のグリッドにおけるすべてのカラーのうち少なくとも一つを含み得る。すなわち、第2のカラーのセットは第1のカラーが測定値のセットを提供しない測定値を提供し得る。正若しくは逆変換を第1のカラー(及び応答的測定値)のセットから構築するとき、第1のセットの値の間におけるすべてのカラーは、補間され得る。本願発明の1つの実施形態において、第2のカラーのセットは補間が動作することを検証する第1のセットのカラーの値の間におけるカラーである。第2のセットのカラーを作成する例示的な実施形態は、少なくとも以下を含む。
‐第1のカラーのセットがグリッドである場合、第2のセットのカラーは、第1のグリッドにおいて組み合わされたグリッドであり得る。
‐第2のカラーのセットは、(a)第1のカラーの間に、及び(b)色空間又は色領域の境界にあり得る。
‐カラーがアプリケーション又は人間の観察者に対して重要なカラーを表すように、第2のカラーのセットは、選択され得る。このように、品質評価は、アプリケーション又は人間の観察者にそれぞれ関連している。
【0049】
さらに、上述したように、本発明の較正デバイスによる第2のデバイス依存入力カラー値のセットの作成は任意的である。なぜならば、かかる情報は記憶され得るし、または、本願発明の較正デバイスと通信され得る。そして、方法500はステップ509に進む。
【0050】
ステップ509において、上記第2のデバイス依存入力カラー値のセットは、正変換及び逆変換のうち上記判定された少なくとも一方を使用して変換され、中間的なデバイス依存入力カラー値のセットを提供する。
本願発明の1つの実施形態において、上記第2のデバイス依存入力カラー値のセットは、正変換によって及びその後の逆変換によって変換されて、中間的なデバイス依存入力カラー値のセットを作成する。そして、方法500は任意的ステップ511に進む。
【0051】
任意的ステップ511において、ディスプレイ装置で再現され且つ中間的なデバイス依存入力カラーのセットに対応する第2の中間的な絶対的なデバイス独立出力カラーのセットが、測定される。本願発明の様々な実施形態において、ディスプレイは、特性化されるべきあらゆるディスプレイをも含み得る。さらに、上述したように、本発明の較正デバイスによる第2のデバイス依存入力カラー値のセットの測定は、任意的である。なぜならば、かかる情報は、記憶され得るし、または、本願発明の較正デバイスと通信され得るからである。そして、方法500はステップ513に進む。
【0052】
ステップ513において、正変換品質評価及び逆変換品質評価のうち少なくとも一方は、上記説明した方法のステップの特性化の品質を判定するために、実行される。そして、方法500は終了され得る。
【0053】
図6及び7は、本原理の実施形態に係る図5の方法500の使用に適切な正変換品質評価プロセスの性能を示し且つ説明している。すなわち、図6は、本発明の実施形態に係る図5の方法500の使用に適切な正変換品質評価を実行するワークフロー概略図を示しており、図7は、本発明の実施形態に係る図6のワークフローの正変換品質評価を実行する。より具体的には、本願発明の様々な実施形態の検証プロセスはエラー評価又は品質評価を与える。かかる評価は、品質は十分でない事象において、例えば、図5の特性化プロセスの反復を生じさせるのに、使用され得る。特性を反復するとき、より多くの若しくは異なる測定値又はカラー値が使用され得るし、そして/又は、異なる数学的モデルが、測定値から特性化モデルを構築するのに使用され得る。
【0054】
図6及び7の双方を参照すると、図7の方法700はステップ701で開始する。ステップ701において、第2のデバイス依存入力カラー値のセットが、判定された正及び逆変換を中間的なデバイス独立出力カラー値のセットに使用して変換される。本願発明の1つの実施形態において、上記第2のデバイス依存入力カラー値のセットが、判定された正変換を第2の中間的セットのデバイス独立出力カラー603に適用することによって、変換され、判定された逆変換107によって中間的セットの入力カラー値605に変換され、そして、再度正変換105によって中間的セットの絶対的なデバイス独立出力カラー値607に中間的セットの入力カラー値605に変換される。
【0055】
なお、図6のセクション600で示されたプロセスは、検証プロセスが開始される前に実行され得る。すなわち、セクション600は、一旦、実行され得るし、得られた第2の中間的セットのデバイス独立入力カラー603は、その後、所望の品質評価(例えば、正変換及び/又は逆変換品質評価)に使用され得る。そして、図7の方法700はステップ703に進む。
【0056】
ステップ703において、中間的セットの絶対的なデバイス独立出力カラー値607は、第2のセットの絶対的なデバイス独立出力カラー609と比較される。そして、図7の方法700はステップ705に進む。
【0057】
ステップ705において、品質測定値は、2つのカラーのセット607及び609の間のカラー値の差から判定される。例えば、正ターゲットデバイスモデル105が良好な品質モデルである場合、2つのカラーのセット607及び609の値は、類似しているべきである。すなわち、本願発明の1つの実施形態において、中間的な出力カラーのセットと、第2の出力カラーのセットとの間の値の差が小さくなるほど、正変換の品質がより高くなる。有利にも、図6−7に表された本願発明の方法によって、正ターゲットデバイスモデルのエラーが逆特性化モデルのエラーから独立して評価され得る。そして、図7の方法700は終了され得る。
【0058】
図8及び9は、本原理の実施形態に係る図5の方法500の使用に適切な逆変換品質評価プロセスの性能を示し且つ説明している。すなわち、図8は、本発明の実施形態に係る図5の方法500の使用に適切な逆変換品質評価を実行するワークフロー概略図を示しており、図9は、図8のワークフローの逆変換品質評価を実行する方法900のフロー図を示している。
【0059】
図8及び9の双方を参照すると、図9の方法900は、ステップ901で開始する。ステップ901において、第2のセットのデバイス依存入力カラー601が正変換105によって第2の中間的セットのデバイス独立出力カラー603に変換される。そして、図9の方法900はステップ903に進む。
【0060】
ステップ903において、第2の中間的セットの絶対的なデバイス独立出力カラー値603は、第2のセットの絶対的なデバイス独立出力カラー609と比較される。そして、図9の方法900はステップ905に進む。
【0061】
ステップ905において、品質測定値は、2つのカラー603のセット及び609の差から判定される。例えば、逆ターゲットデバイスモデル107が良好な品質モデルである場合、2つのカラー603のセット及び609は類似しているであろう。すなわち、本願発明の1つの実施形態において、第2のデバイス独立出力カラーのセットと、第2の中間的なデバイス独立出力カラー値のセットとの間の値の差が小さくなるほど、逆変換の品質がより高くなる。有利にも、本発明の方法によって、図8−9に示されているように、逆ターゲットデバイスモデルのエラーが正特性化モデルのエラーから独立して評価され得る。そして、図9の方法900は終了され得る。
【0062】
以下のセクションにおいて、本発明の実施形態に係るシステム及び方法の例示的インプリメンテーションが、三原色(RGB)を入力として使用してカラーをディスプレイ上に再現する場合に対して記載されている。なお、以下の例は、三原色(RGB)を使用してカラーをディスプレイ上に再現する場合に対して記載しているものの、本願発明の代替的実施形態は、三原色よりも大であり若しくは三原色よりも小であるディスプレイ、又はRGB色空間以外の色空間におけるカラー値のディスプレイの場合において実装され得る。
【0063】
以下の実施例は、特性化、正モデル検査、及び逆モデル検査の3つの部分で記載されている。
【0064】
第1の実施形態において、特性化は、以下のステップに従って、行われる。
【0065】
・第1のデバイス依存入力カラー値のセットが作成される。例えば、
【0066】
【数1】

【0067】
となるように、1セットの653RGB値
【0068】
【数2】

【0069】
が作成される
・ディスプレイに再現され且つ第1のデバイス依存入力カラーのセットに対応する第1の絶対的なデバイス独立出力カラー
【0070】
【数3】

【0071】
のセットが測定される。
【0072】
・第1デバイス依存入力のセット及び第1の絶対的なデバイス独立出力カラーのセットからの正変換及び逆変換が作成される。これら変換は、第1のデバイス依存入力カラーのセットを、第1の絶対的なデバイス独立出力カラーのセット等にそれぞれ変換することが可能である。本願発明の1つの実施形態において、多くの測定値が利用可能であり且つデバイス特性における事前認識があまり利用可能でない場合に良好に適合されるスプライン補間方法が使用され得る。薄板スプラインは、任意にタブ切りされたデータに対する物理ベースの3D補間スキームである。これらスプラインは、一次元における自然3次スプラインの一般化である。スプラインボリュームは、グリッド点において移行しないように抑制された薄層金属構造体を表している。概念は、関数fを構築することであり、そのグラフはカラー値を通り抜けて、ベンディングエネルギ関数を最小化にする。かかる実施形態において、正変換がスプライン補間を使用して判定され、一方、逆変換がデバイス依存色空間における規則的グリッドにおける4面補間を使用して判定される。規則的グリッドは、スプライン補間を使用して確立される。例えば、本発明のかかる実施形態において、
a.正モデルは、
【0073】
【数4】

【0074】
と記される。
【0075】
b.逆モデルは、
【0076】
【数5】

【0077】
と記される。
【0078】
・カラーが第1のデバイス依存入力カラー値のセットの間となるように、第2のデバイス依存入力カラー値のセット
【0079】
【数6】

【0080】
が品質評価のために作成される。
【0081】

【0082】
【数7】

【0083】
となるように、第2のデバイス独立入力カラーのセットは、正変換によって、そして逆変換によって、中間的なデバイス依存入力カラー値のセット
【0084】
【数8】

【0085】
に変換される。
【0086】
・ディスプレイに再現され且つ中間的なデバイス依存入力カラーのセットに対応する第2の中間的な絶対的なデバイス独立出力カラーのセット
【0087】
【数9】

【0088】
が測定される。
【0089】
特性化の後に、正モデル検証が以下のように判定され得る。
【0090】
・ディスプレイ装置のプロフィールからの第2のデバイス依存入力カラーのセットが測定される(または、先の測定が使用され得る)。
【0091】
・第2のデバイス独立入力カラーのセットが、正変換によって、そして、逆変換によって、そして、再度正変換によって、中間的な絶対的なデバイス独立出力カラー値のセットに変換される。
【0092】
・第2の中間的セットの絶対的なデバイス独立出力カラーが測定される(または、先の測定が使用され得る)。
【0093】
・中間的な絶対的なデバイス独立出力カラー値のセットが第2の絶対的なデバイス独立出力カラーのセットと比較される。
【0094】
・品質測定値は、2つのセットのカラーのそれぞれの差から計算される。
正モデル特性化及び検証の後、逆モデル検証が以下のように判定され得る。
【0095】
・ディスプレイ装置のプロフィールからの第2のデバイス依存入力カラーのセットは、測定される(または、先の測定が使用され得る)。
【0096】
・第のデバイス独立入力カラー2のセットは正変換によって、第2の中間的な絶対的なデバイス独立出力カラー値のセットに変換される。
【0097】
・第2の中間的な絶対的なデバイス独立出力カラーのセットが測定される(または、先の測定が使用され得る)。
【0098】
・第2の中間的セットの絶対的なデバイス独立出力カラー値が第2のセットの絶対的なデバイス独立出力カラーと比較される。
【0099】
・品質測定値は、2つのカラーのセットのそれぞれの差から計算される。
【0100】
カラーディスプレイ装置特性及び品質評価を提供する方法、装置、及びシステムの様々な実施形態(例示を目的とするものであり、限定するものではない)について説明してきたが、修正及び変形が上記教示の観点から当業者によってなされ得ることが留意されるべきである。したがって、添付された特許請求の範囲において示されているように本発明の範囲及び趣旨の範囲内の変更が、開示された発明の特定の実施形態においてなされ得ることが理解されるべきである。上記は、本願発明の様々な実施形態は指向されているものの、本願発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本願発明の他の実施形態及び更なる実施形態が案出され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ装置のカラー特性品質を評価する方法であって、
正変換及び逆変換のうち少なくとも一方を、第1のデバイス依存入力カラー値のセットと、前記第1のデバイス依存入力カラー値のセットに関して前記ディスプレイにおいて測定された出力表示値とから判定するステップと、
前記正変換及び逆変換のうち該判定された少なくとも一方を使用し、第2のデバイス依存入力カラー値のセットを変換して、中間的なデバイス依存入力カラー値のセットを提供するステップと、
少なくとも前記第2のデバイス依存入力カラー値のセットを使用して、正変換品質評価及び逆変換品質評価のうち少なくとも一方を実行するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記提供するステップは、前記正変換を適用して、次に前記逆変換を適用するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のデバイス依存入力カラー値のセットの出力表示値を前記ディスプレイ装置において測定するステップと、
前記中間的なデバイス依存入力カラー値のセットの出力表示値を前記ディスプレイ装置において測定するステップと、
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のデバイス依存入力カラー値のセットを作成するステップと、
前記第2のデバイス依存入力カラー値のセットを作成するステップと、
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記正変換品質評価は、
前記正変換及び逆変換のうち前記判定された少なくとも一方を使用し、前記第2のデバイス依存入力カラー値のセットを変換して、中間的なデバイス独立出力カラー値のセットを提供するステップと、
前記中間的なデバイス独立出力カラー値のセットを、前記中間的なデバイス依存入力カラー値のセットに関して前記ディスプレイにおいて測定された出力表示値と比較して、品質測定値を判定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記提供するステップは、
前記正変換を適用し、次に前記逆変換を適用し、さらに前記正変換を再度適用することによって、前記第2のデバイス依存入力カラー値のセットを変換するステップを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記逆変換品質評価は、
前記判定された正変換を使用し、前記第2のデバイス依存入力カラー値のセットを変換して、第2の中間的なデバイス独立出力カラー値のセットを提供するステップと、
前記第2の中間的なデバイス独立出力カラー値のセットを、前記中間的なデバイス依存入力カラー値のセットに関して前記ディスプレイにおいて測定された出力表示値と比較して、品質測定値を判定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のデバイス依存入力カラー値のセットは、デバイス依存色空間における第1のグリッドにおける所定のカラー、無作為に作成されたカラー及びすべてのカラーのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のデバイス依存入力カラー値のセットは、前記第1のカラー値のセットの間におけるカラー値を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記中間的なデバイス独立出力カラー値のセットと、前記中間的なデバイス依存入力カラー値のセットに関して前記測定された出力表示値との間の値の差が小さくなるほど、前記判定された正変換の前記品質がより高くなることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の中間的なデバイス独立出力カラー値のセットと、前記中間的なデバイス依存入力カラー値のセットに関して前記測定された出力表示値との間の値の差が小さくなるほど、前記判定された逆変換の品質がより高くなることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項12】
ディスプレイ装置のカラー特性化品質を評価する装置であって、
正変換及び逆変換のうち少なくとも一方を、第1のデバイス依存入力カラー値のセットと、前記第1のデバイス依存入力カラー値のセットに関して前記ディスプレイにおいて測定された出力表示値とから判定し、
前記正変換及び逆変換のうち該判定された少なくとも一方を使用し、第2のデバイス依存入力カラー値のセットを変換して、中間的なデバイス依存入力カラー値のセットを提供するように構成された特性化ユニットと、
少なくとも前記第2のデバイス依存入力カラー値のセットを使用して、正変換品質評価及び逆変換品質評価のうち少なくとも一方を実行する検査ユニットと、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項13】
前記第1のデバイス依存入力カラー値のセット及び前記第2のデバイス依存入力カラー値のセットのうち少なくとも一方を作成するカラーセットジェネレータ変換モジュールを含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記カラーセットジェネレータ変換モジュールは、前記特性化ユニットの統合要素を含むことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ディスプレイ装置で表示された前記第1のデバイス依存入力カラー値のセットの出力表示値と、前記ディスプレイ装置で表示された前記中間的なデバイス依存入力カラー値のセットの出力表示値とのうち少なくとも一方を測定する測定ユニットを含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記測定ユニットはカラーメータを含むことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
正変換品質評価を実行する際に、前記検査ユニットは、
前記正変換を適用し、前記逆変換を適用し、前記正変換を再度適用することによって、前記第2のデバイス依存入力カラー値のセットを変換して、中間的なデバイス独立出力カラー値のセットを提供すること、及び、
前記中間的なデバイス独立出力カラー値のセットを、前記中間的なデバイス依存入力カラー値のセットに関して前記ディスプレイにおいて測定された出力表示値と比較して、品質測定値を判定すること
を実行するよう構成されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項18】
前記変換は変換評価ユニットによって実行されることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記判定することを実行するための比較ユニットを含むことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項20】
逆変換品質評価を実行する際に、前記検査ユニットは、
前記判定された正変換を使用し、前記第2のデバイス依存入力カラー値のセットを変換して、第2の中間的なデバイス独立出力カラー値のセットを提供すること、及び、
前記第2の中間的なデバイス独立出力カラー値のセットを、前記中間的なデバイス依存入力カラー値のセットに関して前記ディスプレイにおいて測定された出力表示値と比較して、品質測定値を判定すること
を実行するよう構成されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−517615(P2012−517615A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549129(P2011−549129)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/002041
【国際公開番号】WO2010/090623
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】