説明

カラーフィルタおよびその製造方法

【課題】本発明は、液晶配向制御用手段を有するカラーフィルタに関して、液晶表示装置に用いた際、黒表示時に光漏れを防止することが可能で、電気的信頼性の高いカラーフィルタおよびその製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成された着色層と、上記着色層上に形成された透明電極層と、上記着色層間に形成された画素を画定するブラックマトリクス層と、上記透明電極層上の上記着色層に対応する領域に形成された液晶配向制御用手段とを有するカラーフィルタであって、上記透明電極層と上記液晶配向制御用手段との間に遮光性を有し、無機材料からなる遮光部が形成されていることを特徴とするカラーフィルタを提供することにより、上記目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、カラーフィルタと液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶化合物を封入して薄い液晶層を形成し、液晶駆動側基板により液晶層内の液晶配列を電気的に制御して液晶パネルの透過光または反射光の量を選択的に変化させることによって表示を行う。
【0003】
このような液晶表示装置では、視野角が広く、高コントラストが実現できる複数配向分割型垂直配向モードとして知られるMulti-domain Vertical Aligned(MVA)方式の液晶表示装置が開発されている。このMVA方式の液晶表示装置に用いられるカラーフィルタには、通常液晶分子の配向をコントロールするための液晶配向制御用突起が形成されており、この液晶配向制御用突起の存在により液晶分子を傾斜させ、液晶配向の分割を実現している(特許文献1参照)。このような液晶配向制御用突起は、色表示に影響を及ぼさないよう、通常透明な材料を用いて形成されている。しかしながら、この液晶配向制御用突起のサイド部分においては、液晶分子の傾斜角が、電圧をオンにした時とオフにした時のちょうど中間の角度となるため、電圧オフ時、すなわち黒表示時に液晶配向制御用突起を透過して光漏れが発生し、それによってコントラストが低下してしまうといった問題を有していた。
【0004】
このような問題を解決する方法として、液晶配向制御用突起を着色剤を含有する材料にて形成し、光の透過を遮ることにより光漏れを防ぐ方法が考えられる。ここで、光漏れを防ぐために必要な遮光率を有する液晶配向制御用突起とするためには、XYZ表示系におけるC光源でのY値の低い材料を用いる必要があり、そのためには顔料等の着色剤の含有量を多くする方法が採られる。しかしながら、このような着色剤の含有量の高い材料を用いて液晶配向制御用突起を形成すると、このカラーフィルタを液晶表示装置に用いた場合に液晶層に顔料等の不純物が溶出して、電気的信頼性を低下させるという問題があった。
【0005】
また、上述したような光漏れの問題を解決する方法として、通常カラーフィルタに形成されるブラックマトリクス層とは別に、透明基板上の画素領域に遮光部を形成し、その上に形成された着色層上に液晶配向制御用突起を形成する方法も考えられる。このような方法の場合、液晶配向制御用突起を遮光部の形成領域からはみ出すことなく形成する必要があるため、液晶配向制御用突起の形成領域に対して、遮光部の形成領域を広くしなければならない。しかしながら、カラーフィルタ全体に対して遮光部が占有する領域が広くなりすぎてしまい、色表示時の輝度が下がるといった問題を有するものであった。
また、着色層を形成する際、透明基板上の画素領域に形成された遮光部周辺で盛り上がってしまうため、着色層の平坦性に劣るという問題もあった。
【0006】
【特許文献1】特開2003−75839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、液晶配向制御用手段を有するカラーフィルタに関して、液晶表示装置に用いた際、黒表示時に光漏れを防止することが可能であり、電気的信頼性の高いカラーフィルタおよびその製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成された着色層と、上記着色層上に形成された透明電極層と、上記着色層間に形成された画素を画定するブラックマトリクス層と、上記透明電極層上の上記着色層に対応する領域に形成された液晶配向制御用手段とを有するカラーフィルタであって、上記透明電極層と上記液晶配向制御用手段との間に遮光性を有し、無機材料からなる遮光部が形成されていることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0009】
本発明によれば、このカラーフィルタを液晶表示用装置に用いた場合、着色剤等が液晶層へ溶出することがなく、電気的信頼性を損なわないものとすることができる。
また、上記液晶配向制御用手段および遮光部の位置ずれがなく、必要以上に遮光部を大きく形成する必要がないため、輝度の高いカラーフィルタとすることができる。
さらに、上記遮光部を透明基板上の画素領域に形成しないため、着色層を形成したとき、盛り上がりが少ないので、平坦性の高いカラーフィルタとすることができる。
【0010】
本発明においては、上記ブラックマトリクス層が、上記透明電極層上に形成された層構成を有し、上記ブラックマトリクス層上に上記液晶配向制御用手段と同一の材料からなる透明層を有していてもよい。上記ブラックマトリクス層を遮光部と一括で形成することが可能となり、工程数が少なくなるため、コストを削減できるからである。
【0011】
また、上記発明においては、上記透明電極層上に柱状スペーサが形成されており、上記柱状スペーサと上記透明電極層との間に上記遮光部が形成され、上記柱状スペーサが上記液晶配向制御用手段と同一の材料で形成されていてもよい。上記液晶配向制御用手段と柱状スペーサとが一体であり、同時に形成されるものであるので、別途柱状スペーサを形成する工程がいらず、コストを削減することができるからである。
【0012】
本発明においては、上記液晶配向制御用手段が液晶配向制御用突起であることが好ましい。液晶配向制御用突起は液晶分子を傾斜させ、液晶配向の分割を実現するのに適しているからである。
【0013】
本発明においては、上記遮光部のOD値が2.0以上であることが好ましい。これにより、光漏れの少ないカラーフィルタとすることができるからである。
【0014】
本発明は、透明基板上に着色層を形成する着色層形成工程と、上記透明基板および上記着色層を覆うように透明電極層を形成する透明電極層形成工程と、上記透明電極層を覆うように遮光性を有し、無機材料からなる遮光部形成用層を形成する遮光部形成用層形成工程と、上記遮光部形成用層上に感光性樹脂からなる感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、上記感光性樹脂層を露光用マスクを用いて露光し、現像して液晶配向制御用手段および透明層を形成する液晶配向制御用手段および透明層形成工程と、上記液晶配向制御用手段および上記透明層をレジスト層として上記遮光部形成用層をエッチングすることにより遮光部およびブラックマトリクス層を形成する遮光部およびブラックマトリクス層形成工程とを有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
【0015】
本発明によれば、ブラックマトリクス層と遮光部とを一括して形成することができるため、別途遮光部を形成する工程がいらないことから、コストを削減することが可能である。
【0016】
また、上記発明においては、上記液晶配向制御用手段および透明層形成工程で、上記感光性樹脂層を階調マスクを用いて露光し、現像して上記透明層上に柱状スペーサを一体で形成してもよい。階調マスクを用いた一括露光により、複数の部材を同時に形成することができ、カラーフィルタの製造工程を簡略化することが可能である。
【0017】
また、本発明は、透明基板上に画素を画定するブラックマトリクス層を形成するブラックマトリクス層形成工程と、上記透明基板上の上記ブラックマトリクス層の開口部に着色層を形成する着色層形成工程と、上記透明基板、上記着色層、および、上記ブラックマトリクス層を覆うように透明電極層を形成する透明電極層形成工程と、上記透明電極層を覆うように遮光性を有し、無機材料からなる遮光部形成用層を形成する遮光部形成用層形成工程と、上記遮光部形成用層上に感光性樹脂からなる感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、上記感光性樹脂層を露光用マスクを用いて露光し、現像して液晶配向制御用手段を形成する液晶配向制御用手段形成工程と、上記液晶配向制御用手段をレジスト層として上記遮光部形成用層をエッチングすることにより遮光部を形成する遮光部形成工程とを有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
【0018】
本発明によれば、液晶配向制御用手段をレジスト層として遮光部を形成するため、上記液晶配向制御用手段よりも遮光部を太く設計することなく、形成することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、液晶配向制御用手段を有するカラーフィルタに関して、液晶表示装置に用いた際、黒表示時に光漏れを防止することが可能で、電気的信頼性の高いカラーフィルタを製造することが可能であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、カラーフィルタおよびその製造方法に関するものである。
【0021】
A.カラーフィルタ
まず、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、透明基板と、上記透明基板上に形成された着色層と、上記着色層上に形成された透明電極層と、上記着色層間に形成された画素を画定するブラックマトリクス層と、上記透明電極層上の上記着色層に対応する領域に形成された液晶配向制御用手段とを有するカラーフィルタであって、上記透明電極層と上記液晶配向制御用手段との間に遮光性を有し、無機材料からなる遮光部が形成されていることを特徴とするものである。
【0022】
本発明においては、カラーフィルタの層構成により、2つの態様に分けることができる。具体的には、上記ブラックマトリクス層が、上記透明電極層上に形成された層構成を有し、上記ブラックマトリクス層上に上記液晶配向制御用手段と同一の材料からなる透明層を有する態様(以下、第1の態様とする。)と、上記ブラックマトリクス層が、上記透明基板上に形成され、上記ブラックマトリクス層と上記着色層とを覆うようにして上記透明電極層が形成された層構成を有する態様(以下、第2の態様とする。)とに分けることができる。本発明においては、特に第1の態様が好ましい。第1の態様によれば、上記ブラックマトリクス層および上記遮光部を同時に形成することができ、カラーフィルタの製造工程を簡略化することができるからである。
以下、それぞれについて説明する。
【0023】
I.第1の態様
本態様のカラーフィルタは、透明基板と、上記透明基板上に形成された着色層と、上記着色層上に形成された透明電極層と、上記着色層間に形成された画素を画定するブラックマトリクス層と、上記透明電極層上の上記着色層に対応する領域に形成された液晶配向制御用手段とを有し、上記透明電極層と上記液晶配向制御用手段との間に遮光性を有し、無機材料からなる遮光部が形成されているカラーフィルタであって、上記ブラックマトリクス層が、上記透明電極層上に形成された層構成を有し、上記ブラックマトリクス層上に上記液晶配向制御用手段と同一の材料からなる透明層を有することを特徴とするものである。
【0024】
図1(a)は、本態様のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図1(a)に例示するように、本態様のカラーフィルタ1は、透明基板2と、透明基板2上に形成された着色層3(図1中では3R、3G、3B)と、着色層3を覆うようにして形成された透明電極層5と、透明電極層5上の着色層3に対応する領域に形成された液晶配向制御用手段6と、透明電極層5上の着色層3間に形成されたブラックマトリクス層4と、ブラックマトリクス層4上に形成された透明層8とを有するものである。ここで、透明電極層5と液晶配向制御用手段6との間には、遮光部7が形成されている。
【0025】
本態様によれば、上記ブラックマトリクス層と上記遮光部とを一つの工程で形成することができるため、ブラックマトリクス層を別途形成する必要がなく、コストを抑えることが可能である。
以下、本態様のカラーフィルタの各構成について、それぞれ説明する。
【0026】
1.遮光部
本態様のカラーフィルタに用いられる遮光部は、上記透明電極層と上記液晶配向制御用手段との間に形成され、遮光性を有し、無機材料からなるものである。
【0027】
上記遮光部は、後述する液晶配向制御用手段に遮光性を付与するために形成されるものである。これにより、上記液晶配向制御用手段は遮光性を有する色剤等を含有しなくて済むため、本発明のカラーフィルタを液晶表示装置に使用した際、電気的信頼性を低下させないものとすることが可能となる。
【0028】
本態様に用いられる遮光部の厚みとしては、100Å〜4000Åの範囲内が好ましく、中でも500Å〜2500Åの範囲内、特に500Å〜2000Åの範囲内が好ましい。上記範囲を超える場合、エッチングの際に不良を生じやすくなるからであり、上記範囲に満たない場合、遮光部が所望する遮光性を保てなくなるからである。
【0029】
また、上記遮光部の形状、および寸法としては、後述する液晶配向制御用手段によって適宜調整されるものである。
【0030】
上記遮光部に用いられる材料としては、遮光性を有し、成膜が可能な無機材料であるならば特に限定されないが、クロム、あるいは、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム等のクロム系材料が好ましい。このようなクロム系材料は、薄膜に成膜することができ、コスト、品質の点でも好ましいからである。
【0031】
上記遮光部のOD値としては、2.0以上が好ましく、中でも2.0〜4.0程度、特に3.0〜4.0程度が好ましい。上記範囲に満たない場合、この遮光部を使用したカラーフィルタを用いた場合、光漏れを生じる可能性があるからである。
【0032】
本態様に用いられる遮光部の形成方法は、後述する「B.カラーフィルタの製造方法」の項で詳しく説明するため、ここでの記載は省略する。
【0033】
2.液晶配向制御用手段
本態様のカラーフィルタに用いられる液晶配向制御用手段は、透明電極層上の上記着色層に対応する領域であって、前述の遮光部上に形成され、液晶配向を制御するものである。
【0034】
上記液晶配向制御用手段の底面形状は、前述した遮光部の形状と同一である。これは、上記液晶配向制御用手段が、本態様のカラーフィルタの製造時に遮光部を形成する際のレジスト層として用いられるためである。これにより、上記液晶配向制御用手段および上記遮光部との間で位置ずれが起きないため、従来の方法で問題であった上記遮光部の形成領域が上記配向制御用手段の形成領域よりも大きい場合に起こる着色層の輝度の低下を防ぐことができる。
【0035】
本態様において用いられる液晶配向制御用手段としては、本発明のカラーフィルタを液晶表示装置に使用した際、液晶配向を所望するように分割できるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、液晶配向制御用突起と薄膜絶縁層とが挙げられる。本態様においては、図1に例示するように、液晶配向制御用突起が好ましい。液晶配向制御用突起は特に、MVA方式の液晶表示装置に使用され、液晶分子を傾斜させて、その配向をコントロールするのに適しているからである。
以下、液晶配向制御用突起について説明する。
【0036】
(a)液晶配向制御用突起
本態様において用いられる液晶配向制御用突起の形状としては、液晶の配向を制御できるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば円錐状や角錐状であってもよく、また円錐台状や角錐台状であってもよい。上記液晶配向制御用突起の形状は、液晶表示装置の種類等に応じて適宜選択される。
【0037】
また上記液晶配向制御用突起の形成に用いられる樹脂組成物としては、ネガ型の硬化性樹脂組成物であってもよく、またポジ型の硬化性樹脂組成物であってもよい。ネガ型の硬化性樹脂組成物としては、例えば多官能アクリレートモノマー、ポリマー及び光重合開始剤を含有する組成物とすることができる。またポジ型の硬化性樹脂組成物としては、少なくともポジ型の硬化性樹脂を含有する組成物とすることができる。
【0038】
上記ネガ型の硬化性樹脂組成物に用いられる多官能アクリレートモノマーとしては、アクリル基やメタクリル基等のエチレン性不飽和結合含有基を2つ以上有する化合物が用いられ、具体的には、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等を例示することができる。
【0039】
多官能アクリレートモノマーは、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、本発明において(メタ)アクリルとはアクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート基又はメタクリレートのいずれかであることを意味する。
【0040】
またネガ型の硬化性樹脂組成物に用いられるポリマーとしては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−ビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレン−メタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等を例示することができる。
【0041】
さらにポリマーとしては、重合可能なモノマーであるメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレートの中から選ばれる1種以上と、(メタ)アクリル酸、アクリル酸の二量体(例えば、東亞合成化学(株)製M−5600)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの無水物の中から選ばれる1種以上からなるポリマー又はコポリマーも例示できる。また、上記のコポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させたポリマー等も例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
またネガ型の硬化性樹脂組成物に用いられる光重合開始剤としては、紫外線、電離放射線、可視光、或いは、その他の各波長、特に365nm以下のエネルギー線で活性化し得る光ラジカル重合開始剤を使用することができる。そのような光重合開始剤して具体的には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ社製N1717、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンのような還元剤との組み合わせ等を例示できる。本発明では、これらの光重合開始剤を1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
またポジ型の硬化性樹脂組成物としては、例えばナフトキノンジアジド、ベンゾキノンジアジドなどのキノンジアジド類や、ジアゾメチルドラム酸、ジアゾジメドン、3−ジアゾ−2,4−ジオンなどのジアゾ化合物や、o−ニトロベンジルエステル、オニウム塩、オニウム塩とポリフタルアルデヒド、コリン酸t−ブチルの混合物の様な光分解剤(溶解抑制剤)と、OH基を持ちアルカリに可溶なハイドロキノン、フロログルシン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンなどのモノマーや、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂などのノボラック樹脂、スチレンとマレイン酸、マレイミドの共重合物、フェノール系とメタクリル酸、スチレン、アクリロニトリルの共重合物などのポリマーの混合物や縮合物、あるいはポリメチルメタクリレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ヘキサフルオロブチル、ポリメタクリル酸ジメチルテトラフルオロプロピル、ポリメタクリル酸トリクロロエチル、メタクリル酸メチル−アクリルニトリル共重合体、ポリメチルイソプロペニルケトン、ポリα−シアノアクリレート、ポリトリフルオロエチル−α−クロロアクリレートなどが挙げられる。この中でも汎用性の面から、ノボラック樹脂を主成分とする混合・縮合物が好ましく用いられる。
【0044】
上記液晶配向制御用突起の形成方法としては、上記液晶配向制御用突起を上述した形状に形成可能な方法であれば特に限定されるものではなく、フォトリソグラフィー法等一般的な方法とすることができる。詳しくは「B.カラーフィルタの製造方法」の項で説明する。
【0045】
(b)薄膜絶縁層
液晶配向制御用手段としては、上述した液晶配向制御用突起の他に、例えば薄膜絶縁層を用いてもよい。
【0046】
薄膜絶縁層とは、電圧が印加された際に絶縁性を示すものである。ここで、本発明でいう絶縁性とは、液晶表示装置に用いられた際に、透明電極層に印加される電圧に対して高抵抗を示すことをいい、具体的には、体積抵抗値が1013Ω・cm以上であることが好ましい。これにより、液晶表示装置に電圧が印加された際、薄膜絶縁層上では電界が発生せず、液晶の配向性を調整することが可能となる。
なお、上記体積抵抗値は、三菱化学株式会社製MCP−450で測定した値である。
【0047】
本発明に用いられる薄膜絶縁層の形状としては、液晶の配向性に影響を与えないようなものであることが好ましい。これにより、液晶駆動側基板とカラーフィルタとの間に注入された液晶が、薄膜絶縁層の形状によって影響を受けることを防止することができ、電圧を印加した際に、目的とする方向に液晶を配向させることが可能となるからである。
【0048】
このような薄膜絶縁層の厚みとして具体的には、膜厚が0.2μm〜0.5μm、中でも0.2μm〜0.4μm、特に0.3μm〜0.4μmの範囲内であることが好ましい。薄膜絶縁層の厚みを上記範囲内とすることで、目的とする絶縁性が得られ、また液晶の配向性に影響を与えないものとすることが可能となるからである。また、このような厚みとすることにより、カラーフィルタ表面の凹凸を少ないものとすることができ、カラーフィルタと液晶駆動側基板とのセルギャップの制御が容易となる、という利点も有するからである。
【0049】
本発明に用いられる薄膜絶縁層の材料としては、絶縁性を有する感光性樹脂等が挙げられ、上述した液晶配向制御用突起と同様の材料を用いることができる。
また、形成方法についても、上述した液晶配向制御用突起と同様の方法とすることができる。
【0050】
3.透明基板
本発明に用いられる透明基板は、可視光に対して透明な基板であれば特に限定されるものではなく、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板と同様のものとすることができる。
【0051】
4.着色層
次に、本発明に用いられる着色層について説明する。本発明に用いられる着色層は、透明基板上に形成されるものである。
【0052】
本発明における着色層の色数は特に限定されないが、複数色から構成され、一般的には、赤色着色層、緑色着色層、および青色着色層から構成される。
上記着色層における着色パターン形状は、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の公知の配列とすることができ、着色面積は任意に設定することができる。
【0053】
各色の着色層の材料は、各色の顔料や染料等の着色剤を感光性樹脂中に分散または溶解させたものである。
【0054】
赤色着色層に用いられる着色剤としては、例えば、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
緑色着色層に用いられる着色剤としては、例えば、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料もしくはハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料等のフタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等が挙げられる。これらの顔料もしくは染料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
青色着色層に用いられる着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
【0055】
また、感光性樹脂としては、ネガ型感光性樹脂およびポジ型感光性樹脂のいずれも用いることができるが、通常はネガ型感光性樹脂が用いられる。このネガ型感光性樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有するものが挙げられる。
【0056】
着色剤および感光性樹脂を含有する着色層用感光性樹脂組成物には、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて、増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。
【0057】
5.ブラックマトリクス層
本態様に用いられるブラックマトリクス層は、透明電極層上に形成され、画素を画定するものである。
本態様に用いられるブラックマトリクス層の材料としては、上述した遮光部と同一である。また、上記ブラックマトリクス層の寸法としては、用いられる液晶表示装置の種類によって適宜調節される。
【0058】
6.透明層
本態様に用いられる透明層は、ブラックマトリクス層上に形成され、液晶配向制御用手段と同一の材料から形成されるものである。
上記透明層の材料については、上述した液晶配向制御用手段に用いられる材料と同様であるため、ここでの記載は省略する。
上記透明層の厚みとしては、液晶配向制御用手段の高さにより適宜調整される。
また、上記透明層の寸法としては、上述したブラックマトリクス層の寸法によって適宜調整される。
【0059】
7.透明電極層
次に、本態様のカラーフィルタに用いられる透明電極層について説明する。本態様のカラーフィルタに用いられる透明電極層としては、一般的なカラーフィルタに用いられる透明電極層と同様とすることができ、例えば酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、および、その合金等を用いて、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な成膜方法により形成することができる。このような透明電極層の厚みは、通常0.01μm〜1μm程度とすることができる。
【0060】
8.柱状スペーサ
本態様においては、上記透明層上に柱状スペーサが一体に形成されていてもよい。
以下、柱状スペーサについて説明する。
【0061】
本態様に用いられる柱状スペーサは、上述した透明層上に一体で形成され、本態様のカラーフィルタを液晶表示装置に用いた際に、液晶層の厚みを一定かつ均一に保つために設けられるものである。ここで、上記柱状スペーサは、上述した液晶配向制御用手段と同一の材料で形成されるものである。
【0062】
図1(b)は、本態様のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図1(b)に例示するように、本態様のカラーフィルタにおいては、透明層8上に柱状スペーサ9が一体で形成されていてもよい。なお、記載していないカラーフィルタの構成については、図1(a)と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0063】
このような柱状スペーサの形状としては、本態様のカラーフィルタを液晶表示装置に用いた場合に、液晶層を一定に保つことが可能な形状であれば特に限定されるものではない。具体的には、柱状スペーサの形状としては、円柱形状、角柱形状、截頭錐体形状等を挙げることができる。
【0064】
柱状スペーサの底面の大きさとしては、非画素領域の大きさやカラーフィルタの大きさ等により適宜選択される。
【0065】
また、柱状スペーサの高さとしては、本態様のカラーフィルタを液晶表示装置に用いる場合には、セルギャップと同程度であることが好ましい。具体的には、柱状スペーサの高さは、0.5μm〜10μm程度であることが好ましく、より好ましくは1μm〜8μmの範囲内である。
【0066】
柱状スペーサの数としては、本態様のカラーフィルタを液晶表示装置に用いた場合に、セルギャップを一定に保つことが可能であれば特に限定されるものではなく、柱状スペーサの大きさやカラーフィルタの大きさ等により適宜選択される。
【0067】
本態様においては、必要ならば、柱状スペーサ以外に、補助柱状スペーサを形成することができる。
【0068】
本態様における補助柱状スペーサは、上記柱状スペーサより高さの低いものである。通常、液晶表示装置のカラーフィルタと液晶駆動側基板との間隙は、微小な荷重に対して容易に狭まったり広がったりすることが好ましい。これにより、低温発泡や重力ムラ等が生じない液晶表示装置とすることができるからである。また大きな荷重がかけられた場合には、一定以上狭まることがなく、また荷重が除かれた際に、容易に元の間隙に戻ることが好ましい。これにより、外部からの衝撃等に強い液晶表示装置とすることができるからである。
【0069】
本態様において、上記透明電極層上に柱状スペーサより高さの低い補助柱状スペーサを形成した場合、小さな荷重の場合には、上記柱状スペーサのみで荷重を支えるため、液晶表示装置のカラーフィルタと液晶駆動側基板との間隙が容易に変位するものとすることができる。一方、大きな荷重がかけられた場合、柱状スペーサおよび補助柱状スペーサで荷重を支えることから、液晶表示装置のカラーフィルタと液晶駆動側基板との間隙が一定以上は変化しないものとすることができる。また大きな荷重で柱状スペーサが変形してしまうことも防ぐことが可能となる。したがって、上記柱状スペーサを形成することにより、微小荷重域での変位量が大きく、また局所的な荷重に対して十分な耐性を有する液晶表示装置を形成可能なカラーフィルタとすることができるという利点を有する。
【0070】
上記補助柱状スペーサの高さとしては、液晶表示装置の種類等により適宜選択されるが、通常、上記柱状スペーサの高さに対し、65%〜90%程度、中でも70%〜90%程度の高さとすることができる。また上記補助柱状スペーサが形成される位置としては、通常、カラーフィルタが液晶表示装置に用いられた際に、表示に用いられない領域、すなわち着色層と着色層との間に形成される遮光部と対応する領域等とされる。
【0071】
9.その他
本態様のカラーフィルタにおいては、上述した遮光部、液晶配向制御用手段、着色層、透明基板、ブラックマトリクス層、透明電極層、および柱状スペーサを有するものであるならば、特に限定されるものではなく、必要に応じて、他の構成を透明層上に適宜形成することができる。
【0072】
II.第2の態様
本態様のカラーフィルタは、透明基板と、上記透明基板上に形成された着色層と、上記着色層上に形成された透明電極層と、上記着色層間に形成された画素を画定するブラックマトリクス層と、上記透明電極層上の上記着色層に対応する領域に形成された液晶配向制御用手段とを有し、上記透明電極層と上記液晶配向制御用手段との間に遮光性を有し、無機材料からなる遮光部が形成されているカラーフィルタであって、上記ブラックマトリクス層が、上記透明基板上に形成され、上記ブラックマトリクス層と上記着色層とを覆うようにして上記透明電極層が形成された層構成を有することを特徴とするものである。
【0073】
図2(a)は、本態様のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図2(a)に例示するように、本態様のカラーフィルタ1は、透明基板2と、透明基板2上に形成された着色層3(図2中では3R、3G、3B)と、透明基板2上に形成されたブラックマトリクス層4と、着色層3とブラックマトリクス層4とを覆うようにして形成された透明電極層5と、透明電極層5上の着色層3に対応する領域に形成された液晶配向制御用手段6とを有するものである。ここで、透明電極層5と液晶配向制御用手段6との間には、遮光部7が形成されている。
【0074】
本発明によれば、このカラーフィルタを液晶表示装置に用いたとき、液晶配向制御用手段として透明なものを用いることができるため、液晶に顔料等の不純物が溶出しないので電気的信頼性の低下を防ぐことができる。
また、上記遮光部を透明基板と着色層との間に形成しないため、着色層を形成したとき、盛り上がりが少ないので、平坦性の高いカラーフィルタとすることができる。
また、液晶配向制御用手段の材料に顔料を含まないことで、製版性が良くなるという利点も有する。
【0075】
以下、それぞれの構成について説明する。
【0076】
本態様における遮光部、液晶配向制御用手段、着色層、透明基板、および透明電極層については、「I.第1の態様」と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0077】
1.ブラックマトリクス層
次に、本発明に用いられるブラックマトリクス層について説明する。本発明におけるブラックマトリクス層は、透明基板上に形成され、画素を画定するものである。このようなブラックマトリクス層が形成された領域は、本発明のカラーフィルタを液晶表示装置とした際、表示に関係しない非表示領域とされる領域である。
【0078】
このようなブラックマトリクス層としては、一般的に、液晶表示装置用カラーフィルタのブラックマトリクス層として用いられるものと同様とすることができ、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等によって、厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングしたもの等であってもよく、また、例えば、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層をフォトリソ法、印刷法等により形成したもの等であってもよい。
【0079】
2.その他
本態様のカラーフィルタにおいては、上述した遮光部、液晶配向制御用手段、着色層、透明基板、ブラックマトリクス層、および透明電極層を有するものであれば、特に限定されるものではなく、必要な部材を適宜形成することができ、例えば柱状スペーサが挙げられる。
【0080】
図2(b)に例示するように、本態様のカラーフィルタに用いられる柱状スペーサ9は、ブラックマトリクス層4上の透明電極層5上に形成されるものであり、本態様のカラーフィルタを液晶表示装置に用いた際に、液晶層の厚みを一定かつ均一に保つために設けられるものである。ここで、柱状スペーサ9と液晶配向制御用手段6とは同一の材料からなるものである。また、柱状スペーサ9と透明電極層5との間には遮光部7が形成されているものである。
なお、ここで説明しない符号については、図2(a)と同様である。
【0081】
上記柱状スペーサは、上述した液晶配向制御用手段と同時に形成することができるため、カラーフィルタの製造工程を簡略化することができる。
【0082】
本態様に用いられる柱状スペーサについては、上述した「I.第1の態様 8.柱状スペーサ」の項で詳しく説明したので、ここでの記載は省略する。
【0083】
B.カラーフィルタの製造方法
次に、本発明のカラーフィルタの製造方法について説明する。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、「A.カラーフィルタ」の項で説明した「第1の態様」のカラーフィルタと「第2の態様」のカラーフィルタとに対応して2つの態様がある。第1の態様のカラーフィルタの製造方法を第3の態様、第2の態様のカラーフィルタの製造方法を第4の態様として、以下に説明する。
【0084】
I.第3の態様
本態様のカラーフィルタの製造方法は、透明基板上に着色層を形成する着色層形成工程と、上記透明基板および上記着色層を覆うように透明電極層を形成する透明電極層形成工程と、上記透明電極層を覆うように遮光性を有し、無機材料からなる遮光部形成用層を形成する遮光部形成用層形成工程と、上記遮光部形成用層上に感光性樹脂からなる感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、上記感光性樹脂層を露光用マスクを用いて露光し、現像して液晶配向制御用手段および透明層を形成する液晶配向制御用手段および透明層形成工程と、上記液晶配向制御用手段および上記透明層をレジスト層として上記遮光部形成用層をエッチングすることにより遮光部およびブラックマトリクス層を形成する遮光部およびブラックマトリクス層形成工程とを有することを特徴とする製造方法である。
【0085】
図3は本態様のカラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。図3に例示するように、本態様のカラーフィルタの製造方法は、透明基板2上に着色層3(図3中では3R、3G、3B)を形成する着色層形成工程(図3(a))と、上記透明基板2および上記着色層3を覆うように透明電極層5を形成する透明電極層形成工程(図3(b))と、上記透明電極層5を覆うように遮光性を有し、無機材料からなる遮光部形成用層7’を形成する遮光部形成用層形成工程(図3(c))と、上記遮光部形成用層7’上に感光性樹脂からなる感光性樹脂層10を形成する感光性樹脂層形成工程(図3(d))と、上記感光性樹脂層10を露光用マスクを用いて露光し、現像して液晶配向制御用手段6および透明層8を形成する液晶配向制御用手段および透明層形成工程(図3(e))と、上記液晶配向制御用手段6および上記透明層8をレジスト層として上記遮光部形成用層7’をエッチングすることにより遮光部7およびブラックマトリクス層4を形成する遮光部およびブラックマトリクス層形成工程(図3(f))とを有する製造方法である。
【0086】
本態様によれば、遮光部とブラックマトリクス層とを一つの工程で形成することが可能
であるので、工程数が少なくて済み、コストを削減することができる。
以下、それぞれの工程について説明する。
【0087】
1.着色層形成工程
本工程は、上記透明基板上の上記ブラックマトリクス層の開口部に着色層を形成する工程である。
【0088】
本工程に用いられる着色層を形成する着色層形成用塗工液は、各色の顔料や染料等の着色剤および感光性樹脂材料を溶媒中に分散または溶解させたものである。
着色剤および感光性樹脂については「A.カラーフィルタ」の項で説明したものと同様である。また、溶媒についても一般的なカラーフィルタの製造方法で用いられるものと同様であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0089】
本工程に用いられる着色層の方法としては、一般的なカラーフィルタの製造方法で用いられるものと同様であり、例えばインクジェット法やフォトリソグラフィー法等を挙げることができる。
【0090】
2.透明電極層形成工程
本工程は、透明基板、着色層、およびブラックマトリクス層を覆うように透明電極層を形成する工程である。
本工程に用いられる透明電極層の材料および形成方法については、「A.カラーフィルタ」の項で説明したので、ここでの記載は省略する。
【0091】
3.遮光部形成用層形成工程
本工程は、透明電極層を覆うように遮光性を有し、無機材料からなる遮光部形成用層を形成する工程である。
【0092】
本工程に用いられる遮光部形成用層の材料、および膜厚としては、「A.カラーフィルタ」の「1.遮光部」の項で形成したものと同様であるため、ここでの記載は省略する。
【0093】
本工程に用いられる遮光部形成用層の形成方法としては、クロム系材料を所望する膜厚に均一に成膜できる方法であれば、特に限定されるものではなく、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD)が用いられる。
【0094】
4.感光性樹脂層形成工程
本工程は、遮光部形成用層上に感光性樹脂からなる感光性樹脂層を形成する工程である。
本工程に用いられる感光性樹脂としては、「A.カラーフィルタ」の「2.液晶配向制御用手段」の項で記載した液晶配向制御用手段の材料と同様であるのでここでの記載は省略する。
上記感光性樹脂層の厚みとしては、形成される液晶配向制御用手段の形状により適宜調整される。
また、液晶配向制御用手段とともに柱状スペーサを形成する場合は、柱状スペーサの形状によって適宜調整される。
【0095】
上記感光性樹脂層の形成方法としては、感光性樹脂を遮光部形成用層上に均一に塗布することができるのであれば特に限定されず、一般的な塗布方法を用いて形成することができ、このような塗布方法としては、例えばスピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等が挙げられる。
なお、必要に応じて、塗布された感光性樹脂層をプリベーク等してもよい。
【0096】
5.液晶配向制御用手段および透明層形成工程
本工程は、上記感光性樹脂層を露光用マスクを用いて露光し、現像して液晶配向制御用手段および透明層を形成する工程である。
【0097】
本工程に用いられる露光用マスクは、少なくとも液晶配向制御用手段と透明樹脂層とに態様する領域が、形成されているようなものであれば特に限定されず、一般的なカラーフィルタの形成時に用いられるものと同様とすることができる。
【0098】
また、本工程においては、例えば階調マスクを用いて、上記液晶配向制御用手段および透明樹脂層以外にも柱状スペーサや補助柱状スペーサ等を形成してもよい。
【0099】
図4は、本工程において、露光時に階調マスクを用いて、柱状スペーサを形成する工程図である。図4に例示するように、遮光部形成用層7’上に形成された透明樹脂層10(図4(a))を、階調マスク11を用い、露光光12を照射して露光し(図4(b))、現像することで液晶配向制御用手段6、透明層8、および透明層8上に一体で柱状スペーサ9を形成する(図4(c))。
なお、記載されていない符号については、図3と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0100】
上記の場合に用いられる階調マスクとしては、遮光領域、半透明領域、および透過領域を有するものである。
遮光領域、半透明領域、および透過領域の形状としては、特に限定されるものではなく、形成する液晶配向制御用手段、透明層、および柱状スペーサによって適宜調整される。
【0101】
上記階調マスクの材料および形成方法については、一般的なカラーフィルタの製造時に用いられる階調マスクの材料および形成方法と同様できるためここでの記載は省略する。
【0102】
上記感光性樹脂層の露光方法、現像方法については、一般的なカラーフィルタの製造時に用いられる方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0103】
上記液晶配向制御用手段が液晶配向制御用突起である場合は、液晶を傾斜させやすい形状にするため、通常、現像後に加熱処理等を行う。
【0104】
6.遮光部およびブラックマトリクス層形成工程
本工程は、上記液晶配向制御用手段および上記透明層をレジスト層として上記遮光部形成用層をエッチングすることにより遮光部およびブラックマトリクス層を形成する工程である。
【0105】
本工程に用いられるエッチング方法としては、液晶配向制御用手段および透明電極層に影響を与えることなく、不要な遮光部形成用層のみを除去できる方法であるならば特に限定されないが、ウェットエッチングを用いることが好ましい。ウェットエッチングはコストや生産効率の点で有利である。また、ウェットエッチングは化学反応で溶解が進行するため、エッチャントを選択することによりエッチング速度を容易に制御できる点からも好ましい。
【0106】
エッチング剤としては、硝酸セリウム系ウェットエッチャントが好適に用いられる。硝酸セリウム系ウェットエッチャントはクロム系材料をエッチングするのに適しているからである。
【0107】
本態様のカラーフィルタの製造方法は、上述した工程以外にも、必要な工程があれば適宜行うことができる。
【0108】
II.第4の態様
本態様のカラーフィルタの製造方法は、透明基板上に画素を画定するブラックマトリクス層を形成するブラックマトリクス層形成工程と、上記透明基板上の上記ブラックマトリクス層の開口部に着色層を形成する着色層形成工程と、上記透明基板、上記着色層、および、上記ブラックマトリクス層を覆うように透明電極層を形成する透明電極層形成工程と、上記透明電極層を覆うように遮光性を有し、無機材料からなる遮光部形成用層を形成する遮光部形成用層形成工程と、上記遮光部形成用層上に感光性樹脂からなる感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、上記感光性樹脂層を露光用マスクを用いて露光し、現像して液晶配向制御用手段を形成する液晶配向制御用手段形成工程と、上記液晶配向制御用手段をレジスト層として上記遮光部形成用層をエッチングすることにより遮光部を形成する遮光部形成工程とを有することを特徴とする製造方法である。
【0109】
図5は、本態様のカラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。図5に例示するように、透明基板2上にブラックマトリクス層4を形成するブラックマトリクス層形成工程(図5(a))と、透明基板2上のブラックマトリクス層4の開口部に着色層3(図5中では、3R、3G、3B)を形成する着色層形成工程(図5(b))と、透明基板2、着色層3、および、ブラックマトリクス層4を覆うように透明電極層5を形成する透明電極層形成工程(図5(c))と、透明電極層5を覆うように遮光性を有し、無機材料からなる遮光部形成用層7’を形成する遮光部形成用層形成工程(図5(d))と、遮光部形成用層7’上に感光性樹脂層10を形成する感光性樹脂層形成工程(図5(e))と、感光性樹脂層10を露光用マスクを用いて露光し、現像して液晶配向制御用手段6を形成する液晶配向制御用手段形成工程(図5(f))と、液晶配向制御用手段6をレジスト層として遮光部形成用層7’をエッチングすることにより遮光部7を形成する遮光部形成工程(図5(g))と有する製造方法である。
【0110】
本態様によれば、液晶配向制御用手段をレジスト層として遮光部の形成を行うことで、従来の方法で問題となる液晶配向制御用手段と遮光部との位置ずれが起こらないため、予め遮光部を大きく形成する必要がなく、開口率を大きく設計できるため、透過率の高いカラーフィルタを形成することができる。
【0111】
本態様における着色層形成工程、透明電極層形成工程、および遮光部形成用層形成工程については、上述した「I.第3の態様」の項に記載した工程と同様であるため、ここでの記載は省略する。
【0112】
1.ブラックマトリクス層形成工程
本工程は、透明基板上にブラックマトリクス層を形成する工程である。
本工程において用いられるブラックマトリクス層の形成方法としては、一般的なカラーフィルタの製造方法で用いられるものと同様であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0113】
2.感光性樹脂層形成工程
本工程は、遮光部形成用層上に、感光性樹脂からなる感光性樹脂層を形成する工程である。
【0114】
本工程において用いられる感光性樹脂、および感光性樹脂層形成用層の形成方法としては「I.第3の態様」の項に記載した工程と同様であるため、ここでの記載は省略する。
【0115】
本工程により形成される感光性樹脂層の厚みとしては、液晶配向制御用手段の形状により、適宜決定されるものである。
また、透明層上に柱状スペーサを形成する場合は、所望する柱状スペーサの高さによって適宜調整される。
【0116】
3.液晶配向制御用手段形成工程
本工程は、感光性樹脂層を露光用マスクを用いて露光し、現像して液晶配向制御用手段を形成する工程である。
【0117】
露光方法、および現像方法としては、一般的なカラーフィルタにおける液晶配向制御用手段を形成する際に用いられる方法と同様とすることができる。また、必要ならば、現像後の液晶配向制御用手段を焼成してもよい。
【0118】
また、本工程により形成される液晶配向制御用手段としては、上述した「A.カラーフィルタ」の項で説明したので、ここでの説明は省略する。
【0119】
本工程において、液晶配向制御用手段とともに柱状スペーサを形成する場合は、露光時に階調マスクを用いて露光を行う。
【0120】
上記の場合、用いられる階調マスクとしては、上述した「I.第3の態様」の項で記載したものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0121】
上記液晶配向制御用手段が液晶配向制御用突起である場合は、液晶を傾斜させやすい形状にするため、通常、現像後に加熱処理等を行う。
【0122】
4.遮光部形成工程
本工程は、液晶配向制御用手段をレジスト層として上記遮光部形成用層をエッチングすることにより遮光部を形成する工程である。
エッチング方法、およびエッチング剤については「I.第3の態様」の項に記載した工程と同様であるため、ここでの記載は省略する。
【0123】
本態様のカラーフィルタの製造方法は、上述した工程以外にも、必要な工程があれば適宜行うことができる。
【0124】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0125】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
【0126】
[実施例1]
(カラーフィルタの作製)
基板として、大きさが300mm×400mm、厚みが0.7mmのガラス基板(コーニング社製1737ガラス)を準備した。この基板を定法にしたがって洗浄した後、基板の片側全面にネガ型感光性レジスト(東京応化工業(株)製 CFPR DN-83)を塗布し、所定のマスクを介して露光、現像、熱処理して線幅20μm、ピッチ100μmのブラックマトリクス層を形成した。
次に、下記組成の赤色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物、緑色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物、および青色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
【0127】
<赤色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物>
・赤色有機顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 クロモフタルレッドA2B)
4.8重量部
・黄色有機顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.2重量部
・顔料分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
【0128】
<緑色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物>
・緑色有機顔料(アビシア社製 モナストラルグリーン9Y−C) 4.2重量部
・黄色有機顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.8重量部
・顔料分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
【0129】
<青色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物>
・青色有機顔料(BASF社製 ヘリオゲンブルーL6700F) 6.0重量部
・顔料誘導体(アビシア社製 ソルスパース5000) 0.6重量部
・顔料分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 2.4重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
なお、上記のポリマーIは、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
【0130】
次いで、ガラス基板上にブラックマトリクス層を覆うように赤色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、赤色着色層用のフォトマスクを介して、露光、現像して、赤色着色層を形成した。この赤色着色層は、長方形状(100μm×300μm)とした。
その後、緑色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物、青色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物を用いて、同様の操作により、緑色着色層、青色着色層を形成した。これにより、赤色着色層、緑色着色層、青色着色層が配列された着色層を形成した。
次に、ブラックマトリクス層および着色層を覆うように酸化インジウムスズ(ITO)からなる透明電極層(厚み1500Å)をスパッタリング法により形成した。
【0131】
さらに、透明導電膜上に、スパッタリング法により、透明導電膜を覆うようにクロム薄膜を形成した(膜厚1000Å、光学濃度 3.8)。形成したクロム膜上にポジ型フォトレジスト(ロームアンドハース社製 LC-130)をスピンコート法により塗布し、フォトマスクを介して、露光、現像、焼成を行い、液晶配向制御用突起を形成した。
【0132】
その後、下記組成のエッチング液を使用して、液晶配向制御用突起と透明導電膜との間のみにクロム薄膜が形成されるようにクロム薄膜のエッチングを行った。
<エッチング液組成>
・硝酸第2セリウムアンモニウム20%
・硝酸7%
・水73%
【0133】
その後、上記ガラス基板上にセルギャップ保持の柱状スペーサ用の感光性樹脂組成物(JSR(株)製オプトマーNN780)をスピンコート法により塗布し、フォトマスクを介して、露光、現像して、柱状スペーサを形成した。この柱状スペーサは、ドット形状(下底30μmφ、高さ3.5μm)とした。
【0134】
(液晶セルの作製)
上記のように形成したカラーフィルタ表面の透明電極膜上にポリイミドからなる配向膜を形成した。その後、TFTを形成したガラス基板上に垂直配向用液晶を必要量滴下した後、上述して形成したカラーフィルタを重ね合わせ、UV硬化性樹脂をシール材として用い常温で0.3kgf/cmの圧力をかけながら400mJ/cmの照射量で露光することにより接合してセルを作製し、セルの上部と下部に偏光軸が90度となるように偏光板を貼り付けて液晶セルとした。
【0135】
[実施例2]
透明基板上にブラックマトリクス層を形成せずに、着色層、透明導電膜、クロム薄膜の形成を行い、液晶配向制御用突起を形成する際に、ブラックマトリクス層を形成すべき領域にポジ型フォトレジストを形成した以外は、実施例1と同様の方法により、カラーフィルタを作製し、その後セル組みを行って、液晶セルを作製した。
【0136】
[比較例1]
透明導電膜上にクロム薄膜を形成せずに、液晶配向制御用突起を形成した以外は、実施例1と同様の方法により、カラーフィルタを作製し、その後セル組みを行って、液晶セルを作製した。
【0137】
[比較例2]
ブラックマトリクス層を形成する際に、液晶配向制御用突起を形成すべき領域に、アライメントによる位置ずれを考慮して、液晶配向制御用突起形成パターンよりも、2μm大きくブラックマトリクス層を同時に形成した以外は、実施例1と同様の方法により、カラーフィルタを作製し、その後セル組みを行って、液晶セルを作製した。
【0138】
[評価]
上述したように作製した液晶セルをバックライトの上で通電し、電圧印加時の輝度をTOPCON社製SR-3分光放射輝度計にて測定した。また電圧印加前と電圧印加時の輝度の比率から液晶セルのコントラストを算出した。結果を表1に示す。
【0139】
液晶配向制御用突起の底面と同一の大きさである遮光部を有する実施例1および実施例2では、比較例1、比較例2に比べてコントラストの高いものとなった。
【0140】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明のカラーフィルタの他の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明のカラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。
【図4】本発明のカラーフィルタの製造方法の他の一例を示す工程図である。
【図5】本発明のカラーフィルタの製造方法の他の一例を示す工程図である。
【符号の説明】
【0142】
1 …カラーフィルタ
2 …透明基板
3、3R、3G、3B …着色層
4 …ブラックマトリクス層
5 …透明電極層
6 …液晶配向制御用手段
7 …遮光部
7’ …遮光部形成用層
8 …透明層
9 …柱状スペーサ
10 …感光性樹脂層
11 …階調マスク
12 …露光光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、前記透明基板上に形成された着色層と、前記着色層上に形成された透明電極層と、前記着色層間に形成された画素を画定するブラックマトリクス層と、前記透明電極層上の前記着色層に対応する領域に形成された液晶配向制御用手段とを有するカラーフィルタであって、
前記透明電極層と前記液晶配向制御用手段との間に遮光性を有し、無機材料からなる遮光部が形成されていることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】
前記ブラックマトリクス層が、前記透明電極層上に形成された層構成を有し、前記ブラックマトリクス層上に前記液晶配向制御用手段と同一の材料からなる透明層を有することを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
前記透明電極層上に柱状スペーサが形成されており、前記柱状スペーサと前記透明電極層との間に前記遮光部が形成され、前記柱状スペーサが前記液晶配向制御用手段と同一の材料で形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
前記液晶配向制御用手段が液晶配向制御用突起であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタ。
【請求項5】
前記遮光部のOD値が2.0以上であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタ。
【請求項6】
透明基板上に着色層を形成する着色層形成工程と、
前記透明基板および前記着色層を覆うように透明電極層を形成する透明電極層形成工程と、
前記透明電極層を覆うように遮光性を有し、無機材料からなる遮光部形成用層を形成する遮光部形成用層形成工程と、
前記遮光部形成用層上に感光性樹脂からなる感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、
前記感光性樹脂層を露光用マスクを用いて露光し、現像して液晶配向制御用手段および透明層を形成する液晶配向制御用手段および透明層形成工程と、
前記液晶配向制御用手段および前記透明層をレジスト層として前記遮光部形成用層をエッチングすることにより遮光部およびブラックマトリクス層を形成する遮光部およびブラックマトリクス層形成工程と
を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項7】
前記液晶配向制御用手段および透明層形成工程で、前記感光性樹脂層を階調マスクを用いて露光し、現像して前記透明層上に柱状スペーサを一体で形成することを特徴とする請求項6に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項8】
透明基板上に画素を画定するブラックマトリクス層を形成するブラックマトリクス層形成工程と、
前記透明基板上の前記ブラックマトリクス層の開口部に着色層を形成する着色層形成工程と、
前記透明基板、前記着色層、および、前記ブラックマトリクス層を覆うように透明電極層を形成する透明電極層形成工程と、
前記透明電極層を覆うように遮光性を有し、無機材料からなる遮光部形成用層を形成する遮光部形成用層形成工程と、
前記遮光部形成用層上に感光性樹脂からなる感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、
前記感光性樹脂層を露光用マスクを用いて露光し、現像して液晶配向制御用手段を形成する液晶配向制御用手段形成工程と、
前記液晶配向制御用手段をレジスト層として前記遮光部形成用層をエッチングすることにより遮光部を形成する遮光部形成工程と
を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−151095(P2009−151095A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328825(P2007−328825)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】