説明

カラーフィルター及びその製造方法、並びに表示装置

【課題】カラーフィルターを作製する際のポストベイク時のコントラスト低下が抑えられ、かつ良好な耐熱性を有し、ポストベイク後の耐溶剤性が向上するといった信頼性の高いカラーフィルター及びその製造方法を提供する。また、当該カラーフィルターを備えた表示装置を提供する。
【解決手段】基板上に赤色着色層が形成されてなり、前記赤色着色層が、赤色顔料と硬化性透明樹脂組成物とを含む赤色硬化性樹脂組成物に80〜170kVの電子線を照射し硬化させて形成されたものであるカラーフィルター、及びその製造方法である。また、上記カラーフィルターを備えた表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ等に使用されるカラーフィルター及びその製造方法、並びに当該カラーフィルターを具備した液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルターが用いられる液晶ディスプレイ業界では、高コントラスト化に対する要求が非常に高まっている。それに伴い、カラーフィルター用レジストに使用される顔料の大きさもナノレベルのものが使用されるようになってきた。このように顔料が微細化されると偏光板直行時の光散乱が低減され、高いコントラストが得られる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、顔料の大きさがナノレベルになると堅牢性が低下し、耐熱性等の信頼性に関する性能が低下してくることがわかっている。例えば、赤色に着色するためのレジストに用いられる赤色顔料(ピグメントレッド254、以下、「PR254」ということがある)は、高輝度顔料として使用されているが、近年の顔料微細化により、ベイク時の結晶析出や分散系の不安定化等によると思われるコントラスト低下や耐溶剤性の低下が顕著に現れるようになってきた。
特に、耐溶剤性に関しては、カラーフィルタ作製後の後工程(配向膜の形成)で溶解力が極めて強いN−メチルピロリジノンにさらされる工程があることや、液晶中に電圧によるON/OFF機能を乱す、不純物が出る問題があることから、非常に重要な性能であるといえる。
【0004】
ここで、コントラスト(コントラスト比ともいう)とは、光を透過しなければならないとき(ON状態)と遮断しなければならないとき(OFF状態)における表示装置上の輝度の比(ON状態/OFF状態)である。従って、高いコントラストを達成するためには、光を透過しなければならないとき(ON状態)の輝度(以下、平行輝度という場合がある)を大きくし、一方で、光を遮断しなければならないとき(OFF状態)の輝度(以下、直交輝度という場合がある)の値を小さく抑えること、すなわちOFF状態に光が漏れることを防止することが重要といえる。
【0005】
【特許文献1】特開2003−89756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上から、本発明は上記課題を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、カラーフィルターを作製する際のポストベイク時のコントラスト低下が抑えられ、かつ良好な耐熱性を有し、ポストベイク後の耐溶剤性が向上するといった信頼性の高いカラーフィルター及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、当該カラーフィルターを備えた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明者らは、コントラスト低下の要因について検討を行ったところ、ポストベイク前の塗膜の状態がコントラストに大きな影響を与えることを見出し、当該影響を低減する手段を種々検討して本発明に想到した。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1) 基板上に赤色着色層が形成されてなり、前記赤色着色層が、赤色顔料と硬化性透明樹脂組成物とを含む赤色硬化性樹脂組成物に80〜170kVの電子線を照射し硬化させて形成されたものであるカラーフィルターである。
(2) 基板上に、赤色顔料と硬化性透明樹脂組成物とを含む赤色硬化性樹脂組成物からなる塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、前記塗布膜に80〜170kVの電子線を照射し硬化させる電子線照射工程とを含むカラーフィルターの製造方法である。
(3) 前記電子線の電流が、0.5〜20mAである(2)に記載のカラーフィルターの製造方法である。
(4) 上記(1)に記載のカラーフィルターを備えた表示装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カラーフィルターを作製する際のポストベイク時のコントラスト低下が抑えられ、かつ良好な耐熱性を有し、ポストベイク後の耐溶剤性が向上するといった信頼性の高いカラーフィルター及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明によれば、当該カラーフィルターを備えた表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[1.カラーフィルター及びその製造方法]
本発明のカラーフィルターは、基板上に、赤色顔料と硬化性透明樹脂組成物とを含む赤色硬化性樹脂組成物からなる塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、この塗布膜に80〜170kVの加速電圧で電子線を照射し硬化させる電子線照射工程とを経て製造される。
【0011】
電子線は、紫外線と比較して顔料等の紫外領域に吸収を持つ成分が存在しても透過する性質がある。よって、所定の加速電圧で電子線照射を行って硬化された硬化膜は、紫外線照射の場合よりも顔料裏側等の顔料周りの硬化やそのような顔料が存在する塗膜の深さ方向に対する硬化が進行しやすく、架橋点が多くなり、三次元架橋が起こりやすく、その後のポストベイクによって、所定の加速電圧で電子線照射を行って硬化を行った硬化膜の方が結晶析出によるコントラストの低下が起こりにくく、ポストベイク後の硬化膜の耐溶剤性も向上する。この現象は硬さによらない部分もあるため、原因は明らかではないが、重合開始剤を使用する必要がないために、ポストベイク時の重合開始剤の分解、昇華、揮発による硬化膜の密度低下を防ぐことや前述の顔料周りの三次元架橋が進行しやすい特徴によるものであると推測される。
【0012】
電子線の加速電圧は、80〜170kVの範囲とし、90〜165kVとすることが好ましい。80kV未満では、硬化性樹脂組成物を十分硬化させることが難しくなり、、170kVを越えると、基板の着色や顔料以外の高分子成分の主鎖の切断等の劣化や顔料自体の劣化を引き起こしてしまう。
【0013】
電子線の電流は、0.5〜20mAとすることが好ましく、1.0〜8mAとすることがより好ましい。0.5〜20mAとすることで、硬化性樹脂組成物および顔料を劣化させることなく、十分に硬化した硬化膜を形成することができる。また、この際に加速電圧と電流値、搬送速度(照射時間)からMrad(メガラッド)という単位で電子線の吸収線量を求める場合があるが、同じ吸収線量であっても硬化性樹脂組成物の硬化度合いは加速電圧および電流値で大きく変わるため、加速電圧および電流の値が重要となる。なお、この際のコンベア速度は0.5〜50m/minとすることが好ましい。
【0014】
図1は、本発明に係るカラーフィルターの一例(カラーフィルター103)を示す断面図である。このカラーフィルター103は、透明基板5に所定のパターンで形成された遮光層6と、遮光層6上に所定のパターンで形成した着色層7(7R,7G,7B)と、着色層7を覆うように形成された保護膜8とを備えている。保護膜8上に必要に応じて液晶駆動用の透明電極9が形成される場合もある。カラーフィルター103の最内面、この場合には透明電極9上には、配向膜10が形成される。また、着色層7のうち、少なくとも、赤色着色層7Rは、既述の塗布形成工程、及び電子線照射工程を経て形成される。
【0015】
柱状スペーサー12は、凸状スペーサーの一形状であり、遮光層6が形成された領域(非表示領域)に合わせて、透明電極9上の所定の複数箇所に形成されている。柱状スペーサー12は、透明電極9上若しくは着色層7上若しくは保護膜8上に形成される。カラーフィルター103においては、保護膜8上に透明電極9を介して柱状スペーサーが海島状に形成されているが、保護膜8と柱状スペーサー12を一体的に形成し、その上を覆うように透明電極の層を形成してもよい。
【0016】
カラーフィルター103の透明基板5としては、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、或いは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製1737ガラスは、熱膨張率の小さい素材であり寸法安定性及び高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、カラーフィルターに適している。
【0017】
遮光層6は、表示画像のコントラストを向上させるために、着色層7R,7G,7Bの間及び着色層形成領域の外側を取り囲むように設けられる。本発明においては、遮光層6は、遮光性粒子を含有する樹脂組成物を用いて形成することが好ましい。例えば、遮光層形成用樹脂組成物がアルカリ現像性を有する場合には、先ず、透明基板5上に、遮光層形成用樹脂組成物を塗布し、必要に応じて乾燥させて感光性塗膜を形成し、当該塗膜を遮光層用のフォトマスクを介して露光、現像し、必要に応じて加熱処理を施すことによって、遮光層6を形成することができる。
【0018】
一方、遮光層形成用樹脂組成物が、熱硬化性樹脂組成物である場合やアルカリ現像性を有しない場合には、遮光層形成用樹脂組成物を透明基板5上の所定領域に印刷や、熱転写等により選択的に付着させた後、加熱又は光照射して硬化させることによって、遮光層6を形成することができる。
【0019】
遮光層6の厚さは、適応するカラーフィルターにより異なり、0.5〜2.5μm程度とする。
【0020】
着色層7は、赤色パターン、緑色パターン及び青色パターンがモザイク型、ストライプ型、トライアングル型、4着色層配置型等の所望の形態で配列されてなり、表示領域を形成する。本発明においては、着色層7は、精細なパターニングが可能な点から、感放射線性樹脂組成物を用いて形成することが好ましく、この場合を例にとって以下説明する。
【0021】
まず、赤色用、緑色用及び青色用の硬化性樹脂組成物を夫々調製する。次に、透明基板5上に、遮光層6を覆うように、ある色、例えば赤色硬化性樹脂組成物をスピンコート等の公知の方法で塗布して感放射線性赤色樹脂層を形成し、赤色パターン用電子線マスクを介して電子線による露光を行い、アルカリ現像後、クリーンオーブン等で加熱硬化することにより赤色着色層7Rを形成する。その後、緑色用、及び、青色用の硬化性樹脂組成物を順次用いて同様にして各色をパターニングして、緑色着色層7G及び青色着色層7Bを形成する。着色層の厚さは、通常、0.5〜2.5μm程度とする。
また、製造プロセスによっては、ある色、例えば、赤色パターン形成における赤色硬化性樹脂組成物を、透明基板5上の所定領域に印刷や熱転写、インクジェット等により選択的に付着させた後、光もしくは電子線を照射して硬化させることによって、着色層7Gを形成することもできる。
【0022】
保護膜8は、カラーフィルターの表面を平坦化すると共に、着色層7に含有される成分が液晶層に溶出するのを防止するために設けられる。保護膜8は、公知のネガ型の光硬化性透明樹脂組成物又は熱硬化性透明樹脂組成物を、スピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により、遮光層6及び着色層7を覆うように塗布し、光又は熱によって硬化させることにより形成できる。保護膜を形成する場合の厚さは、樹脂組成物の光透過率、カラーフィルターの表面状態等を考慮して設定し、例えば、0.1〜2.0μm程度とする。スピンコーターを使用する場合、回転数は500〜1500回転/分の範囲内で設定する。
【0023】
保護膜8上の透明電極膜9は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、およびそれらの合金等を用いて、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な方法により形成され、必要に応じてフォトレジストを用いたエッチング又は治具の使用により所定のパターンとしたものである。この透明電極の厚みは20〜500nm程度とすることが好ましく、100〜300nm程度とすることがより好ましい。
【0024】
凸状スペーサーは、カラーフィルター103をTFTアレイ基板等の液晶駆動側基板と貼り合わせた時にセルギャップを維持するために、基板上の非表示領域に複数設けられる。凸状スペーサーの形状及び寸法は、基板上の非表示領域に選択的に設けることができ、所定のセルギャップを基板全体に渡って維持することが可能であれば特に限定されない。
【0025】
凸状スペーサーとして図示したような柱状スペーサー12を形成する場合には、2〜10μm程度の範囲で一定の高さを持つものであり、突出高さ(パターンの厚み)は液晶層に要求される厚み等から適宜設定することができる。また、柱状スペーサー12の太さは5〜20μm程度の範囲で適宜設定することができる。また、柱状スペーサー12の形成密度(密集度)は、液晶層の厚みムラ、開口率、柱状スペーサーの形状、材質等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、赤色、緑色及び青色の各着色層の1組に1個の割合で必要充分なスペーサー機能を発現する。このような柱状スペーサーの形状は柱状であればよく、例えば、円柱状、角柱状、截頭錐体形状等であっても良い。
【0026】
凸状スペーサーは、硬化性樹脂組成物を用いて形成することができる。すなわち、先ず、硬化性樹脂組成物の塗工液をスピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により透明基板上に直接、又は、透明電極等の他の層を介して塗布し、乾燥して、光硬化性樹脂層を形成する。スピンコーターの回転数は、保護膜を形成する場合と同様に500〜1500回転/分の範囲内で設定すればよい。次に、この樹脂層を、凸状スペーサー用フォトマスクを介して露光し、アルカリ液のような現像液により現像して所定の凸状パターンを形成し、この凸状パターンを必要に応じてクリーンオーブン等で加熱処理(ポストベイク)することによって凸状スペーサーが形成される。
【0027】
凸状スペーサーは、カラーフィルター上に直接又は他の層を介して間接的に設けることができる。例えば、カラーフィルター上にITO等の透明電極又は保護膜を形成し、その上に凸状スペーサーを形成してもよいし、カラーフィルター上に保護膜と透明電極をこの順に形成し、さらに透明電極上に凸状スペーサーを形成してもよい。
【0028】
配向膜10は、カラーフィルターの内面側に、着色層7を備える表示部及び遮光層6や柱状スペーサー12を備える非表示部を覆うように設けられる。配向膜は、ポリイミド樹脂等の樹脂を含有する塗工液をスピンコート等の公知の方法で塗布し、乾燥し、必要に応じて熱や光により硬化させた後、ラビングすることによって形成できる。
【0029】
[2.表示装置]
上記のようにして得られたカラーフィルター(表示側基板)と、TFTアレイ基板(液晶駆動側基板)とを対向させ、両基板の内面側周縁部をシール剤により接合すると、両基板は所定距離のセルギャップを保持した状態で貼り合わされる。そして、基板間の間隙部に液晶を満たして密封することにより、液晶パネルに属する、アクティブマトリックス方式のカラー液晶表示装置が得られる。
【0030】
[3.赤色硬化性樹脂組成物]
本発明のカラーフィルターの赤色着色層に使用される赤色硬化性樹脂組成物について以下説明する。なお、赤色用及び青色用の硬化性樹脂組成物については、詳説しないが公知の材料を使用することができる他、上記赤色硬化性樹脂組成物で挙げられる材料を適宜使用することができる。
【0031】
赤色硬化性樹脂組成物は、赤色顔料と、硬化性透明樹脂組成物と、その他の任意の添加剤を配合してなる。
【0032】
<赤色顔料>
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276等が挙げられるが、赤色顔料であればこれに限定される事はなく使用できる。また、顔料の耐熱性が弱く、ポストベイク時の劣化と結晶析出が起こるような顔料や基板の黄色への変色で分光スペクトルの透過域に影響を受けやすい顔料(PR254、PR242、PR177)であれば、より顕著にコントラスト低下抑制の効果をより得られやすい。
赤色顔料の一次粒子径は、5〜100nmの範囲の分布を有することが好ましく、分散している赤色顔料粒子の平均分散粒径は15〜80nmであることが好ましい。
【0033】
なお、所望の色度を達成できる限り、他の顔料(オレンジ顔料や黄色顔料)を更に含有していてもよい。他の顔料は、全顔料(赤色顔料+他の顔料)中の3〜45質量%であること好ましく、3〜40質量%であることがより好ましい。
【0034】
赤色顔料は、赤色硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して、25〜66質量%配合することが好ましく、35〜66質量%配合することがより好ましい。赤色顔料が25質量%以上であると、硬化性樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0〜4.0μm)に塗布した際の透過濃度を十分なものとすることができ、35質量%以上であると3μm以下の薄膜化を達成することができる。また、66質量%以下とすることで硬化後のパターン形成がしやすくなる。
ここで、本明細書において、配合割合を特定するための固形分とは、溶剤を除く全ての成分を含み、液状の重合性モノマー等も固形分に含まれる。
【0035】
また、赤色硬化性樹脂組成物において、顔料全体(P)と顔料以外の固形分(V)の質量比(P/V)は、0.3〜2.0であることが好ましく、0.5〜2.0であることがより好ましい。
【0036】
使用される各種顔料の微細化の手法は、例えば、ソルベントソルトミリング法に代表されるような各種顔料粒子を機械的に粉砕する方法;各種顔料粒子を溶解等により一旦分子状態に戻し、温度変化や貧溶媒等を用いて微粒子状態で析出させる方法;反応条件の制御により各種顔料合成時に直接微粒子顔料を生成する方法;等が挙げられる。
【0037】
<顔料分散剤>
赤色顔料を始めとした顔料には、通常、顔料分散剤が使用される。顔料分散剤は、上記各種顔料を良好に分散させるために配合される。顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。また、溶剤に少量溶解するような顔料誘導体を顔料分散剤として用いてもよい。
【0038】
顔料分散剤は、使用される顔料を良好に分散させるために適宜選択して用いられる。具体例には、ノナンアミド、デカンアミド、ドデカンアミド、N−ドデシルヘキサデカンアミド、N−オクタデシルプロピオアミド、N,N−ジメチルドデカンアミド及びN,N−ジヘキシルアセトアミド等のアミド化合物;ジエチルアミン、ジヘプチルアミン、ジブチルヘキサデシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメタンアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びトリオクチルアミン等のアミン化合物;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N,N’,N’−(テトラヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N’−トリ(ヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N’,N’−テトラ(ヒドロキシエチルポリオキシエチレン)−1、2−ジアミノエタン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン及び1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のヒドロキシ基を有するアミン;等を例示することができる。その他に、ニペコタミド、イソニペコタミド、ニコチン酸アミド等の化合物を挙げることができる。
【0039】
さらに、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体類;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩類;等を挙げることができる。
【0040】
顔料分散剤としては、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体類;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩類であることが非水系(溶剤系)での分散に有効な立体障害および酸塩基吸着を利用できる分散剤である点から好ましい。
【0041】
なかでも、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、又は(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルの四級アンモニウム塩から誘導される繰り返し単位を含む重合体が好ましい。
当該重合体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸のγ−ブチロラクトン変性物等の他の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体が好適に用いられる。なかでも、(メタ)アクリル酸メチルと(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル又は(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルの四級アンモニウム塩から誘導される繰り返し単位を含む共重合体が好適に用いられ、特に、ポリ(メタ)アクリル酸メチルとポリブロック(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル又はその四級アンモニウム塩を含むブロック共重合体が好適に用いられる。
なお、本明細書において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及びメタクリロイルのいずれかであることを意味する。
【0042】
また、顔料分散剤としては、ポリアリルアミン誘導体が好ましい。好適に用いられるポリアリルアミン誘導体は、例えば、ポリアリルアミンの側鎖のアミノ基と、遊離のカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド、又はエステルとアミドの共縮合物(ポリエステルアミド)の3種の化合物の中から選ばれる1種以上の化合物とを反応させて得られるものであり、下記一般式(I)で表されるポリアリルアミン誘導体が挙げられる。
【0043】
【化1】

(式中、XおよびYは、それぞれ独立に水素、重合開始剤残基、及び連鎖移動触媒残基のいずれかを、R1は遊離のアミノ基、下記一般式(II)、又は(III)で示される基を、nは2〜1,000の整数を表す。但しn個のR1中、少なくとも1個は一般式(III)で示される基を表す。
【0044】
【化2】

(式中、R2は遊離のカルボン酸を有するポリエステル、遊離のカルボン酸を有するポリアミド、及び遊離のカルボン酸を有するポリエステルアミドのいずれかからカルボキシル基を除いた残基を表す。)
【0045】
このポリアリルアミン誘導体は、例えば、重合度2〜1,000のポリアリルアミンと、遊離のカルボキシル基を有する、下記一般式(IV)または(V)で表されるポリエステルおよび下記一般式(VI)または(VII)で表されるポリアミドの1種を単独でまたは2種以上を併用して原料として作製することができる。
【0046】
【化3】

(式中R3は、炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐のアルキレン基を、そしてaは2〜100の整数を示す。)
【0047】
【化4】

(式中R4は、炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐のアルキレン基、C64またはCH=CHを、R5は炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐のアルキレン基、ポリアルキレングリコールから2つの水酸基を除いた残基を、そしてbは2〜100の整数を示す。また、前記鎖中にエーテル結合を有することもある。)
【0048】
【化5】

(式中R6は、炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐のアルキレン基を、そしてcは2〜100の整数を示す。)
【0049】
【化6】

(式中R4は、炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐のアルキレン基、C64またはCH=CHを、R7は炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐のアルキレン基を、そしてdは2〜100の整数を示す。)
【0050】
なお、本発明において顔料分散剤として好適に用いられるポリアリルアミン誘導体は、ポリアリルアミンに、一般式(IV)と一般式(V)の繰り返し成分がランダムに重合したポリエステル、一般式(VI)と一般式(VII)の繰り返し成分がランダムに重合したポリアミド、更に一般式(IV)並びに/又は(V)、及び一般式(VI)並びに/又は(VII)の繰り返し成分がランダムに重合したポリエステルアミドを反応させても製造することができる。
【0051】
市販の顔料分散剤としては、Disperbyk−101、同−116、同−130、同−140、同−160、同−161、同−162、同−163、同−164、同−166、同−167、同−168、同−170、同−171、同−174、同−182、同−2000、同−2001、同−2050(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製);EFKA−4046、同−4047(以上、EFAK CHEMICALS社製);ソルスパース12000、同13240、同13940、同17000、同20000、同24000GR、同24000SC、同27000、同28000、同32000、同33500、同33500、同35200、同37500(以上、日本ルーブリゾール(株)製);アジスパーPB711、同821、同822、823、824(以上、味の素ファインテクノ(株)製);等を挙げることができる。またカラーフィルターの信頼性を向上させるためにそれらを精製したものを用いることがより好ましい。
【0052】
顔料分散剤の配合量は、全顔料100質量部に対して、20〜80質量部とすることが好ましく、20〜60質量部とすることがより好ましい。
【0053】
<溶剤>
溶剤は、各種顔料を分散させる顔料分散液を調製するために使用される。例えば、赤色顔料が分散されてなる赤色顔料分散液は、赤色硬化性樹脂組成物を作製する際に使用することができる。
【0054】
溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、i−プロピルアルコールなどのアルコール系溶剤;メトキシアルコール、エトキシアルコールなどのセロソルブ系溶剤;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶剤;ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メトキシエチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶剤;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテートなどのカルビトールアセテート系溶剤;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶剤;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶剤;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタンなどの飽和炭化水素系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの有機溶剤が挙げられる。
【0055】
これらの溶剤の中では、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶剤;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶剤;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系溶剤;メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好適に用いられる。
【0056】
なかでも、本発明に用いる溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(CH3OCH2CH(CH3)OCOCH3)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート(BCA)及びシクロヘキサノンよりなる群から選択される1種以上であることが、他の成分の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
【0057】
これらの溶剤は単独もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
赤色顔料分散液は、以上のような溶剤を、当該溶剤を含む顔料分散液の全量に対して、60〜85質量%の割合となるように調製することが好ましい。溶剤が少なすぎると、粘度が上昇し、顔料分散性や顔料分散経時安定性が低下しやすい。また、溶剤が多すぎると、顔料濃度が低下し、樹脂組成物を調製後目標とする色度座標に達成することが困難な場合がある。
【0058】
赤色顔料分散液には、さらに必要に応じて、顔料分散補助樹脂やその他の成分を配合してもよい。顔料分散補助樹脂としては、例えば後述のバインダー樹脂が挙げられる。
【0059】
赤色顔料分散液における顔料粒子の平均分散粒径は15〜80nmであることが好ましく、15〜70nmであることがより好ましく、15〜40nmであることがさらに好ましい。
【0060】
ここで、赤色顔料分散液における顔料粒子の分散粒径は、少なくとも溶剤を含有する分散媒体中に分散している顔料粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、顔料分散液に用いられている溶剤で、顔料分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、500倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。ここでの平均分散粒径は、体積平均粒径である。
【0061】
赤色顔料分散液は、赤色顔料、顔料分散剤、及び必要に応じてその他の成分を、任意の順序で溶剤に混合し、公知の分散機を用いて分散させることによって調製することができる。
【0062】
赤色顔料分散液は、複数種の赤色顔料を使用する場合や赤色顔料と他の顔料とを組み合わせて使用する場合、各顔料につき、1つずつ顔料分散液を調製して、その後それらを混合して赤色顔料分散液としてもよいし、2種類以上の顔料を一度に分散させることにより赤色顔料分散液としてもよい。
【0063】
なかでも、顔料ごとに分散限界まで分散できる時間が異なり、かつその時間を越えて分散を行なうと凝集してしまうことが多いため、所望の平均分散粒径を得る点からは、顔料1種類につき、1つずつ顔料分散液を調製して、その後それらを混合して赤色顔料分散液を得る方法が好ましい。また、この場合、各顔料について異なる分散剤を使用すると凝集してしまうことがあるため、各顔料を分散するために用いられる顔料分散剤の種類は同じとすることが好ましい。ただし、お互いの顔料同士が誘導体のように作用し、分散液の安定性を向上させる場合はこの限りではない
【0064】
分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル;ボールミル、振動ボールミル等のボールミル;ペイントコンディショナー;連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミル;が挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜2.00mmが好ましく、0.10〜1.0mmがより好ましい。
【0065】
各種顔料を分散させる際には、ジルコニアビーズ等を適宜加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)等を用いて1〜5時間程度分散を行うことが好ましい。具体的には、ビーズ径が比較的大きめな2mmジルコニアビーズで1時間、更にビーズ径が比較的小さめな0.1mmジルコニアビーズで2〜10時間分散する。また、分散後、0.5〜0.1μmのメンブランフィルターで濾過することが好ましい。
【0066】
このようにして、赤色顔料分散液が得られる。この赤色顔料分散液は、顔料分散性に優れた赤色硬化性樹脂組成物を調製するための予備調製物として用いることができる。
【0067】
<硬化性透明樹脂組成物>
本発明においては、塗膜に充分な強度、耐久性、密着性を付与する点から、基板上に塗工又は転写などによりパターンを形成後、当該塗膜を重合反応により硬化させることができる、硬化性透明樹脂組成物を用いる。このような硬化性透明樹脂組成物としては、例えば、電子線照射により重合硬化させたり、溶解性を変化させたりすることができる感放射線性透明樹脂組成物が挙げられる。
【0068】
上記感放射線性透明樹脂組成物には、電子線等により重合硬化させることができる感放射線性多官能モノマー等を含み、露光部を硬化させて未露光部を溶解除去することにより露光部のみの塗膜パターンの作成が可能となるネガ型の感放射線性透明樹脂組成物が挙げられる。
本発明の赤色硬化性樹脂組成物においては、硬化性透明樹脂組成物が、ネガ型電子線硬化性透明樹脂組成物であることが、電子線硬化の利点である開始剤無しで、非常に頑強な硬化膜を形成できる点から好ましい。
【0069】
電子線により重合硬化させることができるネガ型電子線硬化性透明樹脂組成物は、(i)バインダー樹脂、(ii)多官能モノマー等を配合して構成される。
【0070】
(i)バインダー樹脂
バインダー樹脂は、その他の成分との相溶性が高く、かつ塗布適正を付与できる限り、特に限定されるものではないが、特にアルカリ現像によってパターンを形成する場合には側鎖にカルボキシル基を有するものを使用する必要がある。
【0071】
好ましいバインダー樹脂は、(メタ)アクリル系共重合体、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。側鎖にエチレン性不飽和基等の重合性官能基を有するものが好ましい。重合性官能基を含有することにより、形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体、及びエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
【0072】
アクリル系共重合体は、エチレン性不飽和モノマーとエチレン性不飽和モノマーとを共重合して得られる。アクリル系共重合体は、さらに芳香族炭素環や脂環式構造を有する構成単位を含有していてもよい。芳香族炭素環は硬化性樹脂組成物に塗膜性を付与する成分として、また脂環式構造は硬化膜の透明性および耐熱性を付与する成分として機能する。
【0073】
アクリル系共重合体は、更にエステル基を有する構成単位を含有していてもよい。エステル基を有する構成単位を用いることによって、そのエステル結合を介した側鎖に、種々の重合性官能基や他の成分との相溶性をコントロールする成分を導入できる。
【0074】
また、重合性官能基を含有する上記アクリル系共重合体としては、上記アクリル系共重合体の一部のカルボキシル基に対し、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−(2,3−エポキシプロピル)ブチル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等の1分子中にエポキシ基やオキセタニル基とエチレン性不飽和基を有する化合物のエポキシ基、オキセタニル基を反応させたり、アクリル系共重合体の一部もしくは全部の水酸基に対し、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートのような1分子中にイソシアネート基とエチレン性不飽和基を有する化合物のイソシアネート基を反応させたりして得られる、側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体も使用することができる。
【0075】
アルカリ現像によってパターンを形成する場合におけるアクリル系共重合体中のカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合は、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であるであることがより好ましい。
共重合割合が5質量%以上であることで、得られる塗膜のアルカリ現像液に対する溶解性の低下を防ぎ、パターン形成を容易にすることができる。また、共重合割合が50質量%以下であることで、アルカリ現像液による現像時に、形成されたパターンの基板からの脱落やパターン表面の膜荒れ防ぐことができる。
【0076】
アクリル系共重合体の分子量は、1,000〜500,000であることが好ましく、3,000〜200,000であることがより好ましい。1,000以上であると、硬化後のバインダー機能が著しく低下するのを防止することができ、かつ硬化性樹脂組成物自体の粘度を適正範囲にすることができる。特にアルカリ現像によってパターンを形成する場合においては500,000以下であるとアルカリ現像液による現像時に、パターン形成を容易にすることができる。
【0077】
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ化合物と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物を酸無水物と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート化合物が適している。
【0078】
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、またはビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物などのエポキシ化合物が挙げられる。オキセタン化合物としては、上述のエポキシ化合物のエポキシ基をオキセタニル基に置換したオキセタン化合物等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0079】
不飽和基含有モノカルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、β−フルフリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸等が挙げられる。また、水酸基含有アクリレートと飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物、不飽和基含有モノグリシジルエーテルと飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物も挙げられる。これら不飽和基含有モノカルボン酸は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0080】
酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の二塩基性酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、エンドビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物のような多価カルボン酸無水物誘導体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0081】
このようにして得られるカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物の分子量は、1000〜40000であることが好ましく、2000〜5000であることがより好ましい。
【0082】
(ii)多官能モノマー
多官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物;ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、スピラン樹脂等のオリゴ(メタ)アクリレート類;両末端ヒドロキシポリ−1,3−ブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトン等の両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)アクリレート類;トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)フォスフェート等を挙げることができる。
【0083】
これらの多官能モノマーのうち、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのこはく酸変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。多官能モノマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0084】
多官能モノマーの使用量は、バインダー樹脂100質量部に対して、5〜500質量部とすることが好ましく、20〜300質量部とすることがより好ましい。多官能モノマーの使用量を5質量部以上とすることで、膜強度や膜表面の平滑性が低下するのを防ぐことができる。また、500質量部以下とすることで、赤色硬化性樹脂組成物が所望の厚みで塗布できる適正の粘度以下に下がってしまうことを防ぐことができる。
【0085】
また、多官能モノマーの一部を単官能モノマーで置き換えることもできる。このような単官能モノマーとしては、例えば、アルカリ可溶性樹脂を構成するカルボキシル基含有不飽和モノマーあるいは他の不飽和モノマーや、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート等を挙げることができる。これらの単官能モノマーのうち、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、こはく酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート等が好ましい。単官能モノマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。単官能モノマーの使用割合は、多官能モノマーと単官能モノマーとの合計量に対して、90質量%以下とすることが好ましく、50質量%以下とすることがより好ましい。
【0086】
さらにポストベイク時にさらに架橋密度を向上させることを目的として、多官能モノマーに熱硬化性の化合物を混合してもよい。熱硬化性の組成物としては、1エポキシ化合物やオキセタン化合物等が挙げられる。エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、またはビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物などのエポキシ化合物が挙げられ、オキセタン化合物としてはそれらのエポキシ基をオキセタニル基に置換したオキセタン化合物等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0087】
さらに硬化促進剤を使用することができる。硬化促進剤の具体例としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−4,6−ジメチルアミノピリジン、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、3−メルカプト−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール等を挙げることができる。
【0088】
<その他の成分>
本発明に係るカラーフィルター用赤色硬化性樹脂組成物には、さらに必要に応じて、界面活性剤、密着促進剤、表面調整剤(レベリング剤)、或いは、その他の成分を配合してもよい。
【0089】
(界面活性剤)
界面活性剤は、各種組み合わせて使用すると分散安定性を向上させることができる。界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を挙げることができる。例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類;ポリエチレンイミン類を挙げることができる。
界面活性剤の商品名としては、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(トーケムプロダクツ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子(株)製)等を挙げることができる。
【0090】
(密着促進剤)
例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
【0091】
(レベリング剤)
例えば、市販のシリコン系、ポリオキシアルキレン系、脂肪酸エステル系、特殊アクリル系重合体などが挙げられる。
【0092】
赤色硬化性樹脂組成物は、赤色顔料及び硬化性透明樹脂組成物を必要に応じて他の配合成分と共に、溶剤(単独溶剤又は混合溶剤)に投入して混合し、公知の分散方法によって固形成分を溶解又は分散させることにより製造することができる。
【0093】
しかしながら、上記の方法では多量の赤色顔料を溶剤中に十分に分散させることができずに、所望の顔料分散粒径分布とならない場合がある。そこで、予め、既述のような顔料分散液を準備し、一方で、バインダー樹脂等その他の成分を溶剤と混合、分散又は溶解した硬化性透明樹脂組成物を準備する。そして、これら赤色顔料分散液と硬化性透明樹脂組成物とを混合し、必要に応じて分散処理を行うことによって、顔料分散性、及び顔料分散経時安定性に優れたカラーフィルター用の赤色硬化性樹脂組成物が容易に得られる。
【0094】
<カラーフィルター用硬化膜>
このようにして得られた赤色硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物であって、アルカリ現像性を有する場合には、組成物を支持体に塗布して塗膜を形成し、乾燥させた後、当該塗膜に電子線を所定のパターン状に照射することにより塗膜の一部を選択的に硬化させるなど、露光部と未露光部とで溶解性を変化させた後、アルカリ液で現像することにより、所定パターンの硬化膜が得られる。
また、得られた赤色硬化性樹脂組成物がアルカリ現像性を有しない場合は、インクジェット等を用いてパターン状に塗布、乾燥することで所定のパターンを有する硬化膜が得られる。
【0095】
赤色硬化性樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルター用硬化膜は、ポストベイク等が行われて、着色層となる。これにより、カラーフィルターの着色層に必要な特定の色味を達成しながら、高コントラストを達成することができる。
【0096】
赤色硬化性樹脂組成物の硬化膜を、2枚の偏光板を直交、或いは平行となるように組み合わせて挟んだ時に透過する輝度の比((偏光板平行時の輝度/偏光板直交時の輝度)、を本発明において単に「コントラスト」という。
【実施例】
【0097】
<実施例1〜11,比較例1>
《赤色顔料分散液の調製》
C.I.Pigment RED 254の赤色顔料(チバ・スペシヤルテイケミカルズ製イルガフォアBK−CF)(以下、「PR254」という)10質量部、顔料分散剤(BYK2000、ビックケミー製、不揮発分40%)10質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)65質量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル15質量部を200ml容量のマヨネーズ瓶に加えて混合した。その後、0.1mmのジルコニアビーズを加えてペイントシェーカー(浅田鉄工製)で4時間分散した。得られた分散液をレーザー散乱方式の粒度分布測定装置ナノトラックUPA−EX150(日機装製)で測定した結果、PR254の分散粒子径として体積平均粒子径(Mv)が42nmの赤色顔料分散液が得られたことを確認した。
【0098】
《硬化性透明樹脂組成物の調製》
多官能アクリレートモノマー(SR399E、巴化学製) 30質量部
多官能アクリレートモノマー(アロニクスM450、東亜合成製) 10質量部
バインダー樹脂:メタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体
(共重合比:10/90 酸価:70mgKOH/g) 30質量部
溶剤:PGMEA(ダイセル化学製) 70質量部
【0099】
以上を混合、攪拌して不揮発分50質量%の硬化性透明樹脂組成物とした。
【0100】
《赤色硬化性樹脂組成物の調製》
赤色顔料分散液 9質量部
硬化性透明樹脂組成物 4.5質量部
KBM−503(信越化学製) 0.2質量部
メガファックR−08MH(大日本インキ化学工業製) 0.02質量部
PGMEA 6質量部
【0101】
以上を混合し、赤色硬化性樹脂組成物を調製した。
得られた赤色硬化性樹脂組成物をガラス基板上に乾燥後のC光源での色度xが0.645となるようにスピン塗工し、80℃で3分間加熱した。その後、塗布膜側から下記表1に示す条件にて岩崎電機製EC250を用いて搬送速度10m/minで電子線照射を行って硬化膜を形成し(電子線照射工程)、260℃で30分間ポストベイクを行ってカラーフィルター用の赤色着色層を形成した。
【0102】
【表1】

【0103】
硬化後の硬化膜、及びポストベイク後の赤色着色層を微小硬度計フィッシャースコープH−110(フィッシャー製、ビッカース圧子、20mN/10sec加圧、減圧)を用いてユニバーサル硬さを測定した
また、露光後のコントラストをCT−1(壷坂電機製、F10光源)を用いて下記のようにして測定した。
【0104】
コントラストの測定は、まず、壷坂電機製コントラスト測定装置CT−1(光源:冷陰極間F10ランプ、輝度計:コニカミノルタ製LS−100、分光輝度計:コニカミノルタ製CS−1000T)を用いて、輝度の測定を行った。この輝度の測定値を用い、以下の式により、コントラストを導き出した。
コントラスト=平行輝度(cd/m2)/直交輝度(cd/m2
【0105】
さらに、硬化膜のベイク後の結晶析出の有無をオリンパス光学顕微鏡(×500倍)で観察した。
また、そのポストベイク後の硬化膜を基板ごと0.5cm×3cmの短冊状に切断し、ガラス瓶の中で10gのN−メチルピロリジノン(NMP)に浸漬し、アズワン製超音波洗浄器(US−3R)を用いて50℃60分間超音波処理し、NMPに溶出される蛍光性物質の有無を色により目視することで、溶剤に対する耐性を確認した。
これらの結果を下記表2に示す。
【0106】
<比較例2>
実施例1の電子線照射工程を省いたこと以外は、実施例1と同様にしてガラス基板上に赤色着色層を形成した。結果を下記表2に示す。
【0107】
<比較例3>
実施例1の電子線硬化性透明樹脂組成物40質量部に対して重合開始剤として、イルガキュア907(チバスペシヤルティケミカルズ)を1質量部およびイルガキュア369(チバスペシヤルティケミカルズ)を2質量部および溶剤としてPGMEA(ダイセル化学製)7.5質量部を混合し比較例の硬化性透明樹脂組成物として使用し、電子線照射工程の代わりに紫外線照射工程(高圧水銀灯にて紫外光を60mJ/m2照射)とした以外は、実施例1と同様にしてガラス基板上に赤色着色層を形成した。そして、実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表2に示す。
【0108】
【表2】

【0109】
90−165kVの加速電圧、0.6−7.0mAの電流値での電子線照射により硬化膜のマクロな硬さによる影響なく、ポストベイク時のコントラスト低下が抑制された。また、結晶析出が抑制され、耐溶剤性が向上した。これは顔料周辺の架橋密度および膜密度が紫外線硬化と比較して向上したことにより、マクロな硬さに関連なく、このような現象が得られたと考えられる。
【0110】
実施例1、2、3の電子線照射後の硬化膜、及び比較例3の紫外線照射後の硬化膜についての光学顕微鏡写真を図2(比較例3)、及び図3〜図5(実施例1〜3)に示す。比較例3の塗膜と比較して、実施例1〜3の塗膜では、電子線照射することにより結晶の析出が少なくなっていることがわかる。このことがコントラスト低下の抑制に寄与していると推定される。
以上から、実施例から得られる赤色着色層は、良好な耐熱性、耐溶剤性を有するといった信頼性に優れた性能を持つことが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明のカラーフィルターの一例を模式的に示す断面図である。
【図2】比較例3で形成された露光後の塗膜断面の光学顕微鏡写真である。
【図3】実施例1で形成された露光後の塗膜断面の光学顕微鏡写真である。
【図4】実施例2で形成された露光後の塗膜断面の光学顕微鏡写真である。
【図5】実施例3で形成された露光後の塗膜断面の光学顕微鏡写真である
【符号の説明】
【0112】
5 透明基板
6 遮光層
7(7R、7G、7B) 着色層
8 保護膜
9 透明電極
10 配向膜
12 柱状スペーサー
103 カラーフィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に赤色着色層が形成されてなり、
前記赤色着色層が、赤色顔料と硬化性透明樹脂組成物とを含む赤色硬化性樹脂組成物に80〜170kVの電子線を照射し硬化させて形成されたものであるカラーフィルター。
【請求項2】
基板上に、赤色顔料と硬化性透明樹脂組成物とを含む赤色硬化性樹脂組成物からなる塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、前記塗布膜に80〜170kVの加速電圧で電子線を照射し硬化させる電子線照射工程とを含むカラーフィルターの製造方法。
【請求項3】
前記電子線の電流が、0.5〜20mAである請求項2に記載のカラーフィルターの製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載のカラーフィルターを備えた表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−244689(P2009−244689A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92522(P2008−92522)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】