説明

カラー画像表示装置、シャドーマスクおよびシャドーマスクを使用したカラー画像表示装置の製造方法

【課題】フルカラー対応の表示装置において、高強度のシャドーマスクを用いて画素の高開口率化を実現できるようにする。
【解決手段】画素アレイ部は、R,G,Bの同色に着目したとき、サブピクセル位置が行ごとに水平方向にシフトさせて配置することで、色別に見たときには、どの色もストライプ構造を採らずに、同色のサブピクセル位置が斜め方向に配置されるようにする。対応するシャドーマスク620Aは、開口部622が斜め方向に一列に並ぶように配置されている。斜め方向に橋渡しをなす間隔部624が画素間ごとに設けられた構造となるので、マスクの強度が上がり撓みを改善できる高強度のマスクにすることができる。発光層を形成するための蒸着起因の開口率の低下を抑制でき、高精細パネルにて、高強度で高開口率が達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学素子(表示素子や発光素子とも称される)を具備する画素回路(画素とも称される)が行列状に配列された画素アレイ部を有するカラー画像表示装置とその製造方法およびこの製造方法に使用されるシャドーマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
画素の表示素子として、印加される電圧や流れる電流によって輝度が変化する電気光学素子を用いた表示装置がある。たとえば、印加される電圧によって輝度が変化する電気光学素子としては液晶表示素子が代表例であり、流れる電流によって輝度が変化する電気光学素子としては、有機エレクトロルミネッセンス(Organic Electro Luminescence, 有機EL, Organic Light Emitting Diode, OLED;以下、有機ELと記す) 素子が代表例である。後者の有機EL素子を用いた有機EL表示装置は、画素の表示素子として、自発光素子である電気光学素子を用いたいわゆる自発光型の表示装置である。
【0003】
有機EL素子は有機薄膜に電界をかけると発光する現象を利用した電気光学素子である。有機EL素子は比較的低い印加電圧(たとえば10V以下)で駆動できるため低消費電力である。また有機EL素子は自ら光を発する自発光素子であるため、液晶表示装置では必要とされるバックライトなどの補助照明部材を必要とせず、軽量化および薄型化が容易である。さらに、有機EL素子の応答速度は非常に高速である(たとえば数μs程度)ので、動画表示時の残像が発生しない。これらの利点があることから、電気光学素子として有機EL素子を用いた平面自発光型の表示装置の開発が近年盛んになっているたとえば特許文献1〜6を参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−197202号公報
【特許文献2】特開平05−299177号公報
【特許文献3】特開2006−113376号公報
【特許文献4】特開2005−158583号公報
【特許文献5】特開2003−316291号公報
【特許文献6】特開2005−345766号公報
【0005】
ところで、有機EL素子を代表例とする電流駆動型の電気光学素子を用いた表示装置において、フルカラー表示を行なうには、それぞれ白色で発光する各電気光学素子(サブピクセル)上にたとえば3原色(R,G,B)の色分離フィルタを形成してカラー表示用の1画素を形成する手法と、3原色(R,G,B)のそれぞれで発光する電気光学素子(サブピクセル)の組合せでカラー表示用の1画素を形成する手法に大別できる。
【0006】
後者の手法の場合、色素(たとえばR,G,Bの3原色)を狭い範囲で塗り分けて発光層を色別に形成する必要がある。この色別の塗分けに当たっては、一般的には、開口部の設けられた薄い金属板(シャドーマスク)を基板の前に置いて、開口部にだけ色素を順番に蒸着させて色別に発光層を形成するシャドーマスク法が採用されている。
【0007】
詳細は実施形態で説明するが、シャドーマスク法において用いられるマスクとしては、ある色の垂直方向の全てのサブピクセルを纏めてスリット状の開口部を設けその開口部を水平方向に画素ピッチで設けたマスク(以下スリットマスクとも称する)や、ある色の垂直方向のサブピクセルごとに開口部を設けて縦ストライプ状に配置し、その開口部を水平方向に画素ピッチで設けたマスク(以下縦ストライプ画素ごとマスクとも称する)が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、スリットマスクでは、弛みが生じ易く、そのため水平方向の位置合わせ精度を出すのが困難になるという問題がある。この問題の対策のため、マスクズレを考慮して開口部を小さく設計してしまうと、画素開口率が低下してしまう。
【0009】
一方、高精細化での高開口率を達成するためには、縦ストライプ画素ごとマスクが望ましい。このマスクでは、垂直方向のサブピクセルごとに設けられる開口部の間にそれぞれ間隔部が設けられるので、その間隔部が水平方向の橋渡しをなすようになりマスク強度はスリットマスクに比べて格段に増す半面、その間隔部が画素開口率を低下させてしまう難点がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、シャドーマスク法を採用して色別に発光層を形成して表示装置のフルカラー化を図る場合において、高強度のマスクを使用した製造方法にすることができるとともに、表示装置の画素開口率を向上させることのできる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るカラー画像表示装置の一形態は、同色の電気光学素子の1画素内の位置が、画素アレイ部の水平方向に順次シフトして配置され、同色の電気光学素子の位置が斜め方向に一列に配置されていることを特徴とする。つまり、カラー画素を色別に着目したとき、その色のサブピクセル位置が左上から右下の方向にあるいは右上から左下の方向に、斜めに一列に配置されており、どの色もストライプ構造を採らない点に特徴を有する。
【0012】
このようなカラー画像表示装置の発光層を色別に塗り分けるための対応するシャドーマスクは、ある色についての電気光学素子の発光層に対応する形状および大きさの開口部が設けられ、その開口部は画素アレイ部の斜め方向に対応するように一列に配置されていることを特徴とする。画素ごとに1つのサブピクセルに対応する開口部が設けられたマスクとなる点では、1つの開口部が1つの電気光学素子の開口部の大きさに対応する従前の縦ストライプ画素ごとマスクに類似するが、各開口部が画素アレイ部の斜め方向に対応するように配列される点で異なる。
【0013】
このようなシャドーマスクを用いて電気光学素子の発光層を色別に塗り分ける際には、シャドーマスクの開口部のそれぞれを、カラー表示用の1画素の所望色の電気光学素子の発光層の位置に対応させて配置し、所望色の色素を基板に付着させることで、その所望色の発光層を成膜する色別の成膜ステップにおいて、所望色を切り替えるごとに、画素アレイ部の水平方向に電気光学素子の配列ピッチの分だけシャドーマスクの開口部の位置をシフトする。
【0014】
画素アレイ部のサブピクセル位置(電気光学素子の発光層の位置)を斜めに一列に配置することで、垂直方向への画素間距離を極限まで狭くできる。加えて、シャドーマスクは開口部の間の間隔部が斜め方向に配列されることで、垂直方向や水平方向の開口部間の距離を十分大きく確保でき、かつ斜め方向へ配列された間隔部をマスクの橋渡しをなすように機能させることができる。
【0015】
ここで、画素アレイ部の垂直方向とこの垂直方向に直交する水平方向とは相対的なものであり、一般的に走査速度の低速な方向を列方向もしくは垂直方向と呼び、一般的に走査速度の高速な方向を行方向もしくは水平方向と呼ぶ。ただし、たとえば図面を90度回転させると、上下左右の関係が変わり、行と列もしくは垂直と水平の関係が逆転すると同様に、絶対的なものではない。以下、画素アレイ部の列方向は垂直方向であるものとし、画素アレイ部の行方向は水平方向であるものとして代表記述する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のカラー画像表示装置の一形態によれば、画素アレイ部において、垂直方向の画素間距離を極限まで狭くできるので、その分画素開口率を大きくすることができる。本発明のシャドーマスクの一形態によれば、開口部の間の間隔部を斜め方向への橋渡しをなすように機能させることができるので、マスク強度は、スリットマスクよりも強度の大きなものとすることができる。マスク強度と画素開口率の双方を満足できるものとすることができ、高強度のシャドーマスクを用いて画素の高開口率化を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0018】
<表示装置の全体概要>
図1および図1Aは、本発明に係る表示装置の一実施形態であるアクティブマトリクス型表示装置の構成の概略を示すブロック図である。図1は、一般的なアクティブマトリクス型表示装置の構成の概略を示すブロック図であり、図1Aは、そのカラー画像表示対応のものの概略を示すブロック図である。
【0019】
ここで示す構成例では、たとえば画素の表示素子(電気光学素子、発光素子)として有機EL素子を、能動素子としてポリシリコン薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)をそれぞれ用い、薄膜トランジスタを形成した半導体基板上に有機EL素子を形成してなるアクティブマトリクス型有機ELディスプレイ(以下「有機EL表示装置」と称する)に適用した場合を例に採って説明する。
【0020】
なお、以下の全体構成の説明においては、画素の表示素子として有機EL素子を例に具体的に説明するが、これは一例であって、対象となる表示素子は有機EL素子に限らない。一般的に電流駆動で発光する表示素子の全てに、後述する全ての実施形態が同様に適用できる。
【0021】
図1に示すように、表示装置1は、複数の表示素子としての有機EL素子(図示せず)を持った画素回路(画素とも称される)Pが表示アスペクト比である縦横比がX:Y(たとえば9:16)の有効映像領域を構成するように配置された表示パネル部100と、この表示パネル部100を駆動制御する種々のパルス信号を発するパネル制御部の一例である駆動信号生成部(いわゆるタイミングジェネレータ)200と、映像信号処理部220を備えている。駆動信号生成部200と映像信号処理部220とは、1チップのIC(Integrated Circuit;半導体集積回路)に内蔵され、本例では、表示パネル部100の外部に配置されている。
【0022】
なお、製品形態としては、図示のように、表示パネル部100、駆動信号生成部200、および映像信号処理部220の全てを備えたモジュール(複合部品)形態の表示装置1として提供されることに限らず、たとえば、表示パネル部100のみで表示装置1として提供することも可能である。
【0023】
また、表示装置1は、封止された構成のモジュール形状のものをも含む。たとえば、画素アレイ部102に透明なガラスなどの対向部に貼り付けられて形成された表示モジュールが該当する。透明な対向部には、カラーフィルタ、保護膜、遮光膜などが設けられてもよい。表示モジュールには、外部から画素アレイ部102への映像信号Vsig や各種の駆動パルスを入出力するための回路部やFPC(フレキシブルプリントサーキット)などが設けられていてもよい。
【0024】
また、このような表示装置1は、様々な電子機器、たとえば半導体メモリやミニディスク(MD)やカセットテープなどの記録媒体を利用した携帯型の音楽プレイヤー、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話などの携帯端末装置、ビデオカメラなど、電子機器に入力された映像信号や電子機器内で生成した映像信号を、静止画像や動画像(映像)として表示するあらゆる分野の電子機器の表示部に利用できる。
【0025】
表示パネル部100は、基板101の上に、画素回路Pがn行×m列のマトリクス状に配列された画素アレイ部102と、画素回路Pを垂直方向に走査する垂直駆動部103と、画素回路Pを水平方向に走査する水平駆動部(水平セレクタあるいはデータ線駆動部とも称される)106と、各駆動部103,106と外部回路とのインタフェースをとるインタフェース(IF)部130と、外部接続用の端子部(パッド部)108などが集積形成されている。すなわち、垂直駆動部103や水平駆動部106やインタフェース部130などの周辺駆動回路が、画素アレイ部102と同一の基板101上に形成された構成となっている。
【0026】
インタフェース部130は、垂直駆動部103と外部回路とのインタフェースをとる垂直IF部133と、水平駆動部106と外部回路とのインタフェースをとる水平IF部136を有する。
【0027】
垂直駆動部103(書込走査部104および駆動走査部105)と水平駆動部106とで、信号電位の保持容量への書込みや、閾値補正動作や、移動度補正動作や、ブートストラップ動作を制御する制御部109が構成される。この制御部109とインタフェース部130(垂直IF部133や水平IF部136)を含めて、画素アレイ部102の画素回路Pを駆動する駆動回路を構成している。
【0028】
垂直駆動部103としては、たとえば、書込走査部(ライトスキャナWS;Write Scan)104や電源供給能力を有する電源スキャナとして機能する駆動走査部(ドライブスキャナDS;Drive Scan)105を有する。画素アレイ部102は、一例として、図示する左右方向の一方側もしくは両側から書込走査部104および駆動走査部105で駆動され、かつ図示する上下方向の一方側もしくは両側から水平駆動部106で駆動されるようになっている。
【0029】
端子部108には、表示装置1の外部に配された駆動信号生成部200から、種々のパルス信号が供給されるようになっている。また同様に、映像信号処理部220から映像信号Vsig が供給されるようになっている。カラー表示対応の場合には、色別(本例ではR(赤),G(緑),B(青)の3原色)の映像信号Vsig_R,G,Bが供給される。
【0030】
一例としては、垂直駆動用のパルス信号として、垂直方向の書込み開始パルスの一例であるシフトスタートパルスSPDS,SPWSや垂直走査クロックCKDS,CKWS(必要に応じて位相反転した垂直走査クロックxCKDS ,xCKWS も)など必要なパルス信号が供給される。また、水平駆動用のパルス信号として、水平方向の書込み開始パルスの一例である水平スタートパルスSPH や水平走査クロックCKH (必要に応じて位相反転した水平走査クロックxCKHも)など必要なパルス信号が供給される。
【0031】
端子部108の各端子は、配線109を介して、垂直駆動部103や水平駆動部106に接続されるようになっている。たとえば、端子部108に供給された各パルスは、必要に応じて図示を割愛したレベルシフタ部で電圧レベルを内部的に調整した後、バッファを介して垂直駆動部103の各部や水平駆動部106に供給される。
【0032】
画素アレイ部102は、図示を割愛するが(詳細は後述する)、表示素子としての有機EL素子に対して画素トランジスタが設けられた画素回路Pが行列状に2次元配置され、この画素配列に対して行ごとに走査線が配線されるとともに、列ごとに信号線が配線された構成となっている。
【0033】
たとえば、画素アレイ部102には、走査線(ゲート線)104WSと映像信号線(データ線)106HSが形成されている。両者の交差部分には図示を割愛した有機EL素子とこれを駆動する薄膜トランジスタが形成される。有機EL素子と薄膜トランジスタの組み合わせで画素回路Pを構成する。
【0034】
具体的には、マトリクス状に配列された各画素回路Pに対しては、書込走査部104によって書込駆動パルスWSで駆動されるn行分の書込走査線104WS_1〜104WS_nおよび駆動走査部105によって電源駆動パルスDSL で駆動されるn行分の電源供給線105DSL_1 〜105DSL_n が画素行ごとに配線される。
【0035】
書込走査部104および駆動走査部105は、論理ゲートの組合せ(ラッチやシフトレジスタなども含む)によって構成され、画素アレイ部102の各画素回路Pを行単位で選択する、すなわち、駆動信号生成部200から供給される垂直駆動系のパルス信号に基づき、書込走査線104WSおよび電源供給線105DSL を介して各画素回路Pを順次選択する。
水平駆動部106は、論理ゲートの組合せ(ラッチやシフトレジスタなども含む)によって構成され、画素アレイ部102の各画素回路Pを列単位で選択する、すなわち、駆動信号生成部200から供給される水平駆動系のパルス信号に基づき、選択された画素回路Pに対し映像信号線106HSを介して映像信号Vsig の内の所定電位をサンプリングして保持容量に書き込ませる。
【0036】
本実施形態の表示装置1は、線順次駆動や点順次駆動が可能になっており、垂直駆動部103の書込走査部104および駆動走査部105は線順次で(つまり行単位で)で画素アレイ部102を走査するとともに、これに同期して水平駆動部106が、画像信号を、1水平ライン分を同時に(線順次の場合)、あるいは画素単位で(点順次の場合)、画素アレイ部102に書き込む。
【0037】
カラー画像表示対応をとるには、画素アレイ部102には、たとえば図1Aに示すように、色別(本例ではR(赤),G(緑),B(青)の3原色)のサブピクセルとして画素回路P_R,P_G,P_Bを所定の配列順で縦ストライプ状に設ける。1組の色別のサブピクセル(画素回路P_R,P_G,P_B)によりカラーの1画素が構成される。ここでは、サブピクセルレイアウトの一例として縦ストライプ状に各色のサブピクセルを配置したストライプ構造のものを示しているが、サブピクセルレイアウトはこのような配列例に限定されるものではない。サブピクセルを垂直方向にシフトさせた形態を採用してもよい。
【0038】
また、1画素内での色位置を水平方向に画素ごとに切り替えた形態を採用してもよい。本実施形態では、このサブピクセルの垂直方向シフトや1画素内での色位置シフトを利用して画素開口率の向上やシャドーマスク(塗分けマスク)の強度の改善を図る。このサブピクセル位置をシフトさせる形態およびそれを利用したシャドーマスクについては、後で詳しく説明する。
【0039】
なお、図1および図1Aでは、画素アレイ部102の一方側にのみ垂直駆動部103の各要素(書込走査部104や駆動走査部105)を配置する構成を示しているが、垂直駆動部103の各要素を画素アレイ部102を挟んで左右両側に配置する構成を採ることも可能である。また、図1Aに示すように、垂直駆動部103の各要素の一方と他方を左右の各別に配置する構成を採ることも可能である。
【0040】
同様に、図1および図1Aでは、画素アレイ部102の一方側にのみ水平駆動部106を配置する構成を示しているが、画素アレイ部102を挟んで上下両側に水平駆動部106を配置する構成を採ることも可能である。
【0041】
本例では、シフトスタートパルスSPDS,SPWS、垂直走査クロックCKDS,CKWSや水平スタートパルスSPH 、水平走査クロックCKH などのパルス信号を表示パネル部100の外部から入力する構成としているが、これらの各種のタイミングパルスを生成する駆動信号生成部200を表示パネル部100上に搭載することも可能である。
【0042】
<画素回路>
図2は、本実施形態の表示装置1の画素回路Pの一構成例と、当該画素回路Pを備えた有機EL表示装置の一実施形態を示す図である。図2に示す本実施形態の画素回路Pは、基本的にnチャネル型の薄膜電界効果トランジスタでドライブトランジスタが構成されている。また、有機EL素子の経時劣化による当該有機EL素子への駆動電流Idsの変動を抑制するための回路、すなわち電気光学素子の一例である有機EL素子の電流−電圧特性の変化を補正して駆動電流Idsを一定に維持する駆動信号一定化回路(その1)を備え、また駆動トランジスタの特性変動(閾値電圧ばらつきや移動度ばらつき)による駆動電流変動を防ぐ閾値補正機能や移動度補正機能を実現して駆動電流Idsを一定に維持する駆動方式を採用する。
【0043】
駆動トランジスタ121の特性変動(たとえば閾値電圧や移動度などのばらつきや変動)による駆動電流Idsに与える影響を抑制する方法としては、2TR構成の駆動回路をそのまま駆動信号一定化回路(その1)として採用しつつ、各トランジスタ121,125の駆動タイミングを工夫することで対処する。
【0044】
本実施形態の画素回路Pは、2TR駆動の構成であり、素子数や配線数が少ないため、高精細化が可能であることに加えて、映像信号Vsig の劣化なくサンプリングできるため、良好な画質を得ることができる。
【0045】
また本実施形態の画素回路Pは、保持容量120の接続態様に特徴を有し、有機EL素子127の経時劣化による駆動電流変動を防ぐ回路として、駆動信号一定化回路(その2)の一例であるブートストラップ回路を構成している。有機EL素子の電流−電圧特性に経時変化があった場合でも駆動電流を一定にする(駆動電流変動を防ぐ)ブートストラップ機能を実現する駆動信号一定化回路(その2)を備えるのである。
【0046】
また本実施形態の画素回路Pは、書込みゲインやブートストラップゲインや移動度補正期間に関係する補助容量を備える。ただし、この補助容量を備えることは必須ではない。本実施形態の画素回路Pを駆動するに当たっての基本的な制御動作は、補助容量を備えていない画素回路Pに対するものと同様である。
【0047】
駆動トランジスタを始めとする各トランジスタとしてはMOSトランジスタを使用する。この場合、駆動トランジスタについては、ゲート端を制御入力端として取り扱い、ソース端およびドレイン端の何れか一方(ここではソース端とする)を出力端として取り扱い、他方を電源供給端(ここではドレイン端とする)として取り扱う。
【0048】
具体的には図2に示すように、本実施形態の画素回路Pは、それぞれnチャネル型の駆動トランジスタ121およびサンプリングトランジスタ125と、電流が流れることで発光する電気光学素子の一例である有機EL素子127とを有する。一般に、有機EL素子127は整流性があるためダイオードの記号で表している。なお、有機EL素子127には、寄生容量Celが存在する。図では、この寄生容量Celを有機EL素子127(ダイオード状のもの)と並列に示す。
【0049】
駆動トランジスタ121は、ドレイン端が第1電源電位を供給する電源供給線DSL に接続され、ソース端(出力端)Sが、有機EL素子127のアノード端Aに接続され(その接続点をノードND121とする)、有機EL素子127のカソード端Kが基準電位を供給する全画素共通の接地配線Vcath(GND )に接続されている。
【0050】
なお、接地配線Vcathは、それ用の単一層の配線(上層配線)のみとしてもよいし、たとえばアノード用の配線が形成されるアノード層に、カソード配線用の補助配線を設けてカソード配線の抵抗値を低減するようにしてもよい。この補助配線は、画素アレイ部102(表示エリア)内に格子状または列または行状に配線され、上層配線と同電位で固定電位である。
【0051】
サンプリングトランジスタ125は、ゲート端Gが書込走査部104からの書込走査線104WSに接続され、ドレイン端が映像信号線106HSに接続され、ソース端Sが駆動トランジスタ121のゲート端Gに接続されている(その接続点をノードND122とする)。サンプリングトランジスタ125のゲート端Gには、書込走査部104からアクティブHの書込駆動パルスWSが供給される。サンプリングトランジスタ125は、ソース端Sとドレイン端とを逆転させた接続態様とすることもできる。
【0052】
駆動トランジスタ121のドレイン端は、電源スキャナとして機能する駆動走査部105からの電源供給線105DSL に接続されている。電源供給線105DSL は、この電源供給線105DSL そのものが、駆動トランジスタ121に対しての電源供給能力を備える。
【0053】
駆動走査部105は、駆動トランジスタ121のドレイン端に対して、それぞれ電源電圧に相当する高電圧側の第1電位Vcc_Hと閾値補正に先立つ準備動作に利用される低電圧側の第2電位Vcc_L(初期化電圧もしくはイニシャル電圧Vini とも称される)とを切り替えて供給する。
【0054】
駆動トランジスタ121のドレイン端側を第1電位Vcc_Hと第2電位Vcc_Lの2値をとる電源駆動パルスDSL で駆動することで、閾値補正に先立つ準備動作を行なうことを可能にしている。第2電位Vcc_Lとしては、映像信号線106HSにおける映像信号Vsig の基準電位Vo(オフセット電圧Vofs とも称する)より十分低い電位とする。具体的には、駆動トランジスタ121のゲート・ソース間電圧Vgs(ゲート電位Vgとソース電位Vsの差)が駆動トランジスタ121の閾値電圧Vthより大きくなるように、電源供給線105DSL の低電位側の第2電位Vcc_Lを設定する。なお、基準電位Vo(Vofs )は、閾値補正動作に先立つ初期化動作に利用するとともに映像信号線106HSを予めプリチャージにしておくためにも利用する。
【0055】
このような画素回路Pでは、有機EL素子127を駆動するときには、駆動トランジスタ121のドレイン端に第1電位Vcc_Hが供給され、ソース端Sが有機EL素子127のアノード端A側に接続されることで、全体としてソースフォロワ回路を形成するようになっている。
【0056】
このような画素回路Pを採用する場合、駆動トランジスタ121の他に走査用に1つのスイッチングトランジスタ(サンプリングトランジスタ125)を使用する2TR駆動の構成を採るとともに、各スイッチングトランジスタを制御する電源駆動パルスDSL および書込駆動パルスWSのオン/オフタイミングの設定により、有機EL素子127の経時劣化や駆動トランジスタ121の特性変動(たとえば閾値電圧や移動度などのばらつきや変動)による駆動電流Idsに与える影響を防ぐ。
【0057】
加えて、本実施形態の表示装置1においては、画素回路Pごとに、ノードND121(駆動トランジスタ121のソース端Sおよび保持容量120の一方の端子と有機EL素子127のアノード端Aの接続点)に容量値Csub の容量素子である補助容量310を追加し、補助容量310の他方の端子(ノードND310と称する)の接続箇所を自行(自段)の電源供給線105DSL とする。補助容量310は、有機EL素子127(その寄生容量Cel)と電気回路的に並列接続されたものとなる。
【0058】
ノードND310は、たとえば、全ての有機EL素子127のカソード端Kが接続される全画素共通の接地配線Vcath(上層配線でもよいし補助配線でもよい)と接続する。なお、ノードND310の接続点は、これ以外にもたとえば自段(行)の電源供給線105DSL とすることや、自段(行)以外の電源供給線105DSL とすることや、任意の値(接地電位を含む)の固定電位とすることも考えられる。ノードND310の接続点が何れであるかによって、それぞれ長短(利点と欠点)があるが、ここではその説明を割愛する。
【0059】
補助容量310の容量値Csub を調整することで書込みゲインGinput とブートストラップゲインGbst を調整できるようになる。また、RGB3画素間で容量値Csub を相対的に調整することで、ホワイトバランスを取ることもできる。加えて、補助容量310を追加することで、閾値補正動作に影響を与えることなく、移動度μの補正に要する時間(移動度補正時間)を調整することができるようにもなる。
【0060】
ところで、カラー画像表示対応の表示装置1において、画素アレイ部102における色別の開口部(実質的にはアノード電極、有機層、カソード電極の積層部分の色別の有機層)を形成する場合、当然のように色別に開口部を形成する必要がある。そのため、各サブピクセル用すなわち色別の有機層をなす有機材料などを、その色別に塗ることで開口部を色別に設ける。このようにサブピクセルを色別に塗り分ける際には一般的にシャドーマスクが使用される。しかしながら、従前のシャドーマスクにおける開口部の配列状態では、画素開口率が低下してしまう難点がある。以下、この問題点とその改善手法について、具体的に説明する。
【0061】
<<画素開口の問題点について>>
図3〜図5Bは、画素アレイ部102の画素開口に関する問題点を説明する図である。ここで、図3は、有機EL素子127や補助容量310などの配置を説明する図である。詳しくは、図3は、一般的な有機EL表示装置における1画素分の層構造の概略を示した図である。ここで、図3(1)は1画素分の平面図であり、図3(2)は図3(1)におけるA−A’線の断面図である。図4は、有機EL素子127の下部電極と補助配線の第1比較例のレイアウトを示した図である。図4Aは、図4に対する変形例である第2比較例のレイアウトを示した図である。
【0062】
図5は、カラー画像表示用の3原色(R,G,B)のサブピクセルの色配置例と画素開口配置の一例を示す図である。図5Aは、スリット状の開口部を設けたシャドーマスク(スリットマスク)の一例を示す図である。図5Bは、画素ごとに開口部を設けたシャドーマスク(縦ストライプ画素ごとマスク)の一例を示す図である。
【0063】
図3(1)に示す1画素分の平面図のように、基板101上に下部電極(たとえばアノード電極)504が配置され、その下部電極504上に有機EL素子127の開口部(以下EL開口部と称する)127aが形成されている。下部電極504には接続孔(たとえばTFT−アノードコンタクト)504aが設けられ、この接続孔504aを介して下部電極504下に配された駆動トランジスタ121の入出力端(本例ではソース電極)に下部電極504が接続されるようになっている。
【0064】
下部電極504の周囲は絶縁膜パターン505で覆われて、有機EL素子127を構成する下部電極504、有機層506、上部電極508が積層されている部分のみが発光有効領域127bとなるように広く露出したEL開口部127aとされている。
【0065】
図3(2)には、図3(1)におけるA−A’線の断面図が示されている。図3(2)に示すように、基板101上の各画素回路Pに対応する位置に、画素回路を構成する駆動トランジスタ121やサンプリングトランジスタ125などの薄膜トランジスタQや保持容量120(容量値Cs)や補助容量310(容量値Csub )などの回路素子は内部配線が配置され、その層(第1配線層L1)の上部に層間絶縁膜502a,502b(酸化膜)が設けられる(図ではその回路素子の一部のみを示す)。
【0066】
層間絶縁膜502のさらに上部には、薄膜トランジスタQに接続されたソース電極線およびドレイン電極線が設けられる。また、各素子(薄膜トランジスタQ,保持容量120)を構成する導電層、およびソース電極線およびドレイン電極線を構成する導電層により、画素回路Pを構成する他の配線が形成される。
【0067】
そして、ソース電極線およびドレイン電極線などの層(第2配線層L2)を覆う状態で、さらに上層の平坦化膜として機能する層間絶縁膜503が設けられ、この層間絶縁膜503上に有機EL素子127が形成されている。有機EL素子127は、下層側から順に積層された下部電極(たとえばアノード電極)504、有機層506、および上部電極(たとえばカソード電極)508で構成されている。有機EL素子127は、下部電極504と上部電極508と間に誘電体である有機層506が挟まれた構造であるので、有機EL素子127は容量成分(寄生容量Cel)を持つことになる。
【0068】
有機層506は、詳細には、たとえば、低分子系の材料で多層構造を採用しており、下部電極504側から上部電極508側に向かって順に、たとえば、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層(電子注入層を兼ねる)を持つ。そして、カラー表示対応の場合は、発光層の有機材料として、表示色に適合したものを使用する。
【0069】
下部電極504は、画素電極としてパターン形成されており、層間絶縁膜502に形成された接続孔504aを介して駆動トランジスタ121のソース電極121sに接続されている。また、下部電極504と対向する上部電極508は全ての画素回路Pを覆うベタ膜として形成されている。
【0070】
このような層構造を持つ有機EL表示装置1においては、有機EL素子127が配列形成された基板101と反対側から発光光L1を取り出すいわゆるトップエミッション方式として構成することが、有機EL素子101の開口率を確保する上で有効になる。また、このようなトップエミッション方式であれば、有機EL素子127の開口率が、画素回路Pを構成する薄膜トランジスタQのレイアウトには依存しない。このため、さらに複数の薄膜トランジスタQや保持容量120を用いた画素回路Pを各画素に対応させて配置することもできる。
【0071】
下部電極504は、画素回路Pの配列に対応してマトリクス状に配置される(図4や図4Aを参照)。そして、この下部電極504の隣接画素間には、下部電極504と同一層で構成された補助配線505(補助電極)が配線された構成となっている。補助配線505は、上部電極508のカソード配線と電気的な接続がとられる。
【0072】
図示を割愛した基板101上の最初に設けられる第1配線層L1は、薄膜トランジスタQ(駆動トランジスタ121やサンプリングトランジスタ125)などの回路素子を形成するレイヤとしても使用される。たとえば、保持容量120(容量値Cs)は、一方の電極が第1配線層L1に形成され、それに対向する電極がポリシリコンで層間絶縁膜502a,502b間に形成されている。補助容量310(容量値Csub )は、一方の電極が第1配線層L1および第2配線層L2に形成され、それらに対向する電極がポリシリコンで層間絶縁膜502a,502b間に形成されている。
【0073】
第1配線層L1の電極とポリシリコンで第1の補助容量310aが形成され、第2配線層L2の電極とポリシリコンで第2の補助容量310bが形成され、第1配線層L1の電極と第2配線層L1の電極とがコンタクトにより接続されることで、第1の補助容量310aと第2の補助容量310bが並列接続された状態となっている。なお、補助容量310bを利用することは必須ではなく、保持容量120と同様に、第1配線層L1の電極とポリシリコンで構成される補助容量310aのみとしてもよい。もちろん、この補助容量310自体を使用しない構成を採ることもできる。
【0074】
この表示装置1は、基板101と反対側から発光光を取り出すトプエミッション型であるため、下部電極504は遮光性が高く、かつ反射率の高い材料で構成される。一方、上部電極508は、光透過性の高い材料を用いて構成される。したがって、上部電極508の配線抵抗が大きくなる。上部電極508をベタ配線としても抵抗値の低減には限界がある。補助配線505は、この高抵抗の上部電極508と電気回路的に並列に配線することで、カソード配線全体としての抵抗値を低減するのに寄与する。図示を割愛するが、基板101において、トランジスタQや有機EL素子127が配置されている側と反対側の面には、光リークや温度拡散のために遮光メタル層が設けられる。
【0075】
たとえば、有機EL素子127の下部電極と補助配線の第1比較例のレイアウトが図4に示されている。この図に示すように、下部電極504は、マトリクス状に配置された画素回路Pの配列に対応して、その画素回路Pを取り囲むように格子状に配置され、さらに外周にも画素アレイ部102の全体を取り囲むように配置されている。そして、この下部電極504間に、下部電極504と同一層で構成された補助配線505が配線された構成となっている。前述のように、下部電極504が形成されるアノード層L3の補助配線505は、適当な箇所にて(図の例では各画素間の中心および外周の画素と対応する中心に)、カソードコンタクトKCにより、その上層の上部電極508と接続される。
【0076】
補助容量310のノードを有機EL素子127のカソード配線に接続するべく、第1配線層L1の電極と第2配線層L1の電極を、さらにコンタクトにより補助配線505に接続することで、最終的に上部電極508と接続されるようにしている。
【0077】
また、図4Aに示す第2比較例のレイアウトでは、トップエミッション方式での高精細画素構造とする場合において、画素開口率を稼ぐために、補助配線505を画素アレイ部102の全体を取り囲むように配置するだけで、画素アレイ部102(表示エリア)内に格子状または列または行状に配線するレイアウトを用いていない。
【0078】
たとえば、図5に示すように、一般的なサブピクセルレイアウトとしては垂直方向に一列に同色のサブピクセルが画素開口間隔W0で配列されるストライプ構造が知られている。また、高精細画素では、開口率を稼ぐために、画素内の補助配線レイアウトを使用しないことがある。
【0079】
補助配線のない構造でカラー画像表示用に色別のサブピクセルを形成したストライプ構造では、従来は一般的に、垂直方向に同列の各画素について何れか1色のサブピクセル分を全て纏めて長尺状の開口部602を画素ピッチで設けた図5Aに示すようなスリットマスク600が用いられている。しかしながら、このようなスリットマスク600では、弛みなどが生じ易く強度の弱いマスクとなってしまい、特に横方向のマスク合わせ精度を出すのが困難である。この問題は、パネルサイズが大きくなるほど顕在化する。この問題を解消するために、マスクズレを考慮して設計してしまうと、サブピクセルをより細長い形状にする必要があり、その画素開口率は低下してしまう。
【0080】
一方、高精細化で高開口率を達成するためには、図5Bに示すような1画素について1つのサブピクセル分ずつ開口部612を垂直方向には縦ストライプ状に設け水平方向には画素ピッチで設けた縦ストライプ画素ごとマスク610を使用することがある。このようなマスク構造は、垂直方向(上下方向)の各画素間に、水平方向(マスク横方向)の橋渡しをなす間隔部614を備える。画素ごとに間隔部614が設けられたマスク構造となり、スリットマスク600において横方向に弛みが生じ易いと言った難点を解消でき、強度の強いマスクにすることができる。
【0081】
しかしながら一方で、この縦ストライプ画素ごとマスク610では、垂直方向に画素ごとの間隔部614が必要であり、これにより、開口率の低下が発生してしまう。低開口率のサブピクセルでは開口密度が大きくなり、輝度を稼ぐため狭開口部に大電流を流さざるを得なくなり結果的には寿命劣化に繋がってしまう。
【0082】
このように、従来のシャドーマスクでは、強度と開口率の双方を満足できるものとすることができていない。高精細パネルにおいて、EL素子の寿命に十分な高開口率を確保できるような高強度のシャドーマスクの開発が求められている。
【0083】
<改善手法:第1実施形態>
図6および図6Aは、シャドーマスク(蒸着マスク)の強度と画素開口率を改善する手法の第1実施形態を説明する図である。ここで、図6は、第1実施形態の表示パネル部100Aにおけるカラー画像表示用の3原色(R,G,B)のサブピクセルの色配置と画素開口配置を示す図である。図6Aは、強度と開口率を改善し得るようにした第1実施形態のシャドーマスク620Aを示す図である。
【0084】
後述する第2、第3実施形態も含めて、本実施形態の表示パネル部100における色配置および画素開口配置は、R,G,Bの同色に着目したとき、サブピクセル位置が行ごとに水平方向に順次シフトさせて配置している点に特徴を有する。色別に見たときには、どの色もストライプ構造を採らずに、同色のサブピクセル位置が斜め方向に配置されることが従前の縦ストライプ構造と大きく異なる点である。
【0085】
このような色配置と画素開口配置を有する本実施形態の表示パネル部100を形成するためのシャドーマスク620は、行ごとに所定量だけシフトされたサブピクセルに対応する開口部を備え、同色のサブピクセル位置が斜め方向となるのと同様に、その開口部が斜め方向に配置されることで、斜め方向の各開口部の間に垂直・水平方向の橋渡しをなす間隔部が設けられた構造をなす。各開口部は、画素アレイ部の、ある色についての有機EL素子127のEL開口部127aに対応する形状および大きさを持つ。
【0086】
こうすることで、従来は垂直方向の画素間ごとに水平方向の橋渡しをなす間隔部が設けられているのに対して、本実施形態では、斜め方向に橋渡しをなす間隔部が画素間ごとに設けられた構造となる。スリットマスク600とは異なり、斜め方向の橋渡しをなす間隔部は従前の縦ストライプ画素ごとマスク610と同等で確実に存在するのでマスク強度の問題は起きず、縦ストライプ画素ごとマスク610と同等レベルにすることができると考えてよい。強度の大きな蒸着マスクを用いることができ、画素の高開口率化や高精細化を実現できるようになる。
【0087】
ここで、各行のサブピクセルの水平方向へのシフト量を如何様に設定するかで様々な形態を採り得る。後述する第1〜第3実施形態はこの点に着目した各態様である。たとえば、第1実施形態においては、後述する第3実施形態との相違点として、RGBのサブピクセル配置を行ごとにサブピクセルの配列ピッチでシフトさせ配置する点に特徴を有する。もちろん、これに対応するシャドーマスク620Aも、開口部や間隔部が斜め方向に並ぶように配置する。
【0088】
この場合、色別に見たときには、どの色もストライプ構造を採らずに同色のサブピクセル位置が斜め方向となるけれども、色を無視して見たときには(色に関わらず)、従前の縦ストライプ構造と同様に縦ストライプ構造となる点に特徴を持つ。後述する第3実施形態では、色を無視して見たときにもサブピクセル位置が斜め方向となるのと異なる。
【0089】
第1実施形態と後述する第2実施形態との相違は、同色のサブピクセル位置を斜め右下方向に一列に並ぶように配置している点である。たとえば、図6に示す例では、表示パネル部100Aにおける4行*2列の計8画素分のサブピクセルの色配置例を示している。同色のサブピクセルに着目したときには、行ごとに、サブピクセルピッチで右方向にシフトすることで、同色のサブピクセルが左上から右下の斜め方向に一列に配置される。これにより、同色のサブピクセルは垂直方向(上下方向)に連続しないように配列されるようになる。各行の画素間隔を極限まで狭くすることができ、垂直方向の画素開口を極限まで大きくすることができる。ここで「極限」とは、垂直方向の隣接画素(色は不問)が接触しない程度を意味する。
【0090】
図6に示す色配置および画素開口配置の表示パネル部100Aに対応した第1実施形態のシャドーマスク620Aの一例が図6Aに示されている。この第1実施形態のシャドーマスク620Aは、同色のサブピクセルが左上から右下の斜め方向に配置されるのと同様に、開口部622が左上から右下の斜め方向に配置される。つまり、斜め右下方向に開口が空いたマスクとなる。同色のサブピクセルに対応する開口部が垂直方向に連続しないことで、垂直方向のマスク間隔(画素間隔W2_V)を極限まで狭くすることができ、垂直方向の画素開口を極限まで大きくすることができる。ここで「極限」とは、垂直方向の隣接画素(色は不問)が接触しない程度を意味する。ただし後述する第3実施形態と比べた場合、シャドーマスク620Aの水平方向の間隔部624_Hは狭くなる点に留意する必要がある。
【0091】
このようなマスク構造では、垂直方向の間隔部は概ね画素ピッチとなり、垂直方向への引っ張りに対するマスク強度を十分に大きくすることができる。また、水平方向の間隔部も画素ピッチであり、水平方向への引っ張りに対するマスク強度を十分に大きくすることができる。さらに斜め方向には画素間ごとに間隔部624が設けられるので、斜め方向への引っ張りに対するマスク強度は従前の縦ストライプ画素ごとマスク610と同等にできると考えられる。
【0092】
その結果、図6に示すように、補助配線のない画素においては、従来に比べて垂直方向(縦方向)に開口を拡大することができる。また、マスクとしても垂直方向および水平方向の二方向に引っ張ることができ、その強度は縦ストライプ画素ごとマスク610と同程度にすることができるので、従来のスリットマスク600と比べて合わせ精度が出し易くなる。
【0093】
このように、第1実施形態の表示パネル部100Aにおける色配置および画素開口配置とそれに対応した第1実施形態のシャドーマスク620Aによれば、従来のスリットマスク600に比べると縦ストライプ画素ごとマスク610と同様に間隔部624の存在によりマスクの強度が上がり撓みを改善できる高強度のマスクにすることができる。また、行ごとに同色のサブピクセル位置を斜め右下方向にシフトさせるので、垂直方向のマスク間隔(画素間隔W2_V)を極限まで狭くでき、垂直方向の画素間隔を極限まで狭くできる。その場合でも、第1、シャドーマスク620Cの水平方向の間隔部624_Hを第1、第2実施形態よりも広くとることができる点が第3実施形態の利点である。
【0094】
これにより、EL開口部127aを形成するための蒸着起因の開口率の低下を抑制でき、高精細パネルにて、高強度で高開口率が達成できる。大サイズのパネルにする際に、強度の強いシャドーマスク620Aを用いた上で、高開口率が可能となり、高精細パネルにおいても、EL素子の寿命に十分な開口率を確保することができ、パネルの高精細化が可能となる。
【0095】
<改善手法:第2実施形態>
図7および図7Aは、シャドーマスク(蒸着マスク)の強度と画素開口率を改善する手法の第3実施形態を説明する図である。ここで、図7は、第2実施形態の表示パネル部100Bにおけるカラー画像表示用の3原色(R,G,B)のサブピクセルの色配置と画素開口配置を示す図である。図7Aは、強度と開口率を改善し得るようにした第2実施形態のシャドーマスク620Bを示す図である。
【0096】
第2実施形態においては、前述の第1実施形態と異なり、同色のサブピクセル位置が斜め左下方向に一列に並ぶように配置している。たとえば、図7に示す例では、表示パネル部100Bにおける4行*2列の計8画素分のサブピクセルの色配置例を示している。同色に着目したときには、行ごとに、サブピクセルピッチで左方向にシフトされ、同色のサブピクセルが右上から左下の斜め方向に一列に配置される。これにより、第1実施形態と同様に、同色のサブピクセルは垂直方向(上下方向)に連続しないようになる。
【0097】
図7に示す色配置および画素開口配置の表示パネル部100Bに対応した第2実施形態のシャドーマスク620Bの一例が図7Aに示されている。この第2実施形態のシャドーマスク620Bは、同色のサブピクセルが右上から左下の斜め方向に配置されるのと同様に、開口部622および間隔部624が右上から左下の斜め方向に配置される。つまり、斜め左下方向に開口が空いたマスクとなる。第1実施形態と同様に、同色のサブピクセルが垂直方向に連続しないことで、垂直方向のマスク間隔を極限まで狭くすることができる。第1実施形態と同様に、各行の画素間隔を極限まで狭くすることができ、垂直方向の画素開口を極限まで大きくすることができる。
【0098】
その結果、図7に示すように、補助配線のない画素においては、従来に比べて縦方向に開口を拡大することができる。また、マスクとしても垂直方向および水平方向の二方向に引っ張ることができ、その強度は縦ストライプ画素ごとマスク610と同程度にすることができるので、従来のスリットマスク600と比べて合わせ精度が出し易くなる。
【0099】
このように、第2実施形態の表示パネル部100Bにおける色配置および画素開口配置とそれに対応した第2実施形態のシャドーマスク620Bは、画素アレイ部102における同色のサブピクセルやシャドーマスク620Bの開口部622の斜めシフト方向が第1実施形態と逆になっているだけで、基本的な仕組みは同じであり、第1実施形態と同様の効果を享受できる。従来のスリットマスク600に比べると縦ストライプ画素ごとマスク610と同様に間隔部624の存在によりマスクの強度が上がり撓みを改善できる高強度のマスクにすることができる。また、行ごとに同色のサブピクセル位置を斜め右下方向にシフトさせるので、垂直方向のマスク間隔を極限まで狭くでき、垂直方向の画素間隔を極限まで狭くできる。
【0100】
<改善手法:第3実施形態>
図8および図8Aは、シャドーマスク(蒸着マスク)の強度と画素開口率を改善する手法の第3実施形態を説明する図である。ここで、図8は、第3実施形態の表示パネル部100Cにおけるカラー画像表示用の3原色(R,G,B)のサブピクセルの色配置と画素開口配置を示す図である。図8Aは、強度と開口率を改善し得るようにした第3実施形態のシャドーマスク620Cを示す図である。
【0101】
前述の第1および第2実施形態では、同色に着目したときに左上から右下(あるいは右上から左下)の斜め方向に、行ごとに、サブピクセルピッチでシフトしてサブピクセルを配置していたが、この第3実施形態では、画素中心を0.5サブピクセルピッチで行ごとにシフトして各サブピクセルを配置する点に特徴を有する。換言すれば、同色のサブピクセルを0.5画素ピッチ(本例では1.5サブピクセルピッチと同等)で行ごとにシフトして各サブピクセルを配置する点に特徴を有する。よって、R,G,Bの並びは1行おきに異なっている。
【0102】
こうすることで、色を無視しても、サブピクセルは0.5サブピクセルピッチでシフトすることになり、結果的には、色を無視して見たときにも縦ストライプ構造を採らずにサブピクセル位置が斜め方向となる。同色のサブピクセルに着目したときには、垂直方向に連続せず千鳥足状(ジグザグ状)に配列され、同色のサブピクセルが均等に配置される、つまり市松状に均等になるように配置されることが分る。これにより、同色のサブピクセルは垂直方向(上下方向)に連続しないだけでなく、同色のサブピクセルごとの距離を最大限に広くとることができるようになる。
【0103】
図8に示す色配置および画素開口配置の表示パネル部100Bに対応した第3実施形態のシャドーマスク620Bの一例が図8Aに示されている。この第3実施形態のシャドーマスク620Bは、同色のサブピクセルが市松状で均等に配置されるのと同様に、開口部622が市松状で均等に配置される。つまり、斜め左下方向や斜め右下方向に相応の間隔部624を持って開口が空いたマスクとなる。第1、第2実施形態と同様に、同色のサブピクセルが垂直方向に連続しないことで、垂直方向のマスク間隔を極限まで狭くすることができる。
【0104】
蒸着マスク開口部(開口部622)は完全な市松状に配置されるので、斜め方向の間隔部624を第1、第2実施形態よりも広くとることができ、斜め方向の引っ張りに対するマスク強度をより高めることができ、一層強度の大きな蒸着マスクとすることができる。サブピクセルごとの距離を最大限に取ることができるので、開口部622は100%開けることができ、同時にマスク強度も高く、均等配置のため、マスクの合わせ精度を出し易い。
【0105】
このように、第3実施形態の表示パネル部100Cにおける色配置および画素開口配置とそれに対応した第3実施形態のシャドーマスク620Cは、画素アレイ部102における同色のサブピクセルやシャドーマスク620Bの開口部622が斜め方向にシフトされている点では第1、第2実施形態と同様であり、第1、第2実施形態と同様の効果を享受できる。加えて、第1、第2実施形態よりも間隔部624を広くとることができるため、強度の極めて大きな蒸着マスクにでき、第1、第2実施形態よりもサイズの大きなパネルにおいて画素の高開口率化や高精細化を実現するに当たり十分対応できるようになる。
【0106】
<成膜処理>
図9は、本実施形態のシャドーマスク620(620A,620B,620C)を使用して本実施形態の表示パネル部100(100A,100B,100C:特にEL開口部127a)を形成する手順を説明するフローチャートである。
【0107】
本実施形態の表示パネル部100の有機発光層を成膜する際には、色別の成膜ステップにおいて、色別に(たとえばR→G→Bの順)、シャドーマスク620の間隔部624の位置が表示パネル部100における所望色のサブピクセル(詳細にはそのEL開口部127a)の位置に対応するようにシャドーマスク620を配置することで、所望色のEL開口部127a(詳細には有機層506)を成膜していくことになる。別の色のEL開口部127aを形成する際には、対象色をたとえばR→G→Bの順に切り替える都度、サブピクセル(電気光学素子)の配列ピッチの分だけシャドーマスク620の開口部622の位置を水平方向にシフトすればよい。
【0108】
つまり、薄膜をつけていく段階で、有機EL素子127をなす有機層506の有機材料に低分子系を採用するので、注入層・輸送層・発光層などの膜を形成するために、ここでは真空蒸着法を採用する。真空蒸着法にも、詳細には抵抗加熱蒸着法や電子ビーム蒸着法など各種の手法があるが、本例では比較的単純な方法である抵抗加熱蒸着法で説明する。
【0109】
抵抗加熱蒸着法では、図9に示すように、蒸着機の真空チャンバの台(基板ホルダ)の上に、TFTや容量素子などの回路素子および下部電極504がパターニングされた中間基板Xをセット(通常は下向きに)し、薄膜形成用の低分子系材料をルツボ(坩堝)に入れてチャンバ内を真空状態にする。この後、フィラメントに通電してルツボを加熱して、低分子系材料を昇華(気化・ガス化)させて蒸着機の中を浮遊させ、上部にセットした中間基板Xに膜として付着させる。このとき、下部電極504から上部電極508に向けた積層順となるように、ホール注入層(S112)→ホール輸送層(S114)→発光層(S116)→電子輸送層(S118)を形成し、最後に上部電極508を形成する(S120)。
【0110】
ここで、表示パネル部100のフルカラー化を図る場合には、画素単位で開口部が設けられた第1のメタルマスク620Zを使用してホール注入層とホール輸送層を画素位置に蒸着させた後には、発光層に関しては、たとえばRGBの3原色の有機色素を狭い範囲で塗り分けていく必要がある。このRGB塗分けのために、第1のメタルマスク620Zとは異なる本実施形態のシャドーマスク620が使用される。シャドーマスク620の開口部622の設けられた部分にだけ、R,G,Bの色素(有機材料=発光層)を蒸着させていくのである。
【0111】
具体的には、中間基板Xの前に開口部622の設けられた薄い金属板(シャドーマスク620)を置いて、表示パネル部100のR色のサブピクセルの位置にシャドーマスク620の開口部622を配置し(S115R)、R色用の有機材料を蒸着させる(S116R)。これにより、画素アレイ部102の赤色用のサブピクセル部分に一括してR色用の有機層506(発光層)が形成される。
【0112】
この後、シャドーマスク620をサブピクセルピッチ分だけ水平方向にずらして、表示パネル部100のG色のサブピクセルの位置にシャドーマスク620の開口部622を配置し(S115G)、G色用の有機材料を蒸着させる(S116G)。これにより、画素アレイ部102の緑色用のサブピクセル部分に一括してG色用の有機層506(発光層)が形成される。
【0113】
この後、シャドーマスク620をサブピクセルピッチ分だけ水平方向にずらして、表示パネル部100のB色のサブピクセルの位置にシャドーマスク620の開口部622を配置し(S115B)、B色用の有機材料を蒸着させる(S116B)。これにより、画素アレイ部102の青色用のサブピクセル部分に一括してB色用の有機層506(発光層)が形成される。
【0114】
以上の説明から理解されるように、本実施形態の表示パネル部100における画素アレイ部102の有機EL素子127を成膜するに当たっては、成膜用の窓(開口部622)の空いたシャドーマスク620を少しずつ(サブピクセルピッチ分)水平方向にずらしながら、R,G,Bの低分子有機色素を付着させていくので、低分子系での一般的なフルカラーの手法と同様の成膜法とすることができる。
【0115】
このように、本実施形態の表示パネル部100における色配置および画素開口配置とそれに対応した本実施形態のシャドーマスク620によれば、従来のスリットマスク600に比べると縦ストライプ画素ごとマスク610と同様に間隔部624の存在によりマスクの強度が上がり撓みを改善できる高強度のマスクにすることができる。また、同色のサブピクセルを行ごとにサブピクセルピッチもしくは1.5サブピクセルピッチで斜め方向にシフトさせることで、従来の縦ストライプ画素ごとマスク610と同等もしくはそれ以上のマスク強度にすることができる。
【0116】
これにより、EL開口部127aを形成するための蒸着起因の開口率の低下を抑制でき、高精細パネルにて、高強度で高開口率が達成できる。大サイズのパネルにする際に、強度の強いシャドーマスク620を用いた上で、高開口率が可能となり、高精細パネルにおいても、EL素子の寿命に十分な開口率を確保することができ、パネルの高精細化が可能となる。
【0117】
また、EL開口部127a(有機層506)の成膜時には、従前の縦ストライプ画素ごとマスク610を使用する場合と同様に水平方向のみにシャドーマスク620をシフトすればよく、制御が簡単である。1枚のシャドーマスク620にて、R,G,Bの発光層の蒸着処理を行なうことができ、従来に比べてコストは同等である。
【0118】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で前記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0119】
また、前記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0120】
たとえば、前記実施形態では、画素回路Pの電気光学素子として、有機EL素子127を用いた例を説明したが、この例に限られず、素子に流れる電流値に応じて発光層から発せられる光量が変化する電流駆動型の電気光学素子を用いた表示装置全般に対してのカラー表示への対応に適用可能である。
【0121】
また、画素回路は、それを構成するトランジスタ数や回路構成としてnチャネル型の薄膜電界効果トランジスタを2つ有する2TR構成を一例として示したが、回路理論上は「双対の理」が成立するので、画素回路Pに対しては、この観点からの変形を加えることができる。
【0122】
また、回路変更の手法はこれに限定されるものではない。2TR構成であるか否かは不問でありトランジスタ数が3個以上であってもよく、それらの全てに、前述の本実施形態の各改善手法を適用できる。こうすることで、高強度のシャドーマスクを用いて画素の高開口率化あるいはパネルの高精細化を図るという本実施形態の思想を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明に係る表示装置の一実施形態であるアクティブマトリクス型表示装置の構成の概略を示すブロック図である。
【図1A】本発明に係る表示装置の一実施形態であるアクティブマトリクス型表示装置の構成の概略を示すブロック図(カラー表示態様の場合)である。
【図2】本実施形態の表示装置に使用される画素回路の一例を示す図である。
【図3】有機EL素子や補助容量などの配置を説明する図である。
【図4】有機EL素子の下部電極と補助配線の第1比較例のレイアウトを示した図である。
【図4A】図4に対する変形例である第2比較例のレイアウトを示した図である。
【図5】カラー画像表示用の3原色のサブピクセルの色配置例と画素開口配置の一例を示す図である。
【図5A】スリットマスクの一例を示す図である。
【図5B】縦ストライプ画素ごとマスクの一例を示す図である。
【図6】第1実施形態の表示パネル部におけるカラー画像表示用の3原色のサブピクセルの色配置と画素開口配置を示す図である。
【図6A】第1実施形態のシャドーマスクを示す図である。
【図7】第2実施形態の表示パネル部におけるカラー画像表示用の3原色のサブピクセルの色配置と画素開口配置を示す図である。
【図7A】第2実施形態のシャドーマスクを示す図である。
【図8】第3実施形態の表示パネル部におけるカラー画像表示用の3原色のサブピクセルの色配置と画素開口配置を示す図である。
【図8A】第3実施形態のシャドーマスクを示す図である。
【図9】本実施形態のシャドーマスクを使用して表示パネル部の有機発光層を成膜する手順を説明する図である。
【符号の説明】
【0124】
1…表示装置、100…表示パネル部、101…基板、102…画素アレイ部、103…垂直駆動部、104…書込走査部、105…駆動走査部、106…水平駆動部、109…制御部、120…保持容量、121…駆動トランジスタ、125…サンプリングトランジスタ、127…有機EL素子、127a…EL開口部、130…インタフェース部、133…垂直IF部、136…水平IF部、200…駆動信号生成部、220…映像信号処理部、310…補助容量、502…層間絶縁膜、503…層間絶縁膜、504…下部電極、505…補助配線、506…有機層、508…上部電極、600…スリットマスク、610…縦ストライプ画素ごとマスク、620…シャドーマスク、622…開口部、624…間隔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れる電流によって発光層から発せられる光量が変化する電気光学素子を行列状に有する画素アレイ部を備え、カラー表示用の1画素が色別の前記電気光学素子の組合せで構成され、前記色別の電気光学素子の前記発光層は、所定形状の開口部が設けられた同一のシャドーマスクの前記開口部を所望色の前記発光層に対応させて配置して色別に塗り分けることで形成されるカラー画像表示装置であって、
同色の前記電気光学素子の1画素内の位置が、前記画素アレイ部の水平方向に順次シフトして配置され、同色の前記電気光学素子の位置が斜め方向に一列に配置されている
ことを特徴とするカラー画像表示装置。
【請求項2】
画素中心の位置が前記画素アレイ部の水平方向への前記電気光学素子の配列ピッチに対して1/2ピッチでシフトして配置され、同色の前記電気光学素子が市松状に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のカラー画像表示装置。
【請求項3】
流れる電流によって発光層から発せられる光量が変化する電気光学素子を行列状に有する画素アレイ部であって、カラー表示用の1画素を構成する色別に前記発光層が塗り分けて形成された前記電気光学素子を具備する前記画素アレイ部を備えたカラー画像表示装置の製造に使用されるシャドーマスクであって、
ある色についての前記電気光学素子の前記発光層に対応する形状および大きさの開口部が設けられ、
前記開口部は、前記画素アレイ部の斜め方向に対応するように一列に配置されている
ことを特徴とするシャドーマスク。
【請求項4】
前記開口部は、市松状に均等に配置されている
ことを特徴とする請求項3に記載のシャドーマスク。
【請求項5】
流れる電流によって発光層から発せられる光量が変化する電気光学素子を画素アレイ部に備え、カラー表示用の1画素が色別の前記電気光学素子の組合せで構成され、前記色別の電気光学素子の前記発光層を、所定形状の開口部が設けられた同一のシャドーマスクの前記開口部を所望色の前記発光層に対応させて配置して色別に塗り分けることでカラー画像表示装置を製造する方法であって、
前記シャドーマスクは、ある色についての前記電気光学素子の前記発光層に対応する形状および大きさの開口部が設けられ、前記開口部は前記画素アレイ部の斜め方向に対応するように一列に配置されており、
前記シャドーマスクの前記開口部のそれぞれを、前記画素アレイ部の前記カラー表示用の1画素の所望色の前記電気光学素子の前記発光層の位置に対応させて配置し、前記所望色の色素を基板に付着させることで当該所望色の前記発光層を成膜する色別の成膜ステップを備え、
色別の前記成膜ステップにおいて、前記所望色を切り替えるごとに、前記画素アレイ部の水平方向に前記電気光学素子の配列ピッチの分だけ前記シャドーマスクの前記開口部の位置をシフトする
ことを特徴とするカラー画像表示装置の製造方法。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【図8A】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−169070(P2009−169070A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6734(P2008−6734)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】