説明

カラー表示装置の駆動制御回路および駆動制御方法

【課題】多原色構成の表示パネルの高い表現能力を十分に利用し、外部環境や、表示内容、用途等に応じて質の高いカラー画像を表示できる表示装置の駆動制御回路を提供する。
【解決手段】カラー液晶表示装置において、表示すべきカラー画像を表す原色信号のレベルを調整するための変換回路100が設けられている。この変換回路100は、カラー画像表示のためのデータ信号DVとして赤、緑、青、白の原色信号R1,G1,B1,W1を受け取り、そのうちの白の原色信号W1に基づき、これらの原色信号R1,G1,B1,W1のレベルを調整し、調整後の原色信号R2,G2,B2,W2を出力する。表示部500は、それらの出力原色信号R2,G2,B2,W2に基づき駆動されてカラー画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー表示装置に関するものであり、更に詳しくは、4原色以上の多原色に基づきカラー画像を表示するカラー表示装置の駆動制御に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置におけるカラー画像の表示は、通常、赤(R)、緑(G)、青(B)からなる3原色の加法混色により実現される。すなわち、カラー表示画像における各画素は、赤、緑、青にそれぞれ対応するR副画素、G副画素、B副画素から構成される。したがって、例えばカラー表示用の液晶パネルでは、1つの画素を形成するための画素形成部が、赤、緑、青の光の透過量をそれぞれ制御するR副画素形成部、G副画素形成部、B副画素形成部から構成されている。ここで、R副画素形成部、G副画素形成部、B副画素形成部の実現に際しては、通常、カラーフィルタが使用される。
【0003】
一方、カラー表示画像における各画素が、赤(R)、緑(G)、青(B)、白(W)にそれぞれ対応するR副画素、G副画素、B副画素、W副画素からなる構成も提案されている。この場合、液晶パネルの背面側に配置されたバックライトからは白色光が発せられ、W副画素形成部には、カラーフィルタが配置されないか、または、無色もしくはほぼ無色のカラーフィルタが配置される。この構成によれば、カラー液晶表示装置において、輝度の向上または消費電力の低減を図ることができる。また、カラー表示画像における各画素が、赤、緑、青の3原色に白以外の他の原色を加えた4つ以上の原色の副画素で構成される場合もある。
【0004】
このように各画素が4つ以上の原色に対応する4つ以上の副画素からなる構成(以下「多原色構成」という)として、下記のような例が知られている(以下では、各構成例において1画素がどのような副画素から構成されるかを示している)。
a)赤、緑、青、白の4原色による構成:
R副画素、G副画素、B副画素、W副画素
b)赤、緑、青、シアン、イエローの5原色による構成:
R副画素、G副画素、B副画素、C副画素、Y副画素
c)赤、緑、青、シアン、マゼンタ、イエローの6原色による構成:
R副画素、G副画素、B副画素、C副画素、M副画素、Y副画素
d)赤、緑、青、シアン、マゼンタ、イエロー、白の7原色による構成:
R副画素、G副画素、B副画素、C副画素、M副画素、Y副画素、W副画素
【0005】
カラー表示用の液晶表示装置では、上記のような多原色構成の液晶パネルが使用される場合であっても、外部から与えられる表示データは、従来、RGBの3原色に対応する原色信号の形式となっていた。このため、その液晶パネルが例えば4原色構成のパネルであって各画素がR副画素、G副画素、B副画素、W副画素からなる場合には、当該液晶表示装置は、RGBの3原色に対応する原色信号(以下「3原色信号」という)R1,G1,B1をRGBWの4原色に対応する原色信号(以下「4原色信号」という)R2,G2,B2,W2に変換するための変換回路を備えている。
【0006】
なお、下記の特許文献1,2には、本願発明に関連する技術が記載されている。すなわち、特許文献1では、3色映像信号を4色映像信号に変換するとき、白色画素の追加による輝度増加の偏差を低減することが技術的課題とされ、この技術的課題を解決するための発明の実施形態として、3色映像信号を白色信号を含む4色映像信号に変換する装置が記載されている。また文献2には、RGB映像信号から白色成分を検出し、当該白色成分を用いて当該RGB映像信号につき演算を行うことによりRGB出力信号を得る色変換回路を備えた画像表示装置が記載されている。
【特許文献1】特開2005−196184号公報
【特許文献2】特開2007−127735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような多原色構成の液晶パネルは、3原色構成の液晶パネルよりもカラー画像について高い表現能力を有している。しかし、原色信号がデジタル信号である場合には、通常、1つの原色当たり予め決められたビット数が割り当てられており、従来のように3原色信号を変換して得られる多原色信号は、多原色信号の全ての信号状態を取り得ない。すなわち、3原色信号を変換して得られる4原色信号等の多原色信号に基づき多原色構成の液晶パネルを駆動する場合には、その多原色構成の液晶パネルの表現能力を十分に利用することができない。
【0008】
また、4原色信号等の多原色信号が外部から与えられる場合であっても、その多原色信号に基づき多原色構成の液晶パネルを駆動するだけでは、外部環境や表示内容等によっては、当該液晶パネルの表示能力を十分に生かした質の高いカラー画像表示が実現されない場合もある。例えば、当該表示装置の周囲が明るい場合において良好な表示を得るには外部からの多原色信号に基づく輝度よりも高い輝度で表示することが好ましい。また、表示すべき内容によっては、外部からの多原色信号が示す所定の色または輝度を調整することが表示品位を高める上で好ましい場合もある。このように、多原色信号を表示装置が受け取る場合、当該多原色信号により質の高いカラー画像の表示が潜在的には可能となるが、外部から与えられる多原色信号に基づき表示しただけでは、外部環境、表示内容、または用途等によっては必ずしも十分に質の高いカラー画像表示を行えない。
【0009】
そこで本発明では、多原色構成の表示パネルの高い表現能力を十分に利用し、外部環境、表示内容、または用途等に応じて質の高いカラー画像を表示できるカラー表示装置のための駆動制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、4原色以上の多原色に基づくカラー画像を表示するカラー表示装置において当該カラー画像が表示されるように表示部を駆動するための駆動制御回路であって、
前記多原色に基づくカラー画像を表す第1の原色信号を受け取り、前記多原色における少なくとも1つの原色であって他の複数の原色の加法混色により得られる原色の信号レベルおよび当該他の複数の原色の信号レベルのうち一方の信号レベルが他方の信号レベルに応じて変更されるように、前記第1の原色信号を前記多原色に基づくカラー画像を表す第2の原色信号に変換する変換回路と、
前記表示部を駆動するための駆動信号を前記変換回路により得られる第2の原色信号に基づき生成し前記表示部に供給する駆動回路とを備えることを特徴とする。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、
前記多原色は、赤、緑、青、白からなり、
前記変換回路は、赤、緑、青のそれぞれの原色の信号レベルが白の信号レベルに応じて変更されるように前記第1の原色信号を前記第2の原色信号に変換することを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、カラー表示装置であって、
第1または第2の発明に係る駆動制御回路を備えることを特徴とする。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、
前記表示部は、カラー画像を表示するための複数の画素形成部を有する液晶パネルを含み、
各画素形成部は、前記多原色の光の透過量をそれぞれ制御するための所定数の副画素形成部からなり、
前記駆動回路は、前記駆動信号を前記液晶パネルに供給することにより前記多原色に基づくカラー画像を前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0014】
第5の発明は、第4の発明において、
前記多原色は、赤、緑、青、白からなり、
各画素形成部は、赤色光の透過量を制御するためのR副画素形成部と、緑色光の透過量を制御するためのG副画素形成部と、青色光の透過量を制御するためのB副画素形成部と、白色光の透過量を制御するためのW副画素形成部とからなることを特徴とする。
【0015】
第6の発明は、4原色以上の多原色に基づくカラー画像を表示するカラー表示装置において当該カラー画像が表示されるように表示部を駆動するための駆動制御方法であって、
前記多原色に基づくカラー画像を表す第1の原色信号を受け取り、前記多原色における少なくとも1つの原色であって他の複数の原色の加法混色により得られる原色の信号レベルおよび当該他の複数の原色の信号レベルのうち一方の信号レベルが他方の信号レベルに応じて変更されるように、前記第1の原色信号を前記多原色に基づくカラー画像を表す第2の原色信号に変換する変換ステップと
前記表示部を駆動するための駆動信号を前記変換ステップにより得られる第2の原色信号に基づき生成し前記表示部に供給する駆動ステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上記第1の発明によれば、4原色以上の多原色に基づくカラー画像を表す第1の原色信号のレベルが当該第1の原色信号に含まれる信号に応じて調整され、その調整後の原色信号である第2原色信号に基づき生成される駆動信号により表示部が駆動される。すなわち、上記多原色のうち少なくとも1つの色は上記多原色における他の色の加法混色により生成可能であり、当該少なくとも1つの色と当該他の色のうち一方の色の第1の原色信号のレベルに応じて、他方の色の第2の原色信号のレベルが調整される。これにより、別途制御信号を設けることなく、表示画像における各色成分の強度を調整することで、多原色構成の表示部の高い表現能力を十分に利用し、外部環境や、表示内容、または用途等に応じて質の高いカラー画像を表示することが可能となる。
【0017】
上記第2の発明によれば、赤、緑、青、白からなる4原色に基づくカラー画像を表す第1の原色信号における赤、緑、青の原色信号のレベルが当該第1の原色信号における白の原色信号のレベルに応じて調整され、その調整後の原色信号である第2原色信号に基づき生成される駆動信号により表示部が駆動される。これにより、別途制御信号を設けることなく、第1の原色信号に含まれる白の原色信号により表示画像における各色成分の強度を調整することで、赤、緑、青の3原色に基づくカラー画像表示よりも高い表現能力を十分に利用し、外部環境や、表示内容、または用途等に応じて質の高いカラー画像を表示することが可能となる。
【0018】
上記第3の発明によれば、第1または第2の発明と同様の効果を奏する表示装置を提供することができる。
【0019】
上記第4の発明によれば、第1または第2の発明と同様の効果を奏する液晶表示装置を提供することができる。
【0020】
上記第5の発明によれば、各画素形成部は白色光の透過量を制御するW副画素形成部を含むので、消費電力の増大を抑えつつ、第2の発明と同様の効果を奏する液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
<1 全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る駆動制御回路を備えたカラー液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。この液晶表示装置は、アクティブマトリクス型のカラー液晶表示パネルを含む表示部500と、この表示部500を駆動するための駆動信号を生成する駆動制御回路300とを備えている。
【0022】
表示部500は、カラーフィルタ501と液晶パネル本体502とバックライト503とから構成されている。液晶パネル本体502には、複数のデータ信号線Lsと当該複数のデータ信号線Lsに交差する複数の走査信号線Lgとが形成されており、この液晶パネル本体502とカラーフィルタ501とにより、マトリクス状に配置された複数の画素形成部を含むカラー液晶パネルが構成される。各画素形成部は、後述のように、カラー画像の表示のための原色数に等しい個数の副画素形成部から構成されており、各副画素形成部は、上記複数のデータ信号線Lsと上記複数の走査信号線との交差点のいずれかに対応している。また、各走査信号線に平行に配置された補助容量線Lcsが設けられると共に、全ての副画素形成部に共通する共通電極Ecomが設けられている。なお本実施形態では、赤、緑、青、白の4原色に基づきカラー画像が表示されが、後述のように本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】
バックライト503は、冷陰極蛍光管等で構成される面状照明装置であり、図示しない駆動回路によって駆動されることにより液晶パネル本体502の裏面に白色光を照射する。
【0024】
図2は、表示部500の構成を模式的に示す図である。この図2に示すように、表示部500における各画素形成部20は、赤、緑、青、白にそれぞれ対応するR副画素形成部、G副画素形成部、B副画素形成部、W副画素形成部からなり(いずれの副画素形成部も参照符号“10”で示すものとする)、この表示部500によって表示されるカラー画像の各画素は、赤、緑、青、白にそれぞれ対応するR副画素、G副画素、B副画素、W副画素からなる。
【0025】
各副画素形成部10は、図3(A)および(B)に示すように構成されている。ここで、図3(A)は、表示部500における1つの副画素形成部10の電気的構成を示す模式図であり、図3(B)は、当該副画素形成部10の電気的構成を示す等価回路図である。これらの図3(A)(B)に示すように、各副画素形成部10は、それに対応する交差点を通過する走査信号線Lgにゲート端子が接続されると共に当該交差点を通過するデータ信号線Lsにソース端子が接続されたスイッチング素子としての薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor。以下「TFT」と略記する。)12と、そのTFT12のドレイン端子に接続された画素電極14と、その画素電極14との間に補助容量Ccsが形成されるように配置された補助電極16とを含んでいる。また、各副画素形成部10は、全ての副画素形成部10に共通に設けられた共通電極Ecomと、全ての副画素形成部10に共通に設けられ画素電極14と共通電極Ecomとの間に挟持された電気光学素子としての液晶層とを含んでおり、画素電極14と共通電極Ecomとそれらにより挟持された液晶層とによって液晶容量Clcが形成されている。以下では、液晶容量Clcと補助容量Ccsとの和の容量を「画素容量」と呼んで記号“Cp”で示すものとする。
【0026】
駆動制御回路300は、表示制御回路200とデータ信号線駆動回路310と走査信号線駆動回路320とを備えている。表示制御回路200は、本液晶表示装置の外部からデータ信号DATとタイミング制御信号TSを受け取り、デジタル画像信号DV、データスタートパルス信号SSP、データクロック信号SCK、ラッチストローブ信号LS、ゲートスタートパルス信号GSP、およびゲートクロック信号GCK等を出力する。
【0027】
本実施形態では、表示部500の各画素形成部20が、図2に示すように、赤、緑、青、白にそれぞれ対応するR副画素形成部、G副画素形成部、B副画素形成部、W副画素形成部からなり、表示制御回路200に外部から与えられるデータ信号DATは、赤、緑、青、白の4原色にそれぞれ対応する4つの原色信号R1,G1,B1,W1からなる。表示制御回路200は、これらの原色信号(以下「第1原色信号」という)R1,G1,B1,W1のレベルを調整するための変換回路100を含んでおり、この変換回路100は、レベル調整後の原色信号を第2原色信号R2,G2,B2,W2として出力する(以下、第1原色信号を「入力原色信号」ともいい、第2原色信号を「出力原色信号」ともいう)。このときのレベル調整は、第1原色信号のうちの白色信号W1に基づいて行われる(詳細は後述)。上記デジタル画像信号DVは、変換回路100から出力される第2原色信号R2,G2,B2,W2からなり、表示部500に表示すべきカラー画像を表す。また、上記のデータスタートパルス信号SSP、データクロック信号SCK、ラッチストローブ信号LS、ゲートスタートパルス信号GSP、およびゲートクロック信号GCK等は、表示部500に画像を表示するタイミングを制御するためのタイミング信号である。
【0028】
データ信号線駆動回路310は、表示制御回路200から出力されたデジタル画像信号DV(R2,G2,B2,W2)、データスタートパルス信号SSP、データクロック信号SCK、およびラッチストローブ信号LSを受け取り、表示部500内の各副画素形成部10における画素容量Cp(=Clc+Ccs)を充電するためにデータ信号電圧Vsを駆動信号として各データ信号線Lsに印加する。このとき、データ信号線駆動回路310では、データクロック信号SCKのパルスが発生するタイミングで、各データ信号線Lsに印加すべき電圧を示すデジタル画像信号DVが順次に保持される。そして、ラッチストローブ信号LSのパルスが発生するタイミングで、上記保持されたデジタル画像信号DVがアナログ電圧に変換され、データ信号電圧Vsとして表示部500における全てのデータ信号線Lsに一斉に印加される。ここでデータ信号線駆動回路310は、デジタル画像信号DVを構成する原色信号R2,G2,B2,W2に応じたアナログ電圧をデータ信号電圧Vsとして生成し、R副画素形成部10に接続されるデータ信号線Lsには赤の原色信号R2に応じたデータ信号電圧Vsを印加し、G副画素形成部10に接続されるデータ信号線Lsには緑の原色信号G2に応じたデータ信号電圧Vsを印加し、B副画素形成部10に接続されるデータ信号線Lsには青の原色信号B2に応じたデータ信号電圧Vsを印加し、W副画素形成部10に接続されるデータ信号線Lsには白の原色信号W2に応じたデータ信号電圧Vsを印加する。
【0029】
走査信号線駆動回路320は、表示制御回路200から出力されたゲートスタートパルス信号GSPとゲートクロック信号GCKとに基づいて、表示部500における走査信号線Lgにアクティブな走査信号(TFT12をオンさせる走査信号電圧Vg)を順次印加する。
【0030】
駆動制御回路300は、図示しない補助電極駆動回路および共通電極駆動回路をも含んでいる。補助電極駆動回路から各補助容量線Lcsに所定の補助電極電圧Vcsが印加され、共通電極駆動回路から共通電極Ecomに所定の共通電圧Vcomが印加される。なお、補助電極電圧Vcsと共通電圧Vcomとを同一の電圧とし、補助電極駆動回路と共通電極駆動回路を共通化してもよい。
【0031】
以上のようにして表示部500において、データ信号線Lsにはデータ信号電圧Vsが、走査信号線Lgには走査信号が、共通電極Ecomには共通電圧Vcomが、補助容量線Lcsには補助電極電圧Vcsがそれぞれ印加される。これにより、各副画素形成部10の画素容量Cpには、デジタル画像信号DVに応じた電圧が保持されて液晶層に印加され、その結果、デジタル画像信号DVの表すカラー画像が表示部500に表示される。なお、このとき、各R副画素形成部10は、その内部の画素容量Cpに保持される電圧に応じて赤色光の透過量を制御し、各G副画素形成部10は、その内部の画素容量Cpに保持される電圧に応じて緑色光の透過量を制御し、各B副画素形成部10は、その内部の画素容量Cpに保持される電圧に応じて青色光の透過量を制御し、各W副画素形成部10は、その画素容量Cpに保持される電圧に応じて白色光の透過量を制御する。
【0032】
<2 変換回路>
3原色に基づきカラー画像を表示する場合において、当該3原色のうちのいずれかの色の入力原色信号によって出力原色信号のレベルを調整する構成とすると、表示画像における当該いずれかの色の強度は、他の原色の強度の調整に連動して変化する。その結果、当該いずれかの色の強度を他の原色の強度と独立に調整することができない。ここで、当該3原色は互いに独立であり、3原色のうちのいずれの原色も他の原色の混色によって生成することはできない。したがって上記構成では、表示画像における各色成分の強度を意図通りに制御することはできない。すなわち、3原色に基づきカラー画像を表示する場合には、当該3原色のうちのいずれかの色の入力原色信号を、表示画像における各色成分の強度を制御するための制御信号として兼用することはできない。
【0033】
これに対し、4原色に基づきカラー画像を表示する場合には、当該4原色は互いに独立ではなく、当該4原色のうち少なくとも1つの原色は、他の原色の加法混色によって生成可能である。このことから、当該4原色のうちの所定色の入力原色信号によって出力原色信号のレベルを調整することにより表示画像における各色成分の強度を意図通りに制御することができる。すなわち、当該4原色のうちの少なくとも1色の入力原色信号は、表示画像における各色成分の強度を制御するための制御信号を兼ねることができる。
【0034】
そこで本実施形態では、赤、緑、青、白からなるカラー画像表示のための4原色のうち白が赤、緑、青の加法混色によって生成されることに着目し、白の入力原色信号Wiが表示画像における各色成分の強度を制御するための制御信号を兼ねる構成となっている。以下、このような本実施形態に係る駆動制御回路300における変換回路100について説明する。
【0035】
変換回路100は、図4に示すように、外部からのデータ信号DATを構成する第1原色信号R1,G1,B1,W1のレベルを、その第1原色信号に含まれる白色信号W1によって調整する。以下では、このような変換回路100に入力される第1原色信号R1,G1,B1,W1を入力原色信号Ri,Gi,Bi,Wiとし、この変換回路100から出力される第2原色信号R2,G2,B2,W2を出力原色信号Ro,Go,Bo,Woとして、まず、この変換回路100の機能を説明する。
【0036】
本実施形態では、上記のように白の入力原色信号Wiが表示画像における各色成分の強度調整ための制御信号を兼ねており、変換回路100は、入力原色信号Ri,Gi,Bi,Wiに対して次式で示す関係を有する出力原色信号Ro,Go,Bo,Woを出力するように構成されている。
Ro=fr(Ri,Wi) …(1a)
Go=fg(Gi,Wi) …(1b)
Bo=fb(Bi,Wi) …(1c)
Wo=fw(Wi) …(1d)
ここで、“fr(x,y)”、“fg(x,y)”、“fb(x,y)”は、いずれもx、yを独立変数とする関数を表し、“fw(x)”はxを独立変数とする関数を表す。関数fr,fg,fbは互いに同一の関数であってもよいし、異なる関数であってもよい。このような変換回路100によれば、白色信号Wiの値を変化させることにより、表示部500に表示されるカラー画像における赤、緑、青、白の各色成分の強度を個別に調整することができる。
【0037】
<2.1 例1>
例えば、上記の白色信号Wiを8ビットのデジタル信号とし、その値を0〜255(0x00h〜0xFFh)の範囲で変化させることにより、赤の出力原色信号Roの値を入力原色信号Riの値の50〜100%の範囲で線形に変化させ、かつ、緑の出力原色信号Goの値を入力原色信号Giの値の50〜100%の範囲で線形に変化させ、かつ、青の出力原色信号Boの値を入力原色信号Biの値の50〜100%の範囲で線形に変化させ、かつ、白の出力原色信号Woの値を入力原色信号Wiの値に応じて線形に変化させる場合には、上記式(1a)〜(1d)は下記のようになる。
Ro={(Wi/255)+1}/2*Ri …(1−1a)
Go={(Wi/255)+1}/2*Gi …(1−1b)
Bo={(Wi/255)+1}/2*Bi …(1−1c)
Wo=Wi …(1−1d)
なお、上記式において“/”は除算を、“*”は乗算を表すものとする(以下においても同様)。
【0038】
上記式(1−1a)〜(1−1d)に基づく変換回路100(以下「例1」という)を本実施形態で使用した場合には、赤、緑、青の入力原色信号Ri,Gi,Biを変更することなく、赤、緑、青の出力原色信号Ro,Go,Boのレベルを調整することで、表示部500に表示されるカラー画像における各色成分の強度を個別に調整することができる。
【0039】
<2.2 例2>
また例えば、白の入力原色信号Wiに基づき次式に従って赤、緑、青の出力原色信号Ro,Go,Boを算出する構成も考えられる。
Ro=max(Ri−Wi,0) …(1−2a)
Go=max(Gi−Wi,0) …(1−2b)
Bo=max(Bi−Wi,0) …(1−2c)
Wo=Wi …(1−2d)
上記式において“max(x,y)”はxとyのうち値の大きいを示すものとする。ただし、xとyとが同じ値である場合は当該同じ値を示す。
【0040】
上記式(1−2a)〜(1−2d)に基づく変換回路100(以下「例2」という)を本実施形態で使用した場合には、赤、緑、青の入力原色信号Ri,Gi,Biの値から白の入力原色信号Wiの値を減算することにより、赤、緑、青の出力原色信号Ro,Go,Boの値が得られる。これは、表示部500においてW副画素を点灯して明るくする分、R副画素、G副画素、B副画素を暗くして(輝度を低下させて)、明るさのバランスをとることを意味する。
【0041】
<3 変換回路の構成>
<3.1 例1の構成>
図5は、本実施形態における例1の変換回路100の構成例を示すブロック図である(式(1−1a)〜(1−1d)参照)。この構成例では、変換回路100は、第1のシフトレジスタ202と、加算器204と、第2のシフトレジスタ206と、第1〜第3の乗算器211〜213と、第1および第2の定数発生器201,203とを備えている。
【0042】
第1の定数発生器201は、予め決められた正の整数kを示す信号(以下「定数k信号」という)を出力する。第1のシフトレジスタ202は、白の入力原色信号Wiを8ビットのデジタル信号として外部から受け取ると共に、第1の定数発生器201から定数k信号を受け取り、白の入力原色信号Wiの値をkビットだけ右にシフトさせることにより、白の入力原色信号Wiの値を2kで除算する。この除算結果Wi/2kは加算器204に入力される。また、第2の定数発生器203は“1”を出力し、この定数“1”も加算器204に入力される。加算器204は、上記除算結果Wi/2kに上記定数“1”を加算する。この加算結果Wi/2k+1を示す信号は第2のシフトレジスタ206に入力され、第2のシフトレジスタ206は、この加算結果Wi/2k+1の値を1ビットだけ右にシフトさせることにより、この加算結果Wi/2k+1を2で除算する。この除算結果(Wi/2k+1)/2を示す信号は、第1〜第3の乗算器211〜213に入力される。
【0043】
第1の乗算器211は、上記除算結果(Wi/2k+1)/2を示す信号を受け取ると共に、外部から赤の入力原色信号Riを受け取り、上記除算結果(Wi/2k+1)/2と赤の入力原色信号Riの値とを乗算し、その乗算値を示す信号すなわち次式で示される赤色信号Roを出力する。
Ro=(Wi/2k+1)/2*Ri …(2a)
【0044】
第2の乗算器は、上記除算結果(Wi/2k+1)/2を示す信号を受け取ると共に、外部から緑の入力原色信号Giを受け取り、上記と同様にして、次式で示される緑色信号Goを出力する。
Go=(Wi/2k+1)/2*Gi …(2b)
【0045】
第3の乗算器は、上記除算結果(Wi/2k+1)/2を示す信号を受け取ると共に、外部から青の入力原色信号Biを受け取り、上記と同様にして、次式で示される青色信号Boを出力する。
Bo=(Wi/2k+1)/2*Bi …(2c)
【0046】
このようにして生成された赤色信号Ro、緑色信号Go、青色信号Boは、それぞれ、赤、緑、青の出力原色信号Ro,Go,Boとして変換回路100から出力される。白の入力原色信号Wiは、そのまま白の出力原色信号Woとして変換回路100から出力される。
【0047】
なお、第1および第2のシフトレジスタ202,206におけるシフト量(kおよび“1”)は固定であるので、右方向へのkビットシフトおよび1ビットシフトを第1および第2のシフトレジスタ202,206に代えて配線により実現してもよい。
【0048】
上記のような図5示す構成によれば、定数k=8とすることにより(2k=256)、式(1−1a)〜(1−1d)に基づく変換回路100を実質的に実現することができる。
【0049】
<3.2 例2の構成>
図6は、本実施形態における例2の変換回路100の構成例を示すブロック図である(式(1−2a)〜(1−2d)参照)。この構成例では、変換回路100は、第1〜第3の減算器311〜313と、第1〜第3の比較器321〜323と、定数発生器302とを備えている。外部から与えられる赤、緑、青の入力原色信号Ri,Gi,Biは、第1〜第3の減算器311〜313にそれぞれ入力され、外部から与えられる白の入力原色信号Wiは、第1〜第3の減算器311〜313の全てに入力される。
【0050】
第1の減算器311は、赤の入力原色信号Riの値から白の入力原色信号Wiの値を減算し、その減算結果Ri−Wiを示す信号を出力する。第2の減算器312は、緑の入力原色信号Giの値から白の入力原色信号Wiの値を減算し、その減算結果Gi−Wiを示す信号を出力する。第3の減算器313は、青の入力原色信号Biの値から白の入力原色信号Wiの値を減算し、その減算結果Bi−Wiを示す信号を出力する。これらの減算結果Ri−Wi,Gi−Wi,Bi−Wiを示す信号は、第1〜第3の比較器321〜323にそれぞれ入力される。また、定数発生器302は定数“0”を出力し、この定数“0”は、第1〜第3の比較器321〜323の全てに入力される。
【0051】
第1の比較器321は、第1の減算器311からの減算結果Ri−Wiと定数“0”とを比較し、これらのうち大きい方の値を赤色信号Roとして出力する。第2の比較器322は、第2の減算器312からの減算結果Gi−Wiと定数“0”とを比較し、これらのうち大きい方の値を緑色信号Goとして出力する。第3の比較器323は、第3の減算器313からの減算結果Bi−Wiと定数“0”とを比較し、これらのうち大きい方の値を青色信号Boとして出力する。ただし、第1〜第3の比較器321〜323において比較すべき両者の値が等しい場合は、定数“0”が出力される。
【0052】
このようにして生成された赤色信号Ro、緑色信号Go、青色信号Boは、それぞれ、赤、緑、青の出力原色信号Ro,Go,Boとして変換回路100から出力される。白の入力原色信号Wiは、そのまま白の出力原色信号Woとして変換回路100から出力される。
【0053】
<4 効果>
上記のように本実施形態では、赤、緑、青、白の4原色に基づきカラー画像が表示され、当該4原色のうち白は、赤、緑、青の加法混色によって生成可能である。図8(A)はこのことを示しており、図8では、四角(□)で囲まれた原色が丸(○)で囲まれた原色の加法混色により生成可能であることが示されている。このように当該4原色のうち白が他の原色の加法混色によって生成できることから、白の入力原色信号Wiの値を変化させることによって出力原色信号Ro,Go,Bo,Woのレベルを調整することで、表示画像における各色成分の強度を意図通りに制御することが可能となる。これは、白の入力原色信号Wiが表示画像における各色成分の強度調整ための制御信号を兼ねていることを意味する。
【0054】
例えば上記の例1のように式(1−1a)〜(1−1d)に基づき入力原色信号Ri,Gi,Bi,Wiを変換して出力原色信号Ro,Go,Bo,Woを得るように構成されている場合には、白色の入力原色信号Wiの値は、表示部500におけるW副画素の階調制御に加えて、R副画素、G副画素、B副画素の輝度を調整する輝度強調パラメータとして機能する。これにより、例えば入力原色信号Wiにより各副画素の輝度を上げるように出力原色信号をレベルを調整することで、外部の明るい場所において液晶表示装置による良好なカラー画像の表示が可能となる。
【0055】
また、例えば上記の例2のように式(1−2a)〜(1−2d)に基づき入力原色信号Ri,Gi,Bi,Wiを変換して出力原色信号Ro,Go,Bo,Woを得るように構成されている場合には、白色の入力原色信号Wiに基づきW副画素を点灯させる分だけR副画素、G副画素、B副画素を暗くして明るさのバランスをとることで、消費電力を抑えつつ良好なカラー画像表示を実現することができる。
【0056】
さらに、本実施形態における変換回路100は、上記の例1や例2に限定されるものではなく、式(1a)〜(1d)に基づくものであればよい。このような式(1a)〜(1d)に基づき入力原色信号Ri,Gi,Bi,Wiを変換して出力原色信号Ro,Go,Bo,Woを得るように構成されていれば、上記の例1や例2により得られる効果の他、表示内容に適した色再現ができるように白の入力原色信号Wiにより表示画像における赤、緑、青、白の各色成分の強度を個別に調整することもできる。
【0057】
このように本実施形態によれば、別途制御信号を設けることなく、白の入力原色信号Wiにより、表示部500に表示されるカラー画像における赤、緑、青、白の各色成分の強度を個別に調整することで、4原色構成の液晶パネルの高い表現能力を十分に利用し、外部環境や、表示内容、または用途等に応じて質の高いカラー画像を表示することが可能となる。
【0058】
<5 変形例>
以下、上記実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、赤、緑、青の3原色に白を加えた4原色に基づきカラー画像が表示される。すなわち、カラー画像を表示するために駆動すべき表示部500における各画素形成部20は、図7(A)に示すように、赤、緑、青,白の4原色にそれぞれ対応するR副画素形成部、G副画素形成部、B副画素形成部、W副画素形成部からなる(図2)。それに応じて、表示制御回路200に外部から与えられるデータ信号DATは、当該4原色にそれぞれ対応する4つの原色信号R1,G1,B1,W1からなる(図1)。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、4原色以上の多原色に基づきカラー画像を表示する構成であれば本発明の適用が可能である。
【0059】
すなわち、4原色以上の多原色に基づくカラー画像を表示する場合、当該多原色は互いに独立ではなく、当該多原色のうち少なくとも1つの原色は、他の原色の加法混色によって生成可能である。このことから、多原色のうちの所定色の入力原色信号によって他の色の原色信号のレベルを調整することにより表示画像における各色成分の強度を意図通りに制御することができる。したがって、赤、緑、青、白からなる4原色以外の多原色に基づきカラー画像を表示する表示装置においても、入力原色信号における所定色の信号によって表示画像における各色成分の強度を個別に調整可能な構成とすることができる。
【0060】
このような構成によれば、上記4原色以外の多原色に基づきカラー画像を表示する場合においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、3原色に基づくカラー画像表示よりも高い表現力(色再現性)を十分に利用しつつ、外部から別途制御信号を与えることなく表示画像における各色成分の強度を調整することで、外部環境、表示内容、または用途等に応じて質の高いカラー画像表示を行うことができる。
【0061】
<5.1 第1の変形例>
例えば赤、緑、青、シアンからなる4原色によりカラー画像を表示する構成であってもよい。この場合、表示部500における各画素形成部20は、図7(B)に示すように、赤、緑、青、シアンの4原色にそれぞれ対応するR副画素形成部、G副画素形成部、B副画素形成部、C副画素形成部からなり、それに応じて、表示制御回路200に外部から与えられるデータ信号DATは、当該4原色にそれぞれ対応する4つの原色信号R1,G1,B1,C1からなる。そして変換回路100には、これらの4原色信号R1,G1,B1,C1が入力原色信号Ri,Gi,Bi,Ciとして与えられる。
【0062】
ここで、図8(B)に示すように、当該4原色のうちシアン(C)は、緑(G)と青(B)の加法混色により生成可能である。このようなシアンと緑および青との関係から、入力原色信号に含まれる信号により上記実施形態と同様に表示画像における各色成分の強度を制御するための変換回路100の構成として、当該4原色のうちいずれの色の入力原色信号が制御信号を兼ねるかにより次の2つの場合が考えられる。
【0063】
(1)シアンの入力原色信号が制御信号を兼ねる場合
この場合、変換回路100は、次式に基づき入力原色信号Ri,Gi,Bi,Ciが出力原色信号Ro,Go,Bo,Coに変換されるように構成される。
Ro=fr(Ri) …(3a)
Go=fg(Gi,Ci) …(3b)
Bo=fb(Bi,Ci) …(3c)
Co=fc(Ci) …(3d)
ここで、“fg(x,y)”、“fb(x,y)”は、いずれもx、yを独立変数とする関数を表し、“fr(x)”、“fc(x)”はxを独立変数とする関数を表す。これらの関数として、例えば下記のような具体例が考えられる。
fr(Ri)=Ri …(3−1a)
fg(Gi,Ci)=(Gi+Ci)/2 …(3−1b)
fb(Bi,Ci)=(Bi+Ci)/2 …(3−1c)
fc(Ci)=Ci …(3−1d)
【0064】
(2)緑および青の入力原色信号が制御信号を兼ねる場合
この場合、変換回路100は、次式に基づき入力原色信号Ri,Gi,Bi,Ciが出力原色信号Ro,Go,Bo,Coに変換されるように構成される。
Ro=fr(Ri) …(4a)
Go=fg(Gi) …(4b)
Bo=fb(Bi) …(4c)
Co=fc(Ci,Gi,Bi) …(4d)
ここで、“fc(x,y,z)は、x、y,zを独立変数とする関数を表し、“fr(x)”、“fg(x)”、“fb(x)”は、いずれもxを独立変数とする関数を表す。これらの関数として、例えば下記のような具体例が考えられる。
fr(Ri)=Ri …(4−1a)
fg(Gi)=Gi …(4−1b)
fb(Bi)=Bi …(4−1c)
fc(Ci,Gi,Bi)=Ci/2+Gi/4+Bi/4 …(4−1d)
【0065】
なお、上記のように赤、緑、青、シアンからなる4原色によりカラー画像を表示する構成の場合、当該4原色において、赤は、他の原色の加法混色によって生成することはできず、加法混色による他の原色の生成に使用されることもない(図8(B)参照)。このため、赤の出力原色信号Roのレベル調整に他の原色の入力原色信号が使用されることはなく、赤の入力原色信号Riが他の原色の出力原色信号のレベル調整に使用されることもない(式(3a)〜(3d)、(4a)〜(4d)参照)。
【0066】
<5.2 第2の変形例>
上記実施形態の他の変形例として、例えば赤、緑、青、シアン、イエローからなる5原色によりカラー画像を表示する構成であってもよい。この場合、表示部500における各画素形成部20は、図7(E)に示すように、赤、緑、青、シアン、イエローの5原色にそれぞれ対応するR副画素形成部、G副画素形成部、B副画素形成部、C副画素形成部、Y副画素形成部からなり、それに応じて、表示制御回路200に外部から与えられるデータ信号DATは、当該5原色にそれぞれ対応する5つの原色信号R1,G1,B1,C1,Y1からなる。そして変換回路100には、これらの5原色信号R1,G1,B1,C1,Y1が入力原色信号Ri,Gi,Bi,Ci,Yiとして与えられる。
【0067】
ここで、図8(E)に示すように、当該5原色のうち、シアン(C)は緑(G)と青(B)の加法混色により生成可能であり、イエロー(Y)は赤(R)と緑(G)の加法混色により生成可能である。このようなシアンと緑および青との関係、並びに、イエローと赤および緑との関係から、入力原色信号に含まれる信号により上記実施形態と同様に表示画像における各色成分の強度を制御するための変換回路100の構成として、上記5原色のうちいずれの色の入力原色信号が制御信号を兼ねるかにより次の2つの構成が考えられる。
【0068】
(1)シアンおよびイエローの入力原色信号Ci,Yiが制御信号を兼ねる場合
この場合、変換回路100は、次式に基づき入力原色信号Ri,Gi,Bi,Ci,Yiが出力原色信号Ro,Go,Bo,Co,Yoに変換されるように構成される。
Ro=fr(Ri,Yi) …(5a)
Go=fg(Gi,Ci,Yi) …(5b)
Bo=fb(Bi,Ci) …(5c)
Co=fc(Ci) …(5d)
Yo=fy(Yi) …(5e)
ここで、“fg(x,y,z)”はx、y、zを独立変数とする関数を表し、“fr(x,y)”、“fb(x,y)”は、いずれもx、yを独立変数とする関数を表し、“fc(x)”、“fy(x)”は、いずれもxを独立変数とする関数を表す。
【0069】
(2)緑および青の入力原色信号Gi,Biと赤および緑の入力原色信号Ri,Giが制御信号を兼ねる場合
この場合、変換回路100は、次式に基づき入力原色信号Ri,Gi,Bi,Ci,Yiが出力原色信号Ro,Go,Bo,Co,Yoに変換されるように構成される。
Ro=fr(Ri) …(6a)
Go=fg(Gi) …(6b)
Bo=fb(Bi) …(6c)
Co=fc(Ci,Gi,Bi) …(6d)
Yo=fy(Yi,Ri,Gi) …(6e)
ここで、“fc(x,y,z)”、“fy(x,y,z)”は、いずれもx、y、zを独立変数とする関数を表し、“fr(x)”、“fg(x)”、“fb(x)”は、いずれもxを独立変数とする関数を表す。
【0070】
なお、上記のように赤、緑、青、シアン、イエローからなる5原色によりカラー画像を表示する構成の場合、当該5原色において、赤は、他の原色の加法混色によって生成することはできず、加法混色によるシアンの生成には使用されない(図8(E)参照)。このため、赤の出力原色信号Roのレベル調整にシアンの入力原色信号Ciが使用されることはなく、赤の入力原色信号Riがシアンの出力原色信号Coのレベル調整に使用されることもない(式(5a)〜(5e)、(6a)〜(6e)参照)。同様の理由により、青の出力原色信号Boのレベル調整にイエローの入力原色信号Yiが使用されることはなく、青の入力原色信号Biがイエローの出力原色信号Yoのレベル調整に使用されることもない。
【0071】
<5.3 他の変形例>
上記の実施形態や変形例以外の場合であっても、4原色以上の多原色に基づきカラー画像を表示する構成であれば本発明の適用が可能であり、上記と同様の効果が得られる。すなわち、上記の実施形態や変形例における変換回路100を更に一般化した下記のような構成の変換回路を備える駆動制御回路や表示装置も本発明に含まれる。
【0072】
上記多原色のうち或る原色が他の原色の加法混色によって生成可能である場合、当該或る原色を「生成色」といい、当該他の原色を「構成色」というものとすると、生成色の入力原色信号が制御信号を兼ねるか、または、構成色の入力原色信号が制御信号を兼ねるかによって、次の2つの構成が可能である。なお、既述の図8は、多原色の各例(A)〜(E)につき生成色−構成色の関係を示しており、図8において四角(□)で囲まれた原色が生成色であり、丸(○)で囲まれた原色が構成色である。また、図8では、生成色のそれぞれにつき、その生成色を加法混色によって生成する際に使用される構成色が対応構成色として示されている。
【0073】
(1)生成色の入力原色信号が制御信号を兼ねる場合
この場合、上記変換回路は、生成色に対応する各構成色の出力原色信号が当該構成色および当該生成色の入力原色信号の関数として与えられ、生成色の出力原色信号が当該生成色の入力原色信号のみの関数として与えられるように構成される。
(2)構成色の入力原色信号が制御信号を兼ねる場合
この場合、上記変換回路は、生成色の出力原色信号が当該生成色および当該生成色に対応する構成色の入力原色信号の関数として与えられ、各構成色の出力原色信号が当該構成色の入力原色信号のみの関数として与えられるように構成される。
【0074】
なお、カラー画像を表示するための上記多原色のうち生成色−構成色の関係に無い色の間では、一方の色の入力原色信号が他方の色の出力原色信号のレベル調整に使用されることはない(制御信号を兼ねることはない)。
【0075】
カラー画像表示のための4原色として、上記実施形態では赤、緑、青、白が採用され、第1の変形例では赤、緑、青、シアンが採用されているが、これに代えて、赤、緑、青、マゼンタを4原色として採用してもよい。この場合、表示部500における各画素形成部20は、例えば図7(C)に示すように、赤、緑、青、マゼンタの4原色にそれぞれ対応するR副画素形成部、G副画素形成部、B副画素形成部、M副画素形成部からなり、それに応じて、表示制御回路200に外部から与えられるデータ信号DATは、当該4原色にそれぞれ対応する4つの原色信号R1,G1,B1,M1からなる。そして変換回路100には、これらの4原色信号R1,G1,B1,M1が入力原色信号Ri,Gi,Bi,Miとして与えられる。このような場合においても、図8(C)に示す生成色−構成色の関係に基づき、変換回路100を上記(1)または(2)のような構成とすることができる。これにより上記と同様の効果が得られ、特に肌色についての色再現性を向上させることができる。
【0076】
また、カラー画像表示のための4原色として、赤、緑、青、イエローを採用してもよい。この場合、表示部500における各画素形成部20は、例えば図7(D)に示すように、赤、緑、青、イエローの4原色にそれぞれ対応するR副画素形成部、G副画素形成部、B副画素形成部、Y副画素形成部からなり、それに応じて、表示制御回路200に外部から与えられるデータ信号DATは、当該4原色にそれぞれ対応する4つの原色信号R1,G1,B1,Y1からなる。そして変換回路100には、これらの4原色信号R1,G1,B1,Y1が入力原色信号Ri,Gi,Bi,Yiとして与えられる。このような場合においても、図8(D)に示す生成色−構成色の関係に基づき、変換回路100を上記(1)または(2)のような構成とすることができる。これにより上記と同様の効果が得られ、特に黄色についての色再現性を向上させることができる。
【0077】
上記実施形態では、1つの画素形成部20を構成するR副画素形成部、G副画素形成部、B副画素形成部、W副画素形成部は、図2および図7(A)に示すように水平方向(走査信号線Lgの延びる方向)に配置されているが、1つの画素形成部を構成する副画素形成部の配置構成(画素形成部の構成)はこれに限定されるものではない。例えば、図9(A)に示すように、1つの画素形成部を構成する副画素形成部を水平方向に2個並べると共に垂直方向(データ信号線Lsの延びる方向)にも2個並べることで2×2のマトリクス状に配置する構成としてもよい。
【0078】
また、1つ画素形成部20を構成する副画素形成部の配置順(すなわち原色の配置順)も、図7(A)〜(E)や図9(A)に示すものに限定されない。例えば図7(A)に示す画素形成部20を構成する4つの副画素形成部(R副画素形成部、G副画素形成部、B副画素形成部、W副画素形成部)は、水平方向に「RGBW」という順番で配置されているが、これに代えて、当該4つの副画素形成部が水平方向に「BGRW」という順番で配置されるようにしてもよい。また、1つ画素形成部20を構成する副画素形成部を1方向に並べるのではなく図9(A)に示すように2方向に並べる場合においても、それら副画素形成部の配置順は限定されない。例えば、1つ画素形成部20を構成する4つの副画素形成部(R副画素形成部、G副画素形成部、B副画素形成部、W副画素形成部)を、図9(A)に示す配置順に代えて図9(B)に示すように配置してもよい。通常、R画素形成部およびB画素形成部に比べてG画素形成部およびW画素形成部の輝度が平均的に高くなるので、図9(B)等に示すように、G画素形成部とW画素形成部とを隣接させずに離して配置する方が配置構成としてバランスがよいと言える。
【0079】
なお以上では、液晶表示装置の駆動制御回路を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、4つ以上の原色に対応する4つ以上の副画素で各画素が構成されるカラー画像を表示する他の表示装置の駆動制御回路(例えば有機EL(Electroluminescenece)表示装置等の駆動制御回路)についても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施形態に係る駆動制御回路を備えたカラー液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】上記実施形態における表示部の構成を模式的に示す図である。
【図3】上記実施形態における表示部の1つの画素形成部の電気的構成を示す模式図(A)および等価回路図(B)である。
【図4】上記実施形態における変換回路とそれへの信号の入出力関係を示す図である
【図5】上記実施形態における例1の変換回路の構成を示すブロック図である。
【図6】上記実施形態における例2の変換回路の構成を示すブロック図である。
【図7】カラー画像表示のための多原色の各例における画素形成部の構成例を示す模式図である。
【図8】カラー画像表示のための多原色の各例における生成色−構成色の関係を示す図である。
【図9】4原色に基づくカラー表示のための画素形成部の他の構成例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0081】
10 …副画素形成部
12 …TFT(薄膜トランジスタ)
14 …画素電極
20 …画素形成部
100 …変換回路
200 …表示制御回路
300 …駆動制御回路
310 …データ信号線駆動回路(駆動回路)
320 …走査信号線駆動回路
500 …表示部
501 …カラーフィルタ
502 …液晶パネル本体
503 …バックライト
Ls …データ信号線
Lg …走査信号線
Lcs …補助容量線
Ccs …補助容量
Ecom …共通電極
Vcs …補助電極電圧
Vcom …共通電圧
Vg …走査信号電圧
Vs …データ信号電圧(駆動信号)
Ri,Gi,Bi,Wi …入力原色信号
Ro,Go,Bo,Wo …出力原色信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4原色以上の多原色に基づくカラー画像を表示するカラー表示装置において当該カラー画像が表示されるように表示部を駆動するための駆動制御回路であって、
前記多原色に基づくカラー画像を表す第1の原色信号を受け取り、前記多原色における少なくとも1つの原色であって他の複数の原色の加法混色により得られる原色の信号レベルおよび当該他の複数の原色の信号レベルのうち一方の信号レベルが他方の信号レベルに応じて変更されるように、前記第1の原色信号を前記多原色に基づくカラー画像を表す第2の原色信号に変換する変換回路と、
前記表示部を駆動するための駆動信号を前記変換回路により得られる第2の原色信号に基づき生成し前記表示部に供給する駆動回路と、
を備えることを特徴とする、駆動制御回路。
【請求項2】
前記多原色は、赤、緑、青、白からなり、
前記変換回路は、赤、緑、青のそれぞれの原色の信号レベルが白の信号レベルに応じて変更されるように前記第1の原色信号を前記第2の原色信号に変換することを特徴とする、請求項1に記載の駆動制御回路。
【請求項3】
請求項1または2に記載の駆動制御回路を備えることを特徴とするカラー表示装置。
【請求項4】
前記表示部は、カラー画像を表示するための複数の画素形成部を有する液晶パネルを含み、
各画素形成部は、前記多原色の光の透過量をそれぞれ制御するための所定数の副画素形成部からなり、
前記駆動回路は、前記駆動信号を前記液晶パネルに供給することにより前記多原色に基づくカラー画像を前記表示部に表示させることを特徴とする、請求項3に記載のカラー表示装置。
【請求項5】
前記多原色は、赤、緑、青、白からなり、
各画素形成部は、赤色光の透過量を制御するためのR副画素形成部と、緑色光の透過量を制御するためのG副画素形成部と、青色光の透過量を制御するためのB副画素形成部と、白色光の透過量を制御するためのW副画素形成部とからなることを特徴とする、請求項4に記載のカラー表示装置。
【請求項6】
4原色以上の多原色に基づくカラー画像を表示するカラー表示装置において当該カラー画像が表示されるように表示部を駆動するための駆動制御方法であって、
前記多原色に基づくカラー画像を表す第1の原色信号を受け取り、前記多原色における少なくとも1つの原色であって他の複数の原色の加法混色により得られる原色の信号レベルおよび当該他の複数の原色の信号レベルのうち一方の信号レベルが他方の信号レベルに応じて変更されるように、前記第1の原色信号を前記多原色に基づくカラー画像を表す第2の原色信号に変換する変換ステップと
前記表示部を駆動するための駆動信号を前記変換ステップにより得られる第2の原色信号に基づき生成し前記表示部に供給する駆動ステップと
を備えることを特徴とする、駆動制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−251077(P2009−251077A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95733(P2008−95733)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】