説明

カルバペネム(carbapenem)中間体を用いてカルバペネム抗生物質を改善するプロセス、及びそのプロセスにおいてカルバペネムを回収する方法

【課題】カルバペネム(carbapenem)中間体を用いてカルバペネム抗生物質を改善するプロセス、及びそのプロセスにおいてカルバペネムを回収する方法の提供。
【解決手段】本発明は、カルバペネム中間体を作り出して、エルタペネム(Ertapenem)、メロペネム(Meropenem)、及びドリペネム(Doripenem)を効果的に生成し、効率的な方法によって結晶母液中から産物を回収する方法である。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルバペネム(carbapenem)中間体生成に係る新規方法であり、エルタペネム(Ertapenem)、メロペネム(Meropenem)及びドリペネム(Doripenem)を効果的に生成し、効果的にカルバペネムを精製、回収する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
カルバペネム(carbapenem)は、多くの幅広い効果を有する抗生物質の中でも、グラム陽性やグラム陰性の好気性菌及び嫌気性菌、多種の細菌感染症の治療に著効を示す抗生物質である。カルバペネムは、1974年に初めて酵素から培養分離されて現在に至るが、この種の抗生物質は、次々に薬剤抵抗性が現れ、新型の細菌によって問題が引き起こされている。よって、現在の医薬試剤において、薬剤抵抗性を有して出現し続ける細菌の問題を解決するために、新規のカルバペネム化合物の研究開発が必然的に求められている。
【0003】
カルバペネム抗生物質中のエルタペネム(Ertapenem)は、メルク株式会社(Merck & Co. Inc.)が研究開発し商業化した製品である。インバンズ注射剤(INVANZ)(登録商標)、エルタペネムの化学名は[4R,5S,6S] -3-[[(3S,5S)-5-[[(3-カルボキシフェニル)アミノ]カルボニル]-3-ピロリジニル]チオ]-6-[(1 R )-1-ハイドロキシエチル]-4-メチル-7-オキソ-1-アザビシクロ[3.2.0]へプタ-2-エン-2-カルボン酸([4R,5S,6S]-3-[[(3S,5S)-5- [[(3-carboxyphenyl) amino]carbonyl]-3-pyrrolidinyl]-thio] -6-[(1R)-1-hydroxyethyl]-4- methyl-7-oxo-l-azabicyclo[3.2.0]hept-2-ene-2-carboxylic- acid)であり、静脈内注射または筋肉注射に使用される。
【0004】
1β-メチルカルバペネム抗生物質(1-β-methylcarbapenem antibiotic)は、本発明中の(II)の化学構造式を持つエルタペネムであり、この種の抗生物質は、骨髄炎(osteomyelitis)に罹っていない糖尿病患者の指標病原菌に起因する中度から重度の足部感染症の併発症治療に用いる。しかも、1β-メチルカルバペネム抗生物質は、肺炎(pneumonia)、尿路感染症(urinary tract infection)、腹腔内感染症(intra-abdominal infection)、婦人科感染症(gynecological infection)、皮膚感染症、軟部組織感染症(soft tissue infection)、脳膜炎(meningitis)、敗血症(Septicemia)及び発熱性好中球減少症(febrile Neutropenia)の治療にも用いられる。
【0005】
1β-メチルカルバペネム抗生物質は臨床応用において非常に大きな重要性を有するため、従来の技術において、当該抗生物質生成の合成方法は既に数種開示されている。特許文献1及び特許文献2は、エルタペネム及びそのナトリウム生成に係る異なる方法を出願したもので、その内の特許文献1の実施例12では、カラム精製(column purification)及び冷凍乾燥(freeze-drying)技術により分離を行ないエルタペネムを得るプロセスを開示している。また、特許文献3では、抗生物質の合成方法を提供している。前記実施例1は、疎水性樹脂(hydrophobic resin)を用いて精製を行い、続いて、ナノろ過膜(Nanofiltration membrane, NF膜)を用いて結晶する濃度まで濃縮する。よって、本方法は、高コストで、実験室規模の多くの人力と技術を必要とし、生成プロセスが長くかかるため、産物の不安定を招き破損することもある。
【0006】
特許文献4は、結晶性エルタペネムの生成方法を開示したもので、非特許文献1にも、エルタペネムの合成プロセス及び方法が公開されている。しかし、単一保護基構造を用いて除去及び保護を行なうステップは、そのステップが複雑であり、中間体が不安定である他、プロセスでの反応条件が厳しく、使用材料コストも比較的高い。また、エルタペネム化合物の生成は、一般に不必要な副産物の発生、産物の不安定性が高く、合成の複雑度が高く、低生産量、並びに、これに伴う高支出等の問題が存在する。
【0007】
エルタペネム(Ertapenem)生成時、前記特性を備えるために、母液中のエルタペネム(Ertapenem)の損失率は約15〜20%である。母液を回収しエルタペネム(Ertapenem)を経済的且つ効率的に精製するステップの開発は、大量生産の観点から必須である。非特許文献2の中で開示されている数種の操作方法、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、極低温の保存環境(-70℃)、及び長時間蒸留は、高コストで実験室規模の多くの人力と技術を必要とするため、大量回収、精製を行なうことは難しい。
【0008】
また、エルタペネム化合物の母液の回収と精製は、通常、濃度が低いと結晶しにくい(約2〜8mg/ml)、不純物含量が高い(分析グラフから観察されたのは約50〜60%)、複雑な溶液組成、及び産物が時間に従い破壊される等の問題に遭遇する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,478,820号明細書
【特許文献2】米国特許第5,856,321号明細書
【特許文献3】米国特許第6,180,783号明細書
【特許文献4】米国特許第6,504,027号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】化学期刊J.Org.Chem.2005,70,7479-7487
【非特許文献2】J.Chromatogr A.1079, 80-91(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、公知のエルタペネム化合物を合成する新規且つ効果的な生成方法、並びに新規の中間体を提供することにある。前記方法及び中間体は、効果的かつ大幅に生産率を高め、不純物生成を減少させる。また、本発明の提供する新規かつ効果的に大量回収、精製を行なう方法は、低利用コストで、化学性質が安定した物質を分離担体としてエルタペネム化合物の母液の回収、精製を行なうため、工業化生産には非常に重要な意味を有するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、(II)の構造式を有する化合物或いは製薬学的に許容される塩類(pharmaceutically acceptable salt)の新規生成方法である。
【0013】
【化1】

【0014】
式中、Rは水素或いは保護基である。カルボベンゾキシ(carbobenzyloxy)またはp-ニトロベンジルカルバモイル(p-nitrobenzyl carbamoyl, PNZ)等の前記保護基は、水素化反応(hydrogenolysis)によって除去可能で、尚且つ、M及びM’は、それぞれ水素、ナトリウムイオン、或いはカリウムイオンである。前記方法には、(Ia)の構造式を有する化合物の提供を含む。
【0015】
【化2】

【0016】
式中、Arは2,4-ジクロロフェニル(2,4-dichlorophenyl)で、Pはリン(phosphor)、P’はアルキル(alkyl)、2,2,2-トリクロロエチル(2,2,2,-trichloroethyl)、2-ブロモエチル(2-bromoethyl)、ベンズヒドリル(benzhydryl)、トリチル(trityl)、アリール(aryl)、トリメチルシリル(trimethylsilyl)、トリエチルシリル(triethylsilyl)、4-メトキシベンジル(4-methoxybenzyl)、t-ブチル(t-butyl)、p-ニトロベンジル(p-nitrobenzyl)、水素及びその類似物質から選択して組成するグループである。
【0017】
前記方法は、(Ia)の構造式を有する化合物を(II)の構造式を有する化合物に変換して実施したものであり、式中、Arは2,4-ジクロロフェニル、Pはリン、P’は、アルキル(alkyl)、2,2,2-トリクロロエチル(2,2,2,-trichloroethyl)、2-ブロモエチル、ベンズヒドリル、トリチル(trityl)、アリール(aryl)、トリメチルシリル、トリエチルシリル(triethylsilyl)、4-メトキシベンジル(4-methoxybenzyl)、t-ブチル(t-butyl)、p-ニトロベンジル(p-nitrobenzyl)及びその類似物質から選択し組成するグループである。その内、前記変換過程には、(Ia)の構造式を有する化合物及び(V)の構造式を有する化合物を凝縮して(condense)、(VI)の構造式を有する化合物を形成するステップを含む。
【0018】
【化3】

【0019】
【化4】

【0020】
前記P”はアルキル(alkyl)、2,2,2-トリクロロエチル(2,2,2,-trichloroethyl)、2-ブロモエチル、ベンズヒドリル、トリチル(trityl)、アリール(aryl)、トリメチルシリル、トリエチルシリル(triethylsilyl)、4-メトキシベンジル(4-methoxybenzyl)、t-ブチル(t-butyl)、p-ニトロベンジル(p-nitrobenzyl)、水素及びその類似物質から選択し組成するグループである。
【0021】
本発明の(Ia)の構造式を有する化合物は、新規のカルバペネム中間体(intermediate)である。本発明の一実施例において、(II)の構造式を有する化合物は、非結晶性(amorphous form)であり、尚且つ、(II)の構造式を有する化合物は、1β-メチルカルバペネム抗生物質である。
【0022】
本発明の次の目的は、産業可能性を有し、工業レベルのプロセスを備えるメロペネム(Meropenem)及びドリペネム(Doripenem)の生成方法を提供することにある。
【0023】
本発明の1β-メチルカルバペネム抗生物質の生成方法は、簡単で、産業可能性を有し、工業レベルのプロセスを備える特徴を有する。しかも、本方法は、反応過程の時間を短縮し、比較的高い生産率を生じさせ、精製を良好にする等の有利性を備え、過多の複雑な後処理問題によって不純物の増加を引き起こすのを防ぎ、製造コストを効果的に削減する。
【0024】
本発明のまた別の目的は、(II)の構造式を有する化合物の溶液中から回収及び精製を行なう方法を提供することにある。本方法は、プロセス中の結晶母液を抽出することにより、大部分の有機溶液を取り除き、さらに、減圧蒸留を行なって残留した有機溶液を除去した後に、(II)の構造式を有する化合物の水溶液を取得し、続いて、充填吸着型樹脂(例えば、イオン交換樹脂HP-20またはSX-10)のカラムを使用して、有機相比率の異なるバッファを使って溶出、精製を行い、それによって得られた溶出液を後処理して取得したのが(II)の構造式を有する化合物である。尚、回収精製して得られた(II)の構造式を有する化合物に対し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いてその純度を測定する。
【発明の効果】
【0025】
本発明で開示した母液中の(II)の構造式を有する化合物の回収及び精製方法は、簡易な環境のもとで、大量に効果的な回収が可能で、尚且つ、得られた純度は70%以上に達し、回収率は70%以上である。後処理を経て取得される(II)の構造式を有する化合物の純度は95%以上、総回収率は50%以上である。工業化プロセス上の操作は簡単で、全体の流れにおいて無駄な時間が少なく、しかも、分離ベクターの化学性質は安定し、重複性が良好で、使用寿命は長く、再利用が簡単にできる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
下述は本発明の一つ或いは複数の具体的な実施例の詳細内容であり、本発明のその他の特徴、目的及び長所は説明書の内容及び特許請求の範囲によって簡単に理解できるものである。
【0027】
下記の反応式1に示すとおり、(II)の構造式を有する1β-メチルカルバペネム抗生物質は、(I)の構造式を有する化合物を(V)の構造式を有する化合物と反応させた後に(VI)の構造式を有する化合物を取得する簡単で経済効果のある方法によって、生成されたものである。
【0028】
塩基(base)の存在下、(I)の構造式を有する化合物と(V)の構造式を有する化合物を溶媒の中で反応させて凝縮して(condense)、(VI)の構造式を有する化合物を得る。その内、塩基(base)は、ジイソプロピルエチルアミン(diisopropylethylamine, DIPEA)、ジイソプロピルアミン(diisopropylamine, DIPA)、ジシクロヘキシラミン(dicyclohexylamine, DCHA)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジノン(2,2,6,6-tetra-methylpiperidine, TMP)、 1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(1,1,3,3-tetra-methylguanidine, TMG)、1,8-ジアザビシクロ[4.3.0]ウンデック-7-エン(1,8-diazabicyclo[4.3.0.]undec-7-ene, DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノエン(1,5-diazabicyclo[4.3.0]non-5-ene, DBN)、N-メチルピロリジン(N-methylpyrrolidine) 、N,N-ジメチルアミノピリジン(N,N-dimethyl-aminopyridine)、N,N-ジエチルアミノピリジン(N,N-diethyl-aminopyridine)、水素化カリウム(potassium hydroxide)、炭酸ナトリウム(sodium carbonate)、炭酸水素ナトリウム(sodium hydrogen carbonate)、リン酸水素ジナトリウム(disodium hydrogen phosphate)の何れかであり、好ましくは、ジイソプロピルエチルアミン(diisopropylethylamine, DIPEA )とする。
【0029】
溶媒は、ジエチルエーテル(diethyl ether)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、トルエン(toluene)、キシレン(xylene)、ジクロロメタン(dichloromethane)、1,2-ジクロロエタン(1,2-dichloroethane)、N, N-ジメチルホルムアミド(N, N-dimethylformamide)、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)、N-メチルピロリジノン(N-methylpyrrolidinone)、N-エチル-2-ピロリジノン(N-ethyl-2-pyrrolidinone)、N-メチルピペリジノン(N-methylpiperidinone)、アセトニトリル(acetonitrile)、プロピオニトリル(propionitrile)及びその混合物から選択し組成するグループである。その内、好ましい反応溶媒はアセトニトリル(acetonitrile)である。
【0030】
(VI)の構造式を有する化合物溶液を溶媒置換後、金属触媒(metal catalyst)及び塩基(base)の存在下、(VI)の構造式を有する化合物の保護基を除去して(II)の構造式を有する1β-メチルカルバペネム抗生物質を生成する。本発明の実施例において、(II)の構造式を有する1β-メチルカルバペネム抗生物質は非結晶性(amorphous form)とする。
【0031】
【化5】

【0032】
式中、Arは2,4-ジクロロフェニル或いはフェニル基、Pはリン、P’及びP”はそれぞれアルキル(alkyl)、2,2,2-トリクロロエチル(2,2,2,-trichloroethyl)、2-ブロモエチル、ベンズヒドリル、トリチル(trityl)、アリール(aryl)、トリメチルシリル、トリエチルシリル(triethylsilyl)、4-メトキシベンジル(4-methoxybenzyl)、t-ブチル(t-butyl)、p-ニトロベンジル(p-nitrobenzyl)、水素及びその類似物質から選択し組成するグループである。P’及びP”は、好ましくは、p-ニトロベンジル(p-nitrobenzyl)とする。また、前記Rは水素或いは保護基であり、例えばカルボベンゾキシ(carbobenzyloxy)またはp-ニトロベンジルカルバモイル(p-nitrobenzyl carbamoyl, PNZ)とし、水素化反応(hydrogenolysis)によって除去可能である。M及びM’は、それぞれ、水素、ナトリウムイオン、カリウムイオンのいずれかとする。
【0033】
前述した還元反応に用いる金属触媒は、パラジウム炭素(palladium on carbon, Pd/C)、白金(platinum)、酸化白金の触媒(platinum oxide)、その類似物質の混合組成より選択する。その内、最も好ましい効果を示すのは、パラジウム炭素(palladium on carbon, Pd/C)である。塩基は、重炭酸塩(bicarbonate)または水酸化物(hydroxide)に二酸化炭素(carbon dioxide)を混合して得られる重炭酸塩(bicarbonate)関連の混合物によって組成されるグループ、例えば、水酸化ナトリウム (sodium hydroxide)、炭酸水素ナトリウム(sodium bicarbonate)、炭酸ナトリウム(sodium carbonate)、二酸化炭素関連混合物より選択し、水素イオン指数を約6〜9間にコントロールする。(II)の構造式を有する化合物は高温下で不安定となるため、温度を20℃以下にコントロールし反応させることにより、二量体(dimmers)及び開環(ring-open)不純物の発生を抑えることができる。
【0034】
金属触媒(metal catalyst)の存在下、温度20℃以下の条件で水素化反応し、(VI)の構造式を有する化合物の保護基を除去する。脱保護は主に、適当な圧力を有する水素ガスを吹き込み除去し、好ましくは、反応圧力を40psi以上とする。反応終了後、pHを整え、金属触媒の固体ろ過に役立てる。ろ過液を活性炭(activated carbon)に加え、低温下で薄膜蒸留、抽出、またはその他蒸留方式を用いて反応した有機溶媒を除去した後、活性炭をろ過、除去し、澄んだろ過液を取得する。更に、有機溶媒を用いて抽出を行い、不純物を取り除く。即ち、(II)の構造式を有する化合物溶液を得る。前記のとおり、簡便で経済効果を備える方式を用いて、生産率が高く、良好な純度を有する(II)構造式の1β-メチルカルバペネム抗生物質を生成する。
【0035】
本発明のその他の具体的な実施例において、水素化反応(hydrogenolysis)による脱保護のステップは、単相形式(single phase)或いは二相媒体(biphasic medium)の溶媒混合物によるものとし、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran, THF)、アセトニトリル(acetonitrile)、プロピオニトリル(propionitrile)、ジオキサン(dioxane)、酢酸エチル(ethylacetate)、n-ブタノール(n-butanol)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、メタノール(methanol)、ジクロロメタン(dichloromethane)、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)、N-エチル-2-ピロリジノン(N-ethyl-2-pyrrolidinone)、水、その混合物のいずれかを選択する。また、その内、好ましくは、アセトニトリル(acetonitrile)と水の混合を反応溶媒とする。
【0036】
水溶液は再利用で、n-ブタノール(n-butanol)またはイソアミルアルコール(isoamyl alcohol, IAA)を用いて抽出しその体積を濃縮する。並びに、水溶液中で高濃度の(II)の構造式を有する化合物を取得する。最後に、-20℃〜10℃の温度下で、溶媒を水溶液中に加える。溶媒は、メタノール(methanol)、エタノール(ethanol)、1-プロパノール(1-propanol)、イソプロパノール(Isopropanol)、テトラヒドロフラン(THF)、その混合物から選択し組成するグループであり、母体を結晶、ろ過、分離して固体を得、非結晶性(amorphous form)の(II)の構造式を有する化合物である1β-メチルカルバペネム抗生物質を取得する。
【0037】
本発明の生成ステップにより、多種のカルバペネム抗生物質、例えば、1β-メチルカルバペネム抗生物質、メロペネム(Meropenem)、ドリペネム(Doripenem)及びエルタペネム(Ertapenem)等のカルバペネム抗生物質を生成できる。前記生成方法においては、多回抽出(multi-stage extraction)できる機器設備を使用可能である。それは例えば、理想的効果を果たす遠心抽出機 (centrifugal extractor)であるが、好ましくは、多回遠心抽出機(multi-stage centrifugal extractor)を使用する。製造規模(scale)に合わせて好ましい機器設備を選定するが、コスナーインダストリーネバダコーポレーション(Costner Industries Nevada Corporation, CINC)の液体-液体遠心分離装置(liquid-liquid centrifugal separator)は、実験室規模の操作に適し、ポドビールニアク(Podbielniak)(登録商標)の遠心抽出機は大規模操作に適する。
【0038】
続いて、本発明新規である前記母液中の(II)の構造式を有する化合物式の回収及び精製方法を実施する。結晶分離後に得られた母液と有機溶媒を抽出すると、母液中の大部分の有機溶液が取り除かれる。さらに、0〜10℃の条件で減圧蒸留を行ない、残留した有機溶液を除去することにより、(II)の構造式を有する化合物の水溶液を取得する。
【0039】
(II)の構造式を有する化合物水溶液を、0〜5℃の条件で、ゆっくりと充填吸着型樹脂(例えば、イオン交換樹脂HP-20またはSX-10)のカラム溶出を行なう。0〜5℃下で、水と有機相比率の異なるバッファを用いて、カラム内の(II)構造式の水溶液を送液、溶出し、処理後に得られた(II)の構造式を有する水溶液の精製製品に対し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりその純度を測定する。
【0040】
本発明は、前述した(Ia)の構造式を有する新規化合物の生成方法に関する。本目的を達成するため、(III)の構造式を有する化合物において、構造式中のP’はアルキル(alkyl)、2,2,2-トリクロロエチル(2,2,2,-trichloroethyl)、2-ブロモエチル、ベンズヒドリル、トリチル(trityl)、アリール(aryl)、トリメチルシリル、トリエチルシリル(triethylsilyl)、4-メトキシベンジル(4-methoxybenzyl)、t-ブチル(t-butyl)、p-ニトロベンジル(p-nitrobenzyl)、水素、その類似物質のいずれかを選択し組成するグループであり、30℃〜60℃の温度下で、ジクロロメタン(dichloromethane)内でロジウム触媒により環化させ(cyclize)、(IV)の構造式を有する化合物を得る。その内、ロジウム触媒は、ダイメリックロジウム塩(dimeric rhodium salt)を指し、ダイメリックロジウム塩は、オクタン酸ロジウム(rhodium octanoate, Rh2(Oct)4)、酢酸ロジウム(rhodium acetate, Rh2(Ac)4)、トリフルオロ酢酸ロジウム(rhodium trifluoroacetate, Rh2(O2CCF3)4)のいずれかを選択し組成するグループである。
【0041】
反応式2に示す通り、塩基(base)の存在下において(IV)の構造式を有する化合物は、クロロリン酸=ビス(2,4-ジクロロフェニル)(bis(2,4-dichlorophenyl)-chlorophosphate, DDCP)或いはクロロリン酸ビスフェニル(bisphenyl chlorophosphate, DPCP)と反応させて(I)の構造式を有する化合物を得る。
【0042】
【化6】

【0043】
(III)の構造式を有する化合物は、有機溶媒によって環化される。前記有機溶媒はジクロロメタン(dichloromethane)、酢酸メチル(methyl acetate)、酢酸エチル(ethyl acetate)、トルエン(toluene)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、アセトニトリル(acetonitrile)及びその混合物のいずれかを選択し組成するグループである。(I)の構造式を有する化合物は、塩基(base)の存在下で、(IV)の構造式を有する化合物をクロロリン酸ビス(2,4-ジクロロフェニル)(DDCP)或いはクロロリン酸ビスフェニル(DPCP)と反応させて生成し得るもので、その内の塩基(base)は、ジイソプロピルエチルアミン(diisopropylethylamine, DIPEA)、ジイソプロピルアミン(diisopropylamine, DIPA)、ジシクロヘキシラミン(dicyclohexylamine, DCHA)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジノン(2,2,6,6-tetra-methylpiperidine, TMP)、 1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(1,1,3,3-tetra-methylguanidine,TMG)、1,8-ジアザビシクロ[4.3.0]ウンデック-7-エン(1,8-diazabicyclo[4.3.0.]undec-7-ene,DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノエン(1,5-diazabicyclo[4.3.0]non-5-ene, DBN)、N-メチルピロリジン(N-methylpyrrolidine)、N,N-ジメチルアミノピリジン(N,N-dimethyl-aminopyridine)、N,N-ジエチルアミノピリジン(N,N-diethyl-aminopyridine)、水酸化カリウム(potassium hydroxide)、炭酸ナトリウム(sodium carbonate)、炭酸水素ナトリウム(sodium hydrogen carbonate)、リン酸水素ジナトリウム(disodium hydrogen phosphate)の何れかであり、塩基(base)の好ましい選択は、ジイソプロピルエチルアミン(diisopropylethylamine, DIPEA )とする。不純物質の形成を避けるために、例えばN,N-ジメチルアミノピリジン或いはN,N-ジエチルアミノピリジンの塩基から選択して凝縮反応させることも可能である。
【0044】
反応式3に示す通り、(I)の構造式を有する化合物のカルバペネム中間体は、多種のカルバペネム抗生物質を生成するのに用いる。例えば1β-メチルカルバペネム抗生物質、メロペネム(Meropenem)、ドリペネム(Doripenem)及びエルタペネム(Ertapenem)等がある。(Ib)の構造式を有する化合物は、商品化された製品であり、本発明では(Ia)の構造式を有する化合物を新規提供する。前記(Ia)の構造式を有する化合物は、硫黄側鎖(sulfur side chain)と反応させて生成された保護基を有するカルバペネム産物であり、前記保護基を有するカルバペネム産物は、(Ib)の構造式を有する化合物と比較し、更に高い生産量と純度を有するものである。
【0045】
【化7】

【0046】
反応式4に示した数種の方法の内、何れもが、簡単に(I)の構造式を有する化合物をメロペネム(Meropenem)及びドリペネム(Doripenem)に変換可能である。(I)の構造式を有する化合物及び(VII)の構造式を有する化合物を反応させると、(VIII)の構造式を有する化合物が得られる。更に、金属触媒及び塩基の存在下、(VIII)の構造式を有する化合物の保護基は、脱保護反応を起こしてメロペネム(Meropenem)を生成する。また、(I)の構造式を有する化合物と(IX)の構造式を有する化合物を反応させて(X)の構造式を有する化合物を得る。その内の(I)の構造式を有する化合物のArは、2,4-ジクロロフェニル(2,4-dichlorophenyl)である。更に、金属触媒及び塩基の存在下、(X)の構造式を有する化合物の保護基は脱保護反応を起こしてドリペネム(Doripenem)を生成する。
【0047】
【化8】

【0048】
式中、Arは、2,4-ジクロロフェニル(2,4-dichlorophenyl)、Pはリン(phosphor)、P’及びP”はそれぞれアルキル(alkyl)、2,2,2-トリクロロエチル(2,2,2,-trichloroethyl)、2-ブロモエチル(2-bromoethyl)、ベンズヒドリル(benzhydryl)、トリチル(trityl)、アリール(aryl)、トリメチルシリル(trimethylsilyl)、トリエチルシリル(triethylsilyl)、4-メトキシベンジル(4-methoxybenzyl)、t-ブチル(t-butyl)、p-ニトロベンジル(p-nitrobenzyl)、水素、及びその類似物質から選択し組成するグループであり、P’及びP”は、好ましくは、p-ニトロベンジル(p-nitrobenzyl)とする。
【0049】
本発明の具体的な実施例は、(I)の構造式を有する化合物の応用及びその生成方法に関するものであり、前記生成方法は、前述した(I)の構造式を有する化合物の何れの生成方法をも含むものである。
【0050】
また、本発明は、(I)の構造式を有する化合物を商品化する1β-メチルカルバペネム抗生物質、メロペネム(Meropenem)、及びドリペネム(Doripenem)の生成に応用するものである。
【0051】
前記化合物において、本発明は主に(I)乃至(X)の構造式を有する前記化合物に関するもので、特に置換基(substituen)が実施例中に挙げた遊離基(radical)に対応する化合物に符合するものである。
【0052】
ベルゲ(Berge)等の発表による文献で、塩類より形成された複数のイオンについて開示されている (Berge, S. M., et al. J. Pharm. Sci. 66(1): 1 16. 1977)が、その内容を参考として記す。電荷平衡基X+は、電荷全体を中性に保つ。X+は、好ましくは、製薬学的に許容される塩類により形成されるプラスイオンとし、塩類より形成するプラスイオンは、好ましくは、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムの何れかを選択し組成するグループとし、塩類より形成されるプラスイオンは、好ましくは、ナトリウムイオン(Na+)、カルシウムイオン(Ca+2)及びカリウムイオン(K+)の何れかを選択し組成するグループである。
【0053】
本発明はさらに、(II)の構造式を有する化合物を結晶後に生成された溶液の回収及び純化方法によって、(II)の構造式を有する化合物の生産率と純度を高めるものであり、次のステップを含む。
(a)(II)の構造式を有する化合物の溶液に対し溶媒を用いて有機層の抽出、除去を行い、さらに蒸留によって、第一溶液を作り出す。抽出溶媒は、ジクロロメタン(dichloromethane)、酢酸エチル(ethyl acetate)、トルエン(toluene)、キシレン(xylene)である。
(b)第一溶液に充填吸着型樹脂処理を施して雑質を取り除く。その内、水と第三有機溶液を混合するバッファを用いる。第三有機溶液の水中比率は0〜30%で、雑質除去後、純度が80%以上の(II)の構造式を有する第二溶液を取得する。
(c)第二溶液を濃縮後、第四有機溶媒の純化、分離を経て、(II)の構造式を有する化合物を取得する。
【0054】
前述した本発明の回収及び純化方法において、充填吸着型樹脂は、ハイポーラスタイプポリスチレン(polystyrene)吸脱着型樹脂であり、フェニルエテン(phenylethene)、メタクリル酸(methacrylic acid)、或いはフェニルエテン(phenylethene)及びメタクリル酸(methacrylic acid)により組成される。また、その内、第三有機溶液は、メタノール(methanol)、エタノール(ethanol)、1-プロパノール(1-propanol)、イソプロパノール(Isopropanol)、n-ブタノール(n-Butanol)、アセトン(acetone)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran, THF)、酢酸メチル(methyl acetate)、その混合物の何れかを選択し組成するグループである。
【0055】
次に、(Ia)及び(Ib)の構造式を有する化合物における各化合物の好ましい実施例及び(II)構造式の回収純化方法の詳細を示す。
【0056】
本発明は特に、下記実施例中の反応ステップ及び新規中間体に関するものである。本発明では好ましい実施例の説明をしているが、本発明に属する技術分野に熟知する技術者であるなら本発明の特許請求の範囲を逸脱せずに各種の変化や修飾を施すことは可能である。
【0057】
[実施例1]
A.(Ia)の構造式を有する化合物の生成
(III)の構造式を有する化合物43.2グラムを777 mlのジクロロメタン(dichloromethane)に入れて撹拌溶解し、この溶液中にRh2Oct4を145 mg加え、前記混合物を7時間、還流(reflux) 加熱した後、前記溶液を蒸留(distill)して388 mlのジクロロメタン(dichloromethane)を除去する。(IV)の構造式を有する化合物含有のジクロロメタン(dichloromethane)溶液を-35℃以下の温度まで冷却し、並びに-35℃以下の温度下で、71.3グラムのクロロリン酸=ビス(2,4-ジクロロフェニル)(bis(2,4-dichlorophenyl)-chlorophosphate, DDCP)と43 ml のジクロロメタン中に溶かした17.63グラムのジイソプロピルエチルアミン(diisopropylethylamine, DIPEA)と40 mgの4-ジメチルアミノピリジン(4-dimethylamino pyridine)の混合物を前記反応溶液中に加えて2時間反応させる。続いて、0〜5℃の温度において、1%塩酸(HCl, 液体) 100 mlと5%炭酸水素ナトリウム(NaHCO3, 液体) 100 mlにより抽出を行い、生成されたジクロロメタン(dichloromethane)溶液から(Ia)の構造式を有する化合物を得る。これを下記の実施例2A、4A及び4Bに使用する。
【0058】
B.(Ib)の構造式を有する化合物の生成
(III)の構造式を有する化合物43.2グラムを389 mlのジクロロメタン(dichloromethane)中に入れて撹拌溶解し、この溶液中にRh2Oct4130 mgを加え、前記混合物を6時間、還流(reflux)加熱する。(IV)の構造式を有する化合物のジクロロメタン(dichloromethane)溶液を-5℃以下の温度まで冷却し、並びに-5℃以下の温度下で、32.7グラムのクロロリン酸ジフェニル(diphenyl chlorophosphate, DPCP)と43.2 ml のジクロロメタン(dichloromethane)中に溶解した18.6グラムのジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)と0.2グラムの4-ジメチルアミノピリジンの混合物を前記反応溶液中に加えて2時間反応させる。続いて0〜5℃の温度下で、200 mlの1%塩酸(HCl, 液体)と 200 mlの5%炭酸水素ナトリウム(NaHCO3, 液体)により抽出を行い、更に酢酸エチル(ethyl acetate)とへプタ(heptanes)を結晶させて生成した固体物質より(Ib)の構造式を有する化合物を得る。これを下記の実施例2Bで使用する。
【0059】
[実施例2]
A.(Ia)の構造式を有する化合物から(VI)の構造式を有する化合物を生成
実施例1Aで得られた、-30℃で500 mlのジクロロメタン(dichloromethane)に溶解した(Ia)構造式の化合物を用意する。p-ニトロベンジル(1R,5S,6S)-6-[(IR)-1-ハイドロキシエチル]-2-[(ビス(2,4-ジクロロフェニル)ホスホノオキシ)]-1-メチルカルバペン-2-エン-3-カルボン酸(p-nitrobenzyl (1R,5S,6S)-6-[(IR)-1-hydroxyethyl]-2-[(bis(2,4- dichlorophenyl)phosphono)oxy]-1-methylcarbapen -2-em-3-carboxylate)を44.7グラムの3-([[(2S,4S)- メルカプト- 2-ピロリジニル-l-(4-ニトロベンジルオキシ)カルボニル]カルボニル]アミノ)安息香酸(3-([[(2S,4S)-mercapto-2-pyrrolidinyl-l-(4-nitrobenzyloxy)carbonyl] carbonyl]amino)benzoic acid)に加える。この混合物を反応させるために、-30℃下で41.0グラムのジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を加えて撹拌する。反応完了後、500 mlの水を前記反応後の混合物中に加えて撹拌と分離を行い得られた前記有機層は(VI)の構造式を有する化合物を生成する。更にこの化合物を実施例3A及び3Bのステップに使用する。
【0060】
B.(Ib)の構造式を有する化合物から(VI)の構造式を有する化合物を生成
実施例1Bより得られ、-5℃で560グラムのアセトニトリル(acetonitrile)に溶解した(Ib)構造式の化合物を用意する。p-ニトロベンジル(1R,5S,6S)-6-[(IR)-1-ハイドロキシエチル]-2-[(ジフェニルホスホノオキシ)]-1-メチルカルバペン-2-エン-3-カルボン酸(p-nitrobenzyl(1R,5S,6S)-6-[(IR)-1-hydroxyethyl]-2-[(diphenylphosphono)oxy]-1-methylcarbapen-2-em-3-carboxylate)を90グラムの3-([[(2S,4S)-メルカプト-2-ピロリジニル-l-(4-ニトロベンジルオキシ)カルボニル]カルボニル]アミノ)安息香酸(3-([[(2S,4S)-mercapto-2-pyrrolidinyl-l-(4-itrobenzyloxy)carbonyl] carbonyl]amino )benzoic acid)に加える。この混合物を反応させるため、-10℃下で72グラムのジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を加えて撹拌する。反応完了後、前記溶液を蒸留(distill)してアセトニトリルを除去し、1.8キログラムの水と1.6キログラムのジクロロメタン(dichloromethane)を前記反応後の混合物中に加えて撹拌と分離を行い、得られた有機層から(VI)の構造式を有する化合物を生成する。この化合物は実施例3Cのステップで使用する。
【0061】
C.(Ib)の構造式を有する化合物から(VI)の構造式を有する化合物を生成
-5℃で560グラムアセトニトリルに溶解した119グラムの(Ib)の構造式を有する化合物のp-ニトロベンジル(1R,5S,6S)-6-[(IR)-1-ハイドロキシエチル]-2-[(ジフェニルホスホノオキシ)]-1-メチルカルバペン-2-エン-3-カルボン酸(p-nitrobenzyl(1R,5S,6S)-6-[(IR)-1-hydroxyethyl]-2-[(diphenylphosphono)oxy]-1-methylcarbapen-2-em-3-carboxylate)を用意する。前記(Ib)の構造式を有する化合物は、SHILANG(Zhuoli Group)-Pharma(NANJING) CO.,LTD製を購入し、90グラムの3-([[(2S,4S)-メルカプト- 2-ピロリジニル-l-(4-ニトロベンジルオキシ)カルボニル]カルボニル]アミノ)安息香酸(3-([[(2S,4S)-mercapto-2-pyrrolidinyl-l-(4-nitrobenzyloxy)carbonyl] carbonyl]amino)benzoic acid)を加える。この混合物を反応させるために、-10℃下で72グラムのジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を加えて撹拌する。反応完了後、前記溶液を蒸留してアセトニトリルを除去し、並びに1.8キログラムの水と1.6キログラムのジクロロメタン(dichloromethane)を前記反応後の混合物中に加えて撹拌と分離を行う。得られた有機層は(VI)の構造式を有する化合物を生成可能で、更にこの化合物は実施例3Dのステップ中で使用する。
【0062】
[実施例3]
A.(II)の構造式を有する化合物(R=H)の生成
20℃下で実施例2Aで生成したジクロロメタンに溶解した(VI)の構造式を有する化合物に48グラムの10%パラジウム炭素(Palladium on carbon, Pd/C)含有の648 mlの純化水と37.2グラムの炭酸水素ナトリウム(sodium bicarbonate)を加える。反応器中の窒素は水素ガス(hydrogen gas)を導入して2回置換え(replacement)した後、水素ガス環境下で最初の1時間以内に圧力値を25〜80 psiに調整し、反応温度を20℃にコントロールして4〜5時間維持させた後、温度を10℃以下に下げ、続いて5%塩酸(HCl)を使って水素イオン指数(pH)を約5.0迄調整し、10%パラジウム炭素(Pd/C)をろ過除去して有機層から分離させる。液体層の水素イオン指数を約6.5迄調整し、更に約1キログラムのジクロロメタン(dichloromethane)を加えて抽出する。0〜5℃の温度下で、それぞれ3キログラム及び2キログラムのn-ブタノール(n-Butanol)を使って前記ステップで発生する液体溶液を二回抽出する。前記液体溶液は0.22 μm孔径のろ過膜でろ過する。
【0063】
-2〜5℃の温度下で、66 mlのイソプロパノール (Isopropanol)を前記濃縮液体溶液(体積は330 ml、濃度は約100 mg/ml)中に加え、続いて温度を更に-8〜0℃迄下げ、並びに体積比が2:1のメタノール(methanol)とテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)を含む混合物99 mlを加える。-8〜-5℃の温度下でメタノール(methanol)に溶解した20%の醋酸(acetic acid)を使って水素イオン指数を約5.7迄調整し、更に、体積比が4:2:1のイソプロパノール(Isopropanol)、メタノール(methanol)、テトラヒドロフランにより組成される混合溶剤148.5 mlを前記ステップで生成した溶液中に加える。また、純度が98%以上のエルタペネムナトリウム(ertapenem sodium) 0.7グラムを前記混合液中に加えて2時間反応させ、更に-5〜-15℃の温度下で、体積比が0.15:2:1のイソプロパノール(Isopropanol)、メタノール(methanol)、テトラヒドロフランにより組成される混合溶剤346.5 mlを前記ステップで生成した溶液中に加え、5時間以上熟成する。ろ過して固体物質を取得し、体積比が1:2のメタノール(methanol)、テトラヒドロフランの混合溶媒60 mlで湿った塊状物質を洗浄し、更に窒素ガスを圧してろ過することにより溶媒を除去し、且つ乾燥減重(loss on drying, LOD)が13%以下になるまでろ過し、純度が98%以上で乾燥減重(LOD)8%の粗成物(crude product) 26.4グラムを得る。
【0064】
B.(II)の構造式を有する化合物(R=H)の生成
10℃下で、実施例2Aで生成されたジクロロメタン(dichloromethane)に溶解した(VI)の構造式を有する化合物は、この溶液を蒸留することによってジクロロメタン(dichloromethane)を除去し、並びに、10℃下で560グラムのアセトニトリル(acetonitrile)に溶かし、71グラムの10%パラジウム炭素(palladium on carbon, Pd/C)を含有する1.2キログラムの精製水及び67グラムの炭酸水素ナトリウム(sodium bicarbonate)を加える。反応器中の窒素は水素ガスを導入し二回置き換え、水素ガス環境下で最初の1時間以内に、圧力値を80〜120 psiに調整し、反応温度を0〜10℃にコントロールして4〜5時間維持させた後、温度を5℃以下に下げ、続いて、5%塩酸(HCl)を使って水素イオン指数(pH)を約5.0〜5.4に調整し、10%パラジウム炭素(Pd/C)をろ過して溶液層を取得する。溶液層の水素イオン指数を約6.3〜6.7に調整し、約11.9グラムの活性炭を加えて撹拌した後、蒸留方式で溶液中のアセトニトリル(acetonitrile)を除去し、続いて活性炭をろ過して除去する。ろ過液に約1キログラムのジクロロメタン(dichloromethane)を加えて抽出を行う。0〜5℃の温度下で、それぞれ7.5キログラムと4.5キログラムのn-ブタノール(n-Butanol)を使って前記ステップで生成した水溶液を抽出する。これにより、水層は高濃度の(II)の構造式を有する化合物を取得する。前記水溶液は、孔径0.22 μmのろ過膜でろ過を行なう。
【0065】
-2〜5℃の温度下で、100mlのイソプロパノール(Isopropanol)を濃縮した水溶液(体積500ml;濃度約120 mg/ml)中に加え、続いて温度を-8〜0℃に下げ、体積比が2:1のメタノール(methanol)とテトラヒドロフラン(THF)を含有する混合物150mlを加える。-8〜-5℃の温度下で、20%のメタノール(methanol)に溶解した酢酸(acetic acid)の水素イオン指数(pH)を約5.7に調整し、225mlの体積比が4:2:1のイソプロパノール(Isopropanol)と、メタノール(methanol)と、テトラヒドロフラン(THF)を含有する混合溶媒を前記ステップで生成した溶液中に加える。1.0グラムの純度98%以上のエルタペネムナトリウム(ertapenem sodium)を混合液中に加え、1時間熟成する。
【0066】
-5〜-15℃の温度下で、体積比が0.15:2:1のイソプロパノール(Isopropanol)と、メタノール(methanol)と、テトラヒドロフラン(THF)により組成される混合溶媒525mlを前記ステップで生成した溶液中に加え、5〜16時間以上熟成し、ろ過して固体物質を取得する。体積比が1:2のメタノール(methanol)とテトラヒドロフラン(THF)を含有する混合溶媒80 mlで前記湿った塊状物質を洗浄し、更に窒素ガスを圧縮してろ過し、母液溶液を取り除き、尚且つ、乾燥減重(LOD)を16%以下までろ過し、並びに、純度が98%以上で乾燥減重(LOD)が8%の固体産物64.09グラムを取得する。
【0067】
C.(II)の構造式を有する化合物(R=H)の生成
20℃下で実施例2B生成のジクロロメタン(dichloromethane)に溶解した(VI)の構造式を有する化合物に71グラムの10%パラジウム炭素(Pd/C)を含有する1.2キログラムの純化水及び67グラムの炭酸水素ナトリウム(sodium bicarbonate)を加える。反応器中の窒素は水素ガスを導入し二回置き換え、水素ガスの環境下で最初の1時間以内に圧力値を25〜80 psiに調整し、反応温度を20℃にコントロールして4〜5時間維持させた後、温度を10℃以下に下げ、続いて、5%塩酸(HCl)を使って水素イオン指数(pH)を約5.0まで調整し、10%パラジウム炭素(Pd/C)をろ過除去して有機層から分離させる。液体層の水素イオン指数を約6.5迄調整し、更に約1キログラムのジクロロメタン(dichloromethane)を加えて抽出を行う。0〜5℃の温度下でそれぞれ7.5キログラムと4.5キログラムのn-ブタノール(n-Butanol)を使って前記ステップで生成した液体溶液を二回抽出する。前記液体溶液は孔径0.22 μmの濾過膜で濾過する。
【0068】
-2〜5℃の温度下で、体積比が1:2のメタノール(methanol)とテトラヒドロフラン(THF)を含む混合物250 mlを前記濃縮液体溶液(体積は500 ml、濃度は約100 mg/ml)中に加え、並びに-3〜0℃の温度下で、メタノール(methanol)に溶解した20%の酢酸を使って水素イオン指数を約5.7に調整し、体積比が1:2のメタノール(methanol)とテトラヒドロフラン(THF)に組成される混合溶媒250 mlを前記ステップで生成した溶液中に加える。-8〜-5℃の温度下で、純度が98%以上のエルタペネムナトリウム(ertapenem sodium) 1.0グラムを前記混合液中に加えて1時間熟成し、更に-5〜-15℃の温度下で、体積比が1:2のメタノール(methanol)とテトラヒドロフラン(THF)により組成される混合溶媒1000mlを前記ステップで生成した溶液中に加え、5時間以上熟成する。ろ過して固体物質を取得し、体積比が1:2のメタノール(methanol)とテトラヒドロフラン(THF)を含む混合溶媒80 mlで前記湿った塊状物質を洗浄し、更に窒素ガスを圧縮してろ過することにより溶媒を取り除き、且つ乾燥減重(LOD)が13%以下になるまでろ過し、並びに純度が98%以上で乾燥減重(LOD)が7%の粗成物56.0グラムを取得する。
【0069】
反応溶液中に存在する(Ia)の構造式を有する化合物は直接、硫黄側鎖(sulfur side chain)と反応させ、分離させることなく純度が90%以上の(VI)、(VIII)或いは(X)の構造式を有する前記化合物(表1参照)を生成し、続いて水素化(hydrogenation)及び結晶化(crystallization)を行い、例えばカルバペネム、メロペネム(Meropenem)、ドリペネム(Doripenem)及びエルタペネム(Ertapenem)等の最終産物を得る。
【0070】
【表1】

【0071】
D1.(II)の構造式を有する化合物(R=H)の生成
20℃下で実施例2Cにより生成されたジクロロメタン(dichloromethane)に溶解する(VI)の構造式を有する化合物に71グラムの10%パラジウム炭素(Pd/C)を含む1.2キログラムの精製水及び67グラムの炭酸水素ナトリウム(sodium bicarbonate)を加える。反応器中の窒素は、水素ガスを導入して二回置換え、水素ガスの環境下で最初の1時間以内に圧力値を25〜80 psiに調整し、反応温度を20℃にコントロールして4〜5時間維持させた後、温度を10℃以下に下げ、続いて5%塩酸(HCl)を用いて水素イオン指数(pH)を約5.0迄調整し、10%パラジウム炭素(Pd/C)をろ過除去して有機層から分離させる。液体層の水素イオン指数を約6.5に調整し、更に約1キログラムのジクロロメタン(dichloromethane)を加えて抽出を行う。0〜5℃の温度下でそれぞれ7.5キログラム及び4.5キログラムのn-ブタノール(n-Butanol)によって前記ステップで生成した液体溶液を二回抽出する。前記液体溶液は孔径0.22 μmのろ過膜でろ過を行なう。
【0072】
-2〜5℃の温度下で100 mlのイソプロパノール(Isopropanol)を前記濃縮液体溶液(体積500 ml、濃度約100 mg/ml)中に加え、温度を再度-8〜0℃まで下げ、並びに体積比が2:1のメタノール(methanol)及び酢酸メチル(methyl acetate)を含有する混合物150 mlを加える。-8〜-5℃の温度下で、メタノール(methanol)に溶解した20%酢酸によって水素イオン指数を約5.7に調整し、更に体積比が4:2:1のイソプロパノール(Isopropanol)、メタノール(methanol)、酢酸メチル(methyl acetate)により組成される混合溶媒225 mlを前記ステップで生成した溶液中に加える。1.0グラムの純度が98%以上のエルタペネムナトリウム(ertapenem sodium)を前記混合液中に加えて1時間熟成した後、-5〜-15℃の温度下で、体積比が0.15:2:1のイソプロパノール(Isopropanol)、メタノール(methanol)、酢酸メチル(methyl acetate)により組成される混合溶媒525 mlを前記ステップで生成した溶液中に加え、5時間以上熟成する。ろ過して固体物質を取得し、並びに、体積比が1:2のメタノール(methanol)及び酢酸メチル(methyl acetate)を含む混合溶媒80 mlで前記の湿った塊状物質を洗浄し、更に、窒素ガスを圧してろ過することにより溶媒を取り除き、尚且つ、乾燥減重(LOD)を13%以下になるまでろ過し、並びに、純度が98%以上で乾燥減重(LOD)が11%の粗成物54.8グラムを取得する。
【0073】
D2.(II)の構造式を有する化合物(R=H)の生成
20℃下で実施例2Cにより生成されたジクロロメタン(dichloromethane)に溶解する(VI)の構造式を有する化合物に71グラムの10%パラジウム炭素(Pd/C)を含む1.2キログラムの純化水及び67グラムの炭酸水素ナトリウム(sodium bicarbonate)を加える。反応器中の窒素は、水素ガスを導入して二回置換え、水素ガスの環境下で最初の1時間以内に圧力値を25〜80 psiに調整し、反応温度を20℃にコントロールして4〜5時間維持させた後、温度を10℃以下に下げ、続いて5%塩酸(HCl)を用いて水素イオン指数(pH)を約5.0迄調整し、10%パラジウム炭素(Pd/C)をろ過除去して有機層から分離させる。液体層の水素イオン指数を約6.5に調整し、更に、約1キログラムのジクロロメタン(dichloromethane)を加えて抽出を行う。0〜5℃の温度下で、それぞれ7.5キログラム及び4.5キログラムのn-ブタノール(n-Butanol)によって前記ステップで生成した液体溶液を二回抽出する。前記液体溶液は、孔径0.22 μmのろ過膜でろ過を行なう。
【0074】
-2〜5℃の温度下で、100 mlのイソプロパノール(Isopropanol)を前記濃縮液体溶液(体積は500 ml、濃度は約100 mg/ml)中に加え、温度を再度-8〜0℃まで下げ、並びに体積比が2:1のメタノール(methanol)及びテトラヒドロフラン(THF)を含む混合物150 mlを加える。-8〜-5℃の温度下でメタノール(methanol)に溶解した20%酢酸によって水素イオン指数を約5.7に調整し、更に体積比が4:2:1のイソプロパノール(Isopropanol)、メタノール(methanol)、テトラヒドロフラン(THF)により組成される混合溶媒225 mlを前記ステップで生成した溶液中に加える。1.0グラムの純度が98%以上のエルタペネムナトリウム(ertapenem sodium)を前記混合液中に加えて1時間熟成する。
【0075】
-5〜-15℃の温度下で体積比が0.15:2:1の1-プロパノール(1-propanol)、メタノール(methanol)、テトラヒドロフラン(THF)により組成される混合溶媒525 mlを前記ステップで生成した溶液中に加え、5時間以上熟成する。ろ過して固体物質を得、並びに体積比が1:1:2の1-プロパノール、メタノール(methanol)、テトラヒドロフラン(THF)を含む混合溶媒80 mlで前記の湿った塊状物質を洗浄し、更に窒素ガスを圧してろ過することにより溶媒を取り除き、且つ乾燥減重(LOD)を13%以下になるまでろ過し、並びに純度が98%以上で乾燥減重(LOD)が10%の産物56.1グラムを取得する。
【0076】
D3.(II)の構造式を有する化合物(R=H)の生成
20℃下で実施例2Cにより生成されたジクロロメタン(dichloromethane)に溶解する(VI)の構造式を有する化合物に71グラムの10%パラジウム炭素(Pd/C)を含む1.2キログラムの純化水及び67グラムの炭酸水素ナトリウム(sodium bicarbonate)を加える。反応器中の窒素は、水素ガスを導入して二回置換え、水素ガスの環境下で最初の1時間以内に圧力値を25〜80 psiに調整し、反応温度を20℃にコントロールして4〜5時間維持させた後、温度を10℃以下に下げ、続いて5%塩酸(HCl)を用いて水素イオン指数(pH)を約5.0に調整し、10%パラジウム炭素(Pd/C)をろ過除去して有機層から分離させる。液体層の水素イオン指数を約6.5に調整し、更に、約1キログラムのジクロロメタン(dichloromethane)を加えて抽出を行う。
【0077】
0〜5℃の温度下で、それぞれ12キログラム及び8キログラムのイソアミルアルコール(isoamyl alcohol, IAA)によって前記ステップで生成した液体溶液を二回抽出する。前記液体溶液は孔径0.22 μmのろ過膜でろ過する。-2〜5℃の温度下で、100 mlのイソプロパノール(Isopropanol)を前記濃縮液体溶液(体積は500 ml、濃度は約100 mg/ml)中に加え、続いて温度を更に-8〜0℃迄下げ、体積比が2:1のメタノール(methanol)とテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)を含む混合物150 mlを加える。-8〜-5℃の温度下で、メタノール(methanol)に溶解した20%酢酸(acetic acid)を使って水素イオン指数を約5.7に調整し、更に、体積比が4:2:1のイソプロパノール(Isopropanol)、メタノール(methanol)、テトラヒドロフラン(THF)により組成される混合溶媒225 mlを前記ステップで生成した溶液中に加える。また、純度が98%以上のエルタペネムナトリウム(ertapenem sodium) 1.0グラムを前記混合液中に加えて1時間熟成する。
【0078】
-5〜-15℃の温度下で、体積比が0.15:2:1のイソプロパノール(Isopropanol)、メタノール(methanol)、テトラヒドロフラン(THF)により組成される混合溶媒525 mlを前記ステップで生成した溶液中に加え、5時間以上熟成する。ろ過して固体物質を取得し、体積比が1:2のメタノール(methanol)、テトラヒドロフラン(THF)を含む混合溶媒80 mlで湿った塊状物質を洗浄し、更に、窒素ガスを圧縮してろ過することにより溶媒を除去し、尚且つ、乾燥減重(loss on drying, LOD)が13%以下になるまでろ過し、純度が98%以上で乾燥減重(LOD)10%の産物55.8グラムを得る。
【0079】
D4.(II)の構造式を有する化合物(R=H)の水素化プロセス
10℃下で、実施例2Cで生成されたジクロロメタン(dichloromethane)に溶解した(VI)の構造式を有する化合物は、この溶液を蒸留することによってジクロロメタン(dichloromethane)を除去し、並びに、10℃下で560グラムのアセトニトリル(acetonitrile)に溶かし、71グラムの10%パラジウム炭素(Pd/C)を含有する1.2キログラムの純化水及び67グラムの炭酸水素ナトリウム(sodium bicarbonate)を加える。反応器中の窒素は水素ガスを導入し二回置き換え、水素ガス環境下で最初の1時間以内に、圧力値を80〜120 psiに調整し、反応温度を0〜10℃にコントロールして4〜5時間維持させた後、温度を5℃以下に下げ、続いて、5%塩酸(HCl)を使って水素イオン指数(pH)を約5.0〜5.4に調整し、10%パラジウム炭素(Pd/C)をろ過して溶液層を取得する。溶液層の水素イオン指数を約6.3〜6.7に調整し、約11.9グラムの活性炭を加えて撹拌した後、蒸留方式で溶液中のアセトニトリル(acetonitrile)を除去し、続いて活性炭をろ過して除去する。ろ過液に約1キログラムのジクロロメタン(dichloromethane)を加えて抽出を行う。0〜5℃の温度下で、それぞれ7.5キログラムと4.5キログラムのn-ブタノール(n-Butanol)を使って前記ステップで生成した水溶液を抽出する。これにより、水層は高濃度の(II)の構造式を有する化合物を取得する。前記水溶液は、孔径0.22 μmのろ過膜でろ過を行なう。
【0080】
-2〜5℃の温度下で、100mlのイソプロパノール(Isopropanol)を濃縮した水溶液(体積500ml;濃度約120 mg/ml)中に加え、続いて温度を-8〜0℃に下げ、体積比が2:1のメタノール(methanol)とテトラヒドロフラン(THF)を含有する混合物150mlを加える。-8〜-5℃の温度下で、20%のメタノール(methanol)に溶解した酢酸(acetic acid)の水素イオン指数(pH)を約5.7に調整し、225mlの体積比が4:2:1のイソプロパノール(Isopropanol)と、メタノール(methanol)と、テトラヒドロフラン(THF)を含有する混合溶媒を前記ステップで生成した溶液中に加える。1.0グラムの純度98%以上のエルタペネムナトリウム(ertapenem sodium)を混合液中に加え、1時間熟成する。
【0081】
-5〜-15℃の温度下で、体積比が0.15:2:1のイソプロパノール(Isopropanol)と、メタノール(methanol)と、テトラヒドロフラン(THF)により組成される混合溶媒525mlを前記ステップで生成した溶液中に加え、5〜16時間以上熟成し、ろ過して固体物質を取得する。体積比が1:2のメタノール(methanol)とテトラヒドロフラン(THF)を含有する混合溶媒80 mlで前記湿った塊状物質を洗浄し、更に窒素ガスを圧縮してろ過し、母液溶液を取り除き、尚且つ、乾燥減重(LOD)が16%以下になるまでろ過し、並びに、純度が98%以上で乾燥減重(LOD)が8%の固体産物55.8グラムを取得する。
【0082】
D5.(II)の構造式を有する化合物(R=H)の水素化プロセス
10℃下で、実施例2Cで生成されたジクロロメタン(dichloromethane)に溶解した(VI)の構造式を有する化合物は、この溶液を蒸留することによってジクロロメタン(dichloromethane)を除去し、並びに、10℃下で560グラムのアセトニトリル(acetonitrile)に溶かし、71グラムの10%パラジウム炭素( Pd/C)を含有する1.2キログラムの精製水及び67グラムの炭酸水素ナトリウム(sodium bicarbonate)を加える。反応器中の窒素は水素ガスを導入し二回置き換え、水素ガス環境下で最初の1時間以内に、圧力値を80〜120 psiに調整し、反応温度を0〜10℃にコントロールして4〜5時間維持させた後、温度を5℃以下に下げ、続いて、5%塩酸(HCl)を使って水素イオン指数(pH)を約5.0〜5.4に調整し、10%パラジウム炭素(Pd/C)をろ過して溶液層を取得する。溶液層の水素イオン指数を約6.5に調整し、約11.9グラムの活性炭を加えて撹拌した後、蒸留方式で溶液中のアセトニトリル(acetonitrile)を除去し、続いて活性炭をろ過して除去する。ろ過液に約1キログラムのジクロロメタン(dichloromethane)を加えて抽出を行う。0〜5℃の温度下で、それぞれ7.5キログラムと4.5キログラムのn-ブタノール(n-Butanol)を使って前記ステップで生成した水溶液を抽出する。これにより、水層は高濃度の(II)の構造式を有する化合物を取得する。前記水溶液は、孔径0.22 μmのろ過膜でろ過を行なう。
【0083】
-2〜2℃の温度下で、体積比が1:2のメタノール(methanol)とテトラヒドロフラン(THF)を含有する混合物250mlを濃縮した水溶液 (体積500 ml、濃度約100 mg/ml)中に加え、-3〜0℃の温度下で、体積比が1:2のメタノール(methanol)とテトラヒドロフラン(THF)によって組成される混合溶媒250mlを前記ステップで生成した溶液中に加える。-8〜-5℃の温度下で、1.0グラムの純度98%以上のエルタペネムナトリウム(ertapenem sodium)を混合液中に加え、1時間熟成する。さらに、-8〜-15℃の温度下で、体積比が1:2のメタノール(methanol)とテトラヒドロフラン(THF)により組成される混合溶媒1000mlを前記ステップで生成した溶液中に加え、5時間熟成する。ろ過して固体物質を取得し、体積比が1:2のメタノール(methanol)、テトラヒドロフランの混合溶媒100 mlで湿った塊状物質を洗浄し、更に窒素ガスを圧してろ過することにより母液溶液を除去し、尚且つ、乾燥減重(loss on drying, LOD)が16%以下になるまでろ過し、純度が98%以上で乾燥減重(LOD)7%の粗成物(crude product) 57.1グラムを取得する。
【0084】
[実施例4]
A.(VIII)の構造式を有する化合物の生成
実施例1Aで得られた-35℃で500 mlのジクロロメタン(dichloromethane)に溶解した(Ia)の構造式を有する化合物を用意する。p-ニトロベンジル(1R,5S,6S)-6-[(IR)-1-ハイドロキシエチル]-2-[(ビス(2,4-ジクロロフェニル)ホスホノオキシ]-1-カルバペネム-2-エン-3-カルボン酸(p-nitrobenzyl(1R,5S,6S)-6-[(IR)-1-hydroxyethyl]-2-[(bis(2, 4- dichlorophenyl) phosphono)oxy] -1-methylcarbapen-2-em-3-carboxylate)に33.6グラムの(2S,4S)-2-(ジメチルアミノカルボニル)-4-メルカプト-1-(p-ニトロベンジロキシカルボニル)-1-ピロリジン((2S,4S)-2-(dimethyl- aminocarbonyl)-4-mercapto-1-(p-nitrobenzyloxycarbonyl)-1- pyrrolidine)を加える。この混合物を反応させるために、-30℃下で32.3グラムのジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を加えて撹拌する。反応完了後、500 mlの5%炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)溶液及び500 mlの水で前記ステップで生成した混合物を洗浄し分離させ、これにより得られた前記有機層は(VIII)の構造式を有する化合物を生成可能である。この化合物は実施例5Aステップ中で使用する。
【0085】
B.(X)の構造式を有する化合物の生成
実施例1Aで得られた-35℃で500 mlのジクロロメタン(dichloromethane)に溶解した(Ia)の構造式を有する化合物を用意する。p-ニトロベンジル(1R,5S,6S)-6-[(IR)-1-ハイドロキシエチル]-2-[(ビス(2,4-ジクロロフェニル)ホスホノオキシ]-1-カルバペネム-2-エン-3-カルボン酸(p-nitrobenzyl(1R,5S,6S)-6-[(IR)-1-hydroxyethyl]-2-[(bis(2, 4- dichlorophenyl) phosphono)oxy] -1-methylcarbapen-2-em-3-carboxylate)に39.0グラムの(2S,4S)-1-p-ニトロベンジロキシカルボニル1-2-スルファモイルアミノメチル-4-メルカプトピロリジン ((2S,4S)-1-p-nitrobenzyloxycarbonyl-2-sulfamoylaminomethyl-4-mercaptopyrrolidine)を加える。この混合物を反応させるために、-30℃下で32.3グラムのジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を加えて撹拌する。反応完了後、500 mlの5%炭酸水素ナトリウム溶液及び500 mlの水で前記ステップで生成した混合物を洗浄し分離させ、これにより得られた前記有機層は(X)の構造式を有する化合物を生成可能である。この化合物は実施例5Bステップで使用する。
【0086】
[実施例5]
A.メロペネム(Meropenem)の生成
実施例4Aにおいて生成したジクロロメタン(dichloromethane)に溶解する(VIII)の構造式を有する化合物は蒸留を行いジクロロメタン(dichloromethane)を除去し、この濃縮溶液中に1000 mlのテトラヒドロフラン(THF)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、更に800 mlの脱イオン水、8.0グラムの10%(wt%)パラジウム炭素(Pd/C)及び22グラムの2,6-ジメチルピリジン(2,6-dimethylpyridine)を加える。20〜25℃の温度、1.8 MPaの水素ガス圧(H2 atmosphere)の下、前記懸濁液を1〜2時間撹拌して、ろ過方式によってパラジウム炭素(Pd/C)を除去し、並びに72 mlのテトラヒドロフラン(THF)及び48 mlの脱イオン水を含む混合物でこれを洗浄する。
【0087】
3200 mlのアセトン(acetone)で前記ろ過物を希釈し、並びに5〜10℃下でシードクリスタル(seed crystal)を加え、0.5時間後に沈殿した結晶物に対し5〜10℃下でゆっくりと1600 mlのアセトンを加える。前記混合物を1時間撹拌した後、ろ過方式で前記結晶物を収集し、並びに150 mlのアセトンで洗浄、乾燥すると、20.8グラムのメロペネム(Meropenem)が得られる。
【0088】
B.ドリペネム(Doripenem)の生成
実施例4Bにおいて生成したジクロロメタン(dichloromethane)に溶解する(X)の構造式を有する化合物は蒸留を行いジクロロメタン(dichloromethane)を除去し、更に470 mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶かす。前記溶液中に310 mlの脱イオン水、39.8グラムの10%(wt%)パラジウム炭素(Pd/C)及び11.1グラムの塩化マグネシウム(MgCl2.6H2O)を加える。25〜35℃の温度及び0.5 MPaの水素ガス圧の下、前記懸濁物を2〜3時間撹拌し、ろ過方式でパラジウム炭素(Pd/C)を除去し、並びに140 mlのテトラヒドロフラン(THF)及び95 mlの脱イオン水を含む混合物で洗浄する。
【0089】
5.5グラムの塩化マグネシウム(MgCl2.6H2O)を前記ろ過物を組み合わせた中に溶かし、更に前記混合物中に2300 mlのテトラヒドロフラン(THF)を加えた後、23〜28℃下で前記液体層を分離させる。前記抽出物の温度を0〜5℃まで下げて、310 mlのメタノール(MeOH)及び0.1グラムの種結晶を前記抽出物に加える。繰り返し二回、5.5グラムの塩化マグネシウム(MgCl2.6H2O)を前記有機層に加えた後、生成した液体層が分離し、並びに前記液体層を前記の液体懸濁物中に加える。590 mlのメタノール(methanol)を液滴方式(dropwise)で前記懸濁液に加え、-10〜-15℃下で前記混合物を2時間撹拌し、ろ過方式で前記固体物質を収集し、並びにメタノール(methanol)で洗浄、乾燥後、29.5グラムのドリペネム(Doripenem)が得られる。
【0090】
[実施例6]
A.母液中の(II)の構造式を有する化合物(R=H)を回収するプロセス
実施例3のD3で生成された濃度約4.8mg/mlの(II)の構造式を有する結晶母液1000mlを取り、0〜5℃下で、1000mlのジクロロメタン(dichloromethane)を用いて抽出を行う。得られた水層は、500ml及び250mlの酢酸エチル(ethyl acetate)を用いて抽出及び分離を行い、得られた水層は、10℃下で、1時間の濃縮を行い、(II)の構造式を有する化合物の水溶液200ml、濃度約26.91mg/ml、約5.38gを取得する。
【0091】
前記濃度26.91mg/ml、純度50.8%の水溶液を取り、0〜5℃下、約30分の速度で、ゆっくりとハイポーラスタイプポリスチレン(polystyrene)吸脱着型樹脂HP-20の253mm×25mmのカラムに加える。それは、フェニルエテン(phenylethene)、メタクリル酸(methacrylic acid)、またはフェニルエテン(phenylethene)及びメタクリル酸(methacrylic acid)により組成される。0〜5℃の純水をバッファとし、流速1ml/minで4カラム体積送液し、更に、流速を2ml/minまで上昇させて10カラム体積送液し、さらに、10%のメタノール(methanol)水溶液に交換し、続けて10カラム体積送液する。カラム体積で計算すると、4〜18の流出液の収集率は約71.5%。n-ブタノール(n-Butanol)抽出前に溶液濃度を向上させた後、実施例3のD2結晶条件下で、結晶精製を行い、(II)の構造式を有する化合物の精製製品を取得し、HLPCで、純度96.5%、総収集率52.0%を測定する。
【0092】
B.母液中の(II)の構造式を有する化合物(R=H)を回収するプロセス
実施例3のD3で生成された濃度約5mg/mlの(II)の構造式を有する結晶母液1300mlを取り、0〜5℃下で、975mlのジクロロメタン(dichloromethane)を用いて抽出を行う。得られた水層は、560ml及び300mlの酢酸エチル(ethyl acetate)を用いて抽出及び分離を行い、得られた水層は、10℃下で、1時間の濃縮を行い、(II)の構造式を有する化合物の水溶液220ml、濃度約29.65mg/ml、約5.93gを取得する。
【0093】
前記濃度29.65mg/ml、純度48%の水溶液を取り、0〜5℃下、約30分の速度で、ゆっくりとハイポーラスタイプポリスチレン(polystyrene)吸脱着型SX-10(台湾和鼎科技有限公司で購入)樹脂の253mm×25mmのカラムに加える。0〜5℃の純水をバッファとし、流速1ml/minで4カラム体積、送液し、更に、流速を2ml/minに上昇させて25カラム体積、送液する。カラム体積で計算すると、4〜22の流出液の収集率は約73.1%。流出液は、n-ブタノール(n-Butanol)抽出前に溶液濃度を上昇させた後、実施例3のD2結晶条件下で、結晶精製を行い、(II)の構造式を有する化合物の精製製品を取得する。HLPCで、純度96.8%、総収集率53.7%を測定する。
【0094】
本発明では既に複数の具体的な実施例を開示したが、当該技術に熟知する何れの技術者も、本発明の精神と特許請求の範囲を逸脱せずに、各種の変化及び修飾を行うことは可能である。よって、その他の具体的な実施例もまた下記の特許請求の範囲内に含まれることをここに明記する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(Ia)の構造式を有する化合物は、以下の化学構造式1に示し、Arは2,4-ジクロロフェニル(2,4-dichlorophenyl)で、Pはリン(phosphor)、P’はアルキル(alkyl)、2,2,2-トリクロロエチル(2,2,2,-trichloroethyl)、2-ブロモエチル(2-bromoethyl)、ベンズヒドリル(benzhydryl)、トリチル(trityl)、アリール(aryl)、トリメチルシリル(trimethylsilyl)、トリエチルシリル(triethylsilyl)、4-メトキシベンジル(4-methoxybenzyl)、t-ブチル(t-butyl)、p-ニトロベンジル(p-nitrobenzyl)、水素、及びその類似物質から選択して組成するグループであることを特徴とする(Ia)の構造式を有する化合物。
【化1】

【請求項2】
請求項1記載の(Ia)の構造式を有する化合物において、前記P’はp-ニトロベンジル(p-nitrobenzyl)であることを特徴とする(Ia)の構造式を有する化合物。
【請求項3】
(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法は、以下の化学構造式2に示し、Rは水素或いは保護基(protecting group)であり、保護基は水素化反応(hydrogenolysis)によって除去可能で、尚且つ、M及びM’はそれぞれ、水素、ナトリウムイオン或いはカリウムイオンであり、そのステップには、
【化2】

(1)(Ia)の構造式を有する化合物の提供と、
【化3】

(2) (Ia)の構造式を有する化合物を(II)の構造式を有する化合物に変換するステップを含み、式中、Arは2,4-ジクロロフェニル(2,4-dichlorophenyl)、Pはリン(phosphor)、P’はアルキル(alkyl)、2,2,2-トリクロロエチル(2,2,2,-trichloroethyl)、2-ブロモエチル(2-bromoethyl)、ベンズヒドリル(benzhydryl)、トリチル(trityl)、アリール(aryl)、トリメチルシリル(trimethylsilyl)、トリエチルシリル(triethylsilyl)、4-メトキシベンジル(4-methoxybenzyl)、t-ブチル(t-butyl)、p-ニトロベンジル(p-nitrobenzyl)、水素、その類似物質のいずれかを選択して組成するグループであり、
前記変換過程には、(Ia)の構造式を有する化合物及び(V)の構造式を有する化合物を凝縮して(condense)、
【化4】

(VI)の構造式を有する化合物を形成するステップを含み、
【化5】

その内、P”は、アルキル(alkyl)、2,2,2-トリクロロエチル(2,2,2,-trichloroethyl)、2-ブロモエチル(2-bromoethyl)、ベンズヒドリル(benzhydryl)、トリチル(trityl)、アリール(aryl)、トリメチルシリル(trimethylsilyl)、トリエチルシリル(triethylsilyl)、4-メトキシベンジル(4-methoxybenzyl)、t-ブチル(t-butyl)、p-ニトロベンジル(p-nitrobenzyl)、水素、その類似物質のいずれかを選択し組成するグループであり、
前記(VI)の構造式を有する化合物は、金属触媒(metal catalyst)及び塩基(base)の存在下、水及び第一有機溶媒の同時存在下で、水素化反応(hydrogenolysis)によって、(II)の構造式を有する化合物に変換し、
前記(II)の構造式を有する化合物の溶液は、
(a)溶液の水素イオン指数(pH)調整を経て、その内の金属触媒(metal catalyst)をろ過し、
(b)蒸留または抽出で(II)の構造式を有する化合物の溶液中の第一有機溶媒を除去し、(c)(II)の構造式を有する化合物の溶液に第二有機溶媒を加えて、抽出、純化した後、さらに、アルコール類による抽出を経て、(II)の構造式を有する化合物の溶液濃度を上昇させ、高濃度の(II)の構造式を有する化合物の溶液は、結晶溶媒とともに、母液を純化分離して、(II)の構造式を有する化合物を取得し、
前記第一有機溶媒は、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran, THF)、アセトニトリル(acetonitrile)、酢酸エチル(ethylacetate)、プロピオニトリル(propionitrile)、n-ブタノール(n-butanol)、メタノール(methanol)、エタノール(ethanol)、ジクロロメタン(dichloromethane)、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)、N-エチル-2-ピロリジノン(N-ethyl-2-pyrrolidinone)、その混合物のいずれかにより組成されるグループであり、
前記第二有機溶媒は、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran, THF)、アセトニトリル(acetonitrile)、酢酸エチル(ethylacetate)、プロピオニトリル(propionitrile)、ジクロロメタン(dichloromethane)、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)、n-ブタノール(n-butanol)、イソアミルアルコール (isoamyl alcohol, IAA)、その混合物のいずれかにより組成されるグループであることを特徴とする (II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法。
【請求項4】
請求項3記載の(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法において、前記(II)の構造式中のRは水素であり、尚且つ、(II)の構造式を有する化合物中のM及びM’はそれぞれ、水素、ナトリウムイオン或いはカリウムイオンであることを特徴とする(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法。
【請求項5】
請求項3記載の(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法において、前記(II)の構造式中のRの保護基は、カルボベンゾキシ(carbobenzyloxy)或いはp-ニトロベンジルカルバモイル (p-nitrobenzyl carbamoyl, PNZ)であることを特徴とする(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法。
【請求項6】
請求項3記載の(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法において、前記(Ia)の構造式を有する化合物は、溶媒を使って前記(VI)の構造式を有する化合物に
変換するが、前記溶媒は、ジエチルエーテル(diethyl ether)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、トルエン(toluene)、キシレン(xylene)、ジクロロメタン(dichloromethane)、1,2-ジクロロエタン(1,2-dichloroethane)、N, N-ジメチルホルムアミド(N, N-dimethylformamide)、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)、N-メチルピロリジノン(N-methylpyrrolidinone)、N-エチル-2-ピロリジノン(N-ethyl-2-pyrrolidinone)、N-メチルピペリジノン(N-methylpiperidinone)、アセトニトリル(acetonitrile)、プロピオニトリル(propionitrile)、その混合物のいずれかを選択し組成するグループであることを特徴とする(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法。
【請求項7】
請求項3記載の(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法において、前記金属触媒は、パラジウム(palladium)、白金(platinum)、ロジウム(rhodium)、その類似物の混合のいずれかによって組成されることを特徴とする(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法。
【請求項8】
請求項3記載の(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法において、塩基(base)は、重炭酸塩(bicarbonate)または水酸化物(hydroxide)に二酸化炭素(carbon dioxide)を混合して得られる重炭酸塩(bicarbonate)関連の混合物によって組成されるグループであり、塩基(base)を用いて、反応溶液の水素イオン指数を約6〜9間に調整可能であることを特徴とする(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法。
【請求項9】
請求項3記載の(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法において、前記アルコール類の抽出は、多回遠心抽出機(multi-stage centrifugal extractor)を使用することを特徴とする(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法。
【請求項10】
請求項3記載の(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法において、前記結晶溶媒は、メタノール(methanol)、エタノール(ethanol)、1-プロパノール(1-propanol)、イソプロパノール(Isopropanol)、n-ブタノール(n-Butanol)、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸メチル(methyl acetate)、その混合物のいずれかを選択し組成するグループであることを特徴とする(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法。
【請求項11】
請求項3記載の(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法において、(Ia)の構造式を有する化合物は、(Ib)の構造式を有する化合物に代替されうるもので、
【化6】

式中、Arは、フェニル (phenyl)で、Pはリン(phosphor)、P’は、アルキル(alkyl)、2,2,2-トリクロロエチル(2,2,2,-trichloroethyl)、2-ブロモエチル(2-bromoethyl)、ベンズヒドリル(benzhydryl)、トリチル(trityl)、アリール(aryl)、トリメチルシリル(trimethylsilyl)、トリエチルシリル(triethylsilyl)、4-メトキシベンジル(4-methoxybenzyl)、t-ブチル(t-butyl)、p-ニトロベンジル(p-nitrobenzyl)、水素、その類似物質のいずれかを選択して組成するグループであることを特徴とする(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法。
【請求項12】
請求項3記載の(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法において、前記(Ia)の構造式を有する化合物の生成ステップには、
(1)ジクロロメタン(dichloromethane)中に溶解したオクタン酸ロジウム(Rh2(Oct)4)を用いて、(III)の構造式を有する化合物を環化(cyclize)し、
【化7】

(IV)の構造式を有する化合物を取得し、
【化8】

(2)塩基の存在下、(IV)の構造式を有する化合物及びクロロリン酸=ビス(2,4-ジクロロフェニル)(bis(2,4-dichlorophenyl)- chlorophosphate)を反応させて、(Ia)の構造式を有する化合物を取得するステップを含むことを特徴とする(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法。
【請求項13】
請求項12記載の(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法において、前記ステップ(1)は溶媒を使って行い、前記溶媒は、ジクロロメタン(dichloromethane)、酢酸メチル(methyl acetate)、酢酸エチル(ethyl acetate)、トルエン(toluene)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、アセトニトリル(acetonitrile)、その混合物のいずれかを選択し、組成するグループであることを特徴とする(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法。
【請求項14】
請求項12記載の(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法において、前記ステップ(2)は塩基(base)を使って行い、前記塩基は、ジイソプロピルエチルアミン(diisopropylethylamine, DIPEA)、ジイソプロピルアミン(diisopropylamine, DIPA)、ジシクロヘキシラミン(dicyclohexylamine, DCHA)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジノン(2,2,6,6-tetra-methylpiperidine,TMP)、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(1,1,3,3-tetra-methylguanidine, TMG)、1,8-ジアザビシクロ[4.3.0]ウンデック-7-エン(1,8-diazabicyclo[4.3.0.]undec-7-ene, DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノエン(1,5-diazabicyclo[4.3.0]non-5-ene, DBN)、N-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidine) 、N,N-ジメチルアミノピリジン(N,N-dimethyl-aminopyridine)、N,N-ジエチルアミノピリジン(N,N-diethyl-aminopyridine)、水酸化カリウム(potassium hydroxide)、炭酸ナトリウム(sodium carbonate)、炭酸水素ナトリウム(sodium hydrogen carbonate)、リン酸水素ジナトリウム(disodium hydrogen phosphate)のいずれかを選択し組成するグループであることを特徴とする(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法。
【請求項15】
請求項12記載の(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法において、前記P’はp-ニトロベンジル(p-nitrobenzyl)であることを特徴とする(II)の構造式を有する化合物或いはその製薬学的に許容される塩類の生成法。
【請求項16】
メロペネム(Meropenem)生成に用いる方法には、
【化9】

(1)(Ia)の結構式を有する化合物を用意し、
【化10】

(2)(Ia)の構造式を有する化合物をメロペネム(Meropenem)に変換するステップを含み、
式中のArは、2,4-ジクロロフェニル(2,4-dichlorophenyl)、Pはリン(phosphor)、P’は、アルキル(alkyl)、2,2,2-トリクロロエチル(2,2,2,-trichloroethyl)、2-ブロモエチル(2-bromoethyl)、ベンズヒドリル(benzhydryl)、トリチル(trityl)、アリール(aryl)、トリメチルシリル(trimethylsilyl)、トリエチルシリル(triethylsilyl)、4-メトキシベンジル(4-methoxybenzyl)、t-ブチル(t-butyl)、p-ニトロベンジル(p-nitrobenzyl)、水素、その類似物質のいずれかを選択し、組成するグループであり、
その内、前記変換ステップには、(Ia)の構造式を有する化合物と(VII)の構造式を有する化合物を凝縮(condense)して、
【化11】

(VIII)の結構式を有する化合物を形成するステップを含み、
【化12】

式中のP”は、アルキル(alkyl)、2,2,2-トリクロロエチル(2,2,2,-trichloroethyl)、2-ブロモエチル(2-bromoethyl)、ベンズヒドリル(benzhydryl)、トリチル(trityl)、アリール(aryl)、トリメチルシリル(trimethylsilyl)、トリエチルシリル(triethylsilyl)、4-メトキシベンジル(4-methoxybenzyl)、t-ブチル(t-butyl)、p-ニトロベンジル(p-nitrobenzyl)、水素、その類似物質のいずれかを選択し組成するグループであることを特徴とするメロペネム(Meropenem)生成に用いる方法。
【請求項17】
請求項16記載のメロペネム(Meropenem)生成に用いる方法において、(Ia)の構造式を有する化合物は、(Ib)の構造式を有する化合物に代替されうるもので、
【化13】

式中、Arは、フェニル (phenyl)、Pはリン(phosphor)、P’は、アルキル(alkyl)、2,2,2-トリクロロエチル(2,2,2,-trichloroethyl)、2-ブロモエチル(2-bromoethyl)、ベンズヒドリル(benzhydryl)、トリチル(trityl)、アリール(aryl)、トリメチルシリル(trimethylsilyl)、トリエチルシリル(triethylsilyl)、4-メトキシベンジル(4-methoxybenzyl)、t-ブチル(t-butyl)、p-ニトロベンジル(p-nitrobenzyl)、水素、その類似物質のいずれかを選択して組成するグループであることを特徴とするメロペネム(Meropenem)生成に用いる方法。
【請求項18】
ドリペネム(Doripenem)を生成するのに用いる方法は、
【化14】

(1)(Ia)の結構式を有する化合物を用意し、
【化15】

(2)(Ia)の構造式を有する化合物をドリペネム(Doripenem)に変換するステップを含み、
式中Arは、2,4-ジクロロフェニル(2,4-dichlorophenyl)、Pはリン(phosphor)、P’は、アルキル(alkyl)、2,2,2-トリクロロエチル(2,2,2,-trichloroethyl)、2-ブロモエチル(2-bromoethyl)、ベンズヒドリル(benzhydryl)、トリチル(trityl)、アリール(aryl)、トリメチルシリル(trimethylsilyl)、トリエチルシリル(triethylsilyl)、4-メトキシベンジル(4-methoxybenzyl)、t-ブチル(t-butyl)、p-ニトロベンジル(p-nitrobenzyl)、水素、その類似物質のいずれかを選択し組成するグループであり、
前記変換ステップには、前記(Ia)の構造式を有する化合物と(IX)の構造式を有する化合物を凝縮(condense)して
【化16】

(X)の結構式を有する化合物を形成するステップを含み、
【化17】

式中のP”はアルキル(alkyl)、2,2,2-トリクロロエチル(2,2,2,-trichloroethyl)、2-ブロモエチル(2-bromoethyl)、ベンズヒドリル(benzhydryl)、トリチル(trityl)、アリール(aryl)、トリメチルシリル(trimethylsilyl)、トリエチルシリル(triethylsilyl)、4-メトキシベンジル(4-methoxybenzyl)、t-ブチル(t-butyl)、p-ニトロベンジル(p-nitrobenzyl)、水素、その類似物質のいずれかを選択し組成するグループであることを特徴とするドリペネム(Doripenem)の生成に用いる方法。
【請求項19】
請求項18記載のリペネム(Doripenem)の生成に用いる方法において、(Ia)の構造式を有する化合物は、(Ib)の構造式を有する化合物に代替されうるもので、
【化18】

式中、Arは、フェニル (phenyl)、Pはリン(phosphor)、P’は、アルキル(alkyl)、2,2,2-トリクロロエチル(2,2,2,-trichloroethyl)、2-ブロモエチル(2-bromoethyl)、ベンズヒドリル(benzhydryl)、トリチル(trityl)、アリール(aryl)、トリメチルシリル(trimethylsilyl)、トリエチルシリル(triethylsilyl)、4-メトキシベンジル(4-methoxybenzyl)、t-ブチル(t-butyl)、p-ニトロベンジル(p-nitrobenzyl)、水素、その類似物質のいずれかを選択して組成するグループであることを特徴とするメロペネム(Meropenem)生成に用いる方法。
【請求項20】
(II)の構造式を有する化合物の請求項3により作り出された結晶後に生成される溶液の回収及び純化方法は、
(a)(II)の構造式を有する化合物の溶液を、溶媒を用いて抽出し該結晶溶剤を除去し、さらに、蒸留を行なって第一溶液を形成し、前記抽出溶媒は、ジクロロメタン(dichloromethane)、酢酸エチル(ethyl acetate)、トルエン(toluene)、キシレン(xylene)とするステップと、
(b)第一溶液に充填吸着型樹脂処理を施して雑質を取り除き、その過程では、水と第三有機溶液を混合するバッファを用い、第三有機溶液の水中比率は0〜30%で、雑質除去後には、純度が80%以上の(II)の構造式を有する第二溶液を取得するステップと、
(c)第二溶液を濃縮後、第四有機溶媒の純化、分離を経て、(II)の構造式を有する化合物を取得するステップと、
を含むことを特徴とする(II)の構造式を有する化合物からの結晶後に生成される溶液の回収及び純化方法。
【請求項21】
請求項20記載の(II)の構造式を有する化合物からの結晶後に生成される溶液の回収及び純化方法において、前記充填吸着型樹脂は、ハイポーラスタイプポリスチレン(polystyrene)吸脱着型樹脂であり、それは、フェニルエテン(phenylethene)、メタクリル酸(methacrylic acid)、或いはフェニルエテン(phenylethene)及びメタクリル酸(methacrylic acid)により組成されることを特徴とする(II)の構造式を有する化合物からの結晶後に生成される溶液の回収及び純化方法。
【請求項22】
請求項20記載の(II)の構造式を有する化合物からの結晶後に生成される溶液の回収及び純化方法において、前記第三有機溶液は、メタノール(methanol)、エタノール(ethanol)、1-プロパノール(1-propanol)、イソプロパノール(Isopropanol)、n-ブタノール(n-Butanol)、アセトン(acetone)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran, THF)、酢酸メチル(methyl acetate)、その混合物の何れかを選択し組成するグループであることを特徴とする(II)の構造式を有する化合物からの結晶後に生成される溶液の回収及び純化方法。
【請求項23】
請求項20記載の(II)の構造式を有する化合物からの結晶後に生成される溶液の回収及び純化方法において、前記第四有機溶媒は、メタノール(methanol)、エタノール(ethanol)、1-プロパノール(1-propanol)、イソプロパノール(Isopropanol)、n-ブタノール(n-Butanol)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran, THF)、酢酸メチル(methyl acetate)、その混合物の何れかを選択し組成するグループであることを特徴とする(II)の構造式を有する化合物からの結晶後に生成される溶液の回収及び純化方法。

【公開番号】特開2011−241212(P2011−241212A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107620(P2011−107620)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(508079038)展旺生命科技股▲ふん▼有限公司 (4)
【Fターム(参考)】