説明

カルボキシメチルセルロースゲルの製造方法

【課題】環境や人体への安全性が高く、簡単な設備で安価に製造でき、従って、食品や医薬品等に安心して使用できるカルボキシメチルセルロースアルカリ塩を原料とするゲルの製造方法を提供すること。
【解決手段】天然パルプを原料とする安全性の高いカルボキシメチルセルロースアルカリ塩(CMC)に、食品や医薬品等の分野別に認可されている安全性の高い酸または酸水溶液を加え混練することによって、またはCMCを水に溶解させ、ペースト状にした後、そのペースト状CMCを酸または酸水溶液に浸漬させることによって、CMCを原料とするゲルを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸または酸水溶液を用いてアニオン系のセルロース誘導体であるカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩(以下、単にCMCと言う。)に分子結合(架橋)を生じさせることによって、食品、医薬品等の安定性向上、保形性向上等のために使用されるゲルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMCは、現在最も一般的に使用されている水溶性高分子である。CMCは、白色または類白色の粉末であり、水に溶解し、透明で無臭の粘ちょう液になる。CMCは、天然パルプを原料としているので、安全性が高い。CMCの分子同士を架橋させることで、セルロースの分子が三次元の網目構造をとり、この網目構造の内部に水をしっかり捉えたゲルが得られる。このようにして得られたゲルは、食品、医薬品、日用品、保冷材、建築用材等に幅広く使用されている。
【0003】
このようなゲルを製造する方法として、従来からアニオン性水溶性高分子を多価金属イオンで架橋させゲルを調製する方法(例えば、特許文献1、2,3及び4)や、アニオン性水溶性高分子に架橋剤を添加してゲルを調製する方法(例えば、特許文献5、6及び7)、及びアニオン性水溶性高分子に水を加えペースト状に練り放射線を照射することによりゲルを調製する方法(例えば特許文献8及び9、並びに非特許文献1、2及び3)が知られている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−90121
【特許文献2】特開平11−106561
【特許文献3】特開2000−191802
【特許文献4】特開2005−263858
【特許文献5】特開2003−190991
【特許文献6】特開平9−277421
【特許文献7】特開平10−251447
【特許文献8】特開2005−82800
【特許文献9】特開2001−2703
【非特許文献1】Bin Fel, Radoslaw A. Wach, Hiroshi Motomo, Fumio Yoshii, and Tamikazu Kume, Journal of Applied Polymer Science, 78, 278-283(2000)
【非特許文献2】Fumio Yoshii, Long Zhao, Radoslaw A. Wach, Naotsugu Nagasawa, Hiroshi Mitomo, and Tamikazu Kume, Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 208(2003), 320-324
【非特許文献3】Radoslaw A. Wach, Hiroshi Mitomo, Naotsugu Nagasawa and Fumio Yoshii, Radiation Physics and Chemistry, 68(2003), 771-779
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、多価金属イオンでアニオン性水溶性高分子を架橋させゲルを調製する方法ではゲル中に多価金属イオンが残存する可能性があること、架橋剤を用いるゲルの製造法においては架橋剤の大半に毒性があり、生成されたゲルの用途が限られること、放射線を用いる製造法では放射線を用いるため特殊な設備が必要であることなどの制約があった。
【0006】
本発明の目的は、環境や人体への安全性が高く、簡単な設備で安価に製造でき、従って、食品や医薬品等に安心して使用できるカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を原料とするゲルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基本原理は、酸または酸水溶液を用いてアニオン系のセルロース誘導体であるカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩(CMC)に分子結合(架橋)を生じさせることができ、これによってCMCゲルが得られるという、本発明者の新たな知見に基づいている。
【0008】
本発明のより具体的かつ好適なゲル製造方法においては、天然パルプを原料とする安全性の高いアニオン性水溶性高分子であるカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩(CMC)を出発物質として採用し、出発物質であるCMCに酸または酸水溶液を加え、混練することにより、CMCを原料とするゲルを製造するようにしている。
【0009】
また、本発明の別の観点に係るCMCを原料とするゲルの製造方法においては、CMCを水と混練させ、ペースト状にした後、そのペースト状CMCを酸または酸水溶液に浸漬させることにより、CMCを原料とするゲルを製造するようにしている。
【0010】
なお、CMCと酸との混練によるゲル生成の機構は次のように考えられる。
酸処理により生成したゲルの赤外線吸収スペクトルを測定した結果、酸の種類を問わず、ゲルはほぼ同一のものであることが分かった。ゲルの元素分析、熱重量分析、示差熱分析の測定結果から、ゲルは新たに導入された共有結合によるものではなく、CMC分子鎖の凝集により生成したゲルであると推定される。用いているCMCはナトリウム塩なので、水溶性であるが酸が入ることによりCMCのカルボキシル基は解離度の低い−COOHの形になる。そのためにCMC分子鎖の広がりが押さえられ、凝集し、水素結合を形成する。その結果、ゲルが生成する。カルボキシル基が一部−COONaの形で残っている場合には、架橋点が少なく、より柔らかいゲルが生成するものと考えられる。
【0011】
さらに、本発明の別な観点に係るCMCを原料とするゲルの製造方法においては、出発物質であるCMCに酸または酸水溶液を加え、混練した後、さらに電離放射線を照射するようにしている。
電離放射線を照射することによって、CMCに化学結合を導入することができ、ゲル分率を増大させることができる。すなわち、電離放射線を照射することによって、CMCの分子結合(架橋)が増大し、ゲルの改質が行われる。
【0012】
さらに、本発明の別な観点に係るCMCを原料とするゲルの製造方法においては、CMCを水と混練してペースト状にした後、そのペースト状CMCを酸または酸水溶液に浸漬させた後に、さらに電離放射線を照射するようにしている。
この場合にも、電離放射線を照射することによって、CMCに化学結合を導入することができ、ゲル分率を増大させることができる。すなわち、電離放射線を照射することによって、CMCの分子結合(架橋)が増大し、ゲルの改質が行われる。
【0013】
さらに、本発明の別な観点に係るCMCを原料とするゲルの製造方法においては、CMCを水に溶解させ、ペースト状にし、そのペースト状CMCに電離放射線を照射した後、酸または酸水溶液に浸漬させるようにしている。この場合にも、上述した電離放射線の照射と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、CMCに酸または酸水溶液を混練するだけでゲルを生成できるので、従来のように毒性のある試薬を使用する必要がない。また、電離放射線を照射しないでゲルを製造する方法では、放射線照射装置などの特別な装置を用いる必要がない。特に、本発明に従って製造されたゲルは、従来のゲルにはない優れた圧縮弾性率を持ち、耐熱性や耐酸性も高いため、これまで以上に広い用途への適用が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明のCMCゲルの製造方法について、実施例に基づいて詳細に説明する。
実施例1(ゲルA)
【0016】
置換度(エーテル化度)及び粘度(粘度が高ければ分子量も大きい)の異なる各種CMC(ダイセル化学工業株式会社製)(図2を参照)と3mole/l のリン酸水溶液とをそれぞれよく混練したところ、用いた全てのCMCでゲル化が起こった。このゲル化のフローを図1(A)に示す。このようにして調製されたゲル(以下、ゲルAと言う。)は、比較的大きな圧縮弾性率を有する。生成されたゲルAを水中に投じ、未架橋のCMC及びリン酸を除去し、水に不溶な部分の割合をゲル分率として求めた。この結果を図2及び図3に示す。図3(A)は、図2のゲル分率に着目して表したグラフであり、図3(B)は、図2の吸水量に着目して表したグラフである。図3(A)から、粘度が高いCMCほどゲル分率が高くなることがわかる。同様に、図3(B)から置換度(エーテル化度)が高いCMCほど吸水量が高くなる傾向が認められる。ゲル中のリンをEDX(エネルギー分散型蛍光X線分析装置)とICP(誘導結合プラズマ質量分析装置)を用いて定量した結果、ゲル中にリンが残留していないことが確認された。
【0017】
以上の実施例は、CMCとリン酸との混練によるゲルAの生成に関するものであるが、他の酸についても同様の実験を行なった。その結果を図4の(A)、(B)及び(C)に示す。図4(C)は、図4の(A)及び(B)のデータをグラフ化した図である。図4から、一般的なCMCであるCMC1380とギ酸、クエン酸、酢酸、乳酸、リン酸、マレイン酸、シュウ酸及び塩酸のいずれかの水溶液を混練しても、しっかりした硬さ(N)を持つCMCゲルAが生成されることがわかる。なお、アスコルビン酸については、やわらかなゲルが生成されることがわかった。また、どの酸を用いても、酸のpHが低いほどゲル分率が高く、ゲルはより硬くなることが明らかであるので、本発明において酸の種類を特定する必要がないことがわかる。さらに、酸の種類、濃度を変えることによってゲルの硬さの調整が可能である。
【0018】
図2に示された実験結果から、CMCとして市販のCMC全てが使用可能であると言える。すなわち、すべてのCMCが、酸または酸水溶液と混練されることによってゲル化されるものと言える。置換度(エーテル化度)、粘度を問わないが、置換度(エーテル化度)、分子量の異なるCMCを用いると、異なる特性を持つゲルAができる。CMCの濃度については、高濃度ではゲル化が早く、低濃度では遅い。CMCの濃度は酸もしくは酸水溶液と混練できる範囲であって、2.5重量%以上、40重量%以下が望ましい。
【0019】
CMCと酸の組み合わせにより異なる特性をもつゲルの製造が可能である。酸の濃度は酸の種類によって異なってくるが、概ね0.1mole/l 以上が望ましい。濃度の高い酸を用いた場合には、ゲル化が早く、ゲル分率が高く、固いゲルができる。このことを説明するための一例として、図5にリン酸濃度(%)とゲル分率(%)との関係を示す。リン酸の場合、その濃度が7.75%付近まではゲル分率(72.35%)が急激に上昇するが、それ以降は濃度が増してもゲル分率は緩やかに上昇する。CMCの濃度を高くすることによっても、ゲル分率を高めることができる。本発明者による実験によれば、3mole/lのリン酸を混練した場合に、CMC濃度(%)が5、10及び20の場合、ゲル分率(%)はそれぞれ21.5、85.8及び86.1の値を示した。
【0020】
CMCと酸もしくは酸水溶液とを混練する温度は問わない。一般的に、混練時の温度が高いほどゲル化は速やかに進行するが、CMCが加水分解を受けるほどの温度、例えば70℃以上での混練は避けるべきである。また、CMCと酸もしくは酸水溶液とを混練した後放置する時間は問わない。CMCと酸の濃度が高い場合にはゲル化は瞬時に進行し、混練と同時にゲル化が起こる。濃度が低い場合には、ゲル化は比較的ゆっくりと進行する。一般的に、混練後の放置時間が長いほどゲル分率は高くなるが、概ね24時間以内に反応は終結する。
【0021】
実施例2(ゲルC)
1つはCMC20重量部、そしてもう1つはCMC20重量部と1モルのリン酸を混練したCMCゲルA(図1(A)に示されたフローに従って生成される。)の2つを用意し、これらCMC及びCMCゲルAに、それぞれγ線を照射した。その結果、新たな改質ゲル(以下、ゲルCと言う。)が得られた。この改質ゲルの製造手順を図6(D)に簡潔に示してある。吸収線量が5kGy、10kGy、20kGy、30kGy、40kGy及び50kGyのCMC及びCMCゲルCのそれぞれのゲル分率(%)及び吸水量(g水/gゲル)を測定した結果、図6(A)に示す数値データが得られた。なお、図6(B)及び図6(C)は、図6(A)に示された数値wデータに基いて、それぞれゲル分率(%)及び吸水量(g水/gゲル)をグラフ化した図である。
【0022】
これらのグラフから、酸でゲル化されていないCMC20重量部のみの場合は、放射線の吸収線量の増加とともにゲル分率は増加し、吸水量は低下することが容易に理解される。すなわち、放射線を照射することによって、より強固なゲルが得られる。また、CMCと酸または酸水溶液とを混練して得たゲルの場合、前述したCMCと水を混練して得たペースト状のCMCに放射線を照射する場合に比較してより低線量でゲル化が進行する。さらに、高濃度の酸を用いてゲル化させたゲルでは、吸水量が少なく、放射線の照射による影響をほとんど受けない。
実施例3(ゲルB)
【0023】
20重量部のCMCと80重量部の水を混練して生成されたペースト状のCMCを0.1mole/l の塩酸水溶液に投じたところゲル(以下、ゲルBという。)が生成された。生成されたゲルのゲル分率は35%で、乾燥ゲル1gあたりの吸水量は340gであった。
図1(B)にゲルBの製造手順を簡潔に示す。ゲルB調製の条件は、ゲルA調製の条件に準ずる。ペースト状に混練したCMCを酸または酸水溶液に浸漬させた場合、CMCと酸または酸水溶液とを混練してゲル化させるよりも、より濃度の低い酸または酸水溶液でゲル化が起った。
実施例4(ゲルD)
【0024】
上述のように、水を加えてペースト状に混練したCMCを、酸または酸水溶液に浸漬させて得たCMCゲル(以下、ゲルBと言う。)に、さらにγ線を照射した結果、改質されたゲル(以下、ゲルDと言う。)が生成された。
【0025】
このゲルDの生成過程を図7に示す。また、γ線照射前のゲルBとγ線照射後の改質ゲルDのゲル分率(%)の数値データを図8(A)に示す。なお、図8(B)は、図8(A)に示された数値データをグラフ化した図である。図8(A)及び図8(B)から次のことが認められる。酸の濃度が十分低い場合には、γ線の照射によってゲル分率が格段に増大する。しかし、γ線の吸収線量が10kGyを越えた段階でゲル分率はほぼ横ばいの特性を示すようになる。逆に、酸の濃度が十分高い場合には、ゲルBの段階で十分高いゲル分率が得られ、γ線を照射してもゲル分率が高まることはない。
実施例5(ゲルE)
【0026】
20重量部のCMCと80重量部の水を混練することにより生成したペースト状のCMCに、γ線を5kGy照射することにより生成した放射線架橋のCMCゲル100重量部を1000重量部の0.1mole/l の塩酸水溶液に入れ、室温で16時間放置しておいたところ、ゲル分率が33%から73%に増加した。乾燥ゲル1g当たりの吸水量は887gから90gに低下した。これは、塩酸水溶液にゲルを浸漬することにより、物理架橋が進み、新たな改質ゲル(以下、ゲルEと言う。)ができたことを示すものである。このようにして生成されたゲルは、吸収線量20kGyで調製した放射線架橋ゲルのゲル分率、吸水量に相当し、酸中での処理は吸収線量低減化に寄与することを意味する。 放射線で架橋したゲルを酸または酸水溶液に入れることにより、より強度の高いゲルを得ることができる。これは、吸収線量の低減化に寄与する技術となる。
【0027】
以上のゲルEが生成されるまでの過程が、図9に示されている。また、図9のフローに従って生成されたゲルEのゲル分率が図10(A)に数値データで示されている。なお、図10(B)は図10(A)に示された数値データをグラフ化した図である。図10(B)のグラフから容易に理解されるように、ゲルEに関してのゲル化率は放射線の吸収線量の値が高くても、低くてもほとんど変化がないことがわかる。
【0028】
以上の実施例においては、例えば、CMCを酸または酸水溶液と混練して生成したゲルにさらにγ線を照射しているが、本発明の原理から明らかなようにγ線に限定されるものではなく、例えば従来の放射線架橋技術おいて使用されている電子線であっても良い。
【0029】
さらに、以上の説明では、一種類の酸のみを使用しているが、本発明の原理から見て2種類以上の酸を組み合わせても同様のゲルを生成できることもわかる。
なお、以上の説明では、ゲルA、ゲルB、ゲルC、ゲルD及びゲルEと言う用語を使用しているが、これらはゲル自体の分子結合構造を示すものではなく、単に製造方法の理解を容易にするために使用しているに過ぎない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のようにして生成されたゲルは、工業、農業、医療、食品等の広範囲の分野において利用可能である。以下にその一例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
(1)薬剤徐放性カプセル(特に大腸で薬剤を放出できるカプセル):カルボキシメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩(以下、CMCと略す)と酸を混練することにより、耐酸性に優れ、耐アルカリ性が低いゲルができるので、胃では分解されずに腸まで薬剤が届き、腸で薬剤が放出されることが期待される。
(2)食品添加物:食品添加物として認可されている酸とCMCを混練することにより、食品に使用可能なゲルを製造できる。
(3)保冷剤:CMCを酸と混練することにより容易にゲルができる。酸を除かずに用いれば凝固点降下のためにより低温で使用できる。
(4)金属吸着剤、排水処理剤:ある種の金属に対する金属吸着能がある。
(5)湿布剤、ピーリング剤:CMCを毒性のない酸と混練することによりゲルができる。酸の濃度、種類によりソフトなゲルを調製できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(A)は、CMCと酸との混練によってゲルを得るまでのフローを示す図であり、(B)は、CMCに水を加えて得たペーストを酸に浸漬させてゲルを得るまでのフローを示す図である。
【図2】各種CMCとリン酸との混練によってできるゲルの特性を示す図である。
【図3】(A)は、図2に示された粘度とゲル分率の関係を示すグラフであり、(B)は、図2に示された置換度(エーテル化度)とゲルの吸水量の関係を示すグラフである。
【図4(A)】CMC1380と各種酸水溶液との混練によって得られた各CMCゲルの特性を示す図である。
【図4(B)】図4(A)と同様の図である。
【図4(C)】(A)及び(B)に示されたデータをグラフ化した図である。
【図5】CMCと混練されるリン酸の濃度と、ゲル分率の関係を示すグラフである。
【図6】(A)(B)及び(C)は、CMCと酸との混練によってできるゲルにγ線を照射して生成した改質ゲルの製造フローと得られた改質ゲルのゲル分率と吸水量を示す図であり、(D)はCMCと酸との混練によって得たゲルに放射線を照射して改質ゲルを得るまでのフローを示す図である。
【図7】CMCに水を加えて得たペーストを酸に浸漬させて得たゲルに、γ線を照射して改質ゲルを得るまでのフローを示す図である。
【図8】CMCに水を加えて得たペーストを酸に浸漬させて得たゲルに、γ線を照射して生成した改質ゲルのゲル分率と吸水量を示す図である。
【図9】CMCに水を加えて得たペーストにγ線を照射した後、酸に浸漬させて改質ゲルを得るまでのフローを示す図である。
【図10】CMCに水を加えて得たペーストにγ線を照射した後、酸に浸漬させて生成された改質ゲルの特性を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
CMC カルボキシメチルセルロース
HCL 塩酸
PA リン酸
CA クエン酸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸または酸水溶液を用いてアニオン系のセルロース誘導体であるカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩に分子結合(架橋)を生じさせ、カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を原料とするゲルを得ることを特徴とするカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を原料とするゲルの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を原料とするゲルの製造方法において、得られたカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を原料とする前記ゲルに電離放射線を照射することを特徴とするカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を原料とするゲルの製造方法。
【請求項3】
カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩に、酸または酸水溶液を加え、混練することにより、カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を原料とする物理ゲルを得ることを特徴とするカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を原料とするゲルの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載のカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を原料とするゲルの製造方法において、前記混練後に、さらに電離放射線を照射し、改質されたゲルを得ることを特徴とするカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を原料とするゲルの製造方法。
【請求項5】
カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を水と混練してペースト状にした後、該ペースト状カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を酸または酸水溶液に浸漬させ、カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を原料とする物理ゲルを得ることを特徴とするカルボキシメチルセルロースを原料とするゲルの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載のカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を原料とするゲルの製造方法において、前記浸漬後に、さらに電離放射線を照射し、改質されたゲルを得ることを特徴とするカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を原料とするゲルの製造方法。
【請求項7】
カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩と水を混練してペースト状にした後、該ペースト状カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩に電離放射線を照射して、放射線架橋ゲルを生成し、該放射線架橋ゲルを酸または酸水溶液に浸漬させ、改質されたゲルを得ることを特徴とするカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を原料とするゲルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(A)】
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【図4(B)】
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【図4(C)】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−69315(P2008−69315A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−250947(P2006−250947)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(505374783)独立行政法人 日本原子力研究開発機構 (727)
【出願人】(507089517)財団法人群馬県産業支援機構 (15)
【Fターム(参考)】