説明

カンナビノイドの新用途

本発明は、医薬品又は栄養補助食品の製造における、CBDの単独で、又は他のカンナビノイドと組み合わせて用いる、対象者のコレステロール値を管理するための使用に関する。また本発明は、医薬品又は栄養補助食品の製造における、THCVの単独又は他のカンナビノイドと組み合わせて用いる、対象者のエネルギー代謝を増加させるための使用に関する。さらに、I型又はII型糖尿病、肥満症、脂質異常症、関連する代謝疾患及び循環器疾患の管理又は治療の療法の一部として、CBD単独で、又は他のカンナビノイドと組み合わせて、又はTHCV単独で、又は他のカンナビノイドと組み合わせて用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品又は栄養補助食品の製造において、CBDを単独又は他のカンナビノイドと組み合わせて用いる、対象者のコレステロール値を管理するための使用に関する。また本発明は、医薬品又は栄養補助食品の製造において、THCVを単独又は他のカンナビノイドと組み合わせて用いる、対象者のエネルギー代謝を増加させるための使用に関する。さらに、I型又はII型糖尿病、肥満症、脂質異常症、関連する代謝疾患及び循環器疾患の管理又は治療の療法の一部として、CBDは単独又は他のカンナビノイドと組み合わせて、又はTHCVは単独又は他のカンナビノイドと組み合わせて用いられる。
【背景技術】
【0002】
代謝疾患は世界中で何百万人もの罹患者がおり、それ自体で社会全体の健康に負のインパクトを増加させている。
【0003】
糖尿病は、血糖(グルコース)代謝に関わる疾患である。血糖値は、ホルモンであるインスリンにより正常に保たれる。食物からの糖の摂取による血糖値の増加に従い、膵臓でのインスリン産生が刺激される。インスリンは筋肉、脂肪及び肝細胞に結合し、例えば血流における数値を減少させるというような、それらがグルコースを活発に取り込むように刺激する。また、インスリンは肝臓におけるグルコース産生も減少させる。
【0004】
糖尿病では通常、血中の糖レベルが高くなる。糖尿病は、血糖値の測定の後、絶食後、血糖値の試験又は経口ブドウ糖負荷試験により特定される。高血糖それ自体が症状を生じ、より長期になると目、腎臓及び神経に障害を生じる。これにより、深刻な合併症、例えば失明、腎疾患、循環器疾患、足部潰瘍、及び壊疽を生じ、これらは切断を要する。
【0005】
糖尿病には主として2つの型がある:
I型:インスリン依存性(若年発症型とも呼ばれる)糖尿病;及び
II型:非インスリン依存性(成人発症型とも呼ばれる)糖尿病
である。
【0006】
I型糖尿病の個体は、インスリンを産生する膵臓β細胞を破壊する自己免疫反応を起こし、体内に十分なインスリンが存在しなくなる。この型の糖尿病は、典型的には40歳までに発症し、食事での摂取を管理することと合わせ、毎日のインスリン注射により治療される。
【0007】
I型糖尿病の原因は、本来的には環境及び遺伝であるが、何が環境的な因子であるかは、かなり不明確である。
【0008】
II型糖尿病においては、体内でインスリンは産生されるが、細胞がインスリンに反応せず、十分なグルコースを血中から取り込まない。この型の糖尿病は、「インスリン抵抗性」糖尿病と呼ばれることもある。
【0009】
II型糖尿病は、しばしば食事制限によりうまく管理されるが、薬物又はインスリン注射も必要な場合もある。II型糖尿病に罹患した患者は、当初は十分なインスリンを産生していたが、高血糖レベルが続くことにより、膵臓が徐々に反応しなくなり、インスリン産生が減少する。これが患者に起こると、高用量のインスリン注射による治療が必要となる。
【0010】
英国及び他の先進国におけるII型糖尿病は増加しており、これはこれらの国における肥満症の増加に関連している。
【0011】
英国におけるII型糖尿病の現在の罹患者は約100万人であるのに対し、I型糖尿病は約40万人である。
【0012】
世界でのII型糖尿病の罹患者は、2010年までには、2億1500万人に達すると推定されている。
【0013】
典型的にはII型糖尿病は40歳以降に発症するが、肥満症の10代及び若年成人において発症は若年化傾向にある。
【0014】
肥満症はボディマス指数(BMI)が30以上であると定義される。正常なBMIは18ないし24.9の範囲であるとされる。
【0015】
英国における半数以上の女性及び約3分の2の男性のBMIが25より大きく、過体重又は肥満であると推定されている。
【0016】
過体重又は肥満になると、II型糖尿病、心疾患、高血圧及び骨関節炎を含む他の疾患のリスクが増加することが知られている。
【0017】
糖尿病及び肥満症に関連する代謝疾患は多くあり、これらはしばしば「メタボリックシンドローム」と呼ばれる。メタボリックシンドロームはインスリン抵抗性症候群又はシンドロームXとしても知られており、これらの用語は、一人の患者に通常まとめて起こる疾患のまとまりを言う。
【0018】
起こる疾患は以下を含む:高血圧又は血圧上昇;腹部肥満、これは脂肪が腹部にたまる傾向にあることを言う;インスリン抵抗性糖尿病又は耐糖能障害、循環器疾患;アテローム性脂質異常症、これは高トリグリセリド、低HDLコレステロール及び高LDLコレステロールにより動脈壁にプラークを形成することである;炎症促進状態、例えば血中のC反応性タンパク質の増加;及び血栓形成促進状態、これは血中に高濃度のフィブリノーゲン又はプラスミノーゲンアクチベーター阻害剤が存在する状態を言う。
【0019】
メタボリックシンドローム患者は、冠性心疾患及び動脈壁におけるプラーク形成に関連する他の疾患のリスクが増加することが知られている。そのような疾患には、脳卒中及び末梢血管疾患がある。またメタボリックシンドローム患者は、II型糖尿病罹患のリスクが高くなる。
【0020】
メタボリックシンドロームの発生は、より日常的になってきており、現在5000万人のアメリカ人がメタボリックシンドロームに罹患していると推定されている。
【0021】
メタボリックシンドロームの危険因子は腹部肥満及びインスリン抵抗性又はII型糖尿病に存在するようであり、ここでこれらは身体がインスリンを十分に利用することができないものである。
【0022】
他の一般的な危険因子には、運動不足、加齢、ホルモンの不均衡及び遺伝学的素因がある。後天的因子には、例えば過剰な体脂肪があり、これによりインスリン抵抗性症候群のような代謝疾患を起こしうる。
【0023】
メタボリックシンドロームは、しばしば3つ以上の以下の基準を満たす個体に診断される:胴囲の増加(男性において102cm以上、女性において88cm以上);トリグリセリドの増加(150mg/dL以上);HDL「善玉」コレステロール(男性において40mg/dLより少ない、女性において50mg/dLより少ない);血圧の上昇(135/85mmHg以上)、空腹時血糖値(100mg/dL以上)。
【0024】
メタボリックシンドロームの臨床管理(clinical management)における主要な目的は、循環器疾患及びII型糖尿病のリスクを減少させることである。これらの疾患のリスクは、LDLコレステロールを減少、血圧の降下、及び血糖値の減少により大いに小さくなる。HDLコレステロール値の上昇は、メタボリックシンドロームのリスクを減少させる。
【0025】
現在のところ、メタボリックシンドロームを減じる又は処置する治療方法はない。この疾患の臨床管理は、例えばライフスタイルの管理を通じて行うことがほとんどである。
【0026】
大麻の医薬としての使用は、長く知られており、19世紀において大麻製剤は、ヒステリー、精神錯乱、てんかん、神経性の不眠症、片頭痛、疼痛及び月経困難症の治療に役立つ睡眠鎮静薬として推奨されていた。
【0027】
カンナビノイドは、細胞内でカンナビノイド受容体を活性化する化学物質の群として知られている。大麻草中に発見されたこれらの化学物質は、ヒト及び他の動物の体内においても産生され、内因性カンナビノイドと呼ばれる。
【0028】
合成カンナビノイドは、人工化学物質であり、植物性カンナビノイド又は内因性カンナビノイドと同じ構造を有する。
【0029】
同時係属中の出願、国際公開第2006/054057号パンフレットにおいて、カンナビノイドであるテトラヒドロカンナビバリン(THCV)は、CB1及びCB2カンナビノイド受容体においてニュートラルアンタゴニストとして働く。これは、カンナビノイドの、CB1受容体の受容体活性化作用に関連する疾患の治療薬としての可能性を示唆する。これらの疾患及び状態は、以下を含む:肥満症;統合失調症;てんかん又は認知障害、例えばアルツハイマー病;骨障害;過食症;II型糖尿病に関連する肥満(非インスリン依存性糖尿病);及び薬物、アルコール又はニコチンの乱用又は依存の治療。
【0030】
さらに近年、出願人は同時係属中の英国特許出願GB2438682において、カンナビノイドであるカンナビジオール(CBD)のカンナビノイド受容体アンタゴニスト活性について述べた。カンナビノイドCBDは、CB1及びCB2カンナビノイド受容体のインバースアゴニストである。
【0031】
加えて、国際公開第05/077348号パンフレットにおいて、糖尿病及び/又は膵島炎の予防又は治療におけるカンナビジオールの使用について記載している。
【0032】
出願人は、エネルギー代謝を増加させること;総コレステロール値を減少させ、HDLコレステロール値を増加させることが可能であることを直接の試験によって見出した。加えて、様々な糖尿病モデルからのこれらのデータは、血漿中インスリン、レプチン及びアディポネクチン値に望ましい影響を与えることを示した。これらのホルモンは、糖尿病、特に肥満の個体の進展及び治療に特別な関連性を有する。これらのカンナビノイド自体、糖尿病、肥満症及び関連する代謝疾患の治療において使用に非常に役立ちうる。
【0033】
カンナビノイドTHCVは、伝統的なカンナビノイド植物であり、これはTHCと関連する構造を有し、THCの3-ペンチル側鎖の代わりに、THCV分子は3-プロピル側鎖を有する。カンナビノイドCBDは、別の伝統的なカンナビノイド植物であり、非精神性であることで知られる。CBDは以前に炎症、吐き気及び不安神経症の治療に役立つことが示されている。
【0034】
出願人は、以前に2つのカンナビノイドTHCV及びCBDの製剤を提示し、同時係属中の英国特許出願GB0713175.8(未公開)に記載した。THCVとCBDの併用は、2つのカンナビノイドがカンナビノイド受容体に異なる機序で作用するため、よりよい治療オプションとなるはずであると考えられる。この出願においては:(i)CB1及び/又はCB2受容体のインバースアゴニストとして作用する1つ以上の化合物;及び(ii)CB1及び/又はCB2受容体のニュートラルアンタゴニストとして作用する1つ以上の化合物の混合物を開示する。
【0035】
THCVは、カンナビノイド受容体に直接作用し、受容体に結合してニュートラルアンタゴニスト作用を生じると考えられている。これは、受容体それ自体は、アゴニスト例えば、内因性カンナビノイドとの結合を阻害されることを意味する;しかし、受容体のバックグラウンド値はそのままである。THCVが単独で医薬製剤として提供される場合、バックグラウンド値のままとは、アンタゴニスト作用が治療に有効となる疾患及び状態において、バックグラウンド値のままでは身体に影響を与えるため、病態が完全に改善されないことをいう。
【0036】
反対に、CBDはインバースアゴニストとして作用すると考えられており、受容体のバックグラウンド値のスイッチが切られるということである。しかし、カンナビノイド受容体において区別される部位に結合すると考えられており、それ自体はアゴニストが受容体に結合することを可能としうる。
【0037】
異なる出願人の同時係属中の英国特許出願GB0800390.7(未公開)においては、1つ以上のカンナビノイドと抗精神病薬とを組み合わせて使用することを述べている。抗精神病薬使用者の多くが経験する副作用は、糖尿病及び他の関連する代謝疾患である。カンナビノイドがどのようにこれらの副作用を予防又は治療するかに関連するデータから、1つ以上のカンナビノイドを抗精神病薬と組み合わせて用いることが代謝関連の副作用を軽減するのに役立つとの確信へと導いた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
肥満症の治療に用いられる薬物は、3つの群に分けられる:食事の摂取を減少させるもの;代謝を変化させるもの;及び、熱産生を増加させるものがある。ノルアドレナリン作動性受容体、セロトニン受容体、ドパミン受容体、及びヒスタミン受容体に作用するモノアミンは食事の摂取を減少させうる。多くのペプチドも食事の摂取には影響を与えている。ノルアドレナリン作動薬、フェンテルミン、ジエチルプロピオン、マジンドール、ベンズフェンタミン、及びフェンジメトラジンが短期間の使用においてのみ承認されている。
【0039】
ノルエピネフリン-セロトニン再取り込み阻害剤であるシブトラミンは、長期間の使用にも承認されている。オーリスタットは膵臓リパーゼを阻害し、対象者が30%脂肪食を食べているときにトリアシルグリセロールの加水分解を30%防ぐ。唯一試した熱産生薬の組み合わせは、エフェドリンとカフェインであるが、この処置は監督官庁によっては承認されていない。臨床試験においては、ペプチド供給系を変化させうる他の薬物が開発されてきた。薬物リモナバンは、食欲抑制の主作用を有する。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明の第1の態様は、CBD単独又は他のカンナビノイドと組み合わせて、対象者におけるコレステロール値を管理するために使用する医薬品又は栄養補助食品の製造における使用である。
【0041】
好ましくは、医薬品又は栄養補助食品は、血中総コレステロールを減少させるための使用である。
【0042】
好ましくは、医薬品又は栄養補助食品は、総コレステロールに対するHDLコレステロールの比率を増加させるための使用である。
【0043】
より好ましくは、他のカンナビノイドはTHCVである。
【0044】
THCV及びCBDについて言及すると、THCV-及びCBD-型の化合物又はそれらの誘導体、特に治療用途においては、そのような化合物の薬学的に許容される塩も含むと理解される。用語「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸から製造された塩又はエステルを言い、当該分野の熟練によく知られているであろう無機塩基又は酸及び有機塩基又は酸を含む。多くの適切な無機及び有機塩基が当該分野において知られている。
【0045】
また、発明の範囲は望ましい活性を有するTHCV又はCBDの誘導体まで及ぶ。実質的に出発物質と同じ活性を有する誘導体、又はより好ましくは改善された活性を示すものは、当該分野においてよく知られた医薬品化学の標準的な原理により製造される。そのような誘導体は、治療に有効性のある十分な活性を持つ限り、出発物質よりも小さい活性を示しうる。誘導体は、例えば改善された溶解性、改善された毒性、取り込みの促進のような、薬学的に有効な製剤として望ましいというような、他の性質において改善を示しうる。
【0046】
好ましくは、CBDは少なくとも1つの大麻草から得られるカンナビノイド含有植物抽出物である。
【0047】
1つの態様としては、少なくとも1つの大麻草から得られるカンナビノイド含有植物抽出物は、臨界超過又は臨界前のCO2によって抽出されて製造される。
【0048】
あるいは、少なくとも1つの大麻草から得られるカンナビノイド含有植物抽出物は、植物原料と、植物原料中の1つ以上のカンナビノイドを蒸気にさせるのに十分な温度である100℃より高温にしたガスを接触させ、蒸気を濃縮させて抽出物を形成することにより製造される。
【0049】
好ましくは、少なくとも1つの大麻草から得られるカンナビノイド含有植物抽出物は植物性薬物物質である。
【0050】
より好ましくは、少なくとも1つの大麻草から得られるカンナビノイド含有植物抽出物は、その植物中の全て又はいくつかの天然由来のカンナビノイドを含む。
【0051】
より好ましくは、全て又はかなりの量のカンナビス含有植物抽出物THCが、除かれていることである。
【0052】
あるいは、CBD又はあらゆる他のカンナビノイドは、実質的に純粋又は単離された形態である。
【0053】
あるいは、CBD又は他のカンナビノイドは、合成体である。
【0054】
好ましくは、CBDは血中総コレステロールの減少をもたらすのに有効な用量で存在することである。
【0055】
好ましくは、CBDの有効量は0.1mg/kgないし5.0mg/kgの間にあることである。
【0056】
より好ましくは、THCVが0.3mg/kgないし30.0mg/kgの間にあることである。
【0057】
好ましくは、コレステロール値は、I型又はII型糖尿病、肥満症、脂質異常症(アテローム性脂質異常症を含む)、関連する代謝疾患及び循環器疾患を管理又は治療するための療法の一部として管理される。
【0058】
好ましくは、CBD及びTHCVは、体重によって予め定められた比である。
【0059】
好ましくは、医薬品又は栄養補助食品は、1つ以上の他の薬物と組み合わせて、糖尿病、肥満症、脂質異常症(アテローム性脂質異常症を含む)、関連する代謝疾患又は循環器疾患の治療に用いられる。
【0060】
より好ましくは、1つ又は他の薬物はインスリン抵抗性を減少する又はインスリン分泌促進する又は2つの組み合わせである。
【0061】
本発明の第2の態様としては、医薬品又は栄養補助食品の製造における、THCV単独で、又は他のカンナビノイドと組み合わせて用いる、対象者のエネルギー代謝を増加させるための使用である。
【0062】
好ましくは、医薬品又は栄養補助食品は、長期間使用するために包装されていることである。
【0063】
より好ましくは、長期間とは、少なくとも10日間のことである。
【0064】
好ましくは、他のカンナビノイドはCBDである。
【0065】
好ましくは、THCVは少なくとも1つの大麻草から得られたカンナビノイド含有植物抽出物の形態である。
【0066】
より好ましくは、少なくとも1つの大麻草から得られたカンナビノイド含有植物抽出物は植物性薬物物質の形態である。
【0067】
より好ましくは、少なくとも1つの大麻草から得られるカンナビノイド含有植物抽出物は、その植物の全て又はいくつかの天然由来のカンナビノイドを含む。
【0068】
さらにより好ましくは、全て又はかなりの量のあらゆるカンナビス含有植物抽出物に含まれるTHCが除かれている。
【0069】
あるいは、THCV又は他のあらゆるカンナビノイドは実質的に純粋又は単離された形態である。
【0070】
カンナビノイドの「実質的に純粋な」製剤とは、HPLCのプロフィールの面積百分率法において決定し、(所望のカンナビノイドの)クロマトグラフィー純度が、90%よりも多い、より好ましくは95%よりも多い、より好ましくは96%、より好ましくは97%、より好ましくは98%、より好ましくは99%であり、最も好ましくは99.5%よりも多いことであると定義する。
【0071】
好ましくは、本発明において用いられた実質的に純粋なカンナビノイドは、大麻草において天然の大麻草に存在するカンナビノイドを含む、他のいかなる天然又は合成カンナビノイドも実質的に含まない。この文脈における「実質的に含まない」とは、目的のカンナビノイド以外は、HPLCによって検出されないことを意味する。
【0072】
特にTHCVの場合には、カンナビノイドTHCVは、大麻草においてTHCとともに産生されることが知られている。THCの抗精神性の副作用は、THCVが医薬製剤において用いられる場合には、特に望ましくなく、従って、植物抽出物が製剤中で用いられる場合に、THCのような他のカンナビノイドは選択的に除去処置がとられる。
【0073】
あるいは、THCV又は他のいかなるカンナビノイドも、合成体である。
【0074】
好ましくは、THCVは対象者におけるエネルギー代謝を増加させるのに有効な用量で存在することである。
【0075】
好ましくは、THCVの有効量は0.3mg/kgないし30.0mg/kgの間にある。
【0076】
好ましくは、CBDが存在する場合には、CBDの用量は0.1mg/kgないし5.0mg/kgの間にある。
【0077】
好ましくは、エネルギー代謝の増加がI型又はII型糖尿病、肥満症、脂質異常症(アテローム性脂質異常症を含む)、関連する代謝疾患及び循環器疾患の管理又は治療の療法の一部を形成することである。
【0078】
より好ましくは、医薬品又は栄養補助食品が1つ以上のレプチン及び/又はアディポネクチンレベルを変化させることである。
【0079】
好ましくは、CBD及びTHCVは、体重によって予め定められた比である。
【0080】
好ましくは、医薬品又は栄養補助食品は、1つ以上の他の薬物と組み合わせて糖尿病、肥満症、脂質異常症(アテローム性脂質異常症を含む)、関連する代謝疾患又は循環器疾患の治療において用いられる。
【0081】
より好ましくは、THCVは肥満症のため、及び他の薬物は食事の摂取の減少又は代謝の変化のために用いられる。
【0082】
本発明の第3の態様としては、CBD単独で、又は他のカンナビノイドと組み合わせて、それを必要とする対象者に有効量を投与することを含み、対象者におけるコレステロール値を管理する方法を提供する。
【0083】
本発明の第4の態様としては、THCV単独で、又は他のカンナビノイドと組み合わせて、それを必要とする対象者に有効量を投与することを含み、対象者におけるエネルギー代謝の増加の方法を提供する。
【0084】
カンナビノイドTHCV及び/又はCBDを単独及び組み合わせて、様々な型の糖尿病に用いたデータを開示する。これらのデータは、体脂肪率の減少、エネルギー代謝の増加、総コレステロール値の減少、及びHDL(「善玉」)コレステロール値の増加を示す。加えて、これらのデータは、血漿インスリン、レプチン及びアディポネクチン値に望ましい効果を与える。
【0085】
加えて、ここに初めてCBDがPPARγリガンドとして作用することを開示する。従って、この作用機序は、CBDが単独で糖尿病、肥満症及び関連する代謝疾患の予防又は治療に役立つことのデータをサポートする。
【図面の簡単な説明】
【0086】
さらに本発明の特定の態様の実施例を、添付図面を参照して説明する:
【図1−a】図1 a)ないしe)は、コントロールに対する、24時間のエネルギー代謝を示す;
【図1−b】図1 a)ないしe)は、コントロールに対する、24時間のエネルギー代謝を示す;
【図1−c】図1 a)ないしe)は、コントロールに対する、24時間のエネルギー代謝を示す;
【図1−d】図1 a)ないしe)は、コントロールに対する、24時間のエネルギー代謝を示す;
【図1−e】図1 a)ないしe)は、コントロールに対する、24時間のエネルギー代謝を示す;
【図2−a】図2 a)ないしe)は、3時間のエネルギー代謝の測定による、食事に対する熱応答を示す;
【図2−b】図2 a)ないしe)は、3時間のエネルギー代謝の測定による、食事に対する熱応答を示す;
【図2−c】図2 a)ないしe)は、3時間のエネルギー代謝の測定による、食事に対する熱応答を示す;
【図2−d】図2 a)ないしe)は、3時間のエネルギー代謝の測定による、食事に対する熱応答を示す;
【図2−e】図2 a)ないしe)は、3時間のエネルギー代謝の測定による、食事に対する熱応答を示す;
【図3】食事に対する熱応答を示す;
【図4】血漿中コレステロール値を示す;
【図5】HDLコレステロール値を示す;
【図6】HDLコレステロール値の割合を示す;及び
【図7】肝臓内トリグリセリド濃度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0087】
以下の実施例1及び2は、一連の試験モデルにおけるカンナビノイドTHCV及びCBDの使用について記載する。実施例3は、同様の試験において異なる動物モデルを用いて、カンナビノイドTHCV及びCBDを組み合わせて使用した場合に得られたデータを示す。実施例4は、CBDがPPARγリガンドとして作用する作用メカニズムを開示する。
【0088】
以下は、I型又はII型糖尿病、肥満症、脂質異常症、関連する代謝疾患及び循環器疾患を含む疾患に効果を有する薬物の一連の試験である。
【0089】
a)体重:全てのマウスの体重、試験期間中、週2回測定した。
b)食物摂取:ケージの底の食物廃棄を考慮に入れ、重量変化により食物摂取量を測定した。
c)水分消費量の測定:水の摂取は、水のボトルの重量変化により試験期間中、毎日各動物について計算した。
【0090】
d)経口ブドウ糖負荷試験(OGTT):グルコースを水(3g/10ml)に溶かし、3g/kgの速度で経口的にマウスに与えた。血液サンプル(20μl)をグルコース濃度の分析のためにグルコース投与の-30、0、30、60、90、120及び180分後に採取した。血液サンプルは、インスリン分析のために-30分にも採取した。
【0091】
e)血糖分析:各個体サンプルのために、20μlサンプルをduplicateで採取し、96ウェルアッセイプレートに加えた。各ウェルに180μlずつのグルコースオキシダーゼを加えた。サンプルは、混合し、約30分放置した。続いて、サンプルは、SpectraMax-250及びSoftMax Pro softwareを用いて自動分析機にかけた。
f)血漿標本:血液を、i)血漿インスリン、ii)コレステロール、iii)遊離脂肪酸、又はiv)トリグリセリド濃度の測定のために採取した。
【0092】
i.血漿インスリン分析:血漿5μlを用い、96ウェルミクロアッセイプレートを用いて、標準用マウスインスリンと対比して、血漿中インスリンを測定した。
ii.血漿コレステロール分析:それぞれのサンプルにインフィニティ・コレステロール液体安定化試薬(infinity cholesterol liquid stable reagent)200μlを加えた。サンプルを混合して、2つの波長500及び660nmで読むまで5分間培養した。
【0093】
iii.血漿中遊離脂肪酸:5μlの血漿サンプルを96ウェルアッセイプレートにおいて、0.2mlのNEFA C 試薬を加えて測定した。
iv.血漿中トリグリセリド分析:200μlのトリグリセリド試薬を各ウェルに加えた。サンプルを混合し、測定まで約45分間放置した。
【0094】
g)体脂肪の測定:全身の体脂肪をDual Energy X-ray Absorptiometry(DEXA)を用いて測定したが、これは2つのX線エネルギーの体組織における吸収の差を測定するものである。キャリブレーションスタンダード(calibrated standard)との比較により、それらの組織が密度により特定される。骨及び脂肪の量を特定するための特別のソフトウエアを用いた。マウスは、この非侵襲性手技の間に不活発にするのに十分な程度に軽く麻酔した。
【0095】
h)エネルギー代謝測定:エネルギー代謝は、マウスはケージにおいて、開放型間接熱量測定装置により測定した。24時間のエネルギー代謝の試験のため、マウスに配分された治療薬を投与し、測定を開始した。食物の熱効果の測定のため、マウスに経口的にcomplan(Complan Foods Ltd. ,エネルギー表示:18%タンパク質、53%炭水化物、29%脂肪)を1Og kg-1 = 185kJ kg-1を投与した。
【0096】
i)血漿中レプチン:レプチンは、食欲の低下及び代謝の増加を含むエネルギー取り込み及びエネルギー代謝を制御するのに重要な役割を果たす。血漿中レプチンは、Crystal Chem Elisaアッセイを用いて餌を与えられたマウスを用いて測定した。
【0097】
j)血漿中アディポネクチン:アディポネクチンは脳を経由して体重減少効果を発揮する。これは、レプチンと同様の作用であるが、2つのホルモンが相補的な作用をし、相加効果を有しうる。血漿中アディポネクチンは、終夜絶食したマウスを用い、96ウェル B-Bridge Elisaアッセイにより測定した。
【0098】
k)血漿中HDLコレステロール:トリニティーバイオテック社のキットを用いて、餌を与えられたマウスを用いて血漿中HDLコレステロールを測定した。
1)24時間血糖プロフィール:これは、血中グルコース日中の管理の変化が検出されるようにするために測定した。それゆえ、3時間ごとの間隔で24時間続けて、血液サンプルを採取した。
【0099】
m)血漿中ヘモグロビンAIC:サンプル(10μl)をAICにより分析した。これは、これは内蔵型の単回使用モニターにマイクロエレクトロニクス、光学及びドライケミストリーを組み込んだマイクロ光学検出法を用いて行われる:HbAIC は、抗HbAIC 抗体に青色微粒子で結合し複合体を形成し、618nmでの青色の反射率により決定される。総ヘモグロビンについては、フェリシアン化物がヘモグロビンをメトヘモグロビンに変換し、565nMでのオレンジ-茶色の反射率により総ヘモグロビンが導かれる。
【0100】
n)膵臓インスリン:凍結膵臓の重量を測定し、液体窒素において小断片にすり潰した。4℃でホモジネートを終夜抽出し、2000gを5分間遠沈した。
o)膵島組織構造:Leica RM2125ロータリーミクロトームを用いて4μM 断片に切断し、正荷電のグラススライドに移し、42℃で一晩乾燥した。形態は、ヘマトキシリン・エオシン染色により評価した。
【0101】
p)肝臓グリコーゲン:上清(10μl)を遠沈後(3000×gで15分)、グルコースオキシダーゼ法を用いてアッセイした。結果はグリコシルユニット/g(肝臓)として表される。
q)肝臓内トリグリセリド:肝臓15-30mgについて、サンプルを用いて4℃においてメタノール500μlでホモジナイズして用いた(リボライザー細胞粉砕機)。1mlのクロロホルムを加えてチューブをボルテックスし、30分ごとにボルテックスを行い4℃で2時間放置した。0.9%塩化ナトリウム200μlを加え、ボルテックス後、混合物を300×gで5分遠心した。500μlのクロロホルム層を取り、クロロホルムを蒸発させて除いた。残渣を200μlエタノールに溶解させ、トリグリセリド含量を測定した。
【0102】
コントロール動物と処置動物の差によるあらゆる統計的有意性をANOVA試験によって決定した。統計的有意性は、*p<0.05、**p<0.01又は***p<0.001と示す。
【0103】
これらの試験から得られた鍵となる結果を実施例1ないし3にハイライトした。
【実施例1】
【0104】
糖尿病、肥満症及び関連する代謝疾患に対するテトラヒドロカンナビバリンの効果
CB1受容体アンタゴニストは、抗肥満剤の可能性があるとして試験され、化合物リモナバンは、多くの欧州諸国において市販されている。
【0105】
リモナバンは抗肥満症効果をヒト及びげっ歯類モデルにおいて示す。げっ歯類モデルにおいては、リモナバンは最初の数日において食物摂取を減少させるが、長期的には抗肥満効果は食物摂取の減少とは、ほとんど独立しているように見える。抗肥満効果は長期的にはエネルギー代謝の増加に、より関連しているようであり、おそらく脂肪組織からのアディポネクチンの放出の増加が介している。
【0106】
3-ペンチル側鎖の代わりに3-プロピルを有するΔ9-テトラヒドロカンナビノールの類似体であるテトラヒドロカンナビバリン(THCV)は、CB1受容体において重要な働きをする天然物である。ここに示す例は、THCをも含有する植物として、及び食物誘導性の肥満(DIO)マウスモデルにおける純粋な物質としての両方の可能性を試験するためにデザインされた。
【0107】
約12週にわたり高脂肪食を与えたC57B1/6マウスは、肥満症、II型糖尿病及び脂質異常症を含む代謝疾患治療剤としての効果を評価するための標準的なモデルである。それゆえ、抗肥満剤としての効果及び糖尿病への効果の両方の可能性、及び脂質異常症のパラメータの測定を行う。
【0108】
方法:
動物は、SDS食829100を与えられ、これには0.2%コレステロールが特別に加えられたものであり、12時間の明暗サイクルとした(午前7時に点灯)。
【0109】
良好な体重を示した70匹のマウスを選択し、各ケージ4匹のマウスを入れた。
【0110】
新しい環境及び飼育に適合させるために数日休ませた後、急性の食物摂取試験を以下の通りに行った:
A コントロール
B 1mg.kg-1経口THCV(植物性)
C 3mg.kg-1経口THCV(植物性)
D 10mg.kg-1経口THCV(植物性)
E 30mg.kg-1経口THCV(植物性)
【0111】
マウスは、4匹のマウス/試験群で3つの群に分けた。
投与化合物は、消灯(午後7時)直前に投与し、食物摂取は2時間、4時間及び24時間後に測定した。
【0112】
慢性投与試験を以下の通り行った:
A コントロール
B リモナバン(10mg.kg-1経口)
C AM251(10mg.kg-1経口)
D 植物性THCV(0.3mg.kg-1経口)
E 植物性THCV(3mg.kg-1経口)
F 植物性THCV(30mg.kg-1経口)
G 純粋なTHCV(0.3mg.kg-1経口)
【0113】
急性試験が終了すると、マウスは2群(各5匹)に分け、慢性投与試験を行った。投与は毎日午前9時ないし10時に、経口チューブにより投与した。
【0114】
試験を通して測定は以下の通りに行った:
毎日:食物及び水の摂取
週2回:体重
第3、4及び5日:24時間のエネルギー代謝(投与直後に測定開始)
第7又は8日:5時間絶食マウスに対する経口ブドウ糖負荷試験(グルコース負荷3g.kg-1)。-30、0、30、60、90、120分後にグルコース測定、及び-30分にインスリン測定。
第10、11及び12日:投与直後から24時間エネルギー代謝を測定
第15、16及び17日:混合食に対する熱応答:マウスを2時間絶食させ、投与し60分後に10g.kg-1 Complan(登録商標)食(経口)を与え、complan食投与後、4時間エネルギー代謝を測定。
第21日:5時間絶食マウスへの経口ブドウ糖負荷(第7日の試験の繰り返し)
第28日:麻酔マウスのDexascanによる体組成の測定、鼻から肛門までの体長の測定、グルコース、乳酸、インスリン、トリグリセリド、総コレステロール、HDLコレステロール、レプチン測定のため、投与を受けたマウスの血液サンプルの採取
第29日:終夜絶食
第30日:グルコース、遊離脂肪酸、インスリン測定のための血液サンプル採取及びアディポネクチン投与マウス及び2-3時間後の薬物濃度測定のための血液サンプルの採取
第30日:終了
【0115】
鍵となる結果:
24時間のエネルギー代謝への効果(第10-12日)
リモナバンは、コントロールに比べ、投与後12時間のエネルギー代謝において少しの増加を示した。30mg kg-1の高用量でのTHCV-BDS投与では、24時間におけるエネルギー代謝を増加させたが、0.3及び3.0mg kg-1の低容量では効果は小さかった。純粋なTHCV(0.3mg kg-1)は、リモナバンに対して同等の効果を示した。表1は、これらの結果を図1 a)ないしe)とともに示す。
【0116】
【表1−1】

【表1−2】

【0117】
【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【0118】
食物への熱応答(第15-17日)
エネルギー代謝は、基礎代謝率、運動によるエネルギー代謝、及び非運動性の熱産生からなる。後者は、抗肥満剤により効果があると考えられる分野である。非運動性の熱産生は、食物に対する熱応答を含み、これはげっ歯類においては食事に反応するエネルギー代謝を確かめることにより測定しうる。これはcomplanの経口投与後に測定される(方法を参照)。
【0119】
表2及び図2 a)ないしe)に示すとおり、データからは、リモナバンは効果がないのに対し、3mg kg-1 及び30mg kg-1 のTHCV-BDSは2時間以上の効果があり、純粋なTHCVが2時間以上の効果を有する。
【0120】
【表2−1】

【0121】
【表2−2】

【0122】
考察:
投与用量ベースでは、純粋なTHCVはリモナバンの少なくとも10倍、おそらく30倍エネルギー代謝において強力である。THCV-BDS及び純粋なTHCV(0.3mg kg-1)はいずれも高用量で、リモナバンよりも効果があるようである。エネルギー代謝への効果は、第3-5日よりも処置後第10-12日における方がずっと大きく、何らかの熱誘導があることを示唆している。
【0123】
本試験では、第15-17日において食物への熱応答を測定した。リモナバン以外においては、全ての処置において増加したが、この増加は、24時間のエネルギー代謝に相当するほど十分な増加ではなかった。
【0124】
この処置により体脂肪率の変化につながったが、統計的に分散分析において有意ではなかった。特に、少なくとも純粋なTHCVは、成長には何も影響を与えることなく、少なくともリモナバンよりも30分の1の低容量で同等の効果があるという発見は興味深い。レプチンレベルの減少は体脂肪率へ反映されるが、AM251のみが分散分析によって有意な効果を有した。
【実施例2】
【0125】
カンナビジオールの糖尿病、肥満症及び関連する代謝疾患への効果
Mechoulamらは、カンナビジオール処置はNODマウス(I型自己免疫疾患介在性糖尿病モデル)において、無処置コントロールマウスにおける86%から、カンナビジオール処置マウスにおける30%に、有意に糖尿病の罹患を減少させることを示した。またCBD処置は、血漿中IFN-γ及びTNF-αレベルの有意な減少につながった。膵島の組織学的検査によって膵島炎を減少させることがわかった。
【0126】
炎症は、また動物及びヒトにおけるII型糖尿病の特徴である。それゆえ、カンナビジオールが同様の効果を有するかII型糖尿病モデル、すなわちC57Bl/Ks db/dbマウスにおいて調べた。この動物は、機能的レプチン受容体を欠き、甚だしい肥満症及びインスリン抵抗性を示す。しかし、遺伝的背景の結果、C57B1/6よりもC57B1/KSの方が6/7週齢でマウスは膵臓機能をなくし、10週までには明らかな糖尿病症状を示した。
【0127】
方法:
マウスは、コントロール食(chow diet)(Bantin and Kingman社,no1 diet)及び自由に水を与えた。マウスは光条件の管理下、室温21℃±1℃のもとにおいた(午前8時に点灯、12時間の明暗サイクル)。
【0128】
A コントロール
B 純粋なCBD(5mg/kg経口)
C 純粋なCBD(1mg/kg経口)
D 純粋なCBD(5mg/kg腹腔内)
【0129】
測定:
毎日:食事及び水の摂取
週2回:体重及びグルコース
第1日:マウスの体重測定、化合物投与、測定した量の食物を与える、測定した量の水を与える
第2、5及び8日:血中へのグルコース溶液の投与
第9日:経口ブドウ糖負荷試験
第12及び16日: 血中へのグルコース溶液の投与
第19日:血糖アッセイ24時間
第22、26及び29日: 血中へのグルコース溶液の投与
第33日:血糖アッセイ24時間
第38日: 血中へのグルコース溶液の投与
第39日:麻酔下、Dexascanによる体組成の測定
第41日:終了。グルコース、遊離脂肪酸、トリグリセリド、コレステロール、インスリン及びHbA測定のための血液サンプルの採取。
【0130】
鍵となる結果:
カンナビジオールの血漿中インスリン濃度への影響
db/dbマウスモデルにおける糖尿病の進展は、インスリン抵抗性及びインスリン分泌の低下の組み合わせの結果起こる。それゆえ、糖尿病は、インスリン抵抗性を克服するために血液循環系に放出されたインスリンが不十分な場合に起こる。当然、糖尿病はインスリン抵抗性又は分泌促進又は2つの組み合わせによって克服できる。
【0131】
血漿中インスリン濃度に対する処置の効果は、潜在的要因があり複雑である。それゆえ、インスリン抵抗性の改善により必要量が減少し、血漿中インスリン濃度を減少させる。膵島の炎症を抑制することによる膵島細胞機能改善は、血漿中インスリン濃度を増加させると考えられる。本試験において、血漿中インスリン濃度は処置の過程において、数回測定した。
【0132】
第9日、ブドウ糖負荷試験の前に、5時間絶食マウスにおいてインスリン濃度を測定した。有意な効果は見られなかったが、いずれの5mg kg-1 処置においても、血漿中インスリン濃度を上げる傾向があると考えられる。
【0133】
血漿中インスリン濃度は、24時間血糖プロフィール中においても測定したが、持続的な効果は見られなかった。
【0134】
考察:
本試験では、カンナビジオール投与及びコントロールにおいて、このマウスモデルでは、血糖管理は有意な差はもたらさなかった。膵島細胞機能及び細胞量を改善させることは可能である。
【0135】
カンナビジオールはそれゆえ糖尿病の進行を妨げ、単剤療法として及びインスリン増感剤、例えば、ロシグリタゾンを組み合わせて用いられ得る。
【実施例3】
【0136】
糖尿病、肥満症及び関連する代謝疾患におけるテトラヒドロカンナビバリン及び/又はカンナビジオールの効果
テトラヒドロカンナビバリン(THCV)は、マウス単離vas deferens標本におけるカンナビノイドWIN55212-2及びアナンダミドの強力なアンタゴニストである。以前の研究によりこれはいくつかのCB1アンタゴニストの性質をもち、DIOマウスにおいて、CB1アンタゴニストリモナバン及びAM251よりも強力な性質を持つことが示唆された。
【0137】
カンナビジオールは、I型糖尿病のモデルであるNODマウス膵島を保護する作用が報告されている。
【0138】
結果的に、両方の治療剤及び組み合わせについてさらなる研究が開始され、インスリン抵抗性、肥満症及びメタボリックシンドロームのモデルであるC57B1/6 ob/ob マウスにおいて行われた。
【0139】
慢性投与で28日間試験を行い、ob/obマウスに以下のいずれかを経口チューブにより毎日午前9時に投与した:
A コントロール
B AM251 10mg/kg
C 純粋なTHCV 0.3mg/kg
D 純粋なTHCV 3.0mg/kg
E 純粋なTHCV 0.3mg/kg+CBD BDS(CBDを0.3mg/kg含む)
F 純粋なTHCV 3.0mg/kg+CBD BDS(CBDを0.3mg/kg含む)
G 純粋なCBD 3.0mg/kg
【0140】
動物は、試験の第1-2日は順応させ、第3日に投与を開始した。
【0141】
測定から以下のデータが提供された:
毎日:食物及び水の摂取
週2回:体重測定
第-1日:午後5時に、試験期間中の毎日の食物及び水の測定を開始
第7日:5時間絶食マウスについて経口ブドウ糖負荷試験(グルコース負荷3g/kg)を行い、グルコースを-30、0、30、60、90、120分、インスリンを-30分に測定
第10日:間接熱量測定により24時間のエネルギー代謝を測定
第17日:混合食に対する熱応答を測定し、2時間マウスを絶食させ、60分後complan食(経口)を与え、complan食投与後、4時間のエネルギー代謝を測定
第22日:5時間絶食マウスの経口ブドウ糖抵抗性を測定(7日間の繰り返し検査)
第28日:麻酔したマウスについて、Dexascanで体組成、鼻−肛門までの体長の測定;グルコース、乳酸塩、インスリン、トリグリセリド、コレステロール、HDLコレステロール測定のためのマウスの血液サンプル採取
第35日:終夜絶食(17時間絶食)
第36日:投与マウスにおけるグルコース、遊離脂肪酸、インスリン及びアディポネクチンのための血液採取については、薬物及び内因性カンナビノイド投与後2-3時間に、血液サンプルの採取を行った。マウスは、スケジュール1の方法で安楽死させ、内因性カンナビノイドの測定のため脳を摘出した。内因性カンナビノイドレベルの測定のため、分散脂肪体(discrete fat pad)の重さを測定した。肝臓を固定して凍結し、肝脂肪及びグリコーゲンの重量を測定した。
【0142】
鍵となる結果:
エネルギー代謝及び呼吸商への効果
マウスは、光サイクルにおける暗転相(dark phase)の早期において、明相(light phase)におけるよりも総エネルギー代謝が有意に多いが、通常のエネルギー代謝の日周パターンを示した。カンナビジオール単独投与を除き、すべての処置において24時間エネルギー代謝が第10日に増加した。さらに、日周パターンは、各処置のコントロールと同様のパターンを示した。
【0143】
これらのカンナビノイドの効果のさらなる考察のため、エネルギー代謝、食物に対する熱応答を、Complan(登録商標)食の経口投与により評価した。全ての処置において食後エネルギー代謝が増加した。反応のパターンは、AM251(10mg kg-1)、純粋なTHCV(3mg kg-1)においては24時間のパターンと同様であり、それらの低容量及び高用量の組み合わせは、有意な効果を示した(表3、図3)。
【0144】
【表3】

【0145】
興味深いことに、純粋なCBDは、コントロールに対して有意にエネルギー代謝を増加させなかったが、植物性薬物は有意にTHCVのエネルギー代謝を促進するように見えた。
【0146】
自由にマウスに餌を与えた血漿検体への効果
【0147】
コレステロール及びHDLコレステロールへの効果は最も驚くべき結果となった。純粋なCBDは血中総コレステロールを減少させた(表4、図4)が、同時に血漿中HDLコレステロール濃度を増加させ(表5、図5)、HDLコレステロールの総コレステロールに対する百分率は、40%から80%を超える(表6、図6)ものとなった。
THCV-CBDとBDSの組み合わせも、有意にHDLコレステロール濃度を増加させたが、高用量の組み合わせは総コレステロールを減少させる傾向があり、比に影響を与える。
【0148】
【表4】

【0149】
【表5】

【0150】
【表6】

【0151】
血漿中インスリンは、処置によっては影響を受けなかった。
【0152】
肝グリコーゲン及びトリグリセリドの効果
肝臓内トリグリセリド含量は、処置によって顕著に影響を受ける。CBD単独で及びTHCVと組み合わせた場合ともに、肝臓内トリグリセリド含量を顕著に減少させた。対照的に、肝臓内トリグリセリド含量はAM251及び低容量の純粋なTHCVによって増加した(表7、図7)。
【0153】
【表7】

【0154】
考察:
本試験において最も特筆すべき発見は、カンナビノイドCBDから得られた。それ自体は血中総コレステロール濃度を減少させたが、HDLコレステロールの百分率を増加させた。血漿中トリグリセリドには影響しなかったが、肝臓内トリグリセリドを減少させた。
【0155】
CBDはHDLコレステロールを増加させるが、コレステロール及び肝臓の脂質を低下させる薬剤としての用途を持つようである。
【0156】
THCV及びCBDの低用量の組み合わせによるHDLコレステロールへの効果及び純粋なTHCVが効果を示さなかったことを合わせると、低容量のCBDは、HDLコレステロールは上昇させるが、総コレステロールは減少させないであろうと考えられる。
【0157】
THCV単独で、及びカンナビジオールBDSと組み合わせて用いた場合のエネルギー代謝の効果は、非常に驚くべきであった。24時間エネルギー代謝の増加及び食物の熱応答は顕著であった。
【0158】
カンナビノイドの組み合わせが、THCV又はCBD単独の場合よりもエネルギー代謝により大きな効果を与えるように見える理由はわからない。THCV及びCBDにおける相乗効果であるかもしれない。
【実施例4】
【0159】
カンナビノイド、カンナビジオール(CBD)及びテトラヒドロカンナビバリン(THCV)が、Δ9-テトラヒドロカンナビノールにより活性化されることが知られているペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体ガンマ(PPARγ)を介して作用するかを調べた例を以下に記載する。
【0160】
PPARγアゴニストのアイソフォームはインスリン感受性を改善し、しばしばII型糖尿病の管理に用いられる。加えて、PPARγアゴニストは正の心血管効果があり、これにはインビトロで一酸化窒素(NO)の利用能の増加及びインビボでの血圧の低下及びアテローム性動脈硬化症の減衰が含まれる。
【0161】
PPARγリガンドの有益な効果のいくつかは、PPARγの抗炎症作用によりもたらされ、それには炎症誘発性サイトカインの阻害、抗炎症サイトカインの増加、及び誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の発現阻害が含まれる。それゆえ、PPARγリガンドの使用は、メタボリックシンドローム又はメタボリックシンドロームのリスクの増加に関連する疾患及び状態の、役立つ治療オプションとなりうると考えられている。
【0162】
ラット単離大動脈を用いてワイヤミオグラフによりインビトロでの血管研究を行った。PPARγの活性化は、レポータ遺伝子アッセイ、PPARγ競合結合アッセイ及び脂肪新生アッセイを用いて調べた。
THCV及びCBDのいずれも、エタノールに溶かして10mMのストック溶液とし、さらなる希釈液は蒸留水を用いて作製した。
【0163】
結果:
大動脈におけるCBD及びTHCVの時間依存効果
CBD(10μM)は、担体コントロールに対して、2時間の全ての測定時間において有意な時間依存的緩和を引き起こした(2時間、担体は19.7±2.4%、それに対しCBDは69.7±4.0%の緩和、π=13、P<0.001)。2時間経過後の残存緩和効果(CBDの血管弛緩効果から、担体の血管弛緩効果及び時間を引いたもの)は50.1±3.3%であった。
【0164】
時間を通して、CBDは基礎張力には影響を与えなかった(2時間、担体は-0.02±0.01gであるのに対し、CBDは-0.03±0.01g、n=l)。
【0165】
大動脈の予備収縮に関し、THCV(10μM)は105分後張力には効果がなく、120分後THCVによる血管は28.7±4.6%緩和し(n=10)、これはコントロールの血管15.1±4.6%に対して有意(P<0.01)であった。
【0166】
PPARγ受容体アンタゴニストGW9662(1μM)存在下、CBDの残存緩和効果は、1時間培養後、有意に減少した。CBDの血管弛緩効果は、剥離した内皮及びコントロールの大動脈において同様であった。同様に、一酸化窒素合成酵素阻害剤、L-NAME(300μM)存在下において、残存CBDによる血管弛緩効果は、コントロールの状態と比べて変化は観察されなかった。
【0167】
CB1受容体アンタゴニストAM251(1μM)は、CBDの時間依存的血管反応に有意に効果を示さなかった。CB2受容体アンタゴニストSR144528(1μM)は、45分ないし90分において、有意に残存CBDによる血管弛緩効果を阻害した。PTX(200ng ml-1、2時間)又はカプサイシン(10μM、1時間)のいずれかで予め処置した動脈を用いても、CBDによる血管反応には効果はなかった。
【0168】
高カリウム緩衝液により血管を収縮させても、コントロールと比べてCBDの血管弛緩効果に違いは出ない。対照として、カルシウムなしの緩衝液中、血管緊張性をU46619により誘導した血管において、CBDの血管弛緩効果はコントロールに比べて有意に減少する。
【0169】
有効で最大の収縮反応に対し、カルシウムフリー、高カリウムKrebs-Hensleit溶液にカルシウムを再導入すると、1μMないし30μMのCBD存在下、濃度依存的に有意に減少する。カルシウムチャンネルブロッカーであるベラパミルは、CBDと同様に、しかし、予め収縮させておいたより速く血管に有意な弛緩作用を示した。
【0170】
単離動脈における血管反応に対し、CBDでラットを慢性処置した場合の効果
動物は2週間担体又はCBDで処置し、動脈の機能の試験を行った。
【0171】
小動脈抵抗血管において、メトキサミンに対する最大の収縮反応は、担体処置動物に比べて、CBD処置動物において、有意に反応性が小さかった(Rmax 1.56±0.13g に対して、CBDでは2.20+0.13gに増加、n=7、P<0.001)。メトキサミンの可能性のCBD処置は追加的なさらなる減少を引き起こす(pEC50 担体は5.94±0.08に対してCBDは5.79+0.10、P<0.05)。
【0172】
大動脈におけるメトキサミンに対する最大反応は、担体処置動物(2.32+0.20g 張力の増加、n=6)において、CBD処置動物よりも有意に高かった(1.63+0.21g 張力の増加、n=l、P<0.001)示した。
【0173】
CBDによる繰り返しの処置は、アセチルコリンによる小動脈抵抗血管の血管弛緩反応に影響を与えなかった。しかし、大動脈においては、CBD処置は有意にアセチルコリン(pEC50コントロールが6.17+0.31であるのに対し、CBD処置は5.37±0.40、n=6、P<0.01)は有意に効果を減少させた。
【0174】
転写活性化アッセイ
CBDがPPARγを刺激するかを決定するために、相同性細胞が一時的に過発現する遺伝子PPARγ及びRXRαとルシフェラーゼレポーター(3×PPRE TK luc)の組み合わせでトランス活性化アッセイを行った。
【0175】
これらのアッセイにおいて、合成PPARγアゴニストであるロシグリタゾン(10μM)は担体処置細胞に全てのDNAをトランスフェクトさせた細胞に比べて(相対148±7であるのに対し、319±7ルシフェラーゼ活性(/ng ml-1 タンパク質)、P<0.01)、有意に転写活性を刺激した。
【0176】
同様に、CBDも無処置細胞に比べ、10μM(305±18相対的ルシフェラーゼ活性、P<0.01)及び20μM(470±37。相対的ルシフェラーゼ活性、P<0.01)において濃度依存的に有意にPPARγの転写活性を刺激した。
【0177】
THCVは、いずれの濃度においてもPPARγ転写活性に効果を示さなかった。
【0178】
脂肪細胞分化の誘導
3T3L1細胞は、コンフルエントになるまで培養し、8日間CBD又はロシグリタゾンのいずれかで処置した。細胞は固定し、フィブロブラストの脂肪細胞への分化を示すための脂肪滴を特定するためにオイルレッド0で染色した。無処置細胞は、分化のサインを示すが、大多数の細胞はオイルレッド0染色に対して紡錘形を保っている。ロシグリタゾン誘導性の分化は、3T3Ll細胞の脂肪細胞への分化を誘導し、大量のオイルレッド0染色により、脂肪滴蓄積のサインが、全ての濃度で濃度依存的に行われた。
【0179】
結論:
これらのデータは、CBDがPPARγアゴニストであることを強く示唆し、CBDがもたらすであろう新しい手段を提供する。PPARγリガンドは、II型糖尿病、心血管系、及び癌、胃炎症性疾患及び多くの皮膚疾患を含む、潜在的に広くその他種々の疾患を含む疾患の治療に有益なことを考慮すると、これらのデータは、CBD及び可能性としてCBDとの組み合わせでTHCVは、糖尿病、肥満症及び関連する代謝疾患の予防又は治療に役立つという事実を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品又は栄養補助食品の製造において、CBD単独で又は他のカンナビノイドと組み合わせて用いる、コレステロール値を患者において管理するための使用。
【請求項2】
医薬品又は栄養補助食品が血中総コレステロールを減少させるために使用される請求項1に記載の使用。
【請求項3】
医薬品又は栄養補助食品が総コレステロールに対してHDLコレステロールの割合を増加させるために使用される請求項1に記載の使用。
【請求項4】
他のカンナビノイドがTHCVである、前述の請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
CBDが少なくとも1つの大麻草から得られたカンナビノイド含有植物抽出物の形態である前述の請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
少なくとも1つの大麻草から得られるカンナビノイド含有植物抽出物が植物性薬物物質である請求項5に記載の使用。
【請求項7】
少なくとも1つの大麻草から得られるカンナビノイド含有植物抽出物が、その植物の全て又はいくつかの天然由来の植物中のカンナビノイドを含む、請求項5又は6に記載の使用。
【請求項8】
カンナビス含有植物抽出物中の、いずれかのTHCの全て又はかなりの量が除かれている請求項7に記載の使用。
【請求項9】
CBD又は他のいかなるカンナビノイドも実質的に純粋な又は単離された形態である請求項1に記載の使用。
【請求項10】
CBD又は他のいかなるカンナビノイドも合成体の形態である請求項1に記載の使用。
【請求項11】
CBDが、血中総コレステロールの減少をもたらすのに有効な用量で存在している請求項2に記載の使用。
【請求項12】
CBDの有効量が0.1mg/kgないし5.0mg/kgである請求項11に記載の使用。
【請求項13】
請求項4に従属する場合、THCVが0.3mg/kgないし30.0mg/kgの用量で存在する請求項12に記載の使用。
【請求項14】
I型又はII型糖尿病、肥満症、脂質異常症(アテローム性脂質異常症を含む)、関連する代謝疾患及び循環器疾患の管理又は治療の療法の一部としてコレステロール値が管理される前述の請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項15】
CBD及びTHCVが、体重によって予め定められた比である請求項4に記載の使用。
【請求項16】
医薬品又は栄養補助食品が、糖尿病、肥満症、脂質異常症(アテローム性脂質異常症を含む)、関連する代謝疾患又は循環器疾患の治療において用いられる1つ以上の他の薬物と組み合わせて使用されものである、請求項1に記載の使用。
【請求項17】
1又は他の薬物が、インスリン抵抗性の減弱又はインスリン分泌促進又は2つの組み合わせである請求項16に記載の使用。
【請求項18】
医薬品又は栄養補助食品の製造において、THCV単独で又は他のカンナビノイドと組み合わせて使用する、対象においてエネルギー代謝を増加させるための使用。
【請求項19】
医薬品又は栄養補助食品が長期使用のために包装された請求項18に記載の使用。
【請求項20】
長期使用が、少なくとも10日間である請求項19に記載の使用。
【請求項21】
他のカンナビノイドがCBDである請求項18ないし20のいずれか記載の使用。
【請求項22】
THCVが少なくとも1つの大麻草から得られたカンナビノイド含有植物抽出物の形態である請求項18ないし21のいずれかに記載の使用。
【請求項23】
カンナビノイド含有植物抽出物の形態が、少なくとも1つの植物性薬物物質である、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
少なくとも1つの大麻草から得られるカンナビノイド含有植物抽出物が、その植物の全て又はいくつかの天然由来のカンナビノイドを含む請求項22又は23に記載の使用。
【請求項25】
カンナビス含有植物抽出物由来のあらゆるTHCの全て又はかなりの量が取り除かれている、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
THCV又は他のあらゆるカンナビノイドが実質的に純粋な又は単離された形態である請求項18に記載の使用。
【請求項27】
THCV又は他のあらゆるカンナビノイドが、合成体である請求項18に記載の使用。
【請求項28】
THCVが、対象者においてエネルギー代謝を増加させるのに有効な用量で存在している請求項18に記載の使用。
【請求項29】
THCVの有効量が0.3mg/kgないし30.0mg/kgである請求項18に記載の使用。
【請求項30】
請求項21に従属する場合、CBDの用量が0.1mg/kgないし5.0mg/kgである請求項29に記載の使用。
【請求項31】
エネルギー代謝の増加が、I型又はII型糖尿病、肥満症、脂質異常症(アテローム性脂質異常症を含む)、関連する代謝疾患及び循環器疾患であるものを管理又は治療する療法の一部を形成する請求項18ないし30のいずれかに記載の使用。
【請求項32】
医薬品又は栄養補助食品が1つ以上のレプチン及び/又はアディポネクチンレベルを変化させる請求項31に記載の使用。
【請求項33】
CBD及びTHCVが、体重によって予め定められた比である請求項21に記載の使用。
【請求項34】
医薬品又は栄養補助食品が、糖尿病、肥満症、脂質異常症(アテローム性脂質異常症を含む)、関連する代謝疾患及び循環器疾患の治療において用いられる1つ以上の他の薬物と組み合わせて使用されるものである、請求項18に記載の使用。
【請求項35】
THCVが肥満の治療に用いられ、他の薬物が食物摂取の減少又は代謝の変化に用いられる、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
有効量のCBDを、単独で又は他のカンナビノイドと組み合わせて、必要とする対象者に投与することによる、対象者のコレステロール値の管理方法。
【請求項37】
有効量のTHCVを、単独で又は他のカンナビノイドと組み合わせて、必要とする対象者に投与することによる、対象者のエネルギー代謝を増加させる方法。

【図1−a】
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【図1−b】
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【図1−c】
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【図1−d】
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【図1−e】
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【図2−a】
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【図2−b】
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【図2−c】
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【図2−d】
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【図2−e】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−509989(P2011−509989A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542690(P2010−542690)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000159
【国際公開番号】WO2009/093018
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(508368987)ジーダブリュー・ファーマ・リミテッド (16)
【氏名又は名称原語表記】GW PHARMA LIMITED
【Fターム(参考)】