説明

カード用コネクタ及びカード用コネクタ組立体

【課題】小型化が図れ、カードのイジェクトをスムーズに行なうカード用コネクタ及びカード用コネクタ組立体を提供する。
【解決手段】本発明のカード用コネクタにおいては、長手方向での基部と、前記カードの挿入方向の最前側の一隅に形成された連接部材と、前記連接部材と異なる平面に位置するガイド部材と、を含むインシュレータと、前記インシュレータを覆うハウジングと、前記カードと嵌合離脱する際、カードと当接して前記カードと共に移動するイジェクト部材と、前記イジェクト機構を前記カード離脱方向へ操作する操作部材と、前記操作部材の操作を前記イジェクト部材に伝達して回転可能に保持される回転部材とを含むイジェクト機構とを含み、前記回転部材は回転中心を有し、前記回転中心は前記インシュレータの連接部材に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタ及びカード用コネクタ組立体に関し、特にイジェクト機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一例として、PCMCIAの規格によれば、コネクタの種類は、イクスプレスカード用コネクタであり、接続対象物の種類は、矩形形状を呈する34モジュール(以下、イクスプレスカード/34という。)とL字形状を呈する54モジュール(以下、イクスプレスカード/54という)である。
【0003】
従来技術のカードコネクタ組立体は、特許文献1に示すように、複数の導電端子を装着されたインシュレータと、インシュレータを覆っているハウジングと、ハウジングの一側面に取付たイジェクト機構とを有する。前記イジェクト機構は、ハウジングの右側面に平行にスライド可能に設けられた操作レバーと回転レバーとを有し、操作レバーには操作ボタンが設けられ、回転レバーがハウジングの軸に支持される。操作ボタンをカードの挿入方向に押すと、操作レバーの先端が回転レバーの右端を押す。すると、回転レバーはハウジングの軸を回転中心としてカードを離脱方向に押すことにより、カードはカード用コネクタ組立体からイジェクトされる。
【特許文献1】中国実用新案公告第2809960号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に掲示されたカード用コネクタ組立体では、回転レバーが直接カードの先端部を押してカードをイジェクトするので、回転レバーの回転軸をカードとカード用コネクタ組立体との嵌合面の近傍に配置せざるを得ない。したがって、カード用コネクタ組立体が大型となっていた。また、特許文献1に掲示されたイジェクト機構の回転レバーがハウジングの外側に露出するので、ぶつかられ易く、カードのイジェクトをスムーズに行い難い。そこで、上記欠点に鑑みて、新型のカード用コネクタを開発することが必要である。
【0005】
本発明は、小型化が図れ、カードのイジェクトをスムーズに行なうカード用コネクタ及びカード用コネクタ組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の幅が狭いカードまたは幅が広いカードと選択的に接続するカード用コネクタにおいては、長手方向での基部と、前記カードの挿入方向の最前側の一隅に形成された連接部材と、前記連接部材と異なる平面に位置するガイド部材と、を含むインシュレータと、前記インシュレータを覆うハウジングと、前記幅が狭いカード及び幅が広いカードの内どちらか一方と嵌合離脱する際、幅が狭いカード及び幅が広いカードの内どちらか一方と当接して前記幅が狭いカード及び幅が広いカードの内どちらか一方と共に移動するイジェクト部材と、前記イジェクト機構を前記幅が狭いカード及び幅が広いカードの内どちらか一方の離脱方向へ操作する操作部材と、前記操作部材の操作を前記イジェクト部材に伝達して回転可能に保持される回転部材とを含むイジェクト機構とを含み、前記回転部材は回転中心を有し、前記回転中心は前記インシュレータの連接部材に配置される。
【0007】
また、前記目的を達成するために、本発明の第1カード及び第2カードと同時的に接続するカード用コネクタ組立体においては、積み重なるように配置される第1カードコネクタと第2カード用コネクタとを含み、前記第1カード用コネクタにおいて、第1カードが挿入されるL字形状を呈する第1スペースと、長手方向での基部と、前記第1カードの挿入方向の最前側の一隅に形成された連接部材と、前記連接部材と異なる平面に位置するガイド部材とを含み、前記第1スペースの奥側に配置されるインシュレータと、前記インシュレータを覆うハウジングと、を含み、前記第2カード用コネクタにおいて、第2カードが挿入される第2スペースを含み、第1カードと第2カードをそれぞれイジェクトするために、第1カード用コネクタと第2カード用コネクタにそれぞれ配置される第1イジェクト機構及び第2イジェクト機構とを含み、前記第1イジェクト機構及び第2イジェクト機構は、第1カード及び第2カードと嵌合離脱する際、第1カード及び第2カードとそれぞれ当接して前記第1カードと第2カードと共に移動するイジェクトバーと、前記イジェクト機構を第1カード及び第2カードの離脱方向へ操作する操作レバーと、前記操作部材の操作を前記イジェクト部材に伝達して回転可能に保持される回転レバーと、をそれぞれ含み、前記第1イジェクト機構及び第2イジェクト機構の回転部材は回転中心をそれぞれ有し、前記各回転中心はインシュレータの連接部材にそれぞれ配置される。
【発明の効果】
【0008】
従来の技術に比べると、本発明は以下の効果を奏する。イジェクト機構の回転部材がインシュレータの連接部材に配置され、カードとカード用コネクタとの嵌合面の近傍に配置されないので、カード用コネクタ組立体の嵌合離脱方向のサイズが小さくなり、カード用コネクタ組立体は小型となる。また、回転部材がハウジングの内部に配置されるので、外界の部材にぶつかられることが防止でき、カードのイジェクトをスムーズに行なっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1〜図5に基づいて、本発明のカード用コネクタ組立体100について説明する。カード用コネクタ組立体100は、回路基板に実装されることにより電子設備の間の信号を伝送することが達成できる。カード用コネクタ組立体100が第1カード用コネクタ8と、第1カード用コネクタ8に積み重ねるように配置される第2カード用コネクタ9と、を有する。第1カード用コネクタ8は第1カードを収容するためのL字形状を呈する第1スペース80を有し、第2カード用コネクタ9は第2カードを収容するための第2スペース90を有し、本実施形態において、第1カードは幅が狭いイクスプレスカード/34または幅が広いイクスプレスカード/54であり、第2カードはスマートカードであり、第1カードと第2カードの伝送速度は互いに異なり、第1カードの伝送速度は第2カードの伝送速度より速い。
【0010】
図2を参照すると、第1カード用コネクタ8は、第1ハウジング1と、第1インシュレータ2と、第1インシュレータ2に装着された複数の第1端子23とを有する。第1ハウジング1によりL字形状を呈する第1スペース80からなり、ここで、以下の説明において、第1スペース80の幅の狭い一側を前、幅の広い他側を後と呼ぶ。第1ハウジング1は主体部10と主体部10の側縁から下向きに折曲がって延出した側壁12を有し、前記主体部10には位置決め孔101が形成されている。
【0011】
図2と図3を参照すると、第1インシュレータ2は、長手方向に延出した基部20と、基部20から前向きに延出するように形成された舌片24と、三角形状を呈するガイド部材22と、基部20とガイド部材22を連接するために、前記第1カードの挿入方向の最前側の一隅に形成された略矩形形状を呈する連接部材21とが一体に成型され、連接部材21とガイド部材22との一側面が階段面であり、即ち、連接部材21とガイド部材22は異なる平面にそれぞれ位置している。前記舌片24には第1端子23を対応するように収容するための端子溝240がそれぞれ形成される。前記連接部材21には、第1ハウジング1の位置決め孔101に対応した軸部210と、前記基部20に隣接した箇所に第1カードの挿入方向に沿って延出するように形成された取付溝211とが設けられ、取付溝211の一端が連接部材21を貫通して第1スペース80に連通している。
【0012】
第2カード用コネクタ9は、第2ハウジング4と、第2インシュレータ3と、第2ハウジングに保持される端子モジュール40と、端子モジュール40に保持された二列で並ぶように第2スペース90から突出し配置された第2端子41と、を有する。第2ハウジング4は、本体部44と、本体部44の側縁から折曲がるように延出するように形成された側壁45とを備え、本体部44の端子モジュール40に隣接する箇所には、カードの挿入方向に沿って延出するように形成された通溝43が設けられる。
【0013】
前記第1インシュレータ2及び第2インシュレータ3の前端にはベース7が配置され、第1端子23及び第2端子41がベース7の通孔70をそれぞれ貫通することにより位置決めされる。第1インシュレータ2及び第2インシュレータ3は、前端でネジ部材6により、後端で保持片11により積み重なるように保持される。
【0014】
図4と図5を参照すると、前記第1カード用コネクタ8及び第2カード用コネクタ9には、構造がほぼ同じ第1イジェクト機構5及び第2イジェクト機構5’がそれぞれ実装され、第1カードと第2カードとそれぞれ嵌合離脱する際、各カードと当接して前記各カードと共に移動するイジェクトバー54、54’と、前記イジェクト機構をカードの離脱方向へ操作する操作レバーと、前記操作部材の操作を前記イジェクト部材に伝達して回転可能に保持される回転レバー53、53’と、をそれぞれ含む。
【0015】
前記操作レバーには、支持部材50、50’と、前記支持部材50、50’にそれぞれ収容される操作ボタン51、51’と、回転レバー53、53’に係合するための連接部52、52’と、を有する。前記支持部材50、50’は、第1、第2イジェクト機構5、5’をカード用コネクタ組立体にそれぞれ実装させるための係合片501、501’を有する。回転レバー53、53’は、一端が前記操作レバーの連接部52、52’にそれぞれ係合し、他端がイジェクトバー54、54’にそれぞれ係合し、略中部には軸部530、530’がそれぞれ形成される。回転レバー53の軸部530は前記第1カード用コネクタ8の第1ハウジング1に形成された位置決め孔101と連接部材21の軸部210とに回転可能に係合し、回転レバー53は回転可能に係合した軸部530、位置決め孔101、軸部210を回転中心として回転する。回転レバー53’の軸部530’は連接部材21の底部に形成された軸部(図示せず)に回転可能に係合し、回転レバー53は回転可能に係合した軸部530’及び連接部材21の底部に形成された軸部を回転中心として回転する。
【0016】
イジェクトバー54、54’は、回転レバー53、53’の他端に係合するための連動部541、541’と、カードと当接するための当接部542、542’とを有する。前記当接部542、542’は連動部541、541’から折曲がって延出するように形成され、第1スペース80及び第2スペース90にそれぞれ突出している。
【0017】
図2〜図5を参照すると、第1イジェクト機構5は第1インシュレータ2の一側に実装され、回転レバー53が連接部材21の頂面に配置され、イジェクトバー54の連動部541が前記連接部材21の取付溝211に可動的に収容され、当接部542が第1スペース80に突出している。第1カードが第1スペース80に挿入された際に、操作ボタン51を第1カードの挿入方向へ押すと、回転レバー53は回転可能に係合した軸部530、位置決め孔101、軸部210を回転中心として回転する。すると、イジェクトバー54が第1カードのイジェクト方向へスライドするので、当接部542は第1カードの前端部を押す。したがって、第1カードは前記第1カード用コネクタ8の第1スペース80からイジェクトされる。
【0018】
第2イジェクト機構5’は第2インシュレータ3の一側に実装され、回転レバー53’は連動部材21の底面に配置され、軸部530’は連接部材21の底部に形成された軸部(図示せず)に回転可能に係合する。イジェクトバー54’の連動部541’が第2ハウジング4の表面に貼付けられ、当接部542’が第2ハウジング4の通溝43を貫通して第2スペース90に突出して、かつ、当接部542’が通溝43をスライドできる。第2イジェクト機構5’が第2カードを第2カード用コネクタ9からイジェクトする原理は、第1イジェクト機構5と同じなので、ここでは、詳細に説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るカード用コネクタ組立体の組立斜視図である。
【図2】本発明に係るカード用コネクタ組立体の分解平面図である。
【図3】本発明に係るカード用コネクタ組立体の第1ハウジングと第2カード用コネクタの組立斜視図である。
【図4】本発明に係るカード用コネクタ組立体の第1イジェクト機構及び第2イジェクト機構の組立斜視図である。
【図5】本発明に係るカード用コネクタ組立体の第1イジェクト機構及び第2イジェクト機構の他の角度から見た組立斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
100 カード用コネクタ組立体
1 第1ハウジング
10 主体部
101 位置決め孔
12 側壁
2 第1インシュレータ
20 基部
21 連接部材
210 軸部
211 取付溝
22 ガイド部材
23 第1端子
24 舌片
240 端子溝
3 第2インシュレータ
4 第2ハウジング
40 端子モジュール
41 第2端子
43 通溝
44 本体部
45 側壁
5 第1イジェクト機構
5’ 第2イジェクト機構
50、50’ 支持部材
501、501’ 係合片
51、51’ 操作ボタン
52、52’ 連接部
53、53’ 回転レバー
530、530’ 軸部
54、54’ イジェクトバー
541、541’ 連動部
542、542’ 当接部
6 ネジ部材
7 ベース
70 通孔
8 第1カード用コネクタ
80 第1スペース
9 第2カード用コネクタ
90 第2スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅が狭いカードまたは幅が広いカードと選択的に接続するカード用コネクタにおいて、
長手方向での基部と、前記カードの挿入方向の最前側の一隅に形成された連接部材と、前記連接部材と異なる平面に位置するガイド部材と、を含むインシュレータと、
前記インシュレータを覆うハウジングと、
前記幅が狭いカード及び幅が広いカードの内どちらか一方と嵌合離脱する際、前記幅が狭いカード及び幅が広いカードの内どちらか一方と当接して前記幅が狭いカード及び幅が広いカードの内どちらか一方と共に移動するイジェクト部材と、前記イジェクト機構を前記幅が狭いカード及び幅が広いカードの内どちらか一方の離脱方向へ操作する操作部材と、前記操作部材の操作を前記イジェクト部材に伝達して回転可能に保持される回転部材とを含むイジェクト機構と
を含み、
前記回転部材は回転中心を有し、前記回転中心は前記インシュレータの連接部材に配置されることを特徴とするカード用コネクタ。
【請求項2】
前記基部と連接部材とガイド部材とが、一体に成型されたことを特徴とする、請求項1に記載のカード用コネクタ。
【請求項3】
前記回転部材をレバー形状で構成し、
前記イジェクト部材は、前記回転部材の一端と係合する連動部と、前記カードが挿入された嵌合位置でカードの端部に当接するための当接部とを有することを特徴とする、請求項1に記載のカード用コネクタ。
【請求項4】
前記連動部材には取付溝が形成され、前記イジェクト部材の連動部が前記取付溝にスライド可能に収容されることを特徴とする、請求項3に記載のカード用コネクタ。
【請求項5】
前記回転部材の回転中心は、連接部材に形成された軸部と、前記軸部に回転可能に係合するために、前記回転部材の中部に形成された軸部とで形成されることを特徴とする、請求項1に記載のカード用コネクタ。
【請求項6】
前記ハウジングには、前記連接部材の軸部と前記回転部材の軸部に回転可能に係合される位置決め孔が形成されることを特徴とする、請求項5に記載のカード用コネクタ。
【請求項7】
第1カード及び第2カードと同時的に接続するカード用コネクタ組立体において、積み重なるように配置される第1カードコネクタと第2カード用コネクタとを含み、
前記第1カード用コネクタにおいて、
第1カードが挿入されるL字形状を呈する第1スペースと、
長手方向での基部と、前記第1カードの挿入方向の最前側の一隅に形成された連接部材と、前記連接部材と異なる平面に位置するガイド部材とを含み、前記第1スペースの奥側に配置されるインシュレータと、
前記インシュレータを覆うハウジングと、を含み、
前記第2カード用コネクタにおいて、第2カードが挿入される第2スペースを含み、
第1カードと第2カードをそれぞれイジェクトするために、第1カード用コネクタと第2カード用コネクタにそれぞれ配置される第1イジェクト機構及び第2イジェクト機構とを含み、
前記第1イジェクト機構及び第2イジェクト機構は、第1カード及び第2カードと嵌合離脱する際、第1カード及び第2カードとそれぞれ当接して前記第1カードと第2カードと共に移動するイジェクトバーと、前記イジェクト機構を第1カード及び第2カードの離脱方向へ操作する操作レバーと、前記操作部材の操作を前記イジェクト部材に伝達して回転可能に保持される回転レバーと、をそれぞれ含み、
前記第1イジェクト機構及び第2イジェクト機構の回転部材は回転中心をそれぞれ有し、前記各回転中心はインシュレータの連接部材にそれぞれ配置されることを特徴とするカード用コネクタ組立体。
【請求項8】
前記基部と連接部材とガイド部材とが、一体に成型されたことを特徴とする、請求項7に記載のカード用コネクタ組立体。
【請求項9】
前記各回転部材をレバー形状でそれぞれ構成し、
前記各イジェクト部材は、前記回転部材の一端と係合する連動部と、前記カードが挿入された嵌合位置でカードの端部に当接するための当接部とをそれぞれ有することを特徴とする、請求項7に記載のカード用コネクタ組立体。
【請求項10】
前記第1イジェクト機構及び第2イジェクト機構の回転中心は、前記連接部材の上下側壁にそれぞれ配置されることを特徴とする、請求項7に記載のカード用コネクタ組立体。
【請求項11】
前記第1スペースには、幅が狭いかまたは幅が広い第1カードが選択的に接続されることを特徴とする、請求項7に記載のカード用コネクタ組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−277296(P2008−277296A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113073(P2008−113073)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】