説明

カード用コネクタ

【課題】 振動・衝撃・落下等に基因するカードの排出を防止でき、しかも、カードの挿入排出操作が簡便で、また、機構が簡素で、更に、部品点数が少ないカード用コネクタを提供する。
【解決手段】 イジェクトスライダ4は、カードにより押されてコネクタ1に挿入され、かつ、カードをコネクタから排出する。一対のロック部材5は、それぞれロック部5Aと弾性変形可能なロック押し下げ部5Bを有し、各ロック部は、カード挿入排出口を開放する位置と閉鎖する位置との間で移動できる。カードがコネクタと接続する際、カードがイジェクトスライダを挿入するとき、イジェクトスライダの各ロック押し下げ片4Bが各ロック押し下げ部5Bから隔離することにより、各ロック押し下げ部は弾性変形する。したがって、各ロック部は、カード挿入排出口を開放する位置から閉鎖する位置に移動する。カードを排出する際、各ロック押し下げ片が各ロック押し下げ部を弾性変形させることにより、各ロック部はカード挿入排出口を閉鎖する位置から開放する位置に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタに関し、詳しく述べると、カードを排出するイジェクト機構及びカードの排出をロックするロック機構を有するカード用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
第1の従来の技術としてプッシュ−プッシュ式カード用コネクタについて図10〜図13を参照して説明する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図10は、コネクタの分解斜視図、図11は、コネクタにカードを挿入する前の状態を示す斜視図、図12(a)〜(e)は、コネクタに対するカードの挿入と排出の過程を順次示す斜視図、図13は、コネクタにおけるハートカムのカム溝にガイドされるカムフォロアのガイドピンの過程を示す斜視図である。
【0004】
コネクタ41は、インシュレータ42と、インシュレータ42に固定された複数のコンタクト43と、インシュレータ42のフレーム部42Aに装着されるイジェクトバー44と、イジェクトバー44を排出方向へ常時付勢する圧縮コイルばね45と、イジェクトバー44に形成されたハートカム44Cにガイドされるカムフォロア46とから構成される。カード51は、コネクタ41に挿入され、また、コネクタ41から排出される。
【0005】
個々の部品を詳細に説明すると、インシュレータ42は、合成樹脂から略長方形状に製造され、その3辺にコ字形のフレーム部42A,42B,42Cが形成される。各コンタクト43には、一端側に凸状湾曲接点部43Aが形成され、他端側に平坦接点部43Bが形成されている。イジェクトバー44は、合成樹脂から略L字形状に製造され、ガイド部44Aと直角折曲部44Bとを有し、ガイド部44Aの一面にはハートカム44Cが形成され、直角折曲部44Bのカード当接部44Dにはカード51の先端が当接する。イジェクトバー44のガイド部44Aは、フレーム部42Aに形成された断面U字状の溝(図示せず)内にスライド可能に収容され、ガイド部44Aの一面に形成された溝44E内に圧縮コイルばね45が挿入される。圧縮コイルばね45の一端は、イジェクトバー44に圧接し、他端は、フレーム部42Cの内面に圧接する。したがって、イジェクトバー44は、圧縮コイルばね45によってカード51をコネクタ41から排出する方向へ常時付勢されている。カムフォロア46は、金属製でレバー状に形成され、フレーム部42Aの外側に形成された切欠42D内に所定角度回動可能に配置される。カムフォロア46の基部に形成された穴46Aは、フレーム部42Aに形成された軸42Eにはまり、また、カムフォロア46の先端部に折曲形成されたガイドピン46Bは、フレーム部42Aに設けられた穴(図示せず)を貫通してハートカム44Cのカム溝に係合する。
【0006】
なお、コネクタ41の全体を長方形状のカバー(図示せず)によって覆う。
【0007】
イジェクトバー44のハートカム44Cの詳細について図13を参照して説明する。イジェクトバー44のガイド部44Aの一面には、ハートカム44Cが形成される。ハートカム44Cは、カムフォロア46のガイドピン46Bの出発点の円囲1と、イジェクトバー44のスライド方向に対して傾斜したガイド部分の円囲2と、ハート型の凹部の円囲3と、イジェクトバー44のスライド方向に対して平行なガイド部分の円囲4と、ガイドピン46Bの終着点の円囲5すなわち出発点の円囲1とから、循環状のガイドレール(カム溝)として構成される。ガイドピン46Bは、フリー状態では、カムフォロア46の弾力性によって図13における右方へ付勢されている。
【0008】
カード51のコネクタ41に対する挿入と排出(抜去)について図12と図13を参照して説明する。
【0009】
まず、図12(a)は、カード51の一部がコネクタ41内に挿入されたフリー状態であり、図13において、カムフォロア46のガイドピン46Bは、ハートカム44Cの出発点の円囲1に位置する。
【0010】
次に、図12(b)は、カード51をコネクタ41内方向へプッシュし、カード51の先端がイジェクトバー44のカード当接部44Dに当接することによって、カード51とイジェクトバー44とが一体となって、コネクタ41内へ圧縮コイルばね45の圧縮力に抵抗しながらスライドする途中の状態である。図13において、ガイドピン46Bは、ハートカム44Cにおけるイジェクトバー44のスライド方向に対して傾斜したガイド部分の円囲2に位置する。
【0011】
続いて、カード51を最大のストロークまでプッシュした後に、プッシュを中止すると、カード51とイジェクトバー44とは、圧縮コイルばね45の復元力によってわずかに戻されて図12(c)の状態に至る。図12(c)は、カード51の複数のパッド(図示せず)が複数のコンタクト43の各凸状湾曲接点部43Aに接触した嵌合状態であり、図13において、ガイドピン46Bは、ハートカム44Cのハート型の凹部の円囲3に没入して位置する。以上で、カード51の嵌合操作は完了する。
【0012】
再び、カード51を最大のストロークまでプッシュした後に、プッシュを中止すると、図13において、ガイドピン46Bは、ハートカム44Cのハート型の凹部の円囲3から脱出してイジェクトバー44のスライド方向に対して平行なガイド部分の円囲4を経て終着点の円囲5すなわち出発点の円囲1に至る。カード51とイジェクトバー44とは、圧縮コイルばね45の復元力によって図12(d)の状態を経て図12(e)の状態に至る。以上で、カード51の排出操作は、完了する。
【0013】
前記例では、ハートカム44Cをイジェクトバー44に形成し、カムフォロア46をインシュレータ42に設けたが、ハートカムをインシュレータに形成し、カムフォロアをイジェクトバーに設けるように設計変更することができる。
【0014】
第2の従来の技術としてハーフロック機構及びフルロック機構を有するカード用コネクタについて図14〜図19を参照して説明する(例えば、特許文献2参照。)。
【0015】
図14及び図15に示したカード用コネクタにおいて、ボディ61は、ヘッド部71とこのヘッド部71の左右の端部のそれぞれから後方へ延び出た一対のアーム部72,73を有しており、これらのヘッド部71と左右のアーム部72,73とによって囲まれた空間がカードセット空間74として形成されている。ヘッド部71には複数のコンタクト(図示せず)が左右方向に所定の間隔を隔てて並設されていると共に、そのヘッド部71の前側に、それぞれのコンタクトに連設された端子75…が突き出している。また、左右のアーム部72,73には前後方向に長いガイド溝76,77が備わっており、これらのガイド溝76,77にカードCの左右の側端部が案内されてカードCがカードセット空間74に挿入されたりカードセット空間74から引き抜かれたりする。そして、カードCがカードセット空間74に挿入された状態では、そのカードCに具備された外部電極(図示せず)に上記コンタクトが弾接して電気的導通が図られる。
【0016】
ボディ61において、片側のアーム部73には、そのアーム部73を斜めに横切る溝部78が形成されており、その溝部78の溝壁面が後述するスライダ64を案内するガイド面79として形成されている。このガイド面79は、前方Aにいくほどカードセット空間74の中心線L−Lに近づくように傾斜している。
【0017】
ボディ61の左右一対のアーム部72,73に跨がって金属製のカバー体でなる可動体63が設けられている。この可動体63は、上板部91やこの上板部91の左右両端部に設けられた側板部92,92などを備えており、ボディ61に前後方向Xに摺動可能(前進後退可能)に保持されている。図14、図15及び図17を併せ見ることによって判るように、可動体63の上板部91の左右両側に、上記カードセット空間94に内向きに突き出る切起し片が形成されており、この切起し片が係合部93,93となされている。また、図14、図15及び図18を併せ見ることによって判るように、上記上板部91の左右方向中央部に外向きに突き出る切起し片が形成され、この切起し片が後述するロック部材連携用の連結部94となされている。さらに、上板部91の左右方向に長い長孔でなる係合孔部95が形成されている。この係合孔部95はガイド部の一例である。
【0018】
図14〜図16において、スライダ64は、上記したボディ61の溝部78に嵌合されてそのガイド面79に沿って内外方向に案内されるものであり、その内端側に掛止部101が備わっている。また、スライダ64には上向きに突き出た突起102が設けられている。この突起102は、被ガイド部の一例であって、スライダ4と共に合成樹脂で一体成形されたものであっても、図16に示したような鍔103を有するピン104をスライダ64に突設させることによって形成してもよい。
【0019】
図14及び図15のように、上記溝部78に嵌合されたスライダ64の突起102が上記可動体63の係合孔部95に係合されている。そして、可動体63が矢符Aのように前進されたときには、係合孔部95に係合している突起102が可動体63によって前方Aへ引張られるのでスライダ64がガイド面79に沿って図15の矢符Eのように内方へ移動し、可動体63が前進位置に達した状態では、そのスライダ64の掛止部101がアーム部73の内方へ突き出てカードセット空間74に突出するようになっている。その一方で、可動体63がその前進位置から後退されたときには、係合孔部95に係合している突起102が可動体63によって後方Bへ引張られるので、スライダ64がガイド面79に沿って外方へ移動して、スライダ64の掛止部101がカードセット空間74から後退する。
【0020】
図14及び図15のように、カードCの側部に凹入部Hが設けられている。この凹入部Hの形状は、図19のようなカードCの厚さ方向全体を凹入状に窪ませた形状であってもよい。
【0021】
以上説明したカード用コネクタにおいて、カードセット空間74にカードCが挿入されていない初期状態では、図14のように、可動体63が後退位置に位置してスライダ64の掛止部101はカードセット空間74の外側へ後退している。
【0022】
この初期状態からカードCの左右の端部がガイド溝76,77に差し込んでカードセット空間74側へ挿入していくと、そのガイド溝76,77によってカードCが案内される。こうしてカードセット空間74にカードCを挿入していくと、その挿入途中でカードCの前端Fが図14のように係合部93に係合し、可動体63がそのカードCにより前方Aへ押されて前進する。こうして可動体63が前進すると、可動体63の係合孔部95に係合している突起102と共にスライダ64が前方へ引張られるので、ガイド面79に沿ってスライダ64が内方へ移動する。そして、可動体63が前進位置に達するとき、すなわちカードCがカードセット空間74に達するときには、スライダ64に設けられている掛止部101がカードセット空間74に突出してそのカードCの凹入部Hに嵌入する。これによって、カードCがその位置でロックされる。このときのカードCのロック状態は、ハーフロックである。このハーフロック状態では、カードセット空間74に挿入されているカードCが後退方向(後方B)に引張られた場合、そのときの引抜力が小さいときには、掛止部101がカードCの凹入部Hに嵌入したままになってカードCを抜け止めしているが、引抜力がある程度に大きいときには、その引抜力がカードの凹入部Hと掛止部101との係合箇所を介してスライダ64に伝わり、そのスライダ64がガイド面79に沿って外方へ移動し、スライダ64の掛止部101がカードCの凹入部Hから抜け出てカードセット空間74から後退し、掛止部101によるカードCの抜止め状態が解除される。したがって、カードCが引き抜かれて排出される。また、可動体63は、スライダ64の外方への移動に伴って後退される。
【0023】
上記したカード用コネクタは、それ単独ではハーフロック機能を有しているに過ぎないけれども、可動体63の上板部91に連結部94を外側に向けて切起し形成しているので、その連結部94を利用することによってフルロック機能を付与することが容易に可能になる。
【0024】
【特許文献1】特開2001−267013号公報(第2頁第2欄第34行〜第3頁第4欄第26行、図1〜4)
【特許文献2】特開平11−149956号公報(第4頁第6欄第12行〜第5頁第8欄第44行、図1〜6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
第1の従来の技術のカード用コネクタにおいては、カード51を排出する際、圧縮コイルばね45がイジェクトバー44を押すと、カード51がイジェクトバー44から勢いよく飛び出す支障が生じることがある。
【0026】
第2の従来の技術のカード用コネクタにおいては、ハーフロック状態では、カードを引抜く力が大きい場合、カードは排出される。フルロック状態では、カードを引抜く力が大きくても、カードは排出されない。しかし、コネクタをフルロック状態にセットする操作が煩雑であり、また、機構が複雑で、更に、部品点数が増加する。
【0027】
そこで、本発明は、前記両従来の技術の欠点を改良し、振動・衝撃・落下等に基因するカードの排出を防止することができ、しかも、カードの挿入排出操作が簡便で、また、機構が簡素で、更に、部品点数が少ないカード用コネクタを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、前記課題を解決するため、次の手段を採用する。
【0029】
1.カードを排出するイジェクト機構(4,2B,6)と、前記カードの排出をロックするロック機構(5,5A,5B)と、前記カードが挿入排出されるカード挿入排出口とを備えるカード用コネクタにおいて、前記イジェクト機構は、前記カードにより挿入され、かつ、前記カードを排出するイジェクトスライダを有し、前記イジェクトスライダは、操作部(4B)を有し、前記ロック機構は、ロック部と、弾性変形可能な被操作部(5B)とを有し、前記ロック部は、前記カード挿入排出口を開放する位置と閉鎖する位置との間で移動可能に構成され、前記カードと接続する際、前記カードが前記イジェクトスライダを挿入するとき、前記操作部が前記被操作部から隔離することにより、前記被操作部は弾性変形して、前記ロック部は前記カード挿入排出口を開放する位置から閉鎖する位置に移動し、前記イジェクト機構を操作して前記カードを排出する際、前記操作部が前記被操作部を操作することにより、前記被操作部は弾性変形して、前記ロック部は前記カード挿入排出口を閉鎖する位置から開放する位置に移動するように構成されるカード用コネクタ。
【0030】
2.前記イジェクト機構は、ハートカム部と、カムフォロアとを更に有し、前記イジェクトスライダは、前記カムフォロアを前記ハートカム部に向けて常時押圧する補助ばねを有する前記1記載のカード用コネクタ。
【発明の効果】
【0031】
明細書の説明から明らかなように、本発明は、次の効果を奏する。
【0032】
1.カードがコネクタに挿入された状態では、ロック部はカード挿入排出口を閉鎖する位置にあるので、振動・衝撃・落下等に基因するカードの排出を防止することができる。
【0033】
2.カードの挿入排出をイジェクト機構の操作のみによって行うことができるので、操作が簡便である。
【0034】
3.イジェクト機構が有するイジェクトスライダの操作部と、ロック機構が有するロック部及び被操作部とによって、カード挿入排出口が開放閉鎖されるので、機構が簡素で、部品点数が少なく、組立分解が容易で、更に、コストが安価である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の一実施例のカード用コネクタについて説明する。
【実施例1】
【0036】
本発明の実施例1について図1〜図9を参照して説明する。なお、実施例1についての説明は、第1の従来の技術と同様な点の説明を省略し、相違する点の説明のみを行う。
【0037】
図1はカード用コネクタ1の斜視図であり、コネクタ1のインシュレータ2上に保持される諸部材(後述する。)は、カバーフレーム11によって被覆される。コネクタ1の正面には、カード挿入排出口10が設けられる。
【0038】
図1に示されるコネクタ1からカバーフレーム11を除去すると、図2に示される斜視図の状態に至る。枠型のインシュレータ2の正面側には、多数のコンタクト3が1列に配設される。インシュレータ2内には、イジェクトスライダ4がインシュレータ2の正面部と奥部との間をスライド可能に各コンタクト3の上方に保持される。インシュレータ2の奥部には、イジェクトスライダ受け面2Aが形成され、これにイジェクトスライダ4の先端部が当接する。また、イジェクトスライダ4の先端部から下方にカード受け面4Aが起立するように形成される。
【0039】
インシュレータ2の正面の左右両側には、それぞれロック部材5が設けられ、各ロック部材5にロック部5Aと弾性変形可能なロック押し下げ部5Bが形成される。イジェクトスライダ4の正面の左右両側には、それぞれロック押し下げ片4Bが形成され、各ロック押し下げ片4Bはそれぞれ各ロック押し下げ部5Bを押し下げる。
【0040】
インシュレータ2の右側には、ハートカム部2Bが形成される。イジェクトスライダ4にカムフォロア6の一端(図示せず)が固定される。カムフォロア6の他端6Aは、イジェクトスライダ4に固定される補助板ばね7により押圧されて常にハートカム部2Bの溝2B1(図3参照)に係合する。
【0041】
ハートカム部2Bの構造の斜視図を図3に示す。ハートカム部2Bには、位置Aから出発して位置B,C,D,E,F,G,Hを経て位置Aに戻るハート状の溝2B1が形成され、溝2B1内に傾斜面と段差が設けられる。
【0042】
カード21をコネクタ1に挿入する前の状態を図4に示す。(a)は正面側から見た斜視図、(b)は側面側から見た斜視図、(c)はコネクタ1の右側の平面図を、それぞれ示す。
【0043】
この状態では、イジェクトスライダ4の各ロック押し下げ片4Bが各ロック部材5のロック押し下げ部5Bを下方に押して弾性変形させているので、各ロック部5Aも下方に移動している。したがって、コネクタ1のカード挿入排出口10は、開放している。
【0044】
カード21が手指によってコネクタ1に挿入される状態1の諸図を図5に示す。カード21の先端は、イジェクトスライダ4のカード受け面4Aに当接する。カムフォロア6の他端6Aは、ハートカム部2Bの溝2B1内の位置Aにある。カムフォロア6の他端6Aは、どの位置に移動しても、常に溝2B1を押圧する。
【0045】
図6は、カード21とイジェクトスライダ4がコネクタ1の最奥部まで挿入されて、イジェクトスライダ4の先端部がインシュレータ2のイジェクトスライダ受け面2Aに当接した状態2の諸図を示す。
【0046】
このとき、イジェクトスライダ4の各ロック押し下げ片4Bが各ロック部材5のロック押し下げ部5Bから隔離するので、各ロック部5Aは上方に移動してカード挿入排出口10を閉鎖し、コネクタ1はカードロック状態となる。カムフォロア6の他端6Aは、位置Aから傾斜面を登り、位置Bに到達し、更に、位置Cに押圧により落ち込む。
【0047】
図7は、カード21がコネクタ1と嵌合した状態3の諸図を示す。
【0048】
カード21から手指を離すと、イジェクトスライダ4は、圧縮コイルばね(図示せず)の復元力によってカード21の排出方向にカード21とともに若干移動する。このとき、カムフォロア6の他端6Aは、位置Cから傾斜面を登り、位置Dに到達し、更に、位置Eに落ち込む。カムフォロア6の一端はイジェクトスライダ4に固定されているため、圧縮コイルばねの復元力によって、カード21の排出方向に若干移動したイジェクトスライダ4はカード21とともに制止される。各ロック部5Aは、カードロック状態のままである。この状態で、コネクタ1の各コンタクト3とカード21の各接点(図示せず)とは、接触する。
【0049】
図8は、イジェクトスライダ4が制止されている状態から、再度カード21を手指によって押した状態4の諸図を示す。
【0050】
イジェクトスライダ4の先端部がイジェクトスライダ受け面2Aに当接すると、カムフォロア6の他端6Aは、位置Eから傾斜面を登り、位置Fに到達し、更に、位置Gに落ち込む。カムフォロア6の他端6Aは、位置G以後は溝2B1内に引っ掛る箇所がないため、傾斜面を登り、図9の状態を経て位置Hに到達し、更に、位置Aに落ち込む。このとき、コネクタ1は状態1に戻る。カード21が状態1に戻る過程で、イジェクトスライダ4の各ロック押し下げ片4Bは、それぞれ各ロック部材5のロック押し下げ部5Bを下方に弾性変形させる。したがって、各ロック部5Aも下方に移動するため、カード21はコネクタ1から取り出すことができる状態に至る。
【0051】
本発明における「イジェクト機構」とは、イジェクトスライダ4とハートカム部2Bとカムフォロア6を指す。「ロック機構」とは、ロック部5Aとロック押し下げ部5Bを有するロック部材5を指す。「操作部」とは、イジェクトスライダ4のロック押し下げ片4Bを指す。「被操作部」とは、ロック部材5のロック押し下げ部5Bを指す。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施例1のカード用コネクタの斜視図である。
【図2】カバーフレームが除去された状態の同コネクタの斜視図である。
【図3】同コネクタのインシュレータに形成されたハートカム部の斜視図である。
【図4】カードを同コネクタに挿入する前の状態の諸図であり、(a)は正面側から見た斜視図、(b)は側面側から見た斜視図、(c)は同コネクタの右側の平面図を、それぞれ示す。
【図5】同カードが同コネクタに挿入される状態1の諸図であり、(a)は正面側から見た斜視図、(b)は側面側から見た斜視図、(c)は同コネクタと同カードの右側の平面図を、それぞれ示す。
【図6】同カードが同コネクタの最奥部まで挿入された状態2の諸図であり、(a)は正面側から見た斜視図、(b)は側面側から見た斜視図、(c)は同コネクタと同カードの右側の平面図を、それぞれ示す。
【図7】同カードが同コネクタに嵌合した状態3の諸図であり、(a)は正面側から見た斜視図、(b)は側面側から見た斜視図、(c)は同コネクタと同カードの右側の平面図を、それぞれ示す。
【図8】同カードを同コネクタから排出するために同カードが同コネクタの最奥部まで挿入された状態4の諸図であり、(a)は正面側から見た斜視図、(b)は側面側から見た斜視図、(c)は同コネクタと同カードの右側の平面図を、それぞれ示す。
【図9】同カードが同コネクタから排出を完了する直前の状態の諸図であり、(a)は正面側から見た斜視図、(b)は側面側から見た斜視図、(c)は同コネクタと同カードの右側の平面図を、それぞれ示す。
【図10】第1の従来の技術のプッシュ−プッシュ式カード用コネクタの分解斜視図である。
【図11】同コネクタにカードを挿入する前の状態を示す斜視図である。
【図12】(a)〜(e)は、同コネクタに対する同カードの挿入と排出の過程を順次示す斜視図である。
【図13】同コネクタにおけるハートカムのカム溝にガイドされるカムフォロアのガイドピンの過程を示す斜視図である。
【図14】第2の従来の技術のカード用コネクタにカードが挿入される途中の状態の平面図である。
【図15】同コネクタにおいて同カードがハーフロックされた状態の平面図である。
【図16】同コネクタの要部の分解斜視図である。
【図17】図14における線A−Aによる拡大断面図である。
【図18】図14における線B−Bによる拡大断面図である。
【図19】同カードの凹入部の形状を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 カード用コネクタ、コネクタ
2 インシュレータ
2A イジェクトスライダ受け面
2B ハートカム部
2B1 溝
3 コンタクト
4 イジェクトスライダ
4A カード受け面
4B ロック押し下げ片(操作部)
5 ロック部材
5A ロック部
5B ロック押し下げ部(被操作部)
6 カムフォロア
6A 他端
7 補助板ばね
10 カード挿入排出口
11 カバーフレーム
21 カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを排出するイジェクト機構と、前記カードの排出をロックするロック機構と、前記カードが挿入排出されるカード挿入排出口とを備えるカード用コネクタにおいて、
前記イジェクト機構は、前記カードにより挿入され、かつ、前記カードを排出するイジェクトスライダを有し、
前記イジェクトスライダは、操作部を有し、
前記ロック機構は、ロック部と、弾性変形可能な被操作部とを有し、
前記ロック部は、前記カード挿入排出口を開放する位置と閉鎖する位置との間で移動可能に構成され、
前記カードと接続する際、前記カードが前記イジェクトスライダを挿入するとき、前記操作部が前記被操作部から隔離することにより、前記被操作部は弾性変形して、前記ロック部は前記カード挿入排出口を開放する位置から閉鎖する位置に移動し、
前記イジェクト機構を操作して前記カードを排出する際、前記操作部が前記被操作部を操作することにより、前記被操作部は弾性変形して、前記ロック部は前記カード挿入排出口を閉鎖する位置から開放する位置に移動するように構成されることを特徴とするカード用コネクタ。
【請求項2】
前記イジェクト機構は、ハートカム部と、カムフォロアとを更に有し、前記イジェクトスライダは、前記カムフォロアを前記ハートカム部に向けて常時押圧する補助ばねを有することを特徴とする請求項1記載のカード用コネクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−19030(P2006−19030A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192627(P2004−192627)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】