説明

カーボンナノチューブの作製方法

【課題】開口径が1μm以下のビアホールに対しても適正にカーボンナノチューブを成長させることができるカーボンナノチューブの作製方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るカーボンナノチューブの作製方法は、筒状のアノード電極21と、アノード電極内に配置された蒸着材料22Aを有するカソード電極22と、カソード電極から離間してアノード電極内に配置されたトリガ電極23とを備えた同軸型真空アーク蒸着源13が用いられ、蒸着材料22Aとしてカーボンナノチューブの触媒層を構成する金属材料を用い、この金属材料の微粒子を基板の表面に蒸着させる第1の工程と、蒸着材料として炭素系材料を用い、この炭素系材料の微粒子を上記触媒層の上に蒸着させてカーボンナノチューブを成長させる第2の工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸型真空アーク蒸着源を用いたカーボンナノチューブの作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの配線材料としてカーボンナノチューブが注目されている(特許文献1参照)。カーボンナノチューブは、グラファイトのシートを丸めたような筒状の構造をもつ物質で、直径が数nmから数十nm、長さが数μmから数mmといった高いアスペクト比を有し、高導電性、高熱伝導性、機械的な強靭性など特徴的な物性をもつ。カーボンナノチューブの作製方法としては、例えば、熱CVD法が知られている。熱CVD法を用いたカーボンナノチューブの作製においては、基板が設置されている反応管の内部に、メタンやアセチレン等の原料ガスを導入し、加熱された基板上で原料ガスを分解して、配向制御したカーボンナノチューブを成長させる。
【0003】
ところで、半導体基板のビアホールにカーボンナノチューブを成長させるためには、ビアホールの底部にカーボンナノチューブの触媒となる金属ナノ粒子を蒸着させる必要がある。現在の65nmノードのビアホールは、大きさが約100nm以下、深さが100〜300nm程度である。このような開口が非常に狭い領域にナノ粒子を蒸着させるためには、ロングスロースパッタ法にて数nmの薄膜を形成後アニールしたり、粒径の揃ったナノ粒子を形成しておいて、これをビアホールの底部に吹き付けたりする手段がある。その後、その触媒粒子を蒸着した基板をCVDプロセス室に設置し、カーボン系ガスを導入することで、ビアホールにカーボンナノチューブを成長させるようにしている。
【0004】
なお、特許文献2には、同軸型真空アーク蒸着源を用いて、触媒金属の微粒子を基体上に蒸着させた後、プラズマCVD法によってカーボンナノチューブを成長させる技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−22886号公報
【特許文献2】特開2007−70158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のスパッタ法やナノ粒子をビアホールに吹き付ける方法には、以下の問題がある。スパッタでは、ビアの底部に膜を付けた後、アニールによって膜を凝集させてナノ粒子を形成するため、凝集の度合いでナノ粒子の大きさにバラツキが生じてしまう。また、ビアの側壁にもナノ粒子が蒸着される可能性があり、この場合、側壁からもカーボンナノチューブが成長してしまうという問題がある。一方、事前に形成しておいたナノ粒子をビアホールの底部に付着させる方法では、ビア径が1μm以下になると、ビアの底部にナノ粒子を均一に付着させることが困難になる。
【0007】
また、従来のカーボンナノチューブの作製方法においては、上述のようにCVDプロセスでカーボンナノチューブを成長させるようにしている。しかしながら、ビア径が1μm以下になると、カーボン系のプロセスガスがビアホール内に入りづらくなり、所望とする形成密度のカーボンナノチューブを作製することが困難になるという問題を有している。
【0008】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、開口径が1μm以下のビアホールに対しても適正にカーボンナノチューブを成長させることができるカーボンナノチューブの作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するに当たり、本発明のカーボンナノチューブの作製方法は、筒状のアノード電極と、アノード電極内に配置された蒸着材料を有するカソード電極と、カソード電極から離間してアノード電極内に配置されたトリガ電極とを備えた同軸型真空アーク蒸着源を用いて、真空槽内に設置された基板の表面にカーボンナノチューブを作製する方法であって、蒸着材料としてカーボンナノチューブの触媒層を構成する金属材料を用い、この金属材料の微粒子を基板の表面に蒸着させる第1の工程と、蒸着材料として炭素系材料を用い、この炭素系材料の微粒子を上記触媒層の上に蒸着させてカーボンナノチューブを成長させる第2の工程とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明のカーボンナノチューブの作製方法においては、触媒層の形成工程とカーボンナノチューブの成長工程に、同軸型真空アーク蒸着源を用いている。同軸型真空アーク蒸着源によれば、一様なナノサイズの微粒子層を精度よく形成することができる。これにより、例えば1μm以下の開口径を有するビアホールの底部に対して、触媒層の微粒子を高精度に蒸着させることができるとともに、カーボン系の微粒子をビアホール内に効率よく供給して所定の密度でカーボンナノチューブを適正に成長させることができる。
【0011】
同軸型真空アーク蒸着源は、筒状のアノード電極と、このアノード電極内に配置された蒸着材料を有するカソード電極と、このカソード電極から離間してアノード電極内に配置されたトリガ電極とを備える。そして、トリガ電極とカソード電極の間にトリガ放電を発生させて、カソード電極の蒸着材料とアノード電極の間にアーク放電を誘起させ、蒸着材料の微粒子を基板の表面へ蒸着させる。本発明において、触媒層の形成とカーボンナノチューブの成長に際しては、同一の真空アーク蒸着源を、蒸着材料を組み替えて用いてもよいし、触媒金属からなる蒸着材料およびカーボン系材料の蒸着材料がそれぞれ組み込まれた複数の真空アーク蒸着源を用意し、これらの蒸着源を切り替えて各工程を実施するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上述べたように、本発明のカーボンナノチューブの作製方法によれば、開口径が例えば1μm以下のビアホールに対してカーボンナノチューブを精度よく形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は本発明の実施形態において用いられる微粒子蒸着装置1の概略構成図である。この微粒子蒸着装置1は、真空槽10と、この真空槽10内に設置された同軸型真空アーク蒸着源(以下「真空アーク蒸着源」という。)13とを有している。
【0015】
真空槽10には真空排気系30が接続されており、内部が例えば1.0×10-5Pa以下の真空雰囲気に排気、維持可能とされている。真空排気系30は、可変バルブ31、ターボ分子ポンプ32、バルブ33およびロータリーポンプ34で構成されている。なお、真空槽10は、接地電位に接続されている。
【0016】
真空槽10の一側壁部(図において左側壁部)には、単一の同軸型真空アーク蒸着源13が設置されている。この真空アーク蒸着源13は、筒状のアノード電極21と、アノード電極21内に配置された蒸着材料を有するカソード電極22と、カソード電極22から離間してアノード電極21内に配置されたトリガ電極23とを備えている。
【0017】
アノード電極21は、一端が開口する有底のステンレス鋼製円筒からなり、真空槽10の側壁に対して、開口部21aを真空槽10内に向けて気密に貫通している。カソード電極22は、アノード電極21の内部の軸心位置に設置されている。カソード電極22は柱状であり、その一端に蒸着材料22Aが一体的に形成されている。あるいは、カソード電極22は蒸着材料そのものによって構成されている。
【0018】
蒸着材料22Aは、真空槽10の内部に設置された基板Wの表面に形成すべき微粒子膜(あるいは微粒子層)の構成材料で形成されている。具体的に、本実施形態では、蒸着材料22Aとして、カーボンナノチューブの触媒層を構成する金属材料からなる蒸着材料と、カーボンナノチューブを形成するための炭素(カーボン)系材料からなる蒸着材料の2種類が用意されており、これらを交互に組み替えて使用される。触媒層を構成する金属材料には、例えば鉄、コバルト、ニッケルなどの単一元素金属あるいはその合金が用いられる。また、炭素系材料には、例えばグラファイトが用いられる。
【0019】
トリガ電極23は、カソード電極22の外周側に碍子24A,24Bを介して取り付けられている。トリガ電極23は円筒形状であり、例えば、ステンレス鋼で構成されている。碍子24A,24Bは、アルミナ等の硬質絶縁材料で構成されている。
【0020】
真空槽10の外部には、アーク電源25が設置されている。アーク電源25は、直流電圧源26と、コンデンサユニット27とを有している。直流電圧源26の正極および負極は、アノード電極21およびカソード電極22にそれぞれ接続されている。直流電圧源26の電圧は、例えば100Vに設定されている。コンデンサユニット27は、直流電圧源26に対して並列に、アノード電極21とカソード電極22の間に接続されている。コンデンサユニット27は複数のコンデンサを並列に接続してなるもので、その総容量は、例えば8800μFに設定されている。コンデンサユニット27は、一定の充電時間で直流電圧源26によって充電されるように構成されている。例えば、充電時間が1秒の場合、1Hzの周期でコンデンサユニット27の充放電が繰り返されることになる。
【0021】
また、真空槽10の外部には、トリガ電源28が設置されている。トリガ電源28は、パルストランスからなり、入力200V、マイクロ秒のパルス電圧を約17倍に昇圧して3.4kV(数μA)に出力するように構成されている。そして、昇圧された電圧を、カソード電極22に対して正の極性でトリガ電源21に印加するように接続されている。
【0022】
真空槽10の内部には、基板Wを支持するステージ17が設置されている。ステージ17の基板Wを支持する面は、真空槽10の上部に対向するように水平に形成されている。そして、真空アーク蒸着源13の微粒子出射口(アノード電極21の開口部21a)とステージ17の間には、永久磁石からなる一対のマグネットプレート15が図1において紙面奥側と手前側にそれぞれ配置されている。これらのマグネットプレート15は、図では概略的に示しているが、真空アーク蒸着源13から出射した蒸着材料の微粒子のうち、ナノサイズの荷電微粒子をステージ17上の基板Wに向けて90度偏向させるような磁場を形成する。これにより、所定サイズ以下の荷電微粒子が基板Wの表面に向けて垂直方向に入射される。
【0023】
基板Wには、シリコンウエハ等の半導体基板やガラス基板が用いられる。特に本実施形態では、図2Aに示すように、表面にレジストマスク3を介してビアホール4が形成されたビア付き基板が用いられている。ビアホール4の開口径は、1μm以下で形成されており、レジストマスク3で覆われる基板表面部には、銅(Cu)などからなる所定の配線パターンが形成されている。
【0024】
ステージ17は接地電位に接続されているとともに、基板Wを所定温度に加熱するための加熱手段を備えている。また、ステージ17には、マグネットプレート15によって偏向されない粒子を捕集するための捕集板Sが設けられている。この捕集板Sは、真空アーク蒸着源13の出射口に対向するように、ステージ17に対し、支持部材18を介して設置されている。
【0025】
次に、以上のように構成される微粒子蒸着装置1を用いたカーボンナノチューブの作製方法について説明する。図2は、基板Wに形成されたビアホール4の底部に対するカーボンナノチューブ7の作製方法を説明する要部の工程断面図である。
【0026】
(触媒層形成工程)
まず、基板Wの表面に形成されたビアホール4の底部に、カーボンナノチューブの触媒層を構成する金属材料のナノ粒子を蒸着させる工程が行われる。この工程では、真空アーク蒸着源13の蒸着材料22Aとして、上記触媒層を構成する金属材料(本例ではコバルト)が用いられる。そして、ステージ17の上に基板Wが設置されるとともに、真空槽10の内部が所定の真空度に排気される。
【0027】
次に図1を参照して、カソード電極22とトリガ電極23との間にトリガ電源28の電源電圧を印加し、碍子24Aの表面を介して沿面放電(トリガ放電)を発生させる。トリガ放電が発生すると、アノード電極21と蒸着材料22Aの間の絶縁耐圧が低下して、アノード電極21と蒸着材料22Aとの間にアーク放電が誘起される。アーク放電が誘起されると、コンデンサユニット27が放電されて、カソード電極22(蒸着材料22A)とアノード電極21との間にアーク電流が流れる。このアーク電流によって蒸着材料22Aの表面は加熱され、溶融し、蒸発して、金属コバルトのプラズマが形成される。
【0028】
アーク放電の形成により、円筒状のアノード電極21の内部には軸方向に沿って電磁力が発生する。この電磁力を受けて、蒸着材料22Aから放出された正イオンは、アノード電極21の開口部21aから捕集板Sに向けて出射する。そして、その飛行途中において一対のマグネットプレート15の間に形成される磁界を横切ることにより、当該イオンの電荷質量比(電荷/質量)に応じて飛行方向が基板Wに向けて90度偏向されるものと、偏向されずに捕集板Sに向かって直進するものに分けられる。これにより、真空アーク蒸着源13から出射されたコバルト微粒子は、所定のナノサイズの荷電粒子と、これよりも大きな粒子径の荷電粒子あるいは中性粒子とに選別され、前者は基板Wへ入射し、後者は捕集板Sへ入射する。
【0029】
以上のようにして、所定のナノサイズのコバルト微粒子6が、図2Aに示すように基板W上に形成されたビアホール4の底部およびレジストマスク3の上に蒸着される。特に、コバルト微粒子6が基板Wの表面に対して垂直に入射するように、マグネットプレート15の構成および当該マグネットプレート15とステージ17の間の相対位置を調整することによって、ビアホール4の側壁へのコバルト粒子の付着が抑えられる。これにより、後述のカーボンナノチューブ成長工程において、カーボンナノチューブの形成径のバラツキを抑えることができる。また、ビアホール4の側壁からのカーボンナノチューブの成長を回避でき、ビアホール4内において配向性に優れたカーボンナノチューブを高精度に作製することが可能となる。
【0030】
なお、コバルト微粒子は、真空アーク蒸着源を20パルス程度放電させることで、2〜3nmの厚さの微粒子層を形成することができる。ビアホールの底部にコバルト微粒子層が形成されたサンプルの断面SEM写真を図3に示す。
【0031】
(レジストマスク除去工程)
次に、真空槽10から基板Wを取り出して、基板Wの表面からレジストマスク3を除去する工程が行われる。これにより、レジストマスク3の表面に堆積したコバルト微粒子6も同時に除去される(リフトオフ)。その結果、ビアホール4の底部に選択的にコバルト微粒子6の層が形成された基板Wを得ることができる。
【0032】
なお、レジストマスク3の除去方法としては、酸素プラズマによるアッシング処理や薬液を用いた溶解除去が適用可能である。
【0033】
(カーボンナノチューブ成長工程)
続いて、レジストマスク3を除去した基板Wを再び真空槽10の内部に設置して、ビアホール4の底部にカーボンナノチューブを成長させる工程が行われる。この工程では、真空アーク蒸着源13の蒸着材料22Aとして、炭素系材料(本例ではグラファイト)が用いられる。この例においても、真空槽10の内部は所定の真空度に排気される。基板Wは、ステージ17上において300℃以上(例えば350℃)に加熱される。
【0034】
そして、上述と同様な作用で、真空アーク蒸着源13にアーク電流を発生させ、グラファイト微粒子を形成し、マグネットプレート15による偏向作用を受けた所定のナノサイズの粒子径のグラファイト微粒子を基板Wへ入射させる。これにより、ビアホール4の内部に効率よくグラファイト微粒子が供給され、コバルト粒子(触媒金属ナノ粒子)上に蒸着し、ビアホール4の底部にカーボンナノチューブ7が成長する(図2B)。最終的に、ビアホール4の内部がカーボンナノチューブ7で充填される(図2C)。
【0035】
なお、カーボンナノチューブの層は、真空アーク蒸着源を100パルス程度放電させることで形成することができる。ビアホールの内部にカーボンナノチューブを成長させたサンプルの断面SEM写真を図4に示す。
【0036】
本実施形態によれば、触媒金属ナノ粒子6からなる層の形成工程とカーボンナノチューブ7の成長工程とを上述した構成の微粒子蒸着装置1を用いて実施するようにしているので、所望の数のナノサイズの触媒金属ナノ粒子6および炭素系材料のナノ微粒子を精度よく形成することができるとともに、当該ナノ微粒子をビアホール4の底部に効率良く導くことができる。これにより、開口径が1μm以下のビアホールに対してカーボンナノチューブを高密度かつ高精度に形成することができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、真空アーク蒸着源13から出射した蒸着材料22Aの微粒子を、マグネットプレート15による磁場中偏向による粒子サイズの選別を行った後、基板Wへ入射させるようにしているので、所望のナノサイズからなる微粒子を基板W上の微細なビアホールの内部へ効率良く導くことができる。
【0038】
更に、本実施形態によれば、カーボンナノチューブの成長工程を、基板Wを300℃以上の所定温度に加熱しながら行うようにしているので、カーボンナノチューブの成長を促進し、工程の効率化を図ることができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0040】
例えば以上の実施形態では、同一の真空アーク蒸着源13を用いて触媒金属層の形成とカーボンナノチューブの成長を行うようにしたが、これに代えて、触媒金属からなる蒸着材料と炭素系材料かなる蒸着材料をそれぞれ具備した真空アーク蒸着源を個々に用意し、工程ごとに当該蒸着源を使い分けて触媒金属層の形成とカーボンナノチューブの成長を行うようにしてもよい。
【0041】
また、以上の実施形態では、真空アーク蒸着源13から出射した蒸着材料22Aの微粒子を基板Wへ偏向させるのに一対のマグネットプレート15を用いたが、これに限らず、所望の粒子サイズを基板上へ偏向入射できる構成である限り、磁場偏向手段の構成は上記の例に限定されない。また、真空アーク蒸着源において所定範囲の粒子サイズを形成できる限りにおいて、上記磁場偏向手段の設置は必要に応じて省略してもよい。
【0042】
更に、以上の実施形態では、基板の表面に形成されたビアホール内へのカーボンナノチューブの選択成長方法について説明したが、これに限られず、基板上の平坦な表面にカーボンナノチューブを作製する場合にも本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態において用いられる微粒子蒸着装置の概略構成図である。
【図2】基板上のビアホール内部へのカーボンナノチューブの作製方法を説明する基板要部の工程断面図である。
【図3】ビアホール底部にコバルト微粒子層を形成したサンプルの一例を示すSEM写真である。
【図4】ビアホールにカーボンナノチューブを成長させたサンプルの一例を示すSEM写真である。
【符号の説明】
【0044】
1 微粒子蒸着装置
3 レジストマスク
4 ビアホール
6 触媒金属ナノ粒子(コバルト微粒子)
7 カーボンナノチューブ
10 真空槽
13 同軸型真空アーク蒸着源
15 マグネットプレート
17 ステージ
21 アノード電極
22 カソード電極
22A 蒸着材料
23 トリガ電極
25 アーク電源
26 直流電圧源
27 コンデンサユニット
28 トリガ電源
30 真空排気系
W 基板
S 捕集板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のアノード電極と、前記アノード電極内に配置された蒸着材料を有するカソード電極と、前記カソード電極から離間して前記アノード電極内に配置されたトリガ電極とを備えた同軸型真空アーク蒸着源を用いて、真空槽内に設置された基板の表面にカーボンナノチューブを作製する方法であって、
前記蒸着材料としてカーボンナノチューブの触媒層を構成する金属材料を用い、前記金属材料の微粒子を前記基板の表面に蒸着させる第1の工程と、
前記蒸着材料として炭素系材料を用い、前記炭素系材料の微粒子を前記触媒層の上に蒸着させてカーボンナノチューブを成長させる第2の工程とを有する
ことを特徴とするカーボンナノチューブの作製方法。
【請求項2】
前記基板の表面には、前記カーボンナノチューブを成長させるためのビアが形成されており、前記第1の工程で前記ビアの底部に前記金属材料の微粒子を蒸着させ、前記第2の工程で前記ビア内に前記炭素系材料の微粒子を供給する
ことを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブの作製方法。
【請求項3】
前記同軸型真空アーク蒸着源から出射した前記蒸着材料の微粒子を、磁場中偏向による粒子サイズの選別を行った後、前記基板へ入射させる
ことを特徴とする請求項2に記載のカーボンナノチューブの作製方法。
【請求項4】
前記ビアの開口の大きさが1μm以下である
ことを特徴とする請求項2に記載のカーボンナノチューブの作製方法。
【請求項5】
前記第2の工程では、前記基板を300℃以上に加熱する
ことを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブの作製方法。
【請求項6】
前記金属材料は、鉄、コバルトまたはニッケルであり、前記炭素系材料はグラファイトである
ことを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブの作製方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−35428(P2009−35428A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198267(P2007−198267)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】