説明

カーボンナノチューブ繊維複合体、およびカーボンナノチューブ繊維複合体の製造方法

【課題】高い電気伝導率を有するカーボンナノチューブ繊維複合体およびそのカーボンナノチューブ繊維複合体の製造方法を提供する。
【解決手段】
CNT(カーボンナノチューブ)配向膜1を壁開し、CNTを50mm/minの速度でCNTの配向方向とは直交する方向に引き出し、複数のCNTの束が連続的に繋がった長いCNT繊維3を形成した。このCNT繊維3を、トルエンに分散した0.5wt%のAuナノ粒子の溶液4に通じ、Auナノ粒子をCNT繊維3に分散させた。次に、CNT繊維3を、加熱炉5により大気下,60℃にて30分乾燥し、溶媒であるトルエンを除去した。次に、CNT繊維3を、高周波加熱炉6により、不活性ガス(Ar)雰囲気で600℃にて2.0時間熱処理した。その後、CNT繊維3に撚りを掛けることでAu粒子が内部まで均一分散したCNT繊維複合体7を作製した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブを複数集めてなるカーボンナノチューブ繊維を含むカーボンナノチューブ繊維複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素系微細構造物の1つであるカーボンナノチューブ(以降、CNTともいう)は、ナノメートルサイズの直径を有するパイプ状のカーボン素材である。このCNTは、非常に安定した化学構造を有し、CNTを構成する六方格子の螺旋度によって、良導体にも半導体にもなるなど、様々な特性を有することが確認されている。また、CNTは、電気的特性、熱伝導性及び機械的強度に優れており、これらの特徴を活かして、現在では、熱機器分野、電気、電子機器分野等への応用研究が盛んに行われている。
【0003】
しかしながら、CNT単体は上述したように微細な構造を有するものであるため、その取り扱い性や加工性が悪い。そこで、CNTを織布やシートに利用するために、複数のCNTを集めて長さおよび太さを大きくした集合体(以降、カーボンナノチューブ繊維またはCNT繊維という)を形成し、そのCNT繊維単体または糸の一部として利用する技術が提案されている。
【0004】
CNTをCNT繊維として形成する具体的な方法として、例えば、基板上に、基板の主たる面に対して垂直方向に配向するCNTを複数形成させ、これら複数のCNTからなる束を基板から引き抜いて剥離させ、引っ張ることによって製造する方法が提案されている(特許文献1,非特許文献1参照)。また、CNTを基板から引き抜く段階で有機溶剤に浸漬し有機溶剤の蒸発時の収縮現象(CNT繊維の緻密化)を利用して物性を改善する方法が報告されている(特許文献2参照)。一方、CNTを合成する炉から直接繊維を形成する方法も考案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−107196号公報
【特許文献2】特開2007−161563号公報
【特許文献3】特表2007−536434号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Kaili Jiang他、「Spinning Continuous Carbon Nanotube Yarns」、Nature、2002年、第419巻、第801頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したいずれかの方法を用いて作製されるCNT繊維は、単体のCNT同士がファンデルワールス力で連接して構成される。そのため、それらCNT繊維およびCNT繊維から成る糸は、CNT間の接触抵抗により、CNT単体の場合と比較して電気伝導率などの物性値が小さくなってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、良好な物性値を有する(たとえば、高い電気伝導率を有する)カーボンナノチューブ繊維複合体およびそのカーボンナノチューブ繊維複合体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した問題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ繊維と、カーボンナノチューブ同士の接触面に存在する、金属,ホウ素,窒素,からなる群から選ばれる1種以上と、からなることを特徴とするカーボンナノチューブ繊維複合体である。
【0010】
このように構成されたカーボンナノチューブ繊維複合体では、CNT(ここでいうCNTとは、CNT繊維を構成するCNT単体のことを指す)同士がCNT同士の接触面に存在する金属,ホウ素,窒素のいずれかを介して接触するため、CNT間の電気伝導率が上昇する。このようにCNT間の電気伝導率が上昇するため、単体のCNTを複数集めてなるカーボンナノチューブ繊維複合体としても高い電気伝導率を実現する。また、電気伝導率の上昇に伴って熱伝導率も上昇する。
【0011】
このように、上記構成のカーボンナノチューブ繊維複合体は、良好な物性値を実現することができる。
CNTの接触面に金属が存在する場合、金属はどのような形状であってもよい。例えば、金属が粒子状となって分散していてもよいし、薄膜状に形成されていてもよい。なお、金属がある程度の大きさを持って凝集した塊の形状で接触面に存在すると、隣接するCNTと接触しやすくなり、電気伝導率をより高くすることができるため好ましい。金属の種類は特に限定されないが、請求項2に記載のように、Au,Ag,Cuからなる群から選ばれる1種以上とすることで、高い電気伝導率を実現することができる。
【0012】
また、CNTの接触面にホウ素,窒素のいずれかが存在する場合、これらの元素はCNT間で共有結合を形成することで、CNT間の電気伝導率を上げる効果を奏していると考えられる。そのため、これらの元素を用いる場合には、これらの元素がCNT繊維内に存在する状態で熱処理を行うなどして、共有結合を形成することが望ましい。
【0013】
請求項3に記載の発明は、カーボンナノチューブ繊維複合体の製造方法であって、この製造方法は、接触工程,加熱工程を含むものである。
接触工程は、複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ繊維を、金属粒子が分散した溶液,または金属錯体溶液に接触させる工程である。この工程により、金属がCNT繊維に含有されることとなる。なお、具体的な接触方法は特に限定されない。例えば、CNT繊維を上記溶液に浸漬させることや、CNT繊維に上記溶液を吹き付けること、また上記溶液の蒸気中にCNT繊維を通すことなどが考えられる。
【0014】
また、加熱工程は、接触工程の後において、カーボンナノチューブ繊維を加熱する工程である。
このような製造方法にて製造されたCNT繊維複合体は、金属粒子がCNT同士の接触面に存在するため、CNT同士が金属を介して接触することとなる。これにより、CNT間の電気伝導率が上昇する。そのため、CNTを複数集めてなるカーボンナノチューブ繊維複合体としても電気伝導率が上昇する。また、それに伴って熱伝導率も上昇する。
【0015】
従って、上記製造方法により、良好な物性値を有するCNT繊維複合体を製造することができる。
なお、加熱工程における加熱温度は、400℃〜1000℃程度が良好である。400℃以上に加熱することで、金属表面に存在する電気的な接触状態を劣化させる被膜などを除去したり、金属の凝集を促進して大きな粒子としたりすることにより、金属とCNTとの電気的な接触状態が良好となるためである。また、1000℃以下であれば、加熱を低コストで実行することができる。
【0016】
また、加熱工程においては、接触工程にて湿った状態となったCNT繊維が乾燥してCNT繊維が凝集する。そのため、CNT同士が密に接触することとなるので、接触抵抗が低減し電気伝導率が上昇する。なお、加熱工程の前に、CNT繊維を良好に凝集させるための乾燥工程を設けてもよい。乾燥工程は、自然乾燥を行う工程でもよいし、加熱や送風などにより乾燥させる工程であってもよい。
【0017】
請求項4に記載の発明は、カーボンナノチューブ繊維複合体の製造方法であって、複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ繊維に対して、少なくともカーボンナノチューブ同士の接触面に金属を蒸着させる蒸着工程を備えることを特徴とする。
【0018】
このような製造方法にて製造されたCNT繊維複合体は、金属薄膜がCNT同士の接触面に存在することとなるため、CNT同士は金属を介して接触する。これにより、CNT間の電気伝導率が上昇する。そのため、CNTを複数集めてなるカーボンナノチューブ繊維複合体としても電気伝導率が上昇する。また、それに伴って熱伝導率も上昇する。
【0019】
従って、上記製造方法により、良好な物性値を有するCNT繊維複合体を製造することができる。
なお、請求項4に記載のカーボンナノチューブ繊維複合体の製造方法において、請求項5に記載のように、カーボンナノチューブ繊維を湿った状態とし、この湿った状態のカーボンナノチューブ繊維を乾燥することでカーボンナノチューブ繊維を凝集させる凝集工程を備えることとしてもよい。
【0020】
湿った状態となったCNT繊維を乾燥させると、CNT繊維が凝集する。そのため、単体のCNT同士が密に接触することとなり、接触抵抗を低減し電気伝導率を上昇させることができる。この凝集工程は、蒸着工程の前に行ってもよいし、蒸着工程の後で行ってもよい。
【0021】
ところで、請求項3から請求項5のいずれかに記載のカーボンナノチューブ繊維複合体の製造方法において、用いられる金属の種類は特に限定されないが、請求項6に記載のように、Au,Ag,Cuからなる群から選ばれる1種以上とすることで、高い電気伝導率を実現することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、カーボンナノチューブ繊維複合体の製造方法であって、この製造方法は、接触工程,加熱工程を含むものである。
接触工程は、複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ繊維を、ホウ素および窒素のうち少なくとも何れか1種を含有する溶液、またはその溶液蒸気に接触させる工程である。この工程により、ホウ素および窒素の何れか1種以上がCNT繊維に含有されることとなる。
【0023】
また、加熱工程は、接触工程の後において、カーボンナノチューブ繊維を加熱する工程である。
このような製造方法にて製造されたCNT繊維複合体は、高い電気伝導率を実現することができる。その理由は以下のように考えられる。
【0024】
ホウ素,窒素の何れかが含有されたCNT繊維を加熱工程にて加熱することで、CNT間の電気伝導率が上昇する。これは、CNT間でホウ素,窒素などが共有結合するためであると考えられる。そのため、CNTを複数集めてなるカーボンナノチューブ繊維複合体としても電気伝導率が上昇する。また、それに伴って熱伝導率も上昇する。
【0025】
従って、上記製造方法により、良好な物性値を有するCNT繊維複合体を製造することができる。
なお、加熱工程における加熱温度は、2000℃〜3000℃程度が良好である。2000℃以上に加熱することで、ホウ素,窒素と、CNTと、の間で共有結合を形成させることができる。また、3000℃以下であれば、CNTの熱による損傷を抑制できる。
【0026】
また、加熱工程においては、接触工程にて湿った状態となったCNT繊維が乾燥してCNT繊維が凝集する。そのため、CNT同士が密に接触することとなるので、接触抵抗が低減し電気伝導率が上昇する。なお、加熱工程の前に、CNT繊維を良好に凝集させるための乾燥工程を設けてもよい。乾燥工程は、自然乾燥を行う工程でもよいし、加熱や送風などにより乾燥させる工程であってもよい。
【0027】
上述したホウ素および窒素のうち少なくとも何れか1種を含有する溶液とは、ホウ素,窒素の単体およびそれらの化合物のいずれかを含有する溶液である。
具体例を挙げると、ホウ素の化合物としては、ホウ酸H3BO3、酸化ホウ素B23、三フッ化ホウ素BF3、水素化ホウ素ナトリウムBH4Na、テトラフルオロホウ酸HBF4、二ホウ化マグネシウムB2Mg、ボラジンB363、モノボランBH3、ジボランB26やトリメチルボロンが挙げられる。また、窒素化合物としては、アンモニアNH3が挙げられる。
【0028】
上記ホウ素,窒素の化合物のうち、固体の化合物は各々適当な溶媒に溶解して導入する。溶媒としてはアセトン、アルコール類等の有機溶媒が好ましい。
請求項8に記載の発明は、請求項3または請求項7に記載のカーボンナノチューブ繊維複合体の製造方法において、上記接触工程に先立って、または同時に、カーボンナノチューブ繊維表面を酸化させる酸化工程を有することを特徴とする。
【0029】
酸化工程を行うことで、CNTの表面に水酸基などの官能基が生成される。それによりCNT表面のぬれ性が向上するため、接触工程においてCNT繊維と接触した溶液や蒸気のCNT繊維内部での拡散が促進され、CNT繊維全体に溶質(または分散質)を行き渡らせることができる。また、溶質(または分散質)がCNT間で共有結合を形成する場合には、上記官能基がその結合の基点となり、結合を促進することができる。
【0030】
このような理由により、上記製造方法では、電気伝導率をより高くしたCNT繊維複合体を製造することができる。
なお、酸化工程の具体例としては、例えば請求項9のように、カーボンナノチューブ繊維を300℃〜500℃に加熱する工程や、請求項10のように、カーボンナノチューブ繊維を酸性溶液と接触させる工程などが考えられる。このような工程であれば、CNT表面を十分に酸化させることができる。
【0031】
酸化工程で用いる酸性溶液とは、具体的には、フッ酸、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸や、p−トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸、安息香酸及びこれらの骨格を有する誘導体などの有機酸などが挙げられる。これらの無機酸、有機酸はそれぞれ単独で用いても、また2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
【0032】
なお、接触工程で用いる溶液を上述した酸性溶液とすることで、酸化工程と接触工程とを同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】カーボンナノチューブ複合繊維体を製造するための装置構成を表す説明図
【図2】カーボンナノチューブの束を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真
【図3】実施例1のカーボンナノチューブ繊維複合体をSEMで撮影した写真
【図4】実施例2のカーボンナノチューブ繊維複合体をSEMで撮影した写真
【図5】カーボンナノチューブ複合繊維体を製造するための装置構成を表す説明図
【図6】カーボンナノチューブ複合繊維体を製造するための装置構成を表す説明図
【図7】カーボンナノチューブ複合繊維体を製造するための装置構成を表す説明図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に本発明の実施例を図面と共に説明する。尚、本発明は実施例の記載になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうる。
[実施例1]
実施例1では、カーボンナノチューブ配向膜(以降、CNT配向膜という)からAuを含有するカーボンナノチューブ繊維複合体(以降、CNT繊維複合体という)を製造した。本実施例を、図1に示すCNT複合繊維体を製造するための装置構成を表す模式的な説明図を利用して説明する。
(1)カーボンナノチューブ繊維(以降、CNT繊維という)の形成
(1.1)CNT配向膜の製造
CNT繊維の形成に用いるCNT配向膜1を製造した。CNT配向膜1の製造方法を以下に示すが、この製造方法の説明に図1は用いない。
【0035】
縦:14mm、横:14mm、厚さ0.5mmのSi基板2の片面に、鉄を真空蒸着法により膜厚4.0nmとなるように蒸着させた。このSi基板2を電気炉に挿通して800℃に加熱し、エチレンガスを30cc/分、水素ガスを70cc/分、及びアルゴンガスを400cc/分の流速で15分間流した。
【0036】
その結果、Si基板2上には多数の多層CNTが成長し、CNTの一端がSi基板2に固定されており、また、Si基板2の主たる面に対して垂直方向に均一に配向してなるCNT配向膜1(膜厚200μm)が形成された。個々のCNTの直径は20nm程度であった。
(1.2)CNT配向膜からのCNTの引き出し
上記Si基板2に成長させた膜厚200μmのCNT配向膜1を壁開し、壁開した部分における複数のCNTから成る束を引き出し具でつまみ、50mm/minの速度でCNTの配向方向とは直交する方向に引き出した。CNTの束はCNT配向膜1から剥がれるが、その引き出されたCNTの束におけるCNT配向膜1に最後まで残った端部と、基板2上で隣接するCNTの束の端部と、がファンデルワールス力により接続し、その隣接するCNTの束も引き出される。結果として、複数のCNTの束が連続的に繋がった長いCNT繊維3が形成された。
【0037】
なお、CNTの束の引き出し過程を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真を図2に示す。CNT繊維3はこの状態のCNTの束をさらに束ねたものである。
上述したCNT繊維3の引き出し方法は公知の方法(例えば、特開2004−107196号公報の段落0022〜0025に記載された方法)による。
【0038】
なお、CNT配向膜1から引き出したCNT繊維3の密度は、1.0〜100mg/cm3であった。密度が1.0〜1000mg/cm3であれば良好にCNT繊維複合体が製造できるが、1.0〜100mg/cm3であれば、後述する接触工程においてCNT繊維内部に溶液が含浸しやすくなるため、高い電気伝導率を有するCNT繊維複合体を容易に製造することができる。
(2)接触工程
上述したように形成したCNT繊維3を、50mm/minの速度で、トルエンに分散した0.5wt%のAuナノ粒子(粒径2nm〜5nm程度)の溶液4に通じ、Auナノ粒子をCNT繊維3に分散させた。
(3)乾燥工程
上記接触工程の後、CNT繊維3を、加熱炉5により大気下,60℃にて30分乾燥し、溶媒であるトルエンを除去した。トルエンの蒸発とともにCNT繊維3は凝集した。
(4)加熱工程
上記乾燥工程の後、CNT繊維3を、高周波加熱炉6により、不活性ガス(Ar)雰囲気で600℃にて2.0時間熱処理し、ナノ粒子の保護膜(アルキル側鎖等)を除去した。
(5)撚り工程
上記加熱工程を経たCNT繊維3に2500回転/minで撚りを掛けた。
【0039】
このようにして、Au粒子が内部まで均一分散したCNT繊維複合体7を作製した。
(6)CNT繊維複合体の分析
CNT繊維複合体7を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真を図3に示す。CNT繊維複合体7には撚りがかかっている。CNT繊維複合体7を構成するCNT繊維3の表面にはAu粒子が多数点在しており、単体CNT同士の接触面にもAu粒子が存在していることが確認できる。
(7)CNT繊維複合体の特性評価
公知の4端子法により、大気下にて上記CNT繊維複合体7の電気伝導率を測定したところ、339S/cmであった。
【0040】
比較例として、上記実施例と同様のCNT配向膜1から、上記実施例と同様にCNTを引き出してCNT繊維3を形成し、その形成されたCNT繊維3に2500回転/minで撚りを掛けてCNTワイヤ製造し、そのCNTワイヤの電気伝導率を測定したところ、電気伝導率は141S/cmであった。
【0041】
この結果から、CNT繊維複合体7は、上記接触工程,乾燥工程,加熱工程を行わないCNTワイヤに比べ2倍以上の高い電気伝導率を有することが確認できた。
なお、以下の実施例の説明において、比較例として作成したCNTワイヤとは、上記CNTワイヤを指す。
[実施例2]
実施例2では、Cuを含有するCNT繊維複合体を製造した。本実施例を図1の説明図を用いて説明する。
(1)CNT繊維の形成
実施例1と同様に、CNT配向膜1からCNTからなる束を引き出し、複数のCNTの束が連続的に繋がった長いCNT繊維3を形成した。
(2)接触工程
上記(1)にて形成したCNT繊維3を、50mm/minの速度で、溶液4として2−エチルヘキサン酸銅(II)を溶解した0.1mol/LのTHF(テトラヒドロフラン)溶液に通じた。
(3)乾燥工程
上記接触工程の後、CNT繊維3を、加熱炉5により大気下,60℃にて30分乾燥し、溶媒であるTHFを除去した。THFの蒸発とともにCNT繊維3は凝集した。
(4)加熱工程
上記乾燥工程の後、CNT繊維3を、高周波加熱炉6により、不活性ガス(Ar)雰囲気で400℃にて30分間熱処理し、2−エチルヘキサン酸銅(II)を加熱分解しCNT繊維3にCuを析出させた。
(5)撚り工程
加熱工程を経たCNT繊維3に2500回転/minで撚りを掛けた。
【0042】
このようにして、Cuを含有したCNT繊維複合体7を作製した。
(6)CNT繊維複合体の分析
CNT繊維複合体7を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真を図4に示す。CNT繊維複合体7には撚りがかかっており、CNT繊維複合体7を構成するCNT繊維3の表面にはCu粒子が点在しており、Cu粒子を介してCNT同士が接触している(CNTの接触面にCNTが存在している)ことが確認できる。
(7)CNT繊維複合体の特性評価
公知の4端子法により、大気下にて上記CNT繊維複合体7の電気伝導率を測定したところ、1086S/cmであった。一方、比較例として作成したCNTワイヤの電気伝導率は141S/cmであったことから、CNT繊維複合体7は、CNTワイヤに比べ約8倍の高い電気伝導率を有することが確認できた。
[実施例3]
実施例3では、ホウ素を含有するCNT繊維複合体を製造した。本実施例を、図5に示すカーボンナノチューブ複合繊維体を製造するための装置構成を表す説明図を利用して説明する。
(1)CNT繊維の形成
実施例1と同様に、CNT配向膜1からCNTからなる束を引き出し、複数のCNTの束が連続的に繋がった長いCNT繊維3を形成した。
(2)酸化工程
上記(1)にて製造したCNT繊維3を、加熱炉11により大気下,400℃にて1時間熱処理を行い、CNT繊維3の表面を酸化処理した。この酸化処理によりCNT繊維3を親水化した。
(3)接触工程
ホウ酸飽和水溶液を溶液12とし、キャリアガス13としてAr50cc/minを通じるバブリングにより溶液12を蒸気化し、雰囲気温度50℃にて、上記酸化工程にて親水化したCNT繊維3をホウ酸飽和水溶液蒸気14に通じた。
(4)乾燥工程
上記接触工程の後、CNT繊維3を、加熱炉15により大気下,90℃にて2時間乾燥し、水分を除去した。水分の蒸発とともにCNT繊維3は凝集した。
(5)加熱工程
上記乾燥工程の後、CNT繊維3を、高周波加熱炉16により、不活性ガス(Ar)雰囲気下、2000℃にて5時間熱処理した。
(6)撚り工程
加熱工程を経たCNT繊維3に2500回転/minで撚りを掛けた。
【0043】
このようにして、ホウ素を含有したCNT繊維複合体7を作製した。
(7)CNT繊維複合体の特性評価
公知の4端子法により、大気下にて上記CNT繊維複合体7の電気伝導率を測定したところ、949S/cmであった。一方、比較例として作成したCNTワイヤの電気伝導率は141S/cmであったことから、CNT繊維複合体7は、CNTワイヤに比べ約7倍の高い電気伝導率を有することが確認できた。それにより、CNT同士の接触抵抗が、CNT同士接合面に存在するホウ素により低減されたことが分かる。
[実施例4]
実施例4では、蒸着法により、Auを含有するCNT繊維複合体を製造した。
(1)CNT繊維の形成
実施例1と同様に、CNT配向膜からCNTからなる束を引き出し、複数のCNTの束が連続的に繋がった長いCNT繊維を形成した。
(2)蒸着工程
上記(1)にて形成したCNT繊維に、公知の真空蒸着法によりAuを3.0nmの膜厚で蒸着させた。
(3)凝集工程
上記接触工程の後、CNT繊維を、EtOH(エタノール)溶液に浸した後、加熱炉により大気下,60℃にて10分乾燥し、EtOHを除去しCNT繊維を凝集させた。
(4)加熱工程
上記凝集工程の後、CNT繊維を、高周波加熱炉により、不活性ガス(Ar)雰囲気で700℃にて2時間熱処理した。
(5)撚り工程
加熱工程を経たCNT繊維3に2500回転/minで撚りを掛けた。
【0044】
このようにして、銅を含有したCNT繊維複合体7を作製した。
(6)CNT繊維複合体の特性評価
このようにして製造したCNT繊維複合体7は、実施例1のCNT繊維複合体7と同様の効果を奏した。
[実施例5]
実施例5では、実施例1とは異なる手法でAuを含有するCNT繊維複合体を製造した。本実施例を、図6に示すカーボンナノチューブ複合繊維体を製造するための装置構成を表す説明図を利用して説明する。
(1)CNT繊維の形成
実施例1と同様に、CNT配向膜1からCNTからなる束を引き出し、複数のCNTの束が連続的に繋がった長いCNT繊維3を形成した。
(2)酸化工程
上記(1)にて製造したCNT繊維3を、加熱炉21により大気下,400℃にて1時間熱処理を行い、CNT繊維3の表面を酸化処理した。この酸化処理によりCNT繊維3を親水化した。
(3)接触工程
上記(1)にて形成したCNT繊維3を、50mm/minの速度で、溶液22として0.10mol/L塩化金酸(HAuCl4・4H2O)水溶液に通じた。
(4)乾燥工程
上記接触工程の後、CNT繊維3を、加熱炉23により大気下,90℃にて2時間乾燥し、水分を除去した。水分の蒸発とともにCNT繊維3は凝集した。
(5)加熱工程
上記乾燥工程の後、CNT繊維3を、高周波加熱炉24により、不活性ガス(Ar)雰囲気下、500℃にて2時間熱処理した。これにより、CNT繊維3にAu粒子を析出させた。
(6)撚り工程
加熱工程を経たCNT繊維3に2500回転/minで撚りを掛けた。
【0045】
このようにして、Auを含有したCNT繊維複合体7を作製した。
(7)CNT繊維複合体の特性評価
公知の4端子法により、大気下にて上記CNT繊維複合体7の電気伝導率を測定したところ、450S/cmであった。一方、比較例として作成したCNTワイヤの電気伝導率は141S/cmであったことから、CNT繊維複合体7は、CNTワイヤに比べ約3倍の高い電気伝導率を有することが確認できた。
[実施例6]
実施例6では、Agを含有するCNT繊維複合体を製造した。本実施例を図1の説明図を用いて説明する。
(1)CNT繊維の形成
実施例1と同様に、CNT配向膜1からCNTからなる束を引き出し、複数のCNTの束が連続的に繋がった長いCNT繊維3を形成した。
(2)接触工程
上記(1)にて形成したCNT繊維3を、50mm/minの速度でトルエンに分散した0.5wt%のAgナノ粒子(粒径5nm〜10nm程度)の溶液4に通じ、Agナノ粒子をCNT繊維3に分散させた。
(3)乾燥工程
上記接触工程の後、CNT繊維3を、加熱炉5により大気下,60℃にて30分乾燥し、溶媒であるトルエンを除去した。トルエンの蒸発とともにCNT繊維3は凝集した。
(4)加熱工程
上記乾燥工程の後、CNT繊維3を、高周波加熱炉6により、不活性ガス(Ar)雰囲気で600℃にて2時間熱処理した。これにより、Agナノ粒子の保護膜(アルキル側鎖など)を除去すると共に、Agナノ粒子を凝集させて金属塊を形成した。
(5)撚り工程
加熱工程を経たCNT繊維3に2500回転/minで撚りを掛けた。
【0046】
このようにして、Agを含有したCNT繊維複合体7を作製した。
(6)CNT繊維複合体の特性評価
公知の4端子法により、大気下にて上記CNT繊維複合体7の電気伝導率を測定したところ、300S/cmであった。一方、比較例として作成したCNTワイヤの電気伝導率は141S/cmであったことから、CNT繊維複合体7は、CNTワイヤに比べ約2倍の高い電気伝導率を有することが確認できた。
[実施例7]
実施例7では、実施例2とは異なる手法でCuを含有するCNT繊維複合体を製造した。本実施例を図1の説明図を用いて説明する。
(1)CNT繊維の形成
実施例1と同様に、CNT配向膜1からCNTからなる束を引き出し、複数のCNTの束が連続的に繋がった長いCNT繊維3を形成した。
(2)接触工程
上記(1)にて形成したCNT繊維3を、50mm/minの速度でトルエンに分散した0.5wt%のCuナノ粒子(粒径5nm〜10nm程度)の溶液4に通じ、Cuナノ粒子をCNT繊維3に分散させた。
(3)乾燥工程
上記接触工程の後、CNT繊維3を、加熱炉5により大気下,60℃にて30分乾燥し、溶媒であるトルエンを除去した。トルエンの蒸発とともにCNT繊維3は凝集した。
(4)加熱工程
上記乾燥工程の後、CNT繊維3を、高周波加熱炉6により、Arガス97w%,H2ガス3w%からなる雰囲気で600℃にて2時間熱処理した。これにより、Cuナノ粒子の保護膜,およびCu粒子表面の酸化膜を除去すると共に、Cuナノ粒子を凝集させて金属塊を形成した。
(5)撚り工程
加熱工程を経たCNT繊維3に2500回転/minで撚りを掛けた。
【0047】
このようにして、Cuを含有したCNT繊維複合体7を作製した。
(6)CNT繊維複合体の特性評価
公知の4端子法により、大気下にて上記CNT繊維複合体7の電気伝導率を測定したところ、1086S/cmであった。一方、比較例として作成したCNTワイヤの電気伝導率は141S/cmであったことから、CNT繊維複合体7は、CNTワイヤに比べ約8倍の高い電気伝導率を有することが確認できた。
[実施例8]
実施例8では、実施例3とは異なる手法でホウ素を含有するCNT繊維複合体を製造した。本実施例を、図7に示すカーボンナノチューブ複合繊維体を製造するための装置構成を表す模式的な説明図を利用して説明する。
(1)CNT繊維の形成
実施例1と同様に、CNT配向膜1からCNTからなる束を引き出し、複数のCNTの束が連続的に繋がった長いCNT繊維3を形成した。
(2)接触工程
ホウ酸飽和EtOH溶液を溶液31とし、キャリアガス32としてAr50cc/minを通じるバブリングにより溶液31を蒸気化し、雰囲気温度50℃にて、上記CNT繊維3をホウ酸飽和EtOH溶液蒸気33に通じた。
(3)乾燥工程
上記接触工程の後、CNT繊維3を、加熱炉34により大気下,90℃にて1時間乾燥し、溶媒であるエタノールを除去した。エタノールの蒸発とともにCNT繊維3は凝集した。
(4)撚り工程
上記乾燥工程後、CNT繊維3に2500回転/minで撚りを掛けた。
(5)加熱工程
上記撚り工程の後、CNT繊維3を、高周波加熱炉35により、不活性ガス(Ar)雰囲気下、2000℃にて5時間熱処理した。
【0048】
このようにして、ホウ素を含有したCNT繊維複合体を作製した。
(6)CNT繊維複合体の特性評価
公知の4端子法により、大気下にて上記CNT繊維複合体7の電気伝導率を測定したところ、949S/cmであった。一方、比較例として作成したCNTワイヤの電気伝導率は141S/cmであったことから、CNT繊維複合体7は、CNTワイヤに比べ約7倍の高い電気伝導率を有することが確認できた。
[実施例9]
実施例9では、実施例3,実施例8とは異なる手法でホウ素を含有するCNT繊維複合体を製造した。本実施例を図7の説明図を用いて説明する。
(1)CNT繊維の形成
実施例1と同様に、CNT配向膜1からCNTからなる束を引き出し、複数のCNTの束が連続的に繋がった長いCNT繊維3を形成した。
(2)接触工程
上記(1)にて形成したCNT繊維3を、50mm/minの速度で、溶液4として9−BBN(9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン)を溶解した0.5mol/LのTHF(テトラヒドロフラン)溶液に通じた。
(3)乾燥工程
上記接触工程の後、CNT繊維3を、加熱炉5によりAr雰囲気下,60℃にて30分乾燥し、溶媒であるTHFを除去した。THFの蒸発とともにCNT繊維3は凝集した。
(4)撚り工程
上記乾燥工程後、CNT繊維3に2500回転/minで撚りを掛けた。
(5)加熱工程
上記撚り工程の後、CNT繊維3を、高周波加熱炉16により、不活性ガス(Ar)雰囲気下、2000℃にて5時間熱処理した。
【0049】
このようにして、ホウ素を含有したCNT繊維複合体を作製した。
(6)CNT繊維複合体の特性評価
このようにして製造したCNT繊維複合体7は、実施例2のCNT繊維複合体8と同様の効果を奏した。
[発明の効果]
上記各実施例に記載した製造方法によりCNT繊維複合体を製造することで、従来のCNTワイヤと比べて高い電気伝導率を有しているCNT繊維複合体を製造することができた。
[変形例]
上記各実施例においては、加熱工程の後に撚り工程を実行する構成と、撚り工程の後に加熱工程を実行する構成と、を例示したが、その順序は逆であってもよい。また、撚り工程を行うことで、撚り工程を行わない場合と比較して高い電気伝導率を得ることができるが、撚り工程は行わなくともよく、その場合でも従来のCNT繊維より高い電気伝導率を得ることができる。
【0050】
また、実施例1,4,5においては、Au1種類を用いてCNT繊維複合体を製造する構成を例示したが、Auに代えてCu,Agやそれ以外の金属粒子を用いたり、複数(1種以上)の金属を同時に用いても、高い電気伝導率を有するCNT繊維複合体を製造することができる。
【0051】
同様に、実施例2で用いた銅錯体に代えて他の金属の金属錯体溶液を用いても、高い電気伝導率を有するCNT繊維複合体を製造することができる。
また、実施例3,8,9においては、ホウ酸,9−BBNを用いてCNT繊維複合体を製造する構成を例示したが、ホウ素を含む他の化合物を用いてもよい。また、ホウ素に代えて、窒素の単体や化合物を用いても、高い電気伝導率を有するCNT繊維複合体を製造することができる。
【0052】
また、上記各実施例においては、加熱炉にてCNT繊維を乾燥させる構成を例示したが、乾燥は自然乾燥でもよいし、送風により乾燥させてもよい。
また、実施例4においては、蒸着工程の後に凝集工程を行う構成を例示したが、先に凝集工程を行う構成であってもよい。
【0053】
また、実施例4においては、加熱工程を行わなくともよい。加熱工程を行わなくとも、高い電気伝導率を有するCNT繊維複合体7を製造することができる。
また、実施例1〜3,5〜9においては、CNT配向膜1から連続的にCNT繊維複合体7を製造する図(図1,5〜7)を用いて説明したが、各工程は連続的に行う構成に限定されず、回分操作により製造してもよい。
【0054】
また、実施例3,5においては、酸化工程として400℃で加熱する構成を例示したが、300℃〜500℃の範囲であれば、良好にCNT表面を酸化させることができる。また、加熱処理に代えて、CNT繊維を酸性溶液と接触させる工程としてもよい。なお、接触工程で用いる溶液を上述した酸性溶液とすることで、酸化工程と接触工程とを同時に行うことができる。
【符号の説明】
【0055】
1…CNT配向膜、2…Si基板、3…CNT繊維、4…溶液、5…加熱炉、6…高周波加熱炉、7…CNT繊維複合体、11…加熱炉、12…溶液、13…キャリアガス、14…ホウ酸飽和水溶液蒸気、15…加熱炉、16…高周波加熱炉、21…加熱炉、22…溶液、23…加熱炉、24…高周波加熱炉、31…溶液、32…キャリアガス、33…ホウ酸飽和EtOH溶液蒸気、34…加熱炉、35…高周波加熱炉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ繊維と、
前記カーボンナノチューブ同士の接触面に存在する、金属,ホウ素,窒素,からなる群から選ばれる1種以上と、からなる
ことを特徴とするカーボンナノチューブ繊維複合体。
【請求項2】
前記金属は、Au,Ag,Cuからなる群から選ばれる1種以上である
ことを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ繊維複合体。
【請求項3】
複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ繊維を、金属粒子が分散した溶液,または金属錯体溶液に接触させる接触工程と、
前記接触工程の後に、前記カーボンナノチューブ繊維を加熱する加熱工程と、を備える
ことを特徴とするカーボンナノチューブ繊維複合体の製造方法。
【請求項4】
複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ繊維に対して、少なくとも前記カーボンナノチューブ同士の接触面に金属を蒸着させる蒸着工程を備える
ことを特徴とするカーボンナノチューブ繊維複合体の製造方法。
【請求項5】
前記カーボンナノチューブ繊維を湿った状態とし、この湿った状態のカーボンナノチューブ繊維を乾燥することで前記カーボンナノチューブ繊維を凝集させる凝集工程を備える
ことを特徴とする請求項4に記載のカーボンナノチューブ繊維複合体の製造方法。
【請求項6】
前記金属は、Au,Ag,Cuからなる群から選ばれる1種以上である
ことを特徴とする請求項3から請求項5のいずれかに記載のカーボンナノチューブ繊維複合体の製造方法。
【請求項7】
複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ繊維を、ホウ素および窒素のうち少なくとも何れか1種を含有する溶液、またはその溶液蒸気に接触させる接触工程と、
前記接触工程の後に、前記カーボンナノチューブ繊維を加熱する加熱工程と、を備える
ことを特徴とするカーボンナノチューブ繊維複合体の製造方法。
【請求項8】
前記接触工程に先立って、または同時に、前記カーボンナノチューブ繊維表面を酸化させる酸化工程を有する
ことを特徴とする請求項3または請求項7に記載のカーボンナノチューブ繊維複合体の製造方法。
【請求項9】
前記酸化工程は、前記カーボンナノチューブ繊維を300℃〜500℃に加熱する工程である
ことを特徴とする請求項8に記載のカーボンナノチューブ繊維複合体の製造方法。
【請求項10】
前記酸化工程は、前記カーボンナノチューブ繊維を酸性溶液と接触させる工程である
ことを特徴とする請求項8に記載のカーボンナノチューブ繊維複合体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−38203(P2011−38203A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185835(P2009−185835)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】