説明

ガスコンロ

【課題】コンロバーナのバーナヘッドが誤セット状態であることに気付かないままコンロバーナの燃焼を行うことを防止できるようにする。
【解決手段】バーナボディ32にバーナヘッド33が正しく載置されたことを検出するバーナヘッド検出手段8と、バーナヘッド検出手段8でバーナヘッド33が正しく載置されたと検出されないとき、即ち、バーナヘッド33の誤セット時に、コンロバーナ3を燃焼不能状態にする燃焼制限手段9とを備える。燃焼制限手段9は、バーナ用操作子6による点火操作を行えないようにする点火操作阻止手段92と、コンロバーナ3にガスが供給されないようにするガス供給停止手段93との少なくとも一方を含む。また、バーナヘッド33の誤セット時に作動する報知器10を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナボディとバーナボディ上に着脱自在に載置されるバーナヘッドとで構成されるコンロバーナが設けられたガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
コンロバーナには、一般に、点火プラグや火炎検出用の熱電対が付設される。そのため、バーナボディを、これに形成した点火炎孔や火炎検出用炎孔が点火プラグや熱電対に臨むように、所定の位相でバーナヘッドに載置する必要がある。そこで、従来、バーナヘッドの誤セット防止対策として、バーナボディとバーナヘッドとに夫々凹部と凸部とを形成し、バーナヘッドが所定の位相で載置されたときに凹部に凸部が嵌合されるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これによれば、バーナヘッドがバーナボディに所定の位相で正しく載置されていない場合、凸部が凹部に嵌合しないため、バーナヘッドが浮き、バーナヘッドが正しく載置されていないことを視覚的に認識できる。然し、ユーザの中には、バーナヘッドが浮いていても異常だとは思わない人もおり、極端な例では、バーナヘッドを上下逆さまにしてバーナボディに載置してしまう人もいる。そして、バーナヘッドが正しく載置されていないことに気付かずに、コンロバーナに点火してしまうことが間々ある。このようなバーナヘッドの誤セット状態では、コンロバーナに正常な炎が形成されず、うまく調理が行えなくなる。
【特許文献1】特開平6−185707号公報(段落0012、図1、図4、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上の点に鑑み、バーナヘッドが誤セット状態であることに気付かないままコンロバーナの燃焼を行うことを防止できるようにしたガスコンロを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、バーナボディとバーナボディ上に着脱自在に載置されるバーナヘッドとで構成されるコンロバーナが設けられたガスコンロにおける安全装置であって、バーナボディにバーナヘッドが正しく載置されたことを検出するバーナヘッド検出手段と、バーナヘッド検出手段でバーナヘッドが正しく載置されたと検出されないときに、コンロバーナを燃焼不能状態にする燃焼制限手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、バーナヘッドが正しく載置されていないと、即ち、バーナヘッドが誤セット状態であると、コンロバーナは燃焼不能となる。そのため、バーナヘッドが誤セット状態であることに気付かずに、コンロバーナを使用しようとしても、コンロバーナの燃焼は行われず、正常な炎が形成されずに調理ミスを生ずることを未然に防止できる。
【0007】
また、燃焼制限手段は、コンロバーナ用の操作子による点火操作を行えないようにする点火操作阻止手段と、コンロバーナにガスが供給されないようにするガス供給停止手段との少なくとも一方を含むものであることが望ましい。ここで、コンロバーナの燃焼中にバーナヘッドに鍋等が当たってバーナヘッドが誤セット状態になる可能性がある。この場合、点火操作阻止手段だけでは、コンロバーナの燃焼が継続してしまうが、ガス供給停止手段を設けておけば、燃焼中にバーナヘッドが誤セット状態になったときにも、コンロバーナへのガス供給が停止され消火される。
【0008】
ところで、ガスコンロには、一般に、失火安全対策として、コンロバーナの火炎検知素子の出力に基づいて開弁保持される電磁安全弁が設けられている。そして、この電磁安全弁と、バーナヘッド検出手段でバーナヘッドが正しく載置されたと検出されないときに電磁安全弁への通電を断って電磁安全弁を閉弁させる制御手段とでガス供給停止手段を構成すれば、ガス供給停止手段のための専用バルブが不要になり、コストダウンを図れる。但し、電磁安全弁は、コンロバーナ用の操作子による点火操作で強制的に押圧開弁されるため、バーナヘッドの誤セット状態での点火操作が行われると、点火操作時に生ガスが放出される可能性がある。従って、ガス供給停止手段用のバルブとして電磁安全弁を用いる場合は、燃焼制限手段として点火操作阻止手段を併用し、バーナヘッドの誤セット状態での点火操作を行えないようにすることが望ましい。
【0009】
また、本発明のようにバーナヘッドの誤セット状態でコンロバーナが燃焼不能になると、誤セットに気付かないユーザは故障であると誤解する可能性がある。従って、バーナヘッド検出手段でバーナヘッドが正しく載置されたと検出されないときに作動する報知手段を設け、ユーザが誤解しないようにすることが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1を参照して、1はガスコンロのコンロ本体(図示せず)の上面を覆う天板である。天板1にはバーナ用開口2が開設されており、コンロ本体内に、バーナ用開口2に臨むようにコンロバーナ3を配置している。そして、天板1上に五徳4を介して載置する調理容器をコンロバーナ3の炎で加熱するようにしている。
【0011】
コンロバーナ3は、混合管31に連なる環状のバーナボディ32上に環状のバーナヘッド33を載置し、バーナヘッド33の外周部下面の歯形により外向きに開口する多数の炎孔34を形成して成る環状バーナで構成されている。バーナボディ32は、板金製であって、内筒32aと外筒32bとを有する。そして、外筒32bに、バーナヘッド33の歯形が着座する上端の着座部32cと、着座部32cから外方に張り出す煮こぼれカバー部32dとを形成し、煮こぼれカバー部32dに、バーナ用開口2内に落下する煮こぼれ汁を受ける環状の汁受け皿5を着脱自在に支持させている。また、バーナヘッド33には、内筒32aに嵌合する内周の芯決め用筒部33aと、外筒32bの一部に形成した外方への凹入部32eに係合する位相決め用の凸部33bとが形成されている。そして、バーナヘッド33を凹入部32eに凸部33bが係合する正規の位相でバーナボディ32に載置したとき、コンロバーナ3の周囲1箇所に臨ませて配置した火炎検知素子たる熱電対35に、バーナヘッド33に形成した火炎検知用の炎孔34aが正対するようにしている。尚、図示省略するが、コンロバーナ3の周囲には、熱電対35に隣接させて点火プラグが配置され、バーナヘッド33がバーナボディ32に正規位相で載置されていれば、火炎検知用の炎孔34aに隣接するバーナヘッド33の部分に形成した点火炎孔が点火プラグに正対する。
【0012】
コンロバーナ3には、コンロ本体に軸支されるピン部61を支点にして揺動する押しボタン式の操作子6で操作されるバルブユニット7を介してガスが供給される。バルブユニット7には、操作子6の裏面のボス部62に対向する連動ブロック71と、連動ブロック71に押されて動くプッシュロッド72と、プッシュロッド72に対向する電磁安全弁73と、プッシュロッド72の中間部に取り付けた主弁74とが設けられている。連動ブロック71にはハートカム式のプッシュプッシュ機構75が組み付けられている。そして、操作子6の1度目の押し操作によれば、連動ブロック71がボス部61に押されて復動端位置(図示の位置)から往動端位置に移動し、連動ブロック71に追従するプッシュロッド72の動きで主弁74が開弁されると共に、電磁安全弁73が強制的に押圧開弁されて、コンロバーナ3にガスが供給され、更に、図示省略した点火スイッチが閉成されて点火プラグでの火花放電が行われ、コンロバーナ3に点火される。この状態で操作子6の押し操作を解除すると、連動ブロック71及びプッシュロッド72が往動端位置から復動するが、この復動はプッシュプッシュ機構75により中間位置で係止される。この状態では、主弁74は開弁状態に維持されるが、プッシュロッド72による電磁安全弁73の押圧は解除され、電磁安全弁73は熱電対35の起電力で開弁保持されるようになる。そして、コンロバーナ3の失火で熱電対35の起電力が低下すると、電磁安全弁73が閉弁して、コンロバーナ3へのガス供給が停止される。操作子6の2度目の押し操作によれば、連動ブロック71の中間位置での係止が解除されて、連動ブロック71及びプッシュロッド72が復動端位置に復帰し、主弁74が閉弁されて、コンロバーナ3へのガス供給が停止される。
【0013】
また、バルブユニット7には、主弁74の下流側に位置させて、ガス量調節弁76が組み込まれている。この調節弁76は、火力調節レバー76aによりカム76bを介して進退動作されるニードル弁で構成されている。そして、ガス流量調節弁76からノズル77を介してコンロバーナ3の混合管31にガスが供給されるようにしている。
【0014】
以上の構成において、本実施形態では、バーナボディ32にバーナヘッド33が正しく載置されたことを検出するバーナヘッド検出手段8と、バーナヘッド検出手段8でバーナヘッドが正しく載置されたと検出されないとき、即ち、バーナヘッド33の誤セット時に、コンロバーナ3を燃焼不能状態にする燃焼制限手段9とを設けている。バーナヘッド検出手段8は、バーナヘッド33の芯決め用筒部33aから下方にのびる検出片81と、バーナヘッド33の凸部33bをバーナボディ32の凹入部32eに係合させた状態でバーナヘッド33がバーナボディ32に正しく載置されたときの検出片81の位置を基準位置として、検出片81が基準位置に存するときにこれを検出する検出器82とで構成される。検出器82としては、リミットスイッチ、リードスイッチ、近接スイッチ、光学センサ、重量センサ等を用いることができる。
【0015】
燃焼制限手段9は、検出器82からの信号を入力する制御器91と、制御器91により制御される2つの手段、即ち、コンロバーナ3用の操作子6による点火操作を阻止する点火操作阻止手段92と、コンロバーナ3にガスが供給されないようにするガス供給停止手段93とで構成される。点火操作阻止手段92は、操作子6による点火操作、即ち、操作子6の押し操作を許容する不作動位置(図1の実線示の位置)と操作子6の押し操作を不能にする作動位置(図1の仮想線示の位置)とに進退自在なロック片921と、ロック片921の駆動源922とで構成されている。駆動源922としては、ソレノイド、モータ等を用いることができる。そして、検出片81が基準位置に存することを検出器82で検出できないときには、制御器91により駆動源922を介してロック片921を作動位置に進出させるようにしている。かくして、バーナヘッド33の誤セット状態では、操作子6を押し操作できなくなり、コンロバーナ3に点火されることはない。
【0016】
ガス供給停止手段93は、電磁安全弁73と、電磁安全弁73に対する熱電対35の接続回路35aに開設したスイッチ931とで構成されている。そして、検出片81が基準位置に存することを検出器82で検出できないときには、制御器91によりスイッチ931を開成するようにしている。これによれば、コンロバーナ3に点火後、バーナヘッド33に鍋等が当たってバーナヘッド33が誤セット状態になった場合、電磁安全弁73に熱電対35からの起電力が通電されなくなり、電磁安全弁73が閉弁して、コンロバーナ3へのガス供給が停止され消火される。
【0017】
尚、本実施形態では、熱電対35の起電力で直接的に電磁安全弁73を開弁保持するようにしているが、制御器91で熱電対35の起電力を監視し、基準以上の起電力が発生しているときに、制御器91から電磁安全弁73に通電して、電磁安全弁73を開弁保持するようにしても良い。この場合、検出片81が基準位置に存することを検出器82で検出できないときには、制御器91により電磁安全弁73への通電を停止する。このものでは、制御器91と電磁安全弁73とでガス供給停止手段93が構成されることになる。
【0018】
ところで、バーナヘッド33の誤セット状態で燃焼制限手段9の働きによりコンロバーナ3が燃焼不能になると、誤セットに気付かないユーザは故障であると誤解する可能性がある。そこで、本実施形態では、制御器91で制御される報知器10を設けている。そして、検出片81が基準位置に存することを検出器82で検出できないときに報知器10を作動させ、ユーザが誤解しないようにしている。報知器10としては、ブザーやランプ、更には、バーナヘッド33が誤セット状態である旨を音声で報知するものを用いることができる。
【0019】
図2は第2実施形態を示している。このものでは、一端11aが検出片81に臨み、他端11bが操作子6に臨むレバー11を設けている。レバー11は、中間の支点部11cでコンロ本体内に揺動自在に支持され、更に、図示省略したばねで一端11a側が上動する方向に付勢されている。そして、バーナヘッド33が正しく載置されているときは、レバー11の一端11aが検出片81により押し下げられ、レバー11の他端11bが上動して(図2の実線示の状態)、操作子6の押し操作が許容されるが、バーナヘッド33の誤セット状態では、レバー11の一端11aが上動して他端11bが下動し(図2の仮想線示の状態)、他端11bが操作子6のボス部62に対向して、操作子6の押し操作が阻止される。かくして、検出片81とレバー11の一端11aとで機械式のバーナヘッド検出手段8が構成され、また、レバー11の他端11bでバーナヘッド検出手段8に機械的に連動する点火操作阻止手段92が構成される。
【0020】
また、第2実施形態では、レバー11の一端11aが押し下げられたときにレバー11に当接して閉成されるリミットスイッチ932を設け、このリミットスイッチ932を電磁安全弁73に対する熱電対35の接続回路35aに介設している。従って、バーナヘッド33の誤セット状態では、リミットスイッチ932が開成され、電磁安全弁73への熱電対35の起電力の通電が断たれて、電磁安全弁73が閉弁される。かくして、電磁安全弁73とリミットスイッチ932とでガス供給停止手段93が構成され、コンロバーナ3の点火後にバーナヘッド33が誤セット状態になったときに、コンロバーナ3を消火できる。
【0021】
以上、燃焼制限手段9として点火操作阻止手段92とガス供給停止手段93とを設けた実施形態について説明したが、点火操作阻止手段92とガス供給停止手段93との一方のみを設けることも可能である。
【0022】
また、上記実施形態では、ガス供給停止手段93用のバルブとして電磁安全弁73を用いているが、電動式のガス量調節弁を設け、バーナヘッド33の誤セット時に制御器91によりガス量調節弁を閉弁させるようしても良い。また、ガス供給停止手段93用の専用電磁弁を設けることも可能である。但し、電動式のガス量調節弁や専用電磁弁を設けると、コストが高くなる。そのため、コストダウンを図るには、電磁安全弁73をガス供給停止手段93用のバルブに兼用することが望ましい。ここで、バーナヘッド33の誤セット状態では、点火プラグに火花放電を生じてもうまく点火しないため、操作子6を押し続けることがあり、その間電磁安全弁73は押圧開弁されたままになって生ガスが放出されてしまう。従って、電磁安全弁73をガス供給停止手段93用のバルブに兼用する場合は、点火操作阻止手段92を併用し、生ガスの放出を防止することが望ましい。
【0023】
また、上記実施形態では、バーナヘッド33の芯決め用筒部33aに垂設した検出片81を用いてバーナヘッド検出手段8を構成しているが、これに限るものではなく、例えば、バーナボディ32の凹入部32eに、これへのバーナヘッド33の凸部33bの係合を検出する近接スイッチ等の検出器を埋設し、この検出器でバーナヘッド検出手段8を構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態のガスコンロの要部の切断面図。
【図2】本発明の第2実施形態のガスコンロの要部の切断面図。
【符号の説明】
【0025】
3…コンロバーナ、32…バーナボディ、33…バーナヘッド、35…熱電対(火炎検知素子)、6…操作子、7…バルブユニット、73…電磁安全弁、8…バーナヘッド検出手段、9…燃焼制限手段、92…点火操作阻止手段、93…ガス供給停止手段、10…報知器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナボディとバーナボディ上に着脱自在に載置されるバーナヘッドとで構成されるコンロバーナが設けられたガスコンロであって、
バーナボディにバーナヘッドが正しく載置されたことを検出するバーナヘッド検出手段と、
バーナヘッド検出手段でバーナヘッドが正しく載置されたと検出されないときに、コンロバーナを燃焼不能状態にする燃焼制限手段とを備えることを特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
前記燃焼制限手段は、コンロバーナ用の操作子による点火操作を行えないようにする点火操作阻止手段と、コンロバーナにガスが供給されないようにするガス供給停止手段との少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1記載のガスコンロ。
【請求項3】
前記ガス供給停止手段は、コンロバーナ用の操作子による点火操作で押圧開弁され、コンロバーナの火炎検知素子の出力に基づいて開弁保持される電磁安全弁と、バーナヘッド検出手段でバーナヘッドが正しく載置されたと検出されないときに電磁安全弁への通電を断って電磁安全弁を閉弁させる制御手段とで構成され、前記燃焼制限手段として前記点火操作阻止手段を併用することを特徴とする請求項2記載のガスコンロ。
【請求項4】
前記バーナヘッド検出手段でバーナヘッドが正しく載置されたと検出されないときに作動する報知手段を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のガスコンロ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−29612(P2006−29612A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205466(P2004−205466)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】