説明

ガスタービンおよびこれを備えたガス化複合発電プラント

【課題】ガス化複合発電プラントの設置コストの低減と、ガス化複合発電プラントの運転時における信頼性の向上およびプラント効率の改善を図ることが可能なガスタービンおよびこれを備えたガス化複合発電プラントを提供することを目的とする。
【解決手段】燃料ガスを燃焼するガスタービン燃焼器4aと、ガスタービン燃焼器4aから排出される排ガスによって回転駆動されるタービン4bと、タービン4bに接続される回転軸4dと、回転軸4d上に設けられて回転軸4dが駆動されることによって空気を圧縮するガスタービン圧縮機4cと、を備え、ガスタービン圧縮機4cの圧縮過程の中間位置から空気の一部を抽気してガスタービン燃焼器4aへと導き、残りの空気はガスタービン燃焼器4aより高い圧力まで加圧されて抽出され、ガスタービン4の外部で冷却や再圧縮されることなくガス化炉3に供給されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気吹きガス化複合発電プラントに最適なガスタービンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、乾式給炭空気吹きの石炭ガス化複合発電プラントでは、ガスタービンに設けられているガスタービン圧縮機から抽出される圧縮空気をガス化炉へと供給している。ガス化炉に供給される圧縮空気がガス化炉で石炭と反応して生成ガスとなり、ガス精製設備を通過した後には、圧力損失によってガスタービン入口における圧力が不足する。そのため、ガスタービン圧縮機から抽出された圧縮空気は、昇圧機によって再圧縮されてガス化炉へと供給される(例えば、特許文献1から特許文献3)。
【0003】
ガスタービン圧縮機によって圧縮空気は、高温となって吐出される。一方、昇圧機には、導入される空気の入口温度に制限があり、温度を低下させる必要がある。反面、昇圧機によって再圧縮された空気(以下「再圧縮空気」という。)が導かれるガス化炉は、供給される再圧縮空気の温度が高い方が好都合である。そこで、ガス化炉に供給される再圧縮空気の温度を上昇させ、かつ昇圧機に導く圧縮空気の温度を低下させるために、双方で熱交換を行なう再生熱交換器が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−18047号公報
【特許文献2】特開平4−358708号公報
【特許文献3】実開平1−164747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1から特許文献3に記載の発明は、昇圧機、冷却器、再生熱交換器を設けるため、ガス化複合発電プラントの設置コストが高くなるという問題があった。また、設置する機器が増加するために、ガス化複合発電プラントの運転時における信頼性が低下するという問題があった。また、空気を冷却および再加熱する必要があるため、熱損失が発生してガス化複合発電プラントのプラント効率が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ガス化複合発電プラントの設置コストの低減と、ガス化複合発電プラントの運転時における信頼性の向上およびプラント効率の改善を図ることが可能なガスタービンおよびこれを備えたガス化複合発電プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のガスタービンおよびこれを備えたガス化複合発電プラントは、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係るガスタービンによれば、燃料ガスを燃焼して燃焼ガスを発生するガスタービン燃焼器と、該ガスタービン燃焼器により発生した燃焼ガスによって回転駆動されるタービンと、該タービンに接続される回転軸と、該回転軸上に設けられて該回転軸が駆動されることによって空気を圧縮するガスタービン圧縮機と、を備え、該ガスタービン圧縮機の圧縮過程の中間位置から空気の一部を抽気して前記ガスタービン燃焼器へと導き、残りの空気はガスタービン圧縮機の最終段から吐出され、冷却や再圧縮されることなく直接ガス化炉へ導くことを特徴とする。
【0008】
ガスタービン燃焼器には、ガスタービン圧縮機の圧縮過程の中間位置から一部抽気した空気を導くこととした。残りの空気は、ガスタービン圧縮機の残りの高圧段によって再圧縮される。そのため、ガスタービン圧縮機の最終段から導出される空気の吐出圧力を、ガスタービン燃焼器の圧力よりも高くすることができる。そのため、外部に設置した昇圧機等により再度昇圧することなくガス化炉へ供給しても、十分高圧の燃料ガスを発生することができ、圧力損失により圧力が減じてもなお、ガスタービン燃焼器に導入することが可能となる。
【0009】
さらに、本発明に係るガス化複合発電プラントによれば、上記に記載のガスタービンと、石炭をガス化して燃料ガスとするガス化炉と、前記ガスタービンから排出された燃焼ガスと熱交換することによって蒸気を発生する蒸気発生装置と、前記蒸気発生装置により発生した蒸気によって回転駆動される蒸気タービンと、前記ガスタービン又は前記蒸気タービン、あるいはその双方によって駆動されて発電する発電機と、を備え、前記ガスタービン圧縮機の圧縮過程の最後まで圧縮された空気は、冷却や再圧縮されることなく前記ガス化炉に導かれることを特徴とする。
【0010】
ガス化炉には、ガスタービン圧縮機の圧縮過程の最後まで圧縮された空気が導かれる。これにより、ガス化炉内に導く空気を再圧縮する機器を別途設ける必要がない。そのため、機器の数を減らすことができる。したがって、ガス化複合発電プラントの設置コストを低減することができ、かつ、ガス化複合発電プラントの運転に対する信頼性を高めることができる。
【0011】
また、ガス化炉には、ガスタービン圧縮機の圧縮過程の最後まで圧縮された圧力の高い空気が直接導かれる。そのため、昇圧機が不要であり、空気の温度を下げる必要がなく、熱損失が少ない。したがって、ガス化複合発電プラントのプラント効率の改善を図ることができる。
【0012】
また、ガスタービン圧縮機の圧縮過程の最後まで圧縮された空気をガス化炉へ、また圧縮過程の途中まで圧縮された空気をガスタービン燃焼器に導くこととした。そのため、ガスタービン燃焼器において燃焼に必要な空気の圧力と、ガス化炉において必要な空気の圧力とを、一つのガスタービン圧縮機によって同時に発生させることができる。したがって、機器数が減り、ガス化複合発電プラントの設置コストを低減することができる。
【0013】
さらに、本発明に係るガス化複合発電プラントによれば、前記ガスタービン圧縮機によって途中まで圧縮された空気と燃料ガスが燃焼して発生した燃焼ガスが導かれるパワータービンと、該パワータービンに接続されるパワータービン用回転軸と、該パワータービン用回転軸に接続されて該パワータービン用回転軸が駆動されることによって発電するパワータービン用発電機と、を備え、前記パワータービンには、前記ガスタービン圧縮機が吐出する空気の余剰分が導かれることを特徴とする。
【0014】
ガスタービン圧縮機から吐出される空気の余剰分を、パワータービンへと供給することとした。そのため、パワータービンに接続されているパワータービン用発電機を駆動して発電することができる。したがって、ガスタービン圧縮機の空気が余剰しても、そのエネルギーを無駄なく回収でき、ガス化複合発電プラントの発電効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0015】
ガスタービン燃焼器には、ガスタービン圧縮機の圧縮過程の中間位置から一部抽気した空気を導くこととした。残りの空気は、ガスタービン圧縮機の残りの高圧段によって再圧縮される。そのため、ガスタービン圧縮機の最終段から導出される空気の吐出圧力を、ガスタービン燃焼器の圧力よりも高くすることができる。そのため、外部に設置した昇圧機等により再度昇圧することなくガス化炉へ供給しても、十分高圧の燃料ガスを発生することができ、圧力損失により圧力が減じてもなお、ガスタービン燃焼器に導入することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係るガスタービンを備えたガス化複合発電プラントの概略構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係るガスタービンを備えたガス化複合発電プラントの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係るガスタービンを備えたガス化複合発電プラントの概略構成図が示されている。
図1に示されているように、石炭を燃料とする石炭ガス化複合発電プラント(ガス化複合発電プラント)1は、主として、石炭供給設備2と、石炭供給設備2から供給された微粉炭(石炭)をガス化する石炭ガス化炉(ガス化炉)3と、石炭ガス化炉3によってガス化された生成ガスを精製するガス精製装置5と、ガス精製装置5によって精製された生成ガス(以下「燃料ガス」という。)を燃焼して駆動されるガスタービン4と、ガスタービン4から排出される排ガス(燃焼ガス)の熱を利用して発生した蒸気が導かれる蒸気タービン7と、ガスタービン4および蒸気タービン7によって駆動されるガスタービン用発電機8とを備えている。
【0018】
石炭供給設備2は、石炭ガス化炉3の上流側に設けられており、石炭ガス化炉3へと微粉炭を供給する。石炭供給設備2は、原料炭を微粉砕する微粉炭機9と、微粉炭を貯蔵する微粉炭ビン10および微粉炭供給ホッパ11とを備えている。
【0019】
微粉炭機9へと導かれた原料炭は、数μm〜数百μmの微粉炭に粉砕される。微粉炭機9が粉砕した微粉炭は、微粉炭を一時貯蔵する微粉炭ビン10を経て、微粉炭を加圧供給する微粉炭供給ホッパ11へと導かれる。
【0020】
微粉炭供給ホッパ11内の微粉炭は、空気から窒素と酸素とを分離する空気分離装置(図示せず)によって分離された窒素ガスによって一定流量ずつ石炭ガス化炉3へと搬送される。ここで、窒素ガスは、微粉炭を石炭ガス化炉3へと搬送する搬送ガスとして用いられる。
【0021】
石炭ガス化炉3は、下方から上方へとガスが流されるように形成された石炭ガス化部3aと、石炭ガス化部3aの下流側に接続されて上方から下方へとガスが流されるように形成された熱交換部3bとを備えている。
【0022】
石炭ガス化部3aには、下方から、コンバスタ(図示せず)及びリダクタ(図示せず)が設けられている。コンバスタは、微粉炭及びチャーの一部分を燃焼させ、残りは熱分解により揮発分(一酸化炭素,水素,低級炭化水素)として放出させる部分である。コンバスタには、噴流床が採用されている。しかし、流動床式や固定床式であっても構わない。
【0023】
コンバスタ及びリダクタには、それぞれ、コンバスタバーナー(図示せず)及びリダクタバーナー(図示せず)が設けられている。これらのバーナーに対して微粉炭供給ホッパ11から微粉炭が供給される。
コンバスタバーナーには、後述するガスタービン4のガスタービン圧縮機4cによって圧縮された空気が供給されるようになっている。ここで、ガスタービン圧縮機4cから供給される圧縮空気は、ガス化剤として用いられる。
【0024】
リダクタでは、コンバスタからの高温ガスによって微粉炭がガス化される。これにより、微粉炭から一酸化炭素や水素等の可燃性の生成ガスが生成される。石炭ガス化反応は、微粉炭及びチャー中の炭素が高温ガス中の二酸化炭素及び水分と反応して一酸化炭素や水素を生成する吸熱反応である。
【0025】
石炭ガス化炉3のリダクタにおいて生成された生成ガスは、ポーラスフィルタ12へと導かれる。ポーラスフィルタ12は、生成ガスが通過することによって生成ガス中に混在するチャーを捕捉する。ポーラスフィルタ12によって捕捉されたチャーは、チャーを貯蔵するチャービン(図示せず)を経て、チャーを一時的に蓄えるチャー供給ホッパ(図示せず)へと導かれる。チャー供給ホッパに回収されたチャーは、空気分離装置によって分離された窒素ガスによって加圧されると共に石炭ガス化炉3のコンバスタバーナーへと返送されてリサイクルされる。
【0026】
ポーラスフィルタ12を通過した生成ガスには、硫化水素や硫化カルボニルといった硫黄化合物が含まれている。そのため、生成ガスは、ガス精製装置5へ導かれる。ガス精製装置5は、硫化カルボニル変換器(図示せず)と、硫化水素吸収塔(図示せず)と、硫化水素燃焼炉(図示せず)とを備えている。
【0027】
硫化カルボニル変換器は、導かれた生成ガス中の硫化カルボニルを触媒反応によって硫化水素へと変換する。硫化カルボニル変換器によって変換された硫化水素を含む生成ガスは、硫化水素吸収塔へと導かれる。硫化水素吸収塔に導かれた生成ガス中の硫化水素は、ジアチルエタノールアミン(MEDA)系の吸収液によって硫黄分が吸収される。ジアチルエタノールアミン系の吸収液に吸収されて硫黄分が除去された生成ガスは、燃料ガスとなって硫化水素吸収塔から導出される。
一方、ジアチルエタノールアミン系の吸収液に吸収された硫黄分は、硫化水素燃焼炉に導かれて燃焼されて石膏として回収される。
【0028】
硫化水素吸収塔から導出された燃料ガスは、ガス精製装置5からガスタービン4へと導かれる。ガスタービン4に導かれた燃料ガスは、ガスタービン燃焼器4aへと送られる。ガスタービン4は、ガスタービン燃焼器4aと、ガスタービン燃焼器4aから排出される排ガスによって駆動されるタービン4bと、ガスタービン燃焼器4aへと高圧な空気を送り出すガスタービン圧縮機4cとを備えている。
【0029】
ガスタービン燃焼器4aでは、導かれた燃料ガスと、後述する圧縮空気とが燃焼される。燃料ガスと圧縮空気とが燃焼されることによってガスタービン燃焼器4aからは、排ガスが排出される。ガスタービン燃焼器4aから排出された排ガスは、タービン4bへと導かれる。タービン4bに導かれた排ガスは、タービン4bを回転駆動する。タービン4bが排ガスによって駆動されることによって、タービン4bに接続されている回転軸4dが回転駆動される。
【0030】
回転軸4dが回転駆動されることによって、回転軸4d上に設けられているガスタービン圧縮機4cが回転駆動して空気を圧縮する。ガスタービン圧縮機4c内を通過中の空気は、その圧縮過程の中間位置から一部が抽気される。抽気された空気(以下「抽気圧縮空気」という。)の量は、例えば、ガスタービン圧縮機4cに導かれる全空気量の80%である。抽気圧縮空気は、ガスタービン燃焼器4aに燃焼用空気として供給される。
【0031】
ガスタービン圧縮機4cから抽気されなかった残空気は、残りのガスタービン圧縮機4c内を通過して圧縮過程の最後まで圧縮される。ガスタービン圧縮機4cの圧縮過程の最後まで圧縮された空気(以下「最終圧縮空気」という。)は、高い圧力を有してガスタービン圧縮機4cから導出される。ガスタービン圧縮機4cから導出された最終圧縮空気は、全てが石炭ガス化炉3へと導かれる。
【0032】
ガスタービン圧縮機4cおよびタービン4bが設けられている回転軸4d端には、ガスタービン用発電機8が接続されている。そのため、タービン4bの回転駆動に伴い回転軸4dが回転することによって、ガスタービン用発電機8が駆動して電気を発生する。
【0033】
タービン4bを回転駆動させた排ガスは、排熱回収ボイラ(図示せず)へと導かれる。排熱回収ボイラは、タービン4bから導かれた排ガスの熱によって蒸気を発生するものである。排熱回収ボイラにおいて熱を与えた排ガスは、煙突(図示せず)から石炭ガス化複合発電プラント1外へと排出される。
【0034】
排熱回収ボイラにおいてタービン4bから導かれた高温の排ガスによって発生された蒸気は、蒸気タービン7へと供給される。蒸気タービン7は、ガスタービン4と同回転軸4dに接続されており、いわゆる一軸式のコンバインドシステムとなっている。なお、一軸式のコンバインドシステムに限らず、別軸式のコンバインドシステムであっても構わない。
【0035】
タービン4bによって回転駆動されている回転軸4dは、蒸気タービン7によって駆動力が増加する。そのため、回転軸4dが接続されているガスタービン用発電機8の発電量が増加する。
蒸気タービン7を回転駆動した蒸気は、復水器(図示せず)へと導かれる。蒸気タービン7を回転駆動した蒸気は、復水器によって冷却されて水に戻される。復水器によって戻された水は、排熱回収ボイラへと導かれる。
【0036】
次に本実施形態に係るガスタービンと圧縮空気の流れとについて説明する。
ガスタービン4は、ガスタービン燃焼器4aと、ガスタービン燃焼器4aによって燃焼された排ガスによって駆動されるタービン4bと、タービン4bが駆動されることによって空気を圧縮するガスタービン圧縮機4cとを備えている。
【0037】
ガスタービン燃焼器4aでは、導かれた燃料ガスと、ガスタービン圧縮機4cの途中で抽出された抽気圧縮空気とが燃焼して高温の排ガスが発生する。タービン4bは、ガスタービン燃焼器4aから排出された排ガスによって回転駆動される。タービン4bには、回転軸4dが接続されている。また、回転軸4d上には、ガスタービン圧縮機4cが設けられている。
【0038】
タービン4bが排ガスによって回転駆動されることによって、回転軸4dが回転駆動される。回転軸4dが回転駆動されることによって、回転軸4d上に設けられているガスタービン圧縮機4cが回転駆動する。
【0039】
ガスタービン圧縮機4cは、回転駆動することによって空気を圧縮する。ガスタービン圧縮機4cでは、ガスタービン圧縮機4cの圧縮過程の中間位置においてガスタービン圧縮機4cを通過する空気の一部が抽気される。抽気圧縮空気の量は、例えば、ガスタービン圧縮機4cに導かれる全空気量の80%である。抽気された抽気圧縮空気は、ガスタービン燃焼器4aへと導かれる。
【0040】
ガスタービン圧縮機4cにおいて抽気されなかった残空気は、ガスタービン圧縮機4cの圧縮過程の最後まで圧縮される。ガスタービン圧縮機4cから吐出される最終圧縮空気は、高い圧力でガスタービン圧縮機4cから導出される。ガスタービン圧縮機4cから導出された高圧の最終圧縮空気は、石炭ガス化炉3へと導かれる。
【0041】
以上の通り、本実施形態に係るガスタービンおよびこれを備えたガス化複合発電プラントによれば、以下の作用効果を奏する。
ガスタービン燃焼器4aには、ガスタービン圧縮機4cの圧縮過程の中間位置から一部抽気した空気であり抽気圧縮空気を導くこととした。残りの空気は、ガスタービン圧縮機4cの残りの高圧段によって再圧縮される。そのため、ガスタービン圧縮機4cの最終段から導出される最終圧縮空気(空気)の吐出圧力を、ガスタービン燃焼器4cの圧力よりも高くすることができる。そのため、外部に設置した昇圧機等により再度昇圧することなく石炭ガス化炉(ガス化炉)3へ供給しても、十分高圧の燃料ガスを発生することができ、圧力損失により圧力が減じてもなお、ガスタービン燃焼器4aに導入することが可能となる。
【0042】
石炭ガス化炉3には、ガスタービン圧縮機4cの圧縮過程の最後まで圧縮された空気である最終圧縮空気がそのまま導かれる。これにより、石炭ガス化炉3内に導く空気を再圧縮する機器を別途設ける必要がない。そのため、機器の数を減らすことができる。したがって、石炭ガス化発電複合プラント1の設置コストを低減することができ、かつ、石炭ガス化発電複合プラント(ガス化複合発電プラント)1の運転に対する信頼性を高めることができる。
【0043】
また、石炭ガス化炉3には、最終圧縮空気(ガスタービン圧縮機4cの圧縮過程の最後まで圧縮された空気)が直接導かれる。そのため、昇圧機が不要であり、空気の温度を下げる必要がなく、熱損失が少ない。したがって、石炭ガス化複合発電プラント1のプラント効率の改善を図ることができる。
【0044】
また、最終圧縮空気を石炭ガス化炉3へ、また、抽気圧縮空気(圧縮過程の途中まで圧縮された空気をガスタービン燃焼器4aに導くこととした。そのため、ガスタービン燃焼器4aにおいて燃焼に必要な空気の圧力と、石炭ガス化炉3において必要な空気の圧力とを、一つのガスタービン圧縮機4cによって同時に発生させることができる。したがって、機器数が減り、石炭ガス化複合発電プラント1の設置コストを低減することができる。
【0045】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態のガスタービンを備えるガス化複合発電プラントは、ガスタービン圧縮機とガス化炉との間にパワータービンおよびパワータービン用発電機を設ける点で第1実施形態と相違し、その他は同様である。したがって、同一の構成、流れについては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0046】
図2には、本発明の第2実施形態に係るガスタービンを備えたガス化複合発電プラントの概略構成図が示されている。
石炭ガス化炉(ガス化炉)3に導かれる最終圧縮空気の一部は、パワータービン15へと導かれる。パワータービン15には、パワータービン用回転軸17が接続されている。パワータービン用回転軸17の反対端には、パワータービン用発電機16が接続されている。
【0047】
ガスタービン圧縮機4cから石炭ガス化炉3へと導かれる最終圧縮空気は、ガスタービン圧縮機4cと石炭ガス化炉3との間に設けられている流量計18によって流量が計測される。流量計18によって計測された最終圧縮空気の流量がガス化炉の所要流量よりも大きい場合には、ガスタービン圧縮機4cとパワータービン15との間に設けられている制御弁21が開状態となる。
【0048】
制御弁21が開状態となることによって、最終圧縮空気の一部がパワータービン15へと導かれる。最終圧縮空気が導かれたパワータービン15は、最終圧縮空気によって回転駆動される。パワータービン15が回転駆動されるので、パワータービン15に接続されているパワータービン用回転軸17が回転駆動される。パワータービン用回転軸17が回転駆動されることによって、パワータービン用発電機16が駆動されて電気を発生する。
【0049】
以上の通り、本実施形態に係るガスタービンを備えたガス化複合発電プラントによれば、以下の作用効果を奏する。
ガスタービン圧縮機4cから吐出される最終圧縮空気(空気)の余剰分を、パワータービン15へと供給することとした。そのため、パワータービン15に接続されているパワータービン用発電機16を駆動して発電することができる。したがって、ガスタービン圧縮機の最終圧縮空気が余剰しても、そのエネルギーを無駄なく回収でき、石炭ガス化複合発電プラント(ガス化複合発電プラント)1の発電効率を向上することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 石炭ガス化複合発電プラント(ガス化複合発電プラント)
3 石炭ガス化炉(ガス化炉)
4 ガスタービン
4a ガスタービン燃焼器
4b タービン
4c ガスタービン圧縮機
4d 回転軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを燃焼して燃焼ガスを発生するガスタービン燃焼器と、
該ガスタービン燃焼器により発生した燃焼ガスによって回転駆動されるタービンと、
該タービンに接続される回転軸と、
該回転軸上に設けられて該回転軸が駆動されることによって空気を圧縮するガスタービン圧縮機と、を備え、
該ガスタービン圧縮機の圧縮過程の中間位置から空気の一部を抽気してガスタービン燃焼器へと導くガスタービン。
【請求項2】
請求項1に記載のガスタービンと、
石炭をガス化して燃料ガスとするガス化炉と、
前記ガスタービンから排出された燃焼ガスと熱交換することによって蒸気を発生する蒸気発生装置と、
前記回転軸上に設けられて、前記蒸気発生装置により発生した蒸気によって回転駆動される蒸気タービンと、
前記回転軸に接続されて、前記ガスタービン又は前記蒸気タービン、あるいはその双方によって駆動されて発電するガスタービン用発電機と、を備え、
前記ガスタービン圧縮機の圧縮過程の最後まで圧縮された空気は、冷却や再圧縮されることなく前記ガス化炉に導かれるガス化複合発電プラント。
【請求項3】
前記ガスタービン圧縮機によって途中まで圧縮された空気と燃料ガスが燃焼して発生した燃焼ガスが導かれるパワータービンと、
該パワータービンに接続されるパワータービン用回転軸と、
該パワータービン用回転軸に接続されて該パワータービン用回転軸が駆動されることによって発電するパワータービン用発電機と、を備え、
前記パワータービンには、前記ガスタービン圧縮機が吐出する空気の余剰分が導かれる請求項2に記載のガス化複合発電プラント。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−185240(P2011−185240A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54315(P2010−54315)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】