ガスタービン燃焼器の制御装置およびガスタービン燃焼器の制御方法
【課題】本発明の目的は、燃料中の水素濃度の変動に起因してガスタービン燃焼器に信頼性上の問題を回避すると共に、低NOx燃焼性能を維持し得るガスタービン燃焼器の制御装置を提供する。
【解決手段】ガスタービン燃焼器に備えたバーナは燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成し、パイロットバーナに燃料を供給するパイロット燃料供給系統とメインバーナに燃料を供給するメイン燃料供給系統を配設し、少なくともメインバーナに燃料を供給するメイン燃料系統に燃料に含まれる水素濃度を検出する水素濃度検出器を設け、この検出した水素濃度に基づいてパイロット燃料供給系統を通じてパイロットバーナに供給される燃料の流量と、メイン燃料供給系統を通じてメインバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置した。
【解決手段】ガスタービン燃焼器に備えたバーナは燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成し、パイロットバーナに燃料を供給するパイロット燃料供給系統とメインバーナに燃料を供給するメイン燃料供給系統を配設し、少なくともメインバーナに燃料を供給するメイン燃料系統に燃料に含まれる水素濃度を検出する水素濃度検出器を設け、この検出した水素濃度に基づいてパイロット燃料供給系統を通じてパイロットバーナに供給される燃料の流量と、メイン燃料供給系統を通じてメインバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンプラントに設置されたガスタービン燃焼器の燃料流量制御に関し、特に燃料組成に水素を含む燃料によって運転される予混合燃焼方式のガスタービン燃焼器の制御装置およびガスタービン燃焼器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発電コスト低減や資源有効利用のほか地球温暖化防止の観点からも、石油製油所で発生するオフガスや製鉄プロセスで発生するコークス炉ガス(COG:Coke Oven Gas、以下COGと略記する)などの水素(H2)を含む副生ガスを発電用ガスタービンに用いられるガスタービン燃焼器の燃料として有効利用することが求められている。
【0003】
また、豊富な資源である石炭を酸素でガス化して発電する石炭ガス化発電プラント(IGCC:Integrated coal Gasification Combined Cycle、以下IGCCと略記する)では地球温暖化防止の観点より、石炭ガス化発電プラントのガスタービンに供給される燃料中の炭素分を分離・回収するシステムが国内外で検討されている。しかも地球環境保護の観点から石炭ガス化発電プラントの発電効率の向上と汚染排出物質の低減も強く求められている。
【0004】
これらのガスタービン発電プラントでは製油所オフガスやCOGで燃料成分の30%〜60%、二酸化炭素分離回収付IGCCプラントでは燃料のほとんどの成分が水素となる。水素は燃焼速度が速いため、ガスタービン燃焼器内で火炎が燃焼器構造物に接近し信頼性上の問題を引き起こす可能性がある。
【0005】
また、製油所のオフガスやCOGのみならず、IGCCプラントも二酸化炭素回収率の変化によって大きく水素濃度が変化するため、状況によって燃焼速度が増加してガスタービン構造物に火炎が接近し信頼性上の問題を引き起こすことに対処する対策が求められる。
【0006】
上記の課題のうち、水素濃度の変化に対処する技術の一例として特開2007−113487号公報には水素を燃料組成に含む低カロリーガス燃料において、ガスタービン負荷が急落した場合に、別途、水素ガスの必要量を燃料ガスに供給するようにしてガスタービンの失火を回避して燃焼器での安定燃焼を維持する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−113487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特開2007−113487号公報に開示されている技術は、ガスタービン負荷が急落した場合に必要最小出力を維持するものであり、広範な負荷範囲に対して水素濃度の変動に対処する技術は開示されていない。
【0009】
水素は燃焼速度が速いため、ガスタービン燃焼器内で形成される火炎が燃焼器構造物に接近した場合は信頼性上の問題を引き起こす可能性が高い。
【0010】
また、ガスタービン燃焼器の構造物に火炎の接近が起きないようにガスタービン燃焼器を設計した場合であっても、製油所のオフガスやCOGのみならず、IGCCプラントも二酸化炭素回収率の変化によって燃料ガスに含まれる水素濃度が大きく変化するため、水素濃度の変化の状況に応じてガスタービン燃焼器の構造物に火炎が接近することに対処することが求められる。
【0011】
燃料ガスに含まれる水素濃度の変化に対してガスタービン燃焼器の信頼性を確保する燃焼方式としては、ガスタービン燃焼器の燃焼室に直接燃料のみを投入し、燃焼室内で燃料と空気の混合を行う拡散燃焼方式が有力であるが、この燃焼方式では最も燃焼しやすい混合気に対して火炎が形成されるため火炎温度が高くなり窒素酸化物(NOx)排出量が増大しやすい。
【0012】
地球環境保護の観点からは二酸化炭素削減の他に、酸性雨や光化学スモッグの主要な原因物質となるNOxの低減も重要であり、幅広い水素濃度の変動に対応し、かつ低NOx燃焼を行うガスタービン燃焼器の燃焼方式が必要となっている。
【0013】
一方、低NOx燃焼を行うには燃料と空気を予め燃料が量論混合比よりも希薄となるよう混合してガスタービン燃焼器に供給する予混合燃焼方式が有力であるが、この予混合燃焼方式ではガスタービン燃焼器の燃焼室に流入する前から可燃範囲の混合気が形成されているため、燃料ガスに含まれる水素濃度が変化すると燃焼室で形成される火炎の位置がガスタービン燃焼器の構造物に接近するのでガスタービン燃焼器の信頼性上の問題を引き起こす可能性が高くなる。
【0014】
本発明の目的は、燃料中に含まれる水素濃度が変動する燃料をガスタービン燃焼器に用いた場合に、水素濃度の変動に起因して形成される火炎がガスタービン燃焼器の構造物に接近して信頼性上の問題を引き起こすことを回避すると共に、低NOx燃焼性能を維持し得る予混合燃焼方式のガスタービン燃焼器の制御装置およびガスタービン燃焼器の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のガスタービン燃焼器の制御装置は、燃料組成に水素を含む燃料を燃焼するバーナを備えたガスタービン燃焼器の制御装置において、ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成し、ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料を供給するメイン燃料供給系統をそれぞれ配設し、ガスタービン燃焼器の少なくともメインバーナに燃料を供給する前記メイン燃料系統に燃料に含まれる水素濃度を検出する水素濃度検出器を設け、前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて前記パイロット燃料供給系統を通じて前記パイロットバーナに供給される燃料の流量と、前記メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とする。
【0016】
また本発明のガスタービン燃焼器の制御装置は、燃料組成に水素を含む燃料と、燃料組成に水素を含まない起動用燃料を燃焼するバーナを備えたガスタービン燃焼器の制御装置において、ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成し、ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料組成に水素を含まない起動用燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料組成に水素を含む燃料を供給するメイン燃料供給系統をそれぞれ配設し、前記メイン燃料系統に燃料に含まれる水素濃度を検出する酸素濃度検出器を設け、前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて前記メイン燃料系統を通じて前記メインバーナに供給される燃料の流量と、前記パイロット燃料系統を通じて前記パイロットバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とする。
【0017】
また本発明のガスタービン燃焼器の制御装置は、燃料組成に水素を含む燃料と、燃料組成に水素を含まない起動用燃料を燃焼するバーナを備えたガスタービン燃焼器の制御装置において、ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成し、ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料組成に水素を含まない起動用燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料組成に水素を含む燃料を供給するメイン燃料供給系統をそれぞれ配設し、前記メインバーナは複数の燃料ノズルと前記燃料ノズルに対応して空気プレートに形成された複数の空気孔とが同軸に構成されて該前記メインバーナの内周側と外周側とに配置された同軸ノズルバーナを構成しており、前記メイン燃料供給系統は前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する内周側メイン燃料供給系統と、前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する外周側メイン燃料供給系統とを備えており、前記メイン燃料系統に燃料に含まれる水素濃度を検出する酸素濃度検出器を設け、前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて外周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量と、前記内周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とする。
【0018】
また本発明のガスタービン燃焼器の制御装置は、石炭から石炭ガスを生成する石炭ガス化炉と、石炭ガス化炉で生成した石炭ガスから二酸化炭素と水素を生成するシフト反応器と、石炭ガス化炉で生成した石炭ガスとシフト反応器で生成した水素とを含んだ石炭ガス化燃料を燃焼するガスタービン燃焼器を有するガスタービンを備えた二酸化炭素回収付IGCCプラントであって、燃料組成に水素を含む燃料と、燃料組成に水素を含まない起動用燃料を燃焼するバーナを備えたガスタービン燃焼器の制御装置において、ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成し、ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料組成に水素を含まない起動用燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料組成に水素を含む燃料を供給するメイン燃料供給系統をそれぞれ配設し、前記メインバーナは複数の燃料ノズルと前記燃料ノズルに対応して空気プレートに形成された複数の空気孔とが同軸に構成されて該前記メインバーナの内周側と外周側とに配置された同軸ノズルバーナを構成しており、前記メイン燃料供給系統は前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する内周側メイン燃料供給系統と、前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する外周側メイン燃料供給系統とを備えており、前記メイン燃料系統に燃料に含まれる水素濃度を検出する酸素濃度検出器を設け、前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて外周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量と、前記内周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とする。
【0019】
本発明のガスタービン燃焼器の制御方法は、ガスタービン燃焼器に備えたバーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成して、燃料組成に水素を含む燃料を前記バーナで燃焼するガスタービン燃焼器の制御方法において、ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料を供給するメイン燃料供給系統とがそれぞれ配設されており、ガスタービン燃焼器の少なくともメインバーナに燃料を供給する前記メイン燃料系統に設けた水素濃度検出器によって燃料に含まれる水素濃度を検出し、前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて前記パイロット燃料供給系統を通じて前記パイロットバーナに供給される燃料の流量と、前記メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とする。
【0020】
また本発明のガスタービン燃焼器の制御方法は、ガスタービン燃焼器に備えたバーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成して、燃料組成に水素を含む燃料を前記バーナで燃焼するガスタービン燃焼器の制御方法において、ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成されており、ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料組成に水素を含まない起動用燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料組成に水素を含む燃料を供給するメイン燃料供給系統とがそれぞれ配設されており、前記メイン燃料系統に設けた酸素濃度検出器によって燃料に含まれる水素濃度を検出し、前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて前記メイン燃料系統を通じて前記メインバーナに供給される燃料の流量と、前記パイロット燃料系統を通じて前記パイロットバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とする。
【0021】
また本発明のガスタービン燃焼器の制御方法は、ガスタービン燃焼器に備えたバーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成して、燃料組成に水素を含む燃料を前記バーナで燃焼するガスタービン燃焼器の制御方法において、ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成されており、ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料組成に水素を含まない起動用燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料組成に水素を含む燃料を供給するメイン燃料供給系統をそれぞれ配設し、前記メインバーナは複数の燃料ノズルと前記燃料ノズルに対応して空気プレートに形成された複数の空気孔とが同軸に構成されて該前記メインバーナの内周側と外周側とに配置された同軸ノズルバーナによって構成されており、前記メイン燃料供給系統として前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する内周側メイン燃料供給系統と、前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する外周側メイン燃料供給系統とが配設されており、前記メイン燃料系統に設けた酸素濃度検出器によって燃料に含まれる水素濃度を検出し、前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて外周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量と、前記内周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、燃料中に含まれる水素濃度が変動する燃料をガスタービン燃焼器に用いた場合に、水素濃度の変動に起因して形成される火炎がガスタービン燃焼器の構造物に接近して信頼性上の問題を引き起こすことを回避すると共に、低NOx燃焼性能を維持し得る予混合燃焼方式のガスタービン燃焼器の制御装置およびガスタービン燃焼器の制御方法が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置が適用されるガスタービン発電プラントの概略構成図。
【図2】図1に示した第1実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置の詳細構成図。
【図3】図2に示した第1実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置によって制御した場合の燃料流量の変化をガスタービン運転回転数およびガスタービン負荷に対して示した制御特性図。
【図4】図2に示した第1実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置によって制御した場合の定格負荷における水素濃度の変化に対する燃料供給量の配分の変化の状況を示す特性図。
【図5】本発明の第2実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置が適用されるガスタービン発電プラントの概略構成図。
【図6】図5に示した第2実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置の詳細構成図。
【図7】本発明の第3実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置が適用されるガスタービン発電プラントの概略構成図。
【図8】図7に示した第3実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置の詳細構成図。
【図9】図7に示した第3実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置によって制御した場合の定格負荷における水素濃度の変化に対するメインバーナ内外周の燃料配分の変化の状況を示す特性図。
【図10】本発明の第4実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置が適用される二酸化炭素回収付IGCCプラントの概略構成図。
【図11】図10に示した第4実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置の詳細構成図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置及びガスタービン燃焼器の制御方法について図面を用いて以下に説明する。
【実施例1】
【0025】
本発明の第1実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置及びガスタービン燃焼器の制御方法について図1、図2および図3を用いて説明する。図1は本発明の第1実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置が適用されるガスタービン発電プラントの構成を示した概略図である。
【0026】
図1において、ガスタービン発電プラントは圧縮機5により外気を吸入して圧縮し、圧縮機5で圧縮した圧縮空気10をガスタービンの車室7に導いて燃焼用空気12としてガスタービン燃焼器1aに供給し、このガスタービン燃焼器1aで外部から供給される燃料14と燃焼用空気12とを燃焼させて発生させた高温高圧の燃焼ガス13をタービン6に流入させて回転動力を取り出し、発電機30を駆動して発電する。
【0027】
ガスタービン燃焼器1aは燃焼器外筒2の内部には内側に燃焼室1を形成する燃焼器ライナー3が設置されており、燃料14と燃焼用空気12とを前記燃焼器ライナー3の内部の燃焼室1で燃焼させて高温高圧の燃焼ガス13を形成する円筒構造となっている。
【0028】
前記ガスタービン燃焼器1aの燃焼器ライナー3は、円筒形状の燃焼器出口とタービン6の静翼入口形状とを滑らかに連結するために設置された燃焼器尾筒4によってタービン6と取り合っている。
【0029】
ガスタービン燃焼器1aの燃焼に用いられる燃焼用空気12は、燃焼器外筒2と燃焼器ライナー3との間に形成された環状の空間を通って供給されるが、ガスタービン燃焼器1aの頭部先端に設けた燃焼器エンドカバー8によってせき止められ、燃焼器ライナー3の外周に多数開口した燃焼用空気孔からパイロットバーナ及びメインバーナ23にそれぞれ流入する。
【0030】
ガスタービン燃焼器1aの燃焼に用いられる水素を含む燃料14は、燃焼器エンドカバー8外部からエンドカバー8内部に設けた分配流路を通ってパイロットバーナ22及びメインバーナ23に配分される。
【0031】
本実施例に示すガスタービン燃焼器1aでは、中央に拡散燃焼方式を採用したパイロットバーナ22が設置され、このパイロットバーナ22の外周側に予混合燃焼方式を採用したメインバーナ23を複数個配置した構造となっている。
【0032】
水素を含む燃料14は燃料圧縮機101によって燃焼器内圧力より高い圧力まで加圧され、遮断弁103を備えた燃料供給系統14aに供給される。
【0033】
この水素を含む燃料14の水素濃度は燃料圧縮機101で加圧された燃料14を供給する燃料供給系統14aに設けた水素濃度検知手段102によって検出され、検出された燃料14の水素濃度検出値がガスタービン燃焼器1aの燃焼を制御する燃料供給制御装置100に入力される。
【0034】
燃料供給系統14aは途中から拡散燃焼方式を採用したパイロットバーナ22に燃料を供給するパイロット燃料供給系統122と、予混合燃焼方式を採用したメインバーナ23に燃料を供給するメイン燃料供給系統123に分かれて水素を含む燃料14を供給する。
【0035】
パイロット燃料供給系統122にはパイロット燃料圧力調整弁105及びその下流側に位置するパイロット燃料流量調整弁106が備えられている。
【0036】
メイン燃料供給系統123には同様にメイン燃料供給圧力調整弁107及びその下流側に位置するメイン燃料流量調整弁108が備えられている。
【0037】
前記制御装置100によるガスタービン燃焼器1aの燃焼を制御するために、この制御装置100で演算した指令信号(詳細については後述する)に基づいて、パイロット燃料圧力調整弁105及びパイロット燃料流量調整弁106の開度を調節してパイロット燃料供給系統122を通じてパイロットバーナ22に供給する燃料の流量を制御すると共に、メイン燃料圧力調整弁107及びメイン燃料流量調整弁108の開度を調節してメイン燃料供給系統123を通じてメインバーナ23に供給する燃料の流量を制御するように構成されている。
【0038】
本実施例のガスタービン燃焼器1aでは燃料14の緊急遮断応答性を確保するため遮断弁103を独立して燃料供給系統14aに設置しているが、燃料供給系統の簡素化のために燃料遮断弁103の機能をパイロット燃料圧力調整弁105およびメイン燃料圧力調整弁107に持たせても良い。
【0039】
図2は図1に示した第1実施例であるガスタービン発電プラントに備えられたガスタービン燃焼器の燃焼を制御する制御装置の詳細を示す構成図である。
【0040】
図2に示したガスタービン燃焼器1aの燃焼を制御する制御装置100には基準燃料流量演算器305が設置されており、この基準燃料流量演算器305によって運転指令信号301とガスタービンの回転数信号302を参照して定まる目標運転状態に対する状態から燃料流量の指令値を演算し、この基準燃料流量演算器305で演算された燃料流量の指令値に基づいて前記パイロット燃料圧力調整弁105及びパイロット燃料流量調整弁106、並びに前記メイン燃料圧力調整弁107及びメイン燃料流量調整弁108の開度をそれぞれ調節してガスタービン燃焼器1aのパイロットバーナ22及びメインバーナ23に供給する燃料の流量をそれぞれ調節することにより、ガスタービン発電プラントのガスタービン燃焼器1aの燃焼を制御してガスタービン回転数および発電負荷を所望の状態に制御して運転する。
【0041】
詳細に説明すると、運転指令信号301及びガスタービンの回転数信号302に基づいて前記制御装置100に設けた基準燃料流量演算器305によって演算され出力された基準ガスタービン投入燃料信号306の一方は、パイロット燃料供給信号315を演算する演算系統を構成するパイロット燃料制限器314に入力して該パイロット燃料制限器314にて演算したパイロット燃料供給信号315を出力するように構成されると共に、メイン燃料供給信号325を演算する演算系統を構成する基準メイン燃料流量演算器307及びメイン燃料制限器321に入力して該メイン燃料制限器321にて演算したメイン燃料供給信号325を出力するように構成される。
【0042】
パイロット燃料供給信号315を演算するためには、図1に示す燃料供給系統14aに設けた水素濃度検知器102によって検知した水素濃度信号304を入力して前記制御装置100に設置した投入燃料水素濃度バイアス算出器308により算出した基準ガスタービン投入燃料信号補正値309と、前記基準燃料流量演算器305により算出した基準ガスタービン投入燃料信号306とを加算器310で加算することによって、燃料14に含まれた水素濃度の変化に伴う燃料発熱量の変動を補正したガスタービン投入燃料信号311を算出する。
【0043】
この加算器310で加算したガスタービン投入燃料信号311に対してさらに減算器312によって前記基準メイン燃料流量演算器307とメイン燃料制限器321で演算したメイン燃料供給信号325を減算してパイロット燃料供給元信号313に変換し、このパイロット燃料供給元信号313を制御装置100に設置したパイロット燃料制限器314に入力して該パイロット燃料制限器314の演算によってパイロット燃料供給信号315がガスタービンの運転状態および燃料14の水素濃度によって定まるパイロット燃料供給信号の上限および下限の間の値になるように該パイロット燃料制限器314にて補正演算し、このパイロット燃料制限器314からパイロット燃料供給信号315を出力するように構成している。
【0044】
そして、この演算したパイロット燃料供給信号315に基づいて制御装置100から指令信号をパイロット燃料供給系統122に設置したパイロット燃料圧力調整弁105及びパイロット燃料流量調整弁106に伝達してこれらのパイロット燃料圧力調整弁105及びパイロット燃料流量調整弁106の開度を調節し、パイロット燃料供給系統122を通じてパイロットバーナ22に供給する燃料流量を制御する。
【0045】
パイロット燃料制限器314に対する水素濃度バイアス329は水素濃度信号304を入力として制御装置100に設置したパイロット燃料制限補正値演算器328で算出して前記パイロット燃料制限器314に入力するように構成されている。
【0046】
一方、前記制御装置100に設けた基準燃料流量演算器305によって演算されて出力された基準ガスタービン投入燃料信号306の他方は、メイン燃料供給信号325を演算するために設置された基準メイン燃料流量演算器307に入力し、該基準メイン燃料流量演算器307によって基準ガスタービン投入燃料信号306に基づいて基準メイン燃料流量316を演算する。
【0047】
さらに水素濃度検知器102によって燃料14中の水素濃度を検出した水素濃度信号304を入力してメイン燃料水素濃度バイアス算出器317により算出されたメイン燃料流量補正値318と、前記基準メイン燃料流量316とを加算器319で加算して、水素濃度の変化に伴う燃料発熱量の変動を補正したメイン燃料元流量320を算出する。
【0048】
予混合燃焼方式を採用したメインバーナ23では燃料14と燃焼用空気12を予め混合してからガスタービン燃焼器1aのガスタービン燃焼室1に供給するため、安定な燃焼状態を得るためには燃料流量に上限値と下限値が存在し、かつその範囲が拡散燃焼を採用したパイロットバーナ22よりも狭い特徴がある。
【0049】
この安定な燃焼状態を得る範囲は燃料14に含まれる水素濃度により変化するので、前記制御装置100に設置したメイン燃料制限器321にて前記メイン燃料供給元流量320に基づいて演算したメイン燃料流量を、上記の安定範囲内の燃料流量になるように水素濃度検知器102によって検知された高い濃度の水素濃度信号304を入力して前記制御装置100に設置したメイン燃料安定範囲算出器326で燃焼の安定範囲を算出して得たメイン燃料安定範囲バイアス327を該メイン燃料制限器321に入力して補正したメイン燃料流量信号322を算出する。
【0050】
ガスタービン燃焼器1aのメインバーナ23は上記のように安定して運用できる範囲が狭いため、ガスタービン運転計画とガスタービン運転回転数302を参照して前記制御装置100に設置した比較器323でメインバーナ23の運用可否を判定し、運用可能であればメイン燃料流量信号322を、運用不可能であれば燃料流量0を信号切替器324によって切り替えてメイン燃料供給信号325として前記制御装置100から指令信号として出力する。
【0051】
このメイン燃料供給信号325に基づいてガスタービン燃焼器1aのメイン燃料圧力調整弁107およびメイン燃料流量調整弁108の開度を調節してメイン燃料供給系統123をじてメインバーナ23に供給する燃料流量を制御する。
【0052】
図3は図2に示した第1実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置によって制御した場合の燃料流量の変化をガスタービン運転回転数およびガスタービン負荷に対して示した制御特性図を示している。図3の特性図からは上述のように予混合燃焼方式を採用したガスタービン燃焼器1aのメインバーナ23は安定に運用できる範囲が拡散燃焼方式を採用したパイロットバーナ22に比較して狭いので、ガスタービン燃焼器1aに供給する燃料14の燃料流量がガスタービンの回転数が定格まで昇速して所定の流量値GfSWに到達するまではパイロットバーナ22単独でガスタービン燃焼器1aを起動する。
【0053】
そして、供給する燃料14の燃料流量が前記流量値GfSWよりも増加した以降の定格負荷までのガスタービン燃焼器1aの運転は予混合燃焼方式を採用したNOx排出量の小さいメインバーナ23への燃料供給GfMがほとんどを占め、パイロットバーナ22には保炎に必要な最低限の燃料流量GfPを供給する運転形態となっている。
【0054】
図4は図2に示した第1実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置100によって制御した場合の定格負荷における水素濃度の変化に対する燃料供給量の配分の変化の状況を示す特性図である。
【0055】
図4の横軸は燃料14に含まれた水素濃度であり、縦軸はガスタービン燃焼器1aのパイロットバーナ22とメインバーナ23との全体に供給される燃料14のうち、パイロットバーナ22に供給される燃料の割合をパイロット燃料比率として示している。
【0056】
図4の特性図において、燃料14に含まれる水素濃度が低い場合には燃焼速度が遅く、ガスタービン燃焼器1aのガスタービン燃焼室1内に形成される火炎の位置はガスタービン燃焼室1内の下流側に流されるので、より強く保炎しないと火炎が吹き消えを起こし、大量の未燃排出物を発生するなどの問題が起きる可能性がある。
【0057】
このため燃料14に含まれる水素濃度が低い場合には拡散燃焼方式を採用したパイロットバーナ22により多くの燃料を供給するようにバイアスがかかり、結果としてパイロット燃料比率はPM_aまで増加する。
【0058】
しかしながらこの場合には燃料14に含まれる水素濃度が低いので予混合燃焼方式を採用しているメインバーナ23でのNOx排出量が小さいだけでなく、拡散燃焼方式のパイロットバーナ22でも火炎の集中の度合いが弱まるのでNOx排出量が大きく増大することがない。
【0059】
燃料14に含まれる水素濃度が増加すると燃焼速度が速くなるのでガスタービン燃焼室1内に形成される火炎の位置が徐々にガスタービン燃焼室1内の上流側に移動するので、吹き消えの可能性が小さくなる。
【0060】
そこで、予混合燃焼方式を採用しているメインバーナ23には、より多くの燃料を供給し、拡散燃焼方式を採用したパイロットバーナ22には燃料の供給を減少させるので、パイロットバーナ22に供給する保炎のための燃料流量はPM_bまで削減することができ、拡散燃焼方式のパイロットバーナ22において最も燃焼が容易な条件で燃焼する燃料量が減少するので排出NOxがさらに減少する。
【0061】
水素濃度検知器102によって検出する燃料14中の水素濃度信号304が減少した場合には、前記制御装置100に設けた投入燃料水素濃度バイアス算出器308によって基準ガスタービン投入燃料信号補正値309を演算し、基準燃料流量演算器305で演算した基準ガスタービン投入燃料信号306に対して加算器310にてこの基準ガスタービン投入燃料信号補正値309を加算することで、燃料14に含まれた水素濃度の減少に伴う燃料発熱量の変動を補正したガスタービン投入燃料信号311を算出する。
【0062】
この補正されたガスタービン投入燃料信号311は減算器312によって基準メイン燃料流量演算器307とメイン燃料制限器321で演算したメイン燃料供給信号325を減算してパイロット燃料供給元信号313に変換し、このパイロット燃料供給元信号313をパイロット燃料制限器314に入力して該パイロット燃料制限器314の演算によってパイロット燃料供給信号315がガスタービンの運転状態および燃料14の水素濃度によって定まるパイロット燃料供給信号の上限および下限の間の値になるように該パイロット燃料制限器314にて補正演算し、このパイロット燃料制限器314からパイロット燃料供給信号315を出力する。
【0063】
また、水素濃度検知器102によって検出する燃料14中の水素濃度信号304が増加した場合に、前記制御装置100に設けたメイン燃料水素濃度バイアス算出器317によってメイン燃料流量補正値318を演算し、基準ガスタービン投入燃料信号306に基づいて基準メイン燃料流量演算器307にて演算された基準メイン燃料流量316に対して加算器319で前記メイン燃料流量補正値318を加算して水素濃度の減少に伴う燃料発熱量の変動を補正したメイン燃料元流量320を算出する。
【0064】
このメイン燃料元流量320は次にメイン燃料制限器321によって上記の安定範囲内の燃料流量になるようにメイン燃料安定範囲算出器326で燃焼の安定範囲を算出して得たメイン燃料安定範囲バイアス327を入力して補正したメイン燃料流量信号322を算出し、比較器323でメインバーナ23の運用可否の判定に基づいた信号切替器324を経由してこのメイン燃料流量信号322をメイン燃料供給信号325として前記制御装置100から指令信号として出力する。
【0065】
即ち、上記説明のように制御することによって、燃料14中の水素濃度信号304が減少した場合には、基準燃料流量演算器305で演算した基準ガスタービン投入燃料信号306に対して、投入燃料水素濃度バイアス算出器308で演算した基準ガスタービン投入燃料信号補正値309を加算したガスタービン投入燃料信号311を得るが、これがパイロット燃料供給元信号313を経由してパイロットバーナ22に供給するパイロット燃料の指令となるパイロット燃料供給信号315となって、このパイロット燃料供給信号315を増加させるように働く。
【0066】
更に、基準ガスタービン投入燃料信号306に基づいて基準メイン燃料流量演算器307で演算した基準メイン燃料流量316に対して、メイン燃料水素濃度バイアス算出器317で演算したメイン燃料流量補正値318を加算してメイン燃料元流量320を得るが、これがメインバーナ23に供給するメイン燃料の指令となるメイン燃料供給信号325となって、このメイン燃料供給信号325を減少させるように働く。
【0067】
この結果、前記メイン燃料供給信号325に対するパイロット燃料供給信号315の燃料比率が増加するので、燃料中の水素濃度が減少した場合でもガスタービン燃焼器の燃焼は安定燃焼範囲内に制御することが可能となり、ガスタービン燃焼器の安定燃焼を実現することができる。
【0068】
これに対して水素濃度検知器102によって検出する燃料14中の水素濃度信号304が増加した場合には、前記制御装置100に設けたメイン燃料安定範囲算出器326によって燃焼の安定範囲を算出したメイン燃料安定範囲バイアス327を演算し、このメイン燃料安定範囲バイアス327を前記メイン燃料制限器321に入力して補正したメイン燃料流量信号322を得ている。
【0069】
前記メイン燃料流量信号322は信号切替器324を経由してメイン燃料供給信号325として出力され、制御装置100の信号切替器324から出力されたこのメイン燃料供給信号325に基づいてメイン燃料供給系統123に設置したメイン燃料圧力調整弁107及びメイン燃料流量調整弁108の開度を調節してメイン燃料供給系統123を通じてメインバーナ23に供給する燃料の流量が減少するように制御している。
【0070】
また、水素濃度検知器102によって検出する燃料14中の水素濃度信号304が増加した場合に、前記制御装置100に設けたパイロット燃料制限補正値演算器328によって燃焼バランスを調節するパイロット燃料制限器水素濃度バイアス329を演算し、このパイロット燃料制限器水素濃度バイアス329を前記パイロット燃料制限器314に入力して該パイロット燃料制限器314にて運転状態によって定まるパイロット燃料供給信号の上限および下限の間の値になるようにパイロット燃料供給信号315を演算して出力する。
【0071】
そして前記制御装置100のパイロット燃料制限器314から出力されたこのパイロット燃料供給信号315に基づいてパイロット燃料供給系統122に設置したパイロット燃料圧力調整弁105及びパイロット燃料流量調整弁106の開度を調節してパイロット燃料供給系統122を通じてパイロットバーナ22に供給する燃料の流量も減少するように制御している。
【0072】
即ち、上記説明のように制御することによって、燃料14中の水素濃度信号304が増加した場合には、基準ガスタービン投入燃料信号306に基づいて基準メイン燃料流量演算器307で演算した基準ガスタービン投入燃料信号306に対して、メイン燃料安定範囲算出器326で燃焼の安定範囲を算出して得たメイン燃料安定範囲バイアス327を入力してメイン燃料流量信号322を算出し、比較器323でメインバーナ23の運用可否の判定に基づいた信号切替器324を経由してこのメイン燃料流量信号322がメイン燃料供給信号325となるので、前記メイン燃料供給信号325を増加するように働く。
【0073】
更に、基準燃料流量演算器305で演算した基準ガスタービン投入燃料信号306に基づいたパイロット燃料供給元信号313に対して、パイロット燃料制限補正値演算器328で演算した燃焼バランスを調節するパイロット燃料制限器水素濃度バイアス329をパイロット燃料制限器314に入力し、このパイロット燃料制限器314にて運転状態によって定まるパイロット燃料供給信号の上限および下限の間の値になるように、前記パイロット燃料供給元信号313に基づいてパイロット燃料供給信号315を演算して出力するので、前記パイロット燃料供給信号315を減少するように働く。
【0074】
この結果、前記メイン燃料供給信号325に対するパイロット燃料供給信号315の燃料比率が減少するので、燃料中の水素濃度が増加した場合はガスタービン燃焼器の燃焼火炎の位置を燃焼室内の下流側に移動させることが可能となり、ガスタービン燃焼器の信頼性を確保することが実現ができる。
【0075】
ところで、ガスタービン燃焼器1aに供給される燃料14に含まれる水素濃度がある程度以上高くなると、予混合燃焼方式を採用したメインバーナ23においてガスタービン燃焼室1内に形成される火炎の位置がバーナ構造物のごく近くまで接近するようになるため、メインバーナ23で信頼性上の問題が起きることを避けるためにメインバーナ23の混合気中の燃料濃度(あるいは水素濃度)を、制限値よりも下側に抑制する必要がある。
【0076】
そこで、上記した本発明の実施例であるガスタービン燃焼器1aの制御装置100においては、燃料14に含まれる水素濃度が所定値を超えて高くなった場合に、上記した構成によって説明したようにガスタービン燃焼器1aのメインバーナ23に供給する燃料流量の供給量を制限するように制御している。
【0077】
このような制御を行った結果、パイロットバーナ22の燃料比率は再びPM_cまで増加することとなるが、但し、この場合でもメインバーナ23での燃料の燃焼量はガスタービン燃焼器1aの信頼性上許容できる範囲で確保されており、同様の燃料を全て拡散燃焼のバーナで処理した場合に比較してNOx排出量は大幅に低く抑制することが可能となる。
【0078】
本実施例によれば、燃料中に含まれる水素濃度が変動する燃料をガスタービン燃焼器に用いた場合に、水素濃度の変動に起因して形成される火炎がガスタービン燃焼器の構造物に接近して信頼性上の問題を引き起こすことを回避すると共に、低NOx燃焼性能を維持し得る予混合燃焼方式のガスタービン燃焼器の制御装置およびガスタービン燃焼器の制御方法が実現できる。
【実施例2】
【0079】
次に本発明の第2実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置及びガスタービン燃焼器の制御方法について図5および図6を用いて説明する。
【0080】
図5は本発明の第2実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置が適用されるガスタービン発電プラントの構成を示した概略図である。
【0081】
本実施例のガスタービン燃焼器の制御装置は図1乃至図4に示した本発明の第1実施例のガスタービン燃焼器の制御装置と基本的な構成は同じなので、両者に共通する構成及び作用の説明は省略し、相違する構成についてのみ以下に説明する。
【0082】
図5に示した第2実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置においては、パイロットバーナ23に対して、燃料に水素を含まず組成の安定している別の燃料を起動用燃料15として起動用燃料遮断弁104と、この起動用燃料遮断弁104の下流側に起動用燃料圧力調整弁105及び起動用燃料流量調整弁106をそれぞれ備えたパイロット燃料供給系統122を通じて前記起動用燃料15を供給するように構成している点が先の実施例1のガスタービン燃焼器の制御装置と異なっている。
【0083】
図6は図5に示した第2実施例であるガスタービン発電プラントに備えられたガスタービン燃焼器の燃焼を制御する制御装置の詳細を示す構成図である。
【0084】
図6に示したガスタービン燃焼器1aの燃焼を制御する制御装置100aにおいては、ガスタービン燃焼器1aの起動用燃料15を水素を含まず燃料組成の安定した燃料としたため、制御装置100aに設置された基準燃料流量演算器305aはガスタービン運転状況に応じてパイロット燃料元流量315aと基準メイン燃料流量316を同時に算出することができる。
【0085】
図6に示した本実施例の制御装置100aでは、図2に示した第1実施例の制御装置100における基準メイン燃料流量演算器307及び基準ガスタービン投入燃料信号補正値309を演算する投入燃料水素濃度バイアス算出器308を備えていない構成となっている。
【0086】
そして本実施例の制御装置100aにおいて、パイロット燃料供給信号315cを演算する演算系統を構成する前記メイン燃料制限器321で算出したメイン燃料供給信号325を、燃料の発熱量を考慮したゲイン演算器330によって水素濃度の変化に伴う燃料発熱量の変動を加味してガスタービン投入発熱量の変動のパイロット燃料流量の補正値331に変換し、減算器332でパイロット燃料元流量315aから前記補正値331を減算することによりパイロット燃料供給元信号315bとする。
【0087】
このパイロット燃料供給元信号315bをパイロット燃料制限器314bで運転状態によって定まるパイロット燃料供給信号の上限および下限の間の値になるよう補正して、パイロット燃料供給信号315cとして出力し、このパイロット燃料供給信号315cに基づいてパイロット燃料圧力調整弁105およびパイロット燃料流量調整弁106の開度を変化させてパイロットバーナ22に供給する燃料流量を制御する。
【0088】
一方、メイン燃料供給信号325を算出する演算系統を構成する基準燃料流量演算器305aで基準メイン燃料流量316を算出する。そして実施例1の制御装置100と同様に、燃料供給系統14aに設けた水素濃度検知器102によって検知した水素濃度信号304に基づきメイン燃料水素濃度バイアス算出器317により算出されたメイン燃料流量補正値318とこの基準メイン燃料流量316を加算器319にて加算し、水素濃度の変化に伴う燃料発熱量の変動を補正したメイン燃料元流量320とする。
【0089】
更に、水素濃度信号304に基づきメイン燃料安定範囲算出器326にて算出したメイン燃料安定範囲バイアス327によって前記メイン燃料元流量320をメイン燃料制限器321にて補正し、メイン燃料流量信号322を算出する。
【0090】
そして、信号切替器324で運用可能であればメイン燃料流量信号322を、運用不可能であれば燃料流量0をメイン燃料供給信号325として前記制御装置100aから指令信号として出力する。
【0091】
この信号切替器324を経たメイン燃料供給信号325に基づいてガスタービン燃焼器1aのメイン燃料圧力調整弁107およびメイン燃料流量調整弁108の開度を調節してメイン燃料供給系統123をじてメインバーナ23に供給する燃料流量を制御する。
【0092】
本実施例の制御装置100aにおいて、燃料14中の水素濃度信号304が減少した場合には、基準燃料流量演算器305aで演算したパイロット燃料元流量315aに対して、メイン燃料水素濃度バイアス算出器317で演算したメイン燃料流量補正値318を加算してメイン燃料元流量320を得るが、これがメインバーナ23に供給するメイン燃料の指令となるメイン燃料供給信号325となって、このメイン燃料供給信号325を減少させるように働く。
【0093】
この結果、パイロット燃料供給信号315cに対するメイン燃料供給信号325の燃料比率が減少するので、燃料中の水素濃度が減少した場合でもガスタービン燃焼器の燃焼は安定燃焼範囲内に制御することが可能となり、ガスタービン燃焼器の安定燃焼を実現することができる。
【0094】
これに対して、燃料14中の水素濃度信号304が増加した場合には、基準燃料流量演算器305aで演算した基準メイン燃料流量316に対して、メイン燃料安定範囲算出器326で燃焼の安定範囲を算出して得たメイン燃料安定範囲バイアス327をメイン燃料制限器321に入力してメイン燃料流量信号322を算出し、比較器323でメインバーナ23の運用可否の判定に基づいた信号切替器324を経由してこのメイン燃料流量信号322をメイン燃料供給信号325として出力するので、前記メイン燃料供給信号325を増加するように働く。
【0095】
尚、メイン燃料制限器321で算出したメイン燃料供給信号325は、燃料の発熱量を考慮したゲイン演算器330を経由させることによって水素濃度の変化に伴う燃料発熱量の変動を加味してガスタービン投入発熱量の変動のパイロット燃料流量の補正値331に変換し、パイロット燃料供給元信号315bとしてパイロット燃料制限器314bに入力して補正し、前記パイロット燃料供給信号315cを得ている。
【0096】
更に、基準燃料流量演算器305aで演算したパイロット燃料元流量315aに対して、パイロット燃料制限補正値演算器328で演算した燃焼バランスを調節するパイロット燃料制限器水素濃度バイアス329をパイロット燃料制限器314bに入力し、このパイロット燃料制限器314bにて運転状態によって定まるパイロット燃料供給信号の上限および下限の間の値になるように、前記パイロット燃料供給信号315bに基づいてパイロット燃料供給信号315cを演算して出力するので、前記パイロット燃料供給信号315を減少するように働く。
【0097】
この結果、前記メイン燃料供給信号325に対するパイロット燃料供給信号315cの燃料比率が減少するので、燃料中の水素濃度が増加した場合はガスタービン燃焼器の燃焼火炎の位置を燃焼室内の下流側に移動させることが可能となり、ガスタービン燃焼器の信頼性を確保することが実現ができる。
【0098】
このようにパイロットバーナ22を燃料組成変動のない起動用燃料で運用することで制御の簡素化が図れる。起動用燃料としては天然ガス、プロパンガスなどの高カロリーガス燃料のほか、灯油、軽油、A重油などの油燃料を用いても良い。
【0099】
本実施例によれば、燃料中に含まれる水素濃度が変動する燃料をガスタービン燃焼器に用いた場合に、水素濃度の変動に起因して形成される火炎がガスタービン燃焼器の構造物に接近して信頼性上の問題を引き起こすことを回避すると共に、低NOx燃焼性能を維持し得る予混合燃焼方式のガスタービン燃焼器の制御装置およびガスタービン燃焼器の制御方法が実現できる。
【実施例3】
【0100】
次に本発明の第3実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置及びガスタービン燃焼器の制御方法について図7乃至図9を用いて説明する。図7は本発明の第3実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置が適用されるガスタービン発電プラントの構成を示した概略図である。
【0101】
本実施例のガスタービン燃焼器の制御装置は図5及び図6に示した本発明の第2実施例のガスタービン燃焼器の制御装置と基本的な構成は同じなので、両者に共通する構成及び作用の説明は省略し、相違する構成についてのみ以下に説明する。
【0102】
図7に示した第3実施例であるガスタービン燃焼器1aにおいては、メインバーナ23を、多数の燃料ノズル25と空気孔プレート24に開口した多数の空気孔とをそれぞれ同軸に配置する小口径の同軸ノズルで構成するとともに、この小口径同軸ノズルを集合化したメインバーナ23として形成し、パイロットバーナ22の周囲に前記集合化したメインバーナ23を複数配設することによって、構造的に予め燃料と空気の分散性を高めてNOxを低減したことが実施例2のガスタービン燃焼器1に備えたメインノズルの構成とは異なっている。
【0103】
本実施例の複数配設されたメインバーナ23である同軸ノズルバーナは、多数の燃料・空気の同軸噴流からなるバーナであり、かつ燃料と空気の混合の度合いを空気ノズルの形状および燃料ノズルの形状で調整することができる。
【0104】
また、複数の各メインバーナ23は、バーナ単体の保炎能力は同軸ノズルバーナの中心軸に面した最内周の同軸噴流の混合と噴出方向で調整することができるので、1つの同軸ノズルバーナの中の最内周部分の同軸噴流に保炎の機能を担わせることができる。
【0105】
また複数の各メインバーナ23は上記のように保炎の機能を強化するように燃料と空気の混合を調整することで、可燃範囲の混合気が形成される位置を同軸ノズルバーナの構造物から遠い場所に設計することが可能であり、各メインバーナ23の内周側の同軸ノズルについては火炎接近に対する裕度を大きく取ることができる。
【0106】
そこで本実施例のガスタービン燃焼器1aでは、水素を含む燃料は各メインバーナ23を構成する同軸ノズルの内周側に供給される内周側メイン燃料供給系統123aと、各メインバーナ23を構成する各メインバーナ23を構成する同軸ノズルの外周側に供給される外周側メイン燃料供給系統124aに分岐しており、供給される燃料の配分が調整できるようになっている。
【0107】
メインバーナ23を構成する同軸ノズルの内周側に供給される水素を含む燃料14は内周側メイン燃料供給系統123aに設置された内周側メイン燃料圧力調整弁107a、内周側メイン燃料流量調整弁108aを介して燃焼器エンドカバー8の取り合い口に導かれ、エンドカバー8の内部の流路を通過し、メインバーナ23に備えられた燃料分配器26の内周側空間から燃料ノズル25を通って空気孔プレート24に開口した空気孔に向かって噴出し、空気と同軸の噴流となって燃焼室1に噴出する。
【0108】
また、メインバーナ23を構成する同軸ノズルの外周側に供給される水素を含む燃料14も同様に、外周側メイン燃料供給系統124aに設置された外周側メイン燃料圧力調整弁107b、外周側メイン燃料流量調整弁108bを介して燃焼器エンドカバー8の取り合い口に導かれ、エンドカバー8の内部の流路を通過し、メインバーナ23に備えられた燃料分配器26の外周側空間から燃料ノズル25を通って空気孔プレート24に開口した空気孔に向かって噴出し、空気と同軸の噴流となって燃焼室1に噴出する。
【0109】
図8は図7に示した第3実施例であるガスタービン発電プラントに備えられたガスタービン燃焼器1aの燃焼を制御する制御装置100bの詳細を示す構成図である。
【0110】
図8に示したガスタービン燃焼器1aの燃焼を制御する制御装置100bにおいては、ガスタービン燃焼器1aの起動用燃料15を、実施例2と同様に起動用燃料15を水素を含まず燃料組成の安定した燃料としたため、制御装置100bに設置された基準燃料流量演算器305aではガスタービン運転状況に応じてパイロット燃料元流量315aと基準メイン燃料流量316を同時に算出することができる。
【0111】
図8に示した本実施例のガスタービン燃焼器1aの燃焼を制御する制御装置100bでは、図2に示した第1実施例の制御装置100における基準メイン燃料流量演算器307を備えていないが、各メインバーナ23内の内周と外周の燃料比率334を演算するメイン内外周比率演算器333と、メイン内周側燃料供給信号336及びメイン外周側燃料供給信号337を演算するメイン内外周燃料流量演算器335を新たに備えた構成となっている。
【0112】
そして本実施例のガスタービン燃焼器1aでは、前述のように各メインバーナ23を燃料ノズル25と空気孔プレート24に開口した空気孔とを同軸に配置する同軸ノズルで構成したことでメインバーナ23自身の中に保炎を担う機能が持てる上、同軸ノズルの内周側は混合を調整して保炎の機能を持たせたことで火炎接近に対する裕度が広がっている。
【0113】
このため本実施例の制御装置100bでは、では水素濃度の変化に対してメインバーナ内部の燃料配分を調整することで信頼性を確保しながら低NOx燃焼することが可能となり、パイロットバーナ供給燃料は燃焼器全体の燃焼安定性を最低限確保するのみで十分である。
【0114】
そこで本実施例のガスタービン燃焼器1aの燃焼を制御する制御装置100aにおいては、パイロット燃料供給信号315cを算出する制御系統では、パイロット燃料元流量315aをパイロット燃料制限器314で運転状態によって定まるパイロット燃料供給信号の上限および下限の間の値になるよう補正するのみで、パイロット燃料供給信号315cとして出力することができ制御が大幅に簡素化できる。
【0115】
一方、メイン燃料供給信号を算出する制御系統では、基準燃料流量演算器305aで算出された基準メイン燃料流量316を、メイン燃料水素濃度バイアス算出器317により算出されたメイン燃料流量補正値318と加算器319で加算し、水素濃度の変化に伴う燃料発熱量の変動を補正したメイン燃料元流量320とし、メイン燃料安定範囲算出器326の算出値および、メイン燃料制限器321で補正しメイン燃料流量信号322として、信号切替器324で運用可能であればメイン燃料流量信号322を、運用不可能であれば燃料流量0をメイン燃料供給信号325として出力する。
【0116】
この後、メインバーナ23内の内周側と外周側との燃料比率334をメイン内外周比率演算器333により算出し、この内周側と外周側との燃料比率334をメイン内外周燃料流量演算器335によってメイン燃料供給信号325と乗算することにより、メイン内周側燃料供給信号336及びメイン外周側燃料供給信号337を算出して、これらのメイン内周側燃料供給信号336及びメイン外周側燃料供給信号337基づいてメインバーナ23である同軸ノズルの内周側と外周側とに供給される燃料の流量をそれぞれ制御するように構成されている。
【0117】
本実施例の制御装置100bにおいて、燃料14中の水素濃度信号304が減少した場合には、ガスタービン燃焼器1aの安定燃焼を確保するためにメインバーナ23である同軸ノズルの内周側の燃焼比率が外周側の燃焼比率よりも高くなるように、内周側メイン燃料供給系統123aを通じて供給する燃料流量が外周側メイン燃料供給系統124aを通じて供給する燃料流量より多くなるように、前記内周側メイン燃料圧力調整弁107a及び内周側メイン燃料流量調整弁108a、並びに外周側メイン燃料圧力調整弁107b及び外周側メイン燃料流量調整弁108bの開度を制御装置100bによってそれぞれ制御して、メインバーナ23の内周側の燃焼比率を上げる。
【0118】
次に、燃料14中の水素濃度信号304が増加して水素濃度が約48%に達するまでは、ガスタービン燃焼器1aのメインバーナ23である同軸ノズルの内周側の燃焼比率が外周側の燃焼比率よりも低くなるように、内周側メイン燃料供給系統123aを通じて供給する燃料流量が外周側メイン燃料供給系統124aを通じて供給する燃料流量より少なくなるように、前記内周側メイン燃料圧力調整弁107a及び内周側メイン燃料流量調整弁108a、並びに外周側メイン燃料圧力調整弁107b及び外周側メイン燃料流量調整弁108bの開度を制御装置100bによってそれぞれ制御して、メインバーナ23の外周側の燃焼比率を上げる。
【0119】
更に、燃料14中の水素濃度信号304が増加して水素濃度が所定の濃度(例えば約48%)を超えた場合には、ガスタービン燃焼器1aの燃焼室内に形成される火炎の位置が燃焼室下流側に移動させてガスタービン燃焼器の信頼性を確保するために、メインバーナ23である同軸ノズルの内周側の燃焼比率が外周側の燃焼比率よりも高くなるように、内周側メイン燃料供給系統123aを通じて供給する燃料流量が外周側メイン燃料供給系統124aを通じて供給する燃料流量より多くなるように、前記内周側メイン燃料圧力調整弁107a及び内周側メイン燃料流量調整弁108a、並びに外周側メイン燃料圧力調整弁107b及び外周側メイン燃料流量調整弁108bの開度を制御装置100bによってそれぞれ制御して、メインバーナ23の内周側の燃焼比率を上げる。
【0120】
尚、本実施例のガスタービン燃焼器1aの制御装置100bを構成する各演算器の作用については説明を省略したが、図2に示したガスタービン燃焼器1aの制御装置100、並びに図6に示したガスタービン燃焼器1aの制御装置100aを構成する各演算器の作用を参照されたい。
【0121】
図9は図8に示した第3実施例であるガスタービン燃焼器1aの制御装置100bによって制御した場合の定格負荷における水素濃度の変化に対するメインバーナ内外周の燃料供給量の配分の変化の状況を示す特性図である。
【0122】
図9の横軸は燃料14に含まれた水素濃度であり、縦軸はガスタービン燃焼器1aのメインバーナ23に供給される燃料全体のうち、保炎を担う内周側の燃料の占める比率を保炎用燃料比率として示している。
【0123】
図9の特性図において、水素濃度が低い場合には燃焼速度が遅く、火炎は燃焼器下流側に流されるのでより強く保炎しないと火炎が吹き消えを起こし、大量の未燃排出物を発生するなどの問題が起きる可能性がある。
【0124】
このため燃料14に含まれる水素濃度が低い場合には保炎を担う内周側により多くの燃料を供給するようにバイアスがかかり、結果として保炎用燃料比率はIO_aまで増加する。
【0125】
しかしながらこの場合には燃料14に含まれる水素濃度が低いのでメインバーナ全体でのNOx排出量が小さいだけでなく、保炎を担っている内周側メインバーナもある程度の低NOx燃焼性が得られる同軸ノズル構造であるためNOx排出量は実施例1に比較して小さい。
【0126】
燃料14に含まれる水素濃度が増加すると燃焼速度が速くなるのでガスタービン燃焼室1内に形成される火炎の位置が徐々にガスタービン燃焼室1内の上流側に移動するので、吹き消えの可能性が小さくなり保炎用燃料流量はIO_bまで削減することができ、排出NOxがさらに減少する。
【0127】
さらに燃料14に含まれる水素濃度が高くなると、メインバーナ23を構成する同軸ノズルの外周側において火炎がバーナ構造物のごく近くまで接近するようになるためメインバーナで信頼性上の問題が起きることを避けるために同軸ノズルバーナ外周側の混合気中の燃料濃度(あるいは水素濃度)をある制限値よりも下側に抑制する必要が現れる。
【0128】
このため、同軸ノズルの外周側に供給する燃料流量が制限された結果、保炎用燃料比率は再びIO_cまで増加することとなる。但し、この場合でも保炎を担っているメインバーナ23を構成する同軸ノズルの内周側は、ある程度の低NOx燃焼性が得られる同軸ノズル構造であるためNOx排出量は実施例1に比較しても小さい。
【0129】
本実施例によれば、燃料中に含まれる水素濃度が変動する燃料をガスタービン燃焼器に用いた場合に、水素濃度の変動に起因して形成される火炎がガスタービン燃焼器の構造物に接近して信頼性上の問題を引き起こすことを回避すると共に、低NOx燃焼性能を維持し得る予混合燃焼方式のガスタービン燃焼器の制御装置およびガスタービン燃焼器の制御方法が実現できる。
【実施例4】
【0130】
次に本発明の第4実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置及びガスタービン燃焼器の制御方法について図10及び図11を用いて説明する。
【0131】
図10は本発明の第4実施例であるガスタービン燃焼器1aが適用されるガスタービン発電プラントの構成を示した概略図である。
【0132】
本実施例のガスタービン燃焼器の制御装置は図7及び図8に示した本発明の第3実施例のガスタービン燃焼器の制御装置と基本的な構成は同じなので、両者に共通する構成及び作用の説明は省略し、相違する構成についてのみ以下に説明する。
【0133】
図10は本発明に関わるガスタービン燃焼器1aを備えた二酸化炭素回収付IGCCプラントの実施例であり、圧縮機5、タービン6、発電機30、及びガスタービン燃焼器1aに供給する燃料供給系統を示した概略構成図である。
【0134】
本実施例の二酸化炭素回収付IGCCプラントに備えられたガスタービン燃焼器1a及びその制御装置11cは、図7及び図8に示した本発明の第3実施例のガスタービン燃焼器1aの制御装置100bと基本的な構成は同じなので、両者に共通する構成及び作用の説明は省略し、相違する構成についてのみ以下に説明する。
【0135】
図10において、二酸化炭素回収付IGCCプラントは、まず起動用燃料によりガスタービンをある一定負荷まで起動しておき、石炭から石炭ガスを生成する石炭ガス化炉202と、石炭ガス化炉202で生成した石炭ガスを精製する石炭ガス化ガス精製装置203と、石炭ガス化炉202で生成した石炭ガスから二酸化炭素と水素を生成するシフト反応器206と、シフト反応器206で生成した二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置207の各装置の運転を開始することで、水素を含む石炭ガス化燃料21が、ガスタービンのガスタービン燃焼器1aに供給されるようになる。
【0136】
石炭のガス化は、まず酸素製造装置201によって精製した酸素17と石炭16を石炭ガス化炉202において一酸化炭素と水素を主成分とするガスとし、ガス精製装置203において不純物などを除去して石炭ガス化ガス18を製造する。製造された石炭ガス化ガス18の一部は水素濃度検出手段102a、流量調整弁205を介してガスタービン燃焼器1aに至るガスタービン燃料供給系統123a、124aに石炭ガス化燃料21として供給され、また石炭ガス化ガス18の一部は流量調整弁206を介してシフト反応器206に導かれ、残余のガスがガス処理炉209で燃焼処理される。
【0137】
シフト反応器206では石炭ガス化ガス18に水蒸気19を供給してシフト反応を起こさせ、組成中の一酸化炭素を二酸化炭素と水素に転換して二酸化炭素回収装置207に送り、水蒸気および二酸化炭素を回収して高水素濃度石炭ガス化ガス20を精製する。
【0138】
この高水素濃度石炭ガス化ガス20もその一部が水素濃度検出手段102bおよび流量調整弁208を介してガスタービン燃焼器1aに至るガスタービン燃料供給系統123a、124aに石炭ガス化燃料21として供給され、残余のガスがガス処理炉209で燃焼処理される。
【0139】
石炭ガス化燃料21が供給されるようになると起動用燃料15は石炭ガス化燃料21で置き換えられるため、パイロット燃料供給系統122と、ガスタービン燃料供給系統123aから分岐したパイロット燃料供給系統122には、パイロットバーナ22に対して供給する燃料を調節する起動用燃料パイロットバーナ燃料遮断弁104a、起動用燃料パイロットバーナ燃料圧力調整弁105a、および起動用燃料パイロットバーナ燃料流量調整弁106aが設置され、ガスタービン燃料供給系統123aから分岐したガスタービン燃料供給系統122bには、パイロットバーナ22に対して供給する燃料を調節する石炭ガス化燃料パイロットバーナ燃料遮断弁104b、石炭ガス化燃料パイロットバーナ燃料圧力調整弁105b、および石炭ガス化燃料パイロットバーナ燃料流量調整弁106bが設置されている。
【0140】
複数個設置された各メインバーナ23に関しては実施例3のガスタービン燃焼器1aのメインバーナ23と同様に同軸ノズルバーナを採用しており、実施例3のメインバーナ23と同様に、内周側メイン燃料供給系統123aには内周側メイン燃料圧力調整弁107a及び内周側メイン燃料流量調整弁108aが設置され、外周側メイン燃料供給系統124aには外周側メイン燃料圧力調整弁107b及び外周側メイン燃料流量調整弁108bが設置されている。
【0141】
そして石炭ガス化燃料21は前記内周側メイン燃料供給系統123a及び外周側メイン燃料供給系統124aを介して燃焼器エンドカバー8の取り合い口に導かれ、エンドカバー8の内部の流路を通過して、各メインバーナ23の燃料分配器26の外周側空間から燃料ノズル25を通って空気孔プレート24に開口した空気孔に向かって噴出し、空気と同軸の噴流となって燃焼室1に噴出して燃焼するように構成されている。
【0142】
図11は本実施例の二酸化炭素回収付IGCCプラントに備えられたガスタービン燃焼器1aを制御する制御装置100cの詳細を示した構成図である。
【0143】
二酸化炭素回収付IGCCプラントでは複数の燃料の切替が行われるため、制御装置100cに設置された基準燃料流量演算器305cでは運転指令信号301とガスタービンの回転数信号302を参照して基準ガスタービン投入燃料信号306の他、起動用燃料から石炭ガス化燃料に切り替える際にパイロットバーナ22に供給する燃料に必要な熱量の信号であるパイロット投入熱量315dをそれぞれ算出する。
【0144】
パイロットバーナ投入熱量信号315dは起動用燃料流量演算器343によって起動用パイロット燃料元流量315aに変換され、実施例2に示した制御装置100bと同様に起動用燃料パイロット燃料供給信号315cを算出する。
【0145】
すなわち燃料に含まれた水素濃度の変化に伴う燃料発熱量の変動を加味したメイン燃料供給信号325を、燃料の発熱量を考慮したゲイン演算器330によってガスタービン投入発熱量変動のパイロット燃料流量の補正値に変換して、減算器332により減算することにより起動用燃料パイロット燃料元流量315aを起動用燃料パイロット燃料流量信号315eとするものである。
【0146】
この起動用燃料パイロット燃料流量信号315eをパイロット燃料制限器314bにて運転状態によって定まるパイロット燃料供給信号の上限および下限の間の値になるように補正して、パイロット燃料供給信号315cとして出力する。この際、実施例1〜3に示した各制御装置100、100a、100bと異なり、二酸化炭素回収付IGCCプラントで生成される水素を含む燃料は、水素濃度の異なる石炭ガス化燃料を混合した燃料であるため、実際にガスタービン燃焼器1aに供給される燃料の水素濃度304は、ガス精製装置203から直接ガスタービンに供給される系統に設置された水素濃度検出手段102aから検出される石炭ガス化ガス水素濃度信号338、同系統の石炭ガス化ガス流量信号339、および二酸化炭素回収装置207から供給される系統に設置された水素濃度検出手段102bから得られるCO2回収後石炭ガス水素濃度信号340、同系統のCO2回収後石炭ガス流量信号341を入力して供給水素濃度演算器342によって算出することで、燃料の水素濃度304を得ている。
【0147】
二酸化炭素回収付IGCCプラントの起動時には石炭ガス化炉202からの石炭ガス化燃料21は生成されていないため、起動初期には、上記の起動用燃料パイロット燃料供給信号315cは補正なしに起動用燃料15の流量指示値として使用される。
【0148】
石炭ガス化炉202が起動して石炭ガス化燃料21が生成し始めると、ガスタービン燃焼器1aへの燃料供給は起動用燃料15から石炭ガス化燃料21へパイロットバーナ22に供給する燃料を切り替える運転を行う。
【0149】
この際には実施例1に示した制御装置100と同様に、水素濃度信号304を入力として投入燃料水素濃度バイアス算出器308により算出された基準ガスタービン投入燃料信号補正値309と基準燃料流量演算器305cにおいて算出された基準ガスタービン投入燃料信号306を加算器310で加算して水素濃度の変化に伴う燃料発熱量の変動を補正したガスタービン投入燃料信号311を算出する。
【0150】
さらに減算器312によりガスタービン投入燃料信号311からメイン燃料供給信号325を減算してパイロット燃料供給元信号313に変換し、パイロット燃料制限器314によって、運転状態によって定まるパイロット燃料供給信号の上限および下限の間の値になるよう補正したものをパイロット燃料供給信号315として出力し、このパイロット燃料供給信号315に基づいて前記パイロット燃料供給系統122bに設置されたパイロット燃料圧力調整弁105bおよびパイロット燃料流量調整弁106bの開度を変化させてパイロットバーナ22に供給する石炭ガス化燃料流量を制御する。
【0151】
一方、メイン燃料供給信号を算出する制御系統では、基準燃料流量演算器305cで算出された基準メイン燃料流量316を、実施例1〜3に示した各制御装置100、100a、100bと同様に、メイン燃料水素濃度バイアス算出器317によって算出されたメイン燃料流量補正値318と加算器319で加算し、水素濃度の変化に伴う燃料発熱量の変動を補正したメイン燃料元流量320として、メイン燃料安定範囲算出器326での算出値および、メイン燃料制限器321で補正したメイン燃料流量信号322として、信号切替器324で運用可能であればメイン燃料流量信号322を、運用不可能であれば燃料流量0をメイン燃料供給信号325として出力する運転を行う。
【0152】
この後、ガスタービン燃焼器1aの各メインバーナ23の内周側と外周側とに燃料を供給する燃料比率を、メイン内外周比率演算器335によって算出して前記メイン燃料供給信号325と乗算することにより、メイン内周側燃料供給信号336及びメイン外周側燃料供給信号337を得ているのは実施例3に示した制御装置100bの場合と同様である。
【0153】
本実施例の制御装置100cにおいて、石炭ガス化燃料21中の水素濃度信号338或いは341が減少した場合には、ガスタービン燃焼器1aの安定燃焼を確保するためにメインバーナ23である同軸ノズルの内周側の燃焼比率が外周側の燃焼比率よりも高くなるように、内周側メイン燃料供給系統123aを通じて供給する燃料流量が外周側メイン燃料供給系統124aを通じて供給する燃料流量より多くなるように、前記内周側メイン燃料圧力調整弁107a及び内周側メイン燃料流量調整弁108a、並びに外周側メイン燃料圧力調整弁107b及び外周側メイン燃料流量調整弁108bの開度を制御装置100bによってそれぞれ制御して、メインバーナ23の内周側の燃焼比率を上げる。
【0154】
次に、石炭ガス化燃料21中の水素濃度信号338或いは341が増加して水素濃度が所定の値(例えば約48%)に達するまでは、ガスタービン燃焼器1aのメインバーナ23である同軸ノズルの内周側の燃焼比率が外周側の燃焼比率よりも低くなるように、内周側メイン燃料供給系統123aを通じて供給する燃料流量が外周側メイン燃料供給系統124aを通じて供給する燃料流量より少なくなるように、前記内周側メイン燃料圧力調整弁107a及び内周側メイン燃料流量調整弁108a、並びに外周側メイン燃料圧力調整弁107b及び外周側メイン燃料流量調整弁108bの開度を制御装置100bによってそれぞれ制御して、メインバーナ23の外周側の燃焼比率を上げる。
【0155】
更に、石炭ガス化燃料21中の水素濃度信号338或いは341が増加して水素濃度が所定の濃度(例えば約48%)を超えた場合には、ガスタービン燃焼器1aの燃焼室内に形成される火炎の位置が燃焼室下流側に移動させてガスタービン燃焼器の信頼性を確保するために、メインバーナ23である同軸ノズルの内周側の燃焼比率が外周側の燃焼比率よりも高くなるように、内周側メイン燃料供給系統123aを通じて供給する燃料流量が外周側メイン燃料供給系統124aを通じて供給する燃料流量より多くなるように、前記内周側メイン燃料圧力調整弁107a及び内周側メイン燃料流量調整弁108a、並びに外周側メイン燃料圧力調整弁107b及び外周側メイン燃料流量調整弁108bの開度を制御装置100bによってそれぞれ制御して、メインバーナ23の内周側の燃焼比率を上げる。
【0156】
この結果、パイロット燃料供給信号315cに対するメイン燃料供給信号325の燃料比率が減少するので、燃料中の水素濃度が減少した場合でもガスタービン燃焼器の燃焼は安定燃焼範囲内に制御することが可能となり、ガスタービン燃焼器の安定燃焼を実現することができる。
【0157】
本実施例によれば、燃料中に含まれる水素濃度が変動する燃料をガスタービン燃焼器に用いた場合に、水素濃度の変動に起因して形成される火炎がガスタービン燃焼器の構造物に接近して信頼性上の問題を引き起こすことを回避すると共に、低NOx燃焼性能を維持し得る予混合燃焼方式のガスタービン燃焼器の制御装置およびガスタービン燃焼器の制御方法が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明はガスタービンプラントに設置されたガスタービン燃焼器の燃料流量制御として、特に燃料組成に水素を含む燃料によって運転される予混合燃焼方式のガスタービン燃焼器の制御装置およびガスタービン燃焼器の制御方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0159】
1:ガスタービン燃焼器、1a:ガスタービン燃焼室、2:燃焼器外筒、3:燃焼器ライナー、4:燃焼器尾筒、5:圧縮機、6:タービン、7:車室、8:燃焼器エンドカバー、10:圧縮空気、11:冷却空気、12:燃焼用空気、13:燃焼ガス、14:燃料、14a:燃料供給系統、15:起動用燃料、16:石炭、17:酸素18:石炭ガス化ガス、19:水蒸気、20:高水素濃度(CO2回収後)石炭ガス化ガス、21:石炭ガス化燃料、22:パイロットバーナ、23:予混合燃焼方式メインバーナ、24:空気孔プレート、25:燃料ノズル、26:燃料分配器、100:制御装置、101:燃料圧縮機、102、102a、102b:水素濃度検知手段、103:遮断弁、104:起動用燃料遮断弁、105:パイロット燃料圧力調整弁、105a:起動用燃料パイロット燃料圧力調整弁、105b:水素含有パイロット燃料圧力調整弁、106:パイロット燃料流量調整弁、106a:起動用燃料パイロット燃料流量調整弁、106b:水素含有燃料パイロット燃料流量調整弁、107:メイン燃料供給圧力調整弁、107a:内周側メイン燃料圧力調整弁、107b:外周側メイン燃料圧力調整弁、108:メイン燃料流量調整弁、108a:内周側メイン燃料流量調整弁、108b:外周側メイン燃料流量調整弁、122、122b:パイロット燃料供給系統、123:メイン燃料供給系統、123a:内周側メイン燃料供給系統、124a:外周側メイン燃料供給系統、201:酸素製造装置、202:石炭ガス化炉、203:石炭ガス化ガス精製装置、204、205:流量調整弁、206:シフト反応器、207:二酸化炭素回収装置、208:流量調整弁、209:ガス処理炉、301:運転指令信号、302:ガスタービン回転数信号、303:ガスタービン運転計画線、304:水素濃度信号、305、305a、305b:基準燃料流量演算器、306:基準ガスタービン投入燃料信号、307:基準メイン燃料流量演算器、308:投入燃料水素濃度バイアス算出器、309:基準ガスタービン投入燃料信号補正値、310:加算器、311:ガスタービン投入燃料信号、312:減算器、313:パイロット燃料供給元信号、314:パイロット燃料制限器、315:パイロット燃料供給信号、315a:パイロット燃料元流量、315b:パイロット燃料供給元信号、315c:起動用燃料パイロット燃料供給信号、315d:パイロットバーナ投入熱量信号、315e:起動用燃料パイロット燃料流量信号、316:基準メイン燃料流量、317:メイン燃料水素濃度バイアス算出器、318:メイン燃料流量補正値、319:加算器、320:メイン燃料元流量、321:メイン燃料制限器、322:メイン燃料流量信号、323:比較器、324:信号切替器、325:メイン燃料供給信号、326:メイン燃料安定範囲算出器、、327:メイン燃料安定範囲バイアス、328:パイロット燃料制限補正値演算器、329:パイロット燃料制限器水素濃度バイアス、330:ゲイン演算器、331:パイロット燃料流量発熱量変動補正値、332:減算器、333:メイン内外周比率演算器、334:メイン内外周比率信号、335:メイン内外周燃料流量演算器、336:メイン内周側燃料供給信号、337:メイン外周側燃料供給信号、338:石炭ガス化ガス水素濃度信号、339:石炭ガス化ガス流量信号、340:CO2回収後石炭ガス水素濃度信号、341:CO2回収後石炭ガス流量信号、342:供給水素濃度演算器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンプラントに設置されたガスタービン燃焼器の燃料流量制御に関し、特に燃料組成に水素を含む燃料によって運転される予混合燃焼方式のガスタービン燃焼器の制御装置およびガスタービン燃焼器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発電コスト低減や資源有効利用のほか地球温暖化防止の観点からも、石油製油所で発生するオフガスや製鉄プロセスで発生するコークス炉ガス(COG:Coke Oven Gas、以下COGと略記する)などの水素(H2)を含む副生ガスを発電用ガスタービンに用いられるガスタービン燃焼器の燃料として有効利用することが求められている。
【0003】
また、豊富な資源である石炭を酸素でガス化して発電する石炭ガス化発電プラント(IGCC:Integrated coal Gasification Combined Cycle、以下IGCCと略記する)では地球温暖化防止の観点より、石炭ガス化発電プラントのガスタービンに供給される燃料中の炭素分を分離・回収するシステムが国内外で検討されている。しかも地球環境保護の観点から石炭ガス化発電プラントの発電効率の向上と汚染排出物質の低減も強く求められている。
【0004】
これらのガスタービン発電プラントでは製油所オフガスやCOGで燃料成分の30%〜60%、二酸化炭素分離回収付IGCCプラントでは燃料のほとんどの成分が水素となる。水素は燃焼速度が速いため、ガスタービン燃焼器内で火炎が燃焼器構造物に接近し信頼性上の問題を引き起こす可能性がある。
【0005】
また、製油所のオフガスやCOGのみならず、IGCCプラントも二酸化炭素回収率の変化によって大きく水素濃度が変化するため、状況によって燃焼速度が増加してガスタービン構造物に火炎が接近し信頼性上の問題を引き起こすことに対処する対策が求められる。
【0006】
上記の課題のうち、水素濃度の変化に対処する技術の一例として特開2007−113487号公報には水素を燃料組成に含む低カロリーガス燃料において、ガスタービン負荷が急落した場合に、別途、水素ガスの必要量を燃料ガスに供給するようにしてガスタービンの失火を回避して燃焼器での安定燃焼を維持する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−113487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特開2007−113487号公報に開示されている技術は、ガスタービン負荷が急落した場合に必要最小出力を維持するものであり、広範な負荷範囲に対して水素濃度の変動に対処する技術は開示されていない。
【0009】
水素は燃焼速度が速いため、ガスタービン燃焼器内で形成される火炎が燃焼器構造物に接近した場合は信頼性上の問題を引き起こす可能性が高い。
【0010】
また、ガスタービン燃焼器の構造物に火炎の接近が起きないようにガスタービン燃焼器を設計した場合であっても、製油所のオフガスやCOGのみならず、IGCCプラントも二酸化炭素回収率の変化によって燃料ガスに含まれる水素濃度が大きく変化するため、水素濃度の変化の状況に応じてガスタービン燃焼器の構造物に火炎が接近することに対処することが求められる。
【0011】
燃料ガスに含まれる水素濃度の変化に対してガスタービン燃焼器の信頼性を確保する燃焼方式としては、ガスタービン燃焼器の燃焼室に直接燃料のみを投入し、燃焼室内で燃料と空気の混合を行う拡散燃焼方式が有力であるが、この燃焼方式では最も燃焼しやすい混合気に対して火炎が形成されるため火炎温度が高くなり窒素酸化物(NOx)排出量が増大しやすい。
【0012】
地球環境保護の観点からは二酸化炭素削減の他に、酸性雨や光化学スモッグの主要な原因物質となるNOxの低減も重要であり、幅広い水素濃度の変動に対応し、かつ低NOx燃焼を行うガスタービン燃焼器の燃焼方式が必要となっている。
【0013】
一方、低NOx燃焼を行うには燃料と空気を予め燃料が量論混合比よりも希薄となるよう混合してガスタービン燃焼器に供給する予混合燃焼方式が有力であるが、この予混合燃焼方式ではガスタービン燃焼器の燃焼室に流入する前から可燃範囲の混合気が形成されているため、燃料ガスに含まれる水素濃度が変化すると燃焼室で形成される火炎の位置がガスタービン燃焼器の構造物に接近するのでガスタービン燃焼器の信頼性上の問題を引き起こす可能性が高くなる。
【0014】
本発明の目的は、燃料中に含まれる水素濃度が変動する燃料をガスタービン燃焼器に用いた場合に、水素濃度の変動に起因して形成される火炎がガスタービン燃焼器の構造物に接近して信頼性上の問題を引き起こすことを回避すると共に、低NOx燃焼性能を維持し得る予混合燃焼方式のガスタービン燃焼器の制御装置およびガスタービン燃焼器の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のガスタービン燃焼器の制御装置は、燃料組成に水素を含む燃料を燃焼するバーナを備えたガスタービン燃焼器の制御装置において、ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成し、ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料を供給するメイン燃料供給系統をそれぞれ配設し、ガスタービン燃焼器の少なくともメインバーナに燃料を供給する前記メイン燃料系統に燃料に含まれる水素濃度を検出する水素濃度検出器を設け、前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて前記パイロット燃料供給系統を通じて前記パイロットバーナに供給される燃料の流量と、前記メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とする。
【0016】
また本発明のガスタービン燃焼器の制御装置は、燃料組成に水素を含む燃料と、燃料組成に水素を含まない起動用燃料を燃焼するバーナを備えたガスタービン燃焼器の制御装置において、ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成し、ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料組成に水素を含まない起動用燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料組成に水素を含む燃料を供給するメイン燃料供給系統をそれぞれ配設し、前記メイン燃料系統に燃料に含まれる水素濃度を検出する酸素濃度検出器を設け、前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて前記メイン燃料系統を通じて前記メインバーナに供給される燃料の流量と、前記パイロット燃料系統を通じて前記パイロットバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とする。
【0017】
また本発明のガスタービン燃焼器の制御装置は、燃料組成に水素を含む燃料と、燃料組成に水素を含まない起動用燃料を燃焼するバーナを備えたガスタービン燃焼器の制御装置において、ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成し、ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料組成に水素を含まない起動用燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料組成に水素を含む燃料を供給するメイン燃料供給系統をそれぞれ配設し、前記メインバーナは複数の燃料ノズルと前記燃料ノズルに対応して空気プレートに形成された複数の空気孔とが同軸に構成されて該前記メインバーナの内周側と外周側とに配置された同軸ノズルバーナを構成しており、前記メイン燃料供給系統は前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する内周側メイン燃料供給系統と、前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する外周側メイン燃料供給系統とを備えており、前記メイン燃料系統に燃料に含まれる水素濃度を検出する酸素濃度検出器を設け、前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて外周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量と、前記内周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とする。
【0018】
また本発明のガスタービン燃焼器の制御装置は、石炭から石炭ガスを生成する石炭ガス化炉と、石炭ガス化炉で生成した石炭ガスから二酸化炭素と水素を生成するシフト反応器と、石炭ガス化炉で生成した石炭ガスとシフト反応器で生成した水素とを含んだ石炭ガス化燃料を燃焼するガスタービン燃焼器を有するガスタービンを備えた二酸化炭素回収付IGCCプラントであって、燃料組成に水素を含む燃料と、燃料組成に水素を含まない起動用燃料を燃焼するバーナを備えたガスタービン燃焼器の制御装置において、ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成し、ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料組成に水素を含まない起動用燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料組成に水素を含む燃料を供給するメイン燃料供給系統をそれぞれ配設し、前記メインバーナは複数の燃料ノズルと前記燃料ノズルに対応して空気プレートに形成された複数の空気孔とが同軸に構成されて該前記メインバーナの内周側と外周側とに配置された同軸ノズルバーナを構成しており、前記メイン燃料供給系統は前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する内周側メイン燃料供給系統と、前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する外周側メイン燃料供給系統とを備えており、前記メイン燃料系統に燃料に含まれる水素濃度を検出する酸素濃度検出器を設け、前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて外周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量と、前記内周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とする。
【0019】
本発明のガスタービン燃焼器の制御方法は、ガスタービン燃焼器に備えたバーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成して、燃料組成に水素を含む燃料を前記バーナで燃焼するガスタービン燃焼器の制御方法において、ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料を供給するメイン燃料供給系統とがそれぞれ配設されており、ガスタービン燃焼器の少なくともメインバーナに燃料を供給する前記メイン燃料系統に設けた水素濃度検出器によって燃料に含まれる水素濃度を検出し、前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて前記パイロット燃料供給系統を通じて前記パイロットバーナに供給される燃料の流量と、前記メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とする。
【0020】
また本発明のガスタービン燃焼器の制御方法は、ガスタービン燃焼器に備えたバーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成して、燃料組成に水素を含む燃料を前記バーナで燃焼するガスタービン燃焼器の制御方法において、ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成されており、ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料組成に水素を含まない起動用燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料組成に水素を含む燃料を供給するメイン燃料供給系統とがそれぞれ配設されており、前記メイン燃料系統に設けた酸素濃度検出器によって燃料に含まれる水素濃度を検出し、前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて前記メイン燃料系統を通じて前記メインバーナに供給される燃料の流量と、前記パイロット燃料系統を通じて前記パイロットバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とする。
【0021】
また本発明のガスタービン燃焼器の制御方法は、ガスタービン燃焼器に備えたバーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成して、燃料組成に水素を含む燃料を前記バーナで燃焼するガスタービン燃焼器の制御方法において、ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成されており、ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料組成に水素を含まない起動用燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料組成に水素を含む燃料を供給するメイン燃料供給系統をそれぞれ配設し、前記メインバーナは複数の燃料ノズルと前記燃料ノズルに対応して空気プレートに形成された複数の空気孔とが同軸に構成されて該前記メインバーナの内周側と外周側とに配置された同軸ノズルバーナによって構成されており、前記メイン燃料供給系統として前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する内周側メイン燃料供給系統と、前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する外周側メイン燃料供給系統とが配設されており、前記メイン燃料系統に設けた酸素濃度検出器によって燃料に含まれる水素濃度を検出し、前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて外周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量と、前記内周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、燃料中に含まれる水素濃度が変動する燃料をガスタービン燃焼器に用いた場合に、水素濃度の変動に起因して形成される火炎がガスタービン燃焼器の構造物に接近して信頼性上の問題を引き起こすことを回避すると共に、低NOx燃焼性能を維持し得る予混合燃焼方式のガスタービン燃焼器の制御装置およびガスタービン燃焼器の制御方法が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置が適用されるガスタービン発電プラントの概略構成図。
【図2】図1に示した第1実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置の詳細構成図。
【図3】図2に示した第1実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置によって制御した場合の燃料流量の変化をガスタービン運転回転数およびガスタービン負荷に対して示した制御特性図。
【図4】図2に示した第1実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置によって制御した場合の定格負荷における水素濃度の変化に対する燃料供給量の配分の変化の状況を示す特性図。
【図5】本発明の第2実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置が適用されるガスタービン発電プラントの概略構成図。
【図6】図5に示した第2実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置の詳細構成図。
【図7】本発明の第3実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置が適用されるガスタービン発電プラントの概略構成図。
【図8】図7に示した第3実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置の詳細構成図。
【図9】図7に示した第3実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置によって制御した場合の定格負荷における水素濃度の変化に対するメインバーナ内外周の燃料配分の変化の状況を示す特性図。
【図10】本発明の第4実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置が適用される二酸化炭素回収付IGCCプラントの概略構成図。
【図11】図10に示した第4実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置の詳細構成図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置及びガスタービン燃焼器の制御方法について図面を用いて以下に説明する。
【実施例1】
【0025】
本発明の第1実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置及びガスタービン燃焼器の制御方法について図1、図2および図3を用いて説明する。図1は本発明の第1実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置が適用されるガスタービン発電プラントの構成を示した概略図である。
【0026】
図1において、ガスタービン発電プラントは圧縮機5により外気を吸入して圧縮し、圧縮機5で圧縮した圧縮空気10をガスタービンの車室7に導いて燃焼用空気12としてガスタービン燃焼器1aに供給し、このガスタービン燃焼器1aで外部から供給される燃料14と燃焼用空気12とを燃焼させて発生させた高温高圧の燃焼ガス13をタービン6に流入させて回転動力を取り出し、発電機30を駆動して発電する。
【0027】
ガスタービン燃焼器1aは燃焼器外筒2の内部には内側に燃焼室1を形成する燃焼器ライナー3が設置されており、燃料14と燃焼用空気12とを前記燃焼器ライナー3の内部の燃焼室1で燃焼させて高温高圧の燃焼ガス13を形成する円筒構造となっている。
【0028】
前記ガスタービン燃焼器1aの燃焼器ライナー3は、円筒形状の燃焼器出口とタービン6の静翼入口形状とを滑らかに連結するために設置された燃焼器尾筒4によってタービン6と取り合っている。
【0029】
ガスタービン燃焼器1aの燃焼に用いられる燃焼用空気12は、燃焼器外筒2と燃焼器ライナー3との間に形成された環状の空間を通って供給されるが、ガスタービン燃焼器1aの頭部先端に設けた燃焼器エンドカバー8によってせき止められ、燃焼器ライナー3の外周に多数開口した燃焼用空気孔からパイロットバーナ及びメインバーナ23にそれぞれ流入する。
【0030】
ガスタービン燃焼器1aの燃焼に用いられる水素を含む燃料14は、燃焼器エンドカバー8外部からエンドカバー8内部に設けた分配流路を通ってパイロットバーナ22及びメインバーナ23に配分される。
【0031】
本実施例に示すガスタービン燃焼器1aでは、中央に拡散燃焼方式を採用したパイロットバーナ22が設置され、このパイロットバーナ22の外周側に予混合燃焼方式を採用したメインバーナ23を複数個配置した構造となっている。
【0032】
水素を含む燃料14は燃料圧縮機101によって燃焼器内圧力より高い圧力まで加圧され、遮断弁103を備えた燃料供給系統14aに供給される。
【0033】
この水素を含む燃料14の水素濃度は燃料圧縮機101で加圧された燃料14を供給する燃料供給系統14aに設けた水素濃度検知手段102によって検出され、検出された燃料14の水素濃度検出値がガスタービン燃焼器1aの燃焼を制御する燃料供給制御装置100に入力される。
【0034】
燃料供給系統14aは途中から拡散燃焼方式を採用したパイロットバーナ22に燃料を供給するパイロット燃料供給系統122と、予混合燃焼方式を採用したメインバーナ23に燃料を供給するメイン燃料供給系統123に分かれて水素を含む燃料14を供給する。
【0035】
パイロット燃料供給系統122にはパイロット燃料圧力調整弁105及びその下流側に位置するパイロット燃料流量調整弁106が備えられている。
【0036】
メイン燃料供給系統123には同様にメイン燃料供給圧力調整弁107及びその下流側に位置するメイン燃料流量調整弁108が備えられている。
【0037】
前記制御装置100によるガスタービン燃焼器1aの燃焼を制御するために、この制御装置100で演算した指令信号(詳細については後述する)に基づいて、パイロット燃料圧力調整弁105及びパイロット燃料流量調整弁106の開度を調節してパイロット燃料供給系統122を通じてパイロットバーナ22に供給する燃料の流量を制御すると共に、メイン燃料圧力調整弁107及びメイン燃料流量調整弁108の開度を調節してメイン燃料供給系統123を通じてメインバーナ23に供給する燃料の流量を制御するように構成されている。
【0038】
本実施例のガスタービン燃焼器1aでは燃料14の緊急遮断応答性を確保するため遮断弁103を独立して燃料供給系統14aに設置しているが、燃料供給系統の簡素化のために燃料遮断弁103の機能をパイロット燃料圧力調整弁105およびメイン燃料圧力調整弁107に持たせても良い。
【0039】
図2は図1に示した第1実施例であるガスタービン発電プラントに備えられたガスタービン燃焼器の燃焼を制御する制御装置の詳細を示す構成図である。
【0040】
図2に示したガスタービン燃焼器1aの燃焼を制御する制御装置100には基準燃料流量演算器305が設置されており、この基準燃料流量演算器305によって運転指令信号301とガスタービンの回転数信号302を参照して定まる目標運転状態に対する状態から燃料流量の指令値を演算し、この基準燃料流量演算器305で演算された燃料流量の指令値に基づいて前記パイロット燃料圧力調整弁105及びパイロット燃料流量調整弁106、並びに前記メイン燃料圧力調整弁107及びメイン燃料流量調整弁108の開度をそれぞれ調節してガスタービン燃焼器1aのパイロットバーナ22及びメインバーナ23に供給する燃料の流量をそれぞれ調節することにより、ガスタービン発電プラントのガスタービン燃焼器1aの燃焼を制御してガスタービン回転数および発電負荷を所望の状態に制御して運転する。
【0041】
詳細に説明すると、運転指令信号301及びガスタービンの回転数信号302に基づいて前記制御装置100に設けた基準燃料流量演算器305によって演算され出力された基準ガスタービン投入燃料信号306の一方は、パイロット燃料供給信号315を演算する演算系統を構成するパイロット燃料制限器314に入力して該パイロット燃料制限器314にて演算したパイロット燃料供給信号315を出力するように構成されると共に、メイン燃料供給信号325を演算する演算系統を構成する基準メイン燃料流量演算器307及びメイン燃料制限器321に入力して該メイン燃料制限器321にて演算したメイン燃料供給信号325を出力するように構成される。
【0042】
パイロット燃料供給信号315を演算するためには、図1に示す燃料供給系統14aに設けた水素濃度検知器102によって検知した水素濃度信号304を入力して前記制御装置100に設置した投入燃料水素濃度バイアス算出器308により算出した基準ガスタービン投入燃料信号補正値309と、前記基準燃料流量演算器305により算出した基準ガスタービン投入燃料信号306とを加算器310で加算することによって、燃料14に含まれた水素濃度の変化に伴う燃料発熱量の変動を補正したガスタービン投入燃料信号311を算出する。
【0043】
この加算器310で加算したガスタービン投入燃料信号311に対してさらに減算器312によって前記基準メイン燃料流量演算器307とメイン燃料制限器321で演算したメイン燃料供給信号325を減算してパイロット燃料供給元信号313に変換し、このパイロット燃料供給元信号313を制御装置100に設置したパイロット燃料制限器314に入力して該パイロット燃料制限器314の演算によってパイロット燃料供給信号315がガスタービンの運転状態および燃料14の水素濃度によって定まるパイロット燃料供給信号の上限および下限の間の値になるように該パイロット燃料制限器314にて補正演算し、このパイロット燃料制限器314からパイロット燃料供給信号315を出力するように構成している。
【0044】
そして、この演算したパイロット燃料供給信号315に基づいて制御装置100から指令信号をパイロット燃料供給系統122に設置したパイロット燃料圧力調整弁105及びパイロット燃料流量調整弁106に伝達してこれらのパイロット燃料圧力調整弁105及びパイロット燃料流量調整弁106の開度を調節し、パイロット燃料供給系統122を通じてパイロットバーナ22に供給する燃料流量を制御する。
【0045】
パイロット燃料制限器314に対する水素濃度バイアス329は水素濃度信号304を入力として制御装置100に設置したパイロット燃料制限補正値演算器328で算出して前記パイロット燃料制限器314に入力するように構成されている。
【0046】
一方、前記制御装置100に設けた基準燃料流量演算器305によって演算されて出力された基準ガスタービン投入燃料信号306の他方は、メイン燃料供給信号325を演算するために設置された基準メイン燃料流量演算器307に入力し、該基準メイン燃料流量演算器307によって基準ガスタービン投入燃料信号306に基づいて基準メイン燃料流量316を演算する。
【0047】
さらに水素濃度検知器102によって燃料14中の水素濃度を検出した水素濃度信号304を入力してメイン燃料水素濃度バイアス算出器317により算出されたメイン燃料流量補正値318と、前記基準メイン燃料流量316とを加算器319で加算して、水素濃度の変化に伴う燃料発熱量の変動を補正したメイン燃料元流量320を算出する。
【0048】
予混合燃焼方式を採用したメインバーナ23では燃料14と燃焼用空気12を予め混合してからガスタービン燃焼器1aのガスタービン燃焼室1に供給するため、安定な燃焼状態を得るためには燃料流量に上限値と下限値が存在し、かつその範囲が拡散燃焼を採用したパイロットバーナ22よりも狭い特徴がある。
【0049】
この安定な燃焼状態を得る範囲は燃料14に含まれる水素濃度により変化するので、前記制御装置100に設置したメイン燃料制限器321にて前記メイン燃料供給元流量320に基づいて演算したメイン燃料流量を、上記の安定範囲内の燃料流量になるように水素濃度検知器102によって検知された高い濃度の水素濃度信号304を入力して前記制御装置100に設置したメイン燃料安定範囲算出器326で燃焼の安定範囲を算出して得たメイン燃料安定範囲バイアス327を該メイン燃料制限器321に入力して補正したメイン燃料流量信号322を算出する。
【0050】
ガスタービン燃焼器1aのメインバーナ23は上記のように安定して運用できる範囲が狭いため、ガスタービン運転計画とガスタービン運転回転数302を参照して前記制御装置100に設置した比較器323でメインバーナ23の運用可否を判定し、運用可能であればメイン燃料流量信号322を、運用不可能であれば燃料流量0を信号切替器324によって切り替えてメイン燃料供給信号325として前記制御装置100から指令信号として出力する。
【0051】
このメイン燃料供給信号325に基づいてガスタービン燃焼器1aのメイン燃料圧力調整弁107およびメイン燃料流量調整弁108の開度を調節してメイン燃料供給系統123をじてメインバーナ23に供給する燃料流量を制御する。
【0052】
図3は図2に示した第1実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置によって制御した場合の燃料流量の変化をガスタービン運転回転数およびガスタービン負荷に対して示した制御特性図を示している。図3の特性図からは上述のように予混合燃焼方式を採用したガスタービン燃焼器1aのメインバーナ23は安定に運用できる範囲が拡散燃焼方式を採用したパイロットバーナ22に比較して狭いので、ガスタービン燃焼器1aに供給する燃料14の燃料流量がガスタービンの回転数が定格まで昇速して所定の流量値GfSWに到達するまではパイロットバーナ22単独でガスタービン燃焼器1aを起動する。
【0053】
そして、供給する燃料14の燃料流量が前記流量値GfSWよりも増加した以降の定格負荷までのガスタービン燃焼器1aの運転は予混合燃焼方式を採用したNOx排出量の小さいメインバーナ23への燃料供給GfMがほとんどを占め、パイロットバーナ22には保炎に必要な最低限の燃料流量GfPを供給する運転形態となっている。
【0054】
図4は図2に示した第1実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置100によって制御した場合の定格負荷における水素濃度の変化に対する燃料供給量の配分の変化の状況を示す特性図である。
【0055】
図4の横軸は燃料14に含まれた水素濃度であり、縦軸はガスタービン燃焼器1aのパイロットバーナ22とメインバーナ23との全体に供給される燃料14のうち、パイロットバーナ22に供給される燃料の割合をパイロット燃料比率として示している。
【0056】
図4の特性図において、燃料14に含まれる水素濃度が低い場合には燃焼速度が遅く、ガスタービン燃焼器1aのガスタービン燃焼室1内に形成される火炎の位置はガスタービン燃焼室1内の下流側に流されるので、より強く保炎しないと火炎が吹き消えを起こし、大量の未燃排出物を発生するなどの問題が起きる可能性がある。
【0057】
このため燃料14に含まれる水素濃度が低い場合には拡散燃焼方式を採用したパイロットバーナ22により多くの燃料を供給するようにバイアスがかかり、結果としてパイロット燃料比率はPM_aまで増加する。
【0058】
しかしながらこの場合には燃料14に含まれる水素濃度が低いので予混合燃焼方式を採用しているメインバーナ23でのNOx排出量が小さいだけでなく、拡散燃焼方式のパイロットバーナ22でも火炎の集中の度合いが弱まるのでNOx排出量が大きく増大することがない。
【0059】
燃料14に含まれる水素濃度が増加すると燃焼速度が速くなるのでガスタービン燃焼室1内に形成される火炎の位置が徐々にガスタービン燃焼室1内の上流側に移動するので、吹き消えの可能性が小さくなる。
【0060】
そこで、予混合燃焼方式を採用しているメインバーナ23には、より多くの燃料を供給し、拡散燃焼方式を採用したパイロットバーナ22には燃料の供給を減少させるので、パイロットバーナ22に供給する保炎のための燃料流量はPM_bまで削減することができ、拡散燃焼方式のパイロットバーナ22において最も燃焼が容易な条件で燃焼する燃料量が減少するので排出NOxがさらに減少する。
【0061】
水素濃度検知器102によって検出する燃料14中の水素濃度信号304が減少した場合には、前記制御装置100に設けた投入燃料水素濃度バイアス算出器308によって基準ガスタービン投入燃料信号補正値309を演算し、基準燃料流量演算器305で演算した基準ガスタービン投入燃料信号306に対して加算器310にてこの基準ガスタービン投入燃料信号補正値309を加算することで、燃料14に含まれた水素濃度の減少に伴う燃料発熱量の変動を補正したガスタービン投入燃料信号311を算出する。
【0062】
この補正されたガスタービン投入燃料信号311は減算器312によって基準メイン燃料流量演算器307とメイン燃料制限器321で演算したメイン燃料供給信号325を減算してパイロット燃料供給元信号313に変換し、このパイロット燃料供給元信号313をパイロット燃料制限器314に入力して該パイロット燃料制限器314の演算によってパイロット燃料供給信号315がガスタービンの運転状態および燃料14の水素濃度によって定まるパイロット燃料供給信号の上限および下限の間の値になるように該パイロット燃料制限器314にて補正演算し、このパイロット燃料制限器314からパイロット燃料供給信号315を出力する。
【0063】
また、水素濃度検知器102によって検出する燃料14中の水素濃度信号304が増加した場合に、前記制御装置100に設けたメイン燃料水素濃度バイアス算出器317によってメイン燃料流量補正値318を演算し、基準ガスタービン投入燃料信号306に基づいて基準メイン燃料流量演算器307にて演算された基準メイン燃料流量316に対して加算器319で前記メイン燃料流量補正値318を加算して水素濃度の減少に伴う燃料発熱量の変動を補正したメイン燃料元流量320を算出する。
【0064】
このメイン燃料元流量320は次にメイン燃料制限器321によって上記の安定範囲内の燃料流量になるようにメイン燃料安定範囲算出器326で燃焼の安定範囲を算出して得たメイン燃料安定範囲バイアス327を入力して補正したメイン燃料流量信号322を算出し、比較器323でメインバーナ23の運用可否の判定に基づいた信号切替器324を経由してこのメイン燃料流量信号322をメイン燃料供給信号325として前記制御装置100から指令信号として出力する。
【0065】
即ち、上記説明のように制御することによって、燃料14中の水素濃度信号304が減少した場合には、基準燃料流量演算器305で演算した基準ガスタービン投入燃料信号306に対して、投入燃料水素濃度バイアス算出器308で演算した基準ガスタービン投入燃料信号補正値309を加算したガスタービン投入燃料信号311を得るが、これがパイロット燃料供給元信号313を経由してパイロットバーナ22に供給するパイロット燃料の指令となるパイロット燃料供給信号315となって、このパイロット燃料供給信号315を増加させるように働く。
【0066】
更に、基準ガスタービン投入燃料信号306に基づいて基準メイン燃料流量演算器307で演算した基準メイン燃料流量316に対して、メイン燃料水素濃度バイアス算出器317で演算したメイン燃料流量補正値318を加算してメイン燃料元流量320を得るが、これがメインバーナ23に供給するメイン燃料の指令となるメイン燃料供給信号325となって、このメイン燃料供給信号325を減少させるように働く。
【0067】
この結果、前記メイン燃料供給信号325に対するパイロット燃料供給信号315の燃料比率が増加するので、燃料中の水素濃度が減少した場合でもガスタービン燃焼器の燃焼は安定燃焼範囲内に制御することが可能となり、ガスタービン燃焼器の安定燃焼を実現することができる。
【0068】
これに対して水素濃度検知器102によって検出する燃料14中の水素濃度信号304が増加した場合には、前記制御装置100に設けたメイン燃料安定範囲算出器326によって燃焼の安定範囲を算出したメイン燃料安定範囲バイアス327を演算し、このメイン燃料安定範囲バイアス327を前記メイン燃料制限器321に入力して補正したメイン燃料流量信号322を得ている。
【0069】
前記メイン燃料流量信号322は信号切替器324を経由してメイン燃料供給信号325として出力され、制御装置100の信号切替器324から出力されたこのメイン燃料供給信号325に基づいてメイン燃料供給系統123に設置したメイン燃料圧力調整弁107及びメイン燃料流量調整弁108の開度を調節してメイン燃料供給系統123を通じてメインバーナ23に供給する燃料の流量が減少するように制御している。
【0070】
また、水素濃度検知器102によって検出する燃料14中の水素濃度信号304が増加した場合に、前記制御装置100に設けたパイロット燃料制限補正値演算器328によって燃焼バランスを調節するパイロット燃料制限器水素濃度バイアス329を演算し、このパイロット燃料制限器水素濃度バイアス329を前記パイロット燃料制限器314に入力して該パイロット燃料制限器314にて運転状態によって定まるパイロット燃料供給信号の上限および下限の間の値になるようにパイロット燃料供給信号315を演算して出力する。
【0071】
そして前記制御装置100のパイロット燃料制限器314から出力されたこのパイロット燃料供給信号315に基づいてパイロット燃料供給系統122に設置したパイロット燃料圧力調整弁105及びパイロット燃料流量調整弁106の開度を調節してパイロット燃料供給系統122を通じてパイロットバーナ22に供給する燃料の流量も減少するように制御している。
【0072】
即ち、上記説明のように制御することによって、燃料14中の水素濃度信号304が増加した場合には、基準ガスタービン投入燃料信号306に基づいて基準メイン燃料流量演算器307で演算した基準ガスタービン投入燃料信号306に対して、メイン燃料安定範囲算出器326で燃焼の安定範囲を算出して得たメイン燃料安定範囲バイアス327を入力してメイン燃料流量信号322を算出し、比較器323でメインバーナ23の運用可否の判定に基づいた信号切替器324を経由してこのメイン燃料流量信号322がメイン燃料供給信号325となるので、前記メイン燃料供給信号325を増加するように働く。
【0073】
更に、基準燃料流量演算器305で演算した基準ガスタービン投入燃料信号306に基づいたパイロット燃料供給元信号313に対して、パイロット燃料制限補正値演算器328で演算した燃焼バランスを調節するパイロット燃料制限器水素濃度バイアス329をパイロット燃料制限器314に入力し、このパイロット燃料制限器314にて運転状態によって定まるパイロット燃料供給信号の上限および下限の間の値になるように、前記パイロット燃料供給元信号313に基づいてパイロット燃料供給信号315を演算して出力するので、前記パイロット燃料供給信号315を減少するように働く。
【0074】
この結果、前記メイン燃料供給信号325に対するパイロット燃料供給信号315の燃料比率が減少するので、燃料中の水素濃度が増加した場合はガスタービン燃焼器の燃焼火炎の位置を燃焼室内の下流側に移動させることが可能となり、ガスタービン燃焼器の信頼性を確保することが実現ができる。
【0075】
ところで、ガスタービン燃焼器1aに供給される燃料14に含まれる水素濃度がある程度以上高くなると、予混合燃焼方式を採用したメインバーナ23においてガスタービン燃焼室1内に形成される火炎の位置がバーナ構造物のごく近くまで接近するようになるため、メインバーナ23で信頼性上の問題が起きることを避けるためにメインバーナ23の混合気中の燃料濃度(あるいは水素濃度)を、制限値よりも下側に抑制する必要がある。
【0076】
そこで、上記した本発明の実施例であるガスタービン燃焼器1aの制御装置100においては、燃料14に含まれる水素濃度が所定値を超えて高くなった場合に、上記した構成によって説明したようにガスタービン燃焼器1aのメインバーナ23に供給する燃料流量の供給量を制限するように制御している。
【0077】
このような制御を行った結果、パイロットバーナ22の燃料比率は再びPM_cまで増加することとなるが、但し、この場合でもメインバーナ23での燃料の燃焼量はガスタービン燃焼器1aの信頼性上許容できる範囲で確保されており、同様の燃料を全て拡散燃焼のバーナで処理した場合に比較してNOx排出量は大幅に低く抑制することが可能となる。
【0078】
本実施例によれば、燃料中に含まれる水素濃度が変動する燃料をガスタービン燃焼器に用いた場合に、水素濃度の変動に起因して形成される火炎がガスタービン燃焼器の構造物に接近して信頼性上の問題を引き起こすことを回避すると共に、低NOx燃焼性能を維持し得る予混合燃焼方式のガスタービン燃焼器の制御装置およびガスタービン燃焼器の制御方法が実現できる。
【実施例2】
【0079】
次に本発明の第2実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置及びガスタービン燃焼器の制御方法について図5および図6を用いて説明する。
【0080】
図5は本発明の第2実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置が適用されるガスタービン発電プラントの構成を示した概略図である。
【0081】
本実施例のガスタービン燃焼器の制御装置は図1乃至図4に示した本発明の第1実施例のガスタービン燃焼器の制御装置と基本的な構成は同じなので、両者に共通する構成及び作用の説明は省略し、相違する構成についてのみ以下に説明する。
【0082】
図5に示した第2実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置においては、パイロットバーナ23に対して、燃料に水素を含まず組成の安定している別の燃料を起動用燃料15として起動用燃料遮断弁104と、この起動用燃料遮断弁104の下流側に起動用燃料圧力調整弁105及び起動用燃料流量調整弁106をそれぞれ備えたパイロット燃料供給系統122を通じて前記起動用燃料15を供給するように構成している点が先の実施例1のガスタービン燃焼器の制御装置と異なっている。
【0083】
図6は図5に示した第2実施例であるガスタービン発電プラントに備えられたガスタービン燃焼器の燃焼を制御する制御装置の詳細を示す構成図である。
【0084】
図6に示したガスタービン燃焼器1aの燃焼を制御する制御装置100aにおいては、ガスタービン燃焼器1aの起動用燃料15を水素を含まず燃料組成の安定した燃料としたため、制御装置100aに設置された基準燃料流量演算器305aはガスタービン運転状況に応じてパイロット燃料元流量315aと基準メイン燃料流量316を同時に算出することができる。
【0085】
図6に示した本実施例の制御装置100aでは、図2に示した第1実施例の制御装置100における基準メイン燃料流量演算器307及び基準ガスタービン投入燃料信号補正値309を演算する投入燃料水素濃度バイアス算出器308を備えていない構成となっている。
【0086】
そして本実施例の制御装置100aにおいて、パイロット燃料供給信号315cを演算する演算系統を構成する前記メイン燃料制限器321で算出したメイン燃料供給信号325を、燃料の発熱量を考慮したゲイン演算器330によって水素濃度の変化に伴う燃料発熱量の変動を加味してガスタービン投入発熱量の変動のパイロット燃料流量の補正値331に変換し、減算器332でパイロット燃料元流量315aから前記補正値331を減算することによりパイロット燃料供給元信号315bとする。
【0087】
このパイロット燃料供給元信号315bをパイロット燃料制限器314bで運転状態によって定まるパイロット燃料供給信号の上限および下限の間の値になるよう補正して、パイロット燃料供給信号315cとして出力し、このパイロット燃料供給信号315cに基づいてパイロット燃料圧力調整弁105およびパイロット燃料流量調整弁106の開度を変化させてパイロットバーナ22に供給する燃料流量を制御する。
【0088】
一方、メイン燃料供給信号325を算出する演算系統を構成する基準燃料流量演算器305aで基準メイン燃料流量316を算出する。そして実施例1の制御装置100と同様に、燃料供給系統14aに設けた水素濃度検知器102によって検知した水素濃度信号304に基づきメイン燃料水素濃度バイアス算出器317により算出されたメイン燃料流量補正値318とこの基準メイン燃料流量316を加算器319にて加算し、水素濃度の変化に伴う燃料発熱量の変動を補正したメイン燃料元流量320とする。
【0089】
更に、水素濃度信号304に基づきメイン燃料安定範囲算出器326にて算出したメイン燃料安定範囲バイアス327によって前記メイン燃料元流量320をメイン燃料制限器321にて補正し、メイン燃料流量信号322を算出する。
【0090】
そして、信号切替器324で運用可能であればメイン燃料流量信号322を、運用不可能であれば燃料流量0をメイン燃料供給信号325として前記制御装置100aから指令信号として出力する。
【0091】
この信号切替器324を経たメイン燃料供給信号325に基づいてガスタービン燃焼器1aのメイン燃料圧力調整弁107およびメイン燃料流量調整弁108の開度を調節してメイン燃料供給系統123をじてメインバーナ23に供給する燃料流量を制御する。
【0092】
本実施例の制御装置100aにおいて、燃料14中の水素濃度信号304が減少した場合には、基準燃料流量演算器305aで演算したパイロット燃料元流量315aに対して、メイン燃料水素濃度バイアス算出器317で演算したメイン燃料流量補正値318を加算してメイン燃料元流量320を得るが、これがメインバーナ23に供給するメイン燃料の指令となるメイン燃料供給信号325となって、このメイン燃料供給信号325を減少させるように働く。
【0093】
この結果、パイロット燃料供給信号315cに対するメイン燃料供給信号325の燃料比率が減少するので、燃料中の水素濃度が減少した場合でもガスタービン燃焼器の燃焼は安定燃焼範囲内に制御することが可能となり、ガスタービン燃焼器の安定燃焼を実現することができる。
【0094】
これに対して、燃料14中の水素濃度信号304が増加した場合には、基準燃料流量演算器305aで演算した基準メイン燃料流量316に対して、メイン燃料安定範囲算出器326で燃焼の安定範囲を算出して得たメイン燃料安定範囲バイアス327をメイン燃料制限器321に入力してメイン燃料流量信号322を算出し、比較器323でメインバーナ23の運用可否の判定に基づいた信号切替器324を経由してこのメイン燃料流量信号322をメイン燃料供給信号325として出力するので、前記メイン燃料供給信号325を増加するように働く。
【0095】
尚、メイン燃料制限器321で算出したメイン燃料供給信号325は、燃料の発熱量を考慮したゲイン演算器330を経由させることによって水素濃度の変化に伴う燃料発熱量の変動を加味してガスタービン投入発熱量の変動のパイロット燃料流量の補正値331に変換し、パイロット燃料供給元信号315bとしてパイロット燃料制限器314bに入力して補正し、前記パイロット燃料供給信号315cを得ている。
【0096】
更に、基準燃料流量演算器305aで演算したパイロット燃料元流量315aに対して、パイロット燃料制限補正値演算器328で演算した燃焼バランスを調節するパイロット燃料制限器水素濃度バイアス329をパイロット燃料制限器314bに入力し、このパイロット燃料制限器314bにて運転状態によって定まるパイロット燃料供給信号の上限および下限の間の値になるように、前記パイロット燃料供給信号315bに基づいてパイロット燃料供給信号315cを演算して出力するので、前記パイロット燃料供給信号315を減少するように働く。
【0097】
この結果、前記メイン燃料供給信号325に対するパイロット燃料供給信号315cの燃料比率が減少するので、燃料中の水素濃度が増加した場合はガスタービン燃焼器の燃焼火炎の位置を燃焼室内の下流側に移動させることが可能となり、ガスタービン燃焼器の信頼性を確保することが実現ができる。
【0098】
このようにパイロットバーナ22を燃料組成変動のない起動用燃料で運用することで制御の簡素化が図れる。起動用燃料としては天然ガス、プロパンガスなどの高カロリーガス燃料のほか、灯油、軽油、A重油などの油燃料を用いても良い。
【0099】
本実施例によれば、燃料中に含まれる水素濃度が変動する燃料をガスタービン燃焼器に用いた場合に、水素濃度の変動に起因して形成される火炎がガスタービン燃焼器の構造物に接近して信頼性上の問題を引き起こすことを回避すると共に、低NOx燃焼性能を維持し得る予混合燃焼方式のガスタービン燃焼器の制御装置およびガスタービン燃焼器の制御方法が実現できる。
【実施例3】
【0100】
次に本発明の第3実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置及びガスタービン燃焼器の制御方法について図7乃至図9を用いて説明する。図7は本発明の第3実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置が適用されるガスタービン発電プラントの構成を示した概略図である。
【0101】
本実施例のガスタービン燃焼器の制御装置は図5及び図6に示した本発明の第2実施例のガスタービン燃焼器の制御装置と基本的な構成は同じなので、両者に共通する構成及び作用の説明は省略し、相違する構成についてのみ以下に説明する。
【0102】
図7に示した第3実施例であるガスタービン燃焼器1aにおいては、メインバーナ23を、多数の燃料ノズル25と空気孔プレート24に開口した多数の空気孔とをそれぞれ同軸に配置する小口径の同軸ノズルで構成するとともに、この小口径同軸ノズルを集合化したメインバーナ23として形成し、パイロットバーナ22の周囲に前記集合化したメインバーナ23を複数配設することによって、構造的に予め燃料と空気の分散性を高めてNOxを低減したことが実施例2のガスタービン燃焼器1に備えたメインノズルの構成とは異なっている。
【0103】
本実施例の複数配設されたメインバーナ23である同軸ノズルバーナは、多数の燃料・空気の同軸噴流からなるバーナであり、かつ燃料と空気の混合の度合いを空気ノズルの形状および燃料ノズルの形状で調整することができる。
【0104】
また、複数の各メインバーナ23は、バーナ単体の保炎能力は同軸ノズルバーナの中心軸に面した最内周の同軸噴流の混合と噴出方向で調整することができるので、1つの同軸ノズルバーナの中の最内周部分の同軸噴流に保炎の機能を担わせることができる。
【0105】
また複数の各メインバーナ23は上記のように保炎の機能を強化するように燃料と空気の混合を調整することで、可燃範囲の混合気が形成される位置を同軸ノズルバーナの構造物から遠い場所に設計することが可能であり、各メインバーナ23の内周側の同軸ノズルについては火炎接近に対する裕度を大きく取ることができる。
【0106】
そこで本実施例のガスタービン燃焼器1aでは、水素を含む燃料は各メインバーナ23を構成する同軸ノズルの内周側に供給される内周側メイン燃料供給系統123aと、各メインバーナ23を構成する各メインバーナ23を構成する同軸ノズルの外周側に供給される外周側メイン燃料供給系統124aに分岐しており、供給される燃料の配分が調整できるようになっている。
【0107】
メインバーナ23を構成する同軸ノズルの内周側に供給される水素を含む燃料14は内周側メイン燃料供給系統123aに設置された内周側メイン燃料圧力調整弁107a、内周側メイン燃料流量調整弁108aを介して燃焼器エンドカバー8の取り合い口に導かれ、エンドカバー8の内部の流路を通過し、メインバーナ23に備えられた燃料分配器26の内周側空間から燃料ノズル25を通って空気孔プレート24に開口した空気孔に向かって噴出し、空気と同軸の噴流となって燃焼室1に噴出する。
【0108】
また、メインバーナ23を構成する同軸ノズルの外周側に供給される水素を含む燃料14も同様に、外周側メイン燃料供給系統124aに設置された外周側メイン燃料圧力調整弁107b、外周側メイン燃料流量調整弁108bを介して燃焼器エンドカバー8の取り合い口に導かれ、エンドカバー8の内部の流路を通過し、メインバーナ23に備えられた燃料分配器26の外周側空間から燃料ノズル25を通って空気孔プレート24に開口した空気孔に向かって噴出し、空気と同軸の噴流となって燃焼室1に噴出する。
【0109】
図8は図7に示した第3実施例であるガスタービン発電プラントに備えられたガスタービン燃焼器1aの燃焼を制御する制御装置100bの詳細を示す構成図である。
【0110】
図8に示したガスタービン燃焼器1aの燃焼を制御する制御装置100bにおいては、ガスタービン燃焼器1aの起動用燃料15を、実施例2と同様に起動用燃料15を水素を含まず燃料組成の安定した燃料としたため、制御装置100bに設置された基準燃料流量演算器305aではガスタービン運転状況に応じてパイロット燃料元流量315aと基準メイン燃料流量316を同時に算出することができる。
【0111】
図8に示した本実施例のガスタービン燃焼器1aの燃焼を制御する制御装置100bでは、図2に示した第1実施例の制御装置100における基準メイン燃料流量演算器307を備えていないが、各メインバーナ23内の内周と外周の燃料比率334を演算するメイン内外周比率演算器333と、メイン内周側燃料供給信号336及びメイン外周側燃料供給信号337を演算するメイン内外周燃料流量演算器335を新たに備えた構成となっている。
【0112】
そして本実施例のガスタービン燃焼器1aでは、前述のように各メインバーナ23を燃料ノズル25と空気孔プレート24に開口した空気孔とを同軸に配置する同軸ノズルで構成したことでメインバーナ23自身の中に保炎を担う機能が持てる上、同軸ノズルの内周側は混合を調整して保炎の機能を持たせたことで火炎接近に対する裕度が広がっている。
【0113】
このため本実施例の制御装置100bでは、では水素濃度の変化に対してメインバーナ内部の燃料配分を調整することで信頼性を確保しながら低NOx燃焼することが可能となり、パイロットバーナ供給燃料は燃焼器全体の燃焼安定性を最低限確保するのみで十分である。
【0114】
そこで本実施例のガスタービン燃焼器1aの燃焼を制御する制御装置100aにおいては、パイロット燃料供給信号315cを算出する制御系統では、パイロット燃料元流量315aをパイロット燃料制限器314で運転状態によって定まるパイロット燃料供給信号の上限および下限の間の値になるよう補正するのみで、パイロット燃料供給信号315cとして出力することができ制御が大幅に簡素化できる。
【0115】
一方、メイン燃料供給信号を算出する制御系統では、基準燃料流量演算器305aで算出された基準メイン燃料流量316を、メイン燃料水素濃度バイアス算出器317により算出されたメイン燃料流量補正値318と加算器319で加算し、水素濃度の変化に伴う燃料発熱量の変動を補正したメイン燃料元流量320とし、メイン燃料安定範囲算出器326の算出値および、メイン燃料制限器321で補正しメイン燃料流量信号322として、信号切替器324で運用可能であればメイン燃料流量信号322を、運用不可能であれば燃料流量0をメイン燃料供給信号325として出力する。
【0116】
この後、メインバーナ23内の内周側と外周側との燃料比率334をメイン内外周比率演算器333により算出し、この内周側と外周側との燃料比率334をメイン内外周燃料流量演算器335によってメイン燃料供給信号325と乗算することにより、メイン内周側燃料供給信号336及びメイン外周側燃料供給信号337を算出して、これらのメイン内周側燃料供給信号336及びメイン外周側燃料供給信号337基づいてメインバーナ23である同軸ノズルの内周側と外周側とに供給される燃料の流量をそれぞれ制御するように構成されている。
【0117】
本実施例の制御装置100bにおいて、燃料14中の水素濃度信号304が減少した場合には、ガスタービン燃焼器1aの安定燃焼を確保するためにメインバーナ23である同軸ノズルの内周側の燃焼比率が外周側の燃焼比率よりも高くなるように、内周側メイン燃料供給系統123aを通じて供給する燃料流量が外周側メイン燃料供給系統124aを通じて供給する燃料流量より多くなるように、前記内周側メイン燃料圧力調整弁107a及び内周側メイン燃料流量調整弁108a、並びに外周側メイン燃料圧力調整弁107b及び外周側メイン燃料流量調整弁108bの開度を制御装置100bによってそれぞれ制御して、メインバーナ23の内周側の燃焼比率を上げる。
【0118】
次に、燃料14中の水素濃度信号304が増加して水素濃度が約48%に達するまでは、ガスタービン燃焼器1aのメインバーナ23である同軸ノズルの内周側の燃焼比率が外周側の燃焼比率よりも低くなるように、内周側メイン燃料供給系統123aを通じて供給する燃料流量が外周側メイン燃料供給系統124aを通じて供給する燃料流量より少なくなるように、前記内周側メイン燃料圧力調整弁107a及び内周側メイン燃料流量調整弁108a、並びに外周側メイン燃料圧力調整弁107b及び外周側メイン燃料流量調整弁108bの開度を制御装置100bによってそれぞれ制御して、メインバーナ23の外周側の燃焼比率を上げる。
【0119】
更に、燃料14中の水素濃度信号304が増加して水素濃度が所定の濃度(例えば約48%)を超えた場合には、ガスタービン燃焼器1aの燃焼室内に形成される火炎の位置が燃焼室下流側に移動させてガスタービン燃焼器の信頼性を確保するために、メインバーナ23である同軸ノズルの内周側の燃焼比率が外周側の燃焼比率よりも高くなるように、内周側メイン燃料供給系統123aを通じて供給する燃料流量が外周側メイン燃料供給系統124aを通じて供給する燃料流量より多くなるように、前記内周側メイン燃料圧力調整弁107a及び内周側メイン燃料流量調整弁108a、並びに外周側メイン燃料圧力調整弁107b及び外周側メイン燃料流量調整弁108bの開度を制御装置100bによってそれぞれ制御して、メインバーナ23の内周側の燃焼比率を上げる。
【0120】
尚、本実施例のガスタービン燃焼器1aの制御装置100bを構成する各演算器の作用については説明を省略したが、図2に示したガスタービン燃焼器1aの制御装置100、並びに図6に示したガスタービン燃焼器1aの制御装置100aを構成する各演算器の作用を参照されたい。
【0121】
図9は図8に示した第3実施例であるガスタービン燃焼器1aの制御装置100bによって制御した場合の定格負荷における水素濃度の変化に対するメインバーナ内外周の燃料供給量の配分の変化の状況を示す特性図である。
【0122】
図9の横軸は燃料14に含まれた水素濃度であり、縦軸はガスタービン燃焼器1aのメインバーナ23に供給される燃料全体のうち、保炎を担う内周側の燃料の占める比率を保炎用燃料比率として示している。
【0123】
図9の特性図において、水素濃度が低い場合には燃焼速度が遅く、火炎は燃焼器下流側に流されるのでより強く保炎しないと火炎が吹き消えを起こし、大量の未燃排出物を発生するなどの問題が起きる可能性がある。
【0124】
このため燃料14に含まれる水素濃度が低い場合には保炎を担う内周側により多くの燃料を供給するようにバイアスがかかり、結果として保炎用燃料比率はIO_aまで増加する。
【0125】
しかしながらこの場合には燃料14に含まれる水素濃度が低いのでメインバーナ全体でのNOx排出量が小さいだけでなく、保炎を担っている内周側メインバーナもある程度の低NOx燃焼性が得られる同軸ノズル構造であるためNOx排出量は実施例1に比較して小さい。
【0126】
燃料14に含まれる水素濃度が増加すると燃焼速度が速くなるのでガスタービン燃焼室1内に形成される火炎の位置が徐々にガスタービン燃焼室1内の上流側に移動するので、吹き消えの可能性が小さくなり保炎用燃料流量はIO_bまで削減することができ、排出NOxがさらに減少する。
【0127】
さらに燃料14に含まれる水素濃度が高くなると、メインバーナ23を構成する同軸ノズルの外周側において火炎がバーナ構造物のごく近くまで接近するようになるためメインバーナで信頼性上の問題が起きることを避けるために同軸ノズルバーナ外周側の混合気中の燃料濃度(あるいは水素濃度)をある制限値よりも下側に抑制する必要が現れる。
【0128】
このため、同軸ノズルの外周側に供給する燃料流量が制限された結果、保炎用燃料比率は再びIO_cまで増加することとなる。但し、この場合でも保炎を担っているメインバーナ23を構成する同軸ノズルの内周側は、ある程度の低NOx燃焼性が得られる同軸ノズル構造であるためNOx排出量は実施例1に比較しても小さい。
【0129】
本実施例によれば、燃料中に含まれる水素濃度が変動する燃料をガスタービン燃焼器に用いた場合に、水素濃度の変動に起因して形成される火炎がガスタービン燃焼器の構造物に接近して信頼性上の問題を引き起こすことを回避すると共に、低NOx燃焼性能を維持し得る予混合燃焼方式のガスタービン燃焼器の制御装置およびガスタービン燃焼器の制御方法が実現できる。
【実施例4】
【0130】
次に本発明の第4実施例であるガスタービン燃焼器の制御装置及びガスタービン燃焼器の制御方法について図10及び図11を用いて説明する。
【0131】
図10は本発明の第4実施例であるガスタービン燃焼器1aが適用されるガスタービン発電プラントの構成を示した概略図である。
【0132】
本実施例のガスタービン燃焼器の制御装置は図7及び図8に示した本発明の第3実施例のガスタービン燃焼器の制御装置と基本的な構成は同じなので、両者に共通する構成及び作用の説明は省略し、相違する構成についてのみ以下に説明する。
【0133】
図10は本発明に関わるガスタービン燃焼器1aを備えた二酸化炭素回収付IGCCプラントの実施例であり、圧縮機5、タービン6、発電機30、及びガスタービン燃焼器1aに供給する燃料供給系統を示した概略構成図である。
【0134】
本実施例の二酸化炭素回収付IGCCプラントに備えられたガスタービン燃焼器1a及びその制御装置11cは、図7及び図8に示した本発明の第3実施例のガスタービン燃焼器1aの制御装置100bと基本的な構成は同じなので、両者に共通する構成及び作用の説明は省略し、相違する構成についてのみ以下に説明する。
【0135】
図10において、二酸化炭素回収付IGCCプラントは、まず起動用燃料によりガスタービンをある一定負荷まで起動しておき、石炭から石炭ガスを生成する石炭ガス化炉202と、石炭ガス化炉202で生成した石炭ガスを精製する石炭ガス化ガス精製装置203と、石炭ガス化炉202で生成した石炭ガスから二酸化炭素と水素を生成するシフト反応器206と、シフト反応器206で生成した二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置207の各装置の運転を開始することで、水素を含む石炭ガス化燃料21が、ガスタービンのガスタービン燃焼器1aに供給されるようになる。
【0136】
石炭のガス化は、まず酸素製造装置201によって精製した酸素17と石炭16を石炭ガス化炉202において一酸化炭素と水素を主成分とするガスとし、ガス精製装置203において不純物などを除去して石炭ガス化ガス18を製造する。製造された石炭ガス化ガス18の一部は水素濃度検出手段102a、流量調整弁205を介してガスタービン燃焼器1aに至るガスタービン燃料供給系統123a、124aに石炭ガス化燃料21として供給され、また石炭ガス化ガス18の一部は流量調整弁206を介してシフト反応器206に導かれ、残余のガスがガス処理炉209で燃焼処理される。
【0137】
シフト反応器206では石炭ガス化ガス18に水蒸気19を供給してシフト反応を起こさせ、組成中の一酸化炭素を二酸化炭素と水素に転換して二酸化炭素回収装置207に送り、水蒸気および二酸化炭素を回収して高水素濃度石炭ガス化ガス20を精製する。
【0138】
この高水素濃度石炭ガス化ガス20もその一部が水素濃度検出手段102bおよび流量調整弁208を介してガスタービン燃焼器1aに至るガスタービン燃料供給系統123a、124aに石炭ガス化燃料21として供給され、残余のガスがガス処理炉209で燃焼処理される。
【0139】
石炭ガス化燃料21が供給されるようになると起動用燃料15は石炭ガス化燃料21で置き換えられるため、パイロット燃料供給系統122と、ガスタービン燃料供給系統123aから分岐したパイロット燃料供給系統122には、パイロットバーナ22に対して供給する燃料を調節する起動用燃料パイロットバーナ燃料遮断弁104a、起動用燃料パイロットバーナ燃料圧力調整弁105a、および起動用燃料パイロットバーナ燃料流量調整弁106aが設置され、ガスタービン燃料供給系統123aから分岐したガスタービン燃料供給系統122bには、パイロットバーナ22に対して供給する燃料を調節する石炭ガス化燃料パイロットバーナ燃料遮断弁104b、石炭ガス化燃料パイロットバーナ燃料圧力調整弁105b、および石炭ガス化燃料パイロットバーナ燃料流量調整弁106bが設置されている。
【0140】
複数個設置された各メインバーナ23に関しては実施例3のガスタービン燃焼器1aのメインバーナ23と同様に同軸ノズルバーナを採用しており、実施例3のメインバーナ23と同様に、内周側メイン燃料供給系統123aには内周側メイン燃料圧力調整弁107a及び内周側メイン燃料流量調整弁108aが設置され、外周側メイン燃料供給系統124aには外周側メイン燃料圧力調整弁107b及び外周側メイン燃料流量調整弁108bが設置されている。
【0141】
そして石炭ガス化燃料21は前記内周側メイン燃料供給系統123a及び外周側メイン燃料供給系統124aを介して燃焼器エンドカバー8の取り合い口に導かれ、エンドカバー8の内部の流路を通過して、各メインバーナ23の燃料分配器26の外周側空間から燃料ノズル25を通って空気孔プレート24に開口した空気孔に向かって噴出し、空気と同軸の噴流となって燃焼室1に噴出して燃焼するように構成されている。
【0142】
図11は本実施例の二酸化炭素回収付IGCCプラントに備えられたガスタービン燃焼器1aを制御する制御装置100cの詳細を示した構成図である。
【0143】
二酸化炭素回収付IGCCプラントでは複数の燃料の切替が行われるため、制御装置100cに設置された基準燃料流量演算器305cでは運転指令信号301とガスタービンの回転数信号302を参照して基準ガスタービン投入燃料信号306の他、起動用燃料から石炭ガス化燃料に切り替える際にパイロットバーナ22に供給する燃料に必要な熱量の信号であるパイロット投入熱量315dをそれぞれ算出する。
【0144】
パイロットバーナ投入熱量信号315dは起動用燃料流量演算器343によって起動用パイロット燃料元流量315aに変換され、実施例2に示した制御装置100bと同様に起動用燃料パイロット燃料供給信号315cを算出する。
【0145】
すなわち燃料に含まれた水素濃度の変化に伴う燃料発熱量の変動を加味したメイン燃料供給信号325を、燃料の発熱量を考慮したゲイン演算器330によってガスタービン投入発熱量変動のパイロット燃料流量の補正値に変換して、減算器332により減算することにより起動用燃料パイロット燃料元流量315aを起動用燃料パイロット燃料流量信号315eとするものである。
【0146】
この起動用燃料パイロット燃料流量信号315eをパイロット燃料制限器314bにて運転状態によって定まるパイロット燃料供給信号の上限および下限の間の値になるように補正して、パイロット燃料供給信号315cとして出力する。この際、実施例1〜3に示した各制御装置100、100a、100bと異なり、二酸化炭素回収付IGCCプラントで生成される水素を含む燃料は、水素濃度の異なる石炭ガス化燃料を混合した燃料であるため、実際にガスタービン燃焼器1aに供給される燃料の水素濃度304は、ガス精製装置203から直接ガスタービンに供給される系統に設置された水素濃度検出手段102aから検出される石炭ガス化ガス水素濃度信号338、同系統の石炭ガス化ガス流量信号339、および二酸化炭素回収装置207から供給される系統に設置された水素濃度検出手段102bから得られるCO2回収後石炭ガス水素濃度信号340、同系統のCO2回収後石炭ガス流量信号341を入力して供給水素濃度演算器342によって算出することで、燃料の水素濃度304を得ている。
【0147】
二酸化炭素回収付IGCCプラントの起動時には石炭ガス化炉202からの石炭ガス化燃料21は生成されていないため、起動初期には、上記の起動用燃料パイロット燃料供給信号315cは補正なしに起動用燃料15の流量指示値として使用される。
【0148】
石炭ガス化炉202が起動して石炭ガス化燃料21が生成し始めると、ガスタービン燃焼器1aへの燃料供給は起動用燃料15から石炭ガス化燃料21へパイロットバーナ22に供給する燃料を切り替える運転を行う。
【0149】
この際には実施例1に示した制御装置100と同様に、水素濃度信号304を入力として投入燃料水素濃度バイアス算出器308により算出された基準ガスタービン投入燃料信号補正値309と基準燃料流量演算器305cにおいて算出された基準ガスタービン投入燃料信号306を加算器310で加算して水素濃度の変化に伴う燃料発熱量の変動を補正したガスタービン投入燃料信号311を算出する。
【0150】
さらに減算器312によりガスタービン投入燃料信号311からメイン燃料供給信号325を減算してパイロット燃料供給元信号313に変換し、パイロット燃料制限器314によって、運転状態によって定まるパイロット燃料供給信号の上限および下限の間の値になるよう補正したものをパイロット燃料供給信号315として出力し、このパイロット燃料供給信号315に基づいて前記パイロット燃料供給系統122bに設置されたパイロット燃料圧力調整弁105bおよびパイロット燃料流量調整弁106bの開度を変化させてパイロットバーナ22に供給する石炭ガス化燃料流量を制御する。
【0151】
一方、メイン燃料供給信号を算出する制御系統では、基準燃料流量演算器305cで算出された基準メイン燃料流量316を、実施例1〜3に示した各制御装置100、100a、100bと同様に、メイン燃料水素濃度バイアス算出器317によって算出されたメイン燃料流量補正値318と加算器319で加算し、水素濃度の変化に伴う燃料発熱量の変動を補正したメイン燃料元流量320として、メイン燃料安定範囲算出器326での算出値および、メイン燃料制限器321で補正したメイン燃料流量信号322として、信号切替器324で運用可能であればメイン燃料流量信号322を、運用不可能であれば燃料流量0をメイン燃料供給信号325として出力する運転を行う。
【0152】
この後、ガスタービン燃焼器1aの各メインバーナ23の内周側と外周側とに燃料を供給する燃料比率を、メイン内外周比率演算器335によって算出して前記メイン燃料供給信号325と乗算することにより、メイン内周側燃料供給信号336及びメイン外周側燃料供給信号337を得ているのは実施例3に示した制御装置100bの場合と同様である。
【0153】
本実施例の制御装置100cにおいて、石炭ガス化燃料21中の水素濃度信号338或いは341が減少した場合には、ガスタービン燃焼器1aの安定燃焼を確保するためにメインバーナ23である同軸ノズルの内周側の燃焼比率が外周側の燃焼比率よりも高くなるように、内周側メイン燃料供給系統123aを通じて供給する燃料流量が外周側メイン燃料供給系統124aを通じて供給する燃料流量より多くなるように、前記内周側メイン燃料圧力調整弁107a及び内周側メイン燃料流量調整弁108a、並びに外周側メイン燃料圧力調整弁107b及び外周側メイン燃料流量調整弁108bの開度を制御装置100bによってそれぞれ制御して、メインバーナ23の内周側の燃焼比率を上げる。
【0154】
次に、石炭ガス化燃料21中の水素濃度信号338或いは341が増加して水素濃度が所定の値(例えば約48%)に達するまでは、ガスタービン燃焼器1aのメインバーナ23である同軸ノズルの内周側の燃焼比率が外周側の燃焼比率よりも低くなるように、内周側メイン燃料供給系統123aを通じて供給する燃料流量が外周側メイン燃料供給系統124aを通じて供給する燃料流量より少なくなるように、前記内周側メイン燃料圧力調整弁107a及び内周側メイン燃料流量調整弁108a、並びに外周側メイン燃料圧力調整弁107b及び外周側メイン燃料流量調整弁108bの開度を制御装置100bによってそれぞれ制御して、メインバーナ23の外周側の燃焼比率を上げる。
【0155】
更に、石炭ガス化燃料21中の水素濃度信号338或いは341が増加して水素濃度が所定の濃度(例えば約48%)を超えた場合には、ガスタービン燃焼器1aの燃焼室内に形成される火炎の位置が燃焼室下流側に移動させてガスタービン燃焼器の信頼性を確保するために、メインバーナ23である同軸ノズルの内周側の燃焼比率が外周側の燃焼比率よりも高くなるように、内周側メイン燃料供給系統123aを通じて供給する燃料流量が外周側メイン燃料供給系統124aを通じて供給する燃料流量より多くなるように、前記内周側メイン燃料圧力調整弁107a及び内周側メイン燃料流量調整弁108a、並びに外周側メイン燃料圧力調整弁107b及び外周側メイン燃料流量調整弁108bの開度を制御装置100bによってそれぞれ制御して、メインバーナ23の内周側の燃焼比率を上げる。
【0156】
この結果、パイロット燃料供給信号315cに対するメイン燃料供給信号325の燃料比率が減少するので、燃料中の水素濃度が減少した場合でもガスタービン燃焼器の燃焼は安定燃焼範囲内に制御することが可能となり、ガスタービン燃焼器の安定燃焼を実現することができる。
【0157】
本実施例によれば、燃料中に含まれる水素濃度が変動する燃料をガスタービン燃焼器に用いた場合に、水素濃度の変動に起因して形成される火炎がガスタービン燃焼器の構造物に接近して信頼性上の問題を引き起こすことを回避すると共に、低NOx燃焼性能を維持し得る予混合燃焼方式のガスタービン燃焼器の制御装置およびガスタービン燃焼器の制御方法が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明はガスタービンプラントに設置されたガスタービン燃焼器の燃料流量制御として、特に燃料組成に水素を含む燃料によって運転される予混合燃焼方式のガスタービン燃焼器の制御装置およびガスタービン燃焼器の制御方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0159】
1:ガスタービン燃焼器、1a:ガスタービン燃焼室、2:燃焼器外筒、3:燃焼器ライナー、4:燃焼器尾筒、5:圧縮機、6:タービン、7:車室、8:燃焼器エンドカバー、10:圧縮空気、11:冷却空気、12:燃焼用空気、13:燃焼ガス、14:燃料、14a:燃料供給系統、15:起動用燃料、16:石炭、17:酸素18:石炭ガス化ガス、19:水蒸気、20:高水素濃度(CO2回収後)石炭ガス化ガス、21:石炭ガス化燃料、22:パイロットバーナ、23:予混合燃焼方式メインバーナ、24:空気孔プレート、25:燃料ノズル、26:燃料分配器、100:制御装置、101:燃料圧縮機、102、102a、102b:水素濃度検知手段、103:遮断弁、104:起動用燃料遮断弁、105:パイロット燃料圧力調整弁、105a:起動用燃料パイロット燃料圧力調整弁、105b:水素含有パイロット燃料圧力調整弁、106:パイロット燃料流量調整弁、106a:起動用燃料パイロット燃料流量調整弁、106b:水素含有燃料パイロット燃料流量調整弁、107:メイン燃料供給圧力調整弁、107a:内周側メイン燃料圧力調整弁、107b:外周側メイン燃料圧力調整弁、108:メイン燃料流量調整弁、108a:内周側メイン燃料流量調整弁、108b:外周側メイン燃料流量調整弁、122、122b:パイロット燃料供給系統、123:メイン燃料供給系統、123a:内周側メイン燃料供給系統、124a:外周側メイン燃料供給系統、201:酸素製造装置、202:石炭ガス化炉、203:石炭ガス化ガス精製装置、204、205:流量調整弁、206:シフト反応器、207:二酸化炭素回収装置、208:流量調整弁、209:ガス処理炉、301:運転指令信号、302:ガスタービン回転数信号、303:ガスタービン運転計画線、304:水素濃度信号、305、305a、305b:基準燃料流量演算器、306:基準ガスタービン投入燃料信号、307:基準メイン燃料流量演算器、308:投入燃料水素濃度バイアス算出器、309:基準ガスタービン投入燃料信号補正値、310:加算器、311:ガスタービン投入燃料信号、312:減算器、313:パイロット燃料供給元信号、314:パイロット燃料制限器、315:パイロット燃料供給信号、315a:パイロット燃料元流量、315b:パイロット燃料供給元信号、315c:起動用燃料パイロット燃料供給信号、315d:パイロットバーナ投入熱量信号、315e:起動用燃料パイロット燃料流量信号、316:基準メイン燃料流量、317:メイン燃料水素濃度バイアス算出器、318:メイン燃料流量補正値、319:加算器、320:メイン燃料元流量、321:メイン燃料制限器、322:メイン燃料流量信号、323:比較器、324:信号切替器、325:メイン燃料供給信号、326:メイン燃料安定範囲算出器、、327:メイン燃料安定範囲バイアス、328:パイロット燃料制限補正値演算器、329:パイロット燃料制限器水素濃度バイアス、330:ゲイン演算器、331:パイロット燃料流量発熱量変動補正値、332:減算器、333:メイン内外周比率演算器、334:メイン内外周比率信号、335:メイン内外周燃料流量演算器、336:メイン内周側燃料供給信号、337:メイン外周側燃料供給信号、338:石炭ガス化ガス水素濃度信号、339:石炭ガス化ガス流量信号、340:CO2回収後石炭ガス水素濃度信号、341:CO2回収後石炭ガス流量信号、342:供給水素濃度演算器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料組成に水素を含む燃料を燃焼するバーナを備えたガスタービン燃焼器の制御装置において、
ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成し、
ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料を供給するメイン燃料供給系統をそれぞれ配設し、
ガスタービン燃焼器の少なくともメインバーナに燃料を供給する前記メイン燃料系統に燃料に含まれる水素濃度を検出する水素濃度検出器を設け、
前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて前記パイロット燃料供給系統を通じて前記パイロットバーナに供給される燃料の流量と、前記メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とするガスタービン燃焼器の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガスタービン燃焼器の制御装置において、
前記前記メインバーナは、複数の燃料ノズルと、前記燃料ノズルに対応して空気プレートに形成された空気孔とが同軸に配置されていることを特徴とするガスタービン燃焼器の制御装置。
【請求項3】
燃料組成に水素を含む燃料と、燃料組成に水素を含まない起動用燃料を燃焼するバーナを備えたガスタービン燃焼器の制御装置において、
ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成し、
ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料組成に水素を含まない起動用燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料組成に水素を含む燃料を供給するメイン燃料供給系統をそれぞれ配設し、
前記メイン燃料系統に燃料に含まれる水素濃度を検出する酸素濃度検出器を設け、
前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて前記メイン燃料系統を通じて前記メインバーナに供給される燃料の流量と、前記パイロット燃料系統を通じて前記パイロットバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とするガスタービン燃焼器の制御装置。
【請求項4】
燃料組成に水素を含む燃料と、燃料組成に水素を含まない起動用燃料を燃焼するバーナを備えたガスタービン燃焼器の制御装置において、
ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成し、
ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料組成に水素を含まない起動用燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料組成に水素を含む燃料を供給するメイン燃料供給系統をそれぞれ配設し、
前記メインバーナは複数の燃料ノズルと前記燃料ノズルに対応して空気プレートに形成された複数の空気孔とが同軸に構成されて該前記メインバーナの内周側と外周側とに配置された同軸ノズルバーナを構成しており、
前記メイン燃料供給系統は前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する内周側メイン燃料供給系統と、前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する外周側メイン燃料供給系統とを備えており、
前記メイン燃料系統に燃料に含まれる水素濃度を検出する酸素濃度検出器を設け、
前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて外周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量と、前記内周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とするガスタービン燃焼器の制御装置。
【請求項5】
石炭から石炭ガスを生成する石炭ガス化炉と、石炭ガス化炉で生成した石炭ガスから二酸化炭素と水素を生成するシフト反応器と、石炭ガス化炉で生成した石炭ガスとシフト反応器で生成した水素とを含んだ石炭ガス化燃料を燃焼するガスタービン燃焼器を有するガスタービンを備えた二酸化炭素回収付IGCCプラントであって、燃料組成に水素を含む燃料と、燃料組成に水素を含まない起動用燃料を燃焼するバーナを備えたガスタービン燃焼器の制御装置において、
ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成し、
ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料組成に水素を含まない起動用燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料組成に水素を含む燃料を供給するメイン燃料供給系統をそれぞれ配設し、
前記メインバーナは複数の燃料ノズルと前記燃料ノズルに対応して空気プレートに形成された複数の空気孔とが同軸に構成されて該前記メインバーナの内周側と外周側とに配置された同軸ノズルバーナを構成しており、
前記メイン燃料供給系統は前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する内周側メイン燃料供給系統と、前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する外周側メイン燃料供給系統とを備えており、
前記メイン燃料系統に燃料に含まれる水素濃度を検出する酸素濃度検出器を設け、
前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて外周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量と、前記内周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とするガスタービン燃焼器の制御装置。
【請求項6】
ガスタービン燃焼器に備えたバーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成して、燃料組成に水素を含む燃料を前記バーナで燃焼するガスタービン燃焼器の制御方法において、
ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料を供給するメイン燃料供給系統とがそれぞれ配設されており、
ガスタービン燃焼器の少なくともメインバーナに燃料を供給する前記メイン燃料系統に設けた水素濃度検出器によって燃料に含まれる水素濃度を検出し、
前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて前記パイロット燃料供給系統を通じて前記パイロットバーナに供給される燃料の流量と、前記メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とするガスタービン燃焼器の制御方法。
【請求項7】
ガスタービン燃焼器に備えたバーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成して、燃料組成に水素を含む燃料を前記バーナで燃焼するガスタービン燃焼器の制御方法において、
ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成されており、
ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料組成に水素を含まない起動用燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料組成に水素を含む燃料を供給するメイン燃料供給系統とがそれぞれ配設されており、
前記メイン燃料系統に設けた酸素濃度検出器によって燃料に含まれる水素濃度を検出し、
前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて前記メイン燃料系統を通じて前記メインバーナに供給される燃料の流量と、前記パイロット燃料系統を通じて前記パイロットバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とするガスタービン燃焼器の制御方法。
【請求項8】
ガスタービン燃焼器に備えたバーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成して、燃料組成に水素を含む燃料を前記バーナで燃焼するガスタービン燃焼器の制御方法において、
ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成されており、
ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料組成に水素を含まない起動用燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料組成に水素を含む燃料を供給するメイン燃料供給系統をそれぞれ配設し、
前記メインバーナは複数の燃料ノズルと前記燃料ノズルに対応して空気プレートに形成された複数の空気孔とが同軸に構成されて該前記メインバーナの内周側と外周側とに配置された同軸ノズルバーナによって構成されており、
前記メイン燃料供給系統として前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する内周側メイン燃料供給系統と、前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する外周側メイン燃料供給系統とが配設されており、
前記メイン燃料系統に設けた酸素濃度検出器によって燃料に含まれる水素濃度を検出し、
前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて外周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量と、前記内周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とするガスタービン燃焼器の制御方法。
【請求項1】
燃料組成に水素を含む燃料を燃焼するバーナを備えたガスタービン燃焼器の制御装置において、
ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成し、
ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料を供給するメイン燃料供給系統をそれぞれ配設し、
ガスタービン燃焼器の少なくともメインバーナに燃料を供給する前記メイン燃料系統に燃料に含まれる水素濃度を検出する水素濃度検出器を設け、
前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて前記パイロット燃料供給系統を通じて前記パイロットバーナに供給される燃料の流量と、前記メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とするガスタービン燃焼器の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガスタービン燃焼器の制御装置において、
前記前記メインバーナは、複数の燃料ノズルと、前記燃料ノズルに対応して空気プレートに形成された空気孔とが同軸に配置されていることを特徴とするガスタービン燃焼器の制御装置。
【請求項3】
燃料組成に水素を含む燃料と、燃料組成に水素を含まない起動用燃料を燃焼するバーナを備えたガスタービン燃焼器の制御装置において、
ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成し、
ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料組成に水素を含まない起動用燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料組成に水素を含む燃料を供給するメイン燃料供給系統をそれぞれ配設し、
前記メイン燃料系統に燃料に含まれる水素濃度を検出する酸素濃度検出器を設け、
前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて前記メイン燃料系統を通じて前記メインバーナに供給される燃料の流量と、前記パイロット燃料系統を通じて前記パイロットバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とするガスタービン燃焼器の制御装置。
【請求項4】
燃料組成に水素を含む燃料と、燃料組成に水素を含まない起動用燃料を燃焼するバーナを備えたガスタービン燃焼器の制御装置において、
ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成し、
ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料組成に水素を含まない起動用燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料組成に水素を含む燃料を供給するメイン燃料供給系統をそれぞれ配設し、
前記メインバーナは複数の燃料ノズルと前記燃料ノズルに対応して空気プレートに形成された複数の空気孔とが同軸に構成されて該前記メインバーナの内周側と外周側とに配置された同軸ノズルバーナを構成しており、
前記メイン燃料供給系統は前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する内周側メイン燃料供給系統と、前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する外周側メイン燃料供給系統とを備えており、
前記メイン燃料系統に燃料に含まれる水素濃度を検出する酸素濃度検出器を設け、
前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて外周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量と、前記内周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とするガスタービン燃焼器の制御装置。
【請求項5】
石炭から石炭ガスを生成する石炭ガス化炉と、石炭ガス化炉で生成した石炭ガスから二酸化炭素と水素を生成するシフト反応器と、石炭ガス化炉で生成した石炭ガスとシフト反応器で生成した水素とを含んだ石炭ガス化燃料を燃焼するガスタービン燃焼器を有するガスタービンを備えた二酸化炭素回収付IGCCプラントであって、燃料組成に水素を含む燃料と、燃料組成に水素を含まない起動用燃料を燃焼するバーナを備えたガスタービン燃焼器の制御装置において、
ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成し、
ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料組成に水素を含まない起動用燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料組成に水素を含む燃料を供給するメイン燃料供給系統をそれぞれ配設し、
前記メインバーナは複数の燃料ノズルと前記燃料ノズルに対応して空気プレートに形成された複数の空気孔とが同軸に構成されて該前記メインバーナの内周側と外周側とに配置された同軸ノズルバーナを構成しており、
前記メイン燃料供給系統は前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する内周側メイン燃料供給系統と、前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する外周側メイン燃料供給系統とを備えており、
前記メイン燃料系統に燃料に含まれる水素濃度を検出する酸素濃度検出器を設け、
前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて外周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量と、前記内周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とするガスタービン燃焼器の制御装置。
【請求項6】
ガスタービン燃焼器に備えたバーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成して、燃料組成に水素を含む燃料を前記バーナで燃焼するガスタービン燃焼器の制御方法において、
ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料を供給するメイン燃料供給系統とがそれぞれ配設されており、
ガスタービン燃焼器の少なくともメインバーナに燃料を供給する前記メイン燃料系統に設けた水素濃度検出器によって燃料に含まれる水素濃度を検出し、
前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて前記パイロット燃料供給系統を通じて前記パイロットバーナに供給される燃料の流量と、前記メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とするガスタービン燃焼器の制御方法。
【請求項7】
ガスタービン燃焼器に備えたバーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成して、燃料組成に水素を含む燃料を前記バーナで燃焼するガスタービン燃焼器の制御方法において、
ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成されており、
ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料組成に水素を含まない起動用燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料組成に水素を含む燃料を供給するメイン燃料供給系統とがそれぞれ配設されており、
前記メイン燃料系統に設けた酸素濃度検出器によって燃料に含まれる水素濃度を検出し、
前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて前記メイン燃料系統を通じて前記メインバーナに供給される燃料の流量と、前記パイロット燃料系統を通じて前記パイロットバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とするガスタービン燃焼器の制御方法。
【請求項8】
ガスタービン燃焼器に備えたバーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成して、燃料組成に水素を含む燃料を前記バーナで燃焼するガスタービン燃焼器の制御方法において、
ガスタービン燃焼器に備えた前記バーナはガスタービン燃焼器全体の保炎を担う拡散燃焼を行うパイロットバーナと、前記パイロットバーナの外周側に複数個設置されて低NOx燃焼を行う予混合燃焼を行うメインバーナとで構成されており、
ガスタービン燃焼器のバーナに燃料を供給する燃料系統として前記パイロットバーナに燃料組成に水素を含まない起動用燃料を供給するパイロット燃料供給系統と前記メインバーナに燃料組成に水素を含む燃料を供給するメイン燃料供給系統をそれぞれ配設し、
前記メインバーナは複数の燃料ノズルと前記燃料ノズルに対応して空気プレートに形成された複数の空気孔とが同軸に構成されて該前記メインバーナの内周側と外周側とに配置された同軸ノズルバーナによって構成されており、
前記メイン燃料供給系統として前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する内周側メイン燃料供給系統と、前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに燃料を供給する外周側メイン燃料供給系統とが配設されており、
前記メイン燃料系統に設けた酸素濃度検出器によって燃料に含まれる水素濃度を検出し、
前記水素濃度検出器で検出した燃料に含まれる水素濃度の値に基づいて外周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの外周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量と、前記内周側メイン燃料供給系統を通じて前記メインバーナの内周側の同軸ノズルバーナに供給される燃料の流量との配分を制御する制御装置を設置したことを特徴とするガスタービン燃焼器の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−74844(P2011−74844A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227542(P2009−227542)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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