説明

ガスバリア性フィルムの製造方法及びガスバリア性フィルム

【課題】焼却処理時の環境負荷が小さく、フィルムの薄膜化や軽量化が可能であるとともに、美しい光沢が得られ、しかも製造時の加工工程が少なく、製造コストを削減することが可能であるガスバリア性フィルムの製造方法及びガスバリア性フィルムを提供すること。
【解決手段】表面フィルム上に印刷層を形成する工程と、該印刷層上に金属からなる蒸着層を形成する工程と、該蒸着層上に接着剤層を形成する工程と、該接着剤層上に裏面フィルムを接着する工程とからなり、前記印刷層を形成する工程と、前記蒸着層を形成する工程と、前記接着剤層を形成する工程を連続的な一連の処理工程で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム等の金属からなる蒸着層を備えたガスバリア性フィルムの製造方法及びガスバリア性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、食品等の包装用袋として使用される包装用フィルムには、高いガスバリア性を有するガスバリア性フィルムが使用されることが多い。
ガスバリア性フィルムとしては、酸素や窒素等のガスバリア性及び水蒸気バリア性が高く、遮光性にも優れているアルミニウムをガスバリア層として用いたものが広く利用されている。
アルミニウムは、光の反射率が高く、美しい金属光沢を有するため、アルミニウムからなるガスバリア層よりも表面側に印刷層を形成することにより、背景に美しい金属光沢を有する印刷が得られる。
【0003】
アルミニウムをガスバリア層として用いたガスバリア性フィルムとしては、アルミ箔をガスバリア層として用いたものが知られている。(例えば、下記特許文献1参照)
しかしながら、アルミ箔を用いたものは、焼却処理時の環境負荷が大きく、加えてフィルムの薄膜化や軽量化が困難であるという問題がある。
【0004】
一方、ガスバリア層としてアルミ箔に代えてアルミ蒸着層を用いたガスバリア性フィルムも知られている。
図3は、アルミ蒸着層を用いたガスバリア性フィルムを示す概略断面図である。
図3に示すガスバリア性フィルムは、表面フィルム(A)と、印刷層(B)と、接着剤層(C)と、アルミ蒸着層(D)と、裏面フィルム(E)とが、この順に積層されることにより構成されている。
【0005】
しかしながら、このようなガスバリア性フィルムは、アルミ蒸着層(D)の表面側に接着剤層(C)が設けられているため、光の反射率が低下し、美しい光沢が得られにくいという問題があった。
更に、このガスバリア性フィルムは、表面フィルム(A)に印刷層(B)を形成した後、接着剤を塗布して接着剤層(C)を形成し、更に予めアルミ蒸着層(D)を形成した裏面フィルム(E)をラミネートすることにより製造されるため、加工工程が多くなり、製造コストが高くなるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−136638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、焼却処理時の環境負荷が小さく、フィルムの薄膜化や軽量化が可能であるとともに、美しい光沢が得られ、しかも製造時の加工工程が少なく、製造コストを削減することが可能であるガスバリア性フィルムの製造方法及びガスバリア性フィルムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、表面フィルム上に印刷層を形成する工程と、該印刷層上に金属からなる蒸着層を形成する工程と、該蒸着層上に接着剤層を形成する工程と、該接着剤層上に裏面フィルムを接着する工程とからなり、前記印刷層を形成する工程と、前記蒸着層を形成する工程と、前記接着剤層を形成する工程を連続的な一連の処理工程で行うことを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法に関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、表面フィルムと、印刷層と、金属からなる蒸着層と、接着剤層と、裏面フィルムとが、この順に積層されてなることを特徴とするガスバリア性フィルムに関する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、表面フィルム上に印刷層を形成した後、印刷層上に金属からなる蒸着層を形成し、それから蒸着層上に接着剤層を形成することから、表面フィルムと蒸着層との間に接着剤層が介在しないものとなり、印刷の背景に綺麗な金属光沢を有するガスバリア性フィルムを得ることができる。
また、アルミニウム蒸着層の表面側に接着剤層を設ける従来のガスバリア性フィルムの製造方法に比べて、加工工程を減らすことができ、製造コストを削減することが可能となる。
更に、印刷層を形成する工程と、蒸着層を形成する工程と、接着剤層を形成する工程を連続的な一連の処理工程で行うため、製造効率を大きく向上させることが可能となる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、表面フィルムと、印刷層と、金属からなる蒸着層と、接着剤層と、裏面フィルムとが、この順に積層されてなることから、表面フィルムと蒸着層との間に接着剤層が介在しないものとなり、印刷の背景に綺麗な金属光沢を有するガスバリア性フィルムとなる。
また、アルミ箔を用いたガスバリア性フィルムに比べて、金属からなる蒸着層を薄く形成することができるため、焼却処理時の環境負荷が小さく、フィルムの薄膜化や軽量化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るガスバリア性フィルムを示す概略断面図である。
【図2】印刷層形成工程と蒸着層形成工程と接着剤層形成工程とを連続的な一連の処理工程で行うための装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】従来のガスバリア性フィルムの一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るガスバリア性フィルムの製造方法及びガスバリア性フィルムの好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係るガスバリア性フィルムを示す概略断面図である。
本発明に係るガスバリア性フィルムは、表面フィルム(1)と、印刷層(2)と、金属からなる蒸着層(3)と、接着剤層(4)と、裏面フィルム(5)とが、この順に積層されることにより構成されている。
【0014】
表面フィルム(1)は、本発明に係るガスバリア性フィルムの表面を形成するフィルムである。
表面フィルム(1)の材質としては、例えば、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、延伸ポリスチレン(OPS)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、二軸延伸ナイロン(ONY)、無延伸ナイロン(CNY)等が好適に用いられる。
また、OPPにポリ塩化ビニリデン(PVDC)をコートしたPVDCコートOPや、OPPにPVA(ビニロン)系樹脂をコートしたPVAコートOP等を使用することもできる。これらを使用することにより、ガスバリア性をより高めることが可能となる。
表面フィルム(1)の厚さは特に限定されないが、例えば12〜50μmとされる。
【0015】
印刷層(2)は、表面フィルム(1)の裏面側に形成される層であって、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、転写印刷等の公知の印刷法により形成される。
【0016】
蒸着層(3)は、表面フィルム(1)の印刷層(2)側に金属を蒸着させることにより形成されるガスバリア層である。
蒸着層(3)を形成する金属としては、アルミニウム(Al)が最も好適に用いられるが、スズ(Sn),インジウム(In),酸化インジウムスズ(ITO),亜鉛(Zn),銀(Ag)等の他の種類の金属を用いてもよい。
蒸着層(3)の厚さは特に限定されないが、例えば300〜500Åとされる。
【0017】
印刷層(2)と蒸着層(3)との間には、必要に応じてアンカーコート層(図示略)が設けられる。
アンカーコート層を形成するアンカーコート剤としては、例えば、ポリウレタン系、ポリエステルウレタン系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、アクリル共重合体系等のアンカーコート剤を使用することができる。
アンカーコート層の厚さは特に限定されないが、例えば1〜3μmとされる。
【0018】
接着剤層(4)は、蒸着層(3)の裏面側に形成される層である。
接着剤層(4)を形成する接着剤としては、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエステル−ポリウレタン系、ポリエーテル−ポリウレタン系、アクリル系、ビニル系、ポリアミド系、エポキシ系、ゴム系等の接着剤を使用することができる。
接着剤層(4)の厚さは特に限定されないが、例えば1〜3μmとされる。
【0019】
裏面フィルム(5)は、本発明に係るガスバリア性フィルムの裏面を形成するフィルムである。
裏面フィルム(5)の材質としては、例えば、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、延伸ポリスチレン(OPS)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、二軸延伸ナイロン(ONY)、無延伸ナイロン(CNY)等が好適に用いられる。裏面フィルム(5)の厚さは特に限定されないが、例えば30〜150μmとされる。
【0020】
本発明に係るガスバリア性フィルムは上記したように「表面フィルム/印刷層/蒸着層/接着剤層/裏面フィルム」という層構成を有する。
本発明に係るガスバリア性フィルムの具体的な層構成としては、「OPP20/印刷層/蒸着層/接着剤層/CP40」、「PET12/印刷層/蒸着層/接着剤層/LLD40」、「PET12/印刷層/蒸着層/接着剤層/LLD50」等を例示することができるが、これらの構成に限定されるものではない。尚、層構成中に記載された数値は厚さ(μm)を示している。
【0021】
次に、本発明に係るガスバリア性フィルムの製造方法について説明する。
本発明に係るガスバリア性フィルムの製造方法は、表面フィルム上に印刷層を形成する工程(印刷層形成工程)と、該印刷層上に金属からなる蒸着層を形成する工程(蒸着層形成工程)と、該蒸着層上に接着剤層を形成する工程(接着剤層形成工程)と、該接着剤層上に裏面フィルムを接着する工程(裏面フィルム接着工程)とからなる。
【0022】
本発明に係る製造方法においては、印刷層形成工程と蒸着層形成工程と接着剤層形成工程を連続的な一連の処理工程で行う。
図2は、印刷層形成工程と蒸着層形成工程と接着剤層形成工程とを連続的な一連の処理工程で行うための装置の一例を示す概略構成図である。以下、図2を参照しながら、本発明に係る製造方法の印刷層形成工程と蒸着層形成工程と接着剤層形成工程について説明するが、本発明では必ずしも図2に示す装置を使用する必要はなく、少なくとも上記三工程を連続的な一連の処理工程で行うことができるものであれば他の装置を使用してもよい。
【0023】
図2に示す装置は、巻出部(10)、印刷部(20)、真空蒸着室(30)、ロールコータ(40)、乾燥室(50)、巻取部(60)を備えている。
【0024】
巻出部(10)は表面フィルム(1)をロール状に巻回しており、表面フィルム(1)は巻出部(10)から巻き出されて印刷部(20)へと供給される。
印刷部(20)は、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、転写印刷等の公知の印刷方法により表面フィルム(1)の裏面に印刷層(2)を形成する。
【0025】
印刷部(20)において印刷層(2)が形成された後の表面フィルム(1)は、真空蒸着室(30)へと導入される。
真空蒸着室(30)は、フィルムが導入され取り出される導入出部(31)と、複数の減圧部(32)と、蒸着層が形成される蒸着部(33)と、減圧部(32)及び蒸着部(33)を減圧する排気手段(34)とを有している。
【0026】
減圧部(32)は、段階的に真空度を高めるために設けられた小部屋であり、個々の減圧部の間や、減圧部と導入出部(31)又は蒸着部(33)との間は、多段に配設したシートロール群(35)によって仕切られている。上下各段のシートロール群(35)の中間には、フィルムに張力を与えるためのデフレクタロール(36)が配置されている。
【0027】
蒸着部(33)は、真空チャンバ内に蒸着層を形成するための設備が配設されており、排気手段(34)によって高真空状態に維持される。
蒸着部(33)内には、フィルムを支持するとともにその背面から冷却する冷却ロール(331)、冷却ロール(331)の下方に配置されて蒸着材料が収容されたるつぼ(332)、るつぼ(332)を加熱して蒸着材料を蒸発させる加熱手段(333)が備えられている。
【0028】
真空蒸着室(30)へと導入された表面フィルム(1)は、大気圧下の導入出部(31)から連続的に導入され、複数の減圧部(32)によって段階的に真空度が高められた後、真空状態の蒸着部(33)に導入される。蒸着部(33)に導入された表面フィルム(1)は冷却ロール(331)に巻き付けられ、加熱手段による加熱によってるつぼ(332)から蒸発した蒸着材料が冷却ロール(331)と反対側の面(印刷層側の面)に蒸着され、蒸着層(3)が形成される。
蒸着層(3)が形成された後のフィルムは、蒸着部(33)から取り出されて複数の減圧部(32)を通って段階的に真空度が低められた後、導入出部(31)を通って真空蒸着室(30)から取り出される。
【0029】
真空蒸着室(30)から取り出されたフィルムはロールコータ(40)へと送られる。
ロールコータ(40)は、表面フィルム(1)の印刷層(2)側に形成された蒸着層(3)の上に、連続的に接着剤を塗布することにより接着剤層(4)を形成するものであり、例えばグラビアロールコータやリバースロールコータを使用することができる。
【0030】
ロールコータ(40)により接着剤層(4)が形成されたフィルムは、乾燥室(50)へと送られる。
乾燥室(50)は、熱源による高温(通常80〜120℃)の気体及び/又は気流(風)を生成し、ロールコータ(40)により塗布された接着剤に含まれる溶剤分を蒸発させて乾燥させる。
ロールコータ(40)により接着剤が乾燥されたフィルムは、巻取部(60)のロールに一旦巻き取られる。
【0031】
上記した如く、印刷層形成工程と蒸着層形成工程と接着剤層形成工程とを図2に示すような装置を用いて連続的な一連の処理工程で行うことにより、製造効率を向上させることが可能となる。
すなわち、従来の蒸着装置で蒸着層を形成した後、押出ラミネーション装置等の別の装置によって接着剤層を形成する場合は、蒸着層形成工程と接着剤層形成工程とは別の日程で行うのが通常であるが、本発明ではこれらの工程を連続的な一連の処理工程で行う(各工程を工程間で時間をおかずに行う)ことにより、製造効率を大きく向上させることができる。
【0032】
尚、印刷層(2)と蒸着層(3)の間にアンカーコート層を設ける場合、図2に示す装置において、印刷部(20)と真空蒸着室(30)の間にアンカーコート層を設けるためのアンカーコート用コーターが設けられる。
この場合、印刷部(20)において印刷層(2)が形成されたフィルムは、アンカーコート用コーターへと送られて印刷層(2)上にアンカーコート層が形成された後、真空蒸着室(30)へと送られてアンカーコート層上に蒸着層(3)が形成されることとなる。
【0033】
裏面フィルム接着工程では、巻取部(60)に巻き取られたフィルムが連続的に巻き出され、当該フィルムの接着剤層(4)に別のロール(図示せず)から巻き出された裏面フィルム(5)が接着される。接着方法は、ドライラミネート法が好適に利用されるがこれに限定されず、他の公知の接着方法を使用してもよい。
【0034】
以上説明した印刷層形成工程、蒸着層形成工程、接着剤層形成工程、裏面フィルム接着工程を経ることにより、図1に示す構成を有する本発明に係るガスバリア性フィルムが得られる。
このようにして得られたガスバリア性フィルムは、表面フィルム(1)と蒸着層(3)との間に接着剤層(4)が介在しない。そのため、印刷層(2)の背景に蒸着層(3)の綺麗な金属光沢を有するガスバリア性フィルムとなる。
【実施例】
【0035】
以下、本発明に係るガスバリア性フィルムの実施例を示す。但し、本発明は以下の実施例には限定されない。
(実施例1)
「表面フィルム/印刷層/アンカーコート層/蒸着層/接着剤層/裏面フィルム」からなる層構成を有するガスバリア性フィルムとして、表面フィルムがPVDCコートOP(商品名:KOP)(厚さ20μm)、アンカーコート層がウレタン樹脂+硝化綿樹脂、蒸着層がアルミニウム、接着剤層が無溶剤型ウレタン接着剤、裏面フィルムがCPP(厚さ40μm)からなるものを図2に示す装置を用いて上記製造方法により製造し、実施例1のフィルムとした。尚、印刷層は、白インクからなる下地層を設けたもの(白あり)と設けないもの(白なし)の2種類とした。
(実施例2)
表面フィルムがOPP(厚さ20μm)からなること以外は実施例1と同じ層構成のフィルムを図2に示す装置を用いて上記製造方法により製造し、実施例2のフィルムとした。
(実施例3)
表面フィルムがPVAコートOP(商品名:AOP)(厚さ20μm)からなること以外は実施例1と同じ層構成のフィルムを図2に示す装置を用いて上記製造方法により製造し、実施例3のフィルムとした。
(実施例4)
表面フィルムがPVAコートOP(商品名:XOP)(厚さ20μm)からなること以外は実施例1と同じ層構成のフィルムを図2に示す装置を用いて上記製造方法により製造し、実施例4のフィルムとした。
【0036】
<水蒸気透過度の測定>
実施例1〜4のフィルムについてJIS K7129の規定に従って水蒸気透過度を測定した。測定条件は40℃×90%RHとした。
<酸素透過度の測定>
実施例1〜4のフィルムについてJIS K7126−1の規定に従って酸素透過度を測定した。測定条件は20℃×90%RHとした。
【0037】
水蒸気透過度及び酸素透過度の測定結果を表1に示す。
尚、表1中にKOPフィルム、AOPフィルム、XOPフィルムの水蒸気透過度及び酸素透過度のカタログ値を夫々参考例1,3,4として併記する。
【0038】
【表1】

【0039】
表1に示されるように、実施例1と参考例1、実施例3と参考例3、実施例4と参考例4を夫々比較すると、実施例のフィルムの水蒸気透過度及び酸素透過度は、参考例のものに比べて格段に小さい値であった。
この結果から、本発明に係るバリア性フィルムは、優れた水蒸気バリア性及び酸素バリア性を有していることが確認された。
【0040】
<ゲルボ試験>
実施例1〜4のフィルムについてゲルボ試験(50回)を行った。ゲルボ環境条件は、20℃×63%RHとした。試験前(初期)と試験後のフィルムについての水蒸気透過度及び酸素透過度の測定結果を表2に示す。
尚、表2中に市販のポテトチップス(カルビー社)の包装用袋に使用されているフィルム(OPP20/PE10〜15/AL VM−PET12/CPP20〜25)について測定した水蒸気透過度及び酸素透過度の値を参考例として併記する。
【0041】
【表2】

【0042】
表2に示されるように、実施例の表面フィルムがKOP、AOP、XOPからなるもの(実施例1,3,4)はゲルボ試験後において参考例と比較して、酸素バリア性においては優れた値となり、水蒸気バリア性においても遜色ない値となった。
実施例の表面フィルムがKOP、AOP、XOPからなるもの(実施例1,3,4)は試験前後で水蒸気透過度及び酸素透過度の大幅な低下は見られなかったが、表面フィルムがOPPのもの(実施例2)は酸素透過度が大幅に低下した。
この結果から、表面フィルムとしてPVDCコート等のコート層を有するフィルムを使用すると耐屈曲性に優れたガスバリア性フィルムが得られることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係るガスバリア性フィルムは、食品、化粧品、洗剤、シャンプー等を収容するための包装用袋の材料フィルムとして好適に利用される。
【符号の説明】
【0044】
1 表面フィルム
2 印刷層
3 蒸着層
4 接着剤層
5 裏面フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面フィルム上に印刷層を形成する工程と、
該印刷層上に金属からなる蒸着層を形成する工程と、
該蒸着層上に接着剤層を形成する工程と、
該接着剤層上に裏面フィルムを接着する工程とからなり、
前記印刷層を形成する工程と、前記蒸着層を形成する工程と、前記接着剤層を形成する工程を連続的な一連の処理工程で行うことを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法。
【請求項2】
表面フィルムと、印刷層と、金属からなる蒸着層と、接着剤層と、裏面フィルムとが、この順に積層されてなることを特徴とするガスバリア性フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−37116(P2011−37116A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186133(P2009−186133)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(390033868)株式会社メイワパックス (27)
【Fターム(参考)】