説明

ガスレーザ発振装置及びその送風機用潤滑油交換方法

【課題】送風機の潤滑油を強制的に供給又は排出するための機構を安価に実現したガスレーザ装置及び方法を提供する。
【解決手段】ガスレーザ発振装置は、レーザガスに電圧を印加してレーザ光を生成させるための共振器と、共振器に接続されたレーザガス循環路24と、レーザガス循環路24内のレーザガスを循環させるためのターボブロア26と、レーザガス循環路24にレーザガスを供給するためのレーザガス供給源30と、レーザガス循環路24からレーザガスを排出するための真空ポンプ32とを備える。ターボブロア26の潤滑油を交換するときには、レーザガス供給源30や真空ポンプ32を利用して、ターボブロア26内のオイル溜まり82と給油槽98又は排油槽104との間に差圧を生じさせ、その差圧により、オイル溜まり82から排油槽104に潤滑油を強制的に排出し、また、給油槽98からオイル溜まり82に潤滑油を強制的に注入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ媒質であるレーザガスを強制的に循環させるレーザ用送風機を備えたガスレーザ発振装置及びその送風機用潤滑油交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速軸流型の炭酸ガスレーザ発振装置は、コンパクトで高出力が得られ、レーザ光の品質もよいことから、レーザ加工に広く利用されている。このようなガスレーザ発振装置は、レーザガスに電圧を印加してレーザ光を生成させるための共振器と、これに接続されたレーザガス循環路とを備える。共振器は、レーザ媒質であるレーザガスで充満された放電管と、放電管の両端部に取り付けられた出力結合鏡及び全反射鏡と、放電管の外周上に対向して取り付けられた一対の金属電極とにより構成され、対になった金属電極の間に高周波電圧を印加することによって、放電管内に高周波グロー放電を発生させてレーザ励起させ、レーザ励起によってレーザ光を生成させる。生成されたレーザ光は、出力結合鏡と全反射鏡との間で往復しながら増幅されて共振状態となり、この共振状態のレーザ光の一部が出力結合鏡を通して外部に取り出される。
【0003】
炭酸ガスレーザ発振装置では、金属電極を通してレーザガスに注入された電気エネルギの約20%がレーザ光に変換され、残りの電気エネルギはレーザガスを加熱させることに使われる。一方、レーザ発振利得は、理論的には、レーザガスの絶対温度の−(3/2)乗に比例する。したがって、発振効率を上昇させるためには、レーザガスを強制的に冷却し、レーザガスの温度を低下させる必要がある。そこで、高速軸流型の炭酸ガスレーザ発振装置では、放電により高温になったレーザガスを強制的に循環させて冷却器に送り込み、強制的に冷却させるために、レーザガス循環路にターボブロアが設けられている。
【0004】
炭酸ガスレーザ発振装置で使用されるターボブロアでは、ターボブロアのハウジング内に形成されたモータ室からガスレーザ循環路内に突出して延びるシャフトの先端にターボ翼がナットで機械的に結合されている。さらに、モータ室内に収容されているシャフトの外周にはロータが焼きばめによって固定されており、このロータと、その外側にこれを取り囲むようにターボブロアのモータ室の外周面に固定されたステータとは、シャフトを介してターボ翼を回転させる高周波モータを構成している。また、シャフトは、高周波モータの両側において一対のころがり軸受によって回転可能に支持されている。
【0005】
このようなターボブロアのターボ翼及びシャフトは高周波モータによって数万RPMもの高速で回転するので、これを支持するころがり軸受の潤滑と冷却のためにころがり軸受に潤滑油を供給することが重要になる。このようなころがり軸受の潤滑及び冷却のための潤滑油の供給方法として、例えば、特許文献1は、シャフトの内部に軸方向に沿ってオイル通路を設けて、その一端のオイル入口をオイル溜まり内のオイルに浸かった状態にし、シャフトの回転に伴う遠心力によってオイル溜まりのオイルをオイル通路に吸い上げて、シャフトの他端側に設けられたオイル出口から放出し、ころがり軸受にオイルを供給する方法を開示している。
【0006】
【特許文献1】特開平7−211961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような構成を有するガスレーザ発振装置のターボブロアは、数万RPMもの高速で回転するので、一定の運転時間(一般には、3000時間から6000時間程度)が経過するたびに潤滑油を交換する必要がある。このため、ターボブロアのモータ室内に設けられたオイル溜まりの底面には外部に開口する排油口が設けられており、排油口に取り付けられた開閉可能な排油コックを開くことによって、オイル溜まりから古くなった潤滑油を排出できるようになっている。また、オイル溜まりの上方には外部からターボブロアのハウジングを貫通してモータ室まで延びる注油口が設けられており、注油口からモータ室を通じてオイル溜まりに新しい潤滑油を供給できるようになっている。なお、注油口は、ガスレーザ発振装置稼動時にモータ室の気密性を確保するために、オイル交換時以外のとき、ねじ部付きのキャップによって封鎖されている。
【0008】
従来、このようなターボブロアの潤滑油交換を行うときには、ガスレーザ発振装置の内部を大気開放した後に排油コックを開いて排油口からオイル溜まりの潤滑油を排出していた。ガスレーザ発振装置の内部を始めに大気開放するのは、大気開放を行わずに排油コックを開くと、排油口からオイル溜まりに空気が侵入し、潤滑油がターボブロアのモータ室を通じてレーザガス循環路に侵入したり、運転停止直後の高温の潤滑油が排油口から噴出する危険性があるからである。オイル溜まりの潤滑油の排出が完了すると、排油コックを閉じて、注油口のキャップを取り外し、注油口から注油通路を通じてオイル室内のオイル溜まりに新しい潤滑油を注入する。最後に、注油が完了してから注油口にキャップを装着し注油口を閉鎖する。
【0009】
上記のような交換方法では、重力によってオイル溜まりからの潤滑油の排出及びオイル溜まりへの潤滑油の注入を行うが、潤滑油は粘性が高いので、潤滑油の排出及び注入に時間がかかり、作業性が悪いという問題がある。このような作業性の悪さのために、潤滑油交換を行わない又は交換間隔を長くすると、潤滑不良を起こしてターボブロアの故障を招く恐れもある。さらに、ターボブロアは一般にガスレーザ発振装置の筐体の内部に配置されるので、ターボブロアの潤滑油の交換のためには筐体カバーを取り外さなければならず、手間となっていた。
【0010】
また、ターボブロアに給油槽及び排油槽を設けて、注油口と給油槽、排油口と排油槽とをそれぞれ配管で接続し、配管の途中に設置した電磁弁をシーケンス動作させることで潤滑油交換を自動化することも考えられるが、重力の作用で注油及び排油を行う限り、作業に時間を要することに変わりはない。また、重力の作用で注油及び排油を行う限り、給油槽はオイル溜まりの上方に、排油槽はオイル溜まりの下方に設けなければならず、排油槽や給油槽の配置も制約を受ける。
【0011】
よって、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決して、ターボブロア等の送風機の潤滑油を強制的に供給又は排出するための機構を安価に実現したガスレーザ装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的に鑑み、レーザガスに電圧を印加してレーザ光を生成させるための共振器と、該共振器に接続されたレーザガス循環路と、該レーザガス循環路内のレーザガスを循環させるための送風機と、前記レーザガス循環路にレーザガスを供給するためのレーザガス供給源と、前記レーザガス循環路からレーザガスを排出するための真空ポンプとを備え、前記送風機が、先端に回転翼が取り付けられたシャフトを回転可能に支持する軸受に前記送風機に設けられたオイル溜まり内の潤滑油を供給して前記軸受を潤滑するようになっているガスレーザ発振装置であって、前記送風機の外部から前記オイル溜まりに潤滑油を供給するための給油通路と、前記オイル溜まりから前記送風機の外部に潤滑油を排出するための排油通路と、前記給油通路を開閉するための第1の開閉弁と、前記排油通路を開閉するための第2の開閉弁と、オイル溜まりと外部とに強制的に圧力差を生じさせるための差圧発生手段とを備えたガスレーザ発振装置を提供する。
【0013】
本発明のガスレーザ発振装置では、差圧発生手段によりオイル溜まりと給油槽や排油槽とに強制的に圧力差を生じさせることにより、オイル溜まりに対して強制的に潤滑油の注入又は排出を行うことを可能とさせている。例えば、オイル溜まり内の圧力を外部より高くすることにより、オイル溜まり内から潤滑油を押し出して外部に強制的に排出することができ、オイル溜まり内の圧力を外部より低くすることにより、外部から潤滑油を吸引してオイル溜まり内に強制的に注入することができる。
【0014】
一つの実施形態では、前記差圧発生手段は前記レーザガス供給源を含み、前記第1の開閉弁を閉じ且つ前記第2の開閉弁を開いた状態のときに、前記レーザガス供給源から前記レーザガス循環路にレーザガスを供給して、前記レーザガス循環路と連通する前記送風機の前記オイル溜まり内のレーザガスの圧力を大気圧又は前記排油通路に接続された排油槽内の圧力より高くすることにより、前記排油通路を通じて前記オイル溜まり内の潤滑油を前記送風機の外部に強制的に排出させる。
【0015】
また、前記差圧発生手段は、前記真空ポンプと、前記真空ポンプと前記オイル溜まりとを連通させるオイル溜まり吸引路と、該オイル溜まり吸引路を開閉するための第3の開閉弁とを含み、前記第1の開閉弁を開き且つ前記第2の開閉弁を閉じた状態のときに、前記第3の開閉弁を開いて前記真空ポンプで前記オイル溜まり内を大気圧又は前記給油通路に接続された給油槽内の圧力より低くすることにより、前記給油通路を通じて前記送風機の外部から前記オイル溜まり内に潤滑油を強制的に注入させるようになっていてもよい。
【0016】
他の実施形態では、前記差圧発生手段は、前記真空ポンプと、前記排油通路に接続された排油槽と前記真空ポンプとを連通させる排油槽吸引路と、該排油槽吸引路を開閉させるための第4の開閉弁とを含み、前記第1の開閉弁を閉め且つ前記第2の開閉弁を開いた状態のときに、前記第4の開閉弁を開いて前記真空ポンプで前記排油槽内の圧力を前記オイル溜まり内の圧力より低くすることにより、前記排油通路を通じて前記オイル溜まり内の潤滑油を前記排油槽に強制的に排出させる。
【0017】
また、前記差圧発生手段は、前記レーザガス供給源と、前記給油通路に接続された給油槽と前記レーザガス供給源とを連通させる給油槽加圧路と、該給油槽加圧路を開閉させるための第5の開閉弁とを含み、前記第1の開閉弁を開き且つ前記第2の開閉弁を閉じた状態のときに、前記第5の開閉弁を開いて前記レーザガス供給源から前記給油槽にレーザガスを供給し、前記給油槽内の圧力を前記オイル溜まり内の圧力より高くすることにより、前記給油通路を通じて前記給油槽内の潤滑油を強制的に前記オイル溜まり内に注入させるようになっていてもよい。
【0018】
本発明は、他の態様において、レーザガスに電圧を印加してレーザ光を生成させるための共振器と、該共振器に接続されたレーザガス循環路と、該レーザガス循環路内のレーザガスを循環させるための送風機と、前記レーザガス循環路にレーザガスを供給するためのレーザガス供給源と、前記レーザガス循環路からレーザガスを排出するための真空ポンプとを備え、前記送風機が、先端にターボ翼が取り付けられたシャフトを回転可能に支持する軸受に前記送風機に設けられたオイル溜まり内の潤滑油を供給して前記軸受を潤滑するようになっているガスレーザ発振装置において、前記送風機の前記オイル溜まり内の潤滑油を交換する送風機用潤滑油交換方法であって、前記送風機の外部から前記オイル溜まりに潤滑油を供給するための給油通路を開閉するための第1の開閉弁を閉じ且つ前記オイル溜まりから前記送風機の外部に潤滑油を排出するための排油通路を開閉するための第2の開閉弁を開いた状態のときに、前記レーザガス供給源から前期レーザガス循環路にレーザガスを供給して前記レーザガス循環路と連通する前記送風機の前記オイル溜まり内のレーザガスの圧力を大気圧より高くすることにより、前記排油通路を通じて前記オイル溜まり内の潤滑油を前記送風機の外部に強制的に排出させ、
前記第1の開閉弁を閉め且つ前記第2の開閉弁を開いた状態のときに、前記真空ポンプを利用して前記オイル溜まり内を大気圧又は前記給油通路に接続された給油槽内の圧力より低くすることにより、前記給油通路を通じて前記送風機の外部から前記オイル溜まり内に潤滑油を強制的に注入させるようにした送風機用潤滑油交換方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、オイル溜まりと外部とに強制的に差圧を生じさせることによりオイル溜まりに対する潤滑油の注入又は排出を行うので、潤滑油の注入又は排出作業に要する時間を短縮することができる。また、ガスレーザ発振装置に一般に設けられている真空ポンプやレーザガス供給源を利用してオイル溜まりと外部とに強制的に差圧を生じさせれば、オイル溜まりに対する強制的な潤滑油の注入及び排出が安価に実現でき、潤滑油の注入及び排出作業の自動化も容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明のロボットシステムの実施形態について説明する。
最初に、図5を参照して、本発明のガスレーザ発振装置10の全体構成を説明する。図5には、ガスレーザ発振装置10として、レーザ媒質として炭酸ガスを使用する炭酸ガスレーザ発振装置が示されている。ガスレーザ発振装置10は共振器12を備えており、この共振器12は、レーザ媒質であるレーザガスで充満された放電管14と、放電管14の両端部に取り付けられた出力結合鏡16及び全反射鏡18と、放電管14の外周上に対向して取り付けられた一対の金属電極20とにより構成されている。共振器12では、高周波電源によって一対の金属電極20の間に高周波電圧を印加することによって、放電管14内に高周波グロー放電を発生させてレーザ励起させ、レーザ励起によってレーザ光を生成させる。生成されたレーザ光は、出力結合鏡16と全反射鏡18との間で往復しながら増幅されて共振状態となり、この共振状態のレーザ光の一部が出力結合鏡16を通して外部に取り出される。
【0021】
図5に示されているガスレーザ発振装置10は、さらに、共振器12に接続されたレーザガス循環路24と、レーザガス循環路24内のレーザガスを循環させるための送風機としてインバータ28で駆動されるターボブロア26と、レーザガス循環路24にレーザガスを供給するためにターボブロア26の下流側でレーザガス循環路24に接続されるレーザガス供給源30と、レーザガス循環路24からレーザガスを排出するためにターボブロア26の上流側でレーザガス循環路24に接続される真空ポンプ32と、レーザガス循環路24において真空ポンプ32とターボブロア26との間に配置される第1の冷却器34と、レーザガス循環路24においてターボブロア26とレーザガス供給源30との間に配置される第2の冷却器36とを備える。
【0022】
詳細には、レーザガス供給源30とレーザガス循環路24は、図1に示されているように、給気用配管38によって接続されており、給気用配管38の途中には、レーザガス供給源30から供給されるレーザガスの圧力を所望される圧力まで減圧するための減圧器40と、給気用配管38を開閉するための給気用開閉弁42と、レーザガス供給量を調節するために給気用開閉弁42の下流側(レーザガス供給源30から遠い側)に直列に接続された給気用流量調節弁44と、給気用開閉弁42及び給気用流量調節弁44と並列に給気用配管38に接続されている充填用開閉弁46とが設けられている。給気用開閉弁42、給気用流量調節弁44及び充填用開閉弁46としては、いずれもシーケンサやプログラマブルコントローラなどの制御装置によって動作制御可能な電磁弁が使用されている。
【0023】
また、真空ポンプ32とレーザガス循環路24は、図1に示されているように、排気用配管48によって接続されており、排気用配管48の途中には、レーザガス排出流量を調節するための排気用流量調節弁50と、排気用流量調節弁50と並列に排気用配管48に接続された排気用バイパス弁52と、排気用配管48を開閉するために排気用流量調節弁50の下流側(真空ポンプ32に近い側)に配置された排気用開閉弁54が設けられている。排気用流量調節弁50、排気用バイパス弁52及び排気用開閉弁54としては、いずれも制御装置によって動作の制御が可能な電磁弁が使用されている。
【0024】
このようなガスレーザ発振装置10を起動するときには、まず真空ポンプ32によってガスレーザ発振装置10の共振器12及びレーザガス循環路24から排気し、次いで、所定流量のレーザガスがレーザガス供給源30からレーザガス循環路24及び共振器12に充填される。ガスレーザ発振装置10の起動時にレーザガス循環路24及び共振器12にガスレーザを充填するときには、充填用開閉弁46を開き、大流量でレーザガスの充填を行うことができる。また、ガスレーザ発振装置10の起動時にレーザガス循環路24及び共振器12から排気するときには、排気用バイパス弁52を開き、大流量で排気を行うことができる。ガスレーザ発振装置10のレーザガス循環路24及び共振器12内のレーザガスの圧力が予め定められた値に達すると、その後は、排気用バイパス弁52を閉じた状態での真空ポンプ32による排気と充填用開閉弁46を閉じた状態でのレーザガス供給源30からのレーザガスの補給が同時に行われ、レーザガスの圧力を予め定められた値に維持したままガスレーザ発振装置10のレーザガス循環路24及び共振器12内のレーザガスの一部を継続して少量ずつ新鮮なレーザガスに置換していく。これによって、ガスレーザ発振装置10内のレーザガスの汚染に起因するレーザ出力の低下を防止している。
【0025】
ガスレーザ発振装置10の運転中には、レーザガスがターボブロア26によって強制的に循環され、約200m/秒以上の速度で共振器12及びレーザガス循環路24内を循環する。共振器12内を流れたレーザガスは、その一部を真空ポンプ32により外部に排出された後、レーザガス循環路24に沿って第1の冷却器34に導かれ、主として放電によってレーザガスに付与された加熱エネルギを除去されて冷却される。第1の冷却器34により冷却されたレーザガスは、ターボブロア26によって圧縮され、レーザガス循環路24に沿って第2の冷却器36に送られる。圧縮されたレーザガスは第2の冷却器36によって圧縮熱を除去されて冷却された後、レーザガス供給源30から供給される所定量の新鮮なレーザガスと混合されて、再び共振器12内に戻される。
【0026】
上述した共振器12、レーザガス供給源30、真空ポンプ32、第1の冷却器34及び第2の冷却器36は、従来のガスレーザ発振装置で使用される周知のものと同様のものであるので、その構成の詳細な説明は省略する。
【0027】
次に、図1を参照して、図5のガスレーザ発振装置10で使用されるターボブロア用潤滑油交換システムの第1の実施形態を説明する。
ターボブロア26では、レーザガスが第1の冷却器34から矢印56の方向に吸入され、矢印58によって示されるように二方向に分かれて遠心方向に吐出された後、この二方向の流路が最終的に一つの流路になって第2の冷却器36に接続される。
【0028】
ターボブロア26は、ハウジング60内に形成されたモータ室62から垂直方向にガスレーザ循環路24内に突出して延びるシャフト64を備えており、シャフト64の一端にはターボ翼66がナット(図示せず)で結合されている。モータ室62内に収容されているシャフト64の外周にはロータ68が焼きばめによって固定されており、このロータ68と、その外側にこれを取り囲むようにターボブロア26のモータ室62の外周面に固定されたステータ70とは、シャフト64を介してターボ翼66を回転させる高周波モータを構成している。また、シャフト64を回転可能に支持するために、高周波モータの両側には、一対のころがり軸受72が設けられている。なお、シャフト64がハウジング60からレーザガス循環路24に突出する部分には、ラビリンスシール(図示せず)が設けられており、モータ室62内の潤滑油がレーザガス循環路24内に侵入することを防止している一方、レーザガス循環路24からラビリンスシールを通してモータ室62内へ僅かにレーザガスが流れることを許容しており、レーザガス循環路24とモータ室62とは連通した状態になっている。
【0029】
シャフト64の内部には、下端に設けられた潤滑油入口74からシャフト64の軸方向に沿って延びる潤滑油通路76が設けられており、上側のころがり軸受72の上方においてシャフト64の外周面に開口しているは潤滑油出口78に接続されている。詳細には、潤滑油出口78はシャフト64の軸線と垂直に潤滑油通路76を貫通して延びる小口径の穴によって形成されている。
【0030】
ターボブロア26のハウジング60内には、さらに、モータ室62と連通路80を介して連通しているオイル溜まり82が形成されており、オイル溜まり82にはころがり軸受72を潤滑及び冷却するための潤滑油が貯留されている。シャフト64の下端(潤滑油入口74が形成されている端部)はこのオイル溜まり82内の潤滑油に浸かった状態になっている。また、ターボブロワ26のステータ70の外側のハウジング60の部分には、ステータ70の長手方向に沿って潤滑油戻り通路84が設けられている。
【0031】
オイル溜まり82内の潤滑油は、シャフト64の回転に伴う遠心力によって潤滑油通路76の内壁面に押し当てられ、このときに内壁面に沿って潤滑油を押し上げようとする方向の分力が潤滑油に作用する。この結果、潤滑油は潤滑油通路76に沿って吸い上げられ、潤滑油出口78からモータ室62内にミスト状になって放出される。放出された潤滑油の一部は、ころがり軸受72を潤滑及び冷却する。また、残りの潤滑油は、潤滑油戻り通路84を通ってモータ室62下方に導かれた後、連通路80を通してオイル溜まり82に再び回収される。このようにして、シャフト64が回転している間、潤滑油は常に循環し、ころがり軸受72を潤滑及び冷却する。ターボブロア26において、シャフト64に設けられた潤滑油通路76を通じてころがり軸受72を潤滑及び冷却する機構は、例えば特許文献1において開示されているように、公知のものであるので、ここではこれ以上の詳細な説明を省略する。
【0032】
ターボブロア26のハウジング60には、モータ室62からハウジング60の外周面まで延びるモータ室排気口86が設けられており、このモータ室排気口86には真空ポンプ32から延びるモータ室排気用配管88が接続されている。また、モータ室排気用配管88の途中には、モータ室排気用配管88を開閉するためのモータ室排気用開閉弁90として、シーケンサやプログラマブルコントローラなどの制御装置によって動作の制御が可能な電磁弁が設けられている。モータ室排気用配管88と、モータ室排気口86と、モータ室62と、モータ室62とオイル溜まり82とを連通させる連通路80とは、真空ポンプ32とオイル溜まり82とを連通させるオイル溜まり吸引路を構成しており、モータ室排気用開閉弁90はオイル溜まり吸引路を開閉するための開閉弁として機能する。
【0033】
また、オイル溜まり82の上部には、ターボブロア26の外部からオイル溜まり82に潤滑油を供給するための給油口92が設けられている一方、オイル溜まり82の底面には、オイル溜まり82内の潤滑油をターボブロア26の外部へ排出するための排油口94が設けられている。オイル溜まり82の底面は、オイル溜まり82内の全ての潤滑油が排油口94から排出されるようにするために、図1に示されているように、排油口94に向かって下り勾配になっていることが好ましい。
【0034】
給油口92には、潤滑油注入用配管96の一端が接続されており、潤滑油注入用配管96の他端は新しい潤滑油を収容した給油槽98が接続されている。給油口92及び潤滑油注入用配管96は給油通路を構成している。また、潤滑油注入用配管96の途中には、潤滑油注入用配管96を開閉するための給油用開閉弁100として、制御装置によって動作制御が可能な電磁弁が設けられている。例えば、給油槽98は、図1に示されているように、一回の潤滑油交換に要する量の潤滑油を収容した硬質プラスチック製のボトルとすることができる。ボトルの上部2/3には潤滑油の酸化及び吸湿を防止するために、窒素が封入されていることが好ましい。作業者は、このようなボトルを潤滑油交換の前に潤滑油注入用配管96に接続して密栓すればよい。潤滑油注入用配管96は、その端部がボトルの底部近傍に配置されるように、ボトルに装着される。ボトル内に封入された窒素はボトル装着時に一部が大気中に漏れ、ボトル内は大気圧となる。
【0035】
一方、排油口94には、潤滑油排出用配管102の一端が接続されており、潤滑油排出用配管102の他端は、排出された潤滑油を収集するための排油槽104が接続されている。排油口94と潤滑油排出用配管102は排油通路を構成している。また、潤滑油排出用配管102の途中には、潤滑油排出用配管102を開閉するための排油用開閉弁106として、制御装置によって動作制御が可能な電磁弁が設けられている。例えば、排油槽104は、図1に示されているように、空の硬質ブラスチック製のボトルとすることができる。排油槽104として使用されるボトルの栓には、小穴が形成されており、ボトル内部が常に大気圧と等しくなるようになっている。
【0036】
給油槽98や排油槽104は、潤滑油交換の都度、一回分を供給してもよく、数回の潤滑油交換に一度の割合で供給するようにしてもよい。また、給油槽98及び排油槽104は、プラスチック製のボトル以外に、金属製の容器やポリエチレン製の柔軟な袋など適宜のものを使用することができる。さらに、図1では、ターボブロア26周辺の配管系が簡略化して示されているが、これら配管系には、必要に応じて、配管内のレーザガスの圧力を測定するための圧力センサ(図示せず)が適宜に設けられてもよい。
【0037】
図1に示されているターボブロア用潤滑油交換システムを使用した潤滑油交換は次のような手順で行われる。
ガスレーザ発振装置10の運転中には、給気用開閉弁42を開き且つ充填用開閉弁46を閉じた状態で給気用流量調節弁44により所望流量に調節しつつレーザガス供給源30からレーザガス循環路24にレーザガスが供給される一方、排気用バイパス弁52を閉じ且つ排気用開閉弁54を開いた状態で排気用流量調節弁50により所望流量に調節しつつ真空ポンプ32によりレーザガス循環路24からレーザガスが排出される。これにより、ガスレーザ発振装置10のレーザガス循環路24及び共振器12内のレーザガスの一部を継続して少量ずつ新鮮なレーザガスに置換している。なお、ガスレーザ発振装置10の運転中には、モータ室排気用開閉弁90も開いた状態にして、モータ室62内の圧力がレーザガス循環路24内の圧力よりも僅かに低くなるようにすることが好ましい。これにより、モータ室62内のミスト状の潤滑油がレーザガス循環路24内に侵入することを防止することができる。また、ガスレーザ発振装置10の運転中には、給油用開閉弁100及び排油用開閉弁106は閉じられた状態に保たれている。
【0038】
潤滑油を交換するときには、まず、排気用開閉弁106及びモータ室排気用開閉弁90が閉じられ、真空ポンプ32とレーザガス循環路24及びモータ室62との間が遮断される。次に、減圧器40を調節し、レーザガス供給源30からレーザガス循環路24に予め定められた圧力になるまでレーザガスを供給する。このとき、充填用開閉弁46を開いてもよい。また、圧力は、0.02MPa(ゲージ圧)程度とすることが好ましい。これに伴って、レーザガス循環路24と連通するモータ室62内の圧力も同程度まで上昇し、連通路80を通じてモータ室62と連通するオイル溜まり82内の圧力も同程度まで上昇する。
【0039】
次に、給油用開閉弁100を閉じたまま排油用開閉弁106を開く。オイル溜まり82内の圧力は、排油槽104内の圧力すなわち大気圧よりも高くなっているので、この結果、オイル溜まり82内の潤滑油がオイル溜まり内のレーザガスの圧力で押し出され、排油口94及び潤滑油排出用配管102を通して排油槽104内に強制的に排出される。オイル溜まり82内の潤滑油が完全に排出されると、オイル溜まり82内のレーザガスが排油口94、潤滑油排出用配管102及び排油槽104を通じて大気中に放出され、オイル溜まり82内の圧力が大気圧まで低下する。
【0040】
次に、排油用開閉弁106を閉じてモータ室62及びオイル溜まり82を密閉した後、真空ポンプ32を起動し、排気用開閉弁54及びモータ室排気用開閉弁90を開いて真空ポンプ32とモータ室62及びレーザガス循環路24とを連通状態にさせる。これにより、モータ室62及びレーザガス循環路24内のレーザガスが排出され、これらの部分及びこれらと連通するオイル溜まり82内の圧力が大気圧よりも低くなる。モータ室62及びオイル溜まり内の圧力は給油槽内の圧力よりも低くなっているため、この状態で給油用開閉弁100を開くと、給油槽98内の潤滑油が差圧により潤滑油注入用配管96及び給油口92を通してモータ室62及びオイル溜まり82内に強制的に注入される。給油槽98として上述したボトル(ボトルの上部2/3に窒素が封入されているもの)を使用している場合、モータ室62及びオイル溜まり82内の圧力が大気圧の1/3であればボトル上部の窒素が3倍に膨張するので、ほぼボトル内の全量の潤滑油がモータ室62及びオイル溜まり82に注入され得る。潤滑油の注入が完了すると、給油用開閉弁100が閉じられ、潤滑油交換作業が完了する。
【0041】
図2は、図5のガスレーザ発振装置10で使用されるターボブロア用潤滑油交換システムの第2の実施形態を示している。図2において、図1と対応する部分には、同じ参照番号が付されている。
図2に示されている第2の実施形態は、オイル溜まり82と給油槽98とに差圧を生じさせるために、レーザガス供給源30から延びる給気用配管38の減圧器40と給気用開閉弁42との間から分岐する給油槽加圧用配管108が給油槽98に接続されている点において、図1に示されている第1の実施形態と異なっている。給油槽加圧用配管は給油槽加圧路を構成する。給油槽加圧用配管108の途中には、給油槽加圧用配管108を開閉するための給油槽加圧用開閉弁110と、給油槽加圧配管108を流れるレーザガスの流量を調節するために給油槽加圧用開閉弁110の下流側(給油槽98に近い側)に配置された給油槽加圧用流量調節弁112とが設けられている。また、オイル溜まり82には、オイル溜まり82内の潤滑油の液面を検出するための油量センサ114が設けられている。さらに、給油槽98の底部に油量センサ(図示せず)を設けてもよい。その他の構成は、第1の実施形態と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0042】
ターボブロア26の潤滑油を交換する際には、まず、給油用開閉弁100及び給油槽加圧用開閉弁110を閉じた状態で、オイル溜まり82から排油槽104に潤滑油を排出する。オイル溜まり82から排油槽104に潤滑油を排出する手順は、第1の実施形態と同じである。オイル溜まり82からの潤滑油の排出が完了すると、排油用開閉弁106を閉じてモータ室62及びオイル溜まり82を密閉した後、給油用開閉弁100を開き、少し遅れて給油槽加圧用開閉弁110を開く。これにより、レーザガス供給源30から減圧器40で予め定められた圧力まで減圧されたレーザガスが給油槽98に供給されて、給油槽98内の圧力が上昇し、この圧力によって給油槽98内から潤滑油が潤滑油注入用配管96及び給油口92を通してモータ室62及びオイル溜まり82内に強制的に注入される。給油槽98からの潤滑油の注入速度は、給油槽加圧用流量調節弁112の開度を変更することによって調節することができる。潤滑油がオイル溜まり82内に所定の液面レベルまで注入されたことを油量センサ114が検知すると、給油槽加圧用開閉弁110が閉じられ、潤滑油の注入が完了する。上記の油量センサ114は、通常運転時に、何らかの原因で潤滑油が減少したことを検出するのにも役立つ。給油槽98の底部に油量センサが設けられているときには、油量センサが潤滑油を検知しなくなったときに給油槽加圧用開閉弁110を自動的に閉じるようにすることもできる。この場合、潤滑油交換に先立って、交換用の潤滑油が準備されていることを自動的に確認するのにも役立つ。
【0043】
図3は、図5のガスレーザ発振装置10で使用されるターボブロア用潤滑油交換システムの第3の実施形態を示している。図3において、図1と対応する部分には、同じ参照番号が付されている。
図3に示されている第3の実施形態は、オイル溜まり82と排油槽104とに差圧を生じさせるために、真空ポンプ32と排油槽104との間に排油槽吸引用配管116が接続されている点において、図1に示されている第1の実施形態と異なっている。排油槽吸引用配管116は排油槽吸引路を構成する。排油槽吸引用配管116の途中には、排油槽吸引用配管116を開閉するための排油槽吸引用開閉弁118が設けられている。その他の構成は、第1の実施形態と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0044】
ターボブロア26の潤滑油を交換する際には、まず、排気用開閉弁54及びモータ室排気用開閉弁90を閉じて、真空ポンプ32とレーザガス循環路24及びモータ室62との間を遮断する。次に、減圧器40を調節し、大気圧に近い状態になるまでレーザガス供給源30からレーザガス循環路24にレーザガスを供給する。このとき、充填用開閉弁46を開いてもよい。次に、真空ポンプ32を起動し、排気用開閉弁54及びモータ室排気用開閉弁90を閉じたまま排油槽吸引用開閉弁118を開く。排油槽吸引用配管116と排油槽104との接続部及び潤滑油排出用配管102と排油槽104との接続部はシールされているので、排油槽104内は大気圧より低くなる。次に、やや時間をおいて排油用開閉弁106を開くと、オイル溜まり82内の圧力と排油槽104内の圧力との圧力差によりオイル溜まり82内の潤滑油が排油口94及び潤滑油排出用配管102を通して排油槽104に強制的に排出される。潤滑油の排出に十分な時間が経過した後、排油用開閉弁106及び排油槽吸引用開閉弁118を閉じ、潤滑油排出作業を完了させる。排油槽104は、潤滑油排出作業の終了後、潤滑油排出用配管から取り外され、排出された潤滑油が廃棄される。潤滑油排出作業が完了すると、続いて、オイル溜まり82に潤滑油が注入される。オイル溜まり82に潤滑油を注入する手順は、第1の実施形態と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0045】
このように本発明のガスレーザ発振装置10では、ガスレーザ発振装置10が一般に備えるガスレーザ供給源30や真空ポンプ32を利用して、オイル溜まり82内の潤滑油を加圧したりオイル溜まり82内を陰圧にすることによりオイル溜まり82と給油槽98又は排油槽104との間に差圧を生じさせ、この差圧によりオイル溜まり82内の潤滑油を強制的に排出し、また、オイル溜まり82に潤滑油を強制的に注入する。したがって、高価な装置を新たに付加することなく、オイル溜まり82に対する潤滑油の排出及び注入を短時間で行うことができる。また、重力を利用して潤滑油の供給及び排出を行うわけではないので、給油槽98や排油槽104の配置、各種配管の配置の制限も少なくなる。例えば、給油槽98をターボブロア26よりも低い位置に配置したり、排油槽104をターボブロア26よりも高い位置に配置したりすることも可能となる。
【0046】
さらに、潤滑油の交換は、各開閉弁の開閉により行われるので、潤滑油の交換のときに、従来のように注入キャップを開放することがなく、大気中の水分や浮遊粒子がモータ室62及びオイル溜まり82へ侵入する可能性を従来技術に比較して大きく低減させる。加えて、潤滑油交換作業の自動化も容易となる。第1の実施形態から第3の実施形態において、各開閉弁の動作を制御装置によって制御し、自動で潤滑油の交換を行うことにより、操作者による誤操作を防止することが可能となる。
【0047】
以上、図示された実施形態に基づいて、本発明によるガスレーザ発振装置10を説明したが、本発明は図示される実施形態に限定されるものではない。例えば、図4に示されているように、第2の実施形態において、第3の実施形態と同様に真空ポンプ32と排油槽104との間に排油槽吸引用配管116を設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明のガスレーザ発振装置で使用されるターボブロア用潤滑油交換システムの第1の実施形態を示している。
【図2】本発明のガスレーザ発振装置で使用されるターボブロア用潤滑油交換システムの第2の実施形態を示している。
【図3】本発明のガスレーザ発振装置で使用されるターボブロア用潤滑油交換システムの第3の実施形態を示している。
【図4】本発明のガスレーザ発振装置で使用されるターボブロア用潤滑油交換システムの第4の実施形態を示している。
【図5】本発明のガスレーザ発振装置の全体構成を示している。
【符号の説明】
【0049】
10 ガスレーザ発振装置
24 レーザガス循環路
26 ターボブロア
30 レーザガス供給源
32 真空ポンプ
64 シャフト
66 ターボ翼
72 ころがり軸受
82 オイル溜まり
86 モータ室排気孔
88 モータ室排気用配管
90 モータ室排気用開閉弁
92 給油口
94 排油口
96 潤滑油注入用配管
100 給油用開閉弁
102 潤滑油排出用配管
106 排油用開閉弁
108 給油槽加圧用配管
110 給油槽加圧用開閉弁
116 排油槽吸引用配管
118 排油槽吸引用開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザガスに電圧を印加してレーザ光を生成させるための共振器と、該共振器に接続されたレーザガス循環路と、該レーザガス循環路内のレーザガスを循環させるための送風機と、前記レーザガス循環路にレーザガスを供給するためのレーザガス供給源と、前記レーザガス循環路からレーザガスを排出するための真空ポンプとを備え、前記送風機が、先端に回転翼が取り付けられたシャフトを回転可能に支持する軸受に前記送風機の内部に設けられたオイル溜まり内の潤滑油を供給して前記軸受を潤滑するようになっているガスレーザ発振装置であって、
前記送風機の外部から前記オイル溜まりに潤滑油を供給するための給油通路と、
前記オイル溜まりから前記送風機の外部に潤滑油を排出するための排油通路と、
前記給油通路を開閉するための第1の開閉弁と、
前記排油通路を開閉するための第2の開閉弁と、
オイル溜まりと外部とに強制的に圧力差を生じさせるための差圧発生手段と、
を備えることを特徴としたガスレーザ発振装置。
【請求項2】
前記差圧発生手段は前記レーザガス供給源を含み、前記第1の開閉弁を閉じ且つ前記第2の開閉弁を開いた状態のときに、前記レーザガス供給源から前記レーザガス循環路にレーザガスを供給して、前記レーザガス循環路と連通する前記送風機の前記オイル溜まり内のレーザガスの圧力を大気圧又は前記排油通路に接続された排油槽内の圧力より高くすることにより、前記排油通路を通じて前記オイル溜まり内の潤滑油を前記送風機の外部に強制的に排出させる、請求項1に記載のガスレーザ発振装置。
【請求項3】
前記差圧発生手段は、前記真空ポンプと、前記真空ポンプと前記オイル溜まりとを連通させるオイル溜まり吸引路と、該オイル溜まり吸引路を開閉するための第3の開閉弁とを含み、前記第1の開閉弁を開き且つ前記第2の開閉弁を閉じた状態のときに、前記第3の開閉弁を開いて前記真空ポンプで前記オイル溜まり内を大気圧又は前記給油通路に接続された給油槽内の圧力より低くすることにより、前記給油通路を通じて前記送風機の外部から前記オイル溜まり内に潤滑油を強制的に注入させる、請求項1又は請求項2に記載のガスレーザ発振装置。
【請求項4】
前記差圧発生手段は、前記真空ポンプと、前記排油通路に接続された排油槽と前記真空ポンプとを連通させる排油槽吸引路と、該排油槽吸引路を開閉させるための第4の開閉弁とを含み、前記第1の開閉弁を閉め且つ前記第2の開閉弁を開いた状態のときに、前記第4の開閉弁を開いて前記真空ポンプで前記排油槽内の圧力を前記オイル溜まり内の圧力より低くすることにより、前記排油通路を通じて前記オイル溜まり内の潤滑油を前記排油槽に強制的に排出させる、請求項1に記載のガスレーザ発振装置。
【請求項5】
前記差圧発生手段は、前記レーザガス供給源と、前記給油通路に接続された給油槽と前記レーザガス供給源とを連通させる給油槽加圧路と、該給油槽加圧路を開閉させるための第5の開閉弁とを含み、前記第1の開閉弁を開き且つ前記第2の開閉弁を閉じた状態のときに、前記第5の開閉弁を開いて前記レーザガス供給源から前記給油槽にレーザガスを供給し、前記給油槽内の圧力を前記オイル溜まり内の圧力より高くすることにより、前記給油通路を通じて前記給油槽内の潤滑油を強制的に前記オイル溜まり内に注入させる、請求項1、請求項2及び請求項4の何れか一項に記載のガスレーザ発振装置。
【請求項6】
レーザガスに電圧を印加してレーザ光を生成させるための共振器と、該共振器に接続されたレーザガス循環路と、該レーザガス循環路内のレーザガスを循環させるための送風機と、前記レーザガス循環路にレーザガスを供給するためのレーザガス供給源と、前記レーザガス循環路からレーザガスを排出するための真空ポンプとを備え、前記送風機が、先端にターボ翼が取り付けられたシャフトを回転可能に支持する軸受に前記送風機に設けられたオイル溜まり内の潤滑油を供給して前記軸受を潤滑するようになっているガスレーザ発振装置において、前記送風機の前記オイル溜まり内の潤滑油を交換する送風機用潤滑油交換方法であって、
前記送風機の外部から前記オイル溜まりに潤滑油を供給するための給油通路を開閉するための第1の開閉弁を閉じ且つ前記オイル溜まりから前記送風機の外部に潤滑油を排出するための排油通路を開閉するための第2の開閉弁を開いた状態のときに、前記レーザガス供給源から前期レーザガス循環路にレーザガスを供給して前記レーザガス循環路と連通する前記送風機の前記オイル溜まり内のレーザガスの圧力を大気圧より高くすることにより、前記排油通路を通じて前記オイル溜まり内の潤滑油を前記送風機の外部に強制的に排出させ、
前記第1の開閉弁を閉め且つ前記第2の開閉弁を開いた状態のときに、前記真空ポンプを利用して前記オイル溜まり内を大気圧又は前記給油通路に接続された給油槽内の圧力より低くすることにより、前記給油通路を通じて前記送風機の外部から前記オイル溜まり内に潤滑油を強制的に注入させることを特徴とした送風機用潤滑油交換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−192793(P2008−192793A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−25184(P2007−25184)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】