ガス分析装置
【課題】吸着燃焼式のガスセンサを用いたガス分析装置で、センサ出力の検出値の微分波形のノイズを除去し、ピーク値の正確な位置特定、精度高い波形分析を行えるようにする。
【解決手段】吸着燃焼式のガスセンサのマイクロヒータを一定昇温制御する。1回目の40ミリ秒の間に、マイクロヒータを一定昇温制御しながらマイクロヒータの抵抗値を高速サンプリングする。1回目の40ミリ秒でガスセンサの余分なガス成分、水分等を焼き飛ばす。その後の10秒間マイクロヒータを100℃に保ち、計測ガスを吸着させる。2回目の40ミリ秒の間に、マイクロヒータを一定昇温制御しながらマイクロヒータの抵抗値を高速サンプリングする。計測値を微分して微分波形を求める。微分波形をウェーブレット分解・合成し、ノイズを除去する。ノイズを除去した微分波形からピーク値を求め、ガス種を判定する。ピーク値の抵抗値からガス濃度を判定する。
【解決手段】吸着燃焼式のガスセンサのマイクロヒータを一定昇温制御する。1回目の40ミリ秒の間に、マイクロヒータを一定昇温制御しながらマイクロヒータの抵抗値を高速サンプリングする。1回目の40ミリ秒でガスセンサの余分なガス成分、水分等を焼き飛ばす。その後の10秒間マイクロヒータを100℃に保ち、計測ガスを吸着させる。2回目の40ミリ秒の間に、マイクロヒータを一定昇温制御しながらマイクロヒータの抵抗値を高速サンプリングする。計測値を微分して微分波形を求める。微分波形をウェーブレット分解・合成し、ノイズを除去する。ノイズを除去した微分波形からピーク値を求め、ガス種を判定する。ピーク値の抵抗値からガス濃度を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着燃焼式ガスセンサを用いて有極性ガスを検知するガス分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸着燃焼式ガスセンサを用いたガス検知装置として、例えば特開2005−83949号公報(特許文献1)に開示されたものがある。図18はこのガス検知装置の回路ブロック図、図19は同ガス検知装置の駆動用のパルス電圧を示す図、図20は吸着燃焼式ガスセンサの概略構造を示す図である。
【0003】
図20に示す吸着燃焼式ガスセンサは、シリコン基板10を異方性エッチングして形成されたダイヤフラム10aの上に、白金でパターニングされたマイクロヒータ1,2が形成されている。センサ側となるマイクロヒータ1の上には触媒3が塗布されているが、リファレンス側となるマイクロヒータ2上にはなにも形成されていない。
【0004】
マイクロヒータ1,2を加熱していくと、センサ側では触媒3に吸着したガスが燃焼反応を起こす。この燃焼反応により、センサ側の温度が上昇するため、このセンサ側のマイクロヒータ2の抵抗値Rsを計測することでガス濃度が計測できる。なお、リファレンス側はガスによる燃焼反応を起こさない。
【0005】
上記吸着燃焼式ガスセンサは、図18に示すようにガスセンサ側のマイクロヒータ1とリファレンス側のマイクロヒータ2は、抵抗器及び可変抵抗器でブリッジ回路を構成している。このブリッジ回路にはセンサ駆動制御部から図19に示す駆動用のパルス電圧が印加される。そして、吸着燃焼式ガスセンサはパルス電圧OFFの3sec間にガスが吸着され、パルス電圧ONの200ミリ秒間に燃焼反応を起こす。
【0006】
センサ出力検出部では、ガスの燃焼反応によるブリッジ回路のバランスのズレを検出する。センサ出力検出部の出力を積分演算部で演算すると、ガス濃度に応じた値が出力される。また、センサ出力検出部の出力を微分演算部で微分すると、ガス種固有のピークを持つ波形が得られる。ガス濃度検出部は積分演算部の値からガス濃度を算出し、ガス種検出部は微分演算部の出力波形からガス種を算出する。そして、それぞれ算出されたガス種、ガス濃度は出力部より出力される。
【特許文献1】特開2005−83949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記微分演算による出力波形には微分演算による高周波数成分のノイズが増幅される。図14はISOブタノールの各濃度での抵抗値の検出波形の一例であり、図15は図14の波形データを次式(4)で微分演算した結果である。なお、図15の横軸は時間軸からガスセンサの温度にした温度軸である。
Y[n]=(X[n]−X[n−m])/m…(4)
n=N,N−m,N−2m,N−3m,…,1
Y[n]:微分値
X[n]:サンプリングデータ
m:間引き率(例えば10)
N:全データ数
【0008】
図15のように微分演算によるノイズが増幅されるため、波形のピーク値の正確な位置特定や、精度高い波形分析に問題がある。そこで、ノイズ成分を除去する必要がある。このノイズ除去の方法としては、移動平均が考えられる。図16はISOブタノール濃度50ppmでの検出値の微分波形を50回の移動平均でノイズ除去した波形と、ノイズ除去前の波形のグラフである。移動平均の回数が多いため、波形が高温側にズレ、波形も歪んでいる。また、図17は同様の処理を10回の移動平均した波形とノイズ除去前の波形のグラフである。この場合には、高温側への波形のズレ、波形の歪みはそれほどないが、ノイズが十分に除去されていない。このように、移動平均等の一般的なフィルタリングでは、波形のピーク位置にズレが生じ、また、波形が歪むため、高精度な分析器のノイズ除去方法として向いていない。
【0009】
本発明は、吸着燃焼式のガスセンサを用いたガス分析装置において、検出値の微分波形のノイズを除去し、ピーク値の正確な位置特定、精度高い波形分析を行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1のガス分析装置は、吸着燃焼式ガスセンサのセンサ出力をサンプリングして、該サンプリングしたセンサ出力を時間微分して微分波形データを取得し、該取得した微分波形データに基づいてガスの分析を行うガス分析装置であって、前記微分波形データをウェーブレット分解し、マザーウェーブレットのスケールの大きな高レベルのウェーブレット係数により合成してノイズを除去し、該ノイズを除去した微分波形データに基づいてガスの分析を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1のガス分析装置によれば、ガスセンサの出力の微分波形からノイズを除去できるとともにピーク値の位置のズレや波形の歪みが生じることがなくなる。したがって、ピーク値の正確な位置特定、精度高い波形分析を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は実施の形態のガス分析装置のアナログ部の回路図、図2は同ガス分析装置のデジタル部の回路ブロック図である。図1において、ガスセンサ側のマイクロヒータ1及びリファレンス側のマイクロヒータ2は前記従来のものと同様な構造である。ガスセンサ側のマイクロヒータ1、リファレンス側のマイクロヒータ2はそれぞれブリッジ回路Bs,Brを構成している。
【0013】
デジタル部(図2)から出力される後述のブリッジ電圧DA1はオペアンプap1に入力され、このオペアンプap1の増幅出力はガスセンサ側のブリッジ回路Bsとリファレンス側のブリッジ回路Brとに印加される。ガスセンサ側のブリッジ回路Bsの出力は計装アンプap2により10倍にに増幅されてAD1として出力され、デジタル部のADコンバータ11に取り込まれる。リファレンス側のブリッジ回路Brの出力は計装アンプap3により10倍にに増幅される。また、ブリッジ電圧DA1は分圧回路Dにより1/2に分圧されてAD2として出力され、デジタル部のADコンバータ12に取り込まれる。
【0014】
ガスセンサ側のブリッジ回路Bsの出力を計装アンプap2(ガスセンサ側)で増幅した電圧と計装アンプap3(リファレンス側)で増幅した電圧との差は、2段目の計装アンプap4で差動増幅されてAD3として出力される。この計装アンプap4の出力は、デジタル部でデータサンプリングされた後、RAM(メモリ)14に格納される。この2段目の計装アンプap4の増幅率は可変とし、外部より設定可能とする。なお、図1に付記したRs、Rr、Rx、R1、Rはそれぞれマイクロヒータ1,2、各抵抗器の抵抗値である。
【0015】
以上の構成により、計装アンプap2,ap3のゲインをGAIN1とすると、出力AD1の値と出力AD2の値から、以下の式(1),(2)でガスセンサ側のマイクロヒータ1の抵抗値Rsを算出することができる。
Rs=R×(2×GAIN1×AD2/(AD1+2×GAIN2×AD2)−1)…(1)
GAIN2=GAIN1×R/(R+Rx)…(2)
【0016】
図2に示すように、デジタル部は、アナログ部の出力AD1、AD2及びAD3をそれぞれアナログ/デジタル変換するADコンバータ11,12,13、計測データを記憶するRAM(メモリ)14、制御プログラム等を記憶しているROM15、計測制御処理をするDSP16、DSP16から出力されるデジタル信号としてのブリッジ電圧DA1をデジタル/アナログ変換してアナログ部のオペアンプap1に出力するDAコンバータ17を備えている。なお、DSP16は後述の割り込み処理により、抵抗値Rsのサンプリングとブリッジ電圧の出力を100KHzのサンプリング間隔で4000回繰り返す。
【0017】
ここで、DSP1から出力するブリッジ電圧DA1は、計測したガスセンサ側の抵抗値Rsと、理想的なガスセンサの抵抗値とのズレから予測したブリッジ電圧である。理想的なガスセンサの抵抗値Roは以下の式(3)で求まる。
Ro=(Rmax−Rmin)/4000×カウント+Rmin…(3)
Rmax:ガスセンサが500℃のときの抵抗値
Rmin:ガスセンサが100℃のときの抵抗値
4000:サンプリング回数
カウント:そのときのサンプリング回
【0018】
ブリッジ電圧の予測方法は以下のとおりである。計測した抵抗値Rsが理想抵抗値より大きい場合は、DA1に加える増量ΔDA1から係数(kinc)を引く。計測した抵抗値Rsと理想的抵抗値が同じ場合は、DA1に加える増量ΔDA1は前回のままとする。計測した抵抗値Rsが理想抵抗値より小さい場合は、DA1に加える増量ΔDA1に係数(kinc)を加算する。そして、この更新される増量ΔDA1を前回のブリッジ電圧に加算して抵抗値Rsの1回のサンプリング毎にこの予測したブリッジ電圧DA1を出力する。
【0019】
図3及び図4はDSP16が実行するプログラムのフローチャートであり、図3(A) は計測制御処理のメインルーチンのフローチャート、図3(B) はヒータ制御&サンプリング処理のサブルーチンのフローチャート、図4は割り込み処理のフローチャートであり、割り込み処理は、割り込みイネーブルにより図示しないタイマにより100KHzで起動される。次に、同フローチャートに基づいて動作を説明する。
【0020】
図3(A) の処理では、ステップS1で、RAM14内の各種レジスタのリセット等の初期設定を行い、ステップS2で図3(B) のヒータ制御&サンプリング処理を行う。次に、ステップS3で、ブリッジ電圧DA1の初期値として100℃になる電圧を出力しながら10秒間待機し、ステップS4で2回目のヒータ制御&サンプリング処理を行う。次に、ステップS5でRAM14に格納した2回目のヒータ制御&サンプリング処理によるサンプリングデータに微分演算を行う。次に、ステップS6で微分波形データについてウェーブレット分解・合成を行ってノイズを除去し、ステップS7でノイズ除去した微分波形のピーク値を取得する。次に、プS8でガス種の判定及びガス濃度の判定を行い、ステップS9でガス種、ガス濃度を出力する。そして、ステップS10でその他の処理を行って処理を終了する。
【0021】
図3(B) のヒータ制御&サンプリング処理では、ステップS11で、前記式(3)の傾きをΔRoとして求める。次に、ステップS12でサンプリングのカウント値をリセットし、ステップS13で割り込みをイネーブルにし、ステップS14で、ブリッジ電圧の増量ΔDA1のレジスタ、ブリッジ電圧の待避用のレジスタDA1_oldのレジスタをリセットする。そして、ステップS15でカウント値が4000になるまで待機する。カウント値は、図5の割り込み処理を行う毎にインクリメントされるので、4000回の割り込み処理により、4000のデータをサンプリングするとカウント値が4000を越えるので、ステップS16で割り込みをディセーブルにし、ステップS17で出力処理を行ってメインルーチン(図3(A) )に復帰する。
【0022】
図4の割り込み処理では、ステップS21で、前記式(3)により現在のカウントに対応する理想的な抵抗値Roを求め、ステップS22で、ADコンバータ11,12,13からAD1、AD2及びAD3のデータをそれぞれ入力し、ステップS23でAD3のデータをメモリ(RAM)に格納する。次に、ステップS24で、15ビットデータのAD1及びAD2を電圧値に変換し、ステップS25で、前記式(1)によりガスセンサ側の抵抗値Rsを演算する。
【0023】
次に、ステップS26及びステップS27でRsとRoの大小関係を判定し、Rs<Roであれば、ステップS28で、ブリッジ電圧の増量ΔDA1に係数kincを加算して更新し、ステップS30に進む。Rs=Roであれば増量ΔDA1はもとのままでステップS30に進む。Rs>Roであれば、ステップS29で、増量ΔDA1から係数kincを減算して更新し、ステップS30に進む。そして、ステップS30で、前回のブリッジ電圧DA1_oldに増量ΔDA1を加算して今回のブリッジ電圧DA1とする。
【0024】
次に、ステップS31でブリッジ電圧DA1をDAコンバータ16を介してアナログ部に出力し、ステップS32で今回のブリッジ電圧DA1をレジスタDA1_oldに待避するとともに、カウントをインクリメントして元のルーチンに復帰する。
【0025】
図5は上記計測制御処理によるガスセンサ側のマイクロヒータ1の温度変化を示す図であり、1回目及び2回目の40ミリ秒のマイクロヒータ1の温度は一定昇温制御されている。1回目の一定昇温制御により、ガスセンサの余分なガス成分、水分等を焼き飛ばし、その後の10秒間で計測ガスを吸着させる。そして、2回目の一定昇温制御によるガス計測を行う。
【0026】
図6は時間に対するガスセンサのマイクロヒータ1の抵抗値を示すグラフ、図7はマイクロヒータ1の抵抗値と理想的な抵抗値との時間に対する誤差を示すグラフである。なお、マイクロヒータ1は白金で構成されているため、その抵抗値と温度は直線関係にある。図6に示すように、マイクロヒータ1の温度制御は、定常状態に入ると0.2%以内の誤差で制御されている。
【0027】
図6に示す抵抗値のように、マイクロヒータ1の温度は、ガスによる吸着燃焼反応を起こしても、時間に対して一定の昇温温度になるように制御されるが、リファレンス側のマイクロヒータ2は、ガスによる吸着燃焼反応が無いため、ガスセンサが吸着燃焼反応を起こした場合も低い温度に制御される。このため、AD3の値は、ガス種、ガス濃度により変化する。
【0028】
図8は前掲の図15のISOブタノール50ppmの微分波形を示すグラフであり、前掲の図14の抵抗値に対して前記式(4)により微分演算したものである。なお、このグラフの横軸はウェーブレット変換の仮想的な時間軸である。図のように、ノコギリ状のノイズで、このノイズの周期が一定であることが解る。そして、この微分波形データに対して、図9のcoifrets5のマザーウェーブレットでレベル5のウェーブレット分解を行う。
【0029】
図10はウェーブレット分解の様子を説明する図である。図10(A) に示すように、この実施例では図9のマザーウェーブレット波形の時間軸方向の幅を5段階にスケーリングしてウェーブレット分解した。なお、レベル1からレベル5になるほどスケールは大きくなる。そして、レベル1〜5の各レベルの各ブロックにウェーブレット係数が求まる。このレベル1〜5の各々のディテイルは図10(B) のようになり、各レベル1〜5の合成波形は図10(C) のようになる。ノイズを除去した微分波形としたはレベル5だけ必要である、レベル4〜1はノイズ成分と見なすことができる。このため、ウェーブレット係数に対するスレッシュホールドを、レベル4〜1に対して最高値とし、レベル5に対して0とし、合成を行うことでノイズが除去できる。
【0030】
図11はISOブタノール50ppmについて上記の方法でノイズ除去した微分波形のグラフである。図から解るように、波形の低域の原型は維持したまま、完全にノイズが除去されている。
【0031】
図12はISOブタノールの各ガス濃度でのノイズ除去した微分波形のグラフであり、ピーク位置がガス濃度によらす一定であることが解る。また、ピーク時のセンサ温度が計測できていることが解る。
【0032】
図13はTERTブタノールの各ガス濃度でのノイズ除去した微分波形のグラフであり、IOSブタノールと同様に、ピーク位置がガス濃度によらす一定であることが解る。また、ピーク時のセンサ温度が計測できていることが解る。
【0033】
なお、図12と図13のグラフから、ガス種により微分波形のピークの温度が異なることが解り、ガスの組成とピークの出る温度との関係を考察することができる。
【0034】
なお、従来のガス検知器では、ガス濃度によらずガスセンサ側のマイクロヒータ1を一定電圧で制御するため、ガスセンサの吸着燃焼時の発熱温度の違い(濃度の違い)により、ピーク位置にズレが出てしまうという問題があるが、実施形態のガス分析装置では、ヒータの抵抗値をサンプリングして該サンプリングした抵抗値が一定変化で上昇するように、ヒータに対して一定昇温制御を行っているので、ガスセンサの出力の微分波形のピーク位置が、ガス濃度の違いによる影響を受けずに殆どずれを生じることがない。また、ピークの出るセンサ温度も計測することができ、こにれより、ガスの組成によるピークの出力を考察する分析器として活用することができる。さらに、クリーンガスによるゼロガス補正を必要としない。
【0035】
なお、図1に示すガスセンサのアナログ部の構成は一例であり、この実施形態に限らず、他の構成でもよい。また、図2に示すデジタル部のDSPの処理はパーソナルコンピュータ、マイコン等で行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態のガス分析装置のアナログ部の回路図である。
【図2】同ガス分析装置のデジタル部の回路ブロック図である。
【図3】実施形態に係るメインルーチン及びサブルーチンのフローチャートである。
【図4】実施形態に係る割り込み処理ルーチンのフローチャートである。
【図5】実施形態における計測制御処理によるガスセンサ側のマイクロヒータの温度変化を示す図である。
【図6】実施形態における時間に対するガスセンサのマイクロヒータの抵抗値を示すグラフである。
【図7】実施形態におけるガスセンサのマイクロヒータの抵抗値と理想的な抵抗値との時間に対する誤差を示すグラフである。
【図8】ISOブタノール50ppmの微分波形を示すグラフである。
【図9】実施形態におけるcoifrets5のマザーウェーブレットを示す図である。
【図10】実施形態におけるウェーブレット分解の様子を説明する図である。
【図11】ISOブタノール50ppmのノイズ除去した微分波形のグラフである。
【図12】ISOブタノールの各ガス濃度でのノイズ除去した微分波形のグラフである。
【図13】TERTブタノールの各ガス濃度でのノイズ除去した微分波形のグラフである。
【図14】ISOブタノールの各濃度での抵抗値の検出波形の一例である。
【図15】図14の波形データを微分演算した微分波形のグラフである。
【図16】ISOブタノール濃度50ppmでの検出値の微分波形を50回の移動平均でノイズ除去した波形のグラフである。
【図17】ISOブタノール濃度50ppmでの検出値の微分波形を10回の移動平均でノイズ除去した波形のグラフである。
【図18】従来のガス検知装置のの回路ブロック図である。
【図19】同ガス検知装置の駆動用のパルス電圧を示す図である。
【図20】吸着燃焼式ガスセンサの概略構造を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 ガスセンサ側のマイクロヒータ
2 リファレンス側のマイクロヒータ
Bs ガスセンサ側のブリッジ回路
Br リファレンス側のブリッジ回路
ap4 計装アンプ
16 DSP
17 DAコンバータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着燃焼式ガスセンサを用いて有極性ガスを検知するガス分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸着燃焼式ガスセンサを用いたガス検知装置として、例えば特開2005−83949号公報(特許文献1)に開示されたものがある。図18はこのガス検知装置の回路ブロック図、図19は同ガス検知装置の駆動用のパルス電圧を示す図、図20は吸着燃焼式ガスセンサの概略構造を示す図である。
【0003】
図20に示す吸着燃焼式ガスセンサは、シリコン基板10を異方性エッチングして形成されたダイヤフラム10aの上に、白金でパターニングされたマイクロヒータ1,2が形成されている。センサ側となるマイクロヒータ1の上には触媒3が塗布されているが、リファレンス側となるマイクロヒータ2上にはなにも形成されていない。
【0004】
マイクロヒータ1,2を加熱していくと、センサ側では触媒3に吸着したガスが燃焼反応を起こす。この燃焼反応により、センサ側の温度が上昇するため、このセンサ側のマイクロヒータ2の抵抗値Rsを計測することでガス濃度が計測できる。なお、リファレンス側はガスによる燃焼反応を起こさない。
【0005】
上記吸着燃焼式ガスセンサは、図18に示すようにガスセンサ側のマイクロヒータ1とリファレンス側のマイクロヒータ2は、抵抗器及び可変抵抗器でブリッジ回路を構成している。このブリッジ回路にはセンサ駆動制御部から図19に示す駆動用のパルス電圧が印加される。そして、吸着燃焼式ガスセンサはパルス電圧OFFの3sec間にガスが吸着され、パルス電圧ONの200ミリ秒間に燃焼反応を起こす。
【0006】
センサ出力検出部では、ガスの燃焼反応によるブリッジ回路のバランスのズレを検出する。センサ出力検出部の出力を積分演算部で演算すると、ガス濃度に応じた値が出力される。また、センサ出力検出部の出力を微分演算部で微分すると、ガス種固有のピークを持つ波形が得られる。ガス濃度検出部は積分演算部の値からガス濃度を算出し、ガス種検出部は微分演算部の出力波形からガス種を算出する。そして、それぞれ算出されたガス種、ガス濃度は出力部より出力される。
【特許文献1】特開2005−83949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記微分演算による出力波形には微分演算による高周波数成分のノイズが増幅される。図14はISOブタノールの各濃度での抵抗値の検出波形の一例であり、図15は図14の波形データを次式(4)で微分演算した結果である。なお、図15の横軸は時間軸からガスセンサの温度にした温度軸である。
Y[n]=(X[n]−X[n−m])/m…(4)
n=N,N−m,N−2m,N−3m,…,1
Y[n]:微分値
X[n]:サンプリングデータ
m:間引き率(例えば10)
N:全データ数
【0008】
図15のように微分演算によるノイズが増幅されるため、波形のピーク値の正確な位置特定や、精度高い波形分析に問題がある。そこで、ノイズ成分を除去する必要がある。このノイズ除去の方法としては、移動平均が考えられる。図16はISOブタノール濃度50ppmでの検出値の微分波形を50回の移動平均でノイズ除去した波形と、ノイズ除去前の波形のグラフである。移動平均の回数が多いため、波形が高温側にズレ、波形も歪んでいる。また、図17は同様の処理を10回の移動平均した波形とノイズ除去前の波形のグラフである。この場合には、高温側への波形のズレ、波形の歪みはそれほどないが、ノイズが十分に除去されていない。このように、移動平均等の一般的なフィルタリングでは、波形のピーク位置にズレが生じ、また、波形が歪むため、高精度な分析器のノイズ除去方法として向いていない。
【0009】
本発明は、吸着燃焼式のガスセンサを用いたガス分析装置において、検出値の微分波形のノイズを除去し、ピーク値の正確な位置特定、精度高い波形分析を行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1のガス分析装置は、吸着燃焼式ガスセンサのセンサ出力をサンプリングして、該サンプリングしたセンサ出力を時間微分して微分波形データを取得し、該取得した微分波形データに基づいてガスの分析を行うガス分析装置であって、前記微分波形データをウェーブレット分解し、マザーウェーブレットのスケールの大きな高レベルのウェーブレット係数により合成してノイズを除去し、該ノイズを除去した微分波形データに基づいてガスの分析を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1のガス分析装置によれば、ガスセンサの出力の微分波形からノイズを除去できるとともにピーク値の位置のズレや波形の歪みが生じることがなくなる。したがって、ピーク値の正確な位置特定、精度高い波形分析を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は実施の形態のガス分析装置のアナログ部の回路図、図2は同ガス分析装置のデジタル部の回路ブロック図である。図1において、ガスセンサ側のマイクロヒータ1及びリファレンス側のマイクロヒータ2は前記従来のものと同様な構造である。ガスセンサ側のマイクロヒータ1、リファレンス側のマイクロヒータ2はそれぞれブリッジ回路Bs,Brを構成している。
【0013】
デジタル部(図2)から出力される後述のブリッジ電圧DA1はオペアンプap1に入力され、このオペアンプap1の増幅出力はガスセンサ側のブリッジ回路Bsとリファレンス側のブリッジ回路Brとに印加される。ガスセンサ側のブリッジ回路Bsの出力は計装アンプap2により10倍にに増幅されてAD1として出力され、デジタル部のADコンバータ11に取り込まれる。リファレンス側のブリッジ回路Brの出力は計装アンプap3により10倍にに増幅される。また、ブリッジ電圧DA1は分圧回路Dにより1/2に分圧されてAD2として出力され、デジタル部のADコンバータ12に取り込まれる。
【0014】
ガスセンサ側のブリッジ回路Bsの出力を計装アンプap2(ガスセンサ側)で増幅した電圧と計装アンプap3(リファレンス側)で増幅した電圧との差は、2段目の計装アンプap4で差動増幅されてAD3として出力される。この計装アンプap4の出力は、デジタル部でデータサンプリングされた後、RAM(メモリ)14に格納される。この2段目の計装アンプap4の増幅率は可変とし、外部より設定可能とする。なお、図1に付記したRs、Rr、Rx、R1、Rはそれぞれマイクロヒータ1,2、各抵抗器の抵抗値である。
【0015】
以上の構成により、計装アンプap2,ap3のゲインをGAIN1とすると、出力AD1の値と出力AD2の値から、以下の式(1),(2)でガスセンサ側のマイクロヒータ1の抵抗値Rsを算出することができる。
Rs=R×(2×GAIN1×AD2/(AD1+2×GAIN2×AD2)−1)…(1)
GAIN2=GAIN1×R/(R+Rx)…(2)
【0016】
図2に示すように、デジタル部は、アナログ部の出力AD1、AD2及びAD3をそれぞれアナログ/デジタル変換するADコンバータ11,12,13、計測データを記憶するRAM(メモリ)14、制御プログラム等を記憶しているROM15、計測制御処理をするDSP16、DSP16から出力されるデジタル信号としてのブリッジ電圧DA1をデジタル/アナログ変換してアナログ部のオペアンプap1に出力するDAコンバータ17を備えている。なお、DSP16は後述の割り込み処理により、抵抗値Rsのサンプリングとブリッジ電圧の出力を100KHzのサンプリング間隔で4000回繰り返す。
【0017】
ここで、DSP1から出力するブリッジ電圧DA1は、計測したガスセンサ側の抵抗値Rsと、理想的なガスセンサの抵抗値とのズレから予測したブリッジ電圧である。理想的なガスセンサの抵抗値Roは以下の式(3)で求まる。
Ro=(Rmax−Rmin)/4000×カウント+Rmin…(3)
Rmax:ガスセンサが500℃のときの抵抗値
Rmin:ガスセンサが100℃のときの抵抗値
4000:サンプリング回数
カウント:そのときのサンプリング回
【0018】
ブリッジ電圧の予測方法は以下のとおりである。計測した抵抗値Rsが理想抵抗値より大きい場合は、DA1に加える増量ΔDA1から係数(kinc)を引く。計測した抵抗値Rsと理想的抵抗値が同じ場合は、DA1に加える増量ΔDA1は前回のままとする。計測した抵抗値Rsが理想抵抗値より小さい場合は、DA1に加える増量ΔDA1に係数(kinc)を加算する。そして、この更新される増量ΔDA1を前回のブリッジ電圧に加算して抵抗値Rsの1回のサンプリング毎にこの予測したブリッジ電圧DA1を出力する。
【0019】
図3及び図4はDSP16が実行するプログラムのフローチャートであり、図3(A) は計測制御処理のメインルーチンのフローチャート、図3(B) はヒータ制御&サンプリング処理のサブルーチンのフローチャート、図4は割り込み処理のフローチャートであり、割り込み処理は、割り込みイネーブルにより図示しないタイマにより100KHzで起動される。次に、同フローチャートに基づいて動作を説明する。
【0020】
図3(A) の処理では、ステップS1で、RAM14内の各種レジスタのリセット等の初期設定を行い、ステップS2で図3(B) のヒータ制御&サンプリング処理を行う。次に、ステップS3で、ブリッジ電圧DA1の初期値として100℃になる電圧を出力しながら10秒間待機し、ステップS4で2回目のヒータ制御&サンプリング処理を行う。次に、ステップS5でRAM14に格納した2回目のヒータ制御&サンプリング処理によるサンプリングデータに微分演算を行う。次に、ステップS6で微分波形データについてウェーブレット分解・合成を行ってノイズを除去し、ステップS7でノイズ除去した微分波形のピーク値を取得する。次に、プS8でガス種の判定及びガス濃度の判定を行い、ステップS9でガス種、ガス濃度を出力する。そして、ステップS10でその他の処理を行って処理を終了する。
【0021】
図3(B) のヒータ制御&サンプリング処理では、ステップS11で、前記式(3)の傾きをΔRoとして求める。次に、ステップS12でサンプリングのカウント値をリセットし、ステップS13で割り込みをイネーブルにし、ステップS14で、ブリッジ電圧の増量ΔDA1のレジスタ、ブリッジ電圧の待避用のレジスタDA1_oldのレジスタをリセットする。そして、ステップS15でカウント値が4000になるまで待機する。カウント値は、図5の割り込み処理を行う毎にインクリメントされるので、4000回の割り込み処理により、4000のデータをサンプリングするとカウント値が4000を越えるので、ステップS16で割り込みをディセーブルにし、ステップS17で出力処理を行ってメインルーチン(図3(A) )に復帰する。
【0022】
図4の割り込み処理では、ステップS21で、前記式(3)により現在のカウントに対応する理想的な抵抗値Roを求め、ステップS22で、ADコンバータ11,12,13からAD1、AD2及びAD3のデータをそれぞれ入力し、ステップS23でAD3のデータをメモリ(RAM)に格納する。次に、ステップS24で、15ビットデータのAD1及びAD2を電圧値に変換し、ステップS25で、前記式(1)によりガスセンサ側の抵抗値Rsを演算する。
【0023】
次に、ステップS26及びステップS27でRsとRoの大小関係を判定し、Rs<Roであれば、ステップS28で、ブリッジ電圧の増量ΔDA1に係数kincを加算して更新し、ステップS30に進む。Rs=Roであれば増量ΔDA1はもとのままでステップS30に進む。Rs>Roであれば、ステップS29で、増量ΔDA1から係数kincを減算して更新し、ステップS30に進む。そして、ステップS30で、前回のブリッジ電圧DA1_oldに増量ΔDA1を加算して今回のブリッジ電圧DA1とする。
【0024】
次に、ステップS31でブリッジ電圧DA1をDAコンバータ16を介してアナログ部に出力し、ステップS32で今回のブリッジ電圧DA1をレジスタDA1_oldに待避するとともに、カウントをインクリメントして元のルーチンに復帰する。
【0025】
図5は上記計測制御処理によるガスセンサ側のマイクロヒータ1の温度変化を示す図であり、1回目及び2回目の40ミリ秒のマイクロヒータ1の温度は一定昇温制御されている。1回目の一定昇温制御により、ガスセンサの余分なガス成分、水分等を焼き飛ばし、その後の10秒間で計測ガスを吸着させる。そして、2回目の一定昇温制御によるガス計測を行う。
【0026】
図6は時間に対するガスセンサのマイクロヒータ1の抵抗値を示すグラフ、図7はマイクロヒータ1の抵抗値と理想的な抵抗値との時間に対する誤差を示すグラフである。なお、マイクロヒータ1は白金で構成されているため、その抵抗値と温度は直線関係にある。図6に示すように、マイクロヒータ1の温度制御は、定常状態に入ると0.2%以内の誤差で制御されている。
【0027】
図6に示す抵抗値のように、マイクロヒータ1の温度は、ガスによる吸着燃焼反応を起こしても、時間に対して一定の昇温温度になるように制御されるが、リファレンス側のマイクロヒータ2は、ガスによる吸着燃焼反応が無いため、ガスセンサが吸着燃焼反応を起こした場合も低い温度に制御される。このため、AD3の値は、ガス種、ガス濃度により変化する。
【0028】
図8は前掲の図15のISOブタノール50ppmの微分波形を示すグラフであり、前掲の図14の抵抗値に対して前記式(4)により微分演算したものである。なお、このグラフの横軸はウェーブレット変換の仮想的な時間軸である。図のように、ノコギリ状のノイズで、このノイズの周期が一定であることが解る。そして、この微分波形データに対して、図9のcoifrets5のマザーウェーブレットでレベル5のウェーブレット分解を行う。
【0029】
図10はウェーブレット分解の様子を説明する図である。図10(A) に示すように、この実施例では図9のマザーウェーブレット波形の時間軸方向の幅を5段階にスケーリングしてウェーブレット分解した。なお、レベル1からレベル5になるほどスケールは大きくなる。そして、レベル1〜5の各レベルの各ブロックにウェーブレット係数が求まる。このレベル1〜5の各々のディテイルは図10(B) のようになり、各レベル1〜5の合成波形は図10(C) のようになる。ノイズを除去した微分波形としたはレベル5だけ必要である、レベル4〜1はノイズ成分と見なすことができる。このため、ウェーブレット係数に対するスレッシュホールドを、レベル4〜1に対して最高値とし、レベル5に対して0とし、合成を行うことでノイズが除去できる。
【0030】
図11はISOブタノール50ppmについて上記の方法でノイズ除去した微分波形のグラフである。図から解るように、波形の低域の原型は維持したまま、完全にノイズが除去されている。
【0031】
図12はISOブタノールの各ガス濃度でのノイズ除去した微分波形のグラフであり、ピーク位置がガス濃度によらす一定であることが解る。また、ピーク時のセンサ温度が計測できていることが解る。
【0032】
図13はTERTブタノールの各ガス濃度でのノイズ除去した微分波形のグラフであり、IOSブタノールと同様に、ピーク位置がガス濃度によらす一定であることが解る。また、ピーク時のセンサ温度が計測できていることが解る。
【0033】
なお、図12と図13のグラフから、ガス種により微分波形のピークの温度が異なることが解り、ガスの組成とピークの出る温度との関係を考察することができる。
【0034】
なお、従来のガス検知器では、ガス濃度によらずガスセンサ側のマイクロヒータ1を一定電圧で制御するため、ガスセンサの吸着燃焼時の発熱温度の違い(濃度の違い)により、ピーク位置にズレが出てしまうという問題があるが、実施形態のガス分析装置では、ヒータの抵抗値をサンプリングして該サンプリングした抵抗値が一定変化で上昇するように、ヒータに対して一定昇温制御を行っているので、ガスセンサの出力の微分波形のピーク位置が、ガス濃度の違いによる影響を受けずに殆どずれを生じることがない。また、ピークの出るセンサ温度も計測することができ、こにれより、ガスの組成によるピークの出力を考察する分析器として活用することができる。さらに、クリーンガスによるゼロガス補正を必要としない。
【0035】
なお、図1に示すガスセンサのアナログ部の構成は一例であり、この実施形態に限らず、他の構成でもよい。また、図2に示すデジタル部のDSPの処理はパーソナルコンピュータ、マイコン等で行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態のガス分析装置のアナログ部の回路図である。
【図2】同ガス分析装置のデジタル部の回路ブロック図である。
【図3】実施形態に係るメインルーチン及びサブルーチンのフローチャートである。
【図4】実施形態に係る割り込み処理ルーチンのフローチャートである。
【図5】実施形態における計測制御処理によるガスセンサ側のマイクロヒータの温度変化を示す図である。
【図6】実施形態における時間に対するガスセンサのマイクロヒータの抵抗値を示すグラフである。
【図7】実施形態におけるガスセンサのマイクロヒータの抵抗値と理想的な抵抗値との時間に対する誤差を示すグラフである。
【図8】ISOブタノール50ppmの微分波形を示すグラフである。
【図9】実施形態におけるcoifrets5のマザーウェーブレットを示す図である。
【図10】実施形態におけるウェーブレット分解の様子を説明する図である。
【図11】ISOブタノール50ppmのノイズ除去した微分波形のグラフである。
【図12】ISOブタノールの各ガス濃度でのノイズ除去した微分波形のグラフである。
【図13】TERTブタノールの各ガス濃度でのノイズ除去した微分波形のグラフである。
【図14】ISOブタノールの各濃度での抵抗値の検出波形の一例である。
【図15】図14の波形データを微分演算した微分波形のグラフである。
【図16】ISOブタノール濃度50ppmでの検出値の微分波形を50回の移動平均でノイズ除去した波形のグラフである。
【図17】ISOブタノール濃度50ppmでの検出値の微分波形を10回の移動平均でノイズ除去した波形のグラフである。
【図18】従来のガス検知装置のの回路ブロック図である。
【図19】同ガス検知装置の駆動用のパルス電圧を示す図である。
【図20】吸着燃焼式ガスセンサの概略構造を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 ガスセンサ側のマイクロヒータ
2 リファレンス側のマイクロヒータ
Bs ガスセンサ側のブリッジ回路
Br リファレンス側のブリッジ回路
ap4 計装アンプ
16 DSP
17 DAコンバータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着燃焼式ガスセンサのセンサ出力をサンプリングして、該サンプリングしたセンサ出力を時間微分して微分波形データを取得し、該取得した微分波形データに基づいてガスの分析を行うガス分析装置であって、
前記微分波形データをウェーブレット分解し、マザーウェーブレットのスケールの大きな高レベルのウェーブレット係数により合成してノイズを除去し、該ノイズを除去した微分波形データに基づいてガスの分析を行うことを特徴とするガス分析装置。
【請求項1】
吸着燃焼式ガスセンサのセンサ出力をサンプリングして、該サンプリングしたセンサ出力を時間微分して微分波形データを取得し、該取得した微分波形データに基づいてガスの分析を行うガス分析装置であって、
前記微分波形データをウェーブレット分解し、マザーウェーブレットのスケールの大きな高レベルのウェーブレット係数により合成してノイズを除去し、該ノイズを除去した微分波形データに基づいてガスの分析を行うことを特徴とするガス分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−145258(P2010−145258A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323140(P2008−323140)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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