説明

ガス化発電システム

【課題】ガス化発電システムにおいて、シフト反応に伴ってシフト反応器で発生する熱エネルギーを有効に利用して発電効率の向上を図ると共に、シフト反応で発生したメタノール処理を不要にし、系統の補給水量の増加を防ぐ。
【解決手段】炭素燃料をガス化して生じる生成ガスが供給され、シフト蒸気を用いて生成ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に変換するシフト反応器5と、シフト反応後の生成ガス中の水分を除去するノックアウトドラム15と、シフト反応後の生成ガスを燃料とするガスタービン21を備えるガス化発電システムにおいて、ノックアウトドラム15からのドレンが供給される蒸発器6を設ける。蒸発器6は、シフト反応器5で発生する反応熱を用いて、供給された水分を蒸発させて蒸気を発生させる。蒸発器6で発生した蒸気は、シフト蒸気に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス化発電システムに関する。より詳細には、燃料ガスをガスタービンで燃焼して発電する発電プラントと、シフト反応によりガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に変換するシフト反応装置と、シフト反応により発生した二酸化炭素を回収する二酸化炭素分離回収装置を備えるガス化発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス化発電システムでは、石炭やバイオマスなどの炭素燃料をガス化してガスタービンの燃料として利用する。特に石炭をガス化した場合、石炭のガス化により得られる生成ガスの代表成分は、石炭の炭種によって異なるが、体積割合で約60%が一酸化炭素、約25%が水素、約10%が窒素ガス、約3%が二酸化炭素ガス、約2%が水蒸気やその他成分である。
【0003】
従って、生成ガスの主成分である一酸化炭素と水蒸気から二酸化炭素と水素を得るシフト反応が、一般的に化学プラント等の二酸化炭素回収システムでは活用されている。シフト反応は、式(1)に示される反応である。
【0004】
CO+HO→CO+H・・・(1)
ガス化発電システムでは、シフト反応装置のシフト反応器によって式(1)のシフト反応を起こし、石炭をガス化した石炭ガス(生成ガス)を一旦、水素ガスと二酸化炭素に転換する。水素ガスはガスタービンの燃料ガスとして活用し、二酸化炭素は後流にある二酸化炭素分離回収装置の二酸化炭素吸収塔で吸収液により吸収して回収する。尚、この時のシフト反応は発熱反応である。
【0005】
特許文献1には、一酸化炭素を二酸化炭素に転換するシフト反応を行うシフト反応器を有する二酸化炭素回収装置を備えた燃料電池発電システムに関する技術が開示されている。
【0006】
さらに、シフト反応器では、石炭をガス化した石炭ガス(生成ガス)の流量Gとシフト反応用の蒸気流量Sの比率S/Gが低いと、低温シフト反応触媒によりメタノールCHOHを合成する反応(2)と(3)が生じる(非特許文献1)。
【0007】
CO+2H→CHOH・・・(2)
CO+3H→CHOH+HO・・・(3)
この反応はメタメーションと呼ばれ、式(1)で示したシフト反応の副産物として知られる。特に高温シフト反応器で水蒸気HOが消費されるので、下流側の低温シフト反応器ではS/G比率の低下によりメタメーション反応が進み、メタノールが合成される。低温シフト反応器を出たガスは、ノックアウトドラムにて水分が分離され、メタノールが系外に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−108621号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「ズード−ケミー第1回 合成ガスセミナー」資料(2008年7月6日〜9日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の発電システムでは、シフト反応器にてシフト反応に伴って熱エネルギーが発生するが、この熱エネルギーを発電システムに有効に利用しておらず、発電効率の向上を図れていないという課題がある。さらに、シフト反応器で反応しなかった余剰水蒸気をノックアウトドラムのドレンを排水として系外に排出するが、このドレンには低温シフト反応で合成されたメタノールが含まれる。従って、排水処理において新たにメタノール処理を行う課題が生じている。さらに、ドレンを系外に排出するので、系統の補給水量が増加するという課題もある。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するガス化発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるガス化発電システムは、基本的には次のような特徴を有する。
【0013】
炭素燃料をガス化して生じる生成ガスが供給され、シフト蒸気を用いて前記生成ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に変換するシフト反応器と、シフト反応後の前記生成ガス中の水分を除去するノックアウトドラムと、シフト反応後の前記生成ガスを燃料とするガスタービンを備えるガス化発電システムにおいて、前記ノックアウトドラムからのドレンが供給される蒸発器を設ける。前記蒸発器は、前記シフト反応器で発生する反応熱を用いて、供給された前記水分を蒸発させて蒸気を発生させる。前記蒸発器で発生した蒸気は、前記シフト蒸気に用いる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるガス化発電システムでは、発電効率の向上を図ることができる。また、シフト反応で合成されたメタノールの処理が不要である。さらに、系外に排出するドレン(排水)の量を減らすことができるので、系統の補給水量の増加を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1によるガス化発電システムの複合発電プラントとシフト反応装置の概略系統図。
【図2】本発明の実施例2によるガス化発電システムの複合発電プラントとシフト反応装置の概略系統図。
【図3】本発明の実施例1によるガス化発電システムのシフト反応装置と二酸化炭素分離回収装置の概略系統図。
【図4】本発明の実施例2によるガス化発電システムのシフト反応装置と二酸化炭素分離回収装置の概略系統図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明によるガス化発電システムでは、シフト反応器で反応しなかった余剰水蒸気であるドレンを、排水として系外に排出せず、シフト反応熱で蒸気に変え、シフト反応用の蒸気として活用する。シフト反応後の燃料ガスから水分を分離、除去するノックアウトドラムのドレン排出管路にドレンポンプを設置し、ノックアウトドラムから給水(ドレン)をプロセスガス蒸発器に送水する。この給水は、プロセスガス蒸発器よって蒸気に変化し、シフト反応に用いるシフト蒸気として再度有効活用できる。
【0017】
ドレンを系外に排出せずシフト反応蒸気として再利用するので、シフト反応により生じてドレンに含まれるメタノールを系外に排出することがない。
【0018】
本発明によれば、シフト反応熱を有効に回収すると共に、発電プラントのボイラで発生させた蒸気のうち、シフト蒸気に用いる量を減少させることができる。これにより、発電プラントのボイラで発生させた蒸気の大部分または全てを発電に用いることができるので、発電システムの発電効率を向上させることができる。
【0019】
このように、本発明によれば、ノックアウトドラムのドレンを排水として系外に排出することなく、再度シフト蒸気として活用できるので、高効率かつ補給水量と排水量を減らした環境に優しいかつ経済的なガス化発電システムが実現できる。
【0020】
さらに、シフト反応によって生じたメタノールを含むドレンを系外に排出しないので、排水処理においてメタノール処理が不要となる経済効果が生じる。メタノールを処理する装置としては、大掛かりな生物処理方式等が考えられるが、このような装置が一切不要となる配置上の効果も期待できる。
【0021】
以下、本発明によるガス化発電システムの実施例について、図面を参照して説明する。
【0022】
尚、本発明によるガス化発電システムでは、炭素を含む燃料をガス化して得られる生成ガスを燃料ガスとして発電に用いるが、以下の実施例では、炭素を含む燃料として石炭を用いる例について説明する。すなわち、燃料ガスには、石炭をガス火炉などの石炭ガス化装置で酸素または空気を酸化剤としてガス化し、この石炭ガス(生成ガス)を、シフト反応により水素リッチに転換したガスを用いる。
【実施例1】
【0023】
本発明によるガス化発電システムの実施例1について、図1及び図3を用いて説明する。本実施例のガス化発電システムは、複合発電プラントと、シフト反応装置と、二酸化炭素分離回収装置を備える。
【0024】
図1は、複合発電プラント100と本実施例のシフト反応装置200の概略系統図である。図1の下部に複合発電プラント100、図1の上部にシフト反応装置200を示している。
【0025】
図3は、本実施例のシフト反応装置200と二酸化炭素分離回収装置400の概略系統図である。図3の左側は、図1に示したシフト反応装置200を示し、図3の右側は、二酸化炭素分離回収装置400を示す。
【0026】
ここで、図1に示した複合発電プラント100について説明する。複合発電プラント100は、ガスタービン装置と、排熱回収ボイラ20と、蒸気タービン23を備える。
【0027】
ガスタービン装置は、水素リッチの燃料ガスを燃焼する燃焼器71と、燃焼器71で発生した高温の燃焼ガスで駆動するガスタービン21と、ガスタービン21によって駆動され燃焼器71に供給する空気を加圧する圧縮機72及び電力を発生する発電機22を備える。すなわち、ガスタービン装置は、燃焼器71で発生した燃焼ガスによりガスタービン21を駆動し、ガスタービン21により圧縮機72及び発電機22を駆動する。
【0028】
排熱回収ボイラ20は、ガスタービン21から排出された排ガスを熱源として、蒸気を発生させる。
【0029】
蒸気タービン23は、排熱回収ボイラ20に設置した中圧ドラム30及び高圧ドラム31から発生した蒸気が、それぞれ中圧ドラム過熱蒸気管路33及び高圧ドラム過熱蒸気管路76を通じて供給されることにより、駆動する。
【0030】
ガスタービン21と蒸気タービン23は、発電機22を駆動して電力を発生するように構成されている。蒸気タービン23を流下した蒸気は、復水器24で冷却されて復水となり、第1復水管路26を通じて給水ポンプ27に送られ昇圧されて、第2復水管路28を通過して、排熱回収ボイラ20に供給される。
【0031】
中圧ドラム過熱蒸気管路33には、補助蒸気管路36が設けられ、補助蒸気系統として、排熱回収ボイラ20に設置した中圧ドラム30から発生した蒸気をシフト反応装置200に供給する。
【0032】
次に、図1と図3に示したシフト反応装置200について説明する。一酸化炭素を含んだ燃料ガス(生成ガス)は、石炭ガス化装置(図示せず)から入口ガス管路1を通って、シフト反応装置200に供給される。シフト反応装置200では、入口ガス管路1に設けたシフト蒸気混合器4に、補助蒸気系統として補助蒸気管路36を通じて、複合発電プラント100の排熱回収ボイラ20で発生した蒸気の一部が供給される。
【0033】
さらに、第1プロセスガス蒸発器6から発生した蒸気を、第1プロセスガス蒸発器用蒸気管路34を通じて、シフト蒸気混合器4に流入させる。また、シフト反応装置出口ノックアウトドラム15のドレンを、シフト反応装置出口ノックアウトドラムドレン排出管路50を流下させ、ドレンポンプ51により昇圧し、第1プロセスガス蒸発器給水流量調節弁52と第1プロセスガス蒸発器給水管路53を流下させて、第1プロセスガス蒸発器6への給水として再利用する。
【0034】
シフト反応装置200は、燃料ガス(生成ガス)中の一酸化炭素を二酸化炭素に転換するシフト反応を行う第1シフト反応器5、第2シフト反応器7、及び第3シフト反応器11を有する。
【0035】
第1シフト反応器5、第2シフト反応器7、及び第3シフト反応器11では、シフト反応によりメタノールが生じる。メタノールは、主に、低温の第3シフト反応器11で生じる。シフト反応によって生じたメタノールは、シフト反応装置出口ノックアウトドラム15のドレンに溶解し、シフト反応装置出口ノックアウトドラムドレン排出管路50を流下してドレンポンプ51により昇圧され、第1プロセスガス蒸発器給水流量調節弁52と第1プロセスガス蒸発器給水管路53を流下する。すなわち、このメタノールは、第1プロセスガス蒸発器6への給水に溶解した状態で、第1プロセスガス蒸発器6に流入する。従って、メタノールを含んだドレンは、第1プロセスガス蒸発器6への給水として再利用される。
【0036】
また、第2プロセスガス蒸発器9から発生した蒸気を、第2プロセスガス蒸発器用蒸気管路35を通じて、シフト蒸気混合器4に流入させる。第2プロセスガス蒸発器9への給水は、複合発電プラント100の排熱回収ボイラ20への給水を給水ポンプ27の中間段から第2プロセスガス蒸発器用第1給水管路29を流下させて、送水する。
【0037】
シフト反応は、式(1)で示したように、1モルの一酸化炭素に対し1モルの水蒸気が反応する同モル反応である。しかし、実際のシフト反応においては、シフト率を高めるために、水蒸気流量を一酸化炭素流量よりも1.2倍から1.5倍ほど多く投入する必要がある。従って、シフト反応では余剰な蒸気ドレンが必ず発生する。本実施例では、この余剰なドレンをシフト反応装置出口ノックアウトドラム15で分離し、第1プロセスガス蒸発器6の給水として再利用する。
【0038】
燃料ガスは、入口ガス管路1を流下し、第1プロセスガス蒸発器6で発生した蒸気とシフト蒸気混合器4で混合され、第1シフト反応器5に流入する。
【0039】
入口ガス管路1からは、燃料ガスがシフト反応器をバイパスするためのシフト反応器バイパス管路2が分岐している。シフト反応器バイパス管路2は、二酸化炭素分離回収装置バイバス弁60が配設されており、燃料ガスを複合発電プラント100の燃焼器71に供給するためのガスタービン燃料管路3に合流している。
【0040】
シフト反応装置200が有する第1シフト反応器5、第2シフト反応器7、及び第3シフト反応器11の内部には、シフト反応を発生させる触媒が充填されている。この触媒により、燃料ガスに含まれる一酸化炭素は、シフト反応によって二酸化炭素に転換される。このシフト反応は発熱反応なので、転換された二酸化炭素を含む燃料ガスは、このシフト反応熱によって加熱されて高温に昇温される。
【0041】
本実施例の二酸化炭素分離回収装置400(図3)では、第1シフト反応器5でのシフト反応熱で昇温した燃料ガスを熱源として利用する。昇温した燃料ガスを、第1シフト反応器5の下流側に設置した第1プロセスガス蒸発器6に供給し、第1プロセスガス蒸発器6にて高温の水蒸気を発生させる。
【0042】
第1プロセスガス蒸発器6で燃料ガスとの熱交換で発生した高温の蒸気は、第1プロセスガス蒸発器用蒸気管路34を通じて、第1シフト反応器5の上流側に設置したシフト蒸気混合器4に供給され、シフト反応に使用されるシフト蒸気として、入口ガス管路1を流下する燃料ガスと共に、第1シフト反応器5に流入する。シフト反応器内の一酸化炭素ガスと水蒸気のシフト触媒反応は発熱反応であるので、第1プロセスガス蒸発器6が発生するシフト蒸気は、過熱蒸気でも飽和蒸気でも、特に水蒸気の液化に対する問題はない。
【0043】
第1プロセスガス蒸発器6での熱交換によって冷却された燃料ガスは、第1プロセスガス蒸発器6の下流に設置された第2シフト反応器7に流入する。
【0044】
上述したように、第2シフト反応器7の内部にも、燃料ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に転換するシフト反応を発生させる触媒が充填されている。第2シフト反応器7の触媒により、燃料ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に転換するシフト反応がさらに進む。
【0045】
第2シフト反応器7でのシフト反応熱によって、燃料ガスは再び高温に昇温する。高温に昇温した燃料ガスは、第2シフト反応器7を出た後、第2シフト反応器7の下流に設置された第1燃料ガス加熱器8に流入する。
【0046】
図3に示すように、第1燃料ガス加熱器8には、二酸化炭素が除去された水素リッチの燃料ガスが、二酸化炭素分離回収装置400から第1燃料管路80を通じて、第3燃料ガス加熱器12及び第2燃料ガス加熱器10を順次経由して供給される。二酸化炭素分離回収装置400では、後述するように、二酸化炭素吸収塔37で燃料ガスに含まれる二酸化炭素が吸収液に吸収されて、二酸化炭素が除去された水素リッチの燃料ガスが得られる。
【0047】
第2シフト反応器7から流下し、第1燃料ガス加熱器8での熱交換で冷却された燃料ガスは、第1燃料ガス加熱器8の下流側に設置された第2プロセスガス蒸発器9に供給される。また、二酸化炭素分離回収装置400にて二酸化炭素が除去された水素リッチの燃料ガスは、第1燃料管路80、第2燃料管路81、及び第3燃料管路82を通過し、第1燃料ガス加熱器8に供給される。この水素リッチの燃料ガスは、第1燃料ガス加熱器8にて、第2シフト反応器7から流下した燃料ガスとの熱交換によって加熱、昇温され、ガスタービン燃料管路3を通じて複合発電プラント100のガスタービン装置の燃焼器71に供給される(図1参照)。
【0048】
上述したように、第3シフト反応器11の内部にも、燃料ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に転換するシフト反応を発生させる触媒が充填されている。第3シフト反応器11の触媒により、燃料ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に転換するシフト反応が完了する。
【0049】
第3シフト反応器11でのシフト反応熱で加熱された高温の燃料ガスは、第3シフト反応器11の下流に設置された第3燃料ガス加熱器12に流入する。この高温の燃料ガスは、第3燃料ガス加熱器12にて、第1燃料管路80を通じて二酸化炭素分離回収装置400から供給された燃料ガスとの熱交換によって冷却され、中温の燃料ガスとなる。この中温の燃料ガスは、第3燃料ガス加熱器12の下流に設置された第3プロセスガス蒸発器13に供給される。
【0050】
図1に示すように、第3プロセスガス蒸発器13には、複合発電プラント100の排熱回収ボイラ20に供給される前の給水の一部が、給水管路25を通じて供給される。この給水の一部は、第3プロセスガス蒸発器13にて中温の燃料ガスと熱交換して、中温の蒸気を発生する。発生した中温の蒸気は、蒸気管路83を通じて流下し、後述するように、図3に示した二酸化炭素分離回収装置400の二酸化炭素吸収液加熱器39に供給され、吸収液を加熱する熱源として利用される。
【0051】
燃料ガスは、第3プロセスガス蒸発器13にて、給水管路25を通じて複合発電プラント100から供給される給水との熱交換によって冷却され、さらにプロセスガス冷却器14で冷却され、シフト反応装置出口ノックアウトドラム15に流入し、気水分離される。さらに、燃料ガスは、シフト反応装置出口ノックアウトドラム15からプロセスガス管路16を通じて、二酸化炭素分離回収装置400の二酸化炭素吸収塔37に供給される(図3参照)。
【0052】
二酸化炭素吸収塔37では、燃料ガスに含まれる二酸化炭素を、吸収液に吸収させて除去する。
【0053】
図3に示した二酸化炭素分離回収装置400には、二酸化炭素吸収塔37と二酸化炭素フラッシュタンク38が設置されている。二酸化炭素吸収塔37は、シフト反応装置200のシフト反応装置出口ノックアウトドラム15から流下した水素リッチの燃料ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させ、二酸化炭素を除去した燃料ガスを生成する。二酸化炭素フラッシュタンク38は、二酸化炭素吸収塔37で二酸化炭素を吸収した吸収液から二酸化炭素を解離させて、吸収液を再生する吸収液再生装置である。
【0054】
シフト反応装置200のシフト反応装置出口ノックアウトドラム15では、シフト反応で余った水分(水蒸気)を、燃料ガスから分離する。この水分、すなわちドレンは、シフト反応装置出口ノックアウトドラムドレン排出管路50を通じてドレンポンプ51により、第1プロセスガス蒸発器6に送水される。水分が分離されて二酸化炭素ガスを多く含んだ水素リッチの燃料ガスは、シフト反応装置出口ノックアウトドラム15からプロセスガス管路16を通じて低温の二酸化炭素吸収塔37に供給される。
【0055】
低温の二酸化炭素吸収塔37に供給された水素リッチの燃料ガスは、吸収液によって二酸化炭素が吸収、除去され、吸収塔出口ガス管路43を通じて、二酸化炭素吸収塔37の下流に設置した二酸化炭素吸収塔出口ガスノックアウトドラム40に導入される。二酸化炭素吸収塔出口ガスノックアウトドラム40では、燃料ガスから吸収液のミスト分が分離される。その後、燃料ガスは、燃料ガス昇圧圧縮機41で昇圧され、第1燃料管路80、第2燃料管路81、第3燃料管路82、及びガスタービン燃料管路3を通じて、複合発電プラント100のガスタービン装置の燃焼器71に供給されて、燃焼する(図1参照)。
【0056】
尚、二酸化炭素吸収塔出口ガスノックアウトドラム40で燃料ガスから分離した吸収液のミスト分は、二酸化炭素フラッシュタンク38に流入する。
【0057】
二酸化炭素吸収塔37で燃料ガスに含まれる二酸化炭素を吸収した吸収液は、吸収液管路77に設置された二酸化炭素吸収液加熱器39で加熱されて、吸収液再生装置である二酸化炭素フラッシュタンク38に流入する。二酸化炭素フラッシュタンク38では、吸収液をフラッシュして、吸収液が吸収した二酸化炭素を解離し、リーン吸収液を得る。
【0058】
吸収液から解離した二酸化炭素は、二酸化炭素フラッシュタンク38から二酸化炭素管路57を通じて、系外の二酸化炭素貯蔵部(図示せず)に排出される。
【0059】
また、二酸化炭素フラッシュタンク38で吸収液中の二酸化炭素を解離して得られたリーン吸収液は、循環ポンプ48で昇圧されて、リーン液管路49を通じて二酸化炭素吸収塔37に供給される。リーン吸収液は、二酸化炭素吸収塔37にて再び燃料ガスに含まれる二酸化炭素を吸収し、吸収液管路77を通じて二酸化炭素フラッシュタンク38に再び供給される。
【0060】
シフト反応装置200において、第1プロセスガス蒸発器6を出た蒸気は、第1プロセスガス蒸発器用蒸気管路34を通じてシフト蒸気混合器4に供給されている。シフト蒸気混合器4に供給された蒸気は、シフト蒸気混合器4にて入口ガス管路1を流れる燃料ガスと混合し、第1シフト反応器5にシフト蒸気として流入する。
【0061】
第1シフト反応器5には、図1に示したように、複合発電プラント100の排熱回収ボイラ20からも補助蒸気管路36を通じて補助蒸気が供給され、この補助蒸気をシフト蒸気として利用できる。第1プロセスガス蒸発器6では、第1シフト反応器5にて発生するシフト反応熱を回収する際に、燃料ガスとの熱交換で蒸気を発生するが、この蒸気は、第1プロセスガス蒸発器用蒸気管路34を経由してシフト蒸気混合器4に供給される。第1プロセスガス蒸発器6で発生してシフト蒸気混合器4に供給される蒸気の量が不足する場合には、補助蒸気管路36を通じて供給される補助蒸気が、第1シフト反応器5で使用するシフト蒸気の不足分を補う構成になっている。
【0062】
プラント出力170MW級のガス化発電システムに実施例1の構成を適用した場合、ガス化発電システムの発電効率は、吸収液の種類や性能や循環量により若干変化するが、概略1〜2%程度向上する。
【0063】
実施例1では、シフト反応装置200において、第1プロセスガス蒸発器6で発生した蒸気を、第1プロセスガス蒸発器用蒸気管路34を通じてシフト蒸気混合器4に供給し、かつ、第2プロセスガス蒸発器9で発生した蒸気も、第2プロセスガス蒸発器用蒸気管路35を通じてシフト蒸気混合器4にシフト蒸気として流入するように構成した。この結果、複合発電プラント100の排熱回収ボイラ20から補助蒸気管路36を通じてシフト蒸気混合器4に供給する補助蒸気の使用量を減少させることが可能となる。従って、補助蒸気の減少量に相当する熱エネルギー分の発電効率が増加するので、ガス化発電システムの発電効率を向上することができる。
【0064】
また、第1プロセスガス蒸発器6と第2プロセスガス蒸発器9で発生する蒸気の量が多く、第1シフト反応器5でシフト蒸気として使用するのに十分である場合には、補助蒸気管路36を通じて供給される補助蒸気を過剰に使用しなくてもよい。この場合には、複合発電プラント100の排熱回収ボイラ20からの蒸気の多くを発電に用いることができるので、ガス化発電システムの発電効率をさらに向上することができる。
【0065】
さらに、シフト反応によって生じたメタノールを含むノックアウトドラムのドレンを排水として系外に排出しないので、排水処理においてメタノール処理が不要となると共に、ガス化発電システムの補給水量と排水量を減らすことも可能である。
【0066】
なお、図1,3では、第1シフト反応器5と第1プロセスガス蒸発器6を別体に構成したものを図示したが、本発明はこの方式のみに限定されるものではなく、例えば両者を一体の機器として構成することも可能である。すなわち、図1,3における第1プロセスガス蒸発器6が第1シフト反応器5のシフト反応熱を用いてドレンを蒸発させる構成であれば良く、両機器が一体であるか否かは本発明を実施する上で問題とはならない。
【実施例2】
【0067】
本発明によるガス化発電システムの実施例2について、図2及び図4を用いて説明する。実施例2のガス化発電システムも、複合発電プラントと、シフト反応装置と、二酸化炭素分離回収装置を備える。二酸化炭素分離回収装置は、実施例1と同一であるので、説明を省略する。また、複合発電プラントとシフト反応装置についても、実施例1と同一の部分は説明を省略する。
【0068】
図2は、複合発電プラント100と本実施例のシフト反応装置300の概略系統図である。図2の下部に複合発電プラント100、図2の上部にシフト反応装置300を示している。
【0069】
図4は、本実施例のシフト反応装置300と二酸化炭素分離回収装置400の概略系統図である。図4の左側は、図2に示したシフト反応装置300を示し、図4の右側は、二酸化炭素分離回収装置400を示す。
【0070】
図2及び図4において、図1及び図3と同一の符号は、実施例1と同一または共通する要素を示す。
【0071】
ここで、図2に示した複合発電プラント100について説明する。実施例2の複合発電プラント100は、実施例1の複合発電プラント100(図1)と同様の構成であるが、シフト反応装置300への送水を行わない点で異なっている。
【0072】
次に、図2と図4に示したシフト反応装置300について説明する。シフト反応装置300は、実施例1のシフト反応装置200(図1、図3)と同様の構成であるが、以下の2点で異なる。すなわち、複合発電プラント100から第2プロセスガス蒸発器9へ送水しない点と、シフト反応装置出口ノックアウトドラム15からのドレンを第1プロセスガス蒸発器6と第2プロセスガス蒸発器9に送水する点が異なる。
【0073】
第2プロセスガス蒸発器9には、図2と図4に示すように、シフト反応装置出口ノックアウトドラム15のドレンを、シフト反応装置出口ノックアウトドラムドレン排出管路50を流下させ、ドレンポンプ51により昇圧し、第2プロセスガス蒸発器給水流量調節弁54と第2プロセスガス蒸発器第2給水管路55を流下させて送水して、給水とする。すなわち、シフト反応装置出口ノックアウトドラム15のドレンを、第2プロセスガス蒸発器9の給水として再利用する。
【0074】
シフト反応によって生じたメタノールは、第2プロセスガス蒸発器9の給水であるシフト反応装置出口ノックアウトドラム15のドレンに溶解した状態で、第2プロセスガス蒸発器9に流入する。従って、メタノールを含んだドレンは、第2プロセスガス蒸発器9への給水として再利用される。
【0075】
実施例1で述べたように、実際のシフト反応においては、シフト率を高めるために水蒸気流量を一酸化炭素流量よりも1.2倍から1.5倍ほど多く投入するので、余剰な蒸気ドレンが必ず発生する。本実施例では、この余剰なドレンをシフト反応装置出口ノックアウトドラム15で分離し、第1プロセスガス蒸発器6及び第2プロセスガス蒸発器9の給水として再利用する。
【0076】
燃料ガスは、入口ガス管路1を流下し、第1プロセスガス蒸発器6と第2プロセスガス蒸発器9で発生した蒸気とシフト蒸気混合器4で混合され、第1シフト反応器5に流入する。さらに、第2シフト反応器7をへて第3シフト反応器11に流下し、シフト反応装置出口ノックアウトドラム15に達する。
【0077】
第1シフト反応器5には、図2に示したように、複合発電プラント100の排熱回収ボイラ20からも補助蒸気管路36を通じて補助蒸気が供給され、この補助蒸気をシフト蒸気として利用できる。第1プロセスガス蒸発器6では、第1シフト反応器5にて発生するシフト反応熱を回収する際に、燃料ガスとの熱交換で蒸気を発生するが、この蒸気は、第1プロセスガス蒸発器用蒸気管路34を経由してシフト蒸気混合器4に供給される。また、第2プロセスガス蒸発器9では、第2シフト反応器7にて発生するシフト反応熱を回収する際に、燃料ガスとの熱交換で蒸気を発生するが、この蒸気は、第2プロセスガス蒸発器用蒸気管路35を経由してシフト蒸気混合器4に供給される。第1プロセスガス蒸発器6と第2プロセスガス蒸発器9で発生してシフト蒸気混合器4に供給される蒸気の量が不足する場合には、補助蒸気管路36を通じて供給される補助蒸気が、第1シフト反応器5で使用するシフト蒸気の不足分を補う構成になっている。
【0078】
プラント出力170MW級のガス化発電システムに実施例2の構成を適用した場合、ガス化発電システムの発電効率は、吸収液の種類や性能や循環量により若干変化するが、実施例1のガス化発電システムと同程度またはそれ以上に向上する。
【0079】
実施例2では、シフト反応装置300において、シフト反応装置出口ノックアウトドラム15からのドレンを利用して、第1プロセスガス蒸発器6と第2プロセスガス蒸発器9で蒸気を発生させ、この蒸気を第1プロセスガス蒸発器用蒸気管路34と第2プロセスガス蒸発器用蒸気管路35を通じてシフト蒸気混合器4にシフト蒸気として流入するように構成した。この結果、複合発電プラント100の排熱回収ボイラ20から補助蒸気管路36を通じてシフト蒸気混合器4に供給する補助蒸気の使用量を減少させることが可能となる。従って、補助蒸気の減少量に相当する熱エネルギー分の発電効率が増加するので、ガス化発電システムの発電効率を向上することができる。
【0080】
また、実施例2においても、第1プロセスガス蒸発器6と第2プロセスガス蒸発器9で発生する蒸気の量が多く、第1シフト反応器5でシフト蒸気として使用するのに十分である場合には、補助蒸気管路36を通じて供給される補助蒸気を過剰に使用しなくてもよい。この場合には、複合発電プラント100の排熱回収ボイラ20からの蒸気の多くを発電に用いることができるので、ガス化発電システムの発電効率をさらに向上することができる。
【0081】
さらに、シフト反応によって生じたメタノールを含むノックアウトドラムのドレンを排水として系外に排出しないので、排水処理においてメタノール処理が不要となると共に、ガス化発電システムの補給水量と排水量を減らすことも可能である。
【0082】
なお、図2,4では、第1シフト反応器5と第1プロセスガス蒸発器6、並びに第2シフト反応器7と第2プロセスガス蒸発器9を別体に構成したものを図示したが、本発明はこの方式のみに限定されるものではなく、例えば両機器を一体的に構成したものであっても良い。このとき、一体構成とするのは、第1シフト反応器5側と第2シフト反応器7側の両方でも、何れか一方でも良い。また、第2シフト反応器7と第2プロセスガス蒸発器9の間に燃料ガス加熱器(図1〜4における第1燃料ガス加熱器8)が存在する場合には、この燃料ガス加熱器を含めて一体的に構成される。
【実施例3】
【0083】
前述した実施例1と実施例2では、シフト反応器を3分割して、高温となる第1シフト反応器5,第2シフト反応器7と、低温でシフト反応を行う第3シフト反応器11のそれぞれの下流側に、第1プロセスガス蒸発器6,第2プロセスガス蒸発器9,第3プロセスガス蒸発器13を設置する例を示した。
【0084】
一方、高温側の第1シフト反応器5及び第2シフト反応器7をまとめて、1台の高温シフト反応器として構成してもよい。この場合、高温シフト反応器と低温シフト反応器(シフト反応器11に相当)の下流側の各々にプロセスガス蒸発器が設置される。なお、高温シフト反応器(低温シフト反応器)とプロセスガス蒸発器は、実施例1,2と同様に両機器を一体,別体の何れに構成しても良い。これらプロセスガス蒸発器に対する給水としては、実施例1,2と同様に、高温シフト反応器の下流側に設置されるプロセスガス蒸発器にはシフト反応装置出口ノックアウトドラム15からのドレンを供給し、低温シフト反応器の下流側のプロセスガス蒸発器(第3プロセスガス蒸発器13に相当)には複合発電プラント100の排熱回収ボイラ20に供給される給水の一部を供給する。高温シフト反応器の下流側のプロセスガス蒸発器で発生した蒸気は、プロセスガス蒸発器用蒸気管路を通じてシフト蒸気混合器4にシフト蒸気として供給される。
【0085】
なお、上記では高温シフト反応器の下流側のプロセスガス蒸発器に対してノックアウトドラム15のドレンを供給する例を説明したが、低温シフト反応器の下流側のプロセスガス蒸発器にも供給するように構成することも可能である。この場合、低温シフト反応器の下流側のプロセスガス蒸発器で発生した蒸気は、シフト蒸気としてシフト蒸気混合器4に供給することが望ましい。
【0086】
本実施例によれば、複合発電プラント100の排熱回収ボイラ20から補助蒸気管路36を通じてシフト蒸気混合器4に供給する補助蒸気の使用量を減少させることが可能となる。従って、補助蒸気の減少量に相当する熱エネルギー分の発電効率が増加するので、ガス化発電システムの発電効率を向上することができる。
【0087】
さらに、シフト反応によって生じたメタノールを含むノックアウトドラムのドレンを排水として系外に排出しないので、排水処理においてメタノール処理が不要となると共に、ガス化発電システムの補給水量と排水量を減らすことも可能である。
【実施例4】
【0088】
前述の実施例1,2では、高温の第1シフト反応器5,第2シフト反応器7、及び低温の第3シフト反応器11のそれぞれの下流側に、第1プロセスガス蒸発器6,第2プロセスガス蒸発器9,第3プロセスガス蒸発器13を設置する例を説明した。
【0089】
一方、高温のシフト反応器(2台)と低温のシフト反応器(1台)を1つに纏めて構成し、このシフト反応器の下流側にプロセスガス蒸発器を設置するようにしても良い。なお、シフト反応器とプロセスガス蒸発器は、一体,別体の何れに構成しても良い。そして、このプロセスガス蒸発器に対して、シフト反応装置出口ノックアウトドラム15からのドレンを供給する。プロセスガス蒸発器で発生した蒸気は、プロセスガス蒸発器用蒸気管路を通じてシフト蒸気混合器4にシフト蒸気として供給される。
【0090】
本実施例においても、補助蒸気の減少量に相当する熱エネルギー分の発電効率が増加するので、ガス化発電システムの発電効率を向上することができる。また、シフト反応によって生じたメタノールを含むノックアウトドラムのドレンを排水として系外に排出しないので、排水処理においてメタノール処理が不要となると共に、ガス化発電システムの補給水量と排水量を減らすことも可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、炭素燃料をガス化して得られる生成ガスを燃料として発電に用いるガス化発電システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0092】
1…入口ガス管路、2…シフト反応器バイパス管路、3…ガスタービン燃料管路、4…シフト蒸気混合器、5…第1シフト反応器、6…第1プロセスガス蒸発器、7…第2シフト反応器、8…第1燃料ガス加熱器、9…第2プロセスガス蒸発器、10…第2燃料ガス加熱器、11…第3シフト反応器、12…第3燃料ガス加熱器、13…第3プロセスガス蒸発器、14…プロセスガス冷却器、15…シフト反応装置出口ノックアウトドラム、16…プロセスガス管路、20…排熱回収ボイラ、23…ガスタービン、22…発電機、23…蒸気タービン、24…復水器、25…給水管路、26…第1復水管路、27…給水ポンプ、28…第2復水管路、29…第2プロセスガス蒸発器用第1給水管路、30…中圧ドラム、31…高圧ドラム、33…中圧ドラム過熱蒸気管路、34…第1プロセスガス蒸発器用蒸気管路、35…第2プロセスガス蒸発器用蒸気管路、36…補助蒸気管路、37…二酸化炭素吸収塔、38…二酸化炭素フラッシュタンク、39…二酸化炭素吸収液加熱器、40…二酸化炭素吸収塔出口ガスノックアウトドラム、41…燃料ガス昇圧圧縮機、43…吸収塔出口ガス管路、48…循環ポンプ、49…リーン液管路、50…シフト反応装置出口ノックアウトドラムドレン排出管路、51…ドレンポンプ、52…第1プロセスガス蒸発器給水流量調節弁、53…第1プロセスガス蒸発器給水管路、54…第2プロセスガス蒸発器給水流量調節弁、55…第2プロセスガス蒸発器第2給水管路、57…二酸化炭素管路、60…二酸化炭素分離回収装置バイバス弁、71…燃焼器、72…圧縮機、76…高圧ドラム過熱蒸気管路、77…吸収液管路、80…第1燃料管路、81…第2燃料管路、82…第3燃料管路、83…蒸気管路、100…複合発電プラント、200…実施例1のシフト反応装置、300…実施例2のシフト反応装置、400…二酸化炭素分離回収装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素燃料をガス化して生じる生成ガスが供給され、シフト蒸気を用いて前記生成ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に変換するシフト反応器と、シフト反応後の前記生成ガス中の水分を除去するノックアウトドラムと、シフト反応後の前記生成ガスを燃料とするガスタービンを備えるガス化発電システムにおいて、
前記ノックアウトドラムからのドレンが供給される蒸発器を設け、
前記蒸発器は、前記シフト反応器で発生する反応熱を用いて、供給された前記ドレンを蒸発させて蒸気を発生させ、
前記蒸発器で発生した蒸気を前記シフト蒸気に用いることを特徴とするガス化発電システム。
【請求項2】
請求項1記載のガス化発電システムにおいて、
前記蒸発器は、前記シフト反応器の下流側に設けられ、前記シフト反応器で発生する反応熱で加熱された前記生成ガスを熱源として、前記ノックアウトドラムからのドレンを蒸発させて蒸気を発生させ、該蒸気を前記シフト蒸気に用いることを特徴とするガス化発電システム。
【請求項3】
炭素燃料をガス化して生じる生成ガスが供給され、シフト蒸気を用いて前記生成ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に変換する複数のシフト反応器と、シフト反応後の前記生成ガス中の水分を除去するノックアウトドラムと、シフト反応後の前記生成ガスを燃料とするガスタービンと、ガスタービン排ガスを熱源として蒸気を発生させる排熱回収ボイラを備えるガス化発電システムにおいて、
複数の蒸発器を設け、
前記複数の蒸発器のうち少なくとも1つは、前記ノックアウトドラムからのドレンが供給され、前記シフト反応器で発生する反応熱を用いて、供給された前記ドレンを蒸発させて蒸気を発生させ、
前記複数の蒸発器のうち少なくとも他の1つは、前記排熱回収ボイラへの給水の一部が供給され、前記シフト反応器で発生する反応熱を用いて蒸気を発生させ、
これらの蒸発器で発生した蒸気を前記シフト蒸気に用いることを特徴とするガス化発電システム。
【請求項4】
請求項3記載のガス化発電システムにおいて、
前記複数の蒸発器は、前記シフト反応器の下流側に設けられ、前記シフト反応器で発生する反応熱で加熱された前記生成ガスを熱源として、供給された前記ドレン及び供給された前記給水の一部を蒸発させて蒸気を発生させ、該蒸気を前記シフト蒸気に用いることを特徴とするガス化発電システム。
【請求項5】
請求項1記載のガス化発電システムにおいて、
前記シフト反応器と前記蒸発器を複数備え、
前記蒸発器は、前記シフト反応器のそれぞれの下流側に設けられ、前記シフト反応器で発生する反応熱で加熱された前記生成ガスを熱源として、前記ノックアウトドラムからのドレンを蒸発させて蒸気を発生させ、該蒸気を前記シフト蒸気に用いることを特徴とするガス化発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−36863(P2012−36863A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179117(P2010−179117)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度〜平成21年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 多目的石炭ガス製造技術開発(EAGLE)パイロット試験設備およびゼロミッション化技術に関する研究、委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000217686)電源開発株式会社 (207)
【Fターム(参考)】