説明

ガス搬送用透過性ガスアセンブリ

高圧の流体供給源から低圧の処理ツールへのガスの搬送を制御する弁アセンブリであって、移動して弁座部材に係合可能な弁ポペットと、弁ポペットと弁座部材との間に位置する流体透過性挿入物とを備え、該挿入物は、弁ポペットが閉鎖位置にありそれによって弁アセンブリを通る流体流を阻止する場合、流れている流体に対して露出されず、弁ポペットが開放位置にある場合、流れている全ての流体の移送のための拡散経路を提供する。透過性挿入物は、弁座部材または弁ポペットのいずれかの密閉可能かつ係合可能な面に挿入されることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、ガス弁アセンブリに関し、より詳細には下流の流体供給源から上流の処理ツール(processing tool)への流体流を制御する透過性ガス弁アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の詳細
多くの工業的加工及び製造の応用が毒性の高い流体の使用を必要としている。半導体の製造は、1つのこうした応用を示し、そこでは毒性の高い水素化物またはハロゲン化物のガスの安全な貯蔵と取り扱いが必要となっている。こうしたガスの例としては、シラン、ゲルマン、アンモニア、ホスフィン、アルシン、スチビン、硫化水素、セレン化水素、テルル化水素および他のハロゲン化物化合物を含む。毒性および安全性配慮の結果、こうしたガスは、工業処理施設では慎重に貯蔵され取り扱われなければならない。半導体産業は、イオン注入における砒素(As)および燐(P)の原料として、アルシン(AsH3)及びホスフィン(PH3)の気体水素化物に特に依存している。イオン注入システムは、通例、AsH3とPH3との希釈混合物を1500psigの圧力で使用する。これらの極めて高い毒性及び高い蒸気圧のため、これらの使用、輸送および貯蔵は、半導体産業にとって重大な安全性に関する懸念を引き起こしている。
【0003】
たとえば、アルシンは半導体産業で使用される極めて有毒なガスで、通常加圧容器内に約250psiで貯蔵される。生産環境におけるアルシンシリンダの取り扱いは、幅広い種々の危険な状況を提示している。アルシンの140グラムのシリンダ1本の漏洩は、3万平方フィート、高さ10フィートの天井の建物の容積全体を、生命および健康に危険な濃度限界(IDLH)レベルまで汚染する可能性がある。漏洩が大規模な場合、汚染は数分内に発生する可能性があり、これは何時間もの間、汚染源付近の領域に極めて有害な濃度が存在するであろうことを意味する。
【0004】
比較的低圧でガスを配送するタイプの弁を調節するガス圧は、長年にわたり知られており使用されてきた。しかし、これらの弁は、弁棒に沿って高度に加圧されたガスの漏洩の影響を受ける。こうした漏洩を防ぐ何らかの対応がなされない限り、弁装置内に閉じ込められた容積内の高圧ガスの漏洩の蓄積は、調整器内に意図しない偏りを引き起こし、配送制御に歪みを生じさせる。漏洩の影響を取り消すために、ある圧力調整弁は、ガスを直接大気中へ解放するために常に大気中へ開放された通気孔の使用に頼っている。明らかに、刺激性ガスまたは起爆性ガスの場合、密閉区域に解放されたガスの起こり得る蓄積は、健康及び安全について深刻に危険な事態となり、開放孔は選択肢とはなり得ない。
【0005】
これらの流体の意図しない解放によって起こり得る傷害または死についての深刻な潜在的可能性の観点から、先行技術はこうした有毒流体の破局的解放を防止するためのシステムを開示している。米国特許第5,704,965号、5,704,967号、5,707,424号、及び5,518,528号明細書は、水素化物およびハロゲン化物のガスの貯蔵及び計量分配用のシステムついて教示しており、このシステムは、これらのガスに対して高い貯蔵(吸着)能力を有するゼオライト原料から有害流体を脱着する圧力削減を使用して、大気温度で運転する。しかし、ガスの純度は、放出ガス内に同伴されるおそれのある残留吸着剤材料によって低減される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、当該技術において、高度に加圧された有害ガスの大気中への解放または同伴される吸着剤材料による放出流体の純度の低下の回避を含む、既知の配送システムの欠点を回避するガスアセンブリ配送システムの必要性がある。
【0007】
本発明の広義の目的は、有害流体もしくはガスの不慮の汚染または解放の可能性を削減することである。
【0008】
本発明の別の目的は、有害流体の取り扱い、貯蔵及び配送を制御する吸着剤の必要性を排除することである。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、通常運転の間だけでなく、あらゆる種類の弁の誤操作または弁の故障の間も、ガスの流量を抑制する放出システムを提供することである。
【0010】
発明の概要
本発明は、ガス搬送弁装置に関し、該装置は、流体供給源から弁装置を通じて処理ツールへの制御された連通を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの実施態様では、本発明は、流体供給源から下流の処理ツールへ流体を搬送するための透過性流体弁アセンブリに関し、該アセンブリは、
流体供給源から流体を流す流体供給源の出口と連通した入口と、
弁部材と透過性弁座部材とを備え流体供給源の下流に位置する透過性弁装置と、を備え、
弁装置は、入口を通る流体流を阻止する密閉位置と、流体流が入口と弁装置とを通ることを可能にする開放位置と、の間を移動するように構成され、
弁部材は、第1端部と第2端部とを有し、第1端部は、入口内に位置し、
弁座部材は、弁部材の第2端部の少なくとも一部分に取り付けられた延長部を受け入れるための該弁座部材を通る流出孔を有する隣接第1端部を有し、
弁座部材の隣接第1端部は挿入物を備え、該挿入物は、弁部材の第2端部と係合するように適合して構成されており、かつ、弁装置が開放位置にある時、流体供給源から、入口と弁座部材の透過性部分とを通り、下流の処理ツールへ流体を移送するため、流体透過性材料で製造されている。
【0012】
さらに、本発明は、加圧タンクから透過性弁装置を通る流体放出に関し、ここでは透過性弁装置はダイアフラムを取り囲むチャンバに連通して接続されている。ダイアフラムは、弁装置の上流の圧力状態から隔離されかつ弁部材の第2端部に係合された内部容積を定め、ダイアフラムの内部容積とチャンバの内部との圧力差が弁部材を開放位置へ移動させるまで弁部材を密閉位置に保持するよう、弁部材の動作を制御する。弁部材はさらに、弁部材の第1端部の領域付近に接して配置された弾性手段によって、密閉位置に保持されてもよい。
【0013】
弁部材は、好ましくは細長い構造で、この構造において第1端部延長部は、入口に対して縮小された断面寸法を有し、入口と弁座装置の透過性部分を通って流体を通過させるのに十分な空間を設けている。さらに、第1端部延長部は、弁部材が完全開放位置に移動した時、流体供給源の充填のために、孔に十分な空間を設けるよう第1端部延長部の残りの部分に対して縮小された断面寸法を備えた先端を有してもよい。
【0014】
別の実施態様では、本発明は、流体供給源から下流の処理ツールへ流体を搬送するための透過性流体弁アセンブリに関し、該アセンブリは、
流体供給源から流体を流す流体供給源の出口と連通した入口と、
弁部材と弁座部材とを備え流体供給源の下流に位置する透過性弁装置と、を備え、
弁装置は、入口を通る流体流を阻止する密閉位置と、流体流が入口と弁装置とを通ることを可能にする開放位置と、の間を移動するように構成され、
弁部材は、第1端部と第2端部とを有し、第1端部は、入口内に位置し、
弁座部材は、弁部材の第2端部の少なくとも一部分に取り付けられた延長部を受け入れるための該弁座部材を通る流出孔を有する隣接第1端部を有し、
弁部材の第2端部の延長部は、弁装置が開放位置にあるとき、流体供給源から、入口と弁部材の透過性延長部と弁座部材の流出孔とを通って、下流の処理ツールへ、流体を移送するため流体透過性材料で製造されている。
【0015】
本弁アセンブリの構成部品が係合されておらず、したがって、入口を通る流体の移動をもたらす開放位置にある場合、好ましくは弁部材延長部の一部は、係合されかつ弁座部材内の流出孔の側壁に接触したままで、下流の処理ツールへの弁装置の透過性材料部分、たとえば、1つの実施形態における弁座部材又は第2の実施形態における弁部材の透過性延長部、を通るほぼ全ての流体の移動を容易にする。
【0016】
有効性のために、弁装置は、流体供給源容器内または流体供給源容器の外側に隣接する、調整器ハウジング内に含まれてもよい。流体供給源容器内への配置は、調整器およびその安全操作の失敗に対する最大の保護を提供する。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、高圧の流体供給源から低圧の処理ツールへのガスの搬送を制御する透過性弁アセンブリに関し、該透過性弁アセンブリは、
移動して弁座部材に係合可能な弁ポペットと、
弁ポペットと弁座部材との間に位置する流体透過性挿入物とを備え、該流体透過性挿入物は、弁ポペットが弁座部材と密閉して係合されておりそれによって弁アセンブリを通る流体流を阻止する場合、流れている流体から隔離されており、流体透過性挿入物は、弁ポペットが弁座部材と密閉して係合されていない場合、高圧の流体供給源から流れる全ての流体の移送のための拡散経路を提供し、さらに透過性挿入物は、弁座部材又は弁ポペットのいずれかの密閉可能かつ係合可能な面に挿入されることが可能である。
【0018】
別の実施態様では、本発明は、流体供給源容器から下流の処理ツールへ流体を放出し、一方で容器からの流体の無制御な放出を削減する方法に関し、該方法は、
流体供給源容器の出口を、弁部材と透過性弁座部材とを備える弁アセンブリ装置の入口に接続するステップにおいて、
弁装置は、入口を通る流体流を閉鎖する密閉位置と、流体流が入口と弁装置とを通ることを可能にする開放位置と、の間を移動するように構成され、
弁部材は、第1端部と第2端部とを有し、第1端部は、入口内に位置し、
弁座部材は、弁部材の第2端部の少なくとも一部分に取り付けられた延長部を受け入れるための該弁座部材を通る流出孔を有する隣接第1端部を有し、
弁座部材の隣接第1端部は挿入物を備え、該挿入物は、弁部材の第2端部で係合するように適合して構成されており、かつ、弁装置が開放位置にある時、入口と弁座部材の透過性部分とを通る流体供給源からの流体の移送のため流体透過性材料で製造されている、ステップと、
流体供給源容器から、入口、透過性弁座部材、流出口を通って、下流の処理ツールへ、流体を流すステップと、を含む。
【0019】
同様に、本発明は、流体供給源容器から下流の処理ツールへ流体を放出し、一方で容器からの流体の無制御の放出を削減する方法に関し、該方法は、
流体供給源容器の出口を、弁部材と弁座部材とを備えた弁アセンブリ装置の入口に接続するステップにおいて、
弁装置は、入口を通る流体流を閉鎖する密閉位置と、流体流が入口と弁装置とを通ることを可能にする開放位置と、の間を移動するように構成され、
弁部材は、第1端部と第2端部とを有し、第1端部は入口内に位置し、
弁座部材は、弁部材の第2端部の少なくとも一部分に取り付けられた延長部を受け入れるための該弁座部材を通る流出孔を有する隣接第1端部を有し、
弁部材の第2端部の延長部は、弁装置が開放位置にあるとき、流体供給源容器から、入口を通り、弁部材の透過性延長部と弁座部材の流出孔とを通って、下流の処理ツールへ、流体を移送するため流体透過性材料で製造されている、ステップと、
流体供給源容器から、入口、透過性弁部材延長部、流出口を通って、下流の処理ツールへ、流体を流すステップと、を含む。
【0020】
本発明の上記及び他の実施態様及び利点は、添付の図面と併せて、以下のより詳細な説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
発明の詳細な説明およびその好ましい実施形態
本発明によれば、流体供給源からの加圧された有毒ガス等の、加圧流体の制御された放出は、弁アセンブリ装置の透過性部分を通ってガスを拡散することで達成される。
【0022】
図1〜図3を参照すると、本発明による弁アセンブリ装置は、弁部材12(ポペット)と弁座部材14とを有する10として概要が描かれている。弁座部材内に封入されているのは、それを通ってガスを拡散するための透過性材料で製造された挿入物16である。図示していないが、圧力下の流体の供給源は、好ましくは、弁アセンブリのすぐ上流に配置される。弁アセンブリの下流は処理ツール(図示せず)で、流体は低圧である必要がある。本発明の弁アセンブリ装置は、供給源から下流器具への流体の通過を制御する。
【0023】
弁部材12は、第1端部延長部18を備えており、これは図1〜図3では軸方向に外側へ伸び、入口20の中へ伸びる十分な長さであり、管路は弁アセンブリへ流体を移送するため流体供給源に取り付けられている。第1端部延長部18は、入口の寸法より小さい断面寸法を有し、流体供給源から入口を通る放出する流体の移動にとって十分な空間を設けている。弁部材の第2端部には、弁座部材14の対応する逆構成面24と係合する着座表面又は隣接表面22がある。弁部材の第2端部はさらに、延長部26を備え、該延長部は流出孔28の中へ伸び、該流出孔は透過性弁座部材を通って中へ伸びて貫通する。
【0024】
図1は、本発明の透過性弁アセンブリの1つの実施形態を図示しており、ここでは、弁部材12は弁座部材14に完全に係合され、流体供給源から処理ツールへの流体流を阻止する密閉接合部を形成する。透過性材料挿入物16の接触面24は、どちらも不透過性材料で製造された弁部材面22と延長部26とによって流体供給源から完全に隔離される。
【0025】
図2は、流体供給源から入口を通り、弁部材のヘッドの周囲と、弁座部材14の挿入物16とを通る流体流に対して、開放位置にある透過性弁アセンブリを図示している。好ましくは、延長部26は流出孔内に嵌合する大きさに作られているので、全ての計量分配された流体は透過性材料を通過する。さらにOリングが含まれてもよく、透過性挿入物16のみを通る流体の移送を保証する移動可能な密閉を提供する。
【0026】
図3は、本実施形態の充填モードを示す。流体供給源の迅速な再充填を容易にするため、弁部材延長部26は、弁座部材14から離れて完全に引き伸ばされる。好ましくは、延長部26は、寸法を小さくした端部30を含んだ構造として構成され、この小さくした端部は、流出孔28の内側面と弁部材延長部26の幅を狭めた端部30との間に空間又は隙間32を設けて、流体供給源への流体流及び流体の移送を提供する。
【0027】
図4は、本発明の別の実施形態を示し、この実施形態では、透過性弁アセンブリ40は、透過性弁部材42と弁座部材44とを備える。透過性弁部材42は、第1端部延長部46を備え、この延長部は図4〜図7では軸方向に外側に伸び、入口48の中へ伸びる十分な長さであり、管路は弁アセンブリへ流体を移送するため流体供給源に取り付けられている。第1端部延長部46は、入口の寸法より小さい断面寸法を有し、流体供給源から入口を通って放出する流体の移動にとって十分な空間を設けている。弁部材の第2端部には、弁座部材44の対応する逆構成面52と係合する着座表面または隣接表面50がある。弁部材の第2端部はさらに、透過性延長部54を備え、該延長部は流出孔56の中へ伸び、該流出孔は弁座部材を貫通する。
【0028】
この実施形態では、透過性延長部54は、弁部材(ポペット)へ取り付けられており、上流の流体供給源から下流の処理ツールへのガスの制御された移送のための拡散可能な表面を提供する。図4では、弁部材表面及び透過性延長部54は、弁座部材44と流出孔56とに完全に係合されており、流体供給源から処理ツールへの流体流を阻止する密閉接合部を形成する。透過性延長部54は、どちらも不透過性材料で製造された弁部材面50と弁座面52との密閉接合部によって流体供給源から完全に隔離される。
【0029】
図5および図6は、流体供給源から、入口を通り、弁部材のヘッド周囲の流路58を通り、さらに透過性延長部54の透過性壁を通って、流出孔56までの、流体の低い流量及びより高い流量について、運転位置にある透過性弁アセンブリを図示している。好ましくは、透過性延長部54は流出孔内に嵌合する大きさに作られているので、全ての計量分配された流体は透過性材料を通過して下流の処理ツールに至る。
【0030】
図7は、この実施形態の充填モードを示す。流体供給源の迅速な再充填を容易にするため、透過性弁部材延長部54は、弁座部材44から離れて完全に引き伸ばされる。充填モードでは、延長部材54は、透過性延長部54をバイパスして入口へ直接進入することで流体供給源の簡易な充填を容易にする溝59を露出する。
【0031】
弁アセンブリ内に生成された透過性材料は、流体の圧力と温度、さらに透過性材料の透過性によって制限される高流量の流体を制御する僅かな抵抗をもたらす。この拡散因子は、圧力の急激な上昇が下流で生じる可能性を軽減する。一般に、蒸気/ガスについて透過性があり、好ましくは液体には不透過のあらゆる透過性材料が使用されてもよく、幅広い種類の潜在的に有用な材料で形成されてもよく、たとえば、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、四フッ化ポリエチレン、ポリフルオロアセテートおよびシリコン等を含む。1つの好ましい有効な材料は、ポリフッ化ビニリデンを含む。
【0032】
ポリマーを通るガスの透過は良く知られた現象であり、透過性挿入物または透過性弁延長部用に潜在的に適した幅広い種類の材料の一覧表にした透過性値を用いて、本発明によるガス搬送システムを構成してもよい。
【0033】
一般に、重合体のフィルムを通るガスの透過は、次式:R=P × SA(式中、標準の温度および圧力において、Rは透過率、Pは所与の重合体材料についての透過定数であり、SAが透過面の表面積である時)で決定される。従って、多数の手段で透過率を制御することが可能で、その手段として、温度を変化させて蒸気圧および透過性壁全体にわたる拡散定数を変化させること、透過性壁の厚みを変化させること、および弁部材を移動させること、で拡散システム内に露出された表面積を機械的に変化させること、を含む。
【0034】
本発明の弁アセンブリは、図8および図9に示すようないくつかのシステムに含まれる状態での応用も可能である。透過性弁アセンブリは、より小さい直径の延長部26に直接取り付けられた蛇腹装置66と内部チャンバ68とを含む調整器60の中に含まれることが可能である。圧力差は、透過性弁座部材64の中へまたはそこから離れて反対方向への弁部材の移動を容易にする。別の方法では、周囲のチャンバは、弁部材の中へまたはそこから離れて反対方向へ移動する弁座部材に直接取り付けられる。
【0035】
チャンバ70内の圧力が、内部チャンバ68内の事前に選択された圧力より大きい場合、弁部材62に取り付けられたダイアフラムシステムは接触し、弁部材は弁座部材64に向かって強く押し進められ、弁アセンブリの透過性材料を通る流体流を阻止する。基本的に、ダイアフラム66は圧縮されて弁部材62を強制的に弁座に向かって移動させ、弁座と密閉して係合させる。一旦チャンバ70内の流体圧力が下がると、図9に示すようにダイアフラムシステムは膨張可能で、同時に弁部材は脱座し、流体流は、弁座部材内の透過性挿入物を通って流出孔78へ、チャンバ70を通ってそして処理ツール80へと確立する。
【0036】
本発明の透過性弁アセンブリは、弁ポペットを使用する装置の別の部分をガスが通過することで、シリンダまたは処理管路内の高加圧ガスを、より低い、使用可能なレベルまで削減するシステムであれば何を使用してもよい。システムはさらに、圧力差に反応して弁ポペットを開閉する蛇腹装置またはばねを備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図面の簡単な説明
【図1】閉鎖された密閉位置にある透過性弁座と弁ポペットとを示す、本発明の透過性弁装置の側方立面図である。
【図2】開放された放出モードにある透過性弁座と弁ポペットとを示す、本発明の透過性弁装置の側方立面図である。
【図3】充填モードにある透過性弁座と弁ポペットとを示す、本発明の透過性弁装置の側方立面図である。
【図4】閉鎖された密閉位置にある透過性延長部を有する弁座と弁ポペットとを示す、本発明の別の実施形態の側方立面図である。
【図5】弁ポペットの透過性延長部を通る放出の異なる段階にある図4の弁アセンブリを示す。
【図6】弁ポペットの透過性延長部を通る放出の異なる段階にある図4の弁アセンブリを示す。
【図7】簡易で速い充填のための充填モードに完全に引き伸ばされた図4の弁アセンブリを示す。
【図8】移動して係合可能な動作を弁アセンブリへ伝達する伸長及び収縮用の蛇腹装置を使用した調整器内へ組み込まれた透過性弁アセンブリを示す。
【図9】移動して係合可能な動作を弁アセンブリへ伝達する伸長及び収縮用の蛇腹装置を使用した調整器内へ組み込まれた透過性弁アセンブリを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体供給源から下流の処理ツールへ流体を搬送するための透過性流体弁アセンブリであって、
前記流体供給源から流体を流す流体供給源の出口と連通した入口と、
弁部材と透過性弁座部材とを備える前記流体供給源の下流に位置する透過性弁装置と、を備え、
前記弁装置は、前記入口を通る流体流を阻止する密閉位置と、流体流が前記入口と弁装置とを通ることを可能にする開放位置と、の間を移動するように構成され、
前記弁部材は、第1端部と第2端部とを有し、前記第1端部は、前記入口内に位置し、
前記弁座部材は、前記弁部材の前記第2端部の少なくとも一部分に取り付けられた延長部を受け入れるための該弁座部材を通る流出孔を有する隣接第1端部を有し、
前記弁座部材の前記隣接第1端部は挿入物を備え、該挿入物は、前記弁部材の前記第2端部と係合するように適合して構成されており、かつ、前記弁装置が前記開放位置にある時、前記流体供給源から前記入口と前記弁座部材の前記透過性部分とを通り前記下流の処理ツールへ前記流体を移送するため、流体透過性材料で製造されている、透過性流体弁アセンブリ。
【請求項2】
前記流体供給源は、加圧タンクである、請求項1に記載の透過性流体弁アセンブリ。
【請求項3】
前記弁部材は、第1端部延長部を備えた細長い構造で、該第1端部延長部は、前記入口に対して縮小された断面を有し、前記弁座部材の前記透過性部分を通過するよう前記弁部材の周囲の前記入口を通って流体を通過させるのに十分な領域を設けている、請求項2に記載の透過性流体弁アセンブリ。
【請求項4】
前記弁座部材は、さらに流出孔を備え、該流出孔は、前記弁部材の前記第2端部に取り付けられたピン延長部を受け入れるため、前記弁座部材内に前記流体透過性材料で製造された前記部分を貫通しており、前記ピンは、前記孔内での移動の余地を残して密閉して嵌合するが、前記孔を通る前記流体供給源からの流体の通過を十分削減する、請求項3に記載の透過性流体弁アセンブリ。
【請求項5】
ダイアフラムを取り囲むチャンバをさらに備え、該ダイアフラムは、前記弁要素の上流の圧力状態から隔離されかつ前記弁部材の前記ピンに係合された内部容積を定め、前記ダイアフラムの前記内部容積と前記チャンバの前記内部との圧力差が前記弁部材を前記開放位置へ移動させるまで前記弁部材を前記密閉位置に保持するよう、前記弁部材の前記動作を制御する、請求項4に記載の透過性流体弁アセンブリ。
【請求項6】
前記弁部材の前記第1端部付近に位置し、前記弁部材を前記密閉位置に保持する弾性手段をさらに備える、請求項5に記載の透過性流体弁アセンブリ。
【請求項7】
前記ピン延長部は、前記弁部材が前記完全開放位置に移動した時、前記流体供給源の充填のために、前記流出孔に十分な空間を設けるよう縮小された断面の先端を有する、請求項4に記載の透過性流体弁アセンブリ。
【請求項8】
前記透過性部分は、前記弁座部材の中を通る前記流出孔を取り囲む挿入物である、請求項1に記載の透過性流体弁アセンブリ。
【請求項9】
流体供給源容器から下流の処理ツールへ流体を放出し、一方で前記容器からの流体の無制御な放出を削減する方法であって、
流体供給源容器の出口を、弁部材と透過性弁座部材とを備えた弁アセンブリ装置の入口に接続するステップにおいて、
前記弁装置は、前記入口を通る流体流を阻止する密閉位置と、流体流が前記入口と弁装置とを通ることを可能にする開放位置と、の間を移動するように構成され、
前記弁部材は、第1端部と第2端部とを有し、前記第1端部は、前記入口内に位置し、
前記弁座部材は、前記弁部材の前記第2端部の少なくとも一部分に取り付けられた延長部を受け入れるための該弁座部材を通る流出孔を有する隣接第1端部を有し、
前記弁座部材の前記隣接第1端部は挿入物を備え、該挿入物は、前記弁部材の前記第2端部と係合するように適合して構成されており、かつ、前記弁装置が前記開放位置にある時、前記流体供給源から前記入口と前記弁座部材の前記透過性部分とを通り前記下流の処理ツールへ前記流体を移送するため、流体透過性材料で製造されている、ステップと、
前記流体供給源容器から、前記入口、透過性弁座部材、流出口を通って、下流の処理ツールへ、流体を流すステップと、
を含む方法。
【請求項10】
高圧の流体供給源から低圧の処理ツールへのガスの搬送を制御する透過性弁アセンブリであって、
前記流体供給源から流体を流すための前記流体供給源の出口と連通した入口と、
移動して弁座部材に係合可能な弁ポペットで、前記弁ポペットは第1及び第2端部を有し、前記第1端部は前記入口内に位置する、弁ポペットと、
前記弁ポペットの前記第2端部と前記弁座部材との間に位置する流体透過性挿入物と、を備え、
前記流体透過性挿入物は、前記弁ポペットが前記弁座部材と密閉して係合されておりそれによって前記弁アセンブリを通る流体流を阻止する場合、流れている流体から隔離されており、
前記流体透過性挿入物は、前記弁ポペットが前記弁座部材と密閉して係合されていない場合、前記高圧の流体供給源から流れる全ての流体の移送のための拡散経路を提供し、
前記透過性挿入物は、前記弁座部材又は前記弁ポペットの前記第2端部のいずれかの、前記密閉可能かつ係合可能な面、に挿入されることが可能である、
透過性弁アセンブリ。
【請求項11】
流体供給源から下流の処理ツールへ流体を搬送するための透過性流体弁アセンブリであって、
前記流体供給源から流体を流す流体供給源の出口と連通した入口と、
弁部材と弁座部材とを備える前記流体供給源の下流に位置する透過性弁装置と、を備え、
前記弁装置は、前記入口を通る流体流を阻止する密閉位置と、流体流が前記入口と弁装置とを通ることを可能にする開放位置と、の間を移動するように構成され、
前記弁部材は、第1端部と第2端部とを有し、前記第1端部は、前記入口内に位置し、
前記弁座部材は、前記弁部材の前記第2端部の少なくとも一部分に取り付けられた延長部を受け入れるための該弁座部材を通る流出孔を有する隣接第1端部を有し、
前記弁部材の前記第2端部の前記延長部は、前記弁装置が開放位置にあるとき、前記流体供給源から、前記入口と前記弁部材の前記透過性延長部と前記弁座部材の前記流出孔とを通って、前記下流の処理ツールへ、前記流体を移送するため流体透過性材料で製造されている、透過性流体弁アセンブリ。
【請求項12】
前記流体供給源は、加圧タンクである、請求項11に記載の透過性流体弁アセンブリ。
【請求項13】
前記弁部材は、第1端部延長部を備えた細長い構造で、該第1端部延長部は、前記入口に対して縮小された断面を有し、前記弁座部材の前記透過性部分を通過するよう前記弁部材の周囲の前記入口を通って流体を通過させるのに十分な領域を設けている、請求項11に記載の透過性流体弁アセンブリ。
【請求項14】
前記弁座部材は、さらに孔を備え、該孔は、前記弁部材の前記第2端部に取り付けられたピン延長部を受け入れるため、前記弁座部材内に前記流体透過性材料で製造された前記部分を貫通しており、前記ピンは、前記孔内での移動の余地を残して前記孔内に密閉して嵌合するが、前記孔を通る前記流体供給源からの流体の通過を十分削減する、請求項13に記載の透過性流体弁アセンブリ。
【請求項15】
ダイアフラムを取り囲むチャンバをさらに備え、該ダイアフラムは、前記弁要素の上流の圧力状態から隔離されかつ前記弁部材の前記ピンに係合された内部容積を定め、前記ダイアフラムの前記内部容積と前記チャンバの前記内部との圧力差が前記弁部材を前記開放位置へ移動させるまで前記弁部材を前記密閉位置に保持するよう、前記弁部材の前記動作を制御する、請求項14に記載の透過性流体弁アセンブリ。
【請求項16】
前記弁部材の前記第1端部付近に位置し、前記弁部材を前記密閉位置に保持する弾性手段をさらに備える、請求項15に記載の透過性流体弁アセンブリ。
【請求項17】
前記ピン延長部は、前記弁部材が前記完全開放位置に移動した時、前記流体供給源の充填のために、前記流出孔に十分な空間を設けるよう縮小された断面の先端を有する、請求項14に記載の透過性流体弁アセンブリ。
【請求項18】
流体供給源容器から下流の処理ツールへ流体を放出し、一方で前記容器からの流体の無制御な放出を削減する方法であって、
流体供給源容器の出口を、弁部材と弁座部材とを備えた弁アセンブリ装置の入口に接続するステップにおいて、
前記弁装置は、前記入口を通る流体流を阻止する密閉位置と、流体流が前記入口と弁装置とを通ることを可能にする開放位置と、の間を移動するように構成され、
前記弁部材は、第1端部と第2端部とを有し、前記第1端部は、前記入口内に位置し、
前記弁座部材は、前記弁部材の前記第2端部の少なくとも一部分に取り付けられた延長部を受け入れるための該弁座部材を通る流出孔を有する隣接第1端部を有し、
前記弁部材の前記第2端部の前記延長部は、前記弁装置が開放位置にあるとき、前記流体供給源容器から、前記入口を通り、前記弁部材の前記透過性延長部と前記弁座部材の前記流出孔とを通って、前記下流の処理ツールへ、前記流体を移送するため流体透過性材料で製造されている、ステップと、
前記流体供給源容器から、前記入口、透過性弁部材延長部、流出口を通って、下流の処理ツールへ、流体を流すステップと、
を含む方法。
【請求項19】
高圧の流体供給源から低圧の処理ツールへのガスの搬送を制御する透過性弁アセンブリであって、前記透過性弁アセンブリは、移動して弁座部材に係合可能な弁ポペットと、前記弁ポペットと前記弁座部材との間に位置する流体透過性挿入物と、を備え、
前記流体透過性挿入物は、前記弁ポペットが前記弁座部材と密閉して係合されておりそれによって前記弁アセンブリを通る流体流を阻止する場合、流れている流体から隔離されており、
前記流体透過性挿入物は、前記弁ポペットが前記弁座部材と密閉して係合されていない場合、前記高圧の流体供給源から流れる全ての流体の移送のための拡散経路を提供し、
前記流体透過性挿入物は、蒸気/ガス透過性で液体不透過性の材料を含み、前記弁座部材又は前記弁ポペットのいずれかの、前記密閉可能かつ係合可能な面、に挿入されることが可能である、透過性弁アセンブリ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−515918(P2006−515918A)
【公表日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−559172(P2004−559172)
【出願日】平成15年11月24日(2003.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/037735
【国際公開番号】WO2004/053367
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(599006351)アドバンスド テクノロジー マテリアルズ,インコーポレイテッド (141)
【Fターム(参考)】