説明

ガス検出装置

【課題】保護回路を設けるのに比べて安価な手段によりガスセンサの保護を図ることができるガス検出装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】ガス濃度に応じて抵抗値が変化する第1ガスセンサ11および第2ガスセンサ12と、ガスセンサ11,12に接続されてガスセンサ11,12の抵抗値に応じたセンサ電圧VINが入力される入力部21a,21bを有したコントローラ21と、ガスセンサ11,12への通電と通電停止とを切換可能な通電切換トランジスタ22と、を備えたガス検出装置であって、コントローラ21が、正常時は通電切換トランジスタ22を通電常態とし、センサ電圧VINが所定のショート判断値よりも低い異常時に、通電切換トランジスタ22を通電停止状態としてガスセンサ11,12への通電を停止させる保護制御を実行するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のガス検出装置に関し、特に、グランドショートに対する保護に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両には、外気導入と内気循環とに切換可能な空調装置が設けられている。そして、近年、このような空調装置において、外気の状態をガスセンサにより検出し、例えば、トンネル内など、外気中の排気ガス濃度が高いというような外気環境が良好でない場合に、空調装置を内気循環として、排ガスを含む外気が車内に入らないようにするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ガスセンサは、ガスに触れると抵抗値が変化する性質を有しており、このガスセンサに通電して抵抗値の変化を検出することで、ガス濃度を検出している。
【特許文献1】特開2003−344339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ガスセンサは、一般に、定格電力が1mW程度と小さく、センサ出力端子がグランドショートした場合に、破壊される可能性があった。そこで、これを保護する保護回路を設けることが考えられるが、この場合、コストアップを招く。
【0005】
本発明は、上述の問題に着目してなされたもので、保護回路を設けるのに比べて安価な手段によりガスセンサの保護を図ることができるガス検出装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ガス濃度に応じて抵抗値が変化するガスセンサと、このガスセンサに接続されてガスセンサの抵抗値に応じたセンサ電圧が入力される入力部を有した制御手段と、前記ガスセンサへの通電と通電停止とを切換可能な通電切換手段と、を備えたガス検出装置であって、前記制御手段は、前記入力部におけるセンサ電圧が所定のショート判断値よりも高い正常時は通電切換手段を通電常態とし、前記入力部におけるセンサ電圧が所定のショート判断値よりも低い異常時は、前記通電切換手段を通電停止状態として前記ガスセンサへの通電を停止させる保護制御を実行することを特徴とするガス検出装置とした。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載のガス検出装置にあっては、ガスセンサがグランドショートしたときには、制御手段の入力部におけるセンサ電圧が低下するため、このセンサ電圧が、所定のショート判断値よりも低下すると、制御手段では、保護制御に基づいて異常と判断し、通電切換手段を通電停止状態に切り換えてガスセンサへの通電を停止する。
【0008】
したがって、ガスセンサへ過電流が流れて破壊されるのを、未然に防止することができる。
【0009】
さらに、本発明では、このようなガスセンサの保護を行うにあたり、制御手段の入力部におけるセンサ電圧に対応したソフト処理で行うようにしたため、既存の車載の制御手段を用いることができ、保護回路を設ける場合のように、新たに構成を追加する必要が無く、安価に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
この実施の形態のガス検出装置は、ガス濃度に応じて抵抗値が変化するガスセンサ(11,12)と、このガスセンサ(11,12)に接続されてガスセンサ(11,12)の抵抗値に応じたセンサ電圧(VIN)が入力される入力部(21a,21b)を有した制御手段(21)と、前記ガスセンサ(11,12)への通電と通電停止とを切換可能な通電切換手段(22)と、を備えたガス検出装置であって、前記制御手段(21)は、正常時は通電切換手段(22)を通電常態とし、前記入力部(21a,21b)におけるセンサ電圧(VIN)が所定のショート判断値(VS)よりも低い異常時に、前記通電切換手段(22)を通電停止状態として前記ガスセンサ(11,12)への通電を停止させる保護制御を実行することを特徴とするガス検出装置である。
【実施例】
【0012】
以下に、図1〜図5に基づいて、この発明の最良の実施の形態の実施例1のガス検出装置について説明する。
【0013】
まず、構成から説明すると、実施例1のガス検出装置は、図2に示すように、ガスセンサユニット1と、制御ユニット2と、両者1,2を接続する接続回路3とを備えている。ガスセンサユニット1は、フロントガラス4の下縁に沿って形成された図示を省略したカウルボックスの内部において、同じく図示を省略した空調装置の外気取入口の付近に設置されており、空調装置に取り入れる外気のガス濃度を検出するために設けられている。
【0014】
また、制御ユニット2は、前記カウルボックス(図示省略)と、その車両後方に設けられた図示を省略したインストルメントパネルとの間に設置されている。
【0015】
ガスセンサユニット1は、図1に示すように、窒素酸化物(Nox)を検出する第1ガスセンサ11と、一酸化炭素(Co)を検出する第2ガスセンサ12とを備えている。また、各ガスセンサ11,12には、センサ感度を向上させるために各ガスセンサ11,12を過熱するヒータ11h,12hが設けられている。
【0016】
これら第1・第2ガスセンサ11,12およびヒータ11h,12hは、制御ユニット2の電源端子2a、ヒータ端子2b、ヒータグランド端子2c、第1センサ入力端子2d、第2センサ入力端子2eに接続されている。
【0017】
制御ユニット2は、図示を省略したコンピュータユニットを搭載したコントローラ21を備えている。このコントローラ21は、ガスセンサユニット1への電源供給を制御するとともに、ガスセンサユニット1から入力されたセンサ電圧VINに対応してガス濃度信号ADを形成し、このガス濃度信号ADを、図外の空調装置の制御装置へ出力する。
【0018】
制御ユニット2についてさらに詳細に説明すると、電源端子2aは、図外の5V電源に接続された5V電源端子2fに通電切換トランジスタ(通電切換手段)22を介して接続されている。この通電切換トランジスタ22は、コントローラ21からベースに出力がある場合に、電源端子2a、すなわちガスセンサユニット1に向けて通電を行い、一方、ベースに出力が無い場合には、電源端子2a、すなわちガスセンサユニット1への通電を停止する。なお、通電切換トランジスタ22のベースへの出力は、ガスセンサユニット1側でグランドショートが発生していない正常時には、図外のイグニッションスイッチが投入されている間なされる。一方、通電停止は、コントローラ21における後述する保護制御により、グランドショートの発生判断時に成される。
【0019】
ヒータ端子2bは、制御ユニット2に設けられたヒータ用切換トランジスタ23のコレクタ側に接続され、また、ヒータグランド端子2cは、制御ユニット2のグランドに接続されている。
【0020】
したがって、第1ガスセンサ11は、コントローラ21からヒータ用切換トランジスタ23のベースに出力がある場合と無い場合とで、加熱状態を変更可能となっている。
【0021】
第1センサ入力端子2dと第2センサ入力端子2eとは、それぞれコントローラ(制御手段)21の入力部21a,21bにセンサ入力回路21c,21dを介して接続されている。
【0022】
さらに、センサ入力回路21c,21dの途中には、それぞれ、各ガスセンサ11,12に直列にプルダウン抵抗28,29が接続されている。
【0023】
各プルダウン抵抗28,29は、それぞれ、抵抗の異なる第1抵抗28a,29a、第2抵抗28b,29b、第3抵抗28c,29cが直列に接続されている。これらの抵抗の抵抗値rは、第1抵抗28a,29aの抵抗値r1<第2抵抗28b,29bの抵抗値r2<第3抵抗28c,29cの抵抗値r3の順に設定されており、具体的には、本実施例1の場合、r1=6.8kΩ、r2=100kΩ、r3=1200kΩとなっている。
【0024】
さらに、各プルダウン抵抗28,29には、それぞれ、抵抗切換手段としての第1切換トランジスタ24,26と第2切換トランジスタ25,27とが接続され、各プルダウン抵抗28,29における通電状態を変更して、第1・第2ガスセンサ11,12の電圧レベルを変更可能に構成されている。
【0025】
すなわち、各切換トランジスタ24,25,26,27のベースにコントローラ21から駆動信号が出力されていない状態では、各ガスセンサ11,12に対して、それぞれ各プルダウン抵抗28,29が、その全ての抵抗である第1〜第3抵抗28a,28b,28c、29a,29b,29cが直列に接続された状態となる。つまり、各ガスセンサ11,12に対して1306.8kΩの抵抗が直列に接続された状態となる。
【0026】
一方、第1切換トランジスタ24,26のベースに、コントローラ21から出力がある状態では、第1・第2ガスセンサ11,12に対して、第1抵抗28a,29aのみが接続された状態となる。すなわち、各ガスセンサ11,12に対して6.8kΩの抵抗が直列に接続された状態となる。
【0027】
また、第2切換トランジスタ25,27のベースに、コントローラ21から出力がある状態では、第1・第2ガスセンサ11,12に対して、それぞれ第1抵抗28a,29aと第2抵抗28b,29bとが直列に接続された状態となる。すなわち、各ガスセンサ11,12に対して106.8kΩの抵抗が接続された状態となる。
【0028】
なお、このような各切換トランジスタ24〜27によるプルダウン抵抗28,29の切換は、コントローラ21により250msecごとに行われる。すなわち、プルダウン抵抗28の切換を例に挙げれば、コントローラ21は、第1切換トランジスタ24のベースのみに駆動信号を出力した状態(この状態では、後述する抵抗判断値R=0とする)と、第2切換トランジスタ25のベースのみに出力した状態(この状態では、後述する抵抗判断値R=1とする)と、両切換トランジスタ24,25のベースに出力しない状態(この状態では、後述する抵抗判断値R=2とする)と、にそれぞれ250msecごとに切り換える。
【0029】
さらに、コントローラ21は、各ガスセンサ11,12の抵抗値(検出ガス濃度)に対応した1240ビットのガス濃度信号ADを形成する変換制御を実行する。このガス濃度信号を形成するにあたり、各ガスセンサ11,12は、抵抗値の変動幅が大きいことから、各切換トランジスタ24,25,26,27の作動により各ガスセンサ11,12に対するプルダウン抵抗28,29の接続状態、すなわち抵抗値を6.8kΩ、106.8kΩ、1306.8kΩの3通りに変化させてレートを切り換えて、ガス濃度信号のビット数の細分化を図っている。
【0030】
図3は、第1ガスセンサ11に接続された入力部21aにおけるセンサ電圧VINとガス濃度信号ADのビット数との関係を示した信号特性図であり、図においてaの領域では第1ガスセンサ11に第1抵抗28aのみを接続した状態で得られたセンサ電圧VINに基づいてガス濃度信号ADを形成し、bの領域では第1抵抗28aと第2抵抗28bとを接続した状態で得られたセンサ電圧VINに基づいてガス濃度信号ADを形成し、cの領域では第1〜第3抵抗28a,28b,28cの全てを接続した状態で得られたセンサ電圧VINに基づいてガス濃度信号ADを形成している。なお、第2ガスセンサ12は、第1ガスセンサ11とは逆の特性、すなわち、ガス濃度が高くなるほど抵抗値が小さくなる特性を有しているため、図3の信号特性とは逆向きの傾きの特性となる。
【0031】
そこで、コントローラ21における上述のガス濃度信号を形成する変換制御の流れを図4のフローチャートにより説明する。なお、このフローチャートでは、第1ガスセンサ11の信号変換を例に挙げている。
【0032】
ステップS1では、抵抗判断値Rが0であるか否かを判断し、R=0の場合は、ステップS2に進み、R≠0の場合は、ステップS3に進む。なお、抵抗判断値Rは、センサ入力回路21cに対する各プルダウン抵抗28の各抵抗28a,28b,28cの接続状態(抵抗値)を判断する値であって、両切換トランジスタ24,25を切り換える出力に対応して形成され、第1切換トランジスタ24の駆動時にはR=0、第2切換トランジスタ25の駆動時には、R=1、両切換トランジスタ24,25の非駆動時にはR=2となる。
【0033】
ステップS2では、入力部21aで入力されるセンサ電圧VINに応じた値AD(VIN)を、そのままガス濃度信号ADに変換する。
【0034】
ステップS3では、抵抗判断値Rが1であるか否か((すなわち、第1ガスセンサ11にプルダウン抵抗28の第1抵抗28aおよび第2抵抗28b(106.8kΩ)が接続されている状態であるか否か)判断し、R=1の場合は、ステップS4に進み、R≠1の場合(すなわち、第1ガスセンサ11にプルダウン抵抗28の第1〜第3抵抗28a,28b,28c(1306.8kΩ)が接続されている場合)はステップS5に進む。
【0035】
そして、ステップS4では、入力部21aで入力されるセンサ電圧VINに基づく値AD(VIN)に所定のオフセット値OFS1を加えてガス濃度信号ADに変換する。本実施例1では、例えば、OFS1=560である。
【0036】
ステップS5では、入力部21aで入力されるセンサ電圧VINに基づく値AD(VIN)に所定のオフセット値OFS2を加えてガス濃度信号ADを形成する。本実施例1では、例えば、OFS2=1170である。
【0037】
さらに、本実施例1では、ステップS2,S4,S5の何れかの変換処理を終えた後に流れるステップS6において、保護制御を実行する。なお、第2ガスセンサ12についても同様の処理を実行するもので、図4に示す第1ガスセンサ11の変換制御との相違は、ステップS2,S4,S5で加算するオフセット値が異なる点である。
【0038】
図5は、この保護制御を示すフローチャートであって、最初のステップS11では、入力部21a,21bのセンサ電圧VINがあらかじめ設定されたショート判断値VS(例えば、VS=0.5V)未満であるか否か判断し、VIN<VSの場合は、ステップS12に進んで、通電切換トランジスタ22のベースへの出力を停止させてガスセンサユニット1への通電を停止させる処理を続行し、一方、VIN≧VSの場合は、ステップS13に進んで、通電切換トランジスタ22のベースへの出力を維持させてガスセンサユニット1への通電状態を維持させる処理を実行する。
【0039】
次に、実施例1のガス検出装置の作用について説明する。
【0040】
ガスセンサユニット1と制御ユニット2とを結ぶ接続回路3にあっては、各端子2a〜2e部分などにおいてグランドショートが発生する可能性がある。そして、特に、センサ入力端子2d,2eなど両ガスセンサ11,12に接続されている部分でグランドショートが発生した場合、両ガスセンサ11,12は、定格電力が1mW程度と小さいために、破壊される可能性がある。
【0041】
そこで、本実施例1のガス検出装置では、このようなグランドショートから両ガスセンサ11,12を保護するための保護制御を実行する。
【0042】
この保護制御は、コントローラ21において、変換制御の実行に連動して行われる。すなわち、コントローラ21では、所定のタイミング(250msec毎)で、各ガスセンサ11,12に接続するプルダウン抵抗28,29の抵抗値を切り換えつつ、図4に示す変換制御に基づいて両ガスセンサ11,12からのセンサ電圧VINをガス濃度信号ADに変換する。
【0043】
そして、図4に示す変換制御においてステップS2,S4,S5の変換処理を実行するたびに、ステップS6の保護制御を実行する。
【0044】
この保護制御を実行するにあたり、グランドショートが発生していない正常時には、センサ入力回路21c,21dにプルダウン抵抗28,29が接続されていることから、各ガスセンサ11,12に接続された入力部21a,21bにおけるセンサ電圧VINは、ショート判断値VSよりも高い値となっている。
【0045】
そこで、図5に示す保護制御において、ステップS11のVIN>VSの判断ではYESと判断され、ステップS12の処理に基づいて、通電切換トランジスタ22が通電状態に維持され、ガスセンサユニット1への通電状態が維持される。
【0046】
一方、各ガスセンサ11,12に接続された接続回路3(例えば、センサ入力端子2d,2e付近)においてグランドショートが発生した異常発生時には、コントローラ21の入力部21a,21bでは、センサ電圧VINがショート判断値VSよりも低くなる。したがって、図5の保護制御のステップS11ではNOと判断され、続く、ステップS13の処理により通電切換トランジスタ22のベースへの出力が停止され、これにより、ガスセンサユニット1への通電が停止される。
【0047】
したがって、両ガスセンサ11,12を、グランドショートによる過大な電流から保護することができる。
【0048】
以上説明してきたように、本実施例1では、第1・第2ガスセンサ11,12が接続された電気回路にグランドショートが発生したときには、ガスセンサユニット1への通電を停止するため、両ガスセンサ11,12を過大電流から保護することができる。
【0049】
さらに、本実施例1のガス検出装置では、両ガスセンサ11,12をグランドショートから保護するにあたり、保護回路を設けることなく、コントローラ21のソフト処理(保護制御)で行うようにしたため、安価に構成することができる。
【0050】
しかも、この保護制御を実行するコントローラ21として、ガスセンサユニット1に接続されて、センサ電圧VINに基づいてガス濃度信号ADを形成する既存のものを用いているため、既存のコントローラ21の制御ソフトのみを変更すればよく、ガスセンサユニット1と車載の制御装置とを新たに接続する手間およびコストや、接続回路3を新たに設定することが不要であり、より安価に構成することができる。
【0051】
加えて、本実施例1のガス検出装置では、グランドショートが発生しているか否かの判断を、変換制御においてプルダウン抵抗を切り換える毎(すなわち、250msec毎)に行っているため、グランドショートの発生から通電停止までの時間を、より短く設定でき、両ガスセンサ11,12の保護をより確実なものとすることができる。
【0052】
また、本実施例1のガス検出装置では、各ガスセンサ11,12のグランド側にそれぞれプルダウン抵抗28,29が接続されているため、入力部21a,21bにおけるセンサ電圧VINを高く設定でき、正常時のセンサ電圧VINと、グランドショートが発生した異常時のセンサ電圧VINと、を大きく異ならせ、グランドショートの発生を明確にして制御精度を高めることができる。
【0053】
しかも、プルダウン抵抗28,29は、ガス濃度信号ADを形成するにあたり、そのビット数を高くするための既存の抵抗であり、上記制御精度の向上が既存の構成を利用して達成できるという効果が得られる。
【0054】
さらに、本実施例1のガス検出装置では、ガスセンサユニット1において、第1ガスセンサ11と第2ガスセンサ12との2つのガスセンサを有しているが、その両方のグランドショートからの保護を1つのコントローラ21で行うことができるため、各ガスセンサ11,12をグランドショートから保護する保護回路を設けるのに比べて、よりいっそう安価に構成することが可能となる。
【0055】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態および実施例1を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態および実施例1に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0056】
すなわち、実施例1では、保護制御を図4に示すフローチャートにおいて、ステップS2,S4,S5の各処理を実行するたびに行うことで、250msecのタイミングで実行されるようにした例を示したが、これに限定されず、例えば、図4の(1)あるいは(2)あるいは(3)のタイミングで行うようにしてもよい。この場合、図4の保護制御が1回実行されるたびに成されることになる。あるいは、変換制御に連動することなく、予め設定されたタイマのカウントに基づいて、保護制御を実行するようにしてもよい。
【0057】
また、実施例1では、ガスセンサとして窒素酸化物(Nox)を検出する第1ガスセンサ11と、一酸化炭素(Co)を検出する第2ガスセンサ12と、を示したが、ガスセンサとしては、これらに限定されるものではなく、これらのガスセンサ11,12に他のセンサを加えたり、これらのセンサ11,12の一方のみとしたり、これらのセンサ11,12の一方と他のセンサとを組み合わせてもよい。
【0058】
また、プルダウン抵抗28,29として、第1〜第3の3つの抵抗28a,28b,28c,29a,29b,29cを備えたものを示したが、この抵抗の数は実施例で示した数に限定されず、1でも2以上の複数でもよい。また、プルダウン抵抗28,29の具体的な抵抗値は、実施例で示したものに限られるものではなく、ガスセンサ11,12の抵抗値の可変特性に基づいて、適宜最適なものを選択すればよく、また、この場合には、オフセット値も実施例で示した値以外の値を用いてよい。
【0059】
また、実施例1では、通電切換手段として、通電切換トランジスタ22を示したが、これに限定されるものではなく、リレースイッチなど他のものを使用してもよい。
【0060】
また、実施例1では、グランドショート判断時には、ガスセンサユニット1への通電をカットするようにしたが、各ガスセンサ11,12に、それぞれ独立して電源に接続するとともに、その通電を切り換える手段をそれぞれに設け、グランドショート判断時には、ショートを検出したガスセンサのみの通電を停止するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の最良の実施の形態の実施例1のガス検出装置を示す回路図である。
【図2】前記実施例1のガス検出装置の取付位置を示す、このガス検出装置を備えた車両の外観図である。
【図3】前記実施例1のガス検出装置における入力部21aにおけるセンサ電圧VINとガス濃度信号ADのビット数との関係を示した信号特性図である。
【図4】前記実施例1のガス検出装置の変換制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】前記実施例1のガス検出装置の保護制御の制御流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
11 第1ガスセンサ
12 第2ガスセンサ
21 コントローラ(制御手段)
21a 入力部
21b 入力部
22 通電切換トランジスタ(通電切換手段)
24 第1切換トランジスタ(抵抗切換手段)
25 第2切換トランジスタ(抵抗切換手段)
26 第1切換トランジスタ(抵抗切換手段)
27 第2切換トランジスタ(抵抗切換手段)
28 プルダウン抵抗
28a 第1抵抗
28b 第2抵抗
28c 第3抵抗
29 プルダウン抵抗
29a 第1抵抗
29b 第2抵抗
29c 第3抵抗
AD ガス濃度信号
R 抵抗判断値
VIN センサ電圧
VS ショート判断値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス濃度に応じて抵抗値が変化するガスセンサと、
このガスセンサに接続されてガスセンサの抵抗値に応じたセンサ電圧が入力される入力部を有した制御手段と、
前記ガスセンサへの通電と通電停止とを切換可能な通電切換手段と、
を備えたガス検出装置であって、
前記制御手段は、前記入力部におけるセンサ電圧が所定のショート判断値よりも高い正常時は通電切換手段を通電常態とし、前記入力部におけるセンサ電圧が所定のショート判断値よりも低い異常時は、前記通電切換手段を通電停止状態として前記ガスセンサへの通電を停止させる保護制御を実行することを特徴とするガス検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−132829(P2007−132829A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327014(P2005−327014)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】