ガス減圧弁、ガス減圧システム及び燃料電池発電システム
【課題】2次圧を高めるのに有利なガス減圧弁、ガス減圧システム及び燃料電池発電システムを提供する。
【解決手段】ガス減圧弁1は、受圧部材3と絞り機構4と受圧部材用弾性部材7とを具備する。絞り機構4は、1次側通路61から2次側通路71に流れるガスを絞って減圧させる第1絞り通路40と、第1絞り通路40の絞り開度を可変に調整する可動バルブ体41と、第1絞り通路40の絞り開度を小さくする方向に可動バルブ体41を付勢する付勢力をもつ可動バルブ体用弾性部材8と、第1絞り通路40を経たガスを更に絞って第1室に供給する第2絞り通路52と、ガス圧を可動バルブ体41に作用させる中間室53とを備えている。
【解決手段】ガス減圧弁1は、受圧部材3と絞り機構4と受圧部材用弾性部材7とを具備する。絞り機構4は、1次側通路61から2次側通路71に流れるガスを絞って減圧させる第1絞り通路40と、第1絞り通路40の絞り開度を可変に調整する可動バルブ体41と、第1絞り通路40の絞り開度を小さくする方向に可動バルブ体41を付勢する付勢力をもつ可動バルブ体用弾性部材8と、第1絞り通路40を経たガスを更に絞って第1室に供給する第2絞り通路52と、ガス圧を可動バルブ体41に作用させる中間室53とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤフラム等の受圧部材を有するガス減圧弁、当該ガス減圧弁を搭載するガス減圧システム、及び、当該ガス減圧弁を搭載する燃料電池発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス減圧弁として、ボティ室をもつボディと、ボディのボティ室を第1室と第2室とに区画する変形可能なダイヤフラムと、ガスが供給される高圧側通路である1次側通路と、低圧側通路である2次側通路と、1次側通路と2次側通路との間に設けられた絞り通路と絞り通路を開閉する可動バルブ体とをもち可動バルブ体により絞り通路の絞り開度を調整する絞り機構と、絞り機構の絞り開度を増加させる方向にダイヤフラムを付勢する付勢力を発揮するコイルバネとを備えているものが知られている(特許文献1)。
【0003】
このガス用バルブによれば、1次側通路のガスが絞り通路で絞られて2次側通路に至る。2次側通路の圧力が増加すると、ダイヤフラムの受圧力が増加してダイヤフラムが変形し、可動バルブ体が絞り通路の開度を減少させる方向に動作し、2次側通路の圧力の増加が抑制される。
【特許文献1】特開2002−371916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に係る技術によれば、ガスを供給する場合、低負荷時では、配管、流路等の圧損が少ないため、供給圧は相対的に低くて良い。これに対して高負荷時では、配管、流路等の圧損が大きいため、高い圧力でガスを供給することが好ましい。
【0005】
しかしながら特許文献1に係る上記したガス減圧弁の2次圧である調整圧(例えば燃料電池の燃料供給圧)は、ガスの流量の増加に伴い低下するため、減圧弁の2次圧である調整圧を上記したような好ましい圧力とした状態で機器(例えば燃料電池)に供給できないという問題があった。
【0006】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、2次圧を高めるのに有利なガス減圧弁、ガス減圧システム及び燃料電池発電システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)第1発明のガス減圧弁は、ガスが供給される1次側通路とガスが吐出される2次側通路と1次側通路及び2次側通路の間に形成されたボティ室とをもつボディと、
ボディのボティ室に配設されボティ室を第1室と第2室とに区画する変形可能な受圧部材と、
1次側通路と2次側通路との間に設けられ1次側通路から2次側通路に流れるガスを絞って減圧させて第1室を経て2次側通路に供給する絞り機構と、
ボディの第2室に設けられ絞り機構の絞り開度を増加させる方向に受圧部材を付勢する付勢力をもつ受圧部材用弾性部材とを具備しており、
絞り機構は、
1次側通路と2次側通路との間に設けられ1次側通路から2次側通路に流れるガスを絞って減圧させる第1絞り通路と、第1絞り通路の絞り開度を可変に調整する可動バルブ体と、第1絞り通路の絞り開度を小さくする方向に可動バルブ体を付勢する付勢力をもつ可動バルブ体用弾性部材とを備えており、
2次側通路から吐出されるガスの流量を横軸とすると共に2次側通路から吐出されるガスの2次圧を縦軸として調圧特性をグラフ化するとき、
ガスの流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧の低下を抑えるように設定されている調圧特性、あるいは、ガスの流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧が増加するような調圧特性に設定されていることを特徴とするものである。
【0008】
第1発明のガス減圧弁によれば、ガスの流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧の低下を抑える調圧特性に設定されているか、あるいは、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧が増加するような調圧特性に設定されている。従って第1発明のガス減圧弁から吐出されるガスの流量が増加しても2次圧を高めるのに有利である。
【0009】
(2)第2発明に係るガス減圧弁は、ガスが供給される1次側通路とガスが吐出される2次側通路と1次側通路及び2次側通路の間に形成されたボティ室とをもつボディと、
ボディのボティ室に配設されボティ室を第1室と第2室とに区画する変形可能な受圧部材と、
1次側通路と2次側通路との間に設けられ1次側通路から2次側通路に流れるガスを絞って減圧させて第1室を経て2次側通路に供給する絞り機構と、
ボディの第2室に設けられ絞り機構の絞り開度を増加させる方向に前記受圧部材を付勢する付勢力をもつ受圧部材用弾性部材とを具備しており、
絞り機構は、
1次側通路と2次側通路との間に設けられ1次側通路から2次側通路に流れるガスを絞って減圧させる第1絞り通路と、第1絞り通路の絞り開度を可変に調整する可動バルブ体と、第1絞り通路の絞り開度を小さくする方向に可動バルブ体を付勢する付勢力をもつ可動バルブ体用弾性部材と、第1絞り通路よりも下流側に位置するように1次側通路と2次側通路との間に設けられ第1絞り通路を経たガスを更に絞って第1室に供給する第2絞り通路と、第1絞り通路と第2絞り通路との間に設けられ第1絞り通路と第2絞り通路との間のガス圧を可動バルブ体に作用させる中間室とを備えていることを特徴とするものである。
【0010】
第2発明に係るガス減圧弁によれば、2次側通路から吐出されるガスの流量を横軸とすると共に2次側通路から吐出される2次圧を縦軸として調圧特性をグラフ化するとき、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧の低下を抑えるように設定されている調圧特性、あるいは、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧が増加するような調圧特性が得られる。従って第2発明のガス減圧弁から吐出されるガスの流量が増加しても2次圧を高めるのに有利である。
【0011】
(3)第3発明に係るガス減圧システムは、ガス供給源とガス使用部とをつなぐガス供給通路に設けられガス入口及びガス出口をもちガス出口から吐出されるガスの圧力を可変に調整できる上流ガス減圧弁と、ガス供給通路において上流ガス減圧弁の前記ガス出口に繋がると共に上流ガス減圧弁よりも下流に設けられた下流ガス減圧弁とを具備するガス減圧システムにおいて、下流ガス減圧弁は、各請求項に記載のガス減圧弁で構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
第3発明に係るガス減圧システムによれば、下流ガス減圧弁の2次側通路から吐出されるガスの流量を横軸とすると共に下流ガス減圧弁の2次側通路から吐出される2次圧を縦軸として調圧特性をグラフ化するとき、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧の低下を抑えるように設定されている調圧特性か、あるいは、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧が増加するような調圧特性が得られる。従って第3発明に係るガス減圧システムによれば、ガス減圧弁から吐出される流量が増加しても、2次圧を高めるのに有利である。
【0013】
(4)第4発明に係る燃料電池発電システムは、燃料極及び酸化剤極を有する燃料電池と、燃料電池の燃料極に燃料ガスを供給する燃料用のガス供給通路と、燃料電池の酸化剤極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス用のガス供給通路と、燃料用のガス供給通路及び酸化剤ガス用のガス供給通路のうちの少なくとも一方において燃料電池の上流に設けられた燃料電池用ガス減圧系とを具備する燃料電池発電システムにおいて、燃料電池用ガス減圧系は、各請求項に記載のガス減圧弁を備えていることを特徴とするものである。
【0014】
第4発明に係る燃料電池発電システムによれば、ガス減圧弁の2次側通路から吐出されるガスの流量を横軸とすると共にガス減圧弁の2次側通路から吐出される2次圧を縦軸として調圧特性をグラフ化するとき、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧の低下を抑えるように設定されている調圧特性か、あるいは、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧が増加するような調圧特性が得られる。従って第4発明に係る燃料電池発電システムによれば、ガス減圧弁から吐出されるガスの流量が増加しても2次圧を高めるのに有利であり、ひいては燃料電池に供給するガスの圧力を高めるのに有利であり、燃料電池の低負荷時ばかりか、高負荷時にも対応することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ガスの流量が増加しても2次圧を高めるのに有利なガス減圧弁を提供できる。更に、ガスの流量が増加しても2次圧を高めるのに有利なガス減圧システムを提供できる。更に、ガス減圧弁から吐出され燃料電池に供給される活物質を含むガスの圧力(燃料電池の供給圧)を高めるのに有利な燃料電池発電システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を燃料電池発電システムに適用した実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。この燃料電池発電システムは、車両用、定置用、携帯用等の用途に使用することができる。燃料電池100は燃料極101及び酸化剤極102を有する。本実施形態に係るガス減圧弁1は、燃料電池(ガス使用部)100の燃料極101のガス入口101cの上流側に設けられるものである。ガス減圧弁1は燃料ガス(例えば活物質である水素を含む水素ガス、または、水素含有ガス)用のガス減圧弁であり、上流ガス減圧弁200よりも下流に設けられた下流ガス減圧弁に相当する。
【0017】
このガス減圧弁1は、図1に示すように、ボティ室20をもつと共にボティ室20の下方に壁部で仕切られたバルブ室23をもつボディ2と、ボディ2のボティ室20を第1室21と第2室22とに区画する変形可能な受圧部材として機能するダイヤフラム3と、燃料電池100の燃料極101で使用される活物質を含むガス(燃料ガス)が供給されると共にボティ室20の第1室21に繋がる1次側通路61と、燃料電池100の燃料極101の燃料極101及びボティ室20の第1室21に繋がる2次側通路71と、1次側通路61と2次側通路71との間に設けられた第1絞り通路40をもちダイヤフラム3の変形に伴い第1絞り通路40の絞り開度Lを可変とする絞り機構4とを備えている。
【0018】
第1絞り通路40の絞り開度Lは、ガス減圧弁1のサイズ、ガス減圧弁1が用いられる用途、流れるガスの組成等によっても相違するものの、例えば2ミリメートル以下,1ミリメートル以下,500マイクロメートル以下とすることができる。燃料ガスの主要成分が水素ガスである場合には、粘性が低くて流れ易いため、絞り開度Lは小さくて済む。使用時には、第1絞り通路40の圧損は第2絞り通路52の圧損よりも大きくされている。
【0019】
1次側通路61は上流ガス減圧弁200を介してガス供給源65(例えばガスタンク)に繋がる。ガス供給源65の高圧の燃料ガスが1次側通路61に供給される。燃料ガスとしては純水素ガスまたは水素含有ガス等を使用できる。ここで、高圧及び低圧は燃料ガスの相対的な高低の意味である。従って、高圧とは2次側通路71のガス圧力よりも高圧という意味である。低圧とは1次側通路61のガス圧力よりも低圧という意味である。例えば、1次側通路61のガスの圧力は1〜3MPaにすることができ、2次側通路71のガスの圧力は10〜900kPa、100〜400kPaにすることができる。但しこれらに限定されるものではない。
【0020】
図1に示すように、1次側通路61は絞り機構4の第1絞り通路40の上流に設けられており、2次側通路71は絞り機構4の第1絞り通路40の下流に設けられている。第1絞り通路40は、燃料電池100の燃料極101において使用される活物質を含む1次側通路61のガス(燃料ガス)の流量を制限して減圧し、2次側通路71に供給する。
【0021】
図1に示すように、ボディ2はボティ室20を有する。ダイヤフラム3は、ゴムや軟質樹脂等の弾性材料または金属を基材としガスバリヤ性を有する膜状に形成されている。ダイヤフラム3は、ボディ2のボティ室20を、燃料ガスが流入する第1室21と、燃料ガスが流入されない第2室22とに仕切って区画するため、仕切部材として機能することができる。第2室22は第1室21,1次側通路61、2次側通路71に連通しないものの、大気開放ポート22mを介して大気に連通する。このように第2室22は大気開放とされるため、高圧状態にならない。
【0022】
仕切部材として機能できるダイヤフラム3の外周部3pは、ボディ2に挟持されて保持されている。ダイヤフラム3の中央域は、第1室21及び第2室22の差圧に応じて、矢印Y2(上方向)、矢印Y1方向(下方向)に変形可能とされている。矢印Y2方向は第1室21の容積を増加させる方向を意味すると共に、第1絞り通路40の絞り開度Lを減少させる方向を意味する。矢印Y1方向は第1室21の容積を減少させる方向を意味すると共に、第1絞り通路40の絞り開度Lを増加させる方向を意味する。図1から理解できるように、第1絞り通路40の下流に位置する第1室21(2次側通路71を経て燃料電池100に繋がる)の圧力がダイヤフラム3の下面としての表面3mに作用する。
【0023】
図1に示すように、絞り機構4は、燃料電池100に供給されるガス(燃料ガス)の流量を制限するようにボディ2に形成された第1絞り通路40と、第1絞り通路40を開閉するピストン状の可動バルブ体41と、ダイヤフラム3の中央域を挟持するように設けられた第1支持部42及び第2支持部43とを有する。可動バルブ体41は互いに背向する受圧面47及びバルブ面44をもつ。可動バルブ体41の受圧面47には、可動バルブ体41を矢印Y2方向に付勢するように1次側通路61の1次圧が作用する。なお本実施形態によれば、受圧面47は可動バルブ体41の図示下面とされている。バルブ面44は可動バルブ体41の図示上面とされている。
【0024】
第1絞り通路40は、第1絞り通路40を1周するリング形状の弁座部49を片面側つまり下面側にもつ。第2支持部43の軸部48は、第2支持部43から遠ざかるように下方に向けて延設されており、第2絞り通路52に挿通されている。後述するダイヤフラムバネ7の付勢力により、第2支持部43の軸部48の先端部48a(下端部)は、可動バルブ体41のバルブ面44に当接する。
【0025】
ここで、第1絞り通路40の弁座部49と可動バルブ体41のバルブ面44との間は、第1絞り通路40の絞り開度Lとされる。図1において絞り開度Lの隙間幅は強調されているが、実際には小さいものである。可動バルブ体41のバルブ面44は弁座部49に対面しており、第1絞り通路40の全閉時において第1絞り通路40の弁座部49に着座できる。
【0026】
図1に示すように、可動バルブ体41は、ボディ2のバルブ室23に矢印Y2、Y1方向(上下方向)に移動可能に嵌合されている。可動バルブ体41はダイヤフラム3の図示下方に配置されており、これの横断面が円形状をなす円柱形状とされているが、角柱形状でも良い。ここで、バルブ室23の径、可動バルブ体41の径は、ダイヤフラム3の可動変形部分の径よりも小さく設定されている。可動バルブ体41は金属製であり、実質的に剛体として機能する。可動バルブ体41の受圧面47はボディ2の壁面2fに対面すると共に、可動バルブ体41のバルブ面44は第1絞り通路40に対面する。
【0027】
図1及び図2に示すように、絞り機構4は、第1絞り通路40よりも下流側に位置するように1次側通路61と2次側通路71との間に設けられた第2絞り通路52と、第1絞り通路40と第2絞り通路52との間に設けられた中間室53とを備えている。図2に示すように、中間室53は、可動バルブ体41のバルブ面44に対面する開口53hをもつ。第2絞り通路52は、第1絞り通路40を経たガスを更に絞って第1室21に供給する絞りである。第2絞り通路52の流路断面積は、第2絞り通路52の内周壁面52iと軸部48の外周壁面48sとで規定される。中間室53は弁座部49の内周壁面49iで規定される。中間室53は、第1絞り通路40と第2絞り通路52との間のガス圧を可動バルブ体41のバルブ面44に矢印Y1方向(第1絞り通路40の絞り開度Lを増加させる方向)に作用させる室である。図2に示すように、可動バルブ体41の外径をφAとし、中間室53の内径をφBとし、第2絞り通路52の内径をφC、軸部48の外径をφDとすると、φA>φB>φC>φDの関係とされている。
【0028】
図1に示すように、コイルバネで形成された付勢部材としてのダイヤフラムバネ7(受圧部材用弾性部材)が設けられている。ダイヤフラムバネ7はボディ2のボティ室20の第2室22にほぼ同軸的に設けられている。ダイヤフラムバネ7の一端部7aは、絞り機構4の第1支持部42の着座面42hに着座し、ダイヤフラムバネ7の他端部7bは後述の着座体92のリング状の着座面92hに着座する。この結果、ダイヤフラムバネ7は、ダイヤフラム3を矢印Y1方向(図示下方向)に付勢しており、ひいては可動バルブ体41を弁座部49から離間させるように付勢する。即ち、ダイヤフラムバネ7は、第1絞り通路40の絞り開度Lを増加させる方向に可動バルブ体41を付勢する付勢力を有する。
【0029】
図1に示すように、絞り機構4は、可動バルブ体41とボディ2のバルブ室23の壁面2fとの間に設けられたコイルバネで形成された付勢部材として機能するバルブバネ8(可動バルブ体用弾性部材)を備えている。バルブバネ8により可動バルブ体41は矢印Y2方向に付勢されており、つまり、可動バルブ体41のバルブ面44が弁座部49に接近する方向に付勢されている。即ち、バルブバネ8は、第1絞り通路40の絞り開度Lを減少させる方向に可動バルブ体41を付勢する付勢力を有する。また、ダイヤフラムバネ7のバネ定数をK1、バルブバネ8のバネ数をK2とすると、K1>K2に設定されている。なお、ダイヤフラムバネ7、バルブバネ8の材質としては特に限定されず、金属(例えば鉄系、ステンレス鋼系、チタン系、アルミニウム系)、セラミックス、硬質樹脂等のうちの少なくとも1種を採用することができる。
【0030】
前述したように、バルブバネ8及びダイヤフラムバネ7は、互いに逆向きの付勢力を発揮する。このため可動バルブ体41のバルブ面44と第2支持部43の軸部48の先端部48aとの接触性は、確保されている。本実施形態によれば、ダイヤフラムバネ7のバネ荷重はバルブバネ8のバネ荷重よりも大きく設定されている。これはガスが導入されていないとき、第1絞り通路40を開放状態に維持するためである。
【0031】
上記した本実施形態に係るガス減圧弁1を使用する際には、高圧の燃料ガスを装填したガス供給源65から、上流ガス減圧弁200を経て、相対的に高圧の燃料ガスが1次側通路61に供給される。その高圧のガスは、第1絞り通路40の絞り開度Lにより流量が制限され減圧され、更に、第2絞り通路52により流量が制限されて減圧される。このため、第1絞り通路40及び第2絞り通路52の下流に位置する第1室21の圧力は、1次側通路61の圧力よりも減圧される。第1絞り通路40及び第2絞り通路52により減圧されて設定圧に低圧化されたガスは、第1室21を通過し、ポート2kを介して2次側通路71に至り、更に燃料電池100の燃料極101に供給され、発電反応に使用される。
【0032】
ここで、ダイヤフラムバネ7がこれのバネ荷重(付勢力)により、ダイヤフラム3、第1支持部42及び第2支持部43を介して可動バルブ体41を矢印Y1方向に向かう方向(下向き,第1絞り通路40の開放方向)に付勢する力をFsp1とする。まだ第1絞り通路40により減圧された第1室21の圧力と第2室22の圧力との差圧に基づいて、ダイヤフラム3が受ける矢印Y2方向(上向き、第1絞り通路40の閉鎖方向)に向かう力をFdとする。更に、バルブバネ8が可動バルブ体41を矢印Y2方向(上向き,第1絞り通路40の閉鎖方向)に付勢する力をFsp2とする。可動バルブ体41のバルブ面44が矢印Y1方向に向かう下向きの圧力と、可動バルブ体41の受圧面47がバルブ室23のガス圧(1次側通路61の1次圧)により上向きに受圧する圧力との差を力FΔp(上向き)とする。
【0033】
基本的には、矢印Y1方向に向かう下向きの力と、矢印Y2方向に向かう上向きの力の合計とが均衡した時点において、可動バルブ体41の位置が規定される。この均衡により基本的には第1絞り通路40の絞り開度Lは規定される。上記した参考形態に係るガス減圧弁によれば、ある1次圧P1である流量Qを固定条件として考えると、荷重は基本的には(式1)が成立するように均衡する。
下向き加重=上向き加重
Fsp1=Fd+Fsp2+FΔp……(式1)
【0034】
本実施形態によれば、第1絞り通路40を設けるものの第2絞り通路52を設けない参考形態に比較して、第1室21の圧力、つまり、2次側通路71の2次圧を増加させることができる。これは試験で確認されている。
【0035】
以下、これについて説明を加える。図4は本実施形態に係るガス減圧弁1に近似した構造及びサイズをもつガス減圧弁をあらわす参考形態を示す。参考形態のガス減圧弁Xは、実施形態に係るガス減圧弁1と基本的には同様の構成を有し、同様の作用効果を有する。しかしながら参考形態に係るガス減圧弁1Xでは、図4に示すように第1絞り通路40が設けられているものの、第2絞り通路52が設けられていない。
【0036】
上記した参考形態に係るガス減圧弁1Xによれば、ある1次圧P1である流量Qを固定条件として考えると、前述したように、荷重は基本的には(式1)が成立するように均衡する。
Fsp1=Fd+Fsp2+FΔp……(式1)
【0037】
ここで、1次側通路61の1次圧をP1とし、第1絞り通路40の下流の圧力をP2とし、第1室21の圧力をP3とするとき、圧力分布を模擬的に示すと、図5の特性線N1に示すようになる。上記した参考形態では、第1絞り通路40が設けられているものの、第2絞り通路52が設けられていないため、図5の特性線N1に示すように基本的にはP2≒P3であると考えられる。
【0038】
図6は、参考形態に係るガス減圧弁1Xを使用したとき、2次側通路71のガス流量と2次側通路71の2次圧(調整圧)との調圧特性の関係を模擬的に示す。図6に示す特性線M10は、1次側通路61に供給された供給圧が相対的に高い供給圧Aのときの調圧特性を示す。図6に示す特性線M20は、1次側通路61に供給された供給圧が相対的に低い供給圧B(A>B)のときの調圧特性を示す。特性線M10,特性線M20に示すように、ガス流量が増加すれば、2次側通路71の2次圧(調整圧)が次第に低下する調圧特性となる。特性線M10,特性線M20の下降傾斜度合αは比較的大きい。
【0039】
この場合、参考形態に係るガス減圧弁1Xに供給される1次圧を供給圧Aから供給圧Bに変えたとき、特性線S10に示す調圧特性が得られる。しかしながら特性線S10に示す調圧特性は、流量が増加すると調整圧は大きく低下する特性となる。
【0040】
これに対して図1に示す実施形態のように、第1絞り通路40の下流に直列的に第2絞り通路52を設けて中間室53の圧力を可動バルブ体41に作用させるガス減圧弁1のときには、第2絞り通路52の影響で、第2絞り通路52の上流側の中間室53の圧力が増加する。このため中間室53のガス圧が可動バルブ体41のバルブ面44を矢印Y1方向(下向き)に作用させる力が増加し、FΔpが小さくなる。
【0041】
ここで、Fsp1及びFsp2が基本的には一定であると考えると、FΔpの減少分は、Fdが大きくなることで上向きの荷重と下向きの荷重の均衡が図れる。 図7及び図8は、本実施形態に係るガス減圧弁1を使用したとき、2次側通路71から吐出されるガス流量と2次側通路71の調整圧(2次圧)との関係を模擬的に示す。図7に示す特性線M1は、ガス減圧弁1の1次側通路61に供給された供給圧(1次圧)が相対的に高い供給圧Aのときにおける調圧特性を示す。図7に示す特性線M2は、1次側通路61に供給された供給圧(1次圧)が相対的に低い供給圧B(A>B)のときにおける調圧特性を示す。
【0042】
本実施形態に係るガス減圧弁1によれば、特性線M1,特性線M2に示すように、2次側通路71から吐出されるガス流量が増加すれば、2次側通路71の2次圧P2が次第に低下する。しかし本実施形態によれば、前述したように第2絞り通路52を設けないときに比較して、第1室21の圧力、つまり、2次側通路71の2次圧P2を増加させることができるため、ガスの流量を横軸とすると共にガスの2次圧を縦軸として調圧特性をグラフ化するとき、ガスの流量が少ないときから多くなるように移行するとき、図7及び図8に示すように、特性線M1,M2の下降傾斜度合αは、前記した特性線M10,M21の下降傾斜度合よりも緩くなり、つまり、吐出される流量が増加したとしても2次圧(調整圧)の低下が抑えられ、下降する傾きが緩やかとなる調圧特性が得られる。あるいは、ガスの流量を横軸とすると共にガスの2次圧を縦軸として調圧特性をグラフ化するとき、水平に近くなる調圧特性(水平調圧特性)が得られる。
【0043】
また、1次側通路61に供給される1次圧が相対的に高い供給圧Aのときには、FΔpが増加すると共に第1絞り通路40の絞り開度Lが減少し、上向き(矢印Y2方向)の荷重が増大し、特性線M1は調整圧の低い側に推移する傾向がある(図8参照)。逆に、1次側通路61に供給される1次圧が相対的に低い供給圧Bのときには、FΔpが減少すると共に第1絞り通路40の絞り開度Lが増加し、上向き(矢印Y2方向)の荷重が減少するため、特性線M2は調整圧の高い側に推移する傾向がある(図8参照)。
【0044】
従って、本実施形態に係るガス減圧弁1の1次側通路61に供給される圧力を、高い供給圧Aと低い供給圧Bとの間において適宜調整すれば、結果として、図7に示す特性線S1に示すように、ガス流量を増加させたとしても調整圧(2次側通路71の圧力)があまり減少しないように水平に近い状態、あるいは、ほぼ水平状態に維持できる調圧特性を得ることもできる。あるいは、図8に示す特性線S2に示すように、ガス流量を増加させるにつれて調整圧(2次側通路71の圧力)を増加させる調圧特性を得ることもできる。
【0045】
ところで図1及び図3に示すように 上記したガス減圧弁1は,ガス供給源65とガス使用部である燃料電池100とをつなぐガス供給通路に上流ガス減圧弁200と共に直列的に設けられており、燃料ガスをガス供給源65から燃料電池100に供給する減圧システムを構成している。上流ガス減圧弁200はガス減圧弁1の上流に設けられている。上流ガス減圧弁200はガス入口200a及びガス出口200cをもち、ガス出口200cからガス減圧弁1の1次側通路61に向けて吐出されるガスの圧力を可変に調整できる特性をもつ。即ち、上流ガス減圧弁200のガス出口200cはガス減圧弁1の1次側通路61に繋がり、ガスをガス減圧弁1の1次側通路61に供給する。
【0046】
図9は上流ガス減圧弁200の調圧特性を示す。上流ガス減圧弁200によれば、図9の特性線に示すように、上流ガス減圧弁200のガス出口200cから吐出されるガスの流量が増加すれば、ガス出口200cから吐出される調整圧は次第に減少する調圧特性を示す。即ち、0N/minときには、相対的に高い供給圧Aのガスが上流ガス減圧弁200のガス出口200cからガス減圧弁1の1次側通路61に供給される。また、最大流量のときには、相対的に低い供給圧Bのガスが上流ガス減圧弁200のガス出口200cからガス減圧弁1の1次側通路61に供給される。
【0047】
従って、図1及び図3に示すように上流ガス減圧弁200の下流にガス減圧弁1を直列に設置させた減圧システムによれば、上流ガス減圧弁200のガス出口200cからガス減圧弁1の1次側通路71に吐出されるガス圧を、相対的に高い供給圧Aと相対的に低い供給圧Bとの間において適宜調整できる。このため、結果として、図7に示す特性線S1に示すように、ガス流量を増加させたとしても調整圧(2次側通路71の圧力)の低下が抑えられ水平に近い状態に維持される調圧特性を得ることもできる。あるいは、図8に示す特性線S2に示すように、ガス流量を増加させるにつれて調整圧(2次側通路71の圧力)を増加させる調圧特性を得ることもできる。
【0048】
図10は、上記したシステムにおいて好ましいと考えられている流量−調整圧の関係を示す。この場合、流量が増加すると、調整圧(2次側通路71の圧力)を増加させることができる特性である。本実施形態によれば、条件を適応させれば、図10に示す好ましい調圧特性を達成させることも可能となる。
【0049】
図11は実際のガス減圧弁1を用いて実際に試験した試験結果を示す。図11の横軸は流した空気の流量(NLM)を示す。図11の縦軸は2次圧(Gはゲージ圧を示す)を示す。この場合、可動バルブ体41の外径φAは7ミリメートル、中間室53の内径φBは6.5ミリメートルとし、第2絞り通路52の内径φCは4.4ミリメートル、軸部48の外径φDは3.2ミリメートルとされている。図11に係る特性線W1は、本実施形態に係るガス減圧弁1の結果を示す。特性線W2は、参考形態に係るガス減圧弁1X(第1絞り通路40を有するものの、第2絞り通路52を有しないもの)の結果を示す。参考形態に係るガス減圧弁1Xでは、特性線W2の下降傾斜の度合が大きかった。これに対して本実施形態に係るガス減圧弁1では、特性線W1の下降傾斜の度合は小さく、水平に近いものであった。
【0050】
(適用形態)
図12は適用形態を示す。この適用形態によれば、燃料電池発電システムは、車載用または定置用であり、図12に示すように、燃料極101及び酸化剤極102を有する燃料電池100と、発電前の燃料ガスを燃料電池100の燃料極101に供給する燃料用のガス供給通路500と、発電前の酸化剤ガス(一般的には空気)を燃料電池100の酸化剤極102に供給する酸化剤ガス用のガス供給通路103と、発電後の燃料オフガスを弁104を介して排出させる燃料オフガス用のガス排出通路105と、発電後の酸化剤オフガスを通過させる酸化剤オフガス用のガス排出通路106とを備えている。
【0051】
ガス供給通路500は燃料電池100の燃料極101のガス入口の上流に位置する。酸化剤ガス用のガス供給通路103には、酸化剤ガスを燃料電池100の酸化剤極102に供給するガス供給源であるコンプレッサ107が設けられている。燃料用のガス供給通路500において、高圧燃料ガス源であるガス供給源65側に上流ガス減圧弁200が設けられ、更に、上流ガス減圧弁200の下流に位置するように前記したガス減圧弁1が設けられている。
【0052】
従って燃料電池用ガス減圧系510は、上流ガス減圧弁200と、下流ガス減圧弁に相当するガス減圧弁1とを備えている。
【0053】
この適用形態によれば、ガス供給源65から吐出される相対的に高圧の燃料ガスは上流ガス減圧弁200で減圧され、更にガス減圧弁1を介して所定の設定圧力まで減圧され、燃料電池100の燃料極101に供給され、発電反応に使用される。また酸化剤ガス(一般的には空気)はコンプレッサ107の駆動により燃料電池100の酸化剤極102に供給され、発電反応に使用される。
【0054】
前述したように、本適用形態によれば、2次側通路から吐出されるガスの流量を横軸とすると共に2次側通路から吐出される2次圧を縦軸として調圧特性をグラフ化すると、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧の低下を抑えるように、特性線は2次圧の変化が水平に近い状態に設定されている調圧特性が得られる。あるいは、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧が増加するような調圧特性が得られる。従って燃料電池発電システムによれば、ガス減圧弁1の2次圧を高めるのに有利であり、ひいては燃料電池100に供給するガスの圧力を高めるのに有利であり、燃料電池100の低負荷時ばかりか、高負荷時にも対応することができる。よって、車載用または定置用の燃料電池発電システムに適する。
【0055】
(その他)
上記した実施形態1によれば、ガス減圧弁1は燃料電池100の燃料極101に送られる燃料ガスの制御バルブとして使用されているが、これに限らず、燃料電池100の酸化剤極(空気極)102に送られる酸化剤ガスの制御バルブとして使用しても良い。上記した実施形態によれば、ダイヤフラムバネ7及びバルブバネ8はコイルバネとされているが、これに限らず、板バネなどの他の種類のバネとしても良く、あるいは、ゴムや軟質樹脂等で形成しても良い。上記した実施形態1によれば、絞り開度Lは、例えば2ミリメートル以下,1ミリメートル以下,500マイクロメートル以下とされているが、これに限られるものではなく、上記した値よりも更に大きくすることもできる。上記した実施形態1によれば、受圧部材としてダイヤフラム3が採用されているが、矢印Y1,Y2方向に伸縮可能な蛇腹構造をもつ蛇腹部材を受圧部材として用いても良い。ボディ2は単独でも良いし、あるいは、他の機器と共用されている形態でも良い。上記した実施形態によれば、ガス減圧弁1は燃料電池発電システムに適用されているが、これに限らず、ガスの圧力または流量等を制御する他のシステム、装置、設備等に適用しても良いものである。その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明はガスの圧力、流量等を制御するシステム、装置、設備等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態に係り、ガス減圧弁を模擬的に示す断面図である。
【図2】実施形態に係り、ガス減圧弁の第1絞り通路及び第2絞り通路付近を模擬的に示す断面図である。
【図3】実施形態に係り、上流ガス減圧弁及びガス減圧弁を有するガス減圧システムを示す構成図である。
【図4】第2絞り通路を有しない参考形態に係り、ガス減圧弁の第1絞り通路を模擬的に示す断面図である。
【図5】参考形態及び実施形態に係り、圧力分布特性を示すグラフである。
【図6】参考形態に係り、2次側通路のガス流量と2次側通路の2次圧との関係を示すグラフである。
【図7】実施形態に係り、2次側通路のガス流量と2次側通路の2次圧との関係を示すグラフである。
【図8】実施形態に係り、2次側通路のガス流量と2次側通路の2次圧との関係を示すグラフである。
【図9】ガス減圧システムの構成要素である上流ガス減圧弁の調圧特性を模擬的に示すグラフである。
【図10】好ましい調圧特性を示すグラフである。
【図11】実施形態のガス減圧弁と参考形態に係るガス減圧弁とについて調圧特性を確認する試験を行った試験結果を示すグラフである。
【図12】適用形態に係り、燃料電池発電システムを模擬的に示す構成図である。
【符号の説明】
【0058】
図中、1はガス減圧弁(下流ガス減圧弁)、20はボティ室、21は第1室、22は第2室、23はバルブ室、3はダイヤフラム(受圧部材)、61は1次側通路(1次側通路)、71は2次側通路、4は絞り機構、40は第1絞り通路、52は第2絞り通路、53は中間室、41は可動バルブ体、6は1次側通路、7はダイヤフラムバネ(ダイヤフラム用弾性部材)、8はバルブバネ(可動バルブ体用弾性部材)、100は燃料電池、101は燃料極、102は酸化剤極、200は上流ガス減圧弁、510は燃料電池用ガス減圧系を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤフラム等の受圧部材を有するガス減圧弁、当該ガス減圧弁を搭載するガス減圧システム、及び、当該ガス減圧弁を搭載する燃料電池発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス減圧弁として、ボティ室をもつボディと、ボディのボティ室を第1室と第2室とに区画する変形可能なダイヤフラムと、ガスが供給される高圧側通路である1次側通路と、低圧側通路である2次側通路と、1次側通路と2次側通路との間に設けられた絞り通路と絞り通路を開閉する可動バルブ体とをもち可動バルブ体により絞り通路の絞り開度を調整する絞り機構と、絞り機構の絞り開度を増加させる方向にダイヤフラムを付勢する付勢力を発揮するコイルバネとを備えているものが知られている(特許文献1)。
【0003】
このガス用バルブによれば、1次側通路のガスが絞り通路で絞られて2次側通路に至る。2次側通路の圧力が増加すると、ダイヤフラムの受圧力が増加してダイヤフラムが変形し、可動バルブ体が絞り通路の開度を減少させる方向に動作し、2次側通路の圧力の増加が抑制される。
【特許文献1】特開2002−371916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に係る技術によれば、ガスを供給する場合、低負荷時では、配管、流路等の圧損が少ないため、供給圧は相対的に低くて良い。これに対して高負荷時では、配管、流路等の圧損が大きいため、高い圧力でガスを供給することが好ましい。
【0005】
しかしながら特許文献1に係る上記したガス減圧弁の2次圧である調整圧(例えば燃料電池の燃料供給圧)は、ガスの流量の増加に伴い低下するため、減圧弁の2次圧である調整圧を上記したような好ましい圧力とした状態で機器(例えば燃料電池)に供給できないという問題があった。
【0006】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、2次圧を高めるのに有利なガス減圧弁、ガス減圧システム及び燃料電池発電システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)第1発明のガス減圧弁は、ガスが供給される1次側通路とガスが吐出される2次側通路と1次側通路及び2次側通路の間に形成されたボティ室とをもつボディと、
ボディのボティ室に配設されボティ室を第1室と第2室とに区画する変形可能な受圧部材と、
1次側通路と2次側通路との間に設けられ1次側通路から2次側通路に流れるガスを絞って減圧させて第1室を経て2次側通路に供給する絞り機構と、
ボディの第2室に設けられ絞り機構の絞り開度を増加させる方向に受圧部材を付勢する付勢力をもつ受圧部材用弾性部材とを具備しており、
絞り機構は、
1次側通路と2次側通路との間に設けられ1次側通路から2次側通路に流れるガスを絞って減圧させる第1絞り通路と、第1絞り通路の絞り開度を可変に調整する可動バルブ体と、第1絞り通路の絞り開度を小さくする方向に可動バルブ体を付勢する付勢力をもつ可動バルブ体用弾性部材とを備えており、
2次側通路から吐出されるガスの流量を横軸とすると共に2次側通路から吐出されるガスの2次圧を縦軸として調圧特性をグラフ化するとき、
ガスの流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧の低下を抑えるように設定されている調圧特性、あるいは、ガスの流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧が増加するような調圧特性に設定されていることを特徴とするものである。
【0008】
第1発明のガス減圧弁によれば、ガスの流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧の低下を抑える調圧特性に設定されているか、あるいは、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧が増加するような調圧特性に設定されている。従って第1発明のガス減圧弁から吐出されるガスの流量が増加しても2次圧を高めるのに有利である。
【0009】
(2)第2発明に係るガス減圧弁は、ガスが供給される1次側通路とガスが吐出される2次側通路と1次側通路及び2次側通路の間に形成されたボティ室とをもつボディと、
ボディのボティ室に配設されボティ室を第1室と第2室とに区画する変形可能な受圧部材と、
1次側通路と2次側通路との間に設けられ1次側通路から2次側通路に流れるガスを絞って減圧させて第1室を経て2次側通路に供給する絞り機構と、
ボディの第2室に設けられ絞り機構の絞り開度を増加させる方向に前記受圧部材を付勢する付勢力をもつ受圧部材用弾性部材とを具備しており、
絞り機構は、
1次側通路と2次側通路との間に設けられ1次側通路から2次側通路に流れるガスを絞って減圧させる第1絞り通路と、第1絞り通路の絞り開度を可変に調整する可動バルブ体と、第1絞り通路の絞り開度を小さくする方向に可動バルブ体を付勢する付勢力をもつ可動バルブ体用弾性部材と、第1絞り通路よりも下流側に位置するように1次側通路と2次側通路との間に設けられ第1絞り通路を経たガスを更に絞って第1室に供給する第2絞り通路と、第1絞り通路と第2絞り通路との間に設けられ第1絞り通路と第2絞り通路との間のガス圧を可動バルブ体に作用させる中間室とを備えていることを特徴とするものである。
【0010】
第2発明に係るガス減圧弁によれば、2次側通路から吐出されるガスの流量を横軸とすると共に2次側通路から吐出される2次圧を縦軸として調圧特性をグラフ化するとき、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧の低下を抑えるように設定されている調圧特性、あるいは、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧が増加するような調圧特性が得られる。従って第2発明のガス減圧弁から吐出されるガスの流量が増加しても2次圧を高めるのに有利である。
【0011】
(3)第3発明に係るガス減圧システムは、ガス供給源とガス使用部とをつなぐガス供給通路に設けられガス入口及びガス出口をもちガス出口から吐出されるガスの圧力を可変に調整できる上流ガス減圧弁と、ガス供給通路において上流ガス減圧弁の前記ガス出口に繋がると共に上流ガス減圧弁よりも下流に設けられた下流ガス減圧弁とを具備するガス減圧システムにおいて、下流ガス減圧弁は、各請求項に記載のガス減圧弁で構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
第3発明に係るガス減圧システムによれば、下流ガス減圧弁の2次側通路から吐出されるガスの流量を横軸とすると共に下流ガス減圧弁の2次側通路から吐出される2次圧を縦軸として調圧特性をグラフ化するとき、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧の低下を抑えるように設定されている調圧特性か、あるいは、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧が増加するような調圧特性が得られる。従って第3発明に係るガス減圧システムによれば、ガス減圧弁から吐出される流量が増加しても、2次圧を高めるのに有利である。
【0013】
(4)第4発明に係る燃料電池発電システムは、燃料極及び酸化剤極を有する燃料電池と、燃料電池の燃料極に燃料ガスを供給する燃料用のガス供給通路と、燃料電池の酸化剤極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス用のガス供給通路と、燃料用のガス供給通路及び酸化剤ガス用のガス供給通路のうちの少なくとも一方において燃料電池の上流に設けられた燃料電池用ガス減圧系とを具備する燃料電池発電システムにおいて、燃料電池用ガス減圧系は、各請求項に記載のガス減圧弁を備えていることを特徴とするものである。
【0014】
第4発明に係る燃料電池発電システムによれば、ガス減圧弁の2次側通路から吐出されるガスの流量を横軸とすると共にガス減圧弁の2次側通路から吐出される2次圧を縦軸として調圧特性をグラフ化するとき、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧の低下を抑えるように設定されている調圧特性か、あるいは、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧が増加するような調圧特性が得られる。従って第4発明に係る燃料電池発電システムによれば、ガス減圧弁から吐出されるガスの流量が増加しても2次圧を高めるのに有利であり、ひいては燃料電池に供給するガスの圧力を高めるのに有利であり、燃料電池の低負荷時ばかりか、高負荷時にも対応することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ガスの流量が増加しても2次圧を高めるのに有利なガス減圧弁を提供できる。更に、ガスの流量が増加しても2次圧を高めるのに有利なガス減圧システムを提供できる。更に、ガス減圧弁から吐出され燃料電池に供給される活物質を含むガスの圧力(燃料電池の供給圧)を高めるのに有利な燃料電池発電システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を燃料電池発電システムに適用した実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。この燃料電池発電システムは、車両用、定置用、携帯用等の用途に使用することができる。燃料電池100は燃料極101及び酸化剤極102を有する。本実施形態に係るガス減圧弁1は、燃料電池(ガス使用部)100の燃料極101のガス入口101cの上流側に設けられるものである。ガス減圧弁1は燃料ガス(例えば活物質である水素を含む水素ガス、または、水素含有ガス)用のガス減圧弁であり、上流ガス減圧弁200よりも下流に設けられた下流ガス減圧弁に相当する。
【0017】
このガス減圧弁1は、図1に示すように、ボティ室20をもつと共にボティ室20の下方に壁部で仕切られたバルブ室23をもつボディ2と、ボディ2のボティ室20を第1室21と第2室22とに区画する変形可能な受圧部材として機能するダイヤフラム3と、燃料電池100の燃料極101で使用される活物質を含むガス(燃料ガス)が供給されると共にボティ室20の第1室21に繋がる1次側通路61と、燃料電池100の燃料極101の燃料極101及びボティ室20の第1室21に繋がる2次側通路71と、1次側通路61と2次側通路71との間に設けられた第1絞り通路40をもちダイヤフラム3の変形に伴い第1絞り通路40の絞り開度Lを可変とする絞り機構4とを備えている。
【0018】
第1絞り通路40の絞り開度Lは、ガス減圧弁1のサイズ、ガス減圧弁1が用いられる用途、流れるガスの組成等によっても相違するものの、例えば2ミリメートル以下,1ミリメートル以下,500マイクロメートル以下とすることができる。燃料ガスの主要成分が水素ガスである場合には、粘性が低くて流れ易いため、絞り開度Lは小さくて済む。使用時には、第1絞り通路40の圧損は第2絞り通路52の圧損よりも大きくされている。
【0019】
1次側通路61は上流ガス減圧弁200を介してガス供給源65(例えばガスタンク)に繋がる。ガス供給源65の高圧の燃料ガスが1次側通路61に供給される。燃料ガスとしては純水素ガスまたは水素含有ガス等を使用できる。ここで、高圧及び低圧は燃料ガスの相対的な高低の意味である。従って、高圧とは2次側通路71のガス圧力よりも高圧という意味である。低圧とは1次側通路61のガス圧力よりも低圧という意味である。例えば、1次側通路61のガスの圧力は1〜3MPaにすることができ、2次側通路71のガスの圧力は10〜900kPa、100〜400kPaにすることができる。但しこれらに限定されるものではない。
【0020】
図1に示すように、1次側通路61は絞り機構4の第1絞り通路40の上流に設けられており、2次側通路71は絞り機構4の第1絞り通路40の下流に設けられている。第1絞り通路40は、燃料電池100の燃料極101において使用される活物質を含む1次側通路61のガス(燃料ガス)の流量を制限して減圧し、2次側通路71に供給する。
【0021】
図1に示すように、ボディ2はボティ室20を有する。ダイヤフラム3は、ゴムや軟質樹脂等の弾性材料または金属を基材としガスバリヤ性を有する膜状に形成されている。ダイヤフラム3は、ボディ2のボティ室20を、燃料ガスが流入する第1室21と、燃料ガスが流入されない第2室22とに仕切って区画するため、仕切部材として機能することができる。第2室22は第1室21,1次側通路61、2次側通路71に連通しないものの、大気開放ポート22mを介して大気に連通する。このように第2室22は大気開放とされるため、高圧状態にならない。
【0022】
仕切部材として機能できるダイヤフラム3の外周部3pは、ボディ2に挟持されて保持されている。ダイヤフラム3の中央域は、第1室21及び第2室22の差圧に応じて、矢印Y2(上方向)、矢印Y1方向(下方向)に変形可能とされている。矢印Y2方向は第1室21の容積を増加させる方向を意味すると共に、第1絞り通路40の絞り開度Lを減少させる方向を意味する。矢印Y1方向は第1室21の容積を減少させる方向を意味すると共に、第1絞り通路40の絞り開度Lを増加させる方向を意味する。図1から理解できるように、第1絞り通路40の下流に位置する第1室21(2次側通路71を経て燃料電池100に繋がる)の圧力がダイヤフラム3の下面としての表面3mに作用する。
【0023】
図1に示すように、絞り機構4は、燃料電池100に供給されるガス(燃料ガス)の流量を制限するようにボディ2に形成された第1絞り通路40と、第1絞り通路40を開閉するピストン状の可動バルブ体41と、ダイヤフラム3の中央域を挟持するように設けられた第1支持部42及び第2支持部43とを有する。可動バルブ体41は互いに背向する受圧面47及びバルブ面44をもつ。可動バルブ体41の受圧面47には、可動バルブ体41を矢印Y2方向に付勢するように1次側通路61の1次圧が作用する。なお本実施形態によれば、受圧面47は可動バルブ体41の図示下面とされている。バルブ面44は可動バルブ体41の図示上面とされている。
【0024】
第1絞り通路40は、第1絞り通路40を1周するリング形状の弁座部49を片面側つまり下面側にもつ。第2支持部43の軸部48は、第2支持部43から遠ざかるように下方に向けて延設されており、第2絞り通路52に挿通されている。後述するダイヤフラムバネ7の付勢力により、第2支持部43の軸部48の先端部48a(下端部)は、可動バルブ体41のバルブ面44に当接する。
【0025】
ここで、第1絞り通路40の弁座部49と可動バルブ体41のバルブ面44との間は、第1絞り通路40の絞り開度Lとされる。図1において絞り開度Lの隙間幅は強調されているが、実際には小さいものである。可動バルブ体41のバルブ面44は弁座部49に対面しており、第1絞り通路40の全閉時において第1絞り通路40の弁座部49に着座できる。
【0026】
図1に示すように、可動バルブ体41は、ボディ2のバルブ室23に矢印Y2、Y1方向(上下方向)に移動可能に嵌合されている。可動バルブ体41はダイヤフラム3の図示下方に配置されており、これの横断面が円形状をなす円柱形状とされているが、角柱形状でも良い。ここで、バルブ室23の径、可動バルブ体41の径は、ダイヤフラム3の可動変形部分の径よりも小さく設定されている。可動バルブ体41は金属製であり、実質的に剛体として機能する。可動バルブ体41の受圧面47はボディ2の壁面2fに対面すると共に、可動バルブ体41のバルブ面44は第1絞り通路40に対面する。
【0027】
図1及び図2に示すように、絞り機構4は、第1絞り通路40よりも下流側に位置するように1次側通路61と2次側通路71との間に設けられた第2絞り通路52と、第1絞り通路40と第2絞り通路52との間に設けられた中間室53とを備えている。図2に示すように、中間室53は、可動バルブ体41のバルブ面44に対面する開口53hをもつ。第2絞り通路52は、第1絞り通路40を経たガスを更に絞って第1室21に供給する絞りである。第2絞り通路52の流路断面積は、第2絞り通路52の内周壁面52iと軸部48の外周壁面48sとで規定される。中間室53は弁座部49の内周壁面49iで規定される。中間室53は、第1絞り通路40と第2絞り通路52との間のガス圧を可動バルブ体41のバルブ面44に矢印Y1方向(第1絞り通路40の絞り開度Lを増加させる方向)に作用させる室である。図2に示すように、可動バルブ体41の外径をφAとし、中間室53の内径をφBとし、第2絞り通路52の内径をφC、軸部48の外径をφDとすると、φA>φB>φC>φDの関係とされている。
【0028】
図1に示すように、コイルバネで形成された付勢部材としてのダイヤフラムバネ7(受圧部材用弾性部材)が設けられている。ダイヤフラムバネ7はボディ2のボティ室20の第2室22にほぼ同軸的に設けられている。ダイヤフラムバネ7の一端部7aは、絞り機構4の第1支持部42の着座面42hに着座し、ダイヤフラムバネ7の他端部7bは後述の着座体92のリング状の着座面92hに着座する。この結果、ダイヤフラムバネ7は、ダイヤフラム3を矢印Y1方向(図示下方向)に付勢しており、ひいては可動バルブ体41を弁座部49から離間させるように付勢する。即ち、ダイヤフラムバネ7は、第1絞り通路40の絞り開度Lを増加させる方向に可動バルブ体41を付勢する付勢力を有する。
【0029】
図1に示すように、絞り機構4は、可動バルブ体41とボディ2のバルブ室23の壁面2fとの間に設けられたコイルバネで形成された付勢部材として機能するバルブバネ8(可動バルブ体用弾性部材)を備えている。バルブバネ8により可動バルブ体41は矢印Y2方向に付勢されており、つまり、可動バルブ体41のバルブ面44が弁座部49に接近する方向に付勢されている。即ち、バルブバネ8は、第1絞り通路40の絞り開度Lを減少させる方向に可動バルブ体41を付勢する付勢力を有する。また、ダイヤフラムバネ7のバネ定数をK1、バルブバネ8のバネ数をK2とすると、K1>K2に設定されている。なお、ダイヤフラムバネ7、バルブバネ8の材質としては特に限定されず、金属(例えば鉄系、ステンレス鋼系、チタン系、アルミニウム系)、セラミックス、硬質樹脂等のうちの少なくとも1種を採用することができる。
【0030】
前述したように、バルブバネ8及びダイヤフラムバネ7は、互いに逆向きの付勢力を発揮する。このため可動バルブ体41のバルブ面44と第2支持部43の軸部48の先端部48aとの接触性は、確保されている。本実施形態によれば、ダイヤフラムバネ7のバネ荷重はバルブバネ8のバネ荷重よりも大きく設定されている。これはガスが導入されていないとき、第1絞り通路40を開放状態に維持するためである。
【0031】
上記した本実施形態に係るガス減圧弁1を使用する際には、高圧の燃料ガスを装填したガス供給源65から、上流ガス減圧弁200を経て、相対的に高圧の燃料ガスが1次側通路61に供給される。その高圧のガスは、第1絞り通路40の絞り開度Lにより流量が制限され減圧され、更に、第2絞り通路52により流量が制限されて減圧される。このため、第1絞り通路40及び第2絞り通路52の下流に位置する第1室21の圧力は、1次側通路61の圧力よりも減圧される。第1絞り通路40及び第2絞り通路52により減圧されて設定圧に低圧化されたガスは、第1室21を通過し、ポート2kを介して2次側通路71に至り、更に燃料電池100の燃料極101に供給され、発電反応に使用される。
【0032】
ここで、ダイヤフラムバネ7がこれのバネ荷重(付勢力)により、ダイヤフラム3、第1支持部42及び第2支持部43を介して可動バルブ体41を矢印Y1方向に向かう方向(下向き,第1絞り通路40の開放方向)に付勢する力をFsp1とする。まだ第1絞り通路40により減圧された第1室21の圧力と第2室22の圧力との差圧に基づいて、ダイヤフラム3が受ける矢印Y2方向(上向き、第1絞り通路40の閉鎖方向)に向かう力をFdとする。更に、バルブバネ8が可動バルブ体41を矢印Y2方向(上向き,第1絞り通路40の閉鎖方向)に付勢する力をFsp2とする。可動バルブ体41のバルブ面44が矢印Y1方向に向かう下向きの圧力と、可動バルブ体41の受圧面47がバルブ室23のガス圧(1次側通路61の1次圧)により上向きに受圧する圧力との差を力FΔp(上向き)とする。
【0033】
基本的には、矢印Y1方向に向かう下向きの力と、矢印Y2方向に向かう上向きの力の合計とが均衡した時点において、可動バルブ体41の位置が規定される。この均衡により基本的には第1絞り通路40の絞り開度Lは規定される。上記した参考形態に係るガス減圧弁によれば、ある1次圧P1である流量Qを固定条件として考えると、荷重は基本的には(式1)が成立するように均衡する。
下向き加重=上向き加重
Fsp1=Fd+Fsp2+FΔp……(式1)
【0034】
本実施形態によれば、第1絞り通路40を設けるものの第2絞り通路52を設けない参考形態に比較して、第1室21の圧力、つまり、2次側通路71の2次圧を増加させることができる。これは試験で確認されている。
【0035】
以下、これについて説明を加える。図4は本実施形態に係るガス減圧弁1に近似した構造及びサイズをもつガス減圧弁をあらわす参考形態を示す。参考形態のガス減圧弁Xは、実施形態に係るガス減圧弁1と基本的には同様の構成を有し、同様の作用効果を有する。しかしながら参考形態に係るガス減圧弁1Xでは、図4に示すように第1絞り通路40が設けられているものの、第2絞り通路52が設けられていない。
【0036】
上記した参考形態に係るガス減圧弁1Xによれば、ある1次圧P1である流量Qを固定条件として考えると、前述したように、荷重は基本的には(式1)が成立するように均衡する。
Fsp1=Fd+Fsp2+FΔp……(式1)
【0037】
ここで、1次側通路61の1次圧をP1とし、第1絞り通路40の下流の圧力をP2とし、第1室21の圧力をP3とするとき、圧力分布を模擬的に示すと、図5の特性線N1に示すようになる。上記した参考形態では、第1絞り通路40が設けられているものの、第2絞り通路52が設けられていないため、図5の特性線N1に示すように基本的にはP2≒P3であると考えられる。
【0038】
図6は、参考形態に係るガス減圧弁1Xを使用したとき、2次側通路71のガス流量と2次側通路71の2次圧(調整圧)との調圧特性の関係を模擬的に示す。図6に示す特性線M10は、1次側通路61に供給された供給圧が相対的に高い供給圧Aのときの調圧特性を示す。図6に示す特性線M20は、1次側通路61に供給された供給圧が相対的に低い供給圧B(A>B)のときの調圧特性を示す。特性線M10,特性線M20に示すように、ガス流量が増加すれば、2次側通路71の2次圧(調整圧)が次第に低下する調圧特性となる。特性線M10,特性線M20の下降傾斜度合αは比較的大きい。
【0039】
この場合、参考形態に係るガス減圧弁1Xに供給される1次圧を供給圧Aから供給圧Bに変えたとき、特性線S10に示す調圧特性が得られる。しかしながら特性線S10に示す調圧特性は、流量が増加すると調整圧は大きく低下する特性となる。
【0040】
これに対して図1に示す実施形態のように、第1絞り通路40の下流に直列的に第2絞り通路52を設けて中間室53の圧力を可動バルブ体41に作用させるガス減圧弁1のときには、第2絞り通路52の影響で、第2絞り通路52の上流側の中間室53の圧力が増加する。このため中間室53のガス圧が可動バルブ体41のバルブ面44を矢印Y1方向(下向き)に作用させる力が増加し、FΔpが小さくなる。
【0041】
ここで、Fsp1及びFsp2が基本的には一定であると考えると、FΔpの減少分は、Fdが大きくなることで上向きの荷重と下向きの荷重の均衡が図れる。 図7及び図8は、本実施形態に係るガス減圧弁1を使用したとき、2次側通路71から吐出されるガス流量と2次側通路71の調整圧(2次圧)との関係を模擬的に示す。図7に示す特性線M1は、ガス減圧弁1の1次側通路61に供給された供給圧(1次圧)が相対的に高い供給圧Aのときにおける調圧特性を示す。図7に示す特性線M2は、1次側通路61に供給された供給圧(1次圧)が相対的に低い供給圧B(A>B)のときにおける調圧特性を示す。
【0042】
本実施形態に係るガス減圧弁1によれば、特性線M1,特性線M2に示すように、2次側通路71から吐出されるガス流量が増加すれば、2次側通路71の2次圧P2が次第に低下する。しかし本実施形態によれば、前述したように第2絞り通路52を設けないときに比較して、第1室21の圧力、つまり、2次側通路71の2次圧P2を増加させることができるため、ガスの流量を横軸とすると共にガスの2次圧を縦軸として調圧特性をグラフ化するとき、ガスの流量が少ないときから多くなるように移行するとき、図7及び図8に示すように、特性線M1,M2の下降傾斜度合αは、前記した特性線M10,M21の下降傾斜度合よりも緩くなり、つまり、吐出される流量が増加したとしても2次圧(調整圧)の低下が抑えられ、下降する傾きが緩やかとなる調圧特性が得られる。あるいは、ガスの流量を横軸とすると共にガスの2次圧を縦軸として調圧特性をグラフ化するとき、水平に近くなる調圧特性(水平調圧特性)が得られる。
【0043】
また、1次側通路61に供給される1次圧が相対的に高い供給圧Aのときには、FΔpが増加すると共に第1絞り通路40の絞り開度Lが減少し、上向き(矢印Y2方向)の荷重が増大し、特性線M1は調整圧の低い側に推移する傾向がある(図8参照)。逆に、1次側通路61に供給される1次圧が相対的に低い供給圧Bのときには、FΔpが減少すると共に第1絞り通路40の絞り開度Lが増加し、上向き(矢印Y2方向)の荷重が減少するため、特性線M2は調整圧の高い側に推移する傾向がある(図8参照)。
【0044】
従って、本実施形態に係るガス減圧弁1の1次側通路61に供給される圧力を、高い供給圧Aと低い供給圧Bとの間において適宜調整すれば、結果として、図7に示す特性線S1に示すように、ガス流量を増加させたとしても調整圧(2次側通路71の圧力)があまり減少しないように水平に近い状態、あるいは、ほぼ水平状態に維持できる調圧特性を得ることもできる。あるいは、図8に示す特性線S2に示すように、ガス流量を増加させるにつれて調整圧(2次側通路71の圧力)を増加させる調圧特性を得ることもできる。
【0045】
ところで図1及び図3に示すように 上記したガス減圧弁1は,ガス供給源65とガス使用部である燃料電池100とをつなぐガス供給通路に上流ガス減圧弁200と共に直列的に設けられており、燃料ガスをガス供給源65から燃料電池100に供給する減圧システムを構成している。上流ガス減圧弁200はガス減圧弁1の上流に設けられている。上流ガス減圧弁200はガス入口200a及びガス出口200cをもち、ガス出口200cからガス減圧弁1の1次側通路61に向けて吐出されるガスの圧力を可変に調整できる特性をもつ。即ち、上流ガス減圧弁200のガス出口200cはガス減圧弁1の1次側通路61に繋がり、ガスをガス減圧弁1の1次側通路61に供給する。
【0046】
図9は上流ガス減圧弁200の調圧特性を示す。上流ガス減圧弁200によれば、図9の特性線に示すように、上流ガス減圧弁200のガス出口200cから吐出されるガスの流量が増加すれば、ガス出口200cから吐出される調整圧は次第に減少する調圧特性を示す。即ち、0N/minときには、相対的に高い供給圧Aのガスが上流ガス減圧弁200のガス出口200cからガス減圧弁1の1次側通路61に供給される。また、最大流量のときには、相対的に低い供給圧Bのガスが上流ガス減圧弁200のガス出口200cからガス減圧弁1の1次側通路61に供給される。
【0047】
従って、図1及び図3に示すように上流ガス減圧弁200の下流にガス減圧弁1を直列に設置させた減圧システムによれば、上流ガス減圧弁200のガス出口200cからガス減圧弁1の1次側通路71に吐出されるガス圧を、相対的に高い供給圧Aと相対的に低い供給圧Bとの間において適宜調整できる。このため、結果として、図7に示す特性線S1に示すように、ガス流量を増加させたとしても調整圧(2次側通路71の圧力)の低下が抑えられ水平に近い状態に維持される調圧特性を得ることもできる。あるいは、図8に示す特性線S2に示すように、ガス流量を増加させるにつれて調整圧(2次側通路71の圧力)を増加させる調圧特性を得ることもできる。
【0048】
図10は、上記したシステムにおいて好ましいと考えられている流量−調整圧の関係を示す。この場合、流量が増加すると、調整圧(2次側通路71の圧力)を増加させることができる特性である。本実施形態によれば、条件を適応させれば、図10に示す好ましい調圧特性を達成させることも可能となる。
【0049】
図11は実際のガス減圧弁1を用いて実際に試験した試験結果を示す。図11の横軸は流した空気の流量(NLM)を示す。図11の縦軸は2次圧(Gはゲージ圧を示す)を示す。この場合、可動バルブ体41の外径φAは7ミリメートル、中間室53の内径φBは6.5ミリメートルとし、第2絞り通路52の内径φCは4.4ミリメートル、軸部48の外径φDは3.2ミリメートルとされている。図11に係る特性線W1は、本実施形態に係るガス減圧弁1の結果を示す。特性線W2は、参考形態に係るガス減圧弁1X(第1絞り通路40を有するものの、第2絞り通路52を有しないもの)の結果を示す。参考形態に係るガス減圧弁1Xでは、特性線W2の下降傾斜の度合が大きかった。これに対して本実施形態に係るガス減圧弁1では、特性線W1の下降傾斜の度合は小さく、水平に近いものであった。
【0050】
(適用形態)
図12は適用形態を示す。この適用形態によれば、燃料電池発電システムは、車載用または定置用であり、図12に示すように、燃料極101及び酸化剤極102を有する燃料電池100と、発電前の燃料ガスを燃料電池100の燃料極101に供給する燃料用のガス供給通路500と、発電前の酸化剤ガス(一般的には空気)を燃料電池100の酸化剤極102に供給する酸化剤ガス用のガス供給通路103と、発電後の燃料オフガスを弁104を介して排出させる燃料オフガス用のガス排出通路105と、発電後の酸化剤オフガスを通過させる酸化剤オフガス用のガス排出通路106とを備えている。
【0051】
ガス供給通路500は燃料電池100の燃料極101のガス入口の上流に位置する。酸化剤ガス用のガス供給通路103には、酸化剤ガスを燃料電池100の酸化剤極102に供給するガス供給源であるコンプレッサ107が設けられている。燃料用のガス供給通路500において、高圧燃料ガス源であるガス供給源65側に上流ガス減圧弁200が設けられ、更に、上流ガス減圧弁200の下流に位置するように前記したガス減圧弁1が設けられている。
【0052】
従って燃料電池用ガス減圧系510は、上流ガス減圧弁200と、下流ガス減圧弁に相当するガス減圧弁1とを備えている。
【0053】
この適用形態によれば、ガス供給源65から吐出される相対的に高圧の燃料ガスは上流ガス減圧弁200で減圧され、更にガス減圧弁1を介して所定の設定圧力まで減圧され、燃料電池100の燃料極101に供給され、発電反応に使用される。また酸化剤ガス(一般的には空気)はコンプレッサ107の駆動により燃料電池100の酸化剤極102に供給され、発電反応に使用される。
【0054】
前述したように、本適用形態によれば、2次側通路から吐出されるガスの流量を横軸とすると共に2次側通路から吐出される2次圧を縦軸として調圧特性をグラフ化すると、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧の低下を抑えるように、特性線は2次圧の変化が水平に近い状態に設定されている調圧特性が得られる。あるいは、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧が増加するような調圧特性が得られる。従って燃料電池発電システムによれば、ガス減圧弁1の2次圧を高めるのに有利であり、ひいては燃料電池100に供給するガスの圧力を高めるのに有利であり、燃料電池100の低負荷時ばかりか、高負荷時にも対応することができる。よって、車載用または定置用の燃料電池発電システムに適する。
【0055】
(その他)
上記した実施形態1によれば、ガス減圧弁1は燃料電池100の燃料極101に送られる燃料ガスの制御バルブとして使用されているが、これに限らず、燃料電池100の酸化剤極(空気極)102に送られる酸化剤ガスの制御バルブとして使用しても良い。上記した実施形態によれば、ダイヤフラムバネ7及びバルブバネ8はコイルバネとされているが、これに限らず、板バネなどの他の種類のバネとしても良く、あるいは、ゴムや軟質樹脂等で形成しても良い。上記した実施形態1によれば、絞り開度Lは、例えば2ミリメートル以下,1ミリメートル以下,500マイクロメートル以下とされているが、これに限られるものではなく、上記した値よりも更に大きくすることもできる。上記した実施形態1によれば、受圧部材としてダイヤフラム3が採用されているが、矢印Y1,Y2方向に伸縮可能な蛇腹構造をもつ蛇腹部材を受圧部材として用いても良い。ボディ2は単独でも良いし、あるいは、他の機器と共用されている形態でも良い。上記した実施形態によれば、ガス減圧弁1は燃料電池発電システムに適用されているが、これに限らず、ガスの圧力または流量等を制御する他のシステム、装置、設備等に適用しても良いものである。その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明はガスの圧力、流量等を制御するシステム、装置、設備等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態に係り、ガス減圧弁を模擬的に示す断面図である。
【図2】実施形態に係り、ガス減圧弁の第1絞り通路及び第2絞り通路付近を模擬的に示す断面図である。
【図3】実施形態に係り、上流ガス減圧弁及びガス減圧弁を有するガス減圧システムを示す構成図である。
【図4】第2絞り通路を有しない参考形態に係り、ガス減圧弁の第1絞り通路を模擬的に示す断面図である。
【図5】参考形態及び実施形態に係り、圧力分布特性を示すグラフである。
【図6】参考形態に係り、2次側通路のガス流量と2次側通路の2次圧との関係を示すグラフである。
【図7】実施形態に係り、2次側通路のガス流量と2次側通路の2次圧との関係を示すグラフである。
【図8】実施形態に係り、2次側通路のガス流量と2次側通路の2次圧との関係を示すグラフである。
【図9】ガス減圧システムの構成要素である上流ガス減圧弁の調圧特性を模擬的に示すグラフである。
【図10】好ましい調圧特性を示すグラフである。
【図11】実施形態のガス減圧弁と参考形態に係るガス減圧弁とについて調圧特性を確認する試験を行った試験結果を示すグラフである。
【図12】適用形態に係り、燃料電池発電システムを模擬的に示す構成図である。
【符号の説明】
【0058】
図中、1はガス減圧弁(下流ガス減圧弁)、20はボティ室、21は第1室、22は第2室、23はバルブ室、3はダイヤフラム(受圧部材)、61は1次側通路(1次側通路)、71は2次側通路、4は絞り機構、40は第1絞り通路、52は第2絞り通路、53は中間室、41は可動バルブ体、6は1次側通路、7はダイヤフラムバネ(ダイヤフラム用弾性部材)、8はバルブバネ(可動バルブ体用弾性部材)、100は燃料電池、101は燃料極、102は酸化剤極、200は上流ガス減圧弁、510は燃料電池用ガス減圧系を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスが供給される1次側通路とガスが吐出される2次側通路と前記1次側通路及び前記2次側通路の間に形成されたボティ室とをもつボディと、
前記ボディの前記ボティ室に配設され前記ボティ室を第1室と第2室とに区画する変形可能な受圧部材と、
前記1次側通路と前記2次側通路との間に設けられ前記1次側通路から前記2次側通路に流れるガスを絞って減圧させて前記第1室を経て前記2次側通路に供給する絞り機構と、
前記ボディの前記第2室に設けられ前記絞り機構の絞り開度を増加させる方向に前記受圧部材を付勢する付勢力をもつ受圧部材用弾性部材とを具備しており、
前記絞り機構は、
前記1次側通路と前記2次側通路との間に設けられ前記1次側通路から前記2次側通路に流れるガスを絞って減圧させる絞り通路と、前記絞り通路の絞り開度を可変に調整する可動バルブ体と、前記絞り通路の絞り開度を小さくする方向に前記可動バルブ体を付勢する付勢力をもつ可動バルブ体用弾性部材とを備えており、
前記2次側通路から吐出されるガスの流量を横軸とすると共に前記2次側通路から吐出されるガスの2次圧を縦軸として調圧特性をグラフ化するとき、
ガスの流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧の低下を抑えるように設定されている調圧特性、あるいは、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧が増加するような調圧特性に設定されていることを特徴とするガス減圧弁。
【請求項2】
ガスが供給される1次側通路とガスが吐出される2次側通路と前記1次側通路及び前記2次側通路の間に形成されたボティ室とをもつボディと、
前記ボディの前記ボティ室に配設され前記ボティ室を第1室と第2室とに区画する変形可能な受圧部材と、
前記1次側通路と前記2次側通路との間に設けられ前記1次側通路から前記2次側通路に流れるガスを絞って減圧させて前記第1室を経て前記2次側通路に供給する絞り機構と、
前記ボディの前記第2室に設けられ前記絞り機構の絞り開度を増加させる方向に前記受圧部材を付勢する付勢力をもつ受圧部材用弾性部材とを具備しており、
前記絞り機構は、
前記1次側通路と前記2次側通路との間に設けられ前記1次側通路から前記2次側通路に流れるガスを絞って減圧させる第1絞り通路と、前記第1絞り通路の絞り開度を可変に調整する可動バルブ体と、前記第1絞り通路の絞り開度を小さくする方向に前記可動バルブ体を付勢する付勢力をもつ可動バルブ体用弾性部材と、前記第1絞り通路よりも下流側に位置するように前記1次側通路と前記2次側通路との間に設けられ前記第1絞り通路を経たガスを更に絞って前記第1室に供給する第2絞り通路と、前記第1絞り通路と前記第2絞り通路との間に設けられ前記第1絞り通路と前記第2絞り通路との間のガス圧を前記可動バルブ体に作用させる中間室とを備えていることを特徴とするガス減圧弁。
【請求項3】
請求項2において、前記2次側通路から吐出されるガスの流量を横軸とすると共に前記2次側通路から吐出されるガスの2次圧を縦軸として調圧特性をグラフ化するとき、
ガスの流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧の低下を抑えるように設定されている調圧特性、あるいは、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧が増加するような調圧特性に設定されていることを特徴とするガス減圧弁。
【請求項4】
ガス供給源とガス使用部とをつなぐ前記ガス供給通路に設けられガス入口及びガス出口をもち前記ガス出口から吐出されるガスの圧力を可変に調整できる上流ガス減圧弁と、前記ガス供給通路において前記上流ガス減圧弁の前記ガス出口に繋がると共に前記上流ガス減圧弁よりも下流に設けられた下流ガス減圧弁とを具備するガス減圧システムにおいて、
前記下流ガス減圧弁は、請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項に記載のガス減圧弁で構成されていることを特徴とするガス減圧システム。
【請求項5】
燃料極及び酸化剤極を有する燃料電池と、
前記燃料電池の燃料極に燃料ガスを供給する燃料用のガス供給通路と、
前記燃料電池の前記酸化剤極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス用のガス供給通路と、
前記燃料用のガス供給通路及び前記酸化剤ガス用のガス供給通路のうちの少なくとも一方において前記燃料電池の上流に設けられた燃料電池用ガス減圧系とを具備する燃料電池発電システムにおいて、
前記燃料電池用ガス減圧系は、請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項に記載のガス減圧弁を備えていることを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項1】
ガスが供給される1次側通路とガスが吐出される2次側通路と前記1次側通路及び前記2次側通路の間に形成されたボティ室とをもつボディと、
前記ボディの前記ボティ室に配設され前記ボティ室を第1室と第2室とに区画する変形可能な受圧部材と、
前記1次側通路と前記2次側通路との間に設けられ前記1次側通路から前記2次側通路に流れるガスを絞って減圧させて前記第1室を経て前記2次側通路に供給する絞り機構と、
前記ボディの前記第2室に設けられ前記絞り機構の絞り開度を増加させる方向に前記受圧部材を付勢する付勢力をもつ受圧部材用弾性部材とを具備しており、
前記絞り機構は、
前記1次側通路と前記2次側通路との間に設けられ前記1次側通路から前記2次側通路に流れるガスを絞って減圧させる絞り通路と、前記絞り通路の絞り開度を可変に調整する可動バルブ体と、前記絞り通路の絞り開度を小さくする方向に前記可動バルブ体を付勢する付勢力をもつ可動バルブ体用弾性部材とを備えており、
前記2次側通路から吐出されるガスの流量を横軸とすると共に前記2次側通路から吐出されるガスの2次圧を縦軸として調圧特性をグラフ化するとき、
ガスの流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧の低下を抑えるように設定されている調圧特性、あるいは、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧が増加するような調圧特性に設定されていることを特徴とするガス減圧弁。
【請求項2】
ガスが供給される1次側通路とガスが吐出される2次側通路と前記1次側通路及び前記2次側通路の間に形成されたボティ室とをもつボディと、
前記ボディの前記ボティ室に配設され前記ボティ室を第1室と第2室とに区画する変形可能な受圧部材と、
前記1次側通路と前記2次側通路との間に設けられ前記1次側通路から前記2次側通路に流れるガスを絞って減圧させて前記第1室を経て前記2次側通路に供給する絞り機構と、
前記ボディの前記第2室に設けられ前記絞り機構の絞り開度を増加させる方向に前記受圧部材を付勢する付勢力をもつ受圧部材用弾性部材とを具備しており、
前記絞り機構は、
前記1次側通路と前記2次側通路との間に設けられ前記1次側通路から前記2次側通路に流れるガスを絞って減圧させる第1絞り通路と、前記第1絞り通路の絞り開度を可変に調整する可動バルブ体と、前記第1絞り通路の絞り開度を小さくする方向に前記可動バルブ体を付勢する付勢力をもつ可動バルブ体用弾性部材と、前記第1絞り通路よりも下流側に位置するように前記1次側通路と前記2次側通路との間に設けられ前記第1絞り通路を経たガスを更に絞って前記第1室に供給する第2絞り通路と、前記第1絞り通路と前記第2絞り通路との間に設けられ前記第1絞り通路と前記第2絞り通路との間のガス圧を前記可動バルブ体に作用させる中間室とを備えていることを特徴とするガス減圧弁。
【請求項3】
請求項2において、前記2次側通路から吐出されるガスの流量を横軸とすると共に前記2次側通路から吐出されるガスの2次圧を縦軸として調圧特性をグラフ化するとき、
ガスの流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧の低下を抑えるように設定されている調圧特性、あるいは、流量が少ないときから多くなるように移行するとき、2次圧が増加するような調圧特性に設定されていることを特徴とするガス減圧弁。
【請求項4】
ガス供給源とガス使用部とをつなぐ前記ガス供給通路に設けられガス入口及びガス出口をもち前記ガス出口から吐出されるガスの圧力を可変に調整できる上流ガス減圧弁と、前記ガス供給通路において前記上流ガス減圧弁の前記ガス出口に繋がると共に前記上流ガス減圧弁よりも下流に設けられた下流ガス減圧弁とを具備するガス減圧システムにおいて、
前記下流ガス減圧弁は、請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項に記載のガス減圧弁で構成されていることを特徴とするガス減圧システム。
【請求項5】
燃料極及び酸化剤極を有する燃料電池と、
前記燃料電池の燃料極に燃料ガスを供給する燃料用のガス供給通路と、
前記燃料電池の前記酸化剤極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス用のガス供給通路と、
前記燃料用のガス供給通路及び前記酸化剤ガス用のガス供給通路のうちの少なくとも一方において前記燃料電池の上流に設けられた燃料電池用ガス減圧系とを具備する燃料電池発電システムにおいて、
前記燃料電池用ガス減圧系は、請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項に記載のガス減圧弁を備えていることを特徴とする燃料電池発電システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−11659(P2006−11659A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185489(P2004−185489)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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