説明

ガス燃焼機器制御装置

【課題】地震によるガス燃焼機器の転倒等による火災を防止するために、地震による振動を検出して、ガスを遮断し、燃焼を停止する安全なガス燃焼機器制御装置を提供する。
【解決手段】ガス燃焼機器制御装置51は、バーナ511上に調理器具52が載置されて調理が行なわる。前記調理器具は、点火装置512により点火され、空気513およびガス518の量を調整することにより、調理に合った温度にコントローラ517によって設定する。加速度センサ516は、常時、ガス燃焼機器にかかる加速度を検出している。前記加速度センサは、前記検出された加速度と、前記不揮発性記憶手段515に記憶されている微動地震および本地震のデータと比較し、コントローラによって早めに地震を検出して、前記ガス燃焼機器制御装置のガス電磁弁514を閉塞する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震によるガス燃焼機器の転倒、ガス燃焼機器への可燃物の落下等による火災、ガスコンロでのでんぷら鍋等からの油こぼれ等による火災を防止するために、地震による振動を検出して、ガスを遮断し、燃焼を停止する安全なガス燃焼機器制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前記ガス燃焼機器自体の転倒、前記ガス燃焼機器への可燃物の落下、地震時の強い揺れの検知方法は、メカ式の導電球を用いた接点構造の転倒スイッチが用いられていた。前記転倒スイッチは、ガス燃焼機器の転倒検知方法として、手軽で安価であるため、広く採用されていた。また、緊急地震速報を利用したガス配管経路を遮断するシステム等は、近年考えられるようになり、採用が広がりつつある。
【0003】
特開2007−232239号公報におけるガス保安装置は、ガス供給路のガス流量と圧力を流量計測部と圧力センサで、地震の発生を感震センサで検知している。制御回路は、前記流量計測部、圧力センサ、感震センサからの信号を基に安全にガスが使用できるかどうかを判断して、異常と判断した場合に遮断弁でガスを遮断する。
【0004】
特開平11−118572号公報におけるガス遮断復帰方法は、2次側ガス系統に供給されるガスの供給異常を検出して、ガスの供給を遮断し、また、2次側ガス系統に供給されるガスの供給異常が解除されたことを検出してガスの供給を復帰している。
【特許文献1】特開2007−232239号公報
【特許文献2】特開平11−118572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記従来のメカ式転倒スイッチが設けられたガス燃焼機器は、震度5程度の地震を想定して作られたものであり、前記震度5以下の揺れを検出した場合の対策が講じられていなかった。また、前記従来のガス燃焼機器は、震度5より小さい地震により、可燃物の落下、てんぷら鍋等の過加熱あるいは煮物のふきこぼれ等による失火を検出して、未然に防止することができなかった。
【0006】
前記特許文献1におけるガス保安装置は、ガス供給系統におけるガス機器にガスを供給するのを遮断するものであり、ガス機器で地震を検知することができない。また、特許文献2におけるガス遮断復帰方法は、ガスの供給系統におけるガスの遮断である。前記特許文献1および特許文献2に記載されているガスの保安は、ガス供給システムにおける地震に対する対策であった。
【0007】
しかし、本発明は、震度が3から5程度で、ガス供給システムからガスを遮断する前の初期微動またはいきなり来る本地震に対して、いち早く強い揺れまはた強い揺れの前に、安全対策を行うものである。
【0008】
以上のような課題を解決するために、本発明のガス燃焼機器制御装置は、ガス燃焼機器の内部に加速度を検出する加速度センサを設け、地震の初期微動または本地震によるガス燃焼機器が受ける振動を前記加速度センサにより検出して、ガス燃焼機器におけるガスの燃焼を停止させるガス燃焼機器制御装置を提供することを目的とする。また、本発明のガス燃焼機器制御装置は、前記加速度センサにより、x軸方向、y軸方向、およびz軸方向の加速度を検出し、それぞれの加速度を加算または平均化することにより、前記ガス燃焼機器の揺れがガスを遮断すべきであるか否かを的確に判断することができるガス燃焼機器制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本発明のガス燃焼機器制御装置は、前記加速度センサによって、x軸方向、y軸方向、およびz軸方向の加速度を一定周期でサンプリングし、所定長さのサンプリングを数分間記憶しておき、サンプリング毎に古いデータを削除し、最新のデータを記憶する順送り記憶としておき、記憶数分の加算または平均化した値を使用して、地震の揺れを検出して、x軸方向、y軸方向、およびz軸方向の値をそれぞれ加算または平均化したデータで判断することで、ガス燃焼機器の受けた揺れを的確に判断できるガス燃焼機器制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(第1発明)
第1発明のガス燃焼機器制御装置は、バーナに燃料と燃焼用空気を供給してガスを燃焼させるものであり、ガス燃焼機器に設けられて、前記ガス燃焼機器に加わる加速度を検出する加速度センサと、予測される地震の初期微動および本地震による加速度の大きさを予め記憶する地震データ記憶手段と、前記加速度センサによって検出されたデータと、前記地震データ記憶手段に記憶されているデータとを比較する比較手段と、前記比較手段によって前記検出されたデータが所定値以上である場合、地震であることを判定する地震判定手段と、前記地震判定手段によって地震であることを検出した場合、前記ガス燃焼機器におけるガス電磁弁を閉じるガス電磁弁開閉手段とから少なくとも構成されることを特徴とする。
【0011】
(第2発明)
第2発明のガス燃焼機器制御装置において、第1発明の加速度センサによって検出されたデータおよび地震データ記憶手段に記憶されているデータは、x軸方向、y軸方向、およびz軸方向の加速度であることを特徴とする。
【0012】
(第3発明)
第3発明のガス燃焼機器制御装置において、第1発明の加速度センサによって検出されたデータおよび地震データ記憶手段に記憶されているデータは、x軸方向、y軸方向、およびz軸方向の加速度が所定期間加算されたデータであることを特徴とする。
【0013】
(第4発明)
第4発明のガス燃焼機器制御装置において、第1発明の加速度センサによって検出されたデータおよび地震データ記憶手段に記憶されているデータは、x軸方向、y軸方向、およびz軸方向の加速度が所定期間平均化されたデータであることを特徴とする。
【0014】
(第5発明)
第5発明のガス燃焼機器制御装置において、第1発明から第4発明における加速度センサによって検出されたデータは、一定周期でサンプリングされた結果が数分間記憶された後、古いデータが削除され、最新データに入れ代わることを特徴とする。
【0015】
(第6発明)
第6発明のガス燃焼機器制御装置において、第1発明から第5発明における加速度センサによって検出されたデータは、地震データ記憶手段に記憶されている地震の初期微動および本地震による予め決められた加速度の大きさより大きい場合、ガス電磁弁開閉手段によってガス電磁弁を閉じることを特徴とする。
【0016】
(第7発明)
第7発明のガス燃焼機器制御装置は、第1発明から第6発明におけるガス電磁弁開閉手段によってガス電磁弁を閉じた場合、聴覚および/または視覚によって報知する報知手段を備えていることを特徴とする。
【0017】
(第8発明)
第8発明のガス燃焼機器制御装置は、第1発明から第7発明におけるガス電磁弁開閉手段によってガス電磁弁を閉じた場合、ガス燃焼機器の正常状態を検出することにより、前記ガス電磁弁を開くことを特徴とする。
【0018】
(第9発明)
第9発明のガス燃焼機器制御装置において、第1発明から第8発明におけるガス燃焼機器の正常か否かは、ガス燃焼機器の運転履歴とガス漏れとを参照して決められることを特徴とする。
【0019】
(第10発明)
第10発明のガス燃焼機器制御装置において、第9発明におけるガス燃焼機器の運転履歴は、加速度センサによる加速度データと、地震か否かの判定データと、ガス電磁弁の開閉情報とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ガス燃焼機器が地震による転倒、ガス燃焼機器に対する可燃物の接近および/または落下、前記ガス燃焼機器に載置されている調理器具による危険を防止することができる。また、前記ガス燃焼機器は、地震を早めに検出することができるため、危険状態になる前に、ガスの流出を停止することができる。
【0021】
本発明によれば、x軸方向、y軸方向、z軸方向の加速度データを加算または平均化しているため、地震以外の一時的な振動に反応することなく、地震の初期微動および本地震を予測でき、安全なガス燃焼機器とすることができる。
【0022】
本発明によれば、加速度センサによって検出されたデータを一定周期でサンプリングし、その結果を加算または平均化し、所定時間経過後に古いデータが削除され、最新データと入れ代えているため、常に最新データによって、地震が発生するか否かを調べることができる。
【0023】
本発明によれば、加速度センサによって検出された加速度が地震の初期微動および本地震による予め決められた大きさより大きい場合、ガス電磁弁開閉手段によってガス電磁弁を閉じるようにロックするとともに、地震が検出されなくなった後に、ガス漏れ等の安全を確認してから、前記ロックを解除し、ガス電磁弁を開くようにしているため、ガス漏れによる事故を防止することができる。
【0024】
本発明によれば、ガス電磁弁開閉手段によってガス電磁弁を閉じた場合、聴覚および/または視覚によって報知する報知手段を設けることにより、使用者等がパニック状態になっていても、聴覚および視覚の両方を採用することにより、安全を確保することができる。
【0025】
本発明によれば、ガス燃焼機器制御装置によって、強制的にガス電磁弁を閉じた際の状態を把握して、加速度センサによる加速度データと、地震か否かの判定データと、ガス電磁弁の開閉情報がガス電磁弁を閉じる前と同じであるか否かを確認することによって、ガス燃焼機器が地震によって故障したか否かが調べられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(第1発明)
第1発明のガス燃焼機器制御装置は、少なくとも1軸加速度センサと、地震データ記憶手段と、比較手段と、地震判定手段と、ガス電磁弁開閉手段とから少なくとも構成されている。前記加速度センサは、たとえば、ガス燃焼機器とともに設けられており、前記ガス燃焼機器に加わる加速度を検出する。地震データ記憶手段は、予測される地震の初期微動および本地震による加速度の大きさが予め記憶されている。
【0027】
前記比較手段は、前記加速度センサによって検出されたデータと、前記地震データ記憶手段に記憶されているデータとを比較する。前記地震判定手段は、前記比較手段によって検出されたデータが所定値以上である場合、地震であると判定する。前記地震判定手段は、たとえば、地震の初期微動の大きさと長さにより、地震が発生する前触れを検出するか、あるいは震源地に近い場合、本地震の揺れを前記加速度センサによって検出し、予め地震データ記憶手段に記憶されているデータと比較して地震を予想する。
【0028】
前記ガス電磁弁開閉手段は、前記地震判定手段によって初期微動または本地震であると前記地震判定手段によって判定された場合、前記ガス燃焼機器におけるガス電磁弁を閉じる。前記ガス燃焼機器制御装置は、地震による転倒、ガス燃焼機器に対する可燃物の接近および/または落下、前記ガス燃焼機器に載置されている調理器具による危険を防止することができる。前記ガス燃焼機器制御装置は、地震を早めに検出して、危険状態になる前に、ガス燃焼機器から出るガスを停止している。
【0029】
(第2発明)
第2発明のガス燃焼機器制御装置は、たとえば、ガス燃焼機器の内部に設けられている加速度センサによって、前記ガス燃焼機器に加わるx軸方向、y軸方向、およびz軸方向の加速度が検出される。前記各加速度センサによって検出されたデータおよび予めx軸方向、y軸方向、およびz軸方向の地震加速度データは、地震データ記憶手段に記憶される。第1発明の加速度は、x軸方向、y軸方向、およびz軸方向の内の一つまたは二つであるのに対して、第2発明の加速度は、x軸方向、y軸方向、およびz軸方向である。第2発明の3軸加速度センサは、地震の予測または本地震を早く検出して、ガス燃焼機器を安全にする。
【0030】
(第3発明)
第3発明のガス燃焼機器制御装置は、x軸方向、y軸方向、およびz軸方向の加速度を検出するに当たり、所定期間の加速度データを加算する。また、地震データ記憶手段に記憶されているデータは、前記同様に、所定期間加算されたデータである。前記加算された加速度センサによって検出されたデータおよび予め記憶されている加算されたデータは、地震以外の何らかの一時的振動を除外することができる。
【0031】
(第4発明)
第4発明のガス燃焼機器制御装置は、前記加速度センサによって検出されたデータおよび地震データ記憶手段に記憶されているデータにおけるx軸方向、y軸方向、およびz軸方向の加速度データを加算する代わりに所定期間平均化されたデータである。第3発明および第4発明は、地震以外の一時的振動を除外することが容易にできる。
【0032】
(第5発明)
第5発明のガス燃焼機器制御装置は、加速度センサによって検出されたデータを一定周期でサンプリングし、その結果を加算または平均化し、地震データ記憶手段に記憶する。前記記憶されるデータは、所定時間経過後に古いデータが削除され、最新データと入れ代える。前記ガス燃焼機器制御装置は、常に最新データによって、地震が発生するか否かを調べている。
【0033】
(第6発明)
第6発明のガス燃焼機器制御装置は、前記加速度センサによって検出されたデータが地震データ記憶手段に記憶されている地震の初期微動および本地震による予め決められた加速度の大きさより大きい場合、ガス電磁弁開閉手段によってガス電磁弁を閉じる。連続した初期微動または本地震が検出された場合、ガス電磁弁を閉じると同時に、前記ガス電磁弁をロックして、地震等が検出されなくなった後にガス電磁弁が開き、ガス漏れを防止するようになっている。
【0034】
(第7発明)
第7発明のガス燃焼機器制御装置は、前記ガス電磁弁開閉手段によってガス電磁弁を閉じた場合、聴覚および/または視覚によって報知する報知手段によって、使用者等に知らせる。前記報知手段は、聴覚および視覚の両方を採用することが望ましい。地震の発生は、パニックになる場合が多いため、可能な限りの報知手段を採用することが望ましい。
【0035】
(第8発明)
第8発明のガス燃焼機器制御装置は、地震の発生または初期微動を検出することにより、前記ガス電磁弁開閉手段によってガス電磁弁を閉じる。前記ガス電磁弁を閉塞した後、前記ガス電磁弁は、ガス燃焼機器の正常状態を検出することにより、前記ガス電磁弁を開く。前記ガス燃焼機器制御装置は、地震等がおさまった場合であっても、ガス燃焼機器が正常状態であると判断されるまで、ガス電磁弁を開かないようにフェルセーフとしている。
【0036】
(第9発明)
第9発明のガス燃焼機器制御装置は、ガス燃焼機器の運転履歴とガス漏れとを参照して、前記ガス燃焼機器が正常か否かを決める。前記運転履歴は、ガス電磁弁を閉じる直前の状態が判り、ガス電磁弁が開放してガス燃焼機器が運転中であったと判断した場合、ガス漏れがあるか否かを検討し、ガス漏れがないときのみガス電磁弁を開くようにする。前記ガス燃焼機器は、運転中でなかったと判断した場合、そのままガス電磁弁を閉じた状態とする。前記ガス電磁弁の開閉は、前記運転履歴を基にして制御装置が自動的に行うか、または使用者による手動のいずれでも可能とする。
【0037】
(第10発明)
第10発明のガス燃焼機器制御装置におけるガス燃焼機器の運転履歴は、加速度センサによる加速度データと、地震か否かの判定データと、ガス電磁弁の開閉情報とから少なくとも構成される。前記ガス燃焼機器制御装置は、強制的にガス電磁弁を閉じた際の状態を把握して、加速度センサによる加速度データと、地震か否かの判定データと、ガス電磁弁の開閉情報がガス電磁弁を閉じる前と同じであるか否かによって、ガス燃焼機器が地震によって故障したか否かが調べられる。
【実施例1】
【0038】
図1は本発明のガス燃焼機器制御装置における第1実施例を説明するためのフローチャートである。図1において、ガス燃焼機器制御装置は、ガス燃焼機器に内蔵されている加速度センサ、微動地震および本地震データが予め記憶されている地震データ記憶手段、前記加速度センサのデータおよび前記地震データ記憶手段に記憶されているデータに基づいて地震を判定する地震判定手段、前記地震判定手段により地震であると判定した場合にガス電磁弁を閉じるガス電磁弁開閉手段等を少なくとも備えている。
【0039】
図1におけるスタートは、たとえば、調理器具が点火されているガス燃焼機器にかけられている状態である(ステップ111)。前記ガス燃焼機器は、内蔵されている加速度センサにより、たとえば、x軸方向、y軸方向、z軸方向の加速度が検出される(ステップ112、122、132)。前記x軸方向、y軸方向、z軸方向の加速度は、所定の時間毎にサンプリングされる(ステップ113、123、133)。前記サンプリングされたデータは、所定間隔のものが加算または平均化される(ステップ114、124、134)。
【0040】
一方、予め、微動地震と本地震の加速度データが記憶されている(ステップ141)。前記加速度データは、必要に応じて、x軸方向、y軸方向、z軸方向のデータある。前記x軸方向、y軸方向、z軸方向のデータは、一方向のみと、x軸方向とy軸方向、y軸方向とz軸方向、あるいはx軸方向z軸方向と、三方向の全てを参照して微動地震と本地震を判断することができる。前記加速度センサにより予め記憶された微動地震および本地震データは、前記と同様に、地震データ記憶手段に記憶されている(ステップ142)。
【0041】
前記ステップ114、124、134による加算または平均化された加速度データは、前記予め記憶されている微動地震および本地震データと比較される(ステップ143)。後述する地震判定手段は、前記検出された加速度データと予め記憶されているデータとを比較して、微動地震または本地震であるかを判定する(ステップ144)。前記予め記憶されている微動地震および本地震データは、前記加速度センサによって検出されるデータと同様に、たとえば、x軸方向、y軸方向、z軸方向のデータある。前記地震判定手段は、前記加速度データが微動地震または本地震であると判断した場合、ガス電磁弁開閉手段によりガス電磁弁を遮断する(ステップ145)。前記地震判定手段は、微動地震または本地震があるか否かを絶えず調べる。
【0042】
ガス電磁弁開閉手段は、微動地震または本地震であることを検出した場合、ガス燃料機器のガス電磁弁をロックして、地震が終了しても直ぐに復帰しないようにする(ステップ146)。前記ガス燃料機器の正常化判定手段は、ガス燃料機器の運転履歴を調べるとともに、ガス燃料機器のガス漏れがあるか否かを調べる(ステップ147、151、152)。前記ガス燃料機器の正常化判定手段は、ガス燃料機器が正常であると判断した場合、前記ガス電磁弁のロックを解除する(ステップ149)。
【0043】
図2は本発明のガス燃焼機器制御装置における第2実施例を説明するためのフローチャートである。第2実施例におけるガス燃焼機器制御装置において、ステップ112、122、132、113、123、133、およびステップ141から149と、ステップ151、152は、実施例1と同じである。加速度センサは、x軸方向、y軸方向、z軸方向毎に所定間隔Δx、Δy、Δzだけ移動してサンプリングを行なう(ステップ113、123、133)。
【0044】
前記x軸方向、y軸方向、z軸方向の加速度は、所定間隔でずらしながら加算または平均化される(ステップ114、115、124、125、134、135)。その後のステップは、実施例1と同じである。第2実施例は、検出された加速度を所定期間見ることにより、微動地震および本地震の振動をより正確に検出することができる。
【0045】
図3は本発明のガス燃焼機器制御装置における実施例を説明するためのブロック構成図である。図3において、ガス燃焼機器制御装置は、ガス燃料機器に備えた、たとえば、x軸方向、y軸方向、z軸方向の加速度センサ311と、前記加速度センサ311によって検出されたアナログからなる加速度をデジタルに変換するA/D変換手段312と、前記A/D変換手段312によってデジタル化された所定の間隔のサンプリングデータを加算または平均化処理するサンプリングデータ平均化処理手段313と、微動地震および本地震をデジタル信号として予め記憶している微動地震、本地震データ記憶手段314と、前記平均化されたサンプリングデータと地震データを比較するデータ比較手段315と、前記データ比較手段315によって比較された結果を判定する地震判定手段316と、前記地震判定手段316の判定により、ガス電磁弁を開閉するガス電磁弁開閉手段317と、地震が治まった際に、前記ガス電磁弁直ぐに開かないようにするガス電磁弁ロック手段318と、前記ガス燃料機器が正常か否かを判定するガス燃料機器正常化判定手段319と、前記ガス燃料機器正常化判定手段319によってガス燃料機器が正常であると判定した場合、前記ガス電磁弁のロックを解除するガス電磁弁ロック解除手段320と、前記ガス燃料機器正常化判定手段319で判定を行なうためのガス燃料機器運転履歴記憶手段321およびガス燃料機器ガス漏れ検出手段322とから少なくとも構成されている。
【0046】
前記x軸方向、y軸方向、z軸方向の加速度センサ311は、必ずしも全軸加速度センサである必要がなく、必要な1軸または2軸加速度センサとすることができる。前記サンプリングデータ平均化処理手段313は、ある一定期間において、サンプリングしたデータを平均化または加算し、微動地震、本地震データ記憶手段314における前記サンプリングと同じ時間における平均値または加算したデータである。前記地震判定手段316は、加速度センサによって検出されたデータと、微動地震、本地震データ記憶手段314に予め記憶されているデータとを比較することにより判定する。
【0047】
ガス電磁弁ロック手段318は、前記ガス電磁弁開閉手段317によってガス電磁弁が閉塞された場合、復電してもガス燃料機器にガスが供給できないようになっている。ガス燃料機器運転履歴記憶手段321は、ガスを遮断する前の運転履歴が記憶されている。前記ガス燃料機器運転履歴記憶手段321は、たとえば、ガスおよび電気が供給されていたか否かが記憶されている。前記ガス燃料機器ガス漏れ検出手段322は、ガスの圧力、燃焼温度等によりガスが漏れておらず、正常であることを検出する。
【0048】
前記ガス燃料機器正常化判定手段319は、前記ガス燃料機器運転履歴記憶手段321および前記ガス燃料機器ガス漏れ検出手段322からの情報に基づいて、ガス燃料機器が正常であるか否かを判定する。前記ガス電磁弁ロック解除手段320は、前記ガス燃料機器正常化判定手段319によって、前記ガス燃料機器が正常であると判定した場合のみ、ガス電磁弁ロック解除手段320によってロック状態を解除し、ガス電磁弁開閉手段317を開くようにしている。
【0049】
図4(イ)および(ロ)は記憶されている地震データおよびガス燃料機器において加速度センサによって検出された地震等の波形を説明するための図である。図4(イ)において、地震の揺れの大きさと時間の関係は、たとえば、平常時41、微動地震42、本地震43として示されている。前記ガス燃料機器に取り付けられている加速度センサは、図4(イ)に示すような微動地震および本地震の振動があった場合、同様に図4(ロ)に示す符号45および46の振動を検出する。また、前記加速度センサは、微動地震および本地震以外に単発的な振動44も検出している。
【0050】
図4(ロ)において、ガス燃料機器が備えている加速度センサは、地震以外の突発的な振動44も検出する。しかし、前記突発的な振動44は、長続きしないのが普通である。したがって、加速度センサによって検出された値は、所定期間(図ではΔx)のサンプリングデータを加算または平均化することにより、前記突発的な振動44が地震に繋がるものでないことが判る。また、微動地震、本地震データ記憶手段に記憶されているデータは、前記加速度センサによって検出されたデータとデータ比較手段によって比較され、早めに地震を予想し、ガス燃料機器の電磁弁を閉塞することができる。
【0051】
図5は本発明のガス燃焼機器制御装置の一例を説明するための図である。図5において、ガス燃焼機器制御装置51は、バーナ511と、バーナ511を点火する点火装置512と、前記バーナ511からのガスを程よく燃焼させる空気513と、ガスを供給または閉塞するガス電磁弁514と、正常、微動地震、本地震の揺れデータを予め記憶しておく不揮発性記憶手段515と、ガス燃料機器に設けられている加速度センサ516と、前記点火装置512、空気513、ガス電磁弁514をコントロールするコントローラ517と、ガスを供給するガス管518とから少なくとも構成される。前記バーナ511の上には、調理器具52が載置され、ガスに点火されることにより調理が行なわれる。
【0052】
ガス燃焼機器制御装置51は、バーナ511上に調理器具52が載置されて調理が行なわる。前記調理器具52は、点火装置512により点火され、空気513およびガス518の量を調整することにより、調理に合った温度にコントローラ517によって設定する。たとえば、x軸方向、y軸方向、z軸方向の加速度を検出できる3次元加速度センサ516は、常時、ガス燃焼機器制御装置51にかかる加速度を検出している。前記加速度センサ516は、前記検出された加速度と、前記不揮発性記憶手段515に記憶されている微動地震および本地震のデータと比較し、コントローラ517によって早めに地震を検出して、前記ガス燃焼機器制御装置51のガス電磁弁514を閉塞する。
【0053】
前記不揮発性記憶手段515は、前記ガス電磁弁514を閉塞する際のガス燃焼機器制御装置51の運転状態を予め記憶しておく。前記コントローラ517は、加速度センサ516によって、揺れを検出しなくなっても、直ぐにガス電磁弁514を開けないようになっている。前記コントローラ517は、ガス電磁弁514を閉じた際の状況を記憶しており、前記加速度センサ516によって地震を検出しなくなった後、バーナ511の不具合、ガス漏れ(ガス圧)等を検査し、異常がないと判断してからガス電磁弁を開くようになっている。
【0054】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。たとえば、本実施例におけるブロック構成図に記載された手段および加速度センサは、周知または公知のものに任意に変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明のガス燃焼機器制御装置における第1実施例を説明するためのフローチャートである。(実施例1)
【図2】本発明のガス燃焼機器制御装置における第2実施例を説明するためのフローチャートである。(実施例2)
【図3】本発明のガス燃焼機器制御装置における実施例を説明するためのブロック構成図である。
【図4】(イ)および(ロ)は記憶されている地震データおよびガス燃料機器において加速度センサによって検出された地震等の波形を説明するための図である。
【図5】本発明のガス燃焼機器制御装置の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0056】
51・・・ガス燃焼機器制御装置
511・・・バーナ
512・・・点火装置
513・・・空気
514・・・ガス電磁弁
515・・・不揮発性記憶手段
516・・・加速度センサ
517・・・コントローラ
518・・・ガス
52・・・調理器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナに燃料と燃焼用空気を供給してガスを燃焼させるガス燃焼機器制御装置において、
ガス燃焼機器に設けられて、前記ガス燃焼機器に加わる加速度を検出する加速度センサと、
予測される地震の初期微動および本地震による加速度の大きさを予め記憶する地震データ記憶手段と、
前記加速度センサによって検出されたデータと、前記地震データ記憶手段に記憶されているデータとを比較する比較手段と、
前記比較手段によって前記検出されたデータが所定値以上である場合、地震であることを判定する地震判定手段と、
前記地震判定手段によって地震であることを検出した場合、前記ガス燃焼機器におけるガス電磁弁を閉じるガス電磁弁開閉手段と、
から少なくとも構成されることを特徴とするガス燃焼機器制御装置。
【請求項2】
前記加速度センサによって検出されたデータおよび地震データ記憶手段に記憶されているデータは、x軸方向、y軸方向、およびz軸方向の加速度であることを特徴とする請求項1に記載されたガス燃焼機器制御装置。
【請求項3】
前記加速度センサによって検出されたデータおよび地震データ記憶手段に記憶されているデータは、x軸方向、y軸方向、およびz軸方向の加速度が所定期間加算されたデータであることを特徴とする請求項1に記載されたガス燃焼機器制御装置。
【請求項4】
前記加速度センサによって検出されたデータおよび地震データ記憶手段に記憶されているデータは、x軸方向、y軸方向、およびz軸方向の加速度が所定期間平均化されたデータであることを特徴とする請求項1に記載されたガス燃焼機器制御装置。
【請求項5】
前記加速度センサによって検出されたデータは、一定周期でサンプリングされた結果が数分間記憶された後、古いデータが削除され、最新データに入れ代わることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載されたガス燃焼機器制御装置。
【請求項6】
前記加速度センサによって検出されたデータは、地震データ記憶手段に記憶されている地震の初期微動および本地震による予め決められた加速度の大きさより大きい場合、ガス電磁弁開閉手段によってガス電磁弁を閉じることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載されたガス燃焼機器制御装置。
【請求項7】
前記ガス電磁弁開閉手段によってガス電磁弁を閉じた場合、聴覚および/または視覚によって報知する報知手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載されたガス燃焼機器制御装置。
【請求項8】
前記ガス電磁弁開閉手段によってガス電磁弁を閉じた場合、ガス燃焼機器の正常状態を検出することにより、前記ガス電磁弁を開くことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載されたガス燃焼機器制御装置。
【請求項9】
前記ガス燃焼機器の正常か否かは、ガス燃焼機器の運転履歴とガス漏れとを参照して決められることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載されたガス燃焼機器制御装置。
【請求項10】
前記ガス燃焼機器の運転履歴は、加速度センサによる加速度データと、地震か否かの判定データと、ガス電磁弁の開閉情報とからなることを特徴とする請求項9に記載されたガス燃焼機器制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−107148(P2010−107148A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281307(P2008−281307)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000174426)阪神エレクトリック株式会社 (291)
【Fターム(参考)】