説明

ガソリンエンジン排ガス処理システム

粒子状物質フィルターを有するガソリンエンジン排ガス流の処理システムであって、該粒子状物質フィルターが、
粒子状物質フィルター基材と、
該フィルター基材の排ガス流入口表面上に設けられた流入口層と、
該フィルター基材の排ガス排出口表面上に設けられた排出口層とを含み、
該流入口層がRh及び/又はPdを含み、該排出口層がRh及び/又はゼオライトを含む処理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリンエンジン排気流の処理システムとガソリンエンジン排ガスの処理方法、特にガソリン直噴エンジンからのガソリンエンジン排ガスの処理システムと処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンエンジンは、当初粒子状物質が生成しないように運転されてきたが、結果的に希薄燃焼条件となる層状燃焼の条件を含むガソリン直噴(GDI)技術が導入されて、燃料効率が改良された。しかしながら、このような条件は粒子状物質を発生しうる。直噴エンジンの粒子状物質の放出は、来るユーロ5基準(2009年9月)およびユーロ6基準(2014年9月)などで規制されることとなっている。既存のガソリンエンジン用後処理システムは、提案されている粒子状物質基準を満足させることができない。ディーゼル希薄燃焼エンジンで発生する粒子状物質とは対照的にガソリン直噴エンジンで生成する粒子状物質はより細かくて量が少ない。これは、ガソリンエンジント較べるとディーゼルエンジンの燃焼条件が異なるからである。例えば、ガソリンエンジンはディーゼルエンジンより高い温度で作動する。従って、ディーゼルエンジンからの排ガスが一般的には250〜500℃の範囲の温度であるのに対し、ガソリンエンジンからの排ガスの温度は800〜900℃の範囲にある。また、ガソリンエンジンで発生する炭化水素成分は、ディーゼルエンジン由来のものとは異なっている。
【0003】
したがって、ディーゼルエンジンと較べるとガソリンエンジンからの排ガス流の組成と温度が異なるため、特に煤塵の炭化水素と一酸化炭素と亜酸化窒素排ガス汚染物質に対する比率がはるかに低いため、粒子フィルターやTWC、NOxトラップなどの排ガス処理に係る装置の種類と構成またこのような排ガス流の処理用システム中でのこれら装置の配置に関して、それぞれ異なる処理の概念が必要となる。より具体的には、ディーゼルエンジン排ガス流は通常約0.02〜0.07g/kmの煤塵に対して合計で約0.14質量%の炭化水素とCOとNOx汚染物質(即ち、約1.2g/kmの炭化水素、約0.3g/kmのCO、約0.23g/kmのNOx)を含むのに対して、ガソリンエンジン排ガスは、通常約0.0001〜0.001g/kmの煤塵に対して合計で約1.1質量%の炭化水素とCOとNO汚染物質(即ち、約5.2g/kmの炭化水素、約1.5g/kmのCO、約3.4g/kmのNOx)を含んでいる。ガソリン直噴エンジンからの排ガスは通常やや少な目の炭化水素とCOとNO汚染物質と多めの煤塵(即ち、約0.001〜0.002g/km)を含むが、これらの比率は類似のディーゼル排ガス組成物とは大きく異なっている。ディーゼルとガソリンエンジン排ガス流中の煤塵粒子の粒度と粒度分布に係る他の差異と、それぞれのエンジンの種類によるディーゼル燃焼とガソリン燃焼の結果としての排ガス流温度の差異のため、まったく異なるシナリオが必要となり、ディーゼルエンジン排ガス処理技術を、容易にガソリンエンジン排ガス処理の技術分野に応用することはできない。
【0004】
排ガス粒子の処理に係る規制に加え、未燃焼炭化水素や一酸化炭素、酸化窒素の排出基準も、これからさらに厳しくなってくる。このような基準を満たすために、三元(TWC)触媒を含む触媒的コンバータが内燃機関の排ガスライン中に設けられる。特に、上記触媒は、排ガス流中の酸素による未燃焼炭化水素と一酸化炭素の酸化と酸化窒素の窒素への還元を促進する。
【0005】
ディーゼル排ガスと煤塵の処理に関して、先行技術では、一般に酸化触媒が粒子状物質フィルターの上流に置かれる。酸化触媒と粒子状物質フィルターの組合せの下流に浄化触媒が置かれている例が、U.S.特許出願No.2007/0137187に見られる。このフィルター下流に置かれる好適な浄化触媒には、ガス透過性モノリスなどの支持体担体上に載せられた他の酸化触媒やTWC触媒が含まれる。
【0006】
ディーゼルシステムで用いられる粒子状物質フィルターには、例えば煤塵の再生を抑える煤塵燃焼触媒が被覆されている。また、米国特許7,229,597では、酸化窒素(NOx)と粒子状物質と炭化水素を同時処理のための、酸化触媒の下流に設けられた選択的触媒還元(SCR)フィルターを与えられている。さらには、U.S.特許出願No.2004/0219077には、ディーゼルエンジン排気口に連結されている触媒活性フィルターが開示されている。しかしながら、粒子状物質フィルターの上に触媒を乗せると、ディーゼル排気流の有害成分のため効率が徐々に低下する。処理目標を達成するには十分な量の触媒が必要であるが、系中の逆圧を満足させる必要性とのバランスを取る必要がある。
【0007】
これらに加えて、EP2042226Aには、燃焼混合物の空気:燃料比率が主に化学量論的であるエンジン用粒子状物質フィルターが開示されている。特にこの文書は、Rhを含む層が直接的にPdを含む層を覆い、そのうちRh含有層のみがさらに酸素貯蔵成分(OSC)を含んでいる積層型の触媒デサインを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】U.S.特許出願No.2007/0137187
【特許文献2】米国特許7,229,597
【特許文献3】U.S.特許出願No.2004/0219077
【特許文献4】EP2042226A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって本発明の目的は、ガソリンエンジン排気流の処理システムとガソリンエンジン排ガスの処理方法、特にガソリン直噴エンジンからのガソリンエンジン排ガスの処理に関するものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
提供されるのは、ガソリンエンジンで、特に直噴技術のガソリンエンジンで使用に好適な、炭化水素や酸化窒素、一酸化炭素などのガス状排出物を低減させると共に粒子状物質を捕捉する排気システムや部品である。現在のこのようなエンジン用の後処理システムは、粒子状物質フィルターをもっていない。
【0011】
特に、本発明の目的は、粒子状物質フィルターを有するガソリンエンジン排ガス流の処理システムであって、該粒子状物質フィルターが、
粒子状物質フィルター基材と、
該フィルター基材の排ガス流入口表面上に設けられた流入口層と、
該フィルター基材の排ガス排出口表面上に設けられた排出口層とを含み、
該流入口層がRh及び/又はPdを含み、該排出口層がRh及び/又はゼオライトを含む処理システムで達成される。
【0012】
他の側面は、炭化水素類と一酸化炭素と酸化窒素を含むガソリンエンジン排ガス流処理用の、粒子状物質フィルターの上流及び/又は下流に位置する排ガス処理部品であり、この排ガス処理システムはさらに三元触媒及び/又はNOxトラップを含んでいる。
【0013】
さらに他の側面は、炭化水素と一酸化炭素と酸化窒素と煤塵を含むガスを処理する方法であって、排ガス処理システムをガソリンエンジン、好ましくは直噴ガソリンエンジンの下流に置き;三元(TWC)触媒と粒子状物質トラップをこの排ガス処理システムに与え; エンジンからの排ガスをこのTWC触媒と粒子状物質トラップに接触させることからなる方法である。
【0014】
従って、本発明はまた、
(i)上記請求項のいずれか一項に記載の処理システムを準備し、
(ii)該処理システムにガソリンエンジン排ガス流を導くことからなる
ガソリンエンジン排ガスの処理方法を提供する。
【0015】
本発明の他の実施様態が請求項中に与えられている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の好ましい壁面流型粒子状物質フィルターの詳細を示す概略断面図である。
【図2】図2は本発明の好ましい壁面流型粒子状物質フィルターの詳細を示す概略断面図である。
【0017】
なお、「流入口」は、ここを経由して排ガス流が粒子状物質フィルターに入る壁面流型のフィルター流路であり、「排出口」はここを通して排ガス流が粒子状物質フィルターから出て行く壁面流型のフィルターの流路であり、「CSF基材」は粒子フィルター基材であり、「A」は流入口層であり、「B」は排出口層である。
【0018】
本発明によれば、ガソリンエンジン排ガス流に特に適した、特に直噴ガソリンエンジン由来の排ガスに適した粒子状物質フィルターを含む処理システムが提供される。より詳細には、この粒子状物質フィルターは、粒子状物質フィルター基材と、排ガスの処理に用いられた場合に流入するガス流が最初に接触する該フィルター基材の一表面上に設けられた流入口層と、該ガス流がフィルター基材を移動し該排ガスが最後に接触するフィルター基材の一表面に設けられた排出口層とからなる。
【0019】
原則として、ガソリンエンジン排ガス流中に含まれる粒子状物質を効果的にろ過できるなら、いずれのフィルター基材を本発明で用いてもよい。好ましくは、粒子状物質トラップがフィルター基材として用いられる。なお本発明では、粒子状物質トラップは、ガソリンエンジン中での、好ましくは直噴技術のガソリンエンジン中での燃焼反応で生成した粒子状物質をトラップするような大きさと構成にされたフィルターを意味する。例えば、粒子状物質の流動方向の変化が起こり排気流れから粒子状物質が除かれるような内部蛇行性の経路をもつガス透過性基材を用いて、波型の金属担体などの基材を用いて、あるいは当業界の熟練者には既知の他の方法により粒子状物質が除かれる。
【0020】
ある好ましい実施様態においては、この基材がガス透過性モノリスであり、好ましくは壁面流型フィルターであり、より好ましくはハニカム構造をもつ壁面流型フィルターである。有用な壁面流型の基材は、複数の微細な実質的に平行な基材の長さ軸方向に延びるガス流路をもつ。各流路が基材本体の一方で閉鎖され、残りの流路が反対側の端面で閉鎖されていることが好ましい。本発明で使用する可能性のある適当な壁面流型基材に関して、米国特許4,329,162を引用として本出願に組み込む。
【0021】
この粒子状物質フィルター基材は、粒子状物質フィルターとの流体の授受に関するガソリンエンジンの機能を妨げずにガソリンエンジン排ガスに含まれる粒子状物質をロ別できるいずれの材料あるいは材料の組合せであってもよい。このために、多孔性材料が基材材料として好ましく用いられ、特にコージェライトやα−アルミナ、炭化ケイ素、チタン酸アルミニウム、窒化ケイ素、ジルコニア、ムライト、リチア輝石、アルミナ−シリカ−マグネシア、ケイ酸ジルコニウムなどのセラミック状材料や、多孔性の耐火金属やその酸化物が好ましく用いられる。本発明によれば、「耐火金属」は、TiとZr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Reからなる群から選ばれる一種以上の金属をいう。この粒子状物質フィルター基材がセラミック繊維複合材料からなっていてもよい。本発明によれば、この粒子状物質フィルター基材は、好ましくはコージェライト、炭化ケイ素、及び/又はアルミニウムチタネートから製造される。一般に、粒子状物質フィルターがガソリンエンジン排ガスの処理に用いられたときに曝される高温に耐えることのできる材料が好ましい。
【0022】
本発明の粒子状物質フィルターで使用可能な好ましい壁面流型フィルター構造物の中で、フィルターを通過する際の逆圧及び/又は圧力損失が最小となるように薄い壁面をもつ構造物が特に好ましい。壁面流型フィルター構造物の好ましい厚みは用いる材料の種類とその空隙率に大きく依存するが、本発明の壁厚は、好ましくは10μmから1mmの範囲であり、より好ましくは50μm〜600μm、より好ましくは100μm〜400μm、さらに好ましくは250μm〜350μmの範囲である。
【0023】
粒子状物質フィルター中で用いる基材材料の空隙率と平均孔径については、粒子フィルターとの流体の授受において、ガソリンエンジンの好ましい通常の機能を損なうこととなる逆圧及び/又は圧力損失を引き起こすことなく、ガソリンエンジン排ガスに含まれる粒子を効果的にガス流からろ過できるなら、いずれの空隙率と平均孔径を用いてもよい。しかしながら、これは、好ましい壁面流型フィルター基材中の壁厚などそのフィルター構造の大きく依存する。しかし、本発明によれば、空隙率が20〜80%の範囲である粒子状物質フィルター基材材料が好ましく、空隙率が25〜75%の範囲のものが特に好ましい。本発明のフィルター基材材料の空隙率が35〜65%であることがさらに好ましく、さらに好ましくは40〜60%、さらに好ましくは45〜55%である。
【0024】
本発明の意味において、ある特定の材料の「空隙率」は、その材料の総体積または嵩体積に対するボイド空間の体積の比率と定義される。好ましくは、本発明の意味での空隙率は、特定の材料の流体の流動が効果的に起こる全体量に対する有効または開放空隙率の比率であり、このためデッドエンドの気孔や非連結の穴は含まれていない。
【0025】
本発明の粒子状物質フィルター基材に含まれる多孔性材料の平均孔径に関して、粒子フィルターとの流体の授受において、ガソリンエンジンの好ましい通常の機能を損なうこととなる逆圧及び/又は圧力損失を引き起こすことなく、ガソリンエンジン排ガスに含まれる粒子を効果的にガス流からろ過できるなら、上記材料はいずれの平均孔径や孔径分布をとってもよい。好ましくは平均孔径が2μm以上の材料が使用され、より好ましくは平均孔径が5〜30μmの範囲の材料、より好ましくは10〜20μmの範囲の材料が使用される。
【0026】
好ましいハニカム壁面流型フィルター基材に関して、上記フィルター構造物は、一般的にはいかなるセル密度をとってもよい。なお、本発明の「セル密度」または「セルの密度」は、フィルターの軸に垂直なフィルター断面表面中に認められる閉鎖セルの数をいう。このセルは、いかなる断面構造をとってもよいが、長方形、正方形、丸型、卵型、三角形、六角形型の構造や、これらの構造の2つ以上の組合せが好ましい。セル密度が10〜200セル/cm2である壁面流型のフィルター基材の使用が好ましく、より好ましくは20〜100セル/cm2、より好ましくは30〜70セル/cm2、さらにより好ましくは40〜55セル/cm2のフィルター基材の使用が好ましい。
【0027】
これらの空隙率や平均孔径をもつ基材に以下に述べる方法で塗布すると、適当なレベルの触媒組成物が基材の上に形成され、優れた炭化水素、CO、及び/又はNOx変換効率を示す。特に、これらの基材は、触媒を塗布しても適当な排気流動特性を示し、許容できる逆圧を保持する。
【0028】
特に、本発明によれば、この処理システムに含まれる粒子状物質フィルターは、フィルター基材の排ガス流入口表面上に設けられた流入口層をもつ。上述のように、本発明の「流入口層」は、排ガス処理に用いられた場合に、最初に流入するガス流が接触するフィルター基材の一表面に設けられた層をいう。例えば、好ましい本発明の壁面流型粒子状物質フィルターの断面の詳細を示す図1と2に表示されているように、この流入口層Aは処理プロセス中にこれを通してガソリンエンジン排ガスが上記フィルターに流入する流路の壁面上に設けられている。
【0029】
本発明の処理システム中に設けられる粒子状物質フィルターは、上記流入口層に加えて、排出口層を有する。なお、「排出口層」は、その処理の間にガス流がフィルター基材を通過しその排ガスが最後に接触するフィルター基材の表面に設けられる層をいう。従って、好ましい本発明の壁面流型粒子状物質フィルターの断面の詳細を示す図1と2に表示されているように、この排出口層Bは、処理プロセス中にこれを通してガソリンエンジン排ガスが上記フィルターから出て行く流路の壁面上に設けられる。
【0030】
本発明によれば、いずれの種類の層を粒子状物質フィルター中で使用しても良いが、好ましくは塗膜層が用いられる。
【0031】
原則的には、これらの流入口と排出口層をいずれの状態で粒子状物質フィルター上に設けてもよい。特に、粒子状物質フィルターの流入口及び/又は排出口表面がすべて覆われる用に、あるいはその一部のみが覆われるように、これらの層を設けてもよい。本発明の意味においては、「流入口表面」は、流入するガス流がまず接触するフィルター基材の一表面を意味するものとし、「排出口表面」は、その処理中にガス流がフィルター基材を通過した後、排ガスが最後に接触するフィルター基材の表面であるものとする。この点で、本発明では、排出口表面が排出口層で完全に覆われているときに流入口表面の一部のみが流入口層で覆われていることも可能であり、反対に、流入口表面が流入口層で完全に覆われているときに、フィルター基材の排出口表面の一部のみが排出口層で覆われていることも可能である。しかしながら、図1と2に例示するように、好ましい壁面流型フィルター基材に関して、流入口と排出口の表面の両方がそれぞれ、これらの層で完全に覆われているか、部分的に覆われていることが好ましい。
【0032】
このフィルターの流入口表面または排出口表面が部分的にのみ覆われている場合、覆われている表面の比率は、好ましくは10〜90%の範囲であり、より好ましくは20〜80%、より好ましくは30〜70%、より好ましくは40〜60%、さらに好ましくは45〜55%の範囲である。粒子状物質フィルターの流入口表面及び/又は排出口表面の一部のみが覆われている本発明の実施例においては、覆われている場所が、流入するガス流に最初に接触する、あるいはフィルター基材を通過したガス流が最後に接触する流入口表面と排出口表面に位置していることが好ましい。本発明の特に好ましい実施様態によれば、流入口層で覆われた流入口表面と排出口層で覆われた排出口表面の合計は、百分率で50〜150%の範囲であり、好ましくは60〜140%、より好ましくは70〜130%、より好ましくは80〜120%、より好ましくは90〜110%、より好ましくは95〜105%、より好ましくは98〜102%、より好ましくは99〜101%、さらに好ましくは90.5〜100.5%の範囲である。例えば、図2は、好ましい壁面流型のフィルター基材の特に好ましい実施様態であり、流入口層と排出口層の表面の50%がそれぞれ流入口層と排出口層で覆われ、それぞれ覆われている流入口表面と排出口表面の部分が、流入するガス流が接触する最初の流入口表面の50%と、フィルター基材を出て行くガス流が接触する最後の排出口表面の50%であるものを示す。
【0033】
したがって、壁面流型フィルターがフィルター基材として用いられる本発明の実施様態に関して、流入口末端と、排出口末端と、流入口末端と排出口末端間に延びる軸方向に長い基材と、壁面流型基材の内壁で定義される複数の流路とからなるものが特に好ましい。
【0034】
なお、これらの複数の流路は、開いた流入口末端と閉じられた排出口末端とをもつ流入口流路と閉じられた流入口末端と開いた排出口末端とをもつ排出経路とを有し、
流入口流路の内壁は、流入口の末端から第一の流入口層末端に延びる第一の流入口層を含み(なお、第一の流入口層長は、基材の軸方向の長さのx%である)、
排出口流路の内壁は、排出口の末端から排出口層末端に延びる第一の排出口層を含む(なお、第一の排出口塗料長さは基材の軸方向の長さの100−x%であり、0<x<100)。
【0035】
特に好ましい実施様態においては、xが25〜75%の範囲であり、好ましくは35〜65%、より好ましくは45〜55%の範囲である。
【0036】
また、驚くべきことに、特定の組成物を本発明の流入口層と排出口層に使用すると、ガソリンエンジン排ガスの処理に、特に直噴ガソリンエンジンからの排ガスの処理に効果的に使用できる粒子状物質フィルターを得ることができることがわかった。この点で、意外にも、流入口層と排出口層用の特定の組成物の組合せが、特によくガソリンエンジン排ガス流の処理に適していることがわかった。
【0037】
より具体的には、本発明の流入口層及び排出口層の組成物の組合せは、Rh、Pd、またはRhとPdの両方を含む流入口層と、Rh、ゼオライトまたはRhとゼオライトの両方を含む排出口層組成物の組合せに関する。
【0038】
したがって本発明は、粒子状物質フィルターを含むガソリンエンジン排ガス流の処理システムであって、該粒子状物質フィルターが、
粒子状物質フィルター基材と、
該フィルター基材の排ガス流入口表面上に設けられた流入口層と、
該フィルター基材の排ガス排出口表面上に設けられた排出口層とを含み、
該流入口層がRh及び/又はPdを含み、該排出口層がRh及び/又はゼオライトを含むものに関する。
【0039】
本発明のある好ましい実施様態においては、粒子状物質フィルターの流入口層がPdを含み、排出口層がRhを含む。
【0040】
流入口層がRhとPdを含み、排出口層がさらにPdを含む本発明の実施様態がさらに好ましい。流入口層と排出口層の両方がRhとPdを含む実施様態がさらに好ましい。
【0041】
粒子状物質フィルターがRhまたはPdを含む流入口層とゼオライトを含む排出口層とをもつ本発明の実施様態がさらに好ましい。
【0042】
また、本発明の特に好ましい実施様態においては、粒子状物質フィルターの流入口層と排出口層が両方共にRhを含む。
【0043】
本発明によれば、流入口層及び/又は排出口層がさらにPtを含むことが好ましい。流入口層及び/又は排出口層がゼオライトに加えてさらにPtを含む実施様態が特に好ましい。
【0044】
本発明では、ガソリンエンジン排ガス処理の暖機期間中に、即ち処理システムが運転に必要な温度にまで完全達していない場合に炭化水素を吸着するために、ゼオライトを使用することが好ましい。原則的には、一種以上のゼオライトが粒子状物質フィルターの流入口層及び/又は排出口層中に含まれていてもよいが、一種上のゼオライトが排出口層に含まれていることが好ましい。本発明の特に好ましい実施様態においては、一種以上のゼオライトを含む層が、さらに吸着された炭化水素を高温で酸化するためのPtを含んでいる。
【0045】
一般に、いずれのゼオライトも本発明で使用可能であり、好ましくはファージャサイト、チャバザイト、クリノプチロライト、モルデナイト、シリカライト、ゼオライトX、ゼオライトY、超安定ゼオライトY、ZSM−5ゼオライト、ZSM−12ゼオライト、SSZ−3ゼオライト、SAPO5ゼオライト、オフレタイト、βゼオライト、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるゼオライトが使用される。特に好ましい実施様態においては、このゼオライトが、ZSMゼオライトとβゼオライト、ゼオライトY、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる。
【0046】
ガソリンエンジン排ガスが、特にガソリンエンジン排ガス処理に伴う高温で効果的に処理できるのなら、本発明で用いられるゼオライトは、いかなるSi:Al比率をもっていてもよい。これらのゼオライトのSi:Al比率は、好ましくは25〜1000の範囲であり、より好ましくは50〜500、さらに好ましくは100〜250の範囲である。あるいは、25〜300のSi:Al比率が好ましく、35〜180の比率がさらに好ましい。
【0047】
一般に、流入口層と排出口層は、そこに含まれる他の成分の、特に遷移金属Rh及び/又はPdの支持体として支持体材料を、好ましくは金属酸化物を含んでいてもよい。しかしながら排出口層がゼオライトを含む実施様態では、特にこの層が白金族金属を含まない場合は、この層が支持体材料を含まないことが好ましい。本発明において、「白金族金属」は、ルテニウムとロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金からなる群から選ばれる一種以上の金属をいう。
【0048】
触媒層中の「支持体」は、会合、分散、含浸、または他の適当な方法で、貴金属、特に白金族金属を、また安定剤や促進剤(好ましくは遷移金属)、バインダー等の成分を受け取る材料をいう。「含浸」は、各成分が支持体材料上に、特に支持体材料の空孔中に置かれていることを意味する。より具体的な実施様態では、含浸はまず湿式塗布で行われるが、その際、これら一種以上の成分を含む溶液の体積が支持体内部の空孔体積にほぼ一致する。この初めの湿式塗布で、通常、支持体の空孔系に溶液を実質的に一様に分布させることができる。「強く接触」は、有効量の成分がその支持体に直接接触していること及び/又は実質的に隣接して接触していることをいう。
【0049】
本発明の粒子状物質フィルターの流入口層または排出口層中に含まれる少なくとも一種の遷移金属の機能を少なくとも効果的に支持できるなら、いずれの材料も支持体材料として使用可能である。本発明によれば、支持体材料として金属酸化物が好ましく用いられ、アルミナ、ジルコニア、ジルコニア−アルミナ、バリア−アルミナ、ランタナ−アルミナ、ランタナ−ジルコニア−アルミナ、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる金属酸化物を用いることがより好ましい。上記の好ましい支持体材料の中では、ランタナ−アルミナ及び/又はジルコニア−アルミナが特に好ましい。
【0050】
本発明の支持体材料として使用可能なアルミナ種の中では、単独であっても他の金属酸化物との組合せであっても、γアルミナが好ましい。本発明の特に好ましい実施様態においては、耐火金属及び/又は希土類金属でドープされたγアルミナが、より好ましくはランタン及び/又はジルコニウムでドープされたγアルミナが使用される。
【0051】
本発明のある好ましい実施様態においては、ランタナ−アルミナがPd用支持体材料として好ましく用いられ、ジルコニア−アルミナがRh用支持体材料として好ましく用いられる。より好ましくは、Pdがランタナ−アルミナで担持される場合、この支持体材料が、2〜10質量%のLaを、さらに好ましくは3〜6質量%のLa、さらに好ましくは3.5〜4.5質量%のLaを含んでいる。また、Rhがジルコニア−アルミナで担持される場合、この支持体材料は、好ましくは5〜35質量%のZrを、より好ましくは10〜30質量%の Zr、さらに好ましくは15〜25質量%のZrを含む。
【0052】
本発明の好ましい実施様態においては、粒子状物質フィルター流入口層及び/又は排出口層が酸素貯蔵成分(OSC)を含む。本発明の意味では、「酸素貯蔵成分」(OSC)は、多価状態をとる物質で、酸素または亜酸化窒素などの酸化剤と酸化条件で活発に反応し、一酸化炭素(CO)または水素などの還元剤と還元条件で反応する物質をさす。本発明によれば、このOSCが、好ましくはジルコニア、セリア、バリア、ランタナ、プラセオジミア、ネオジミア、およびこれらの混合物からなる群から選ばれ、より好ましくはセリア−ジルコニア混合物とセリア−ジルコニア−ランタナ混合物、ランタナ−ジルコニア混合物、バリア−ランタナ混合物、バリア−ランタナ−ネオジミア混合物からなる群から選ばれる。特に好ましい実施様態においては、流入口層及び/又は排出口層に含まれる酸素貯蔵成分が、セリア及び/又はジルコニアであり、より好ましくはセリア−ジルコニア複合物である。
【0053】
流入口層がOSCとしてセリア−ジルコニア複合物を含む特に好ましい実施様態においては、上記複合物が、好ましくは20〜70質量%のセリアを含み、より好ましくは30〜60質量%、より好ましくは35〜55質量%、さらに好ましくは40〜50質量%のセリアを含む。
【0054】
また排出口層がOSCとしてセリア−ジルコニア複合物を含む特に好ましい実施様態においては、上記複合物が、好ましくは2〜20質量%のセリアを含み、より好ましくは5〜15質量%、さらに好ましくは8〜12質量%のセリアを含む。
【0055】
OSCに加えてあるいはOCSに代えて、流入口層及び/又は排出口層がNOxトラップ成分を含んでいてもよく、このNOxトラップ成分は、好ましくは、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類酸化物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれ、より好ましくはカリウムとナトリウム、リチウム、セシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、セリウム、ランタン、プラセオジミウム、ネオジミウムの酸化物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる。特に好ましい実施様態においては、このNOxトラップ成分が酸化バリウム及び/又は酸化ストロンチウムであり、より好ましくは酸化バリウムである。
【0056】
本発明の好ましい実施様態においては、このガソリンエンジン排ガス処理システムがさらにTWC触媒を含む。原則的には、もしガソリンエンジン排ガスの効果的処理が可能なら、本発明の処理システム中でいずれのTWC触媒を使用することも可能である。好ましくは、Rh及び/又はPdを含むTWC触媒が用いられ、より好ましくはPdを含むTWC触媒が用いられる。
【0057】
本発明の処理システムにおいては、このTWC触媒と粒子状物質フィルターとの間で流体が授受されるが、処理のためにシステム内を流れるガソリンエンジン排ガス流の方向において、このTWC触媒が粒子状物質フィルターの上流にあっても下流にあってもよい。ただし、TWC触媒が粒子状物質フィルターの上流にあることが好ましい。
【0058】
本発明の好ましい実施様態においては、このTWC触媒が金属酸化物支持体材料を含み、この支持体材料は、好ましくはアルミナ、ジルコニア、ジルコニア−アルミナ、バリア−アルミナ、ランタナ−アルミナ、ランタナ−ジルコニア−アルミナ、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる。特に好ましい実施様態においては、この金属酸化物支持体材料がγ−アルミナである。
【0059】
この支持体材料が希土類元素であり、好ましくは0.01〜30質量%の量で、より好ましくは0.05〜15質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%の量でドープされていることが好ましい。特にこの希土類元素は、好ましくはセリウムとランタン、プラセオジミウム、ネオジミウム、およびこれらの混合物からなる群から選ばれ、この希土類元素は、好ましくはセリウム及び/又はランタンであり、より好ましくはセリウムである。
【0060】
本発明の特に好ましい実施様態においては、この金属酸化物支持体材料が、好ましくは耐火金属及び/又は希土類金属でドープされたγ−アルミナであり、より好ましくはランタン及び/又はジルコニウムでドープされたγ−アルミナである。
【0061】
本発明のTWC触媒は、上記の支持体材料に加えてあるいは代えて、OSCを含むことが好ましい。このOSCは、好ましくはジルコニア、セリア、バリア、ランタナ、プラセオジミア、ネオジミア、およびこれらの混合物からなる群から選ばれ、より好ましくはセリア−ジルコニア混合物とセリア−ジルコニア−ランタナ混合物、ランタナ−ジルコニア混合物、バリア−ランタナ混合物、バリア−ランタナ−ネオジミア混合物からなる群から選ばれる。特に好ましい実施様態においては、このOSCがセリア及び/又はジルコニアであり、好ましくはセリアである。
【0062】
本発明によれば、この処理システムがさらに、TWC触媒に加えてあるいは代えて、NOxトラップを含んでいてもよい。本発明での使用に好適NOxトラップの開示に関して、WO2008/067375を引用として本明細書に組み込む。
【0063】
しかし、本発明の処理システムにおいて、粒子状物質フィルターに加えてTWC触媒またはNOxトラップのいずれかを用いることが好ましい。原則的には、NOxトラップを含む本発明の処理システムの好ましい実施様態において、ガソリンエンジン排ガスの効果的処理が可能であれば、いずれのNOxトラップも使用可能である。
【0064】
好ましい本発明の処理システムにおいては、このNOxトラップと粒子状物質フィルターとの間で流体が授受され、処理のためにシステム内を流れるガソリンエンジン排ガス流の方向において、このNOxトラップが粒子状物質フィルターの上流にあっても下流にあってもよい。ただし、NOxトラップが粒子状物質フィルターの上流にあることが好ましい。
【0065】
本発明のある好ましい実施様態においては、このNOxトラップが、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類酸化物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる化合物を含み、上記化合物は、好ましくはカリウムとナトリウム、リチウム、セシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、セリウム、ランタン、プラセオジミウム、ネオジミウムの酸化物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる。特に好ましい実施様態においては、このNOxトラップが、酸化バリウム及び/又は酸化ストロンチウムを含み、より好ましくは酸化バリウムを含む。
【0066】
特に好ましい本発明の処理システムにおいては、このNOxトラップがさらにPdを、好ましくはPdとPtとRhを含む。
【0067】
本発明の特に好ましい実施様態においては、TWC触媒及び/又はNOxトラップの機能が、粒子状物質フィルターの機能に適合させられる。従って、驚くべきことに、粒子状物質フィルターとTWC触媒及び/又はNOxトラップとの間で、ガソリンエンジン排ガス処理の特定のプロセスを好ましく分割できることが明らかとなった。より具体的にいうと、意外にも粒子状物質トラップがRhを含む場合には、ガソリンエンジン排ガス処理のNCV還元プロセスが、TWC触媒上及び/又はNOxトラップ上ではなく、主に粒子状物質フィルター内で起こることが明らかとなった。これには、TWC触媒の体積が減少し、用いる高価な白金族金属の総量を、特にRhとPdとPt(本発明の特定の実施様態でこれらの金属が存在するなら)の総量を削減できるため、非常に経済的なガソリンエンジン排ガス処理システムが可能であるという大きな利点がある。
【0068】
従って本発明の特に好ましい実施様態においては、この粒子状物質フィルターがRhを含み、より好ましくは粒子状物質フィルターの流入口層と排出口層の両方がRhを含む。上記の特に好ましい実施様態のように、この粒子状物質フィルターが実質的にPdを含まないことが好ましい。
【0069】
また意外にも、粒子状物質フィルターがRhを含む場合、TWC触媒及び/又はNOxトラップがPdを含むことが好ましいことが明らかとなった。特に、本発明のガソリン排ガス処理システム中のPdの総負荷量がRhの総負荷量より大きいことが好ましいため、TWC触媒及び/又はNOxトラップがPdを含むことが好ましい。これは、それぞれ粒子状物質フィルターと比較すると、Pdのより良好な分散が可能であるためである。したがって、粒子状物質フィルターの流入口層及び/又は排出口層が塗膜層である本発明の好ましい実施様態においては、これらの層の総体積が、PdとさらにはTWC触媒及び/又はNOxトラップ中の他の白金族金属の分散に可能な体積よりも通常小さい。その結果、粒子状物質フィルターがRhを含み、処理システムのTWC触媒及び/又はNOxトラップがPdを含むと、より高い効率が達成される。この処理システムが、Pdを含有するTWC触媒をもつことが好ましい。
【0070】
したがって、本発明の特に好ましい実施様態においては、この粒子状物質フィルターがRhを含み、処理システム中に含まれるTWC触媒及び/又はNOxトラップがPdを含む。なお、この処理システムは、Pdを含有するTWC触媒を含むことが好ましい。
【0071】
このガソリンエンジン排ガス処理システムは、さらにガソリンエンジンからの排ガス出口が粒子状物質フィルターと流体連通するガソリンエンジンを含むことができる。好ましくは、このガソリンエンジンはガソリン直噴エンジンである。
【0072】
ある好ましい実施様態によれば、ガソリンエンジンを含むガソリンエンジン排気処理システムは、さらにガソリンエンジン排ガス出口とガスを授受する排ガス管を有していてもよい。なお、この排ガス管内に粒子状物質フィルターが入れられる。TWC触媒及び/又はNOxトラップもこの排ガス管内に入れられることが好ましい。特に好ましい実施様態においては、TWC触媒及び/又はNOxトラップが、それぞれ排ガス流の方向に対して排ガス管中で粒子状物質フィルターの上流に位置している。
【0073】
したがって本発明はまた、ガソリンエンジン排ガス流の処理システムであって、
該システムがさらに、ガソリンエンジン、好ましくはガソリン直噴エンジンと
エンジンと連結した排ガス管を有し、
粒子状物質フィルター基材と任意のTWC触媒及び/又はNOxトラップが排ガス管内に設けられているものに関する。
【0074】
本発明の処理システムが、これらに加えて、一個以上のガスセンサー及び/又は内蔵(OBD)システムなどのガソリンエンジン排ガス処理に好ましく用いられるいずれか他の部品を有していてもよい。
【0075】
本発明の他の側面によれば、上述のガソリンエンジン排ガス処理システムを用いるガソリンエンジン排ガスの処理方法が提供される。特に、特にガソリンエンジン中の炭化水素の燃焼により生産されるHCとCOとNOxと煤塵の比率に対して、好ましくはガソリン直噴エンジンにより生産される比率に対して、特定量の炭化水素(HC)とCOとNOxと煤塵を排気汚濁物質として排出するガソリンエンジン排ガスの処理方法が提供される。
【0076】
したがって、本発明はまた、
(i)上記いずれの一つの実施様態の処理システムを準備し、
(ii)該処理システムにガソリンエンジン排ガス流を導くことからなる
ガソリンエンジン排ガスの処理方法に関する。
【0077】
一般に、本発明の方法を、いずれのガソリンエンジン排ガスに応用してもよい。本発明により、ガソリン直噴エンジンからの排ガスを用いる処理方法が提供されることが好ましい。本発明の処理方法で使用されるガソリンエンジン排ガスの組成に関して、HCとCO、NOx、煤塵汚濁の質量比は、即ちHC:CO:NOx:煤塵質量比は、好ましくは(2.5−7.0):(0.5−3.0):(1.0−4.7):(0.00005−0.01)の範囲であり、より好ましくは(3.0−6.8):(0.7−2.5):(2.0−4.2):(0.0001−0.007)、より好ましくは(3.5−6.5):(0.8−2.0):(2.5−4.0):(0.0003−0.005)、より好ましくは(4.0−6.0):(1.0−1.9):(3.1−3.7):(0.0005−0.003)、さらに好ましくは(4.5−5.5):(1.2−1.7):(3.2−3.6):(0.001−0.0025)の範囲である。
【0078】
本発明の方法によれば、ガソリンエンジン排ガス流が処理システム内に導かれる温度は、特に粒子状物質フィルターに接触する直前の排ガスの温度は、通常300〜1100℃の範囲である。粒子状物質フィルターに接触する直前の排ガス流の温度は好ましくは450〜1000℃の範囲であり、より好ましくは550〜950℃、より好ましくは650〜900℃、さらに好ましくは750〜850℃の範囲である。あるいは、この粒子状物質フィルターに接触する直前の排ガス流の温度は、好ましくは500〜900℃の範囲であり、より好ましくは550〜800℃、さらに好ましくは600〜750℃の範囲である。
【0079】
一般に、本発明の処理システムの製造に、いずれの方法をとることもできる。通常、好ましいハニカム壁面流型基材などの粒子状物質フィルター基材を流入口層と排出口層の組成物で覆うために、これらの基材を、所望成分を含むスラリーの一部に垂直に浸漬させ、基材の上部をスラリーの表面の上に残す。このようにして各々のハニカム壁面の流入口面にスラリーが接触し、各々の壁面の排出口面は接触されずに残る。試料は、通常このスラリー中に約30秒間置かれる。次いで、この基材をスラリーから取り出し、まず流路から自重で落下させ、次いで圧縮空気で吹き飛ばして(スラリー浸透の逆方向に)、さらにスラリー浸透の方向から真空を引いて壁面流型基材から過剰のスラリーを除く。この方法を用いて、この触媒スラリーが基材の壁面を浸透するが、最終の基材に過度の逆圧が発生しない程度にまで空孔が未閉塞で維持される。本明細書中で、基材上での触媒スラリーの分散を説明するのに用いられる「浸透」は、触媒組成物が基材の壁面全体に分散することを意味する。
【0080】
これらの塗膜基材は、通常約100℃で乾燥し、高温(例えば、300〜450℃、最高で550℃)で熱処理される。熱処理後、基材の塗装前後の質量からこの触媒の坦持量を計算することができる。当業者には明らかなように、塗料スラリーの固形分含量を変えることで、この触媒負荷量を変えることができる。あるいは、塗料スラリー中に基材を繰り返し浸漬し、上述のようにして過剰のスラリーを除くこともできる。
【0081】
基材に関して、有用な基材は金属製であってよく、一種以上の金属または金属合金からなっていてもよい。この金属製担体は、いろいろな形状で、例えば波板状またはモノリス状で使用できる。具体的な金属性支持体には、チタンやステンレス鋼などの耐熱金属や金属合金、また鉄を多く含むあるいは鉄が主成分である他の合金が含まれる。このような合金は、ニッケル、クロム及び/又はアルミニウムの一種以上を含んでいてもよく、これらの金属は、少なくとも15質量%の合金を、例えば10〜25質量%のクロムと3〜8質量%のアルミニウムと最大で20質量%のニッケルを含むことが好ましい。これらの合金は、少量または微量の一種以上の他の金属、例えばマンガンや銅、バナジウム、チタンなどを含むことができる。これらの金属担体の表面を、高温下で、例えば1000℃以上で酸化し、担体表面に酸化物層を形成して合金の耐腐食性を向上させてもよい。このような高温誘起の酸化は、触媒材料の担体への結合を強化する。
【0082】
本発明の触媒複合物は、単層であっても複数の層であってもよい。いくつかの例では、触媒材料のスラリーを一つ作成し、このスラリーを担体上の複数の層の形成に用いるのが適当であろう。これらの複合物は、先行技術に公知の方法で容易に製造可能である。代表的な方法を以下に示す。本明細書において、「塗膜」は、で通常用いられる意味をもち、十分に多孔性であり、処理ガス流の流路への通過を許す、ハニカム型担体などの基材担体材料に塗布された触媒材料または他の材料の薄い粘着性塗料をいう。
【0083】
この触媒複合物は、容易に担体上で層状に形成可能である。特定の塗膜の第1層のために、γアルミナなどの高表面積金属酸化物の粒子状物質を、適当な分散媒体中に、例えば水中に分散する。貴金属及び/又は白金族金属(例えば、パラジウム、ロジウム、白金、及び/又はこれらの組合せ)などの成分や安定剤及び/又は促進剤を投入するには、これらの成分を、水溶性または水分散性化合物または錯体の混合物としてスラリー中に投入する。通常、この塗膜にパラジウムが含まれる場合、金属酸化物支持体、例えば活性アルミナ上でのこの成分の分散を可能とするため、このパラジウム成分が化合物または錯体の形で使用される。本発明の目的において、「パラジウム成分」は、その焼成または使用により分解または変換されて、触媒活性な形に、通常その金属または金属酸化物になるいずれかの化合物や錯体などである。これは、単独であるいは相互に組合せて本発明で用いられるすべての白金族元素に当てはまる。耐火金属酸化物支持体粒子上への金属成分の含浸または付着に用いる液状媒体が、金属またはその化合物や錯体と、あるいは触媒組成物中に存在し加熱での気化または分解できる及び/又は真空の印加で金属成分から除きうる他成分と反応して悪影響を与えないなら、金属成分の水溶性化合物または水分散性化合物または錯体を使用できる。いくつかの場合には、この触媒が使用中に遭遇する高温に曝されるまで、この液体の除去が完了しない。一般的には、経済的また環境的側面の両方から、貴金属の可溶性化合物または錯体の水溶液が使用される。好適な化合物は、例えば硝酸パラジウムまたは硝酸ロジウムである。
【0084】
本発明の積層触媒複合物のいずれの層の好適な製造方法も、所望の貴金属化合物及び/又は白金族化合物(例えば、パラジウム化合物)の溶液と少なくとも一種の支持体、例えばγアルミナなど微細で高表面積である金属酸化物支持体との混合物であって、十分に乾燥していて実質的にすべての溶液を吸収して湿固体を与え、これにさらに水を加えて塗布可能なスラリーを作ることのできるものを作ることである。一つ以上の実施様態においては、このスラリーが酸性で、例えばpHが約2から約7未満の酸性である。適当な量の無機酸または有機酸をこのスラリーに加えて、スラリーのpHをさらに下げることもできる。酸と原料の馴染みを考慮に入れて、無機酸と有機酸の両方を用いることもできる。無機酸としては、例えば硝酸があげられるが、とくにこれに限定されない。有機酸としては、特に限定されないが、例えば酢酸やプロピオン酸、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタミン酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、酒石酸、クエン酸などが挙げられる。その後、所望なら、例えばセリウム−ジルコニウム複合物などの酸素貯蔵成分の水溶性または水分散性化合物や、酢酸バリウムなどの安定剤、硝酸ランタンなどの促進剤をスラリーに加えてもよい。
【0085】
ある実施様態においては、このスラリーをその後、破砕し、実質的にすべての固体が約20ミクロン以下の平均粒度をもつように、好ましくは平均径が約0.1〜15ミクロンとなるようにしてもよい。この破砕は、ボールミルまたは他の類似装置で実施でき、スラリーの固体含量は約20〜60質量%の範囲でよく、特に約30〜40質量%が好ましい。
【0086】
担体に第一の層を付着させる方法と同様にして、第一層の上に他の層、即ち第二、第三の層を形成してもよい。
【実施例】
【0087】
本発明の粒子状物質フィルターのいくつかの例を、以下の方法で製造した。すべての例で、コージェライト壁面流型のフィルター基材を用いた。この壁面流型フィルター中では、基材の長さ方向の軸に沿って実質的に平行に延びている流路の交互の末端ではモノリスの流入口または排出口が閉鎖されており、開放流入口側と閉鎖された排出口側をもつ流入路と閉鎖された流入口側と開放排出口側を持つ排出路がそれぞれ形成されている。以下の例では、流入路の壁面上に設けられた塗膜層を流入口層と呼び、排出路の壁面に設けられた塗膜層を排出口層と呼ぶ。本発明の処理システム中での運転時に、ガソリンエンジン排ガス流中にこの粒子状物質フィルターを置いて、排ガスを流入路に導き、まず流入口層を通過させ、次いで多孔性基材材料を、最終的に排出口層を通過して、粒子状物質フィルターから排出路を通じて出て行くようにする。
【0088】
実施例1 コージェライト壁面流型フィルター基材の流入口と排出路にそれぞれの塗膜層を形成して触媒活性粒子状物質フィルターを製造した。この基材の体積は85.23in3(1,396.67cm3)であり、セル密度は300セル/平方インチ(46.5セル/cm2)、壁厚は約12mil(0.3mm)であった。最終の触媒活性粒子状物質フィルターは、PdとRhを、15g/ft3(529.72g/m3)の総貴金属負荷量でまた13.5:1.5のPd:Rh比率で含んでいた。また、この最終の触媒活性粒子状物質フィルターの酸素貯蔵成分(OSC)含量は50質量%であり、その流入口層のOSC含量は63質量%で、排出口層のOSC含量は27%であった。これらの塗膜層は次のように製造した。
【0089】
流入口層塗膜
流入口塗膜中に存在する成分は、4質量%のランタン安定化γアルミナと、45質量%セリアを含むセリア−ジルコニア複合物と、酸化バリウムであり、これらを熱処理後の最終の触媒活性粒子状物質フィルター中の流入口塗膜層の質量に対して、それぞれおよそ30%、63%、6%の濃度で含んでいた。熱処理後の最終の触媒活性粒子状物質フィルター中の流入口塗膜層の総負荷量は、0.5g/in3(0.0305g/cm3)であった。
【0090】
流入口塗膜を形成するため、遊星型ミキサー(P−ミキサー)でまず湿式塗布で安定化γアルミナに硝酸パラジウム溶液を含浸させて湿粉末を得た。なお、Pdの量は、粒子状物質フィルターのPdの最終濃度が13.5g/ft3となるように調整した。次いで、流入口層塗膜の上記成分のすべてを水と混合して水性スラリーを得た。なお、酸化バリウムは、酢酸バリウム溶液の形で投入した。この水性スラリーを破砕して、粒子の90%が10μm未満の粒径をもつような粒度分布とした。次いでこのスラリーを、公知の付着方法で壁面流型フィルター基材の流入路の上に塗布した。この塗装担体を、500℃で1時間熱処理した。
【0091】
排出口層塗膜
排出口塗膜中に存在する成分は、20質量%のジルコニウムでドープしたγアルミナと、セリア−ジルコニア複合物(10質量%セリア)と、酸化ジルコニウムと、酸化バリウムであり、これらを、熱処理後の最終の触媒活性粒子状物質フィルター中の排出口塗膜層の質量に対して、それぞれ66%、27%、3%、3%の濃度で含んでいた。熱処理後の最終の触媒活性粒子状物質フィルター中の排出口塗膜層の総負荷量は、0.5g/in3(0.0305g/cm3)であった。
【0092】
排出口塗膜を形成するため、遊星型ミキサー(P−ミキサー)によりまず湿式塗布で安定化アルミナに硝酸ロジウム溶液を含浸させて湿式粉末を得た。なお、Rhの量は、粒子状物質フィルター中のRhの最終濃度が1.5g/ft3となるように選択した。次いで、流入口層塗膜の上記成分のすべてを水と混合して水性スラリーを得た。なお、酸化バリウムは酢酸バリウム溶液の形で投入した。この水性スラリーを破砕して、粒子の90%が10μm未満の粒径をもつような粒度分布とした。次いでこのスラリーを、公知の付着方法で壁面流型のフィルター基材の流入路の上に塗布した。この塗装担体を500℃で1時間熱処理して、触媒活性粒子状物質フィルターを得た。
【0093】
実施例2
コージェライト壁面流型フィルター基材の流入口と排出路にそれぞれの塗膜層を形成して触媒活性粒子状物質フィルターを製造した。この基材の体積は85.23in3(1,396.67cm3)であり、セル密度は300セル/平方インチ(46.5セル/cm2)、壁厚は約12mil(0.3mm)であった。最終の触媒活性粒子状物質フィルターは、Pdを13.5g/ft3(476.75g/m3)の負荷量で含んでいた。これらの塗膜層は次のように製造した。
【0094】
流入口層塗膜
流入口塗膜中に存在する成分は、4質量%のランタン安定化γアルミナと、45質量%セリアのセリア−ジルコニア複合物と、酸化バリウムであり、これらを最終の熱処理後の触媒活性粒子状物質フィルター中の流入口塗膜層の質量に対して、それぞれおよそ30%、63%、6%の濃度で含んでいた。熱処理後の最終の触媒活性粒子状物質フィルター中の流入口塗膜層の総負荷量は、0.5g/in3(0.0305g/cm3)であった。
【0095】
流入口塗膜を形成するため、遊星型ミキサー(P−ミキサー)でまず湿式塗布で安定化γアルミナに硝酸パラジウム溶液を含浸させ湿粉末を得た。なお、Pdの量は、粒子状物質フィルターのPdの最終濃度が13.5g/ft3となるように調整した。次いで、流入口層塗膜の上記成分のすべてを水と混合して水性スラリーを得た。なお、酸化バリウムは酢酸バリウム溶液の形で投入した。この水性スラリーを破砕して、粒子の90%が10μm未満の粒径をもつような粒度分布とした。次いでこのスラリーを、公知の付着方法で壁面流型のフィルター基材の流入路の上に塗布した。この塗装担体を、500℃で1時間熱処理した。
【0096】
排出口層塗膜
H−βゼオライトと蒸留水と酢酸を混合して、固形分量が35質量%でpHが3〜4の範囲にあるスラリーを得る。このスラリーを破砕して平均粒度を5μmとする。次いで、このスラリーを公知の方法を用いて排出口層に塗布して、最終の熱処理後の触媒活性粒子状物質フィルター中の排出口塗膜層の付加量を0.2〜0.5g/in3(0.0122〜0.0305g/cm3)とする。
【0097】
実施例3
コージェライト壁面流型のフィルター基材の流入口と排出路にそれぞれの塗膜層を形成して触媒活性粒子状物質フィルターを製造した。この基材の体積は85.23in3(1,396.67cm3)であり、セル密度は300セル/平方インチ(46.5セル/cm2)、壁厚は約12mil(0.3mm)であった。最終の触媒活性粒子状物質フィルターは、PdとRhを、15g/ft3(529.72g/m3)の総貴金属負荷量でまた13.5:1.5のPd:Rh比率で含んでいた。これらの塗膜層は次のように製造した。
【0098】
流入口層塗膜
流入口塗膜中に存在する成分は、4質量%のランタン安定化γアルミナと、20質量%のジルコニウムでドープされたアルミナと、セリアジルコニア複合物(45質量%セリア)と、酸化バリウムであり、これらを熱処理後の最終の触媒活性粒子状物質フィルター中の流入口塗膜層の質量に対して、それぞれ約24%、6%、63%、6%の濃度で含んでいた。熱処理後の最終の触媒活性粒子状物質フィルター中の流入口塗膜層の総負荷量は、0.5g/in3(0.0305g/cm3)であった。
【0099】
流入口塗膜を形成するため、遊星型ミキサー(P−ミキサー)を用い、まず湿式塗布でランタン安定化γアルミナに硝酸パラジウム溶液を含浸させて湿粉末を得た。なお、Pdの量は、粒子状物質フィルターのPdの最終濃度が13.5g/ft3となるように調整した。次いで、遊星型ミキサー(P−ミキサー)を用いて、まず湿式塗布でジルコニウム安定化γアルミナに硝酸ロジウム溶液を含浸させて湿粉末を得た。なお、Rhの量は、粒子状物質フィルター中のRhの最終濃度が1.5g/ft3となるように選択した。
【0100】
次いで、流入口層塗膜の上記成分すべてを水と混合して、水性スラリーを得た。酸化バリウムは、酢酸バリウム溶液の形で投入した。この水性スラリーを破砕して、粒子の90%が10μm未満の粒径をもつような粒度分布とした。次いでこのスラリーを、公知の付着方法で壁面流型のフィルター基材の流入路の上に塗布した。この塗装担体を、500℃で1時間熱処理した。
【0101】
排出口層塗膜
H−βゼオライトと蒸留水と酢酸を混合して、固形分量が35質量%でpHが3〜4の範囲にあるスラリーを得る。このスラリーを破砕して平均粒度を5μmとする。次いで、このスラリーを公知の方法を用いて排出口層に塗布して、最終の熱処理後の触媒活性粒子状物質フィルター中の排出口塗膜層の付加量を0.2〜0.5g/in3(0.0122〜0.0305g/cm3)とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状物質フィルターを有するガソリンエンジン排ガス流の処理システムであって、該粒子状物質フィルターが、
粒子状物質フィルター基材と、
該フィルター基材の排ガス流入口表面上に設けられた流入口層と、
該フィルター基材の排ガス排出口表面上に設けられた排出口層とを含み、
該流入口層がRh及び/又はPdを含み、該排出口層がRh及び/又はゼオライトを含む処理システム。
【請求項2】
上記流入口層がRhとPdを含む場合、上記排出口層がさらにPdを含む請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
上記ゼオライトが、ファージャサイト、チャバザイト、クリノプチロライト、モルデナイト、シリカライト、ゼオライトX、ゼオライトY、超安定ゼオライトY、ZSM−5ゼオライト、ZSM−12ゼオライト、SSZ−3ゼオライト、SAPO5ゼオライト、オフレタイト、βゼオライト、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる請求項1または2に記載の処理システム。
【請求項4】
上記流入口層及び/又は排出口層がさらに金属酸化物支持体材料を含み、該支持体材料が好ましくはアルミナ、ジルコニア、ジルコニア−アルミナ、バリア−アルミナ、ランタナ−アルミナ、ランタナ−ジルコニア−アルミナ、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる請求項1〜3のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項5】
上記金属酸化物支持体材料が、好ましくは耐火金属及び/又は希土類金属でドープされたγ−アルミナ、より好ましくはランタン及び/又はジルコニウムでドープされたγ−アルミナである請求項4に記載の処理システム。
【請求項6】
上記流入口層及び/又は排出口層がさらに酸素貯蔵成分(OSC)を含み、該OSCが好ましくはジルコニア、セリア、バリア、ランタナ、プラセオジミア、ネオジミア、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる請求項1〜5のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項7】
上記OSCがセリア及び/又はジルコニアであり、好ましくはセリア−ジルコニア複合物である請求項6に記載の処理システム。
【請求項8】
上記流入口層及び/又は排出口層がさらにNOxトラップ成分を含み、該NOxトラップ成分が好ましくはアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類酸化物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる請求項1〜7のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項9】
上記NOxトラップ成分が酸化バリウム及び/又は酸化ストロンチウムであり、好ましくは酸化バリウムである請求項8に記載の処理システム。
【請求項10】
上記粒子状物質フィルター基材が、透過性のモノリス、好ましくは壁面流型のフィルターであり、該壁面流型フィルターが好ましくはハニカム構造をもつ請求項1〜9のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項11】
上記システムがさらに上記粒子状物質フィルターと流体連通する三元(TWC)触媒を含み、該TWC触媒が好ましくは粒子状物質フィルターの上流に位置している請求項1〜10のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項12】
上記TWC触媒がRh及び/又はPdを、好ましくはPdを含む請求項1〜11のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項13】
上記TWC触媒がさらに金属酸化物支持体材料を含み、該支持体材料が好ましくはアルミナ、ジルコニア、ジルコニア−アルミナ、バリア−アルミナ、ランタナ−アルミナ、ランタナ−ジルコニア−アルミナ、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる請求項1〜12のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項14】
上記金属酸化物支持体材料が好ましくは耐火金属及び/又は希土類金属でドープされたγ−アルミナ、より好ましくはランタン及び/又はジルコニウムでドープされたγ−アルミナである請求項13に記載の処理システム。
【請求項15】
上記TWC触媒がさらにOSCを含み、該OSCが好ましくはジルコニア、セリア、バリア、ランタナ、プラセオジミア、ネオジミア、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる請求項1〜14のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項16】
上記OSCがセリア及び/又はジルコニアであり、好ましくはセリアである請求項15に記載の処理システム。
【請求項17】
上記システムがさらに上記粒子状物質フィルターと流体連通するNOxトラップを含み、該NOxトラップが好ましくは粒子状物質フィルターの上流に位置している請求項1〜16のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項18】
上記NOxトラップが、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類酸化物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる化合物を含む請求項17に記載の処理システム。
【請求項19】
上記NOxトラップが酸化バリウム及び/又は酸化ストロンチウムを含み、最も好ましくは酸化バリウムを含む請求項18に記載の処理システム。
【請求項20】
上記NOxトラップがさらにPdを含み、好ましくはPdとPtとRhを含む請求項17〜19のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項21】
上記システムがさらに
ガソリンエンジンと、
エンジンと連通した排ガス管を有し、
上記粒子状物質フィルター基材と上記任意のTWC触媒及び/又はNOxトラップが該排ガス管内に配置されている請求項1〜20のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項22】
上記ガソリンエンジンがガソリン直噴エンジンである請求項21に記載の処理システム。
【請求項23】
(i)上記請求項のいずれか一項に記載の処理システムを準備し、
(ii)該処理システムにガソリンエンジン排ガス流を導く
ことからなるガソリンエンジン排ガスの処理方法。
【請求項24】
上記排ガス流が、炭化水素(HC)とCOとNOxと煤塵とを、HC:CO:NOx:煤塵質量比(2.5−7.0):(0.5−3.0):(1.0−4.7):(0.00005−0.01)で含む請求項23に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2013−500857(P2013−500857A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523331(P2012−523331)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061390
【国際公開番号】WO2011/015615
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】