説明

ガブセクチン誘導体、その製造方法およびその使用

本発明は、培養により微生物ST 003236(DMS 14476)により形成される式(I)の化合物に関する。本発明はまた、前記化合物の製造方法、その誘導体、式(I)の化合物を含む医薬、および医薬の製造のためのその使用に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
数多くの抗生物質が細菌を原因とする感染病の治療のために使用されている。しかし、病原体は使われる医薬に対して抵抗力を強めてきており、β−ラクタム抗生物質、グリコペプチドまたはマクロライドなどの個別の抗生物質群だけに耐性になるのではなく、いくつかの耐性を同時に備えた、多剤耐性微生物と呼ばれるものがさらに大きな脅威をもたらしている。市販の抗生物質全てに耐性になった病原体さえも存在する。このような微生物が原因の感染病はもはや治療することができない。したがって、耐性微生物に対して使用することができる新規な薬剤が大いに必要とされている。何千もの抗生物質が文献に記載されてきたにもかかわらず、そのほとんどは毒性が強すぎて医薬として使用することができない。
【0002】
比較的多いテトラミック酸(tetramic acid)基本構造を有する抗生物質がすでに記載されている。テトラミック酸、すなわち2,4−ピロリジンジオンは、いくつかの微生物および海洋無脊椎動物により形成される種々の天然生成物の親化合物である。
【0003】
・ハルジアン酸(harzianic acid)(非常にわずかな活性を持つ抗生物質)は、1994年に記載された(R.Sawa et al.、J.Antibiotics、47、731−732、1994);
1994年までに発表された天然テトラミック酸誘導体は、B.J.L.Roylesにより総説中に記載されている(Chem.Rev.95、1981−2001ページ、1995)。
【0004】
一部が抗菌特性を有する更なる天然テトラミック酸が1995年から文献に記載されている:
・ルウテリサイクリン(reutericyclin)(A Hoeltzel et
al.、Andgew.Chem.112、2886−2888、2000)、わずかな抗菌活性を有する化合物;
・イクイセチン(equisetin)およびホマセチン(phomasetin)(S.S.Singh et al.、Tetrahedron Lett.39、2243−2246、1998)は、HIV−1インテグラーゼ抑制剤の異性体である;
・クリプトシン(cryptocin)(J.Y.Li et al.、Org.Lett.2、767−770、2000)、抗真菌性化合物である;
・バンコレスマイシン(N.V.S.Ramakrishna et al.、Int.特許公開番号WO 00282064)、抗生物質;
・コニオセチン(coniosetin)(L.Vertesy et al.、独特許番号DE 10060810.8)、テトラミック酸部分とナフチル部分を有する強力な抗生物質。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
驚くべきことに、菌株ST 003236(DMS 14476)が、細菌に対して非常に活性を示すだけでなく、また許容性の良好な新規な抗生物質ガブセクチン(gabusectin)を形成することができることが見出された。
したがって、本発明は、菌株ST 003236(DMS 14476)により形成される化合物、およびその生理学的に許容される塩、立体異性体、互変異性体、誘導体特にエステル誘導体、およびエーテルなどのような明らかな化学的同等物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は式(I):
【化1】

の化合物、または式(I)の化合物の立体異性体型もしくは互変異性体型、または前述の型のあらゆる比率での混合物、または式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の立体異性体型もしくは互変異性体型の生理学的に許容される塩に関し、
【0007】
式中、
R、R2およびR3は互いに独立して:
1.H、または
2.C1−C6−アルキル、C2−C6−アルケニルまたはC2−C6−アルキニル〔ここで、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは直鎖または分枝鎖であって、場合によって以下の基:
2.1 −OH、
2.2 =O、
2.3 −O−C1−C6−アルキル(ここでアルキルは直鎖または分枝鎖である)、
2.4 −O−C2−C6−アルケニル(ここでアルケニルは直鎖または分枝鎖である)、
2.5 −アリール、
2.6 −NH−C1−C6−アルキル(ここでアルキルは直鎖または分枝鎖である)、
2.7 −NH−C2−C6−アルケニル(ここでアルケニルは直鎖または分枝鎖である)、
2.8 −NH2、または
2.9 ハロゲン
(ここで、上記の置換基2.3から2.7は追加的に−CN、−アミドまたは−オキシム基で置換されうる)により1または2回置換されている〕であり、
4は、C1−C6−アルキルまたはC2−C6−アルケニル(ここで、アルキルおよびアルケニルは直鎖または分枝鎖でよく、そして場合によって置換基2.1から2.9で記載されているように1または2回置換されている)、
5は、Hまたはメチルであり、
X、X2、X3、X4およびX5は、互いに独立してO、NH、N−C1−C6−アルキル、N−C2−C6−アルケニル、N−C2−C6−アルキニル、N−アシル、N−アリール、N−O−RまたSである。
【0008】
1−C6−アルキルは、1から6個のC原子、好ましくは1から4個のC原子を有する直鎖のまたは分枝鎖のアルキル、たとえば、メチル、エチル、i−プロリル、tert−ブチルおよびヘキシルである。
【0009】
2−C6−アルケニルは、2から6個のC原子を有する直鎖のまたは分枝鎖のアルケニルであり、1回、2回もしくは3回不飽和のもの、たとえば、アリル、クロチル(crotyl)、1−プロペニル、ペンタ−1,3−ジエニルおよびペンテニルである。
【0010】
2−C6−アルキニルは、2から6個のC原子を有する直鎖のまたは分枝鎖のアルキニルであり、1回もしくは2回飽和のもの、たとえば、プロピニル、ブチニルおよびペンチニルである。
【0011】
アリールは、フェニル、ベンジルまたは1−もしくは2−ナフチルであり、たとえば、塩素、臭素、フッ素などのハロゲンにより、1〜4個のC原子を有するアルキル、好ましくはメチル−により、ヒドロキシルにより、1〜4個のC原子を有するアルコキシ、好ましくはメトキシにより、またはトリフルオロメチルにより追加的に置換されうる。
【0012】
アシルは脂肪族または芳香族アシル基であり得る。脂肪族アシルは1〜7個好ましくは1〜4個のC原子を有するホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ヘキサノイル、アクリロイル、クロトノイル、またはプロピオロイルなどであり、これはたとえば、塩素、臭素またはフッ素などのハロゲンにより、アミノにより、または1〜4個のC原子を有するアルキルアミノ、好ましくはメチル若しくはエチルアミノ基によりさらに置換されうる。芳香族アシルは、たとえばベンゾイルまたはナフトイルであり得、これらはたとえば、塩素、臭素またはフッ素などのハロゲンにより、1〜4個のC原子を有するアルキル、好ましくはメチルにより、ヒドロキシルにより、エチルアミノなどのアミノ基により、または1〜7個好ましくは1〜4個のC原子を有するアルコキシ基、特にメトキシにより追加的に置換されうる。
【0013】
本発明は、好ましくは式(I);
〔式中、Rは、
1.0 H、または
2.0 C1−C6−アルキル、C2−C6−アルケニルまたはC2−C6−アルキニル[ここで、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは直鎖または分枝鎖であって、場合によって以下の基:
2.1 −OH、
2.2 =O、
2.3 −O−C1−C6−アルキル(ここでアルキルは直鎖または分枝鎖である)、
2.4 −O−C2−C6−アルケニル(ここでアルケニルは直鎖または分枝鎖である)、
2.5 −アリール、
2.6 −NH−C1−C6−アルキル(ここでアルキルは直鎖または分枝鎖である)、
2.7 −NH−C2−C6−アルケニル(ここでアルケニルは直鎖または分枝鎖である)、
2.8 −NH2または
2.9 ハロゲン
(ここで、上記の置換基2.3から2.7は追加的に−CN、−アミドまたは−オキシム基で置換されうる)により1または2回置換されている]であり、
2はHであり、
3はCH3であり、
4は−CH=CH−CH3であり、
5はCH3であり、そして
X、X2、X3、X4およびX5はOである〕の化合物に関する。
【0014】
特に好ましくは、本発明は式(I):
(式中、RはHであり、
2はHまたはCH3であり、
3はCH3であり、
4は−CH=CH−CH3であり、
5はCH3であり、そして
X、X2、X3、X4およびX5はOである)の化合物に関する。
【0015】
化合物(I)の互変異性体型はたとえば、式(II):
【化2】

(式中、基R、R2、R3、R4、R5、X、X2、X3、X4およびX5は上で定義したとおりである)の化合物であり、式(I)の化合物の互変異性体型は、たとえば水素結合されたテトラミック酸構造部分から生じ、
【化3】

そしてpHおよび溶液の極性などのパラメーターに依存して溶液中で互いに変換される。
【0016】
他に指示がない限り、式(I)および(II)の化合物中のキラル中心はR配置またはS配置に存在することができる。本発明は、光学上純粋な化合物およびあらゆる比率の光学異性体混合物およびジアステレオマー混合物などの立体異性体混合物の双方に関する。
【0017】
本発明に係る式(I)および(II)の化合物のうち、配置が式(III):
【化4】

の置換された水素化ナフチル骨格に対応している化合物が好ましい。
【0018】
本発明はさらに、式(IV):
【化5】

の化合物、式(V):
【化6】

の化合物、式(VI):
【化7】

の化合物、式(VII):
【化8】

の化合物、または、式(IV)、(V)、(VI)もしくは(VII)の化合物の立体異性体型もしくは互変異性体型、またはあらゆる比率での前述したそれぞれの型の混合物、または式(IV)、(V)、(VI)もしくは(VII)の化合物、または式(IV)、(V)、(VI)もしくは(VII)の化合物の立体異性体型もしくは互変異性体型の生理学的に許容可能な塩に関する。
【0019】
本発明化合物は、文献で公知である物質とは、たとえば極性、化学構造または抗菌活性またはその他物性において異なる。特に、従来技術の化合物と比較して、本発明の化合物は、ナフチル部分に付加的なメチル基を含む。
【0020】
本発明は、さらに式(I)から(VII)の化合物の明らかな化学的同等物に関する。
【0021】
本発明の化合物の明らかな化学的同等物は、本発明の化合物と同じ活性を有し、取るに足らない化学的差異を示す化合物、または穏やかな条件下で本発明の化合物へ変換される化合物である。前記同等物には、たとえば、本発明化合物のまたは本発明化合物とのエステル、アゾメチン(シッフ塩基)、ケタール、オキシム、水素化生成物、還元生成物、錯化合物、または付加化合物が含まれる。
【0022】
たとえば、活性化した酸(たとえば、酸塩化物または他の酸誘導体)は式(I)の化合物のヒドロキシル基と反応することができ、または式(I)の化合物の1つまたは複数の二重結合および/またはカルボニル基を、還元剤を用いて還元することができる、そのときに、たとえばH2/Pdを用いて二重結合が還元され、たとえばNaBH4を用いてカルボニル基が還元される。上述の誘導化方法は、Jerry March、Advanced Organic Chemistry、John Wiley&Sons、第4版、1992などの教科書に記載されている。選択的に反応を実施するために、それ自体公知の方法で、反応の前に適した保護基を導入することが有益であろう。反応後保護基を除去し、その後反応生成物を精製する。
【0023】
本発明はさらに、ESIおよびFAB質量分析によって立証された実験式C2535NO4を有し、そして表2に示した1HNMRおよび13CNMRデータによって特徴づけられる化合物であるガブセクチン、または化合物ガブセクチンの立体異性体型または互変異性体型、または前述したそれぞれの型のあらゆる比率での混合物、または化合物ガブセクチンもしくは化合物ガブセクチンの立体異性体型もしくは互変異性体型の生理学的に許容可能な塩に関する。
【0024】
本発明はさらに、ESIおよびFAB質量分析によって立証された実験式C2739NO5を有し、そして表3に示した1HNMRおよび13CNMRデータによって特徴づけられる化合物であるガブセクチンメチルエステル、または化合物ガブセクチンメチルエステルの
立体異性体型または互変異性体型、または前述したそれぞれの型のあらゆる比率での混合物、または化合物ガブセクチンメチルエステルもしくは化合物ガブセクチンメチルエステルの立体異性体型もしくは互変異性体型の生理学的に許容可能な塩に関する。
【0025】
本発明はさらに、式(I)の化合物が培養ブロス中に蓄積するまでST 003236(DSM 14476)またはST 003236(DSM 14476)の変種および/または突然変異体を培地中で培養し、そして式(I)の化合物を単離し、そして、必要によっては薬理学的に許容可能な塩に変換することによって得ることができる式(I)の化合物に関する。
【0026】
本発明はまた、化合物ガブセクチンが培養ブロス中に蓄積するまでST 003236(DSM 14476)またはST 003236(DSM 14476)の変種および/または突然変異体を培地中で培養し、そして化合物ガブセクチンを単離し、そして、必要によっては薬理学的に許容可能な塩に変換することによって得ることができる実験式C2637NO5の化合物(ガブセクチン)に関する。
【0027】
本発明は加えて、微生物ST 003236(DSM 14476)またはST 003236(DSM 14476)の変種および/または突然変異体を液体栄養培地中で培養すること、式(I)の化合物を単離しそして精製すること、そして、必要によっては明らかな化学的同等物または薬理学的に許容可能な塩に変換することを含む、式(I)の化合物の製造方法に関する。
【0028】
本発明はさらに、式(IV)のガブセクチンをC1−C6アルキル−、C2−C6−アルケニル−もしくはC2−C6−アルキニル−アルコール誘導体と、またはC1−C6−アルキル−、C2−C6−アルケニル−もしくはC2−C6−アルキニル−アルキル化剤と、好ましくはC1−C6−アルキニル−アルキル化剤と、特に好ましくはC1−アルキル化剤とエステル化し、式(I)(式中、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは直鎖または分枝鎖であり、請求項1に記載の式(I)に規定された基2.1から2.9によって1回または2回置換されることができ(ここで、置換基2.3から2.7はさらに−CN、−アミドまたは−オキシム基で置換されることができる)、R2はHであり、R3はCH3であり、R4は−CH=CH−CH3であり、R5はCH3であり、X、X2、X3、X4およびX5はOである)の化合物を得ることを含む、式(I)の化合物の製造方法に関する。
【0029】
1−C6−アルキル−、C2−C6−アルケニル−またはC2−C6−アルキニル−アルコール誘導体は、直鎖または分枝鎖であり、場合により上述の基2.1から2.9により1回または2回置換されていてもよく、ここで、置換基2.3から2.7はさらに−CN、−アミドまたは−オキシム基で置換されることができ、たとえば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、および、n−ヘキサノール、2−ブテン−1−オール(クロチルアルコール)、1−プロペン−3−オール(アリルアルコール)、1,3−ペンタジエン−5−オール、1,4−ペンタジエン−3−オールそして、2−ペンテン−1−オール、1−ペンテン−4−オール(アリルメチルカルビノール)、1−ペンテン−3−オール(エチルビニルカルビノール)、2−プロピン−1−オール(プロパルギルアルコール)、1−ブチン−3−オール、2−ブチン−1−オール、3−ブチン−1−オール、1−ペンチン−3−オール、2−ペンチン−1−オール、3−ペンチン−1−オールおよび4−ペンチン−1−オールがあり、メタノールが好ましい。
【0030】
1−C6−アルキル−、C2−C6−アルケニル−またはC2−C6−アルキニル−アルキル化剤は直鎖または分枝鎖であり、場合により上述の基2.1から2.9により1回または2回置換されており、たとえば、C1−アルキル化剤としてはジアゾメタン誘導体があ
り、たとえば、トリメチルシリルジアゾメタンである。
【0031】
上述のエステル化方法は、たとえば、Jerry March、Advanced Organic Chemistry、John Wiley&Sons、第4版、1992に記載されている。
【0032】
菌株ST 003236はブダペスト条約の規則に従い、番号DSM14476の下、Deutsche Sammlung von Microorganismen und Zellkulturen(ドイツ微生物および細胞培養収集機関)GmbH(DSM)、Mascheroder Weg 1B、38124 Braunschweig、Germanyに寄託されている。
【0033】
前記方法は、ST 003236(DMS14476)、その突然変異体または変種を、1つまたは2つの炭素源および窒素源、無機塩類、そして、必要によって微量元素を含む培地中で好気性条件下で培養することを含む。
【0034】
本発明に係る培養の進行および抗生物質の形成は、当業者に公知の方法、たとえば、バイオアッセイで生物活性を試験することにより、または薄層クロマトグラフィー(TLC)もしくは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のようなのようなクロマトグラフ法によりモニターすることができる。
【0035】
突然変異体とは、そのゲノムの1つまたは複数の遺伝子が修飾された微生物であって、1つまたは複数の遺伝子が依然として有効でそして遺伝する本発明の化合物を生成する微生物の能力を担っている遺伝子である微生物である。
【0036】
このような突然変異体は、公知の方法、たとえば紫外線またはX線等の照射などの物理的方法、またはメタンスルホン酸エチル(EMS);2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン(MOB)若しくはN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(MNNG)などの突然変異誘発化学物質を用いて、または“Biology of Microorganisms”、Prentice Hall、238−247ページ(1984)においてBrockらが記載しているような方法で発生させることができる。
【0037】
変種は微生物の表現型である。微生物は、環境に適応する能力を有しており、これにより生理学上の強い柔軟性を示す。表現的適応においては、微生物の全ての細胞が含まれ、そしてその変化の性質は遺伝的には条件づけられておらず、また、変えられた状況の下で可逆性ではない(H.Stolp、Microbial ecology:organism、habitats、activities、Cambridge University Press、Cambridge、GB、180ページ、1988)。
【0038】
本発明に係る抗生物質を産生する突然変異体および変種のスクリーニングは、培養ブロス中に蓄積した活性化合物の生物活性の測定、たとえば、その抗菌効果の測定により、または抗菌活性を有することが知られている培養ブロス中の化合物を、たとえばHPLCまたはLC−MS方法を用いて検出することにより実行することができる。
【0039】
化合物ガブセクチンは、菌糸体および培養濾液の双方に見出される。それゆえ、培養溶液を濾過によって培養濾液と菌糸体に分離し、これらの画分を別々に乾燥することが好都合である。乾燥培養濾液および乾燥菌糸体を別々に、有機溶媒、たとえばメタノールまたは2−プロパノールで好都合に抽出される。
【0040】
抽出は広い範囲のpHで行うことができるが、中性または弱酸性媒体で行うことが好都
合であり、pH3とpH7との間が好ましい。抽出物は、たとえば真空中で濃縮し乾燥することができる。
【0041】
本発明に係る抗生物質の単離のための方法の1つは、極性分離(polarity separation)の原理に従って、それ自体が公知である方法により進められる。
【0042】
別の精製方法は、吸着樹脂上、たとえばDiaion(R) HP−20(Mitsubishi Casei Corp.,Tokyo)、Amberlite(R) XAD7(Rohm and Haas、USA)、Amberchrom(R) CG(Toso
Haas、フィラデルフィア、USA)または同種の物質の上でのクロマトグラフィーである。数多くの逆相支持材、たとえば高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)において周知になったRP8およびRP18などが適している。
【0043】
本発明に係る化合物の精製のための別の可能性は、順相クロマトグラフィー支持材と呼ばれるシリカゲルまたはAl23または他の支持材などをそれ自体が公知である方法で用いることである。
【0044】
別の単離方法は、モレキュラーシーブ、たとえばFractogel(R) TSK HW−40(メルク、ドイツ)およびその他のものをそれ自体が公知である方法で用いる方法である。さらに、濃縮した材料から結晶化することによりガブセクチンを単離することもできる。有機溶媒およびこれらの混合物は、たとえば、無水であってもまたは水を含んでいてもこの目的に適している。本発明に係る抗生物質を単離および精製のための別の方法は陰イオン交換体(pH4から10の範囲が好ましい)および陽イオン交換体(pH2から5の範囲が好ましい)を用いる方法である。多量の有機溶媒が添加されたバッファー溶液を用いることは、この目的に特に適している。ガブセクチン、その前記化学的誘導体、およびその明らかな化学的同等物は、当業者に公知の方法を用いることによって対応する薬理学的に許容可能な塩に変換することができる。
【0045】
本発明に係る化合物の薬理学的に許容可能な塩は、“Remington’s Pharmaceutical Sciences(第17版、1418ページ(1985))に記載されているように、無機塩および有機塩の両方であると考えられている。特に適している塩は、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルカリ土類金属塩、生理学的に許容可能なアミンとの塩、および無機または有機酸(たとえばHCI、HBr、H2SO4、マレイン酸およびフマル酸)との塩である。
【0046】
驚くべきことに、本発明に係る式(I)の化合物が抗菌作用を示し、これにより細菌感染により引き起こされる疾病の治療に適していることが見出された。表1は実施例によるガブセクチンの最小阻止濃度(MIC)を要約したものである。
【0047】
〔表1〕
表1.段階希釈試験による化合物ガブセクチンのインビトロの抗菌活性
細菌(株) MIC値(μg/mL)
S. aureus(SG511) 5
S. aureus(Exp54146) 20
S. pyogenes(A561) 20
E. faecium(M78L) 40

【0048】
ガブセクチンは、その有効濃度においてまたはそれより高い濃度において良好に許容されるものである。
【0049】
したがって、本発明はまた、1つまたは複数の本発明に係る式(I)から(VII)の化合物の医薬としての使用、および1つまたは複数の本発明に係る式(I)から(VII)の化合物の医薬、特に細菌感染の治療および/または予防のための医薬の製造への使用に関する。
【0050】
本発明は、さらに、1つまたは複数の本発明に係る化合物を含む医薬に関する。
【0051】
式(I)の化合物を含む前記医薬は、1つまたは複数の生理学的助剤物質を用いて製造され、そして適当な投与形態にされる。
【0052】
本発明に係る医薬は、経腸的に(経口的に)、非経口的に(筋肉内注射で、または、静脈内注射で)、直腸に、または、局部的に(局所的に)用いることができる。それらは、溶液、粉末(錠剤およびカプセル、マイクロカプセルを含む)、軟膏(クリームまたはゲル)、または坐薬の形で投与されることができる。かかる製剤に適した補助物質は、薬学的に慣用の液体または固体の充填剤および増量剤、溶媒、乳化剤、滑剤(glidants)、風味矯味剤、着色剤および/または緩衝作用物質である。
【0053】
体重1kg当たり0.1〜1000好ましくは0.2〜100mgが好適な用量として投与される。用量は本発明に係る化合物を少なくとも1日有効量、たとえば30〜3000好ましくは50〜1000mgを含む用量単位で投与するのが好ましい。
【0054】
以下の実施例は発明の範囲を制限することなく発明を明確にするために使用されることを意図するものである。
【実施例1】
【0055】
ST 003236(DSM 14476)のグリセリン培養株の調製
滅菌した100mLのエルレンマイヤーフラスコ中で、30mLの栄養溶液(麦芽エキス、2.0%、酵母エキス、0.2%、グルコース、1.0%、(NH4)2HPO4、0.05%、pH6.0)に株ST 003236(DSM 14476)を接種し、そして、回転シェーカー上で25℃、140rpmで、6日間培養した。次にこの培養物1.5mLを80%グリセリン2.5mLで希釈し、−135℃で貯蔵した。
【実施例2】
【0056】
エーレンマイヤーフラスコ中でのST 003236(DSM 14476)の予備培養の調製
滅菌した300mLのエルレンマイヤーフラスコ中で、100mLの栄養溶液(麦芽エキス、2.0%、酵母エキス、0.2%、グルコース、1.0%、(NH4)2HPO4、0.05%、pH6.0)に株ST 003236(DSM 14476)をアンプルで接種し、そして、25℃、140rpmで、6日間培養した。続いてこの予備培養物2mLを主培養の調製のために接種した。
【実施例3】
【0057】
ST 003236(DSM 14476)の液体主培養の調製
栄養溶液(ジャガイモデキストロース、2.4%、酵母エキス、0.2%)100mLを含んでいる滅菌した300mLのエルレンマイヤーフラスコに、傾斜したチューブ上の培養グロース(寒天2%を含む以外は同じ栄養溶液)、または予備培養物(実施例2参照)2mLを接種し、シェーカー上で140rpmおよび25℃で培養した。1つまたは複数の本発明に係る式(I)の化合物の産生は、約144時間後に最大になった。96時間同じ栄養溶液での液内培養物(接種量、約10%)が、10から200Lの体積の培養槽に
接種するのに適当であった。これらの培養のための条件は:
温度:25℃
攪拌速度:200rpm
通気:毎分15Lであった。
【0058】
エタノール化ポリオール溶液を繰り返し添加することによって泡発生を抑制することができた。産生最大は、約96から144時間後に達成された。
【実施例4】
【0059】
化合物ガブセクチンの単離
実施例3にて説明したように得られた培養溶液3Lを濾過し、培養濾液と菌糸体を別々に凍結乾燥した。乾燥培養濾液をメタノール3Lで抽出した。透明な液体層を真空で200mLまで濃縮して減らし、濾過した。このメタノール溶液をHPLC高圧勾配ユニット中で9:1の比率で水と混合し、吸着樹脂MCl Gel(R) CHP20P(Mitsubishi Casei Corp.,Tokyo)を充填した300mL−許容カラム上に装填した。カラムの大きさ:幅×長さ:5cm×15cm。カラムを水からメタノール100%の溶媒勾配で溶出し、カラムからの流出物(50mL/分)を、各ケース25mL容量の分画で集めた。HPLC分析により調べたガブセクチンを含む画分65から75を集め真空下で濃縮し凍結乾燥した(0.23g)。
【実施例5】
【0060】
高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によるガブセクチンの精製
カラム:Purospher(R) STAR RP−18e 3μm、30−2(Merck、Germany)
移動層バッファーA: 5%アセトニトリル+0.1%酢酸アンモニウム
移動層バッファーB: 95%アセトニトリル+0.1%酢酸アンモニウム
勾配: 15分
流速: 毎分0.25mL
210nmでのUV吸収により検出
ガブセクチンは、保持時間6.5分で検出された。
【実施例6】
【0061】
ガブセクチンの最終精製
実施例4にて説明したように得られた濃縮された抗生物質ガブセクチン(0.23g)
を、0.05%トリフルオロ酢酸中5%から95%アセトニトリルの勾配方法を用いてLUNA(R) 10μm C18(2)HPLCカラム(Phenomenex(USA))(幅×長さ=2.1cm×25cm)上で分画した。流速:25mL/分、画分サイズ:25mL、HPLC分析(実施例5参照)により調べた画分48を凍結乾燥した。純度98%のガブセクチン50mgが得られた。
【実施例7】
【0062】
ガブセクチンの特徴性
本発明に係る抗生物質の物理化学的な、そして分光学的な性質は次のように要約されることができる:
外観:中程度の極性および極性有機溶媒に可溶であるが、特に水には不溶である無色から薄い黄色の物質。中性および弱酸性媒体中で安定であるが強酸性および強アルカリ性溶液中では不安定である。
【0063】
実験式: C2637NO5
分子量: 443.59
1HNMRおよび13CNMR: 表2参照
最大UV: 236nmおよび294nm
【0064】
分子量ピークの測定
443の質量は、以下の結果を基に求められている分子に割り当てられた:ESI+スペクトルおよびFAB+スペクトルは444amu(M+H)+でピークを示した。ESI-スペクトルは442amu(M−H)-でピークを示した。準分子イオンの高解像度:FAB+444.27424(M+H)+。443.59は実験式C2637NO5のために算出された。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【実施例8】
【0067】
寒天拡散法試験におけるガブセクチンの阻止効果
寒天溶液200mL中にStaphylococcus aureus接種物2mLを含む寒天プレートを準備した。直径6mmのペーパーディスクに、ガブセクチンを10mM溶液で塗布し、それを寒天プレート上に置いた。接種されたStaphylococcusプレートを37℃で16時間培養した。以下の直径(mm)を有する阻止ハロー(halos)が観察された。
【0068】
阻止ハローサイズ(mm)
10μL 8
20μL 14
40μL 17
【実施例9】
【0069】
ガブセクチンメチルエステルのメチル化およびそれに続く精製
実施例6にて説明したように得られた抗生物質ガブセクチン20mg(0.045mmol)を、MeOH5mLに溶解し、その後トリメチルシリルジアゾメタンを6倍のモル過剰で加えた。反応混合物を室温で60分間放置し、次に濃縮して乾燥した。得られた混合物を0.05%トリフルオロ酢酸中5%から95%アセトニトリルの勾配方法を用いてLUNA(R) 5μm C18(2)HPLCカラム(Phenomenex(USA))(幅×長さ=1cm×25cm)上のクロマトグラフィーで分画した。流速:6.5mL/分、画分サイズ:6.5mL、HPLC分析(実施例5参照)により調べた画分61を凍結乾燥した。純度97%のガブセクチンメチルエステル7.4mgが得られた。
【実施例10】
【0070】
ガブセクチンメチルエステルの特徴性
本発明に係る抗生物質の物理化学的な、そして分光学的な性質は次のように要約されることができる:
外観:中程度の極性および極性有機溶媒に可溶であるが、特に水には不溶である無色から薄い黄色の物質。中性および弱酸性媒体中で安定であるが強酸性および強アルカリ性溶液中では不安定である。
【0071】
実験式: C2739NO5
分子量: 457.62
1HNMRおよび13CNMR: 表3参照
最大UV: 236nmおよび294nm
【0072】
分子量ピークの測定
457.6の質量は、以下の結果を基に求められている分子に割り当てられた:ESI+スペクトルおよびFAB+スペクトルは457amu(M+H)+でピークを示した。ESI-スペクトルは458.5amu(M−H)-でピークを示した。
【0073】
【表3】

【0074】
【表4】

【実施例11】
【0075】
寒天拡散法試験におけるガブセクチンメチルエステルの阻止効果
寒天溶液200mL中にStaphylococcus aureus接種物2mLを含む寒天プレートを準備した。直径6mmのペーパーディスクにガブセクチンメチルエステルを10mM溶液で塗布し、それを寒天プレート上に置いた。接種されたStaphylococcusプレートを37℃で16時間培養した。以下の直径(mm)を有する阻止ハロー(halos)が観察された。
【0076】
阻止ハローサイズ(mm)
10μL 0
20μL 7
40μL 8

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

〔式中、
R、R2およびR3は互いに独立して:
1.H、または
2.C1−C6−アルキル、C2−C6−アルケニルまたはC2−C6−アルキニル[ここで、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは直鎖または分枝鎖であって、場合によって以下の基:
2.1 −OH、
2.2 =O、
2.3 −O−C1−C6−アルキル(ここでアルキルは直鎖または分枝鎖である)、
2.4 −O−C2−C6−アルケニル(ここでアルケニルは直鎖または分枝鎖である)、
2.5 −アリール、
2.6 −NH−C1−C6−アルキル(ここでアルキルは直鎖または分枝鎖である)、
2.7 −NH−C2−C6−アルケニル(ここでアルケニルは直鎖または分枝鎖である)、
2.8 −NH2または
2.9 ハロゲン
(ここで、上記の置換基2.3から2.7は追加的に−CN、−アミドまたは−オキシム基で置換されうる)により1または2回置換されている]であり、
4は、C1−C6−アルキルまたはC2−C6−アルケニル(ここで、アルキルおよびアルケニルは直鎖または分枝鎖であってよく、そして場合によって置換基2.1から2.9で記載されているように1または2回置換されている)、
5は、Hまたはメチルであり、
X、X2、X3、X4およびX5は、互いに独立してO、NH、N−C1−C6−アルキル、N−C2−C6−アルケニル、N−C2−C6−アルキニル、N−アシル、N−アリール、N−O−RまたSである。〕
の化合物、または式(I)の化合物の立体異性体型もしくは互変異性体型、または前記の型のあらゆる比率での混合物、または式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の立体異性体型もしくは互変異性体型の生理学的に許容可能な塩。
【請求項2】
式(I)中、
Rが、
1.0 H、または
2.0 C1−C6−アルキル、C2−C6−アルケニルまたはC2−C6−アルキニル〔ここで、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは直鎖または分枝鎖であって、場合によって
以下の基:
2.1 −OH、
2.2 =O、
2.3 −O−C1−C6−アルキル(ここでアルキルは直鎖または分枝鎖である)、
2.4 −O−C2−C6−アルケニル(ここでアルケニルは直鎖または分枝鎖である)、
2.5 −アリール、
2.6 −NH−C1−C6−アルキル(ここでアルキルは直鎖または分枝鎖である)、
2.7 −NH−C2−C6−アルケニル(ここでアルケニルは直鎖または分枝鎖である)、
2.8 −NH2または
2.9 ハロゲン
(ここで、上記の置換基2.3から2.7は追加的に−CN、−アミドまたは−オキシム基で置換されうる)により1または2回置換されている〕であり、
2がHであり、
3がCH3であり、
4が−CH=CH−CH3であり、
5がCH3であり、そして
X、X2、X3、X4およびX5がOであることを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
式(I)中、
RがHであり、
2がHまたはCH3であり、
3がCH3であり、
4が−CH=CH−CH3であり、
5がCH3であり、そして
X、X2、X3、X4およびX5がOであることを特徴とする、請求項1に記載の式(I)化合物。
【請求項4】
式(IV):
【化2】

の化合物、または式(IV)の化合物の立体異性体型もしくは互変異性体型、または上記の型のあらゆる比率での混合物、または式(IV)の化合物もしくは式(IV)の化合物の立体異性体型もしくは互変異性体型の生理学的に許容可能な塩。
【請求項5】
式(V):
【化3】

の化合物、または式(V)の化合物の立体異性体型もしくは互変異性体型、または上記の型のあらゆる比率での混合物、または式(V)の化合物もしくは式(V)の化合物の立体異性体型もしくは互変異性体型の生理学的に許容可能な塩。
【請求項6】
式(VI):
【化4】

の化合物、または式(VI)の化合物の立体異性体型もしくは互変異性体型、または上記の型のあらゆる比率での混合物、または式(VI)の化合物もしくは式(VI)の化合物の立体異性体型もしくは互変異性体型の生理学的に許容可能な塩。
【請求項7】
式(VII):
【化5】

の化合物、または式(VII)の化合物の立体異性体型もしくは互変異性体型、または上
記の型のあらゆる比率での混合物、または式(VII)の化合物もしくは式(VII)の化合物の立体異性体型もしくは互変異性体型の生理学的に許容可能な塩。
【請求項8】
ESIおよびFAB質量分析によって立証された実験式C2535NO4を有し、そして1HNMRデータ δ(CDCl3、275K)=0.70、0.81、0.87、0.92、1.24、1.26、1.29、1.36、1.65、1.69、1.84、2.08、2.30、2.32、2.66、3.02、3.36、3.76、5.06、5.31、5.44、7.1、17.73、および13CNMRデータ δ(CDCl3、275K)=17.90、20.77、22.41、23.27、23.43、25.52、27.20、27.44、29.46、31.91、34.97、37.61、42.17、45.69、49.01、51.62、64.27、98.81、128.95、130.04、132.25、132.86、177.05、178.18、190.36、203.37であることを特徴とするガブセクチン、または化合物ガブセクチンの立体異性体型若しくは互変異性体型、または上記の型それぞれのあらゆる比率での混合物、または化合物ガブセクチンの生理学的に許容可能な塩または化合物ガブセクチンの立体異性体型若しくは互変異性体型の生理学的に許容可能な塩。
【請求項9】
ESIおよびFAB質量分析によって立証された実験式C2739NO5を有し、そして1HNMRデータ δ(CDCl3、275K)=0.70、0.80、0.88、0.92、1.24、1.25、1.30、1.35、1.64、1.68、1.69、1.83、2.11、2.23、2.29、2.67、3.02、3.36、3.66、3.71、5.05、5.30、5.43、17.75および13CNMRデータ δ(CDCl3、 275K)=17.90、20.83、22.42、23.44、23.52、25.55、27.13、27.42、29.48、31.91、35.00、37.63、42.17、45.70、48.89、51.65、51.93、64.49、98.91、128.87、130.08、132.35、132.86、173.05、177.06、190.33、202.86であることを特徴とするガブセクチンメチルエステル、または化合物ガブセクチンメチルエステルの立体異性体型若しくは互変異性体型、または上記の型それぞれのあらゆる比率での混合物、または化合物ガブセクチンメチルエステルの生理学的に許容可能な塩または化合物ガブセクチンメチルエステルの立体異性体型もしくは互変異性体型の生理学的に許容可能な塩。
【請求項10】
式(I)の化合物が培養ブロス中に蓄積するまで、ST 003236(DSM 14476)またはST 003236(DSM 14476)の変種および/または突然変異体を培地中で培養し、続いて式(I)の化合物を単離し、そして、必要によって薬理学的に許容可能な塩に変換することによって得ることができる式(I)の化合物。
【請求項11】
化合物ガブセクチンが培養ブロス中に蓄積するまでST 003236(DSM 14476)またはST 003236(DSM 14476)の変種および/または突然変異体を培地中で培養し、続いて化合物ガブセクチンを単離し、そして、必要によって薬理学的に許容可能な塩に変換することによって得ることができる実験式C2637NO5の化合物(ガブセクチン)。
【請求項12】
微生物ST 003236(DSM 14476)またはST 003236の変種および/または突然変異体を水性栄養培地中で培養すること、式(I)の化合物を単離しそして精製すること、そして、必要によって明らかな化学的同等物および/または薬理学的に許容可能な塩に変換することを含む、式(I)の化合物の製造方法。
【請求項13】
微生物ST 003236(DSM 14476)またはST 003236の突然変異体若しくは変種を、炭素源および窒素源、そして、通例の無機塩類および微量元素を含む培地中、好気性条件下で培養することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
通気培養法での培養を20℃〜35℃の間の温度および4〜10の間のpHで実施する
ことを特徴とする、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
式(IV)のガブセクチンを、C1−C6アルキル−、C2−C6−アルケニル−またはC2−C6−アルキニル−アルコール誘導体を用いて、またはC1−C6−アルキル−、C2−C6−アルケニル−またはC2−C6−アルキニル−アルキル化剤を用いて、請求項4のよ
うにエステル化して請求項1に記載の式(I)の化合物とすることを含み、ここで、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは直鎖または分枝鎖であり、場合によって基2.1から2.9によって1回または2回置換されることができ、ここで、置換基2.3から2.7はさらに−CN、−アミドまたは−オキシム基で置換されることができ、R2はHであり、R3はCH3であり、R4は−CH=CH−CH3であり、R5はCH3であり、X、X2、X3、X4およびX5はOであることを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の化合物の製造方法。
【請求項16】
エステル化をC1−アルキル化剤を用いて行うことを特徴とする請求項15に記載の式(I)の化合物の製造方法。
【請求項17】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物の、医薬の製造のための使用。
【請求項18】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物の、細菌を原因とする感染症の治療および予防用医薬の製造のための使用。
【請求項19】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物および生理学的に適した1つまたは複数の助剤物質を含む医薬。
【請求項20】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物を、生理学的に適した1つまたは複数の助剤物質と共に適当な投与形態にすることを含む請求項19に記載の医薬の製造方法
【請求項21】
微生物ST 003236(DSM 14476)。

【公表番号】特表2006−501132(P2006−501132A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−545621(P2003−545621)
【出願日】平成14年11月7日(2002.11.7)
【国際出願番号】PCT/EP2002/012420
【国際公開番号】WO2003/043984
【国際公開日】平成15年5月30日(2003.5.30)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】