説明

ガラスに対する樹脂の接着方法、ガラス接着性樹脂材料、およびガラス製品

【課題】実用レベルで困難であった、ガラスにエンジニアリングプラスチックを直接接着する方法を提供し、また、ガラス接着性樹脂材料、およびガラス製品を提供する。
【解決手段】ペレット状のエンジニアリングプラスチックに、エトキシ基またはメトキシ基を有するシランカップリング剤等のガラスに対する接着力向上剤を付与した後、これをガラスに接触させた状態で加熱溶融することにより、前記エンジニアリングプラスチックを前記ガラスに溶融接着させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスに対する樹脂の接着方法、ガラス接着性樹脂材料、およびガラス製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラスにエンジニアリングプラスチックを直接に接着することは、実用レベルでは困難であった(例えば特許文献1参照)。したがって、ガラスに対してエンジニアリングプラスチックを直接に接着する技術の開発が要望されている。
【特許文献1】特開2004−323639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明の主たる課題は、ガラスに対してエンジニアリングプラスチックを直接に接着する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
ペレット状のエンジニアリングプラスチックに、ガラスに対する接着力向上剤を付与した後、これをガラスに接触させた状態で加熱溶融することにより、前記エンジニアリングプラスチックを前記ガラスに溶融接着させる、ことを特徴とするガラスに対する樹脂の接着方法。
【0005】
<請求項2記載の発明>
前記エンジニアリングプラスチックが、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、およびポリアミド樹脂の中から選択されたものである、請求項1記載のガラスに対する樹脂の接着方法。
【0006】
<請求項3記載の発明>
前記エンジニアリングプラスチックの溶解性パラメータが5〜15の範囲内にある、請求項1または2記載のガラスに対する樹脂の接着方法。
【0007】
<請求項4記載の発明>
前記エンジニアリングプラスチックが、無機フィラーを0.1〜60重量%含有したものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラスに対する樹脂の接着方法。
【0008】
<請求項5記載の発明>
前記接着力向上剤は、エトキシ基またはメトキシキ基を有するシランカップリング剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラスに対する樹脂の接着方法。
【0009】
<請求項6記載の発明>
前記シランカップリング剤は、エポキシ基、アクリル基またはメトキシキ基を有する、請求項5記載のガラスに対する樹脂の接着方法。
【0010】
<請求項7記載の発明>
前記接着力向上剤を溶媒に溶解させて接着力向上溶液を調製し、この接着力向上溶液を前記エンジニアリングプラスチックに含浸させた後、溶媒を除去することにより、前記接着力向上剤の付与を行う、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラスに対する樹脂の接着方法。
【0011】
<請求項8記載の発明>
前記溶媒として、溶解性パラメータが5〜15の範囲内にある有機溶剤を含むものを用いる、請求項7記載のガラスに対する樹脂の接着方法。
【0012】
<請求項9記載の発明>
前記溶媒として、有機溶剤と水とを8.5:1.5〜9.5:2.5の割合で含むものを用い、前記接着力向上剤としてシランカップリング剤を用いる、請求項7または8記載のガラスに対する樹脂の接着方法。
【0013】
<請求項10記載の発明>
前記接着力向上剤としてシランカップリング剤を用い、前記溶媒およびシランカップリング剤の総量に対するシランカップリング剤の使用割合が0.1〜20重量%である、請求項7〜9のいずれか1項に記載のガラスに対する樹脂の接着方法。
【0014】
<請求項11記載の発明>
前記加熱溶融における溶融温度範囲を120〜300度とする、請求項7〜10のいずれか1項に記載のガラスに対する樹脂の接着方法。
【0015】
<請求項12記載の発明>
ペレット状のエンジニアリングプラスチックにガラスに対する接着力向上剤を付与してなる、ことを特徴とするガラス接着性樹脂材料。
【0016】
<請求項13記載の発明>
ガラスと、その表面に接着されたエンジニアリングプラスチック層とを有し、このエンジニアリングプラスチック層がガラスに対する接着力向上剤を含有している、ことを特徴とするガラス製品。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、ペレット状のエンジニアリングプラスチックを用い、これに接着力向上剤を予め付与しておき、これをガラスに溶融接着させる。このようにすると、単体ではガラスに対して接着しないエンジニアリングプラスチックが、接着力向上剤を介してガラスに接着するようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、ガラスに対してエンジニアリングプラスチックを直接に接着する。このガラスとしては、強化ガラス、合せガラス、複層ガラス、熱線反射ガラス、各種積層ガラス等、特に限定無く用いることができる。
【0019】
また、本発明のエンジニアリングプラスチックとしては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、6−ナイロン、66−ナイロンに代表されるポリアミド等、ポリアセタール等が使用できる。ポリブチレンテレフタレート樹脂の具体例としては、ポリプラスチックス(株)のジュラネックス、ポリアミド樹脂の具体例としては三菱エンジニアリングプラスチックス(株)のノバミッド、コバトロン、レニー、バイエルン社のデュレタン、宇部興産(株)のUBEナイロン、ユニチカ(株)のユニチカナイロンといった商品名のものを例示することができる。
【0020】
エンジニアリングプラスチックを選択する場合、溶解性パラメータが5〜15の範囲内、特に8〜13の範囲内にあるものを選択するのが好ましい。溶解性パラメータが低すぎても、また高すぎても、後述する接着力向上剤の含浸が困難になるため、この範囲内で選択するのが好ましい。
【0021】
エンジニアリングプラスチックには、強度を上げるために、ガラス繊維等の無機フィラーを含有させることもできる。この場合、エンジニアリングプラスチック中における無機フィラーの含有量は0.1〜60重量%、特に10〜20重量%であるのが好ましい。無機フィラーの含有量が少なすぎても、また多すぎても、強度の向上が不十分となるため、この範囲内とするのが好ましい。
【0022】
本発明の接着力向上剤としては、シランカップリング剤の他、ポリイソシアネート組成物等のように一般にプライマーと呼ばれるものも用いることができる。シランカップリング剤は、相互になじみの悪いガラス、シリカ、金属、粘土等の無機材料と高分子等の有機材料とを化学結合できる官能基を有するものであり、下記式(1)で表される有機ケイ素化合物をいう。
Y〜(CH2nSiX3 ・・・(1)
(式中のXはアルコキシ基やアセトキシ基、イソプロポキシ基、アミノ基、ハロゲン等の加水分解性の置換基で、無機と反応し、Yは有機質と反応しやすいビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基などである。)
【0023】
シランカップリング剤を用いる場合、エトキシ基またはメトキシキ基を有するもの、特にエトキシ基またはメトキシキ基に加えて、エポキシ基、アクリル基またはメトキシキ基を有するものが好適である。このようなシランカップリング剤の具体例としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0024】
接着に際しては、ペレット状のエンジニアリングプラスチックに、ガラスに対する接着力向上剤を付与してガラス接着性樹脂材料を調製し、このガラス接着性樹脂材料をガラスに接触させた状態で加熱溶融する手法を提案する。接着力向上剤の付与とは、ペレットのエンジニアリングプラスチックの内部または外面に接着力向上剤を付与することを意味する。具体的には、接着力向上剤を溶媒に溶解させて接着力向上溶液を調製し、この接着力向上溶液をエンジニアリングプラスチックペレットに含浸させた後、溶媒を除去することにより行うことができる。この場合、接着力向上剤はペレットの内部に浸透するだけでなく、外面にも付着する。
【0025】
上記溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールや、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類等の有機溶剤を主体とするものを好適に用いることができる。この有機溶剤としては、溶解性パラメータが5〜15の範囲内、特に8〜13の範囲内にあるものを選択するのが好ましい。溶解性パラメータが低すぎても、また高すぎても、接着力向上剤の含浸が困難となるため、この範囲内で選択するのが好ましい。
【0026】
溶媒に有機溶剤を用い、接着力向上剤としてシランカップリング剤を用いる場合、溶媒に水を含有させるのが好ましく、特に有機溶剤と水とを8.5:1.5〜9.5:2.5の割合で含有させるのが好ましい。これによって、溶媒中の水によりシランカップリング剤のシラノール化が促進されるようになる。
【0027】
また、シランカップリング剤を用いる場合、溶媒およびシランカップリング剤の総量に対するシランカップリング剤の使用割合が0.1〜20重量%であるのが好ましい。シランカップリング剤の使用割合が少なすぎても、多すぎても接着力が不足するため、この範囲内とするのが好ましい。
【0028】
接着の際の加熱溶融は、ガラスの表面にペレットを接触させた状態で炉内に保持することにより達成できる。加熱溶融に際しては、接着力向上剤の付与に用いた溶媒を予め蒸発等により除去しておくのが好ましく、また塗布物をガラスに圧接させながら溶融させ、溶融物をより均等な厚さでガラスに均一に圧着させるのが好ましい。加熱溶融の温度範囲は、120〜300度とするのが好ましい。溶融温度が低すぎると接着が不十分となり易く、高すぎると樹脂の劣化、熱分解をもたらすおそれがあるため、この範囲内とするのが好ましい。
【0029】
かくして、ガラスの表面に、ガラスに対する接着力向上剤を含有するエンジニアリングプラスチック層が形成され、このエンジニアリングプラスチック層は、付与した接着力向上剤を介してガラスの表面に強固に接着されるようになる。
【0030】
なお、本発明では接着に先立って、ガラスに、ポリイソシアネート組成物やシランカップリング剤等のプライマーを塗布しても良い。
【実施例】
【0031】
(実験1)
樹脂の接着性を確認するために、表1に示す各例について次のような実験を行った。すなわち、例1〜8においては、1ccのシランカップリング剤を20ccの溶媒(アセトンまたはエタノールと水とを9:1で混合)に溶解して溶液を調製し、この溶液中に10gのポリプラスチックス(株)のジュラネックス3300(表中PBT)のペレットを浸漬し、17時間室温で放置した。アセトン浸漬品においては放置によりアセトンが自然蒸発した。エタノール浸漬品は上記放置の後、エタノールを除去し、室温で30分間放置した後、80℃雰囲気中に30分放置した。かくして供試樹脂を準備した。
【0032】
また、比較用の供試樹脂として、シランカップリング剤を含浸させていないPBT、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)のノバミッド(表中PA6)、ポリプラスチックス(株)ジュラコン(表中POM)を用意した。
【0033】
また、シランカップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(表中A1)、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(表中A2)、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(表中E1)、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(表中E1)の四種類について実験を行った。
【0034】
ガラス板を約320℃に設定したホットプレート上に載置し、このガラス板の上に上記供試樹脂を載せた。供試樹脂が完全に溶融した状態でアルミ箔を被せ、その上から別のガラス板を押し当てて圧着した後、ガラス板をホットプレートから外して室温に放置した。室温まで冷却した後、アルミ箔を除去し、ガラス板と付着樹脂層との間にカッターナイフを入れて引き剥がし、樹脂の接着面積と、樹脂全体の面積を計測し、接着面積率を算出した。
【0035】
実験結果を表1に併記した。本発明に係る例1〜8はシランカップリング剤を樹脂ペレットに含浸させたことにより、非含浸の例9〜11と比べてガラスに対する接着面積が大きくなっており、接着性の顕著な向上が認められた。
【0036】
【表1】

【0037】
(実験2)
樹脂の接着強度を確認するために、表2〜7に示す各例について次のような実験を行った。すなわち、シランカップリング剤の濃度が3.0、6.0、10.0重量%となるように、シランカップリング剤と溶媒(アセトンまたはエタノールと水とを9:1で混合)とを混合して溶液を調整し、ビーカーに投入するとともに、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)のノバミッド(表中PA6)を約7g秤量しビーカーに投入した。ビーカーを約100℃に調節したホットプレート上に保持し、撹拌しながら溶媒を蒸発させた。溶媒蒸発後、ビーカーを120℃のオーブン中に1時間放置し、供試樹脂とした。
【0038】
ガラス板を約320℃に設定したホットプレート上に載置し、このガラス板の上に上記供試樹脂を0.5g載せ、溶融させた。樹脂2が完全に溶融した状態で、図1に示すように、SUS301製のL字形被着体3の接着面(20mm×20mm)を、ガラス板1上の樹脂2に押し当てて圧着した後、ホットプレートの電源をオフにした。被着体が動かない程度まで冷却してから、ガラス板1をホットプレートから降ろし、更に室温まで冷却した。この後、ガラス板1を固定し、L字形被着体3を自動引張り試験機のチャックに固定し、接着面に対して垂直方向(図中矢印方向)に10mm/minの速度で引張り荷重を負荷し、最大荷重値を接着強度とした。
【0039】
ガラス板に横浜ゴム社製のプライマーGS−81を塗布するとともに、被着体に横浜ゴム社製のプライマーGC−20およびGS−81をこの順に塗布した例についても同様に実験を行った。
【0040】
実験結果を表2〜7に併記した。シランカップリング剤の含浸により、接着強度の顕著な向上が認められた。
【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【0044】
【表5】

【0045】
【表6】

【0046】
【表7】

【0047】
(実験3)
次に、樹脂の剪断方向の接着強度を確認するために、表8に示す各例について次のような実験を行った。すなわち、シランカップリング剤の濃度が0.5、1.0、3.0重量%となるように、シランカップリング剤と溶媒(アセトンと水とを9:1で混合)とを混合して溶液を調整し、ビーカーに投入するとともに、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)のノバミッド(表中PA6)を約7g秤量しビーカーに投入した。ビーカーを約50℃に調節したホットプレート上に保持し、撹拌しながら溶媒を蒸発させた。溶媒蒸発後、ビーカーをホットプレートから降ろし、常温中に放置し、供試樹脂とした。
【0048】
ガラス板を約280℃に設定したホットプレート上に載置し、このガラス板の上に上記供試樹脂を0.5g載せ、溶融させた。樹脂が完全に溶融したならば、木製の台に移し、直ちに溶融樹脂上に、ノバミッドを成形してなるT字形被着体の円形接着面(直径25mm)を押し当てて圧着した後、室温まで完全に冷却した。
【0049】
次に、サーマルショック試験を行った。サーマルショック試験では、被着体が接着されたガラス板を、−40℃の雰囲気中で10分保持した後、90℃の雰囲気中で10分保持するサイクルを10サイクル行った。
【0050】
サーマルショックを行った後、図2に示すように、接着面が鉛直方向に沿うようにガラス板1を縦向きに固定し、T字形被着体4を自動引張試験機のチャック5に固定し、図示方向に10mm/minの速度で剪断荷重を負荷し、最大荷重値を剪断強度とした。
【0051】
実験結果を表8に併記した。サーマルショックによるガラス表面剥離(樹脂の膨縮によってガラス表面が剥離すること)は殆ど発生せず、また発生したものでも軽微であった。また、シランカップリング剤を付与したPA6は実用上十分な剪断強度を発揮した。
【0052】
【表8】

【0053】
(実験4)
次に、温度耐性を確認するために、表9〜11に示す各例について次のような実験を行った。すなわち、シランカップリング剤の濃度が0.5、1.0、3.0重量%となるように、シランカップリング剤と溶媒(アセトンと水とを9:1で混合)とを混合して溶液を調整し、ビーカーに投入するとともに、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)のノバミッド(表中PA6)を約7g秤量しビーカーに投入した。ビーカーを約50℃に調節したホットプレート上に保持し、撹拌しながら溶媒を蒸発させた。溶媒蒸発後、ビーカーをホットプレートから降ろし、常温中に放置し、供試樹脂とした。
【0054】
ガラス板を約280℃に設定したホットプレート上に載置し、このガラス板の上に上記供試樹脂を0.5g載せ、溶融させた。樹脂が完全に溶融したならば、ガラス板をホットプレートから降ろし、室温まで完全に冷却した。
【0055】
次に、サーマルショック試験を行った。サーマルショック試験では、被着体が接着されたガラス板を、−40℃の雰囲気中で10分保持した後、90℃の雰囲気中で10分保持するサイクルを10サイクル行った。
【0056】
サーマルショック試験を行い、界面剥離(ガラスと樹脂との界面における剥離)面積およびガラス表面剥離面積を計測した。また、サーマルショック試験に先立ち、樹脂の接着面積を計測しておき、界面剥離面積率(界面剥離面積/サーマルショック前の接着面積)およびガラス表面剥離面積率(ガラス表面剥離面積/サーマルショック前の接着面積)を求めた。
【0057】
実験結果を表9〜11に併記した。サーマルショックによるガラス剥離(樹脂の膨縮によってガラス表面が剥離すること)は殆ど発生せず、また発生したものでも軽微であった。なお、シランカップリング剤の種類とガラスの表面剥離面積率、ならびに樹脂の接着面積とガラスの表面剥離面積率とはそれぞれ相関がないことも判明した。
【0058】
【表9】

【0059】
【表10】

【0060】
【表11】

【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、ガラスにエンジニアリングプラスチックを接着するのに好適な技術であり、広範な用途に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】接着強度試験の概要図である。
【図2】剪断強度試験の概要図である。
【符号の説明】
【0063】
1…ガラス板、2…供試樹脂、3…L字形被着体、4…T字形被着体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレット状のエンジニアリングプラスチックに、ガラスに対する接着力向上剤を付与した後、これをガラスに接触させた状態で加熱溶融することにより、前記エンジニアリングプラスチックを前記ガラスに溶融接着させる、ことを特徴とするガラスに対する樹脂の接着方法。
【請求項2】
前記エンジニアリングプラスチックが、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、およびポリアミド樹脂の中から選択されたものである、請求項1記載のガラスに対する樹脂の接着方法。
【請求項3】
前記エンジニアリングプラスチックの溶解性パラメータが5〜15の範囲内にある、請求項1または2記載のガラスに対する樹脂の接着方法。
【請求項4】
前記エンジニアリングプラスチックが、無機フィラーを0.1〜60重量%含有したものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラスに対する樹脂の接着方法。
【請求項5】
前記接着力向上剤は、エトキシ基またはメトキシキ基を有するシランカップリング剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラスに対する樹脂の接着方法。
【請求項6】
前記シランカップリング剤は、エポキシ基、アクリル基またはメトキシキ基を有する、請求項5記載のガラスに対する樹脂の接着方法。
【請求項7】
前記接着力向上剤を溶媒に溶解させて接着力向上溶液を調製し、この接着力向上溶液を前記エンジニアリングプラスチックに含浸させた後、溶媒を除去することにより、前記接着力向上剤の付与を行う、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラスに対する樹脂の接着方法。
【請求項8】
前記溶媒として、溶解性パラメータが5〜15の範囲内にある有機溶剤を含むものを用いる、請求項7記載のガラスに対する樹脂の接着方法。
【請求項9】
前記溶媒として、有機溶剤と水とを8.5:1.5〜9.5:2.5の割合で含むものを用い、前記接着力向上剤としてシランカップリング剤を用いる、請求項7または8記載のガラスに対する樹脂の接着方法。
【請求項10】
前記接着力向上剤としてシランカップリング剤を用い、前記溶媒およびシランカップリング剤の総量に対するシランカップリング剤の使用割合が0.1〜20重量%である、請求項7〜9のいずれか1項に記載のガラスに対する樹脂の接着方法。
【請求項11】
前記加熱溶融における溶融温度範囲を120〜300度とする、請求項7〜10のいずれか1項に記載のガラスに対する樹脂の接着方法。
【請求項12】
ペレット状のエンジニアリングプラスチックにガラスに対する接着力向上剤を付与してなる、ことを特徴とするガラス接着性樹脂材料。
【請求項13】
ガラスと、その表面に接着されたエンジニアリングプラスチック層とを有し、このエンジニアリングプラスチック層がガラスに対する接着力向上剤を含有している、ことを特徴とするガラス製品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−297662(P2006−297662A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119896(P2005−119896)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(391015443)堀硝子株式会社 (19)
【Fターム(参考)】