説明

ガラス加工時のガラス表面への切り屑付着防止方法

【課題】ガラスの切断、切削又は端面研削等のガラス加工時に発生するサブミクロン〜数百ミクロンの切り屑がガラス表面に付着あるいは凝着することを防止すること。
【解決手段】本発明は、(1)ガラス加工前に、予めガラス表面に非イオン性界面活性剤水溶液を付着させる工程、(2)前記工程(1)において非イオン性界面活性剤水溶液を付着させたガラスを加工する工程、及び(3)前記ガラス加工工程(2)により生じたガラス切り屑を、非イオン性界面活性剤水溶液と共に除去する工程を含む、ガラス切り屑付着が抑制されたガラス製部材の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス製部材の製造方法、より詳しくは、ガラス加工時に発生する切り屑のガラス表面への付着が抑制されたガラス製部材の製造方法に関する。更に詳しくは、ガラスの切断時、切削時又は端面研削時等に発生するサブミクロン〜数百ミクロンの切り屑がガラス表面に付着あるいは凝着することを防止しつつガラスを加工する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスは、一般の窓やビン用ばかりでなく、特に最近は液晶テレビやプラズマディスプレーテレビ等のテレビのディスプレー用、ガラス磁気ディスク、レンズ等精密な分野での使用、用途も広がってきている。これらの用途で切断加工、切削加工或いは端面研削加工時に問題となるのは、加工時に発生した切り屑の再付着である。再付着した切り屑をそのまま放置すると溶着を起こし取れなくなる。
【0003】
従来から、この再付着を防止するために、(1)切断工程を流水中で行う、(2)切断位置にテープ等を貼り、切断後そのテープを剥がす、等の方法が試みられている。しかし、方法(1)では、切断工程を流水中で行っても、微小な切り屑がガラス表面に付着し残ってしまう。方法(2)では、ガラスの付着はなくなるものの、テープを剥がした後が残り、洗浄が極めて困難になる、等の課題が残っており完全な解決にはいたっていないのが現状である。
【0004】
特許文献1では、ガラスの切断面に水溶性高分子類の被膜を形成し、その被膜下の切断面から発生するガラスの微小破片の飛散防止方法が提案されているが、飛散を防止しても切り屑が発生していない訳ではなく、発生した切り屑の再付着により引き起こされる問題は、依然として解決できない。むしろ、飛散できなかった切り屑が追付着するため、基板への再付着量を増加させる危険性を孕んでいる。
【0005】
また、特許文献2では、界面活性剤を塗布してダイシングする方法が提案されているが、実施例においても、界面活性剤としては家庭用中性洗剤としか記載がなく、さらにすべての界面活性剤が切り屑の付着防止に有効なわけではなかった。特定の界面活性剤を選択することが、切り屑の付着防止には重要であった。
【特許文献1】特開平8−157236号公報
【特許文献2】特開平11−191540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ガラスの切断、切削又は端面研削等のガラス加工時に発生するサブミクロン〜数百ミクロンの切り屑がガラス表面に付着あるいは凝着することを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題の解決のために鋭意研究を重ねた結果、ガラスの加工前にガラス表面に非イオン性界面活性剤水溶液を予め付着させ、当該非イオン性界面活性剤を付着させたガラスを加工し、ガラス加工により生じたガラス切り屑を非イオン性界面活性剤と共に除去することによってガラス表面への切り屑の付着を防止しつつガラス製部材を製造することができることを見出した。本発明者らは、工程の温度、非イオン性界面活性剤水溶液の曇点等について様々な条件で切り屑付着防止効果を検討し、本願発明を完成するに至った。
【0008】
従って、本発明は、以下の項に示すガラス加工時のガラス表面への切り屑付着防止方法を提供する。
【0009】
項1.(1)ガラス加工前に、予めガラス表面に非イオン性界面活性剤水溶液を付着させる工程
(2)前記工程(1)において非イオン性界面活性剤水溶液を付着させたガラスを加工する工程、及び
(3)前記ガラス加工工程(2)により生じたガラス切り屑を、非イオン性界面活性剤水溶液と共に除去する工程
を含む、ガラス切り屑付着が抑制されたガラス製部材の製造方法。
【0010】
項2.前記工程(1)を、非イオン性界面活性剤水溶液の曇点以上の温度で行うことを特徴とする、項1に記載の方法。
【0011】
項3.非イオン性界面活性剤水溶液の曇点が10〜60℃である、項1または2に記載の方法。
【0012】
項4.前記工程(3)の非イオン性界面活性剤及びガラス切り屑の除去を、非イオン性界面活性剤水溶液の曇点未満の温度の水を用いて行う、項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の方法は、ガラス加工時に発生するサブミクロン〜数百ミクロンの切り屑のガラス表面への付着または凝着を抑制することができる。従って本発明の方法を用いることによって、ガラスの切断能力、切削精度、及び研削精度が向上する。また、ガラス切り屑のガラス表面への付着または凝着の抑制は、ガラス製部材製造の歩留まり向上、コストダウン及び工数低減に繋がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の詳細を実施形態に基づいて更に詳しく説明する。
【0015】
本発明は、(1)ガラス加工前に、予めガラス表面に非イオン性界面活性剤水溶液を付着させる工程(2)前記工程(1)において非イオン性界面活性剤水溶液を付着させたガラスを加工する工程、及び(3)前記ガラス加工工程(2)により生じたガラス切り屑を、非イオン性界面活性剤水溶液と共に除去する工程を含む、ガラス製部材の製造方法を提供する。
【0016】
(1)ガラス表面への非イオン性界面活性剤水溶液の付着工程
本発明の方法は、第一にガラス加工前に、予めガラス表面に非イオン性界面活性剤水溶液を付着させる工程を含む。
【0017】
当該非イオン性界面活性剤水溶液の付着工程において、ガラス表面の少なくとも一部が非イオン性界面活性剤水溶液で被覆されるため、次のガラス加工工程により生じるガラスの切り屑がガラス表面に付着するのを防ぐことができる。
【0018】
本発明の方法において原料として用いるガラスは、形状及び組成共に特に限定されず、例えば、各種組成の、板状、管状、管球状等のガラスを広く用いることができる。また、これらのガラスは、表面にコーティングされていてもよい。
【0019】
ガラス表面に付着させる非イオン性界面活性剤としては、例えば、以下に示すポリオキシアルキレン界面活性剤が挙げられる:ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンイソトリデシルエーテル、ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸モノエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンランダムブロックポリマー。
【0020】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等を挙げることができる。
【0021】
ポリオキシエチレンイソデシルエーテルとしては、例えば、第一工業製薬社製ノイゲンSD−60(平均分子量:約450)等を挙げることができる。
【0022】
ポリオキシエチレントリデシルエーテルとしては、例えば、第一工業製薬社製ノイゲンTDS−30(平均分子量:約300)等を挙げることができる。
【0023】
ポリオキシエチレンラウリルエーテルとしては、例えば、花王社製エマルゲン108(平均分子量:約500)、第一工業製薬社製DKS NL−15(平均分子量:約300)、DKS NL−60(平均分子量:約400)等を挙げることができる。
【0024】
ポリオキシエチレンオレイルエーテルとしては、例えば、花王社製エマルゲン409P(平均分子量:約700)等を挙げることができる。
【0025】
上記以外のポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、第一工業製薬社製ノイゲンET−65、ET−115、三洋化成工業社製サンノニックSS−70等を挙げることができる。
【0026】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、花王社製エマルゲンLS−106、MS−110、第一工業製薬社製ノイゲンET−106A、ET−116B、ET−116C、DL−0206、三洋化成工業社製ナロアクティーN−85(平均分子量:約600)、N−95(平均分子量:約700)、サンノニックFD−80(平均分子量:約500)、FN−80、FD−100(平均分子量:約600)、セドランFF−160、FF−180、FF−200、FF−210等を挙げることができる。
【0027】
ポリオキシアルキレンイソトリデシルエーテルとしては、例えば、第一工業製薬社製ノイゲンTDS−30(平均分子量:約300)、ノイゲンTDX−50(平均分子量:約400)等を挙げることができる。
【0028】
ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテルとしては、例えば、第一工業製薬社製ノイゲンXL−40(平均分子量:約300)、XL−60(平均分子量:約400)、XL−70(平均分子量:約500)等を挙げることができる。
【0029】
ポリオキシアルキレンラウリルエーテルとしては、例えば、第一工業製薬社製DKS NL−Dash400、DKS NL−Dash403、DKS NL−Dash408、ノイゲンLP−70(平均分子量:約500)、三洋化成工業社製エマルミンFL−80(平均分子量:約600)等を挙げることができる。
【0030】
ポリオキシアルキレントリデシルエーテルとしては、例えば、第一工業製薬社製ノイゲンTDX−50(平均分子量:約400)、TDX−50D(平均分子量:約400)、TDX−80D(平均分子量:約600)等を挙げることができる。
【0031】
ポリオキシエチレン脂肪酸モノエステルとしては、例えば、三洋化成工業社製イオネットMO−600(平均分子量:約900)等を挙げることができる。
【0032】
ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステルとしては、例えば、三洋化成工業社製イオネットDO−1000(平均分子量:約1600)等を挙げることができる。
【0033】
ポリオキシエチレン高級アルコールエーテルとしては、例えば、花王社製エマルゲン707、709等を挙げることができる。
【0034】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーとしては、例えば、三洋化成工業社製ニューポールPE−61(平均分子量:約2000)、PE−62(平均分子量:約2200)、PE−72(平均分子量:約2500)を挙げることができる。
【0035】
ポリオキシエチレンポリオキシブチレンランダムブロックポリマーとしては、例えば、三洋化成工業社製ブレンバーLUB−70(平均分子量:約5800)を挙げることができる。
【0036】
非イオン性界面活性剤水溶液には、任意成分としてアミン、脂肪酸、防腐剤、グリコール系溶剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤等を添加してもよい。
【0037】
本発明に使用する非イオン性界面活性剤水溶液中の非イオン性界面活性剤の濃度は、特に制限されないが、通常0.1重量%〜10重量%、好ましくは、0.3〜5重量%で、特に好ましくは0.5〜3重量%である。上記濃度範囲の非イオン性界面活性剤水溶液を用いることによって、ガラス表面へのガラス切り屑の付着を防ぐのに十分な親油層を形成し、また下記ガラス切り屑及び非イオン性界面活性剤水溶液の除去工程において、切り屑を十分に洗い流すことができかつ洗浄後の界面活性剤の残留を防ぐことができる。
【0038】
当該非イオン性界面活性剤水溶液の付着工程における好ましい温度は、後述する非イオン性界面活性剤水溶液の曇点等により異なる場合もあるが、通常10〜70℃、好ましくは10〜60℃である。
【0039】
非イオン性界面活性剤水溶液をガラス表面に付着させる方法としては、当該分野において通常用いられる方法を広く使用することができ、例えば、原料のガラスを浸漬する方法、ガラス表面に塗布、噴霧、シャワー等する方法等が挙げられる。
【0040】
本願発明において用いる非イオン性界面活性剤水溶液は曇点を有し、曇点以上の温度では該水溶液は濁り、親油性を示すようになる。逆に温度を曇点未満に降下させると、濁りは無くなり透明な水溶液となる。従って、当該曇点以上の温度では、非イオン性界面活性剤水溶液は、ガラス表面上に親油性層を形成し、次のガラス加工工程により生じるガラス切り屑のガラス表面への付着に対する、より優れた抑制効果を示す。従って、ガラス表面への非イオン性界面活性剤水溶液の付着工程を、非イオン性界面活性剤水溶液の曇点以上の温度で行うことが好ましい。
【0041】
当該付着工程を非イオン性界面活性剤水溶液の曇点以上の温度で行う方法としては、ガラスを曇点以上の温度にした非イオン性界面活性剤水溶液に浸漬する方法、ガラス表面に曇点以上の温度にした非イオン性界面活性剤水溶液を噴霧、シャワーして、ガラス表面に付着させ、ガラス表面を非イオン性界面活性剤の曇点以上の温度に維持する方法、ガラスを曇点未満の温度にした非イオン性界面活性剤水溶液に浸漬するかガラス表面に曇点未満の温度にした非イオン性界面活性剤水溶液を噴霧、シャワーして、ガラス表面に付着させ、ガラス表面を非イオン性界面活性剤の曇点以上の温度になるように加温する方法等があり、いずれの方法を用いてもよい。
【0042】
ここで、本発明において用いる非イオン性界面活性剤水溶液の曇点は、通常10〜60℃であり、好ましくは15〜55℃である。
【0043】
非イオン性界面活性剤水溶液の曇点が低すぎると、後述の非イオン性界面活性剤を洗い流す水の好適な温度範囲が狭く、洗浄性が不十分になる。また、非イオン性界面活性剤水溶液の曇点が高すぎる場合、曇点以上に熱する実施形態においては、ガラスの種類又は求められる精度により、熱による衝撃の影響が出たり、作業環境が悪化する。
【0044】
当該非イオン性界面活性剤水溶液の付着工程を曇点以上の温度にて行う場合、当該工程(1)は、好ましくは曇点以上曇点よりも30℃高い温度までの範囲、より好ましくは曇点以上曇点よりも20℃高い温度までの範囲、特に好ましくは曇点以上曇点よりも10℃高い温度までの範囲にて行う。
(2)ガラス加工工程
本発明の方法は、前記工程(1)において非イオン性界面活性剤水溶液を付着させたガラスを加工する工程を含む。
【0045】
ガラス加工方法としては、ガラス切り屑が生じるようなものであれば、特に限定されないが、例えば、切断、切削、端面研削等が挙げられる。
【0046】
当該ガラス加工工程によりガラス製部材が形成される。本発明の方法において製造されるガラス製部材は、特に限定されず、例えば、液晶テレビ、プラズマディスプレーテレビ等のテレビのディスプレー用部材、ガラス磁気ディスク、レンズ等の部材等が挙げられる。
【0047】
従来のガラス加工においては、当該加工により生じるガラス切り屑がガラス表面に付着及び/または凝着してしまうが、本発明の方法の場合、ガラス表面の一部または全部が非イオン性界面活性剤水溶液で被覆されているため、ガラス表面へのガラス切り屑の付着及び凝着が有意に抑制される。
【0048】
上記ガラス表面への非イオン性界面活性剤水溶液の付着工程(1)と同様に、ガラス切り屑付着抑制効果を高めるために、ガラス加工工程も非イオン性界面活性剤水溶液の曇点以上の温度にて行うことが好ましい。具体的な好ましい温度条件は、上記工程(1)と同様の条件を採用することができる。
(3)ガラス切り屑及び非イオン性界面活性剤水溶液の除去工程
本発明の方法は、前記ガラス加工工程(2)により生じたガラス切り屑を、非イオン性界面活性剤水溶液と共に除去する工程を含む。
【0049】
非イオン性界面活性剤及びガラス切り屑を除去する方法としては、加工したガラスに水を流す、シャワーする、又はスプレーする方法、加工したガラスを水に浸漬し超音波洗浄する方法等を挙げることができる。
【0050】
当該除去工程(3)に用いる水の水温は、特に限定されないが、通常5〜60℃、好ましくは10〜60℃である。
【0051】
また、本発明において用いる非イオン性界面活性剤水溶液は、曇点未満の温度で高い界面活性が発現されるため、水による除去がより容易となる。
【0052】
従って、当該除去工程(3)は、非イオン性界面活性剤水溶液の曇点未満の温度の水を用いて行うのが好ましい。
【0053】
本発明の好ましい実施形態において、当該除去工程(3)は、好ましくは曇点未満から曇点よりも30℃低い温度までの範囲、より好ましくは曇点未満から曇点よりも20℃低い温度までの範囲、特に好ましくは曇点未満から曇点よりも10℃低い温度までの範囲にて行う。
【0054】
上述のように、本発明において用いる非イオン性界面活性剤は、曇点以上の温度においてガラス表面へのガラス切り屑の付着を抑制する効果がより高くなり、曇点未満の温度においてガラス切り屑と共にガラス表面から除去されやすくなる。従って、本発明の方法においては、(1)ガラス表面への非イオン性界面活性剤水溶液の付着工程を非イオン性界面活性剤の曇点以上の温度で行い、かつ(3)ガラス切り屑及び非イオン性界面活性剤水溶液の除去工程を非イオン性界面活性剤の曇点未満の温度で行うことが好ましい。
【実施例】
【0055】
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[試験方法]
実施例1〜14において、各非イオン性界面活性剤の各試験濃度水溶液をガラス基板に塗布し、該ガラス基板を該非イオン性界面活性剤水溶液の曇点より5℃高くなるよう加温し、ダイヤブレードで切断した後、該非イオン性界面活性剤水溶液の曇点より5℃低い水温の水道水でシャワー水洗して、切り屑の再付着状況と該非イオン性界面活性剤の付着状況を目視で判断した。
【0056】
また、実施例15〜19において、曇点より5℃高い各非イオン性界面活性剤の各試験濃度水溶液をガラス基板に噴霧塗布し、該ガラス基板を該非イオン性界面活性剤水溶液の曇点より5℃高い状態を維持し、ダイヤブレードで切断した後、該非イオン性界面活性剤水溶液の曇点より5℃低い水温の水道水でシャワー水洗して、切り屑の再付着状況と該非イオン性界面活性剤の付着状況を目視で判断した。
【0057】
比較例1〜11においては、非イオン性界面活性剤を用いない場合(水だけの場合)、陰イオン性界面活性剤を用いる場合、及び家庭用中性洗剤を用いた場合の切り屑の再付着状況と該非イオン性界面活性剤の付着状況を目視で判断した。
【0058】
実施例と比較例との試験条件を表1に示した。
【0059】
尚、曇点の値は、試験濃度時の値を示す。
[判定基準]
◎:切り屑と界面活性剤ともに付着なし。
○:切り屑の付着が微量あり、界面活性剤の付着なし。
×:切り屑の再付着が多く、界面活性剤の付着なし。
××:切り屑と界面活性剤が共に多く残る。
【0060】
実施例と比較例との試験結果は、「切り屑、界面活性剤の再付着防止性」として、表1に示した。
【0061】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)ガラス加工前に、予めガラス表面に非イオン性界面活性剤水溶液を付着させる工程
(2)前記工程(1)において非イオン性界面活性剤水溶液を付着させたガラスを加工する工程、及び
(3)前記ガラス加工工程(2)により生じたガラス切り屑を、非イオン性界面活性剤水溶液と共に除去する工程
を含む、ガラス切り屑付着が抑制されたガラス製部材の製造方法。
【請求項2】
前記工程(1)を、非イオン性界面活性剤水溶液の曇点以上の温度で行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
非イオン性界面活性剤水溶液の曇点が10〜60℃である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記工程(3)の非イオン性界面活性剤及びガラス切り屑の除去を、非イオン性界面活性剤水溶液の曇点未満の温度の水を用いて行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。

【公開番号】特開2009−46353(P2009−46353A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214641(P2007−214641)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000135265)株式会社ネオス (95)
【Fターム(参考)】