説明

ガラス板の廃棄方法

【課題】作業者による作業を行うことなく、破損した大型のガラス板を回収して廃棄することができるガラス板の廃棄方法を提供することを目的とする。
【解決手段】搬送されるガラス板1を、搬送方向Aにおいて、搬送部11から突出させて、ガラス板1の一部を、ガラス板1の自重により下方に撓ませる。次いで、分離溝形成部12により、自重により下方に撓んだガラス板1の撓みの支点部1aに、ガラス板1の撓んだ部分1bを分離するための分離溝15を形成する。そして、ガラス板1の自重により、分離溝15からクラック16を形成し、ガラス板1の一部を分離して回収し、ガラス板1を廃棄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板の廃棄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示装置は、互いに対向して配置された一対のガラス基板と、一対のガラス基板の間に設けられた液晶層と、一対のガラス基板を互いに接着するとともに、両ガラス基板の間に液晶を封入するために枠状に設けられたシール材とを備えている。
【0003】
また、液晶表示装置に使用される液晶表示パネルを製造する場合、一般に、マザーガラスと呼ばれる大型のガラス板から複数枚のガラス基板を作製する。より具体的には、2枚の大型のマザーガラスを貼り合わせた後、このマザーガラスの積層体を個々の一対のガラス基板に切断することにより、液晶表示パネルを作製する。そして、大きいサイズのマザーガラスを使用することにより、多くのガラス基板を作製することができるため、近年、マザーガラスとして使用されるガラス板が大型化する傾向にある。より具体的には、現在では、例えば、幅が2180mm、長さが2480mm、厚みが0.7mmの大型のマザーガラスが使用されており、今後も、ガラス板の大型化が進む傾向にある。
【0004】
ここで、液晶表示装置の製造工程において、例えば、マザーガラスであるガラス板を切断してガラス基板を製造する工程や、ガラス板の洗浄工程において、ガラス板に破損が生じる場合がある。そして、破損が生じたガラス板は廃棄する必要があり、破損が生じたガラス板の廃棄方法が提案されている。
【0005】
より具体的には、例えば、ガラス板の洗浄工程において、ガラス板に破損が生じた場合に、一旦、ラインを止めて、作業者によるガラス板の破片の除去作業を行う方法が開示されている。そして、この場合、破損した大型のガラス板を作業者により意図的に小さく分割してガラス板の破片とし、このガラス板の破片を洗浄槽の底面まで落とし、落下したガラス板の破片を、作業者が槽上部から排出管の近傍まで移動させて、排出管内に全て落とし、排出管の下方に設けられた籠部材内にガラス板の破片を集めて回収し、破損したガラス板を廃棄する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−230723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来のガラス板の廃棄方法においては、作業者による作業により、破損した大型のガラス板を小さく分割するとともに、分割したガラス板の破片を回収して廃棄するため、ガラス板の廃棄作業を安全に行うことが困難であるとともに、ガラス板の廃棄処理に長時間を要するという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、作業者による作業を行うことなく、破損した大型のガラス板を回収して廃棄することができるガラス板の廃棄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ガラス板を搬送する工程と、搬送される前記ガラス板を、ガラス板の自重により撓ませる工程と、自重により撓んだガラス板に対して、ガラス板の撓んだ部分を分離するための分離溝を形成する工程と、ガラス板の自重により、ガラス板に対して、分離溝からクラックを形成して、ガラス板の撓んだ部分を分離する工程と、分離したガラス板を回収して廃棄する工程とを少なくとも含むことを特徴とするガラス板の廃棄方法である。
【0010】
同構成によれば、作業者による作業を行うことなく、大型のガラス板を分割して分離することが可能になるとともに、分離したガラス板を回収して廃棄することが可能になる。その結果、大型のガラス板の廃棄処理を行う際の安全性が向上するとともに、ガラス板の廃棄処理を迅速に行うことが可能になる。また、作業者による作業を行うことなく、大型のガラス板を分割して分離することが可能になるとともに、分離したガラス板を回収して廃棄することが可能になるため、ガラス板の廃棄処理を容易に行うことが可能になる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、ガラス板を搬送する工程と、搬送されるガラス板を反らせる工程と、ガラス板に対して、ガラス板の反り部分を分離するための分離溝を形成する工程と、ガラス板に対して、分離溝からクラックを形成して、ガラス板の反り部分を分離する工程と、分離したガラス板を回収して廃棄する工程とを少なくとも含むことを特徴とするガラス板の廃棄方法である。
【0012】
同構成によれば、作業者による作業を行うことなく、大型のガラス板を分割して分離することが可能になるとともに、分離したガラス板を回収して廃棄することが可能になる。その結果、大型のガラス板の廃棄処理を行う際の安全性が向上するとともに、ガラス板の廃棄処理を迅速に行うことが可能になる。また、作業者による作業を行うことなく、大型のガラス板を分割して分離することが可能になるとともに、分離したガラス板を回収して廃棄することが可能になるため、ガラス板の廃棄処理を容易に行うことが可能になる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、ガラス板を搬送する工程と、ガラス板に対して、ガラス板の一部を分離するための分離溝を形成する工程と、分離溝が形成されたガラス板を、ガラス板の自重により撓ませる工程と、ガラス板の自重により、ガラス板に対して、分離溝からクラックを形成して、ガラス板の撓んだ部分を分離する工程と、分離したガラス板を回収して廃棄する工程とを少なくとも含むことを特徴とするガラス板の廃棄方法である。
【0014】
同構成によれば、作業者による作業を行うことなく、大型のガラス板を分割して分離することが可能になるとともに、分離したガラス板を回収して廃棄することが可能になる。その結果、大型のガラス板の廃棄処理を行う際の安全性が向上するとともに、ガラス板の廃棄処理を迅速に行うことが可能になる。また、作業者による作業を行うことなく、大型のガラス板を分割して分離することが可能になるとともに、分離したガラス板を回収して廃棄することが可能になるため、ガラス板の廃棄処理を容易に行うことが可能になる。
【0015】
また、本発明の請求項1〜請求項3に記載のガラス板の廃棄方法は、大型のガラス板の廃棄処理を行う際の安全性が向上するとともに、ガラス板の廃棄処理を迅速に行うことが可能になるという優れた特性を備えている。従って、請求項4に記載の発明のように、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のガラス板の廃棄方法であって、ガラス板の長さが1000〜4000mm、幅が1000〜4000mm、厚みが0.4〜1.1mmであるガラス板の廃棄方法に好適に使用される。また、請求項5に記載の発明のように、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のガラス板の廃棄方法であって、ガラス板が、液晶表示装置用のガラス板であるガラス板の廃棄方法に好適に使用される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、大型のガラス板の廃棄処理を行う際の安全性が向上するとともに、ガラス板の廃棄処理を迅速に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るガラス板の廃棄方法に使用される廃棄装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】は、本発明の第1の実施形態に係るガラス板の廃棄方法により廃棄されるガラス板を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係るガラス板の廃棄方法により廃棄されるガラス板にクラックが形成された状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るガラス板の廃棄方法に使用される廃棄装置の全体構成を示す概略図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係るガラス板の廃棄方法により廃棄されるガラス板にクラックが形成された状態を示す斜視図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【図17】本発明の第2の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【図18】本発明の第3の実施形態に係るガラス板の廃棄方法に使用される廃棄装置の全体構成を示す概略図である。
【図19】本発明の第3の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【図20】本発明の第3の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【図21】本発明の第3の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【図22】本発明の第3の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【図23】本発明の第3の実施形態に係るガラス板の廃棄方法により廃棄されるガラス板にクラックが形成された状態を示す斜視図である。
【図24】本発明の第3の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【図25】本発明の第3の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【図26】本発明の変形例に係るガラス板の廃棄方法に使用される廃棄装置の全体構成を示す概略図である。
【図27】本発明の変形例に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るガラス板の廃棄方法に使用される廃棄装置の全体構成を示す概略図であり、図2は、本発明の第1の実施形態に係るガラス板の廃棄方法により廃棄されるガラス板を示す斜視図である。なお、本実施形態においては、ガラス板として、液晶表示装置に使用されるガラス板を例に挙げて説明する。
【0020】
図1に示すように、ガラス板の廃棄装置10は、廃棄するガラス板1を搬送するための搬送部11と、搬送されるガラス板1に対して分離溝を形成するための分離溝形成部12と、分離されたガラス板1を収納して、ガラス板1を回収するためのガラス回収部13とを備えている。
【0021】
搬送部11としては、図1に示すように、搬送コロ14が使用される。なお、搬送部11は、ガラス板1を搬送できるものであれば、特に限定されず、搬送コロ14の代わりに、搬送ベルト等を使用する構成としても良い。
【0022】
分離溝形成部12としては、ガラス板1に対して分離溝15(図5を参照)を形成できるものであれば、特に限定されず、例えば、ニッパやペンチのような形状のものを使用することができる。
【0023】
また、廃棄されるガラス板1の材料としては、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、ソーダライムガラス、シリカガラス、及び低アルカリガラス等を使用することができる。例えば、液晶表示装置用のガラス板としては、TFT(Thin Film Transistor)基板に使用されるガラス基板に形成されたTFTに対して、ナトリウム等のアルカリ金属が不純物として含有されないように、ナトリウム等のアルカリ金属が含有されていない無アルカリガラスが使用される。また、本実施形態における廃棄されるガラス板1としては、大型のガラス板が使用され、当該ガラス板のサイズは、長さLが1000〜4000mm、幅Wが1000〜4000mm、厚みTが0.4〜1.1mmである。
【0024】
次に、本実施形態のガラス板の廃棄方法について説明する。図3〜図6は、本発明の第1の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図であり、図7は、本発明の第1の実施形態に係るガラス板の廃棄方法により廃棄されるガラス板にクラックが形成された状態を示す斜視図である。また、図8〜図9は、本発明の第1の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【0025】
まず、図3に示すように、廃棄する破損したガラス板1を、搬送コロ14により、搬送方向(図3に示す矢印Aの方向)に搬送する。なお、ガラス板の搬送速度は、一定速度(例えば、150mm/s)である。
【0026】
次いで、図4に示すように、搬送されるガラス板1を、搬送方向Aにおいて、搬送部11から突出させて、ガラス板1の一部を、ガラス板1の自重により下方(即ち、ガラス板回収部13の方向であって、図中の矢印Xの方向)に撓ませる。なお、搬送方向Aにおいて、ガラス板1を搬送部11から所定の長さ(例えば、30〜40cm)突出させることにより、ガラス板1に撓みが発生する。
【0027】
次いで、図5に示すように、分離溝形成部12により、自重により下方に撓んだガラス板1の撓みの支点部1aに、ガラス板1の一部(即ち、ガラス板1の撓んだ部分)1bを分離するための分離溝15を形成する。
【0028】
なお、分離溝は、ガラス板1の厚み方向において、一定の深さ(例えば、数ミリ程度)で形成すれば良い。
【0029】
そして、ガラス板の端部に分離溝を形成すると、図6、図7に示すように、ガラス板1の自重により、ガラス板1の幅方向Bの全体において、分離溝15からクラック16が形成されるとともに、ガラス板1が割れることにより、図8に示すように、ガラス板1の一部(ガラス板1の撓んだ部分)1bが分離される。
【0030】
次いで、図9に示すように、分離されたガラス板1の一部1bが、搬送部11の下方に配設されたガラス回収部13の方向へ移動(落下)して、ガラス回収部13により回収するとともに、ガラス回収部13により回収されたガラス板1を廃棄する。
【0031】
そして、ガラス板1の全体に対して、以上の処理を繰り返すことにより、ガラス板1の廃棄処理が完了することになる。
【0032】
以上に説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0033】
本実施形態のガラス板の廃棄方法においては、ガラス板1を搬送し、搬送されるガラス板1を、ガラス板1の自重により撓ませる。次いで、自重により撓んだガラス板1に対して、ガラス板1の撓んだ部分を分離するための分離溝15を形成し、ガラス板1の自重により、ガラス板1に対して、分離溝15からクラック16を形成して、ガラス板1の撓んだ部分1bを分離する。そして、分離したガラス板1を回収して廃棄する構成としている。従って、作業者による作業を行うことなく、大型のガラス板1を分割して分離することが可能になるとともに、分離したガラス板1を回収して廃棄することが可能になる。その結果、大型のガラス板1の廃棄処理を行う際の安全性が向上するとともに、ガラス板1の廃棄処理に必要な時間が短くて済むため、廃棄処理に必要な時間を大幅に短縮することが可能になり、ガラス板1の廃棄処理を迅速に行うことが可能になる。更に、作業者による作業を行うことなく、大型のガラス板1を分割して分離することが可能になるとともに、分離したガラス板1を回収して廃棄することが可能になるため、ガラス板1の廃棄処理を容易に行うことが可能になる。
【0034】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図10は、本発明の第2の実施形態に係るガラス板の廃棄方法に使用される廃棄装置の全体構成を示す概略図である。なお、上記第1の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。また、廃棄されるガラス板については、上述の第1の実施形態において説明したものと同様であるため、ここでは詳しい説明を省略する。また、本実施形態においても、ガラス板として、液晶表示装置に使用されるガラス板を例に挙げて説明する。
【0035】
本実施形態のガラス板の廃棄装置20においては、図10に示すように、搬送部11として、搬送コロ14に加えて、ガラス板1を上方に反らせるための搬送コロ17,18を設けている。なお、当該搬送コロ17,18の代わりに、搬送ベルト等を使用する構成としても良い。
【0036】
このような構成により、上述の第1の実施形態のごとく、ガラス板1の一部をガラス板1の自重により下方に撓ませる場合に比し、ガラス板1に対して大きな負荷をかけることが可能になる。
【0037】
次に、本実施形態のガラス板の廃棄方法について説明する。図11〜図14は、本発明の第2の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図であり、図15は、本発明の第2の実施形態に係るガラス板の廃棄方法により廃棄されるガラス板にクラックが形成された状態を示す斜視図である。また、図16〜図17は、本発明の第2の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【0038】
まず、図11に示すように、廃棄する破損したガラス板1を、搬送コロ14により、搬送方向Aに搬送する。
【0039】
次いで、図12に示すように、搬送方向Aにおいて、搬送コロ17,18により、搬送されるガラス板1の一部を上方(即ち、ガラス板回収部13の方向と反対の方向であって、図中の矢印Yの方向)に持ち上げて、ガラス板1の一部を上方に反らせる。
【0040】
なお、ガラス板1の反り部分1cの長さは、搬送コロ17,18間の距離Zや、搬送方向Aに対する搬送コロ17,18の傾斜角αを調整することにより、変更することができる。例えば、搬送コロ17,18間の距離Zを短くし、搬送方向Aに対する搬送コロ15,16の傾斜角αを大きくすることにより、ガラス板1にかかる負荷がより一層大きくなるため、ガラス板1の反り部分1cの長さをより一層短くすることができる。
【0041】
次いで、図13に示すように、分離溝形成部12により、ガラス板1の反り部分1cに、ガラス板1の一部(即ち、ガラス板1の反り部分)1cを分離するための分離溝15を形成する。
【0042】
そして、ガラス板1に分離溝15を形成すると、図14、図15に示すように、ガラス板1にかかる負荷により、ガラス板1の幅方向Bの全体において、分離溝15からクラック16が形成されるとともに、ガラス板1が割れることにより、図16に示すように、ガラス板1の一部が分離される。
【0043】
次いで、図17に示すように、分離されたガラス板1の一部が、搬送部11の下方に配設されたガラス回収部13の方向へ移動(落下)して、ガラス回収部13により回収するとともに、ガラス回収部13により回収されたガラス板1を廃棄する。
【0044】
そして、ガラス板1の全体に対して、以上の処理を繰り返すことにより、ガラス板1の廃棄処理が完了することになる。
【0045】
以上に説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0046】
本実施形態のガラス板の廃棄方法においては、まず、ガラス板1を搬送し、搬送されるガラス板1を反らせる。次いで、ガラス板1に対して、ガラス板1の反り部分を分離するための分離溝15を形成し、ガラス板1に対して、分離溝15からクラック16を形成して、ガラス板1の反り部分1cを分離する。そして、分離したガラス板1を回収して廃棄する構成としている。従って、作業者による作業を行うことなく、大型のガラス板1を分割して分離することが可能になるとともに、分離したガラス板1を回収して廃棄することが可能になる。その結果、大型のガラス板1の廃棄処理を行う際の安全性が向上するとともに、ガラス板の廃棄処理に必要な時間が短くて済むため、廃棄処理に必要な時間を大幅に短縮することが可能になり、ガラス板1の廃棄処理を迅速に行うことが可能になる。更に、作業者による作業を行うことなく、大型のガラス板1を分割して分離することが可能になるとともに、分離したガラス板1を回収して廃棄することが可能になるため、ガラス板の廃棄処理を容易に行うことが可能になる。
【0047】
また、本実施形態においては、ガラス板1の一部1cを反らせる構成としているため、ガラス板1の一部1cを、ガラス板1の自重により下方に撓ませる場合に比し、ガラス板1に対して大きな負荷をかけることが可能になる。従って、ガラス板1の一部1cを小片で分離することが可能になるため、大型のガラス板1の廃棄処理の効率が向上するとともに、分離したガラス板1を回収するガラス回収部13のサイズを小さくすることが可能になる。
【0048】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図18は、本発明の第3の実施形態に係るガラス板の廃棄方法に使用される廃棄装置の全体構成を示す概略図である。なお、上記第1の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。また、廃棄されるガラス板については、上述の第1の実施形態において説明したものと同様であるため、ここでは詳しい説明を省略する。また、本実施形態においても、ガラス板として、液晶表示装置に使用されるガラス板を例に挙げて説明する。
【0049】
上述の第1の実施形態においては、分離溝形成部12により、自重により下方に撓んだガラス板1の撓みの支点部1aに分離溝15を形成する構成としたが、本実施形態においては、図18に示すように、ガラス板の廃棄装置30に複数の分離溝形成部12を設け、ガラス板1が自重により下方に撓む前に、分離溝形成部12により、ガラス基板1に対して予め分離溝15を形成する点に特徴がある。
【0050】
このような構成により、自重により下方に撓んだガラス板1の撓みの支点部1bに分離溝15を形成する場合に比し、ガラス板1に対して分離溝15を確実に形成できるため、ガラス板1を確実に分離することが可能になる。
【0051】
次に、本実施形態のガラス板の廃棄方法について説明する。図19〜図22は、本発明の第3の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図であり、図23は、本発明の第3の実施形態に係るガラス板の廃棄方法により廃棄されるガラス板にクラックが形成された状態を示す斜視図である。また、図24〜図25は、本発明の第3の実施形態に係るガラス板の廃棄方法を説明するための概略図である。
【0052】
まず、図19に示すように、廃棄する破損したガラス板1を、搬送コロ14により、搬送方向Aに搬送する。
【0053】
次いで、図20に示すように、ガラス板1が自重により下方に撓む前に、複数の分離溝形成部12により、ガラス板1に対して、ガラス板1の一部を分離するための複数の分離溝15を形成する。
【0054】
次いで、図21に示すように、分離溝15が形成されたガラス板1を、搬送方向Aにおいて、搬送部11から突出させて、ガラス板1の一部を、ガラス板1の自重により下方(即ち、ガラス板回収部13の方向であって、図中の矢印Xの方向)に撓ませる。そうすると、図22、図23に示すように、ガラス板1の自重により、ガラス板1の幅方向Bの全体において、分離溝15からクラック16が形成されるとともに、ガラス板1が割れることにより、図24に示すように、ガラス板1の一部1bが分離される。
【0055】
次いで、図25に示すように、分離されたガラス板1の一部が、搬送部11の下方に配設されたガラス回収部13の方向へ移動(落下)して、ガラス回収部13により回収するとともに、ガラス回収部13により回収されたガラス板1を廃棄する。
【0056】
そして、ガラス板1の全体に対して、以上の処理を繰り返すことにより、ガラス板1の廃棄処理が完了することになる。
【0057】
以上に説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0058】
本実施形態のガラス板の廃棄方法においては、まず、ガラス板1を搬送し、ガラス板1に対して、ガラス板1の一部を分離するための分離溝15を形成する。次いで、分離溝15が形成されたガラス板1を、ガラス板1の自重により撓ませて、ガラス板1の自重により、ガラス板1に対して、分離溝15からクラック16を形成して、ガラス板1の撓んだ部分1bを分離する。そして、分離したガラス板1を回収して廃棄する構成としている。従って、作業者による作業を行うことなく、大型のガラス板1を分割して分離することが可能になるとともに、分離したガラス板1を回収して廃棄することが可能になる。その結果、大型のガラス板1の廃棄処理を行う際の安全性が向上するとともに、ガラス板の廃棄処理に必要な時間が短くて済むため、廃棄処理に必要な時間を大幅に短縮することが可能になり、ガラス板1の廃棄処理を迅速に行うことが可能になる。更に、作業者による作業を行うことなく、大型のガラス板1を分割して分離することが可能になるとともに、分離したガラス板1を回収して廃棄することが可能になるため、ガラス板の廃棄処理を容易に行うことが可能になる。
【0059】
また、本実施形態においては、ガラス板1が自重により下方に撓む前に、分離溝形成部12により、ガラス基板1に対して予め分離溝15を形成する構成としている。従って、自重により下方に撓んだガラス板1の撓みの支点部1bに分離溝15を形成する場合に比し、ガラス板1に対して分離溝15を確実に形成できるため、ガラス板1の一部を確実に分離することが可能になる。
【0060】
なお、上記実施形態は以下のように変更しても良い。
【0061】
図26に示すように、ガラス板の廃棄装置10において、ガラス板1を搬送するための搬送部11の一部に、複数の搬送コロ40と搬送ベルト41により構成される可動部42を設け、廃棄するガラス板1が当該可動部42付近に搬送されてきた場合に、図27に示すように、可動部42を上方(即ち、ガラス板回収部13の方向と反対の方向であって、図中の矢印Yの方向)に可動させる構成としても良い。このような構成により、ガラス板回収部13の上方であって、可動部42が設けられた部分で、搬送されるガラス板1を自重により撓ませて、上述の第1の実施形態の場合と同様に、ガラス板1を回収して廃棄することが可能になる。従って、ガラス板1を廃棄するためのラインを、別途、設けることなく、ガラス板1の廃棄が可能になる。なお、可動部42は、上方以外の方向、例えば、横方向(即ち、ガラス板1の搬送面において、ガラス板1の搬送方向Aと直交する方向)に可動させる構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上説明したように、本発明は、液晶表示装置等に使用されるガラス基板のマザーガラスとして使用される大型のガラス板の廃棄方法に適している。
【符号の説明】
【0063】
1 ガラス板
1a ガラス板の撓みの支点部
1b ガラス板の撓んだ部分
1c ガラス板の反り部分
10 廃棄処理装置
11 搬送部
12 分離溝形成部
13 ガラス回収部
14 搬送コロ
15 分離溝
16 クラック
17 搬送コロ
18 搬送コロ
20 廃棄処理装置
30 廃棄処理装置
42 可動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板を搬送する工程と、
搬送される前記ガラス板を、該ガラス板の自重により撓ませる工程と、
自重により撓んだ前記ガラス板に対して、該ガラス板の撓んだ部分を分離するための分離溝を形成する工程と、
前記ガラス板の自重により、該ガラス板に対して、前記分離溝からクラックを形成して、前記ガラス板の撓んだ部分を分離する工程と、
分離したガラス板を回収して廃棄する工程と
を少なくとも含むことを特徴とするガラス板の廃棄方法。
【請求項2】
ガラス板を搬送する工程と、
搬送される前記ガラス板を反らせる工程と、
前記ガラス板に対して、該ガラス板の反り部分を分離するための分離溝を形成する工程と、
前記ガラス板に対して、前記分離溝からクラックを形成して、前記ガラス板の反り部分を分離する工程と、
分離したガラス板を回収して廃棄する工程と
を少なくとも含むことを特徴とするガラス板の廃棄方法。
【請求項3】
ガラス板を搬送する工程と、
前記ガラス板に対して、該ガラス板の一部を分離するための分離溝を形成する工程と、
前記分離溝が形成された前記ガラス板を、該ガラス板の自重により撓ませる工程と、
前記ガラス板の自重により、該ガラス板に対して、前記分離溝からクラックを形成して、前記ガラス板の撓んだ部分を分離する工程と、
分離したガラス板を回収して廃棄する工程と
を少なくとも含むことを特徴とするガラス板の廃棄方法。
【請求項4】
前記ガラス板は、長さが1000〜4000mm、幅が1000〜4000mm、厚みが0.4〜1.1mmであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のガラス板の廃棄方法。
【請求項5】
前記ガラス板は、液晶表示装置用のガラス板であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のガラス板の廃棄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2010−173867(P2010−173867A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15615(P2009−15615)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】