ガラス板の欠陥部分の目視検査方法及び目視検査装置
【課題】検査者に無理な姿勢を強いることなく、正面視により目視しやすい条件を簡単に作り出すことができ、大型のFPD用ガラス板の欠陥部分を無理なく確実に安全に検出することのできる、ガラス板の欠陥部分の目視検査方法及び装置を提供する。
【解決手段】固定フレーム10と、前面に、検査対象のガラス板を、垂直に対し5°〜15°の角度で後傾した斜め立て姿勢で載置することができると共に、そのガラス板を斜め立て姿勢に保持したまま固定フレームに上下方向移動可能及び上下方向回動可能に支持されたステージ50と、ステージに載置されたガラス板の左右両端面からガラス板の内部に向けて検査光を照射する照明装置70とを具備する。ステージには、ガラス板の背面を間隔をおいて支持する多数の支持ピン52が設けられており、各支持ピンの先端にガラス板を左右方向に移動させるのを容易にするためのボールが回転可能に設けられている。
【解決手段】固定フレーム10と、前面に、検査対象のガラス板を、垂直に対し5°〜15°の角度で後傾した斜め立て姿勢で載置することができると共に、そのガラス板を斜め立て姿勢に保持したまま固定フレームに上下方向移動可能及び上下方向回動可能に支持されたステージ50と、ステージに載置されたガラス板の左右両端面からガラス板の内部に向けて検査光を照射する照明装置70とを具備する。ステージには、ガラス板の背面を間隔をおいて支持する多数の支持ピン52が設けられており、各支持ピンの先端にガラス板を左右方向に移動させるのを容易にするためのボールが回転可能に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板の欠陥部分の目視検査方法及び目視検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)用のガラス基板には、大型で薄肉厚の矩形のガラス板が使用されている。そのようなガラス板は、例えば厚さが0.5〜0.7mmと非常に薄く、且つ、サイズが大型であることが特徴である。特に近年、FPD用のガラス基板として使用されるガラス板のサイズは大型化しており、G7サイズと呼ばれるものは、1870mm×2200mmの大きさである。
【0003】
ところで、ガラス板には、傷などの表面欠陥の他に泡や異物などの混入による内部欠陥が存在することがある。FPD用のガラス板は、表示装置として使用されるため、このような光学的な欠陥があると、表示装置としての商品品質が損なわれてしまう。従って、FPD用ガラス板の欠陥を検査する工程は、ガラス板の製造工程において極めて重要である。
【0004】
従来、そのようなガラス板の欠陥を検査する方法として、図14(a)に示すように、ガラス板Gに検査光71を照射して、欠陥部分Kでの乱反射による散乱光を検出する方法が知られている。このような散乱光による欠陥検査方法は、ガラス板に照射した光線がガラス板に存在する傷、泡、異物などの欠陥に当たり乱反射する性質を利用したものである。欠陥部分Kで乱反射した散乱光は、図14(b)に示すように、ガラス板Gの外部から目視で確認できる他、撮像装置などを介したモニタ映像でも目視確認することができる。
【0005】
この種の欠陥検査方法の公知例として、特許文献1には、ラック台車に複数枚の板ガラスを略垂直にして厚さ方向に整列させ、その中の1枚を昇降機でその有効面より外側の部位を支持して外光が遮断された上方の検査台に移動させ、第一投光器により板ガラスの一方側の斜め方向から検査光を照射し、他方側で欠陥による散乱光を検出し、第二投光器により板ガラスの内部に向けて検査光を照射し、板ガラスの表面側で欠陥による散乱光を検出した後、昇降機で板ガラスを検査台から離脱させ、ラック台車の元の位置に整列復帰させるものが記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、板ガラスの側端面からガラス内部に検査光を照射し、板ガラスの表面側から板ガラスの表面を撮像して一定面積当たりの画像の明るさを検出して欠点判定を行なう方法や、板ガラスの側端面からガラス内部に照明を当て、板ガラスの表面側から板ガラスの表面を撮像した画像の明るさと、表面を直接照明したときの画像の明るさとの比によって欠点判定を行なう方法、さらに板ガラスの側端面からガラス内部に照明を当て、板ガラスの表面側から板ガラスの表面を撮像光学系により撮像して一定面積当たりの画像の明るさから欠点部分の位置を検出し、当該検出位置を拡大光学系にて精査して欠点判定する方法などが記載されている。
【0007】
また、特許文献3には、搬送路を走行している板ガラスの側面に対して板ガラス内表面で全反射するように斜め方向から一方向に指向性を有する照明光を照射し、板ガラスの欠陥により散乱された散乱光をラインセンサにて検出する方法が記載されている。
【0008】
また、特許文献4には、ガラス板を保持するホルダと、ホルダに保持されたガラス板の表面に対して検査光を照射する照明装置と、ホルダを動かすことでガラス板の姿勢や向き
を自由に変える機構と、を備えた基板検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−156200号公報
【特許文献2】特開平6−294749号公報
【特許文献3】特開平10−339705号公報
【特許文献4】特許第4365603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1に記載の方法では、ガラス板を略垂直にセットするため、ガラス板が大型化した場合に、検査者が検査するガラス板面を目視し難い場合があった。また大型のガラス板(例えばG7以上)を略垂直の角度にセットすると、正面もしくは背面側にガラス板が倒れる危険があった。また、特許文献2や特許文献3に記載の方法や特許文献4に記載の装置では、非常に大きなガラス板の細かな欠陥が検出できないおそれがあった。
【0011】
本発明は、上記事情を考慮し、検査者に無理な姿勢を強いることなく、正面視により目視しやすい条件を簡単に作り出すことができ、大型のFPD用ガラス板の欠陥部分を無理なく確実に安全に検出することのできる、ガラス板の欠陥部分の目視検査方法、及び、その方法の実施に使用する目視検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。
(1) 検査対象のガラス板を、検査者の前方に、板面を検査者に対面させ、且つ、垂直な姿勢よりも5°〜15°の角度だけ、上端が検査者から見てガラス板の背面側に倒れるように斜め立てし、その状態で、前記ガラス板の左右両端面から検査光をガラス板の内部に向けて照射し、その検査光のガラス板外への散乱光を前記検査者が目視することで、前記ガラス板に存在する欠陥部分を検査することを特徴とするガラス板の欠陥部分の目視検査方法。
(2) 上記(1)の構成において、
前記ガラス板を前記検査者に対して、前記斜め立ての角度を維持しながら相対的に少なくとも上下方向に移動させることで、前記ガラス板の検査対象範囲を変更することを特徴とするガラス板の欠陥部分の目視検査方法。
(3) 上記(1)または(2)の構成において、
前記ガラス板を前記検査者に対して、前記斜め立ての角度を維持しながら相対的に少なくとも左右方向に移動させることで、前記ガラス板の検査対象範囲を変更することを特徴とするガラス板の欠陥部分の目視検査方法。
(4) 前面に、検査対象のガラス板を、垂直に対し5°〜15°の角度で後傾した斜め立て姿勢で載置することの可能なステージと、
該ステージに載置された前記ガラス板の左右両端面から該ガラス板の内部に向けて検査光を照射する照明装置と、を備え、
前記ステージには、前記ガラス板の背面を間隔をおいて各先端で支持する多数の支持ピンと、該ガラス板の下端縁を載せるガラス板受部とが設けられており、
前記各支持ピンの先端には、前記ガラス板を支持しながら該ガラス板の移動を可能にする回転可能なボールが設けられていることを特徴とするガラス板の欠陥部分の目視検査装置。
(5) 上記(4)の構成において、
前記ガラス板受部を前記ガラス板の下端縁を載せたまま左右方向に移動させるガラス板
受部移動機構が設けられていることを特徴とする(4)に記載のガラス板の欠陥部分の目視検査装置。
(6) 上記(5)の構成において、
前記ステージに、前記支持ピンとは別に、前記ガラス板の背面に対して離間した退避位置から前記ガラス板の背面に接触する作動位置まで前進し、その作動位置で前記ガラス板を吸着することにより該ガラス板を固定する吸着固定ピンが配置されていることを特徴とする(4)または(5)に記載のガラス板の欠陥部分の目視検査装置。
(7) 上記(4)〜(6)のいずれかの構成において、
前記ステージが固定フレームに上下方向移動可能及び上下方向回動可能に支持され、前記ステージを上下方向に移動させるステージ昇降装置と、前記ステージを上下方向に回動させるステージ回動装置とが設けられていることを特徴とする(4)〜(6)のいずれかに記載のガラス板の欠陥部分の目視検査装置。
【発明の効果】
【0013】
上記(1)の構成によれば、ガラス板のいずれかの箇所に欠陥が存在するとき、その欠陥部分に検査光が当たって乱反射することにより、散乱光がガラス板外へ放出されるので、その散乱光を見つけることにより、ガラス板の欠陥部分を検査者が目視検出することができる。その際、所定角度(5°〜15°の範囲)だけ傾けてガラス板を斜め立てするので、検査者にとってガラス板の表面が見やすく、無理な姿勢を強いられずに、細かな欠陥の検出効率の向上が図れる。また、大型のガラス板、例えば、G7と呼ばれる1870mm×2200mm以上のサイズのガラス板を検査する場合であっても、ガラス板が検査者側に倒れる心配がない上、自重による無用な撓みも防ぐことができるため、安全でガラス板に負担のない検査を実施することができる。また、ガラス板の左右方向の両端面からガラス板の内部に検査光を照射するので、大型のガラス板を検査する場合であっても、検査光をガラス板の左右方向の全領域に十分な明るさで行き渡らせることができ、検査者の目の負担を軽減しながら、検査を適正に行うことができると共に、特別に検査光の照度を上げる必要もなくなる。また、左右方向の両側に照明装置を配置すればよいので、上下方向にガラス板を移動させる場合に、照明装置がガラス板の移動の支障になることもない。
上記(2)の構成によれば、検査対象範囲を上下方向にずらすに当たり、ガラス板を斜め立ての角度を維持しながら、検査者に対して相対的に上下方向に移動させるので、検査者の視線の高さとガラス板の検査対象範囲とを常に一定の関係に保っておくことができる。そのため、大型のガラス板を検査する場合であっても、ガラス板の上下方向の全面を、検査者が無理な姿勢をとらずに検査することができ、検査者の負担軽減を図ることができる。
上記(3)の構成によれば、ガラス板の検査対象範囲を左右方向にずらすにあたり、ガラス板を斜め立ての角度を維持しながら、検査者に対して相対的に左右方向に移動させるので、検査者の視線の左右方向の向きとガラス板の検査対象範囲とを常に一定の関係に保っておくことができる。そのため、大型のガラス板を検査する場合であっても、ガラス板の左右方向の全面を、検査者が無理な姿勢をとらずに検査することができ、検査者の負担軽減を図ることができる。また、ガラス板の欠陥部分がガラス板を背後から支持する支持点と重なるような場合、欠陥部分から発する散乱光を検査者が確認しづらくなることが考えられるが、そのような場合に、ガラス板を左右方向に僅かに移動して、ガラス板の背後の支持点と欠陥部分の位置をずらすことによって、欠陥部分からの散乱光を見やすい状態にすることができる。従って、欠陥部分の発見の見逃しを無くすことができる。
上記(4)の構成によれば、検査者がステージの前に立ってガラス板を正面に目視し、散乱光の発生具合を確認することにより、ガラス板の欠陥部分を検出することができる。その際、ステージ上に所定角度(5°〜15°)だけ傾けてガラス板を載置することができるので、検査者にとってガラス板の表面が見やすくなり、欠陥の検出効率の向上が図れる。また、大型のガラス板を検査する場合であっても、ガラス板が検査者側に倒れる心配がない上、自重による無用な撓みも防ぐことができるので、安全でガラス板に負担のない
検査を実施することができる。さらに、照明装置により、ガラス板の左右方向の両端面からガラス板の内部に検査光を照射するようにしているので、大型のガラス板を検査する場合であっても、検査光をガラス板の左右方向の全領域に十分な明るさで行き渡らせることができ、従って、検査者の目の負担を軽減しながら、検査を適正に行うことができると共に、特別に検査光の照度を上げる必要もなくなる。また、ガラス板の背面を多数の支持ピンの先端で支持しながら、斜め立て姿勢でガラス板の下端縁をガラス板受部に載せることができるので、非常に薄いガラス板であっても、無理なく撓まないように支持することができる。また、各支持ピンの先端に回転可能なボールを取り付けているので、ガラス板の下端縁をガラス板受部に載せた状態でガラス板を斜めに立てた姿勢のまま、ガラス板を左右方向に簡単に動かすことができる。従って、ガラス板の欠陥部分がガラス板を背後から支持する支持点と重なるような場合、欠陥部分から発する散乱光を検査者が確認しづらくなることが考えられるが、そのような場合に、ガラス板を左右方向に僅かに移動して、ガラス板の背後の支持点と欠陥部分の位置をずらすことによって、欠陥部分からの散乱光を見やすい状態にすることができ、それにより、欠陥部分の発見の見逃しを無くすことができる。
上記(5)の構成によれば、ガラス板受部を移動機構によって左右方向に移動させることができるようにしているので、ガラス板の下端縁をガラス板受部に載せてガラス板を斜めに立てた姿勢のまま、ガラス板の下端縁をガラス板受部上で滑らせることなく、容易にガラス板を左右方向に移動させることができる。
上記(6)の構成によれば、ステージに支持ピンとは別に吸着固定ピンを設けているので、吸着固定ピンの先端でガラス板を吸着することにより、支持ピンの先端に回転可能なボールが付いている場合でも、ガラス板を安定して固定することができる。また、吸着固定ピンの吸着を解除して、吸着固定ピンを退避位置に後退させることにより、吸着固定ピンに邪魔されずに、支持ピンのボールの回転作用により、ガラス板を左右方向に容易に動かすことができる。従って、支持ピンや吸着固定ピンで支持している箇所に欠陥部分が重なって存在するような場合にも、ガラス板を僅かに左右方向に移動させて欠陥部分の位置をずらすことにより、欠陥部分の確認の見逃しを無くすことができる。
上記(7)の構成によれば、ステージが固定フレームに上下方向移動可能及び上下方向回動可能に支持されているので、移送装置からガラス板を受け取るときにはステージを適当な高さで水平に保持し、検査時には垂直に近い角度まで回動させることにより、斜め立ちの姿勢でガラス板をステージ上に安全に保持することができる。また、必要に応じて、ガラス板の保持高さを検査者の視線の高さに合わせて自由に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態のガラス板の欠陥部分の目視検査装置の構成を示す斜視図である。
【図2】同装置の側面図である。
【図3】同装置の平面図である。
【図4】(a)は同装置のステージにガラス板を載せた状態を示す斜視図、(b)は(a)のIVb部の拡大側断面図である。
【図5】前記ステージにおける支持ピンと吸着ピンの配置を示す正面図である。
【図6】前記支持ピンの全体斜視図及び先端の拡大斜視図である。
【図7】前記吸着ピンの構成を示す斜視図である。
【図8】本実施形態の目視検査装置にガラス板をセットする場合の手順説明図である。
【図9】同目視検査装置にガラス板を移載する際の様子を示す斜視図である。
【図10】同目視検査装置のステージに受け取ったガラス板をいったん持ち上げる際の手順説明図で、(a)は持ち上げる前の状態、(b)は持ち上げた後の状態を示す図である。
【図11】ステージを斜め姿勢まで回動させる際の手順説明図で、(a)は回動させる前の状態、(b)は回動させた後の状態を示す図である。
【図12】ステージを上下に移動させて検査対象領域を上下に変更する場合の説明図で、(a)は最下位置にステージを移動した際の側面図およびそのときのガラス板の検査対象領域を示す正面図、(b)は中間位置にステージを移動した際の側面図およびそのときのガラス板の検査対象領域を示す正面図、(c)は最上位置にステージを移動した際の側面図およびそのときのガラス板の検査対象領域を示す正面図である。
【図13】ステージ上の支持ピンとガラス板の欠陥位置とが重なった場合のガラス板の左右方向へのずらし方の説明図で、(a)は支持ピンと欠陥位置とが重なっている状態を示す図、(b)は吸着固定ピンを退避させてガラス板を左右方向に僅かに移動させ、欠陥位置を支持ピンの位置からずらして散乱光を見やすくした状態を示す図である。
【図14】ガラス板の内部に検査光を照射し欠陥部分を検出する一般的な方法の説明図で、(a)はガラス板の断面図、(b)はガラス板の板面を斜め上方から見た状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の目視検査方法及び目視検査装置について図面を参照しながら説明する。
図1は実施形態の目視検査装置の構成を示す斜視図、図2は側面図、図3は平面図、図4(a)は同装置のステージにガラス板を載せた状態を示す斜視図、(b)は(a)のIVb部の拡大側断面図である。
【0016】
図1〜図4に示すように、この目視検査装置1は、床面に設置された固定フレーム10と、この固定フレーム10に支持され、検査対象のガラス板Gを載置するステージ50と、床面あるいは固定フレーム10等に支持されることでステージ50の左右両側方に配置されて、ステージ50に載置されたガラス板Gの左右方向の両端面からガラス板Gの内部に向けて検査光71を照射する照明装置70と、発見した欠陥部分のガラス板G上における位置座標を検出する座標検出装置(図示略)と、制御装置80(図1参照)とを具備している。
【0017】
ステージ50は、前面に、検査対象のガラス板Gを、垂直に対し5°〜15°の角度(好ましくは10°)だけ後傾した斜め立て姿勢で載置することができるものであり、そのガラス板Gを斜め立て姿勢に保持したまま、上下方向に移動できるように固定フレーム10に対して支持されている。また、ステージ50は、固定フレーム10に対して、水平な回転軸を中心に上下方向に回動できるようにも支持されている。以下、それらの構成を詳述する。
【0018】
図1及び図2に示すように、固定フレーム10は、ステージ50の左右幅よりも間隔をあけて床面に立設された一対の左右フレーム10L、10Rを有している。左右フレーム10L、10Rは、検査台210上に立った検査者200から見て後側に立設された垂直支柱11と、その前側に斜めに立設された2本の傾斜支柱12、13と、それら垂直支柱11及び傾斜支柱12、13を一体に連結する梁材14とから構成されている。2本の傾斜支柱12、13は、互いに平行に、しかも、検査者200から見て垂直よりも5°〜15°だけ後傾した姿勢で立設されている。
【0019】
左右フレーム10L、10Rの間には、可動フレーム40が昇降可能に支持されており、その可動フレーム40にステージ50が上下方向に回動可能に支持されている。
【0020】
即ち、図3に示すように、左右フレーム10L、10Rの傾斜支柱12、13と可動フレーム40の左右端部との間には、傾斜支柱12、13側に設けられたそれぞれ2本の互いに平行なガイドレール16と、可動フレーム40側に設けられて前記各ガイドレール1
6に摺動自在に嵌まるスライダ46とからなるリニアガイド機構47が設けられており、可動フレーム40が、そのリニアガイド機構47の案内作用により、傾斜支柱12、13の傾斜に沿って上下方向に移動できるように支持されている。
【0021】
また、左右フレーム10L、10Rには、ガイドレール16と平行にボールネジ軸15が配設されており、可動フレーム40側に固定したボールネジナット45が、左右フレーム10L、10Rの各ボールネジ軸15に嵌まっている。これにより、左右のボールネジ軸15が同期回転することによって、可動フレーム40が上下に移動するように構成されている。左右のボールネジ軸15の下端は、ボールネジ軸15を回転させるための昇降用モータ31に連結されており、昇降用モータ31と左右のボールネジ軸15の間には、昇降用モータ31の回転を左右に分配する回転分配機構32と、左右に分配した回転をボールネジ軸15側に伝える回転伝達ロッド33と、回転伝達ロッド33の回転をボールネジ軸15の回転に変換する直交ギヤボックス34とが設けられている。
【0022】
また、可動フレーム40のフレーム本体41には、水平な回転軸としての回動ロッド48が、左右方向の両端を軸受48によって回転自在に支持されることで配設されており、その回動ロッド48にアーム44を介してステージ50が連結されている。また、回動ロッド48には回動用モータ42が連結されており、回動用モータ42を回動させることにより、回動ロッド48及びアーム44を介して、ステージ50を上下方向に回動させることができるようになっている。
【0023】
そして、ここでは、リニアガイド機構47、ボールネジ軸15、ボールネジナット45、昇降用モータ31、回転分配機構32、回転伝達ロッド33、直交ギヤボックス34等によって、可動フレーム40を昇降させるステージ昇降装置30が構成され、また、回動用モータ42、回動ロッド48、アーム44等によって、ステージ50を上下方向に回動させるステージ回動装置60が構成されている。
【0024】
また、ステージ50は、図4〜図7に示すように、前記アーム44に連結された矩形板状のステージ本体51と、そのステージ本体51の前面に垂直に立設され、各先端でガラス板Gを支持する多数本の支持ピン52と、支持ピン52の邪魔にならない位置に立設された複数本の吸着固定ピン55と、ガラス板Gの下端縁を載せるガラス板受部53とを有している。
【0025】
支持ピン52は、一定ピッチ(例えば250mm)で縦横に配列され、ピン本体52aの基端52eがステージ本体51に固定されることにより、先端が同じ高さに揃えられている。そして、図6に示すように、各支持ピン52のピン本体52aの先端には、ガラス板Gを支持しながらガラス板Gの移動を可能にする回転可能なボール52bが脱落しないように設けられている。支持ピン52は、例えば、直径15mm、高さ250mmのものであり、2200mm×1870mmのガラス板Gを安定支持する場合には、例えば、72本程度の本数設けられている。先端のボール52bの材質としては、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を採用するのが好ましい。
【0026】
また、ガラス板受部53は、ステージ本体51の下端縁に適当な間隔で複数設けられており、これらガラス板受部53は、全体で一緒に、図示しないガラス板受部移動機構によって左右方向に僅かな距離だけ移動させることができるように設けられている。なお、これらのガラス板受部53は、ガラス板Gの下端縁を脱落しないように受けるための溝53aを有している。また、このガラス板受部53の材質も、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)であるのが好ましい。
【0027】
また、吸着固定ピン55は、図13に示すように、ガラス板Gの背面に対して先端が離
間した退避位置からガラス板Gの背面に先端が接触する作動位置まで前進後進できるように備えられており、作動位置において、ガラス板Gを吸着することで固定できるようになっている。この吸着ピン55は、図7に示すように、基端55aがステージ本体51に固定されて先端側が伸縮するようなガス式伸縮機構を内装したピン本体55aの先端に吸盤55bを設けたものであり、吸盤55bの内底中心には吸盤55b内を負圧にする吸引孔55cが設けられている。吸盤55bの材質としては、例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を採用するのが好ましい。吸着ピン55は、ガラス板Gを安定保持するため4個配設されており、ガラス板Gの背面に吸盤55bを密着させた状態で吸引孔55cから吸引することにより、吸盤55bの内部の負圧によってガラス板Gを吸着保持できるようになっている。
【0028】
また、照明装置70は、図4に示すように、ガラス板Gの左右端面からガラス板Gの内部に向けて検査光71を照射するものであり、照度1500〜20万ルクスの範囲の、例えば市販品のライトガイドなどが使用可能である。照度1500ルクス以下のものは、欠陥で乱反射する散乱光が弱くなり、欠陥を検出しにくくなる可能性があるので、あまり使用するのは好ましくない。また、照度20万ルクスを上回るものは、照明装置70付近の光が強すぎて、欠陥を検出しにくくなる可能性があるので、あまり使用するのは好ましくない。
【0029】
次に、ガラス板Gの欠陥部分の目視検査方法を説明する。
ガラス板Gをステージ50上に搬入する場合は、まず、図8及び図9に示すように、目視検査装置1のステージ50と移載ロボット300の移載アーム310上のガラス板Gを水平に保持する。ステージ50の高さは、移載作業がしやすい高さ、例えば、固定フレーム10の高さの中間レベルに設定するのがよい。そして、移載ロボット300の移載アーム310を動かして、ステージ50の支持ピン52上にガラス板Gを載せ、吸着固定ピン55を作動させてガラス板Gを固定する。次いで、図10に示すように、一旦ステージ50を最上部まで上昇させ、図11に示すように、上昇した位置でステージ50を回動させて、ガラス板Gを所定の斜め立て姿勢の角度に保持する。そして、その斜め立ての角度を維持しながらステージ50を昇降させることにより、適当な高さにガラス板Gを設定し、検査者200がステージ50の前に立って、検査を行う。
【0030】
このとき、ガラス板Gは検査者200の前方に、板面を検査者200に対面させた姿勢で向き合う。ここで重要なことは、ガラス板Gは、垂直よりも5°〜15°の角度θ(図2参照)だけ上端が検査者200から見てガラス板Gの背面側に倒れた姿勢で向き合うことである。また、ステージ50にガラス板Gを載置する際、ガラス板Gの背面を多数の支持ピン52の先端で支持しながら、斜め立て姿勢でガラス板Gの下端縁をガラス板受部53に載せることができるので、非常に薄いガラス板Gであっても、無理なく撓まないように支持することができる。
【0031】
この状態で、ガラス板Gの左右端面から照明装置70による検査光71(図4参照)をガラス板Gの内部に向けて照射し、その検査光71のガラス板G外への散乱光を検査者200が目視することで、ガラス板Gに存在する欠陥部分を検査する。
【0032】
ガラス板Gのいずれかの箇所に欠陥が存在するときには、図14に示すように、その欠陥部分Kに検査光71が当たって乱反射することにより、散乱光がガラス板G外へ放出されるので、その散乱光を見つけることにより、ガラス板Gの欠陥部分Kを検査者200が目視検出することができる。その際、所定角度(5°〜15°の範囲)だけ傾けてガラス板Gを斜め立てしているので、検査者200にとってガラス板Gの表面が見やすく、無理な姿勢を強いられずに、細かな欠陥の検出効率の向上が図れる。また、大型のガラス板、例えば、G7と呼ばれる1870mm×2200mm以上のサイズのガラス板Gを検査す
る場合であっても、ガラス板Gが検査者200側に倒れる心配がない上、自重による無用な撓みも防ぐことができるため、安全でガラス板Gに負担のない検査を実施することができる。
【0033】
因みに、ガラス板Gが5°〜15°以上に倒れた角度になると、外の光がガラス板Gの表面に反射するため欠陥検出が難しくなる。また、それ以下の角度に起こすと、ガラス板Gが検査者200側に倒れやすくなる。
【0034】
また、本目視検査方法の場合、ガラス板Gの左右方向の両端面からガラス板Gの内部に検査光71を照射するので、大型のガラス板Gを検査するときでも、検査光71をガラス板Gの左右方向の全領域に十分な明るさで行き渡らせることができ、検査者200の目の負担を軽減しながら、検査を適正に行うことができると共に、特別に検査光の照度を上げる必要もなくなる。
【0035】
また、検査対象範囲を上下方向にずらす場合には、ステージ昇降装置30(図2参照)を操作することにより、図12に示すように、ガラス板Gを斜め立ての角度を維持しながら、ステージ50を上下方向に移動させる。例えば、図12(a)に示すように、上段に検査対象範囲Sを設定する場合は、ステージ50を最下位置に移動させる。また、(b)に示すように、中段に検査対象範囲Sを設定する場合は、ステージ50を中間位置に移動させる。また、(c)に示すように、下段に検査対象範囲Sを設定する場合は、ステージ50を最上位置に移動させる。そうすることにより、検査者200の視線の高さにガラス板Gの検査対象範囲Sを位置させることができる。そのため、大型のガラス板Gを検査する場合であっても、ガラス板Gの上下方向の全面を、検査者200が無理な姿勢をとらずに検査することができ、検査者200の負担軽減を図ることができる。
【0036】
また、図13(a)に示すように、ガラス板Gの欠陥部分Kがガラス板Gを背後から支持する支持ピン52(または吸着固定ピン55)と重なるような場合、欠陥部分Kから発する散乱光を検査者が確認しづらくなることが考えられるが、そのような場合には、(b)に示すように、吸着固定ピン55をいったん退避位置に後退させて、ガラス板受部53を左右方向に動かすことによって、ガラス板Gを左右方向に僅かに移動させ、ガラス板Gの背後の支持ピン52と欠陥部分Kの位置をずらすことによって、欠陥部分Kからの散乱光を見やすい状態にすることができる。従って、そのようにすることにより、欠陥部分Kの発見の見逃しを無くすことができる。
【0037】
また、欠陥部分Kを発見したら、その位置に図示しない座標検出装置を移動して入力操作を行う。そうすると、ガラス板Gにおける欠陥部分Kの位置座標が保存される。従って、この保存データに基づいて生産工程を見直すことができる。
【0038】
なお、ステージ50を左右方向に大きく移動させる機構を更に組み込むこともできる。そうした場合、ガラス板Gを検査者200に対して、斜め立ての角度を維持しながら左右方向に移動させることができるので、ガラス板の検査対象範囲を左右方向に変更することができる。そのため、大型のガラス板を検査する場合であっても、ガラス板の左右方向の全面を、検査者が無理な姿勢をとらずに検査することができ、検査者の負担軽減を図ることができる。
【符号の説明】
【0039】
G ガラス板
1 目視検査装置
10 固定フレーム
30 ステージ昇降装置
50 ステージ
52 支持ピン
52a ボール
53 ガラス板受部
55 吸着ピン
60 ステージ回動装置
70 照明装置
71 検査光
200 検査者
S 検査対象領域
K 欠陥部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板の欠陥部分の目視検査方法及び目視検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)用のガラス基板には、大型で薄肉厚の矩形のガラス板が使用されている。そのようなガラス板は、例えば厚さが0.5〜0.7mmと非常に薄く、且つ、サイズが大型であることが特徴である。特に近年、FPD用のガラス基板として使用されるガラス板のサイズは大型化しており、G7サイズと呼ばれるものは、1870mm×2200mmの大きさである。
【0003】
ところで、ガラス板には、傷などの表面欠陥の他に泡や異物などの混入による内部欠陥が存在することがある。FPD用のガラス板は、表示装置として使用されるため、このような光学的な欠陥があると、表示装置としての商品品質が損なわれてしまう。従って、FPD用ガラス板の欠陥を検査する工程は、ガラス板の製造工程において極めて重要である。
【0004】
従来、そのようなガラス板の欠陥を検査する方法として、図14(a)に示すように、ガラス板Gに検査光71を照射して、欠陥部分Kでの乱反射による散乱光を検出する方法が知られている。このような散乱光による欠陥検査方法は、ガラス板に照射した光線がガラス板に存在する傷、泡、異物などの欠陥に当たり乱反射する性質を利用したものである。欠陥部分Kで乱反射した散乱光は、図14(b)に示すように、ガラス板Gの外部から目視で確認できる他、撮像装置などを介したモニタ映像でも目視確認することができる。
【0005】
この種の欠陥検査方法の公知例として、特許文献1には、ラック台車に複数枚の板ガラスを略垂直にして厚さ方向に整列させ、その中の1枚を昇降機でその有効面より外側の部位を支持して外光が遮断された上方の検査台に移動させ、第一投光器により板ガラスの一方側の斜め方向から検査光を照射し、他方側で欠陥による散乱光を検出し、第二投光器により板ガラスの内部に向けて検査光を照射し、板ガラスの表面側で欠陥による散乱光を検出した後、昇降機で板ガラスを検査台から離脱させ、ラック台車の元の位置に整列復帰させるものが記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、板ガラスの側端面からガラス内部に検査光を照射し、板ガラスの表面側から板ガラスの表面を撮像して一定面積当たりの画像の明るさを検出して欠点判定を行なう方法や、板ガラスの側端面からガラス内部に照明を当て、板ガラスの表面側から板ガラスの表面を撮像した画像の明るさと、表面を直接照明したときの画像の明るさとの比によって欠点判定を行なう方法、さらに板ガラスの側端面からガラス内部に照明を当て、板ガラスの表面側から板ガラスの表面を撮像光学系により撮像して一定面積当たりの画像の明るさから欠点部分の位置を検出し、当該検出位置を拡大光学系にて精査して欠点判定する方法などが記載されている。
【0007】
また、特許文献3には、搬送路を走行している板ガラスの側面に対して板ガラス内表面で全反射するように斜め方向から一方向に指向性を有する照明光を照射し、板ガラスの欠陥により散乱された散乱光をラインセンサにて検出する方法が記載されている。
【0008】
また、特許文献4には、ガラス板を保持するホルダと、ホルダに保持されたガラス板の表面に対して検査光を照射する照明装置と、ホルダを動かすことでガラス板の姿勢や向き
を自由に変える機構と、を備えた基板検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−156200号公報
【特許文献2】特開平6−294749号公報
【特許文献3】特開平10−339705号公報
【特許文献4】特許第4365603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1に記載の方法では、ガラス板を略垂直にセットするため、ガラス板が大型化した場合に、検査者が検査するガラス板面を目視し難い場合があった。また大型のガラス板(例えばG7以上)を略垂直の角度にセットすると、正面もしくは背面側にガラス板が倒れる危険があった。また、特許文献2や特許文献3に記載の方法や特許文献4に記載の装置では、非常に大きなガラス板の細かな欠陥が検出できないおそれがあった。
【0011】
本発明は、上記事情を考慮し、検査者に無理な姿勢を強いることなく、正面視により目視しやすい条件を簡単に作り出すことができ、大型のFPD用ガラス板の欠陥部分を無理なく確実に安全に検出することのできる、ガラス板の欠陥部分の目視検査方法、及び、その方法の実施に使用する目視検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。
(1) 検査対象のガラス板を、検査者の前方に、板面を検査者に対面させ、且つ、垂直な姿勢よりも5°〜15°の角度だけ、上端が検査者から見てガラス板の背面側に倒れるように斜め立てし、その状態で、前記ガラス板の左右両端面から検査光をガラス板の内部に向けて照射し、その検査光のガラス板外への散乱光を前記検査者が目視することで、前記ガラス板に存在する欠陥部分を検査することを特徴とするガラス板の欠陥部分の目視検査方法。
(2) 上記(1)の構成において、
前記ガラス板を前記検査者に対して、前記斜め立ての角度を維持しながら相対的に少なくとも上下方向に移動させることで、前記ガラス板の検査対象範囲を変更することを特徴とするガラス板の欠陥部分の目視検査方法。
(3) 上記(1)または(2)の構成において、
前記ガラス板を前記検査者に対して、前記斜め立ての角度を維持しながら相対的に少なくとも左右方向に移動させることで、前記ガラス板の検査対象範囲を変更することを特徴とするガラス板の欠陥部分の目視検査方法。
(4) 前面に、検査対象のガラス板を、垂直に対し5°〜15°の角度で後傾した斜め立て姿勢で載置することの可能なステージと、
該ステージに載置された前記ガラス板の左右両端面から該ガラス板の内部に向けて検査光を照射する照明装置と、を備え、
前記ステージには、前記ガラス板の背面を間隔をおいて各先端で支持する多数の支持ピンと、該ガラス板の下端縁を載せるガラス板受部とが設けられており、
前記各支持ピンの先端には、前記ガラス板を支持しながら該ガラス板の移動を可能にする回転可能なボールが設けられていることを特徴とするガラス板の欠陥部分の目視検査装置。
(5) 上記(4)の構成において、
前記ガラス板受部を前記ガラス板の下端縁を載せたまま左右方向に移動させるガラス板
受部移動機構が設けられていることを特徴とする(4)に記載のガラス板の欠陥部分の目視検査装置。
(6) 上記(5)の構成において、
前記ステージに、前記支持ピンとは別に、前記ガラス板の背面に対して離間した退避位置から前記ガラス板の背面に接触する作動位置まで前進し、その作動位置で前記ガラス板を吸着することにより該ガラス板を固定する吸着固定ピンが配置されていることを特徴とする(4)または(5)に記載のガラス板の欠陥部分の目視検査装置。
(7) 上記(4)〜(6)のいずれかの構成において、
前記ステージが固定フレームに上下方向移動可能及び上下方向回動可能に支持され、前記ステージを上下方向に移動させるステージ昇降装置と、前記ステージを上下方向に回動させるステージ回動装置とが設けられていることを特徴とする(4)〜(6)のいずれかに記載のガラス板の欠陥部分の目視検査装置。
【発明の効果】
【0013】
上記(1)の構成によれば、ガラス板のいずれかの箇所に欠陥が存在するとき、その欠陥部分に検査光が当たって乱反射することにより、散乱光がガラス板外へ放出されるので、その散乱光を見つけることにより、ガラス板の欠陥部分を検査者が目視検出することができる。その際、所定角度(5°〜15°の範囲)だけ傾けてガラス板を斜め立てするので、検査者にとってガラス板の表面が見やすく、無理な姿勢を強いられずに、細かな欠陥の検出効率の向上が図れる。また、大型のガラス板、例えば、G7と呼ばれる1870mm×2200mm以上のサイズのガラス板を検査する場合であっても、ガラス板が検査者側に倒れる心配がない上、自重による無用な撓みも防ぐことができるため、安全でガラス板に負担のない検査を実施することができる。また、ガラス板の左右方向の両端面からガラス板の内部に検査光を照射するので、大型のガラス板を検査する場合であっても、検査光をガラス板の左右方向の全領域に十分な明るさで行き渡らせることができ、検査者の目の負担を軽減しながら、検査を適正に行うことができると共に、特別に検査光の照度を上げる必要もなくなる。また、左右方向の両側に照明装置を配置すればよいので、上下方向にガラス板を移動させる場合に、照明装置がガラス板の移動の支障になることもない。
上記(2)の構成によれば、検査対象範囲を上下方向にずらすに当たり、ガラス板を斜め立ての角度を維持しながら、検査者に対して相対的に上下方向に移動させるので、検査者の視線の高さとガラス板の検査対象範囲とを常に一定の関係に保っておくことができる。そのため、大型のガラス板を検査する場合であっても、ガラス板の上下方向の全面を、検査者が無理な姿勢をとらずに検査することができ、検査者の負担軽減を図ることができる。
上記(3)の構成によれば、ガラス板の検査対象範囲を左右方向にずらすにあたり、ガラス板を斜め立ての角度を維持しながら、検査者に対して相対的に左右方向に移動させるので、検査者の視線の左右方向の向きとガラス板の検査対象範囲とを常に一定の関係に保っておくことができる。そのため、大型のガラス板を検査する場合であっても、ガラス板の左右方向の全面を、検査者が無理な姿勢をとらずに検査することができ、検査者の負担軽減を図ることができる。また、ガラス板の欠陥部分がガラス板を背後から支持する支持点と重なるような場合、欠陥部分から発する散乱光を検査者が確認しづらくなることが考えられるが、そのような場合に、ガラス板を左右方向に僅かに移動して、ガラス板の背後の支持点と欠陥部分の位置をずらすことによって、欠陥部分からの散乱光を見やすい状態にすることができる。従って、欠陥部分の発見の見逃しを無くすことができる。
上記(4)の構成によれば、検査者がステージの前に立ってガラス板を正面に目視し、散乱光の発生具合を確認することにより、ガラス板の欠陥部分を検出することができる。その際、ステージ上に所定角度(5°〜15°)だけ傾けてガラス板を載置することができるので、検査者にとってガラス板の表面が見やすくなり、欠陥の検出効率の向上が図れる。また、大型のガラス板を検査する場合であっても、ガラス板が検査者側に倒れる心配がない上、自重による無用な撓みも防ぐことができるので、安全でガラス板に負担のない
検査を実施することができる。さらに、照明装置により、ガラス板の左右方向の両端面からガラス板の内部に検査光を照射するようにしているので、大型のガラス板を検査する場合であっても、検査光をガラス板の左右方向の全領域に十分な明るさで行き渡らせることができ、従って、検査者の目の負担を軽減しながら、検査を適正に行うことができると共に、特別に検査光の照度を上げる必要もなくなる。また、ガラス板の背面を多数の支持ピンの先端で支持しながら、斜め立て姿勢でガラス板の下端縁をガラス板受部に載せることができるので、非常に薄いガラス板であっても、無理なく撓まないように支持することができる。また、各支持ピンの先端に回転可能なボールを取り付けているので、ガラス板の下端縁をガラス板受部に載せた状態でガラス板を斜めに立てた姿勢のまま、ガラス板を左右方向に簡単に動かすことができる。従って、ガラス板の欠陥部分がガラス板を背後から支持する支持点と重なるような場合、欠陥部分から発する散乱光を検査者が確認しづらくなることが考えられるが、そのような場合に、ガラス板を左右方向に僅かに移動して、ガラス板の背後の支持点と欠陥部分の位置をずらすことによって、欠陥部分からの散乱光を見やすい状態にすることができ、それにより、欠陥部分の発見の見逃しを無くすことができる。
上記(5)の構成によれば、ガラス板受部を移動機構によって左右方向に移動させることができるようにしているので、ガラス板の下端縁をガラス板受部に載せてガラス板を斜めに立てた姿勢のまま、ガラス板の下端縁をガラス板受部上で滑らせることなく、容易にガラス板を左右方向に移動させることができる。
上記(6)の構成によれば、ステージに支持ピンとは別に吸着固定ピンを設けているので、吸着固定ピンの先端でガラス板を吸着することにより、支持ピンの先端に回転可能なボールが付いている場合でも、ガラス板を安定して固定することができる。また、吸着固定ピンの吸着を解除して、吸着固定ピンを退避位置に後退させることにより、吸着固定ピンに邪魔されずに、支持ピンのボールの回転作用により、ガラス板を左右方向に容易に動かすことができる。従って、支持ピンや吸着固定ピンで支持している箇所に欠陥部分が重なって存在するような場合にも、ガラス板を僅かに左右方向に移動させて欠陥部分の位置をずらすことにより、欠陥部分の確認の見逃しを無くすことができる。
上記(7)の構成によれば、ステージが固定フレームに上下方向移動可能及び上下方向回動可能に支持されているので、移送装置からガラス板を受け取るときにはステージを適当な高さで水平に保持し、検査時には垂直に近い角度まで回動させることにより、斜め立ちの姿勢でガラス板をステージ上に安全に保持することができる。また、必要に応じて、ガラス板の保持高さを検査者の視線の高さに合わせて自由に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態のガラス板の欠陥部分の目視検査装置の構成を示す斜視図である。
【図2】同装置の側面図である。
【図3】同装置の平面図である。
【図4】(a)は同装置のステージにガラス板を載せた状態を示す斜視図、(b)は(a)のIVb部の拡大側断面図である。
【図5】前記ステージにおける支持ピンと吸着ピンの配置を示す正面図である。
【図6】前記支持ピンの全体斜視図及び先端の拡大斜視図である。
【図7】前記吸着ピンの構成を示す斜視図である。
【図8】本実施形態の目視検査装置にガラス板をセットする場合の手順説明図である。
【図9】同目視検査装置にガラス板を移載する際の様子を示す斜視図である。
【図10】同目視検査装置のステージに受け取ったガラス板をいったん持ち上げる際の手順説明図で、(a)は持ち上げる前の状態、(b)は持ち上げた後の状態を示す図である。
【図11】ステージを斜め姿勢まで回動させる際の手順説明図で、(a)は回動させる前の状態、(b)は回動させた後の状態を示す図である。
【図12】ステージを上下に移動させて検査対象領域を上下に変更する場合の説明図で、(a)は最下位置にステージを移動した際の側面図およびそのときのガラス板の検査対象領域を示す正面図、(b)は中間位置にステージを移動した際の側面図およびそのときのガラス板の検査対象領域を示す正面図、(c)は最上位置にステージを移動した際の側面図およびそのときのガラス板の検査対象領域を示す正面図である。
【図13】ステージ上の支持ピンとガラス板の欠陥位置とが重なった場合のガラス板の左右方向へのずらし方の説明図で、(a)は支持ピンと欠陥位置とが重なっている状態を示す図、(b)は吸着固定ピンを退避させてガラス板を左右方向に僅かに移動させ、欠陥位置を支持ピンの位置からずらして散乱光を見やすくした状態を示す図である。
【図14】ガラス板の内部に検査光を照射し欠陥部分を検出する一般的な方法の説明図で、(a)はガラス板の断面図、(b)はガラス板の板面を斜め上方から見た状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の目視検査方法及び目視検査装置について図面を参照しながら説明する。
図1は実施形態の目視検査装置の構成を示す斜視図、図2は側面図、図3は平面図、図4(a)は同装置のステージにガラス板を載せた状態を示す斜視図、(b)は(a)のIVb部の拡大側断面図である。
【0016】
図1〜図4に示すように、この目視検査装置1は、床面に設置された固定フレーム10と、この固定フレーム10に支持され、検査対象のガラス板Gを載置するステージ50と、床面あるいは固定フレーム10等に支持されることでステージ50の左右両側方に配置されて、ステージ50に載置されたガラス板Gの左右方向の両端面からガラス板Gの内部に向けて検査光71を照射する照明装置70と、発見した欠陥部分のガラス板G上における位置座標を検出する座標検出装置(図示略)と、制御装置80(図1参照)とを具備している。
【0017】
ステージ50は、前面に、検査対象のガラス板Gを、垂直に対し5°〜15°の角度(好ましくは10°)だけ後傾した斜め立て姿勢で載置することができるものであり、そのガラス板Gを斜め立て姿勢に保持したまま、上下方向に移動できるように固定フレーム10に対して支持されている。また、ステージ50は、固定フレーム10に対して、水平な回転軸を中心に上下方向に回動できるようにも支持されている。以下、それらの構成を詳述する。
【0018】
図1及び図2に示すように、固定フレーム10は、ステージ50の左右幅よりも間隔をあけて床面に立設された一対の左右フレーム10L、10Rを有している。左右フレーム10L、10Rは、検査台210上に立った検査者200から見て後側に立設された垂直支柱11と、その前側に斜めに立設された2本の傾斜支柱12、13と、それら垂直支柱11及び傾斜支柱12、13を一体に連結する梁材14とから構成されている。2本の傾斜支柱12、13は、互いに平行に、しかも、検査者200から見て垂直よりも5°〜15°だけ後傾した姿勢で立設されている。
【0019】
左右フレーム10L、10Rの間には、可動フレーム40が昇降可能に支持されており、その可動フレーム40にステージ50が上下方向に回動可能に支持されている。
【0020】
即ち、図3に示すように、左右フレーム10L、10Rの傾斜支柱12、13と可動フレーム40の左右端部との間には、傾斜支柱12、13側に設けられたそれぞれ2本の互いに平行なガイドレール16と、可動フレーム40側に設けられて前記各ガイドレール1
6に摺動自在に嵌まるスライダ46とからなるリニアガイド機構47が設けられており、可動フレーム40が、そのリニアガイド機構47の案内作用により、傾斜支柱12、13の傾斜に沿って上下方向に移動できるように支持されている。
【0021】
また、左右フレーム10L、10Rには、ガイドレール16と平行にボールネジ軸15が配設されており、可動フレーム40側に固定したボールネジナット45が、左右フレーム10L、10Rの各ボールネジ軸15に嵌まっている。これにより、左右のボールネジ軸15が同期回転することによって、可動フレーム40が上下に移動するように構成されている。左右のボールネジ軸15の下端は、ボールネジ軸15を回転させるための昇降用モータ31に連結されており、昇降用モータ31と左右のボールネジ軸15の間には、昇降用モータ31の回転を左右に分配する回転分配機構32と、左右に分配した回転をボールネジ軸15側に伝える回転伝達ロッド33と、回転伝達ロッド33の回転をボールネジ軸15の回転に変換する直交ギヤボックス34とが設けられている。
【0022】
また、可動フレーム40のフレーム本体41には、水平な回転軸としての回動ロッド48が、左右方向の両端を軸受48によって回転自在に支持されることで配設されており、その回動ロッド48にアーム44を介してステージ50が連結されている。また、回動ロッド48には回動用モータ42が連結されており、回動用モータ42を回動させることにより、回動ロッド48及びアーム44を介して、ステージ50を上下方向に回動させることができるようになっている。
【0023】
そして、ここでは、リニアガイド機構47、ボールネジ軸15、ボールネジナット45、昇降用モータ31、回転分配機構32、回転伝達ロッド33、直交ギヤボックス34等によって、可動フレーム40を昇降させるステージ昇降装置30が構成され、また、回動用モータ42、回動ロッド48、アーム44等によって、ステージ50を上下方向に回動させるステージ回動装置60が構成されている。
【0024】
また、ステージ50は、図4〜図7に示すように、前記アーム44に連結された矩形板状のステージ本体51と、そのステージ本体51の前面に垂直に立設され、各先端でガラス板Gを支持する多数本の支持ピン52と、支持ピン52の邪魔にならない位置に立設された複数本の吸着固定ピン55と、ガラス板Gの下端縁を載せるガラス板受部53とを有している。
【0025】
支持ピン52は、一定ピッチ(例えば250mm)で縦横に配列され、ピン本体52aの基端52eがステージ本体51に固定されることにより、先端が同じ高さに揃えられている。そして、図6に示すように、各支持ピン52のピン本体52aの先端には、ガラス板Gを支持しながらガラス板Gの移動を可能にする回転可能なボール52bが脱落しないように設けられている。支持ピン52は、例えば、直径15mm、高さ250mmのものであり、2200mm×1870mmのガラス板Gを安定支持する場合には、例えば、72本程度の本数設けられている。先端のボール52bの材質としては、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を採用するのが好ましい。
【0026】
また、ガラス板受部53は、ステージ本体51の下端縁に適当な間隔で複数設けられており、これらガラス板受部53は、全体で一緒に、図示しないガラス板受部移動機構によって左右方向に僅かな距離だけ移動させることができるように設けられている。なお、これらのガラス板受部53は、ガラス板Gの下端縁を脱落しないように受けるための溝53aを有している。また、このガラス板受部53の材質も、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)であるのが好ましい。
【0027】
また、吸着固定ピン55は、図13に示すように、ガラス板Gの背面に対して先端が離
間した退避位置からガラス板Gの背面に先端が接触する作動位置まで前進後進できるように備えられており、作動位置において、ガラス板Gを吸着することで固定できるようになっている。この吸着ピン55は、図7に示すように、基端55aがステージ本体51に固定されて先端側が伸縮するようなガス式伸縮機構を内装したピン本体55aの先端に吸盤55bを設けたものであり、吸盤55bの内底中心には吸盤55b内を負圧にする吸引孔55cが設けられている。吸盤55bの材質としては、例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を採用するのが好ましい。吸着ピン55は、ガラス板Gを安定保持するため4個配設されており、ガラス板Gの背面に吸盤55bを密着させた状態で吸引孔55cから吸引することにより、吸盤55bの内部の負圧によってガラス板Gを吸着保持できるようになっている。
【0028】
また、照明装置70は、図4に示すように、ガラス板Gの左右端面からガラス板Gの内部に向けて検査光71を照射するものであり、照度1500〜20万ルクスの範囲の、例えば市販品のライトガイドなどが使用可能である。照度1500ルクス以下のものは、欠陥で乱反射する散乱光が弱くなり、欠陥を検出しにくくなる可能性があるので、あまり使用するのは好ましくない。また、照度20万ルクスを上回るものは、照明装置70付近の光が強すぎて、欠陥を検出しにくくなる可能性があるので、あまり使用するのは好ましくない。
【0029】
次に、ガラス板Gの欠陥部分の目視検査方法を説明する。
ガラス板Gをステージ50上に搬入する場合は、まず、図8及び図9に示すように、目視検査装置1のステージ50と移載ロボット300の移載アーム310上のガラス板Gを水平に保持する。ステージ50の高さは、移載作業がしやすい高さ、例えば、固定フレーム10の高さの中間レベルに設定するのがよい。そして、移載ロボット300の移載アーム310を動かして、ステージ50の支持ピン52上にガラス板Gを載せ、吸着固定ピン55を作動させてガラス板Gを固定する。次いで、図10に示すように、一旦ステージ50を最上部まで上昇させ、図11に示すように、上昇した位置でステージ50を回動させて、ガラス板Gを所定の斜め立て姿勢の角度に保持する。そして、その斜め立ての角度を維持しながらステージ50を昇降させることにより、適当な高さにガラス板Gを設定し、検査者200がステージ50の前に立って、検査を行う。
【0030】
このとき、ガラス板Gは検査者200の前方に、板面を検査者200に対面させた姿勢で向き合う。ここで重要なことは、ガラス板Gは、垂直よりも5°〜15°の角度θ(図2参照)だけ上端が検査者200から見てガラス板Gの背面側に倒れた姿勢で向き合うことである。また、ステージ50にガラス板Gを載置する際、ガラス板Gの背面を多数の支持ピン52の先端で支持しながら、斜め立て姿勢でガラス板Gの下端縁をガラス板受部53に載せることができるので、非常に薄いガラス板Gであっても、無理なく撓まないように支持することができる。
【0031】
この状態で、ガラス板Gの左右端面から照明装置70による検査光71(図4参照)をガラス板Gの内部に向けて照射し、その検査光71のガラス板G外への散乱光を検査者200が目視することで、ガラス板Gに存在する欠陥部分を検査する。
【0032】
ガラス板Gのいずれかの箇所に欠陥が存在するときには、図14に示すように、その欠陥部分Kに検査光71が当たって乱反射することにより、散乱光がガラス板G外へ放出されるので、その散乱光を見つけることにより、ガラス板Gの欠陥部分Kを検査者200が目視検出することができる。その際、所定角度(5°〜15°の範囲)だけ傾けてガラス板Gを斜め立てしているので、検査者200にとってガラス板Gの表面が見やすく、無理な姿勢を強いられずに、細かな欠陥の検出効率の向上が図れる。また、大型のガラス板、例えば、G7と呼ばれる1870mm×2200mm以上のサイズのガラス板Gを検査す
る場合であっても、ガラス板Gが検査者200側に倒れる心配がない上、自重による無用な撓みも防ぐことができるため、安全でガラス板Gに負担のない検査を実施することができる。
【0033】
因みに、ガラス板Gが5°〜15°以上に倒れた角度になると、外の光がガラス板Gの表面に反射するため欠陥検出が難しくなる。また、それ以下の角度に起こすと、ガラス板Gが検査者200側に倒れやすくなる。
【0034】
また、本目視検査方法の場合、ガラス板Gの左右方向の両端面からガラス板Gの内部に検査光71を照射するので、大型のガラス板Gを検査するときでも、検査光71をガラス板Gの左右方向の全領域に十分な明るさで行き渡らせることができ、検査者200の目の負担を軽減しながら、検査を適正に行うことができると共に、特別に検査光の照度を上げる必要もなくなる。
【0035】
また、検査対象範囲を上下方向にずらす場合には、ステージ昇降装置30(図2参照)を操作することにより、図12に示すように、ガラス板Gを斜め立ての角度を維持しながら、ステージ50を上下方向に移動させる。例えば、図12(a)に示すように、上段に検査対象範囲Sを設定する場合は、ステージ50を最下位置に移動させる。また、(b)に示すように、中段に検査対象範囲Sを設定する場合は、ステージ50を中間位置に移動させる。また、(c)に示すように、下段に検査対象範囲Sを設定する場合は、ステージ50を最上位置に移動させる。そうすることにより、検査者200の視線の高さにガラス板Gの検査対象範囲Sを位置させることができる。そのため、大型のガラス板Gを検査する場合であっても、ガラス板Gの上下方向の全面を、検査者200が無理な姿勢をとらずに検査することができ、検査者200の負担軽減を図ることができる。
【0036】
また、図13(a)に示すように、ガラス板Gの欠陥部分Kがガラス板Gを背後から支持する支持ピン52(または吸着固定ピン55)と重なるような場合、欠陥部分Kから発する散乱光を検査者が確認しづらくなることが考えられるが、そのような場合には、(b)に示すように、吸着固定ピン55をいったん退避位置に後退させて、ガラス板受部53を左右方向に動かすことによって、ガラス板Gを左右方向に僅かに移動させ、ガラス板Gの背後の支持ピン52と欠陥部分Kの位置をずらすことによって、欠陥部分Kからの散乱光を見やすい状態にすることができる。従って、そのようにすることにより、欠陥部分Kの発見の見逃しを無くすことができる。
【0037】
また、欠陥部分Kを発見したら、その位置に図示しない座標検出装置を移動して入力操作を行う。そうすると、ガラス板Gにおける欠陥部分Kの位置座標が保存される。従って、この保存データに基づいて生産工程を見直すことができる。
【0038】
なお、ステージ50を左右方向に大きく移動させる機構を更に組み込むこともできる。そうした場合、ガラス板Gを検査者200に対して、斜め立ての角度を維持しながら左右方向に移動させることができるので、ガラス板の検査対象範囲を左右方向に変更することができる。そのため、大型のガラス板を検査する場合であっても、ガラス板の左右方向の全面を、検査者が無理な姿勢をとらずに検査することができ、検査者の負担軽減を図ることができる。
【符号の説明】
【0039】
G ガラス板
1 目視検査装置
10 固定フレーム
30 ステージ昇降装置
50 ステージ
52 支持ピン
52a ボール
53 ガラス板受部
55 吸着ピン
60 ステージ回動装置
70 照明装置
71 検査光
200 検査者
S 検査対象領域
K 欠陥部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象のガラス板を、検査者の前方に、板面を検査者に対面させ、且つ、垂直な姿勢よりも5°〜15°の角度だけ、上端が検査者から見てガラス板の背面側に倒れるように斜め立てし、その状態で、前記ガラス板の左右両端面から検査光をガラス板の内部に向けて照射し、その検査光のガラス板外への散乱光を前記検査者が目視することで、前記ガラス板に存在する欠陥部分を検査することを特徴とするガラス板の欠陥部分の目視検査方法。
【請求項2】
前記ガラス板を前記検査者に対して、前記斜め立ての角度を維持しながら相対的に少なくとも上下方向に移動させることで、前記ガラス板の検査対象範囲を変更することを特徴とする請求項1に記載のガラス板の欠陥部分の目視検査方法。
【請求項3】
前記ガラス板を前記検査者に対して、前記斜め立ての角度を維持しながら相対的に少なくとも左右方向に移動させることで、前記ガラス板の検査対象範囲を変更することを特徴とする請求項1または2に記載のガラス板の欠陥部分の目視検査方法。
【請求項4】
前面に、検査対象のガラス板を、垂直に対し5°〜15°の角度で後傾した斜め立て姿勢で載置することの可能なステージと、
該ステージに載置された前記ガラス板の左右両端面から該ガラス板の内部に向けて検査光を照射する照明装置と、を備え、
前記ステージには、前記ガラス板の背面を間隔をおいて各先端で支持する多数の支持ピンと、該ガラス板の下端縁を載せるガラス板受部とが設けられており、
前記各支持ピンの先端には、前記ガラス板を支持しながら該ガラス板の移動を可能にする回転可能なボールが設けられていることを特徴とするガラス板の欠陥部分の目視検査装置。
【請求項5】
前記ガラス板受部を前記ガラス板の下端縁を載せたまま左右方向に移動させるガラス板受部移動機構が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のガラス板の欠陥部分の目視検査装置。
【請求項6】
前記ステージに、前記支持ピンとは別に、前記ガラス板の背面に対して離間した退避位置から前記ガラス板の背面に接触する作動位置まで前進し、その作動位置で前記ガラス板を吸着することにより該ガラス板を固定する吸着固定ピンが配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載のガラス板の欠陥部分の目視検査装置。
【請求項7】
前記ステージが固定フレームに上下方向移動可能及び上下方向回動可能に支持され、前記ステージを上下方向に移動させるステージ昇降装置と、前記ステージを上下方向に回動させるステージ回動装置とが設けられていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のガラス板の欠陥部分の目視検査装置。
【請求項1】
検査対象のガラス板を、検査者の前方に、板面を検査者に対面させ、且つ、垂直な姿勢よりも5°〜15°の角度だけ、上端が検査者から見てガラス板の背面側に倒れるように斜め立てし、その状態で、前記ガラス板の左右両端面から検査光をガラス板の内部に向けて照射し、その検査光のガラス板外への散乱光を前記検査者が目視することで、前記ガラス板に存在する欠陥部分を検査することを特徴とするガラス板の欠陥部分の目視検査方法。
【請求項2】
前記ガラス板を前記検査者に対して、前記斜め立ての角度を維持しながら相対的に少なくとも上下方向に移動させることで、前記ガラス板の検査対象範囲を変更することを特徴とする請求項1に記載のガラス板の欠陥部分の目視検査方法。
【請求項3】
前記ガラス板を前記検査者に対して、前記斜め立ての角度を維持しながら相対的に少なくとも左右方向に移動させることで、前記ガラス板の検査対象範囲を変更することを特徴とする請求項1または2に記載のガラス板の欠陥部分の目視検査方法。
【請求項4】
前面に、検査対象のガラス板を、垂直に対し5°〜15°の角度で後傾した斜め立て姿勢で載置することの可能なステージと、
該ステージに載置された前記ガラス板の左右両端面から該ガラス板の内部に向けて検査光を照射する照明装置と、を備え、
前記ステージには、前記ガラス板の背面を間隔をおいて各先端で支持する多数の支持ピンと、該ガラス板の下端縁を載せるガラス板受部とが設けられており、
前記各支持ピンの先端には、前記ガラス板を支持しながら該ガラス板の移動を可能にする回転可能なボールが設けられていることを特徴とするガラス板の欠陥部分の目視検査装置。
【請求項5】
前記ガラス板受部を前記ガラス板の下端縁を載せたまま左右方向に移動させるガラス板受部移動機構が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のガラス板の欠陥部分の目視検査装置。
【請求項6】
前記ステージに、前記支持ピンとは別に、前記ガラス板の背面に対して離間した退避位置から前記ガラス板の背面に接触する作動位置まで前進し、その作動位置で前記ガラス板を吸着することにより該ガラス板を固定する吸着固定ピンが配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載のガラス板の欠陥部分の目視検査装置。
【請求項7】
前記ステージが固定フレームに上下方向移動可能及び上下方向回動可能に支持され、前記ステージを上下方向に移動させるステージ昇降装置と、前記ステージを上下方向に回動させるステージ回動装置とが設けられていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のガラス板の欠陥部分の目視検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−141127(P2011−141127A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531(P2010−531)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(508271425)安瀚視特股▲ふん▼有限公司 (10)
【出願人】(598055910)AvanStrate株式会社 (81)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(508271425)安瀚視特股▲ふん▼有限公司 (10)
【出願人】(598055910)AvanStrate株式会社 (81)
【Fターム(参考)】
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