説明

ガラス板端面測定装置に対するガラス板のセット方法および測定治具

【課題】測定辺だけを残しながらサンプル片を用意しさえすれば、対辺を特に測定辺と平行に加工しないでも、ガラス板の端面を測定装置に対し容易に適正にセットすることができるようにする。
【解決手段】互いに平行な平面として構成された底面10Aおよび上面10Bと、これらに垂直な支持面10Cおよび挟持面10Dとを有する測定治具10を用い、支持面と挟持面との間にガラス板Gを挿入し、ガラス板の端面GAを有する直線状の測定辺G1を、測定治具の上面に面接触させた位置決め平面101に対し線接触させた状態で、支持面と挟持面との間にガラス板を挟持固定し、その状態で、測定治具の底面を測定装置のテーブル上面に面接触させることで、テーブル上に測定治具を載置し、それにより、テーブル上面に対しガラス板を垂直な姿勢で保持しつつ、測定辺をテーブル上面に対し平行にセットする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばフラットパネルディスプレイ等の製造に使用されるガラス板の端面検査を行う場合の技術に係り、特に、端面の表面粗さ等を検査するための測定装置(表面粗さ測定装置等)に対するガラス板のセット方法、および、そのセット方法に使用する測定治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(以下、略して「FPD」という)には、非常に薄いガラス板が使用されている。この種のガラス板は、一般的に次の一連の工程、即ち、ガラス溶解炉における溶融工程、溶融ガラスを帯状のガラスリボンに成形する成形工程、ガラスリボンを目的のサイズのガラス板に切断する切断工程、切断したガラス板の端面や角部を切削および面取り加工する仕上工程、その後の洗浄工程、を順に経ることにより製品化されている。
【0003】
上述の切断工程の後の仕上工程では、図28に示すように、ガラス板Gの切断端面GAを研削・研磨することで断面半円状の端面GAに加工し、角の欠け・割れなどを防いでいる。しかし、そのようにガラス板Gの端面GAを研削・研磨した場合であっても、端面GAの表面が粗れた状態であれば、欠け・割れの原因になりやすい。また、表面が粗れた状態であると、ガラスの細かい破片であるカレット片などが飛散しやすくなり、それらがガラス表面(使用面)に付着することにより、最終製品における品質不良の原因になりやすい。
【0004】
そこで、ガラス板の製造工程のほぼ最終段階に、端面の表面粗さを検査する工程を設け、同工程で端面粗さを測定することにより、欠け・割れの防止や製品品質の維持を図っている。この表面粗さの測定は、一般的に製品の抜き取り検査で行っており、抜き取ったガラス板から、例えば図29に示すように、1辺に測定対象となる端面GAを含む直線状の測定辺G1を持った小さなサンプル片を切り取り、そのサンプル片(以下、このサンプル片を「ガラス板G」という)を測定装置にセットして検査を行っている。
【0005】
図30は、上記の表面検査に使用する触針式の表面粗さ計(測定装置)500の一例を示している。この表面粗さ計500は、定盤としての役割を持つテーブル501の上方に触針510を有し、この触針510をテーブル501の上面(基準平面)501Aに沿って平行に走査することにより、テーブル501上にセットした測定対象物の表面粗さを計測するものである。この種の表面粗さ計は、例えば特許文献1などに示されるように広く使用されている。
【0006】
この表面粗さ計500で、サンプル片であるガラス板Gの測定辺G1の端面GAの表面粗さを測定する場合は、図31に示すように、測定対象表面である端面GAを含む測定辺GAがテーブル501の上面501Aと平行になるように、ガラス板Gをテーブル501上にセットし、その状態で、触針510の先端をガラス板Gの端面GA(頂面)に接触させながら、触針510をテーブル501の上面501Aに対して相対的に平行移動させる。そうすることにより、触針510の移動位置に応じたガラス板Gの端面GAの凹凸(上下)の変動を、表面粗さとして数値化して取り出すことができる。
【0007】
ところで、この種の表面粗さ計500では、図32に示すように、測定を適正に行うための有効測定範囲Hが定められており、ガラス板Gをテーブル501上にセットする際に、測定辺G1が有効測定範囲H内に収まるようにセットしなくてはならない。例えば、触
針510がガラス板Gの測定辺G1に沿って移動する際に、測定辺G1が有効測定範囲H内に収まるようにセットされていないと、触針510が移動する範囲(測定長さ)の規定の範囲(測定長さ)に到らない場合があり、有効なデータが得られなくなるからである。因みに、図32の(a)は、測定辺G1が有効測定範囲H内に収まっている場合、(b)および(c)は、測定辺G1が有効測定範囲H内に収まっていない場合を示している。
【0008】
この有効測定範囲Hは、10〜100μmのオーダーと非常に狭い範囲であるため、ガラス板Gの測定辺G1を有効測定範囲H内にセットすることは、非常に難しく、時間がかかるものであった。
【0009】
そこで一般的には、図33に示すように、製品ガラス板G1から表面粗さ測定のためのサンプル片を切り取る際に、まず、表面粗さを測定する測定辺G1を1辺とするようにサンプル片を切り出す。次に、余分な部分SCをカットし、サンプル片の測定辺G1と対向する位置にある対辺G2を、測定辺G1と平行になるように精密加工する。そして、ガラス板(サンプル片)Gを、図31(a)に示すように、表面粗さ計500のテーブル501の上面501Aに載せる際に、測定辺G1と平行に加工した対辺G2をテーブル501の上面501Aに密着させて、ガラス板Gをテーブル501上に垂直に立てる。このようにすることで、ガラス板Gの測定辺G1をテーブル501の上面501Aと平行にセットすることができ、有効測定範囲H内に測定辺G1を容易に収めることができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−71952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、このように測定辺G1の対辺G2を測定辺G1と平行に精密に加工した上で、対辺G2を表面粗さ計500のテーブル501の上面501Aに密着状態で載せるセット方法は、人手によるサンプル片(ガラス板G)の加工作業が大変であり、作業者の熟練に加え、加工作業に時間がかかるという問題がある。このため、製品であるガラス板の大型化などに伴って、使用するサンプル片(ガラス板G)の数が増えるような場合、サンプル片(ガラス板G)の準備に相当の負担がかかってしまい、製品の検査や品質の管理に支障をきたすおそれが出てくる。特にFPD用のガラス板の場合、厚みが0.5〜0.7mmと非常に薄いため、取り扱いに十分な注意を要さなければならず、サンプル片の準備にかかる負担が非常に大きくなる問題がある。
【0012】
また、もう1つの問題として、ガラス板Gの端面GAの表面粗さを測定する場合は、図34(a)に示すように、測定すべき端面GAに触針510の先端ができるだけ垂直に当たるようにガラス板Gをセットする必要があるが、このようにセットするのにも、余分な時間がかかったり作業に熟練が必要になったりする問題があった。例えば、表面粗さ計のテーブルの上面に対してガラス板Gが垂直にセットされている場合は、(b−1)のように触針510と端面GAの関係を適正に設定することが容易にできるが、ガラス板Gが傾いている場合は、(b−2)や(b−3)のように触針510と端面GAとの関係を適正に設定することが難しくなる。
【0013】
本発明は、上記事情を考慮し、測定対象の測定辺だけを残しながらサンプル片を用意しさえすれば、測定辺に対向する対辺を特に測定辺と平行に加工しないでも、ガラス板の端面を測定装置に対し容易に適正にセットすることができ、それにより、測定辺の対辺の余分な加工を無くして、サンプル片の準備を楽にできるようにし、サンプル片の枚数が増え
ても負担が増えないようにした、ガラス板端面測定装置に対するガラス板のセット方法、および、その方法の実施に使用する測定治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の課題を解決するための構成は以下の通りである。
(1) 互いに平行な平面として構成された底面および上面と、これら底面および上面の間に配され、該底面および上面に対し垂直な平面として構成された支持面と、該支持面に測定対象のガラス板の一方の板面を面接触させた状態で前記支持面との間に前記ガラス板を挟持する挟持面と、を有する測定治具を用い、
前記支持面と挟持面との間に前記ガラス板を挿入し、そのガラス板の測定すべき端面を有する直線状の測定辺を、前記測定治具の上面に面接触させた位置決め平面に対し線接触させた状態で、前記支持面と挟持面との間に前記ガラス板を挟持固定し、
その状態で、前記測定治具の底面を測定用の定盤の基準平面に面接触させることで、該定盤上に前記測定治具を載置し、それにより、前記定盤の基準平面に対し前記ガラス板を垂直な姿勢で保持しつつ、前記ガラス板の測定辺を前記定盤の基準平面に対し平行にセットすることを特徴とするガラス板端面測定装置に対するガラス板のセット方法。
(2) 上記(1)の構成のガラス板のセット方法において、
前記位置決め平面が上向きの平面であり、前記測定治具を上下逆にして、下を向いた前記測定治具の上面を前記位置決め平面に面接触させ、
その状態で、前記支持面と挟持面との間に、前記測定辺が下を向く姿勢で前記ガラス板を挿入して、挿入したガラス板の自重により、前記ガラス板の測定辺を前記位置決め平面に線接触させ、
その線接触させた状態で、前記支持面と挟持面との間に前記ガラス板を挟持固定し、
挟持固定後に、測定治具の上下を元の姿勢に戻して、該測定治具の底面を測定用の定盤の基準平面に面接触させることで、該定盤上に前記測定治具を載置し、それにより、前記定盤の基準平面に対し前記ガラス板を垂直な姿勢で保持しつつ、前記ガラス板の測定辺を前記定盤の基準平面に対し平行にセットすることを特徴とするガラス板端面測定装置に対するガラス板のセット方法。
(3) 上記(1)または(2)の構成のガラス板のセット方法に使用する測定治具であって、
互いに平行な平面として構成された底面および上面と、これら底面および上面の間に配され、該底面および上面に対し垂直な平面として構成された支持面と、該支持面に測定対象のガラス板の一方の板面を面接触させた状態で前記支持面との間に前記ガラス板を挟持する挟持面と、を有し、
前記底面と上面に、前記ガラス板を前記支持面と挟持面との間に挿入するための開口が設けられ、
前記支持面がガラス板支持壁の壁面に形成され、
前記ガラス板支持壁に対向して押圧板支持壁が設けられると共に、ガラス板支持壁と押圧板支持壁との間に、前記ガラス板支持壁の支持面に対して接近離間自在であり、前記押圧板支持壁によりスライド自在に支持された押圧板が設けられ、
該押圧板の前記支持面と対向する面に前記挟持面が形成され、
前記押圧板支持壁と押圧板との間に、該押圧板を前記支持面に対して接近離間する方向に移動させる押圧板駆動機構が設けられていることを特徴とするガラス板端面測定装置に対しガラス板をセットするための測定治具。
(4) 測定用の定盤の基準平面に対して面接触する底面と、
該底面に対し垂直な平面として構成された支持面と、
該支持面に測定対象のガラス板の一方の板面を面接触させた状態で前記支持面との間に前記ガラス板を挟持する挟持面と、
前記支持面と挟持面との間に挿入された前記ガラス板を、前記支持面と挟持面とで挟持固定する前に、上昇させることができて、それにより前記ガラス板の上端の測定すべき端
面を有する直線状の測定辺の高さを、該測定辺の傾きと共に調整する上昇手段と、
前記支持面と挟持面との間に前記ガラス板が挿入されたとき、前記ガラス板の測定辺の上方の前記底面から等しい高さの位置に2つの互いに離れた基準点をそれぞれ設定し、各基準点に前記上昇手段により上昇させられたガラス板の測定辺が到達した際にそれぞれ信号を出力する2つの位置検出手段と、
該位置検出手段が前記信号を出力したとき、前記上昇手段によるガラス板の上昇を停止させる制御手段と、
を有する測定治具を用い、
前記測定治具の支持面と挟持面との間に前記ガラス板を挿入し、
そのガラス板を前記上昇手段により上昇させ、前記位置検出手段が前記信号を出力することで前記制御手段が前記上昇手段によるガラス板の上昇を停止させたとき、その状態で前記支持面と挟持面との間に前記ガラス板を挟持固定し、
その状態で、前記測定治具の底面を測定用の定盤の基準平面に面接触させることで、該定盤上に前記測定治具を載置し、それにより、前記定盤の基準平面に対し前記ガラス板を垂直な姿勢で保持しつつ、前記ガラス板の測定辺を前記定盤の基準平面に対し平行にセットすることを特徴とするガラス板端面測定装置に対するガラス板のセット方法。
(5) 平面よりなる上面に、内底面が前記上面と平行をなす溝が形成された位置決め用板体と、
互いに平行な平面よりなる底面および上面とそれら底面および上面と垂直な平面よりなる支持面とを有する一対のブロック、および、これら一対のブロックを測定対象のガラス板を挟んだ状態で締結することにより、両ブロックの支持面間に前記ガラス板を挟持させる締結手段を有する測定治具と、を用い、
前記位置決め用板体の溝の内部に、該溝の内底面に前記ガラス板の測定すべき端面を有する直線状の測定辺を線接触させた状態で、前記ガラス板の測定辺を挿入することにより、該ガラス板を前記位置決め用板体の上面に立てかけ、
その状態で、前記測定治具の2つのブロックを、該ブロックの各上面を前記位置決め用板体の上面に面接触させた状態で前記位置決め用板体の上面に載せて、両ブロックの支持面で前記ガラス板を挟む位置に配置し、
前記ブロックを前記板体の上面においてスライドさせながら、前記溝に測定辺を挿入したガラス板を2つのブロックの支持面で挟み、その状態で両ブロックを前記締結手段により締結することにより、前記ガラス板を前記2つのブロックの支持面により挟持固定し、
挟持固定した後、前記測定治具を前記位置決め用板体から取り外して、
その測定治具の底面を測定用の定盤の基準平面に面接触させることで、該定盤上に前記測定治具を載置し、それにより、前記定盤の基準平面に対し前記ガラス板を垂直な姿勢で保持しつつ、前記ガラス板の測定辺を前記定盤の基準平面に対し平行にセットすることを特徴とするガラス板端面測定装置に対するガラス板のセット方法。
(6) 上記(1)、(2)、および、(4)、(5)のいずれかに記載の前記測定治具の1つの外側面を、該測定治具の底面に垂直で且つ前記支持面に平行な平面よりなる基準外側面として構成し、
その測定治具とは別に、
第2の治具として、互いに平行な平面よりなる底面および上面と、該底面および上面と垂直な平面よりなる1つの基準外側面とを有する平板状の治具を用意すると共に、
第3の治具として、前記第2の治具の上面に下面が面接触状態で載り、載った状態で該第2の治具の上面に沿ってスライド可能となり、前端面が前記下面と垂直な平面で構成された平面板と該平面板の後端に垂下された垂直板とを有する側面視L型の治具を用意し、
前記第2の治具を、測定用の定盤の基準平面に底面を面接触させた状態で載置し、
その第2の治具の上面に、前記ガラス板を保持した測定治具の底面を面接触させた状態で載せると共に、同じく第2の治具の上面に、前記第3の治具の平面板の下面を面接触させた状態で載せ、
前記測定治具の基準外側面を前記第3の治具の平面板の前端面に面接触させつつ、前記
第3の治具の垂直板のネジ孔に螺合貫通しネジ先端を前記第2の治具の前記基準外側面に突き立てた2本の調整ネジを回転操作して、前記第3の治具の平面板の前端面の位置と角度を調節することにより、前記測定治具に保持されたガラス板の測定辺の位置を所定位置に位置決めすることを特徴とするガラス板端面測定装置に対するガラス板のセット方法。
(7) 上記(6)の構成のガラス板のセット方法において、
前記測定治具、第2の治具、第3の治具が、すべて直方体のブロックの単体またはその組み合わせにより構成されていることを特徴とするガラス板端面測定装置に対するガラス板のセット方法。
【発明の効果】
【0015】
上記(1)の構成のガラス板のセット方法によれば、互いに平行な底面と上面を有する測定治具を用い、その測定治具の上面を基準にしてガラス板の測定対象である端面を有する測定辺を測定治具に対し位置決めし、その状態で測定治具の支持面と挟持面によりガラス板を挟持した後で、測定治具の底面を測定装置のテーブル(定盤)の上面(基準平面)に載せるようにしているので、簡単且つ確実に、ガラス板をテーブルの上面に対し垂直な姿勢に保持しつつ、ガラス板の測定辺をテーブルの上面に対し平行となるようにセットすることができる。従って、サンプル片には、1辺に測定辺だけ確保しておけば十分であり、測定辺の対辺を測定辺と平行に加工するまでの必要がない。そのため、サンプル片を準備する際の負担を大幅に減らすことができ、多数のサンプル片を扱う必要が生じた場合にも、効率的に端面検査を行うことができて、製品の品質管理の合理化を図ることができる。また、測定治具を用いることで、ガラス板の端面を測定装置に正確にセットできるため、セット不良による誤測定を減らすことができると共に測定精度の向上も図れる。
上記(2)の構成のガラス板のセット方法によれば、ガラス板を測定治具で挟持する際に、測定治具を上下逆にして、測定治具の上面をテーブル等の位置決め平面上に載せ、その状態で重力を利用して、下向きにしたガラス板の測定辺を位置決め平面に突き当てることにより、測定辺を測定治具に対して位置決めするので、ガラス板の測定治具に対する位置決め作業が簡単にできる。
上記(3)の構成の測定治具によれば、底面と上面に、ガラス板を支持面と挟持面との間に挿入するための開口を設けているので、基準となる底面と上面をそれぞれの開口の両側に確保することができ、バランスのよい治具構造とすることができる。また、対向配置されたガラス板支持壁と押圧板に支持面と挟持面を形成しており、押圧板支持壁によって支持された押圧板を、押圧板駆動機構によって支持面に接近する方向にスライドさせることにより、支持面と挟持面の間に挿入されたガラス板を支持面と挟持面とで挟持することができるので、簡単な操作で確実にガラス板を挟持固定することができる。
上記(4)の構成のガラス板のセット方法によれば、測定治具の支持面と挟持面との間にガラス板を挿入し、そのガラス板を上昇手段により上昇させ、ガラス板の測定辺が位置検出手段の設定した基準点に到達した時点で、ガラス板の上昇を停止させてガラス板を挟持固定し、その状態で、測定治具の底面を測定装置のテーブル(定盤)の上面(基準平面)に載せるようにしているので、簡単且つ確実に、ガラス板をテーブルの上面に対し垂直な姿勢に保持しつつ、ガラス板の測定辺をテーブルの上面に対し平行となるようにセットすることができる。従って、サンプル片には、1辺に測定辺だけ確保しておけば十分であり、測定辺の対辺を測定辺と平行に加工するまでの必要がない。そのため、サンプル片を準備する際の負担を大幅に減らすことができ、多数のサンプル片を扱う必要が生じた場合にも、効率的に端面検査を行うことができて、製品の品質管理の合理化を図ることができる。また、測定治具を用いることで、ガラス板の端面を測定装置に正確にセットできるため、セット不良による誤測定を減らすことができると共に測定精度の向上も図れる。また、このガラス板のセット方法では、上昇手段と位置検出手段の働きにより、自動的にガラス板の測定辺の位置を測定治具に対して位置決めするようにしているので、人手による作業の手間を減らせるメリットが得られる。
上記(5)の構成のガラス板のセット方法によれば、溝の付いた位置決め用板体と、2
つのブロックおよび締結手段からなる測定治具とを用いることにより、2つのブロックによって測定辺を位置決めしながら測定治具によってガラス板を挟持固定し、その状態で、測定治具の底面を測定装置のテーブル(定盤)の上面(基準平面)に載せるようにしているので、簡単且つ確実に、ガラス板をテーブルの上面に対し垂直な姿勢に保持しつつ、ガラス板の測定辺をテーブル(定盤)の上面(基準平面)に対し平行となるようにセットすることができる。従って、サンプル片には、1辺に測定辺だけ確保しておけば十分であり、測定辺の対辺を測定辺と平行に加工するまでの必要がない。そのため、サンプル片を準備する際の負担を大幅に減らすことができ、多数のサンプル片を扱う必要が生じた場合にも、効率的に端面検査を行うことができて、製品の品質管理の合理化を図ることができる。また、測定治具を用いることで、ガラス板の端面を測定装置に正確にセットできるため、セット不良による誤測定を減らすことができると共に測定精度の向上も図れる。また、このガラス板のセット方法では、2つのブロックの底面と上面を基準にしてガラス板の位置決めを行うので、測定治具の構造の単純化を図ることができる。
上記(6)の構成のガラス板のセット方法によれば、テーブル(定盤)の上面(基準平面)に底面を載せた第2の治具の上面に、ガラス板を保持固定した測定治具の底面を載せると共に第3の治具の平面板を載せ、測定治具の位置を、第3の治具の垂直板に螺合させた調整ネジの操作により調整できるようにしたので、ガラス板の測定辺の位置を、例えば表面粗さ計の触針の走査方向に合致するように容易に調整することができる。
上記(7)の構成のガラス板のセット方法によれば、測定治具、第2の治具、第3の治具をすべて直方体のブロックの単体または組み合わせで構成しているので、底面(下面)と上面の平行度や、それに対する支持面、前端面、基準外側面などの垂直度を容易に正確に出すことができる。従って、最初に直方体を正確に作成しておくことで、測定治具や第2の治具、第3の治具を簡単に用意することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態のガラス板のセット方法を実施する際に使用する測定治具10の斜視図である。
【図2】図1のII矢視図である。
【図3】図2のIII矢視断面図である。
【図4】製品ガラス板G0からサンプル片S(ガラス板G)を切り出す方法の説明図である。
【図5】前記測定治具10の支持面10Cと挟持面10Dの間にガラス板Gを挿入した状態を示す側断面図である。
【図6】ガラス板Gの測定辺G1を位置決め板100の位置決め平面101に線接触させた状態で、測定治具10の支持面10Cと挟持面10Dとの間にガラス板Gを挟持固定した状態を示す側断面図およびその部分拡大図である。
【図7】ガラス板Gを位置決めして保持した状態の測定治具10の斜視図である。
【図8】ガラス板Gを位置決めして保持した状態の測定治具10の正面図である。
【図9】ガラス板Gの測定辺G1と測定治具10の上面10Bとの関係を示す側面図である。
【図10】測定治具10によって保持したガラス板Gの測定辺G1の端面GAに表面粗さ計の触針510を接触させた状態を示す側断面図およびその部分拡大図である。
【図11】本発明の第2実施形態のガラス板のセット方法の説明図であり、測定治具10を上下逆転させた状態を示す斜視図である。
【図12】上下逆転させた測定治具10の支持面10Cと挟持面10Dの間にガラス板Gを挿入した状態を示す側断面図である。
【図13】ガラス板Gの測定辺G1をテーブル(位置決め板)120の上面(位置決め平面)121に線接触させた状態で、測定治具10の支持面10Cと挟持面10Dとの間にガラス板Gを挟持固定した状態を示す側断面図およびその部分拡大図である。
【図14】ガラス板Gを挟持固定した後、測定治具10の上下を元の姿勢に戻した状態を示す斜視図である。
【図15】(a)は表面粗さ計の有効測定範囲にガラス板の測定辺が適正に収まっているときの測定チャートを示す図、(b)は表面粗さ計の有効測定範囲にガラス板の測定辺が適正に収まっていないときの測定チャートを示す図である。
【図16】本発明の方法の実施により、ガラス板Gのサンプル片の加工形状に自由度ができたことを示す説明図で、(a)は参考のために従来のサンプル片の形状を示す図、(b)〜(d)は本発明で可能となったサンプル片の形状例を示す図である。
【図17】本発明の第3実施形態のガラス板のセット方法を実施する際に使用する測定治具の斜視図である。
【図18】同測定治具60によってガラス板の測定辺が位置決めされる際の自動的な動作を説明するための図で、(a)はガラス板Gを測定治具に挿入した段階で2つの基準点65がガラス板Gの測定辺G1の上方にある状態を示す図、(b)は一方の基準点65にガラス板Gの測定辺G1が到達した状態を示す図、(c)は両方の基準点65にガラス板Gの測定辺G1が到達し、この時点でガラス板Gの上昇が止まったことを示す図である。
【図19】本発明の第4実施形態のガラス板のセット方法の説明図で、(a)は位置決め平板200の上面の溝201にガラス板Gの測定辺G1を挿入しようとしている状態を示す斜視図、(b)はその溝201にガラス板Gの測定辺G1を挿入することでガラス板Gを立てかけた状態を示す斜視図、(c)は溝201とガラス板Gの関係を溝201の端部側から見て示す図である。
【図20】図19の次に行う第4実施形態のガラス板のセット方法の操作の説明図で、(a)は位置決め平板200の上面に測定治具240の2つのブロック250を載せようとしている状態を示す斜視図、(b)は位置決め平板200上において2つのブロック250によりガラス板Gを挟持固定した状態を示す斜視図、(c)はガラス板Gを保持した測定治具240を位置決め平板200上より取り外して、上下反転させて本来の上下姿勢に戻した状態を示す斜視図、(d)は2つのブロック250でガラス板Gを挟持固定した部分を拡大して示す図である。
【図21】図19および図20で示す操作を経てガラス板Gを挟持固定した測定治具240を、表面粗さ計500のテーブル501の上面501Aに載置した第2の治具300の上面300Bに載せて、同じく第2の治具300に載せた第3の治具400により位置決めすることで、ガラス板Gの測定辺の方向を触針510の走査方向Xに一致させた状態を示す斜視図である。
【図22】図21における第2の治具300と測定治具240および第3の治具400との関係を拡大した示す斜視図である。
【図23】図22で示す部分を上から見た平面図であり、調整ネジの螺合部分だけを断面で示した図である。
【図24】2本の調整ネジ420の操作により、ガラス板Gの測定辺の向きを触針走査ライン510Xに一致するように調整する要領説明図であり、(a)は調整前の状態を示す平面図、(b)は調整後の状態を示す平面図である。
【図25】ガラス板Gの測定辺G1の端面GAにおけるガラス板厚方向における測定対象領域Mを示す図である。
【図26】表面粗さ計の触針走査ライン510Xに対しガラス板Gの端面GAの位置が適正に調整されているかどうかを判断するための判断基準である測定チャートCAを示す図で、(a)は適正に調整されているときの状態を示す図、(b)および(c)は適正に調整されていないときの状態を示す図である。
【図27】前記第2の治具を第3の治具に対して位置決めした後に、その位置関係を固定しておくためにダブルナットを使用して調整ネジを固定する場合の例を示す側面図である。
【図28】ガラス板の端面の形状を示す図で、(a)はカット後の形状を示す断面図、(b)は研削・研磨後の形状を示す断面図である。
【図29】製品ガラス板から切り取ったサンプル片(ガラス板G)における測定辺G1と端面GAを示す斜視図である。
【図30】一般的な触針式の表面粗さ計の概略構成を示す斜視図である。
【図31】(a)は図30に示した表面粗さ計の触針510によりガラス板Gの測定辺G1の端面の表面粗さを調べている状態を示す図、(b)はその部分拡大図である。
【図32】表面粗さ計の有効測定範囲とガラス板の測定辺との位置関係を示す図で、(a)は有効測定範囲にガラス板の測定辺が適正に収まっているときの状態を示す図、(b)および(c)は有効測定範囲にガラス板の測定辺が適正に収まっていないときの状態を示す図である。
【図33】製品ガラス板から切り出してサンプル片(ガラス板G)を準備するときの加工手順を示す図である。
【図34】ガラス板Gの測定辺G1の端面GAに対する触針510の当たり角度の違いを示す図で、(a)は触針510に対しガラス板Gが適正な角度で位置決めされている状態を示す図、(b)および(c)は触針510に対しガラス板Gが適正でない角度で位置決めされている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の各実施形態を図面を参照しながら説明する。
《第1実施形態》
本発明の第1実施形態のガラス板のセット方法を図1〜図10を参照して説明する。図1は第1実施形態のガラス板のセット方法を実施する際に使用する測定治具の斜視図、図2は図1のII矢視図、図3は図2のIII矢視断面図である。また、図4は製品ガラス板からサンプル片としてのガラス板を切り出す方法の説明図、図5は測定治具の支持面と挟持面の間にガラス板を挿入した状態を示す側断面図、図6はガラス板の測定辺を位置決め板の位置決め平面に線接触させた状態で、測定治具の支持面と挟持面との間にガラス板を挟持固定した状態を示す側断面図およびその部分拡大図、図7はガラス板を位置決めして保持した状態の測定治具の斜視図、図8は同正面図、図9はガラス板の測定辺と測定治具の上面との関係を示す側面図、図10は測定治具によって保持したガラス板の測定辺の端面に表面粗さ計の触針を接触させた状態を示す側断面図およびその部分拡大図である。
【0018】
まず、実施形態のガラス板のセット方法を実施する際に使用する測定治具の構成について説明する。
図1〜図3に示すように、測定治具10は、互いに平行な平面として構成された底面10Aおよび上面10Bと、これら底面10Aおよび上面10Bの間に配され、底面10Aおよび上面10Bに対し垂直な平面として構成された支持面10Cと、支持面10Cに測定対象のガラス板Gの一方の板面G3(使用面)を面接触させた状態で支持面10Cとの間にガラス板Gを挟持する挟持面10Dと、を有している。
【0019】
この測定治具10は、ガラス板支持壁11と、それに対向して間隔をおいて配された押圧板支持壁12と、これらガラス板支持壁11および押圧板支持壁12を結合する一対の側壁13と、ガラス板支持壁11および押圧板支持壁12の間に配置された押圧板16と、を備えており、第1の基準面である底面10Aは側壁13の最下端の脚部14の下面に形成され、第2の基準面である上面10Bは側壁13の最上端に形成され、第3の基準面である支持面10Cはガラス板支持壁11の押圧板16に対向する壁面に形成され、第4の基準面である挟持面10Dは押圧板16のガラス板支持壁11に対向する壁面に形成されている。また、左右の側壁13の上端と脚部14の下端に設けられた上面10Bと底面10Aのそれぞれの間に、ガラス板Gを支持面10Cと挟持面10Dとの間に挿入するための開口15が確保されている。
【0020】
押圧板16は、ガラス板支持壁11の支持面10Cに対して接近離間自在なものであり
、押圧板支持壁12によってスライド自在に支持されている。この場合、押圧板16の背面に2本のスライドロッド17が突設されており、これら2本のスライドロッド17が押圧板支持壁12に形成されたガイド孔18にスライド自在に挿通されていることにより、押圧板16が安定して支持面10Cに対し接近離間する方向に平行移動できるようになっている。また、押圧板支持壁12と押圧板16との間には、押圧板16を支持面10Cに対して移動させるためのネジ20(押圧板駆動機構)が設けられている。このネジ20は、ネジ軸21が押圧板支持壁12のネジ孔22に螺合され、頭部が押圧板支持壁12より外部に突出し、ネジ軸21の先端が、押圧板16の背面に突き当たっているか回動可能に連結されており、これにより、ネジ20を回すことによって、押圧板16を前方に移動させたり後方に移動させたりできるようになっている。
【0021】
次に、この測定治具10を用いて行うガラス板のセット方法について説明する。
ガラス板の端面検査、例えば、ガラス板の端面の表面粗さを測定する場合、まず、図4に示すように、表面粗さ計で測定できる大きさのサンプル片Sを製品ガラス板G0から切り出す。この時、端面検査対象の測定辺G1が一辺となるように、矩形などの形状にサンプル片Sを切り出す。この場合、後述するように、測定辺G1の対辺G2は、特に測定辺G1と平行に加工しておく必要はない。
【0022】
次に、図5に示すように、サンプル片Sとして切り出したガラス板Gを、測定治具10の支持面10Cと挟持面10Dとの間に挿入する。そして、図6に示すように、そのガラス板Gの測定すべき端面GAを有する直線状の測定辺G1を、測定治具10の上面10Bに予め面接触させた位置決め板100の位置決め平面101に対し、矢印YAのように押し付けて線接触させ、その状態で、ネジ20を回して押圧板16を矢印YB方向に前進させることで、支持面10Cと挟持面10Dとの間にガラス板Gを挟持固定する。この際、ガラス板Gの一方の板面G3は支持面10Cに面接触し、他方の板面G4は挟持面10Dに面接触している。
【0023】
この状態で位置決め板100を取り外すと、図7〜図9に示すようになる。即ち、ガラス板Gの測定辺G1が、測定治具10の上面10Bと同一の平面TB内に位置する。この場合、測定治具10の上面10Bおよびガラス板Gの測定辺G1は同一の平面TB内に位置し、底面10Aは平面TA内に位置する。平面TAと平面TBは互いに平行であり、ガラス板Gの測定辺G1が平面TBに対して仮想的に線接触状態になっているから、底面10Aとガラス板Gの測定辺G1は互いに平行な関係となる。また、支持面10Cおよび挟持面10Dにガラス板Gの両板面G3、G4が面接触しているから、ガラス板Gは測定治具10の底面10Aに対して垂直に保持されていることになる。
【0024】
従って、図10に示すように、ガラス板Gを保持した測定治具10の底面10Aを、測定用の定盤である表面粗さ計500(図30参照)のテーブル501の上面501A(基準平面)に面接触させて、テーブル501上に測定治具10を載置することにより、テーブル501の上面501A(基準平面)に対してガラス板Gを垂直な姿勢で保持しつつ、ガラス板Gの測定辺G1を、テーブルの上面501A(基準平面)に対し平行にセットすることができる。そのため、触針510の先端を有効測定範囲に容易に収めることができる。
【0025】
《第2実施形態》
次に本発明の第2実施形態のガラス板のセット方法を図11〜図14を用いて説明する。この第2実施形態のガラス板のセット方法では、前述した第1実施形態で使用した測定治具10をそのまま利用する。図11は測定治具を上下逆転させた状態を示す斜視図、図12は上下逆転させた測定治具の支持面と挟持面の間にガラス板を挿入した状態を示す側断面図、図13はガラス板の測定辺をテーブル(位置決め板)の上面(位置決め平面)に
線接触させた状態で測定治具の支持面と挟持面との間にガラス板を挟持固定した状態を示す側断面図およびその部分拡大図、図14はガラス板を挟持固定した後、測定治具の上下を元の姿勢に戻した状態を示す斜視図である。
【0026】
この第2実施形態のガラス板のセット方法では、まず、図11〜図13に示すように、前述の測定治具10を上下逆にして、下を向いた測定治具10の上面10Bを、テーブル(位置決め板)120の上面(位置決め平面)121に面接触させ、測定治具10を倒置した姿勢のままテーブル120上に載せる。次にその状態で、支持面10Cと挟持面10Dとの間に、測定辺G1が下を向く姿勢でガラス板Gを挿入し、挿入したガラス板Gの自重により、ガラス板Gの測定辺G1をテーブル上面121に線接触させる。そして、その線接触させた状態で、支持面10Cと挟持面10Dとの間にガラス板Gを挟持固定する。挟持固定の方法は第1実施形態と同様である。
【0027】
挟持固定した後は、図14に示すように、測定治具10の上下を元の姿勢に戻す。こうすることで、ガラス板Gの測定辺G1が、測定治具10の上面10Bと同一平面内に位置し、測定治具10の底面10Aと平行な関係に保持される。また、支持面10Cおよび挟持面10Dにガラス板Gの板面G3、G4が面接触しているから、ガラス板Gは測定治具10の底面10Aに対し垂直に保持される。
【0028】
従って、第1実施形態と同様、図10に示すように、測定治具10の底面10Aを測定用の定盤である表面粗さ計500のテーブルの上面501A(基準平面)に面接触させて、テーブル501(図30参照)上に測定治具10を載置することにより、テーブルの上面501A(基準平面)に対してガラス板Gを垂直な姿勢で保持しつつ、ガラス板Gの測定辺G1をテーブルの上面501A(基準平面)に対し平行にセットすることができる。そのため、触針510の先端を有効測定範囲に容易に収めることができる。
【0029】
図15は、第1実施形態および第2実施形態の方法により、ガラス板Gを表面粗さ計500のテーブル501上にセットして、触針510を走査させた場合の測定チャートCAを示している。(a)は表面粗さ計500の有効測定範囲にガラス板Gの測定辺G1が適正に収まっているときの測定チャートCAを示し、(b)は表面粗さ計500の有効測定範囲にガラス板Gの測定辺G1が適正に収まっていないときの測定チャートCAを示している。上述のように測定治具10を用いてガラス板Gをセットすることにより、図15(a)のような測定チャートCAを得ることができ、それにより、表面粗さ計500の有効測定範囲にガラス板Gの測定辺G1が適正に収まっていることを確認することができる。従って、このような測定チャートCAとが得られた場合に、粗さ測定を引き続き実施することにより、信頼できる測定データを得ることができる。反対に、図15(b)に示すように、測定チャートCAが途中から有効範囲外に出るときには、表面粗さ計500の有効測定範囲にガラス板Gの測定辺G1が適正に収まっていないことを確認することができる。
【0030】
以上に述べた第1実施形態および第2実施形態のガラス板のセット方法によれば、互いに平行な底面10Aと上面10Bを有する測定治具10を用い、その測定治具10の上面10Bを基準にしてガラス板Gの測定対象である端面GAを有する測定辺G1を測定治具10に対し位置決めし、その状態で測定治具10の支持面10Cと挟持面10Dによりガラス板Gを挟持した後で、測定治具10の底面10Aを測定装置のテーブル(定盤)501の上面(基準平面)501Aに載せるようにしているので、簡単且つ確実に、ガラス板Gをテーブル501の上面501Aに対し垂直な姿勢に保持しつつ、ガラス板Gの測定辺G1をテーブル501の上面501Aに対し平行となるようにセットすることができる。従って、図16(b)〜(d)の例のようにサンプル片(ガラス板G)には、1辺に測定辺G1だけ確保しておけば十分であり、測定辺G1の対辺G2を、図16(a)のように
測定辺G1と平行に加工するまでの必要がない。そのため、サンプル片を準備する際の負担を大幅に減らすことができ、多数のサンプル片を扱う必要が生じた場合にも、効率的に端面検査を行うことができて、製品の品質管理の合理化を図ることができる。また、測定治具10を用いることで、ガラス板Gの端面GAを測定装置(表面粗さ計500)に正確にセットできるため、セット不良による誤測定を減らすことができると共に測定精度の向上も図れる。
【0031】
また、測定治具10の底面10Aと上面10Bに、ガラス板Gを支持面10Cと挟持面10Dとの間に挿入するための開口15を設けているので、基準となる底面10Aと上面10Bをそれぞれの開口15の両側に確保することができ、バランスのよい治具構造とすることができる。また、対向配置されたガラス板支持壁11と押圧板16に支持面10Cと挟持面10Dを形成しており、押圧板支持壁12によって支持された押圧板16を、押圧板駆動機構であるネジ20によって支持面10Cに接近する方向にスライドさせることにより、支持面10Cと挟持面10Dの間に挿入されたガラス板Gを支持面10Cと挟持面10Dとで挟持することができるので、簡単な操作で確実にガラス板Gを挟持固定することができる。
【0032】
《第3実施形態》
次に本発明の第3実施形態のガラス板のセット方法を図17、図18を用いて説明する。
図17は第3実施形態のガラス板のセット方法を実施する際に使用する測定治具の斜視図、図18は同測定治具によってガラス板の測定辺が位置決めされる際の自動的な動作を説明するための図で、(a)はガラス板を測定治具に挿入した段階で2つの基準点がガラス板の測定辺の上方にある状態を示す図、(b)は一方の基準点にガラス板の測定辺が到達した状態を示す図、(c)は両方の基準点にガラス板の測定辺が到達し、この時点でガラス板の上昇が止まったことを示す図である。
【0033】
図17、図18に示すように、この測定治具60は、第1実施形態で使用した測定治具10の一部に追加手段を設けることで、サンプル片としてのガラス板Gの測定辺G1を、底面10Aから一定の高さの位置に、自動で平行にセットすることができるようにしたもので、上部にガラス板Gの測定辺G1を位置決めするための2つの位置検出手段(発光器61と受光器62の組み合わせ)を有すると共に、ガラス板Gを上昇させる2つのサーボモータ(上昇手段)63と、位置検出手段の信号によりガラス板Gの上昇動作を停止させる図示しない制御手段とを有している。ここでは、第1実施形態の測定治具10と同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0034】
2つのサーボモータ63は、図18に示すように、ガラス板Gの下辺の2箇所を、それぞれ支持ブラケット64を介して上昇させることができるように設けられており、支持面10Cと挟持面10Dとの間に挿入されたガラス板Gを、支持面10Cと挟持面10Dとで挟持固定する前に、上昇させることができるようになっている。この場合、ガラス板Gの2箇所の上昇量をそれぞれ独立して決められるようになっていることにより、ガラス板Gの上端の測定辺G1の高さと測定辺G1の傾きとを同時に調整することができる。
【0035】
位置検出手段としての発光器61と受光器62は、支持面10Cと挟持面10Dとの間にガラス板Gが挿入されたとき、ガラス板Gの測定辺G1の上方の底面10Aから等しい高さの位置に2つの互いに離れた基準点65をそれぞれ設定し、各基準点65に上昇させられきたガラス板Gの測定辺G1が到達した際に、各受光器62がそれぞれに信号を出力する。制御手段は、位置検出手段である受光器62からの信号に応答して、各サーボモータ63の動作を停止させ、ガラス板Gの上昇を停止させる。それにより、ガラス板Gの測定辺G1を測定治具60の底面10Aと平行に位置決めすることができる。
【0036】
この測定治具60を用いる場合は、まず、測定治具60の支持面10Cと挟持面10D(図5などを参照)との間にガラス板Gを挿入し、そのガラス板Gを、図18(a)に示すように、上昇手段であるサーボモータ63により上昇させる。この段階で、発光器61と受光器62は、基準点65にガラス板Gの上端の測定辺G1が到達するのを待っている。図18(b)に示すように、測定辺G1の一方側(図中左側)が一方の基準点65に到達すると、その基準点65に対応した受光器62が到達したことを知らせる信号を発して、その信号に応答して制御手段が、該当するサーボモータ63の動作を停止させる。やがて、測定辺G1の他方側(図中右側)が他方の基準点65に到達すると、その基準点65に対応した受光器62が到達したことを知らせる信号を発して、その信号に応答して制御手段が、該当するサーボモータ63の動作を停止させる。これにより、ガラス板Gの測定辺G1が、測定治具60の底面10Aからの距離が等しい2つの基準点65の高さに保持され、底面10Aと平行に保たれる。
【0037】
従って、この状態で、支持面10Cと挟持面10D(図6参照)との間にガラス板Gを挟持固定し、そのまま、測定治具60の底面10Aを表面粗さ計500のテーブル501の上面(基準平面)に面接触させて、測定治具60をテーブル501上に載置する。そうすることにより、テーブル501の上面に対して、ガラス板Gを垂直な姿勢で保持しつつ、ガラス板Gの測定辺G1をテーブル501の上面501Aに対して平行となるように簡単にセットすることができる。
【0038】
そのため、第1実施形態および第2実施形態と同様に、サンプル片には、1辺に測定辺G1だけ確保しておけば十分となり、測定辺G1の対辺を測定辺G1と平行に加工するまでの必要がなくなり、サンプル片を準備する際の負担を大幅に減らすことができて、多数のサンプル片を扱う必要が生じた場合にも、効率的に端面検査を行うことができ、製品の品質管理の合理化を図ることができる。また、測定治具60を用いることで、ガラス板Gの端面を表面粗さ計などの測定装置に正確にセットできるため、セット不良による誤測定を減らすことができると共に測定精度の向上も図れる。また、このガラス板Gのセット方法では、サーボモータ63と位置検出手段(発光器61と受光器62の組)の働きによって、自動的にガラス板Gの測定辺G1の位置を測定治具60に対して位置決めするようにしているので、人手による作業の手間を減らせるメリットが得られる。
【0039】
《第4実施形態》
次に本発明の第4実施形態のガラス板のセット方法を図19および図20を用いて説明する。
図19は第4実施形態のガラス板のセット方法の説明図で、(a)は位置決め平板の上面の溝にガラス板の測定辺を挿入しようとしている状態を示す斜視図、(b)はその溝にガラス板の測定辺を挿入することでガラス板を立てかけた状態を示す斜視図、(c)は溝とガラス板の関係を溝の端部側から見て示す図である。また、図20は図19の次に行う操作の説明図で、(a)は位置決め平板の上面に測定治具の2つのブロックを載せようとしている状態を示す斜視図、(b)は位置決め平板上において2つのブロックによりガラス板を挟持固定した状態を示す斜視図、(c)はガラス板を保持した測定治具を位置決め平板上より取り外して、上下反転させて本来の上下姿勢に戻した状態を示す斜視図、(d)は2つのブロックでガラス板を挟持固定した部分を拡大して示す図である。
【0040】
第4実施形態のガラス板のセット方法を実施する場合には、図19に示す位置決め用板体200と図20に示す測定治具240とを用いる。
図19に示される位置決め用板体200は、互いに平行な平面よりなる底面200Aおよび上面200Bを有する矩形平板の上面200Bの略中央に、内底面201Aが上面200Bと平行をなす溝201を形成したものである。また、図20に示される測定治具2
40は、一対の直方体状のブロック250と、それら2つのブロック250を互いに結合する2つのネジ部材(締結手段)280とからなるものである。
【0041】
各ブロック250は、互いに平行な平面よりなる底面(表面粗さ計のテーブル上にセットするときに下側となる面)250Aおよび上面(表面粗さ計のテーブル上にセットするときに下側となる面)250Bと、それら底面250Aおよび上面250Bに対し垂直な平面よりなる支持面250Cと、支持面250Cの反対側に位置し支持面250Cと平行な平面よりなる基準外側面250Dとを有するもので、支持面250C間にガラス板Gを挟んだ状態でネジ部材280により両ブロック250を結合することにより、両ブロック250の支持面250C間にガラス板Gを挟持固定することができるようになっている。
【0042】
この第4実施形態の方法を実施する場合には、まず、図19(a)、(b)に示すように、上面200Bを上にした位置決め用板体200の溝201の内部に、溝201の内底面201Aにガラス板Gの直線状の測定辺G1を線接触させた状態で、ガラス板Gの測定辺G1を挿入することにより、(c)に示すように、ガラス板Gを位置決め用板体200の上面200Bに立てかける。
【0043】
次にその状態で、図20(a)に示すように、測定治具240の2つのブロック250を、ブロック250の各上面250Bを位置決め用板体の上面200Bに面接触させた状態で位置決め用板体200の上面200Bに載せて、両ブロック250の支持面250Cでガラス板Gを挟む位置に配置する。そして、両ブロック250を位置決め用板体200の上面200Bにおいてスライドさせながら、図20(b)に示すように、溝201に測定辺G1を挿入したガラス板Gを2つのブロック250の支持面250Cで挟み、その状態で両ブロック250をネジ部材280により締結することにより、ガラス板Gを2つのブロック250の支持面250Cにより挟持固定する。
【0044】
挟持固定したら、測定治具240を位置決め用板体200から取り外して、図20(c)に示すように上下逆にする。そうすると、溝201に挿入されていた部分が上に突出した形で、ガラス板Gが保持された状態の測定治具240が得られる。従って、この測定治具240の底面(ブロック250の底面250A)を表面粗さ計500(図30参照)のテーブル501の上面501Aに面接触させた状態で、テーブル501上に測定治具240を載置することにより、テーブル501の上面501Aに対しガラス板Gを垂直な姿勢で保持しつつ、ガラス板Gの測定辺G1をテーブル501の上面501Aに対して平行となるよう容易にセットすることができる。
【0045】
《第5実施形態》
次に本発明の第5実施形態のガラス板のセット方法を図21〜図27を用いて説明する。
図21は、図19および図20で示す操作を経てガラス板を挟持固定した測定治具(第1の治具に相当)を、表面粗さ計のテーブルの上面に載置した第2の治具の上面に載せて、同じく第2の治具の上面に載せた第3の治具により位置決めすることで、ガラス板の測定辺の方向を触針510の走査方向に一致させた状態を示す斜視図、図22は図21における第2の治具と測定治具および第3の治具との関係を拡大した示す斜視図である。また、図23は図22で示す部分を上から見た平面図であり、調整ネジの螺合部分だけを断面で示した図、図24は2本の調整ネジの操作により、ガラス板の測定辺の向きを触針走査ラインに一致するように調整する要領説明図であり、(a)は調整前の状態を示す平面図、(b)は調整後の状態を示す平面図である。図25はガラス板の測定辺の端面におけるガラス板厚方向における測定対象領域を示す図、図26は表面粗さ計の触針走査ラインに対しガラス板の端面の位置が適正に調整されているかどうかを判断するための判断基準である測定チャートCAを示す図で、(a)は適正に調整されているときの状態を示す図、
(b)および(c)は適正に調整されていないときの状態を示す図で、図27は第2の治具を第3の治具に対して位置決めした後に、その位置関係を固定しておくためにダブルナットを使用して調整ネジを固定する場合の例を示す側面図である。
【0046】
図示する例では、第4実施形態の測定治具240でガラス板Gを保持する場合の例を示すが、第1〜第3実施形態の測定治具10、60でガラス板Gを保持する場合にも応用することができる。また、ガラス板Gを測定治具240で保持するまでの手順は、第4実施形態にて説明した通りである。
【0047】
まず、前提として、測定治具240の1つの外側面250Dは、測定治具240の底面250Aに垂直で且つ支持面250Cに平行な平面よりなる基準外側面として構成されている。また、その測定治具240とは別に、図21および図22に示すように、第2の治具300として、互いに平行な平面よりなる底面300Aおよび上面300Bと、底面300Aおよび上面300Bと垂直な平面よりなる1つの基準外側面300Cとを有する平板状の治具を用意する。また、第3の治具400として、第2の治具300の上面300Bに、互いに平行な下面401Aおよび上面401Bのうちの下面401Aが面接触状態で載り、載った状態で第2の治具300の上面300Bに沿ってスライド可能となり、前端面401Cが下面401Aおよび上面401Bと垂直な平面で構成された平面板401と、平面板401の後端に垂下された垂直板402とを有する側面視L型の治具を用意する。垂直板402の内側面402Aは、平面板401の下面と垂直な面で構成され、垂直板402に貫通形成された2つのネジ孔403には、それぞれ調整ネジ420のネジ先端側が螺合されている。
【0048】
これらの治具を利用する場合は、まず、第2の治具300を、表面粗さ計500のテーブル501の上面(基準平面)501Aに底面300Aを面接触させた状態で載置し、その第2の治具300の上面300Bに、ガラス板Gを保持した状態の測定治具240の底面250A(図20参照)を面接触させた状態で載せると共に、同じく第2の治具300の上面300Bに、第3の治具400の平面板401の下面401Aを面接触させた状態で載せる。そして、垂直板402と第2の治具300の基準外側面300Cとを対向させ、測定治具240の基準外側面250Dを第3の治具400の平面板401の前端面401Cに面接触させつつ、図23、図24に示すように、第3の治具400の垂直板402のネジ孔403に螺合貫通した調整ネジ420の先端を第2の治具300の基準外側面300Cに突き立て、その状態で、それら2本の調整ネジ420を回転操作して、第3の治具400の平面板401の前端面401Cの位置と角度を調節することにより、測定治具240に保持されたガラス板Gの測定辺G1の位置を、表面粗さ計500の触針510の走査方向510Xに揃える。
【0049】
例えば、図25に示すように、ガラス板Gの端面GAのうち、有効に粗さ測定することのできる領域は、ガラス板Gの厚さ方向の中央の所定幅の領域Mに限られているので、この領域Mに触針510の先端が当たるように、ガラス板Gの位置を調節する。また、触針510の走査方向510Xに対するガラス板Gの平行度も調整する。こうすることにより、適正な測定を行うことが可能になる。
【0050】
なお、ガラス板Gの端面GAと触針510の位置関係や平行度が適正かどうかは、試しに触針510を実際に走査して、得られる測定チャートCAを見ることにより、容易に判別できる。例えば、図26(a)に示すように、位置も平行度も適正の場合は、測定チャートCAも直線を描き、測定有効範囲を外れない。一方、(b)、(c)に示すように、位置や平行度が不適正の場合は、測定チャートCAが測定有効範囲を外れたり、曲線状になったりするので、この測定チャートを見ながら、ガラス板Gの位置や平行度を微調整することができる。
【0051】
このように、第5実施形態の方法によれば、テーブル(定盤)501の上面(基準平面)501Aに底面300Aを載せた第2の治具300の上面300Bに、ガラス板Gを保持固定した測定治具240の底面250Aを載せると共に第3の治具400の平面板401を載せ、測定治具240の位置を、第3の治具400の垂直板402に螺合させた調整ネジ420の操作により調整できるようにしたので、ガラス板Gの測定辺G1の位置を、例えば、表面粗さ計の触針510の走査方向510Xに合致するように容易に調整することができ、精度の高い測定が可能となる。
【0052】
なお、いったん第2の治具300や第3の治具400の位置を決めてしまえば、次の同様の条件(厚さ)のサンプル片の測定の際に、その設定内容をそのまま利用することができる。即ち、次のサンプル片(ガラス板G)を保持した測定治具240の基準外側面250Dを、第2の治具300の上面300B上で、第3の治具400の平面板401の前端面400Cに面接触させる。そうすることにより、次のガラス板Gを正確に位置決めすることができる。以降はこれを繰り返し行えばよいので、測定作業の合理化が図れる。また、第4の治具400の位置決め設定内容を正確に保っておくために、図27に示すように、調整ネジ420にダブルナット405を螺合させておけば、調整ネジ420が緩むことを防止できる。
【0053】
また、第2の治具300や第3の治具400を用いずに、テーブル501の上面501Aに対して垂直な突き当て壁を有する位置決めブロックをテーブル501上に位置決めして固定しておき、その位置決め壁にガラス板Gを保持した測定治具240の基準外側面250Dを当接させるようにしても、ガラス板Gの繰り返しの位置決めを容易に行うことができる。
【0054】
また、以上において説明した測定治具10、60、第2の治具300、第3の治具400をすべて直方体のブロックの単体または組み合わせで構成するようにすれば、底面(下面)と上面の平行度や、それに対する支持面、前端面、基準外側面などの垂直度を容易に正確に出すことができる。従って、最初に直方体を正確に作成しておくだけで、測定治具10、60や第2の治具300、第3の治具400を簡単に用意することができる。
【0055】
また、上記各実施形態では、本発明を端面の表面粗さを測定する装置にセットする場合の例を示したが、それ以外の端面測定装置(端面の画像取得装置など)へのガラス板のセットの際にも応用できるのはもちろんである。
【符号の説明】
【0056】
G ガラス板
G1 測定辺
GA 端面
10 測定治具
10A 底面
10B 上面
10C 支持面
10D 挟持面
11 ガラス板支持壁
12 押圧板支持壁
13 側面板
16 押圧板
20 ネジ(押圧板駆動機構)
21 ネジ軸
22 ネジ孔
60 測定治具
61 発光器(位置決め手段)
62 受光器(位置決め手段)
63 サーボモータ(上昇手段)
65 基準点
100 位置決め板
101 位置決め平面
120 位置決め板
121 位置決め平面
200 位置決め平板
200B 上面
201 溝
201A 内底面
240 測定治具
250 ブロック
250A 底面
250B 上面
250C 支持面
250D 基準外側面
280 ネジ(締結手段)
300 第2の治具
300A 底面
300B 上面
300C 基準外側面
400 第3の治具
401 平面板
401A 下面
401B 上面
401C 前端面
402 垂直板
403 ネジ孔
420 調整ネジ
500 表面粗さ計
501 テーブル(定盤)
501A 上面(基準平面)
510 触針

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行な平面として構成された底面および上面と、これら底面および上面の間に配され、該底面および上面に対し垂直な平面として構成された支持面と、該支持面に測定対象のガラス板の一方の板面を面接触させた状態で前記支持面との間に前記ガラス板を挟持する挟持面と、を有する測定治具を用い、
前記支持面と挟持面との間に前記ガラス板を挿入し、そのガラス板の測定すべき端面を有する直線状の測定辺を、前記測定治具の上面に面接触させた位置決め平面に対し線接触させた状態で、前記支持面と挟持面との間に前記ガラス板を挟持固定し、
その状態で、前記測定治具の底面を測定用の定盤の基準平面に面接触させることで、該定盤上に前記測定治具を載置し、それにより、前記定盤の基準平面に対し前記ガラス板を垂直な姿勢で保持しつつ、前記ガラス板の測定辺を前記定盤の基準平面に対し平行にセットすることを特徴とするガラス板端面測定装置に対するガラス板のセット方法。
【請求項2】
請求項1に記載のガラス板端面測定装置に対するガラス板のセット方法であって、
前記位置決め平面が上向きの平面であり、前記測定治具を上下逆にして、下を向いた前記測定治具の上面を前記位置決め平面に面接触させ、
その状態で、前記支持面と挟持面との間に、前記測定辺が下を向く姿勢で前記ガラス板を挿入して、挿入したガラス板の自重により、前記ガラス板の測定辺を前記位置決め平面に線接触させ、
その線接触させた状態で、前記支持面と挟持面との間に前記ガラス板を挟持固定し、
挟持固定後に、測定治具の上下を元の姿勢に戻して、該測定治具の底面を測定用の定盤の基準平面に面接触させることで、該定盤上に前記測定治具を載置し、それにより、前記定盤の基準平面に対し前記ガラス板を垂直な姿勢で保持しつつ、前記ガラス板の測定辺を前記定盤の基準平面に対し平行にセットすることを特徴とするガラス板端面測定装置に対するガラス板のセット方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のガラス板のセット方法に使用する測定治具であって、
互いに平行な平面として構成された底面および上面と、これら底面および上面の間に配され、該底面および上面に対し垂直な平面として構成された支持面と、該支持面に測定対象のガラス板の一方の板面を面接触させた状態で前記支持面との間に前記ガラス板を挟持する挟持面と、を有し、
前記底面と上面に、前記ガラス板を前記支持面と挟持面との間に挿入するための開口が設けられ、
前記支持面がガラス板支持壁の壁面に形成され、
前記ガラス板支持壁に対向して押圧板支持壁が設けられると共に、ガラス板支持壁と押圧板支持壁との間に、前記ガラス板支持壁の支持面に対して接近離間自在であり、前記押圧板支持壁によりスライド自在に支持された押圧板が設けられ、
該押圧板の前記支持面と対向する面に前記挟持面が形成され、
前記押圧板支持壁と押圧板との間に、該押圧板を前記支持面に対して接近離間する方向に移動させる押圧板駆動機構が設けられていることを特徴とするガラス板端面測定装置に対しガラス板をセットするための測定治具。
【請求項4】
測定用の定盤の基準平面に対して面接触する底面と、
該底面に対し垂直な平面として構成された支持面と、
該支持面に測定対象のガラス板の一方の板面を面接触させた状態で前記支持面との間に前記ガラス板を挟持する挟持面と、
前記支持面と挟持面との間に挿入された前記ガラス板を、前記支持面と挟持面とで挟持固定する前に、上昇させることができて、それにより前記ガラス板の上端の測定すべき端面を有する直線状の測定辺の高さを、該測定辺の傾きと共に調整する上昇手段と、
前記支持面と挟持面との間に前記ガラス板が挿入されたとき、前記ガラス板の測定辺の上方の前記底面から等しい高さの位置に2つの互いに離れた基準点をそれぞれ設定し、各基準点に前記上昇手段により上昇させられたガラス板の測定辺が到達した際にそれぞれ信号を出力する2つの位置検出手段と、
該位置検出手段が前記信号を出力したとき、前記上昇手段によるガラス板の上昇を停止させる制御手段と、
を有する測定治具を用い、
前記測定治具の支持面と挟持面との間に前記ガラス板を挿入し、
そのガラス板を前記上昇手段により上昇させ、前記位置検出手段が前記信号を出力することで前記制御手段が前記上昇手段によるガラス板の上昇を停止させたとき、その状態で前記支持面と挟持面との間に前記ガラス板を挟持固定し、
その状態で、前記測定治具の底面を測定用の定盤の基準平面に面接触させることで、該定盤上に前記測定治具を載置し、それにより、前記定盤の基準平面に対し前記ガラス板を垂直な姿勢で保持しつつ、前記ガラス板の測定辺を前記定盤の基準平面に対し平行にセットすることを特徴とするガラス板端面測定装置に対するガラス板のセット方法。
【請求項5】
平面よりなる上面に、内底面が前記上面と平行をなす溝が形成された位置決め用板体と、
互いに平行な平面よりなる底面および上面とそれら底面および上面と垂直な平面よりなる支持面とを有する一対のブロック、および、これら一対のブロックを測定対象のガラス板を挟んだ状態で締結することにより、両ブロックの支持面間に前記ガラス板を挟持させる締結手段を有する測定治具と、を用い、
前記位置決め用板体の溝の内部に、該溝の内底面に前記ガラス板の測定すべき端面を有する直線状の測定辺を線接触させた状態で、前記ガラス板の測定辺を挿入することにより、該ガラス板を前記位置決め用板体の上面に立てかけ、
その状態で、前記測定治具の2つのブロックを、該ブロックの各上面を前記位置決め用板体の上面に面接触させた状態で前記位置決め用板体の上面に載せて、両ブロックの支持面で前記ガラス板を挟む位置に配置し、
前記ブロックを前記板体の上面においてスライドさせながら、前記溝に測定辺を挿入したガラス板を2つのブロックの支持面で挟み、その状態で両ブロックを前記締結手段により締結することにより、前記ガラス板を前記2つのブロックの支持面により挟持固定し、
挟持固定した後、前記測定治具を前記位置決め用板体から取り外して、
その測定治具の底面を測定用の定盤の基準平面に面接触させることで、該定盤上に前記測定治具を載置し、それにより、前記定盤の基準平面に対し前記ガラス板を垂直な姿勢で保持しつつ、前記ガラス板の測定辺を前記定盤の基準平面に対し平行にセットすることを特徴とするガラス板端面測定装置に対するガラス板のセット方法。
【請求項6】
請求項1、2、および、請求項4、5のいずれか1項に記載の前記測定治具の1つの外側面を、該測定治具の底面に垂直で且つ前記支持面に平行な平面よりなる基準外側面として構成し、
その測定治具とは別に、
第2の治具として、互いに平行な平面よりなる底面および上面と、該底面および上面と垂直な平面よりなる1つの基準外側面とを有する平板状の治具を用意すると共に、
第3の治具として、前記第2の治具の上面に下面が面接触状態で載り、載った状態で該第2の治具の上面に沿ってスライド可能となり、前端面が前記下面と垂直な平面で構成された平面板と該平面板の後端に垂下された垂直板とを有する側面視L型の治具を用意し、
前記第2の治具を、測定用の定盤の基準平面に底面を面接触させた状態で載置し、
その第2の治具の上面に、前記ガラス板を保持した測定治具の底面を面接触させた状態で載せると共に、同じく第2の治具の上面に、前記第3の治具の平面板の下面を面接触させた状態で載せ、
前記測定治具の基準外側面を前記第3の治具の平面板の前端面に面接触させつつ、前記第3の治具の垂直板のネジ孔に螺合貫通しネジ先端を前記第2の治具の前記基準外側面に突き立てた2本の調整ネジを回転操作して、前記第3の治具の平面板の前端面の位置と角度を調節することにより、前記測定治具に保持されたガラス板の測定辺の位置を所定位置に位置決めすることを特徴とするガラス板端面測定装置に対するガラス板のセット方法。
【請求項7】
請求項6に記載のガラス板端面測定装置に対するガラス板のセット方法であって、
前記測定治具、第2の治具、第3の治具が、すべて正直方体のブロックの単体またはその組み合わせにより構成されていることを特徴とするガラス板端面測定装置に対するガラス板のセット方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2011−2253(P2011−2253A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143369(P2009−143369)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(598055910)AvanStrate株式会社 (81)
【出願人】(508250914)アヴァンストレート コリア インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】