説明

ガラス破壊検知方法および装置

【課題】 ガラス破壊検知に加え、確実な衝突物判定も行うことができる破壊検知方法および装置を提供する。
【解決手段】 ガラス破壊検知器11と、フィルタ12と、レベル検出回路13と、時間計測回路14と、演算回路15と出力判定回路16から構成され、ガラスに設置されているガラス破壊検知器11からの信号を時間軸で処理し、複数の時点で評価することにより、ガラスの破壊と非破壊を判定し、また、破壊時と非破壊時において、衝突物が何であるかを判定し、さらに、ガラスの種類による信号の時間軸の違いを考慮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の振動現象を検出する振動検知方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、振動センサは、建造物の耐震診断や防犯セキュリティ用のガラス破壊検知装置、或いは設備や工作機械の異常振動検知に利用されている。このようなガラス破壊検知などを行うセンサとして、例えば特許文献1のガラス破壊センサがある。このセンサは、ガラス破壊に伴って生じる振動成分のレベルが小さい場合でも、ガラス破壊を確実に検出するものとして有用である。特許文献1のシステムでは、圧電材料を利用した振動センサを用いて、ガラス等の破壊現象において生じる振動を電気信号に変換することにより、破壊現象の有無を検知している。このシステムでは、信号が与えられてから一定の時間の信号を取り込んで破壊現象の有無を検知している。この場合、検知する対象物に強い振動が与えられた場合、対象物が破壊された場合と区別困難な信号が得られる。特許文献1のセンサは、破壊現象が生じたときに高周波側に特徴的な信号が観測されることから、周波数によるレベル差の大小を比較し、破壊現象と強い振動との区別をし、誤報を回避するシステム構成をとっている。
【0003】
また、誤報の少ないガラス破壊検知器として、特許文献2に開示されている振動センサがある。特許文献2のセンサでは、振動センサからの出力を周波数帯によるレベル比を比較し、特許文献1のセンサでは検出しきれないガラス切りなどで破壊された場合の振動レベルが小さい場合でも、検出を確実にする方法をとっている。また、高周波の発生時間を計測する回路を組み合わせることにより、レベル比のみで検出しきれなかった場合の補完を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平4−31437号公報
【特許文献2】特開2004−233300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および特許文献2の振動センサは、振動のレベル差またはレベル比を利用することにより、ガラス破壊と強い打撃との区別は可能となっているが、ガラスの破壊と強い振動を判断するのみであり、衝突物が何であるかの特定はできない。また、特許文献2の時間計測は、振動の発生時間を計測しているのみで、レベル比でガラス破壊を検出できなかった場合の補助的な役割のみとなっていた。
【0006】
そこで本発明は、ガラス破壊検知に加え、確実な衝突物判定も行うことができる破壊検知方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、ガラスに設置されているガラス破壊検知器からの信号を時間軸で処理し、複数の時点で評価することにより、ガラスの破壊と非破壊を判定し、また、破壊時と非破壊時において、衝突物が何であるかを判定し、さらに、ガラスの種類による信号の時間軸の違いを考慮することにより、より確実なガラス破壊検知方法および装置を提供するものである。
【0008】
また、本発明によれば、ガラスに設置されたガラス破壊検知器の電気信号から、特定の周波数成分の強度を算出し、前記周波数成分の強度を時間ごとに比較し、前記周波数成分の強度の減衰量の大小により、前記ガラスが破壊されたことと前記ガラスに打撃が与えられたことを判別することを特徴とするガラス破壊検知方法が得られる。
【0009】
また、本発明によれば、二つ以上の前記周波数成分の強度を衝突物が前記ガラスに接触してから0−20msecの間で、大小を比較することにより、前記ガラスが破壊されたことと前記ガラスに打撃が与えられたことを判別することを特徴とするガラス破壊検知方法が得られる。
【0010】
また、本発明によれば、前記周波数成分の強度の絶対値を判断し、衝突物が何であるか判定することを特徴とするガラス破壊検知方法が得られる。
【0011】
また、本発明によれば、前記ガラスの種類によりガラス破壊検知装置の判定設定を変えることを特徴とするガラス破壊検知方法が得られる。
【0012】
また、本発明によれば、ガラスの振動を検知するガラス破壊検知器と、該ガラス検知器の出力から、互いに異なる複数の周波数帯の成分を各別に抽出する複数個のフィルタと、該各フィルタ毎の振動レベルを検出するレベル検出回路と、前記ガラス破壊検知器が振動を検知してからの時間を計測する時間計測回路と、前記レベル検出回路の出力を前記時間計測回路の出力により時間軸で処理し複数の時点で演算する演算回路と、該演算回路で求めたFFT出力によりガラス破壊の有無判断や衝突物の判定を行う出力判定回路を備えることを特徴とするガラス破壊検知装置が得られる。
【0013】
また、本発明によれば、前記ガラス破壊検知器からの出力を、デジタル信号処理により実施することを特徴とするガラス破壊検知装置が得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、ガラスに設置されているガラス破壊検知器からの信号を時間軸で処理し、複数の時点で評価することにより、ガラスの破壊と非破壊を誤認することなく判定することができる。さらに、破壊時と非破壊時において、衝突物が何であるかを判定することができ、ガラス近辺での状況を監視することができるガラス破壊検知方法および装置を提供することができる。
【0015】
また、本発明により、ガラスの種類による信号の時間軸の違いを考慮することにより、より確実なガラス破壊検知方法および装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1におけるガラス破壊検知装置ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態2におけるガラス破壊検知装置ブロック図である。
【図3】強化ガラスを破壊した場合の各周波数における時間ごとの強度レベルを表わすグラフである。
【図4】強化ガラスを金属棒で打撃を与えた場合の各周波数における時間ごとの強度レベルを表わすグラフである。
【図5】強化ガラスを鍵で打撃を与えた場合の各周波数における時間ごとの強度レベルを表わすグラフである。
【図6】強化ガラスを木槌で打撃を与えた場合の各周波数における時間ごとの強度レベルを表わすグラフである。
【図7】強化ガラスをゴムボールで打撃を与えた場合の各周波数における時間ごとの強度レベルを表わすグラフである。
【図8】強化ガラスにおける各衝突物の150kHzにおける強度レベルを表わすグラフである。
【図9】合わせガラスを破壊した場合の各周波数における時間ごとの強度レベルを表わすグラフである。
【図10】合わせガラスを金属棒で打撃を与えた場合の各周波数における時間ごとの強度レベルを表わすグラフである。
【図11】合わせガラスを鍵で打撃を与えた場合の各周波数における時間ごとの強度レベルを表わすグラフである。
【図12】合わせガラスを木槌で打撃を与えた場合の各周波数における時間ごとの強度レベルを表わすグラフである。
【図13】合わせガラスをゴムボールで打撃を与えた場合の各周波数における時間ごとの強度レベルを表わすグラフである。
【図14】合わせガラスにおける各衝突物の150kHzにおける強度レベルを表わすグラフである。
【図15】強化ガラスの判定フローチャートである。
【図16】合わせガラスの判定フローチャートである。
【図17】実施例においてのガラス衝突試験の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0018】
(実施の形態1)
本発明においての実施の形態1について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1におけるガラス破壊検知装置ブロック図である。本発明の実施の形態1のガラス破壊検知装置は、ガラス破壊検知器11と、フィルタ12と、レベル検出回路13と、時間計測回路14と、演算回路15と出力判定回路16から構成されている。
【0019】
本発明のガラス破壊検知装置は、振動センサよりなるガラス破壊検知器11でガラスの振動を検知し、前記ガラス破壊検知器11からの信号を4つの異なる周波数のフィルタ12(第一のフィルタ12a、第二のフィルタ12b、第三のフィルタ12c、第三のフィルタ12d)を通りそれぞれのフィルタ12毎のレベル検出回路13で振動を検出し演算回路15へ入力される。演算回路15へは、ガラス破壊検知器11が振動を検知してからの時間を測定している時間計測回路14からの信号も入力され、前記時間計測回路14からの信号により前記レベル検出回路13の信号を時間軸で処理し複数の時点で演算し、次の出力判断回路16で判定のチャートに従ってガラスの破壊と非破壊の判断や衝突物の判定を行って、警報出力17又は報知出力18の出力を行う。
【0020】
出力判定回路16でガラスが破壊されれば、ブザー、パトライト、通報等の警報出力17を行い、ガラスに物が当たった場合は、ブザー等の報知出力18を行う。
【0021】
(実施の形態2)
本発明において、実施の形態2について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態2におけるガラス破壊検知装置ブロック図である。本発明の実施の形態2のガラス破壊検知装置は、ガラス破壊検知器21からの出力を、デジタル信号変換しCPU24により処理されている。
【0022】
本発明のガラス破壊検知装置は、実施の形態1と同様に振動センサよりなるガラス破壊検知器21で、ガラスの振動を検知し前記ガラス破壊検知器21からの信号をオペアンプ22で増幅して、A/Dコンバータ23でデジタル信号に変換する。デジタル信号をCPU24において時間軸で処理し、複数の時点で評価し、出力判断して判定のチャートに従ってガラスの破壊と非破壊の判断、衝突物の判定を行い、警報出力25又は報知出力26を行う。
【実施例】
【0023】
(実施例1)
実施例1として、図17のガラス衝突試験装置を用いて、強化ガラスにおいてガラス衝突試験を行った。図17は、実施例においてのガラス衝突試験の模式図である。強化ガラスのガラス衝突試験は、図17に示すように、フレーム32にはめ込んだ縦200mm×横600mm×厚さ7mmの大きさのガラス31に内部に振動センサを用いたガラス破壊検知器33を貼り付け、ガラス中央部分35に衝突物をぶつけた。このとき、ガラス破壊検知器33はガラス中央部分35から100mm離したところに設置しており、両面テープなどの振動を吸収する固定方法を用いず、ガラス31に直接ガラス破壊検知器33を接触させ上面から固定用テープ34で固定した。上記の形態によりガラスに衝突物をぶつける試験を行った。衝突試験におけるガラス破壊検知器33からの出力信号は、データ保存機能の付いたオシロスコープ36により収集した。
【0024】
図17に示すガラス31を強化ガラスにしたときの衝突物は、破壊用として市販の車両脱出用のハンマー、打撃用として、強化ガラスが破壊されるよりわずかに弱い強度を打撃の最大の強度とするため、長さ150mm直径10mm重さ200gの金属棒を用いた。破壊時は、ハンマーを振り下ろし強化ガラスを破壊した。打撃時は衝突物を1mの高さから落下させた。衝突物が強化ガラスに接触した時点でトリガーをかけ、50msecの間の電気信号をオシロスコープ36で取り込んだ。その後、2msecごとにFFT解析を行い、各時間の周波数成分の強度を算出した。50kHz、100kHz、150kHz、200kHzにおける強度を時間ごとにプロットし、強化ガラスが破壊された時と打撃を受けた時の差異を比較した。強化ガラスが破壊されたときの時間による強度変化を図3に、金属棒で打撃を与えたときの時間による強度変化を図4に示す。
【0025】
図3は、強化ガラスを破壊した場合の各周波数における時間ごとの強度レベルを表わすグラフである。図4は、 強化ガラスを金属棒で打撃を与えた場合の各周波数における時間ごとの強度レベルを表わすグラフである。非常用ハンマーで強化ガラスを割った時と前記金属棒で打撃を与えた時を比較した。強化ガラスが割れた時は、各周波数において、4〜6msecを境にして急激に周波数成分の強度が落ちている。特に150kHzで減衰量が大きい。14msec以降では完全に信号がなくなっていた。一方、強化ガラスが破壊されず打撃を受けたときは、強化ガラスが振動し続けているため減衰がない。150kHzで2〜4msecと8〜10msecの比較をすることにより、強度差30dB以上で「破壊」と判定することができる。
【0026】
実施例1記載の破壊時において、2〜4msecでは50kHzの周波数成分の強度をI50kHz、150kHzの周波数成分の強度をI150kHzとすると、I50kHz≦I150kHzとなるが、10〜20msecではI50kHz>I150kHzとなる。強化ガラスが割れない打撃では、周波数成分の強度を比較すると、時間が経っても10dB以上の差が観測されない。よって、50kHzと150kHzの時間による大小を比較することにより「破壊」と判定することができる。
【0027】
次に、他の材料を用い、打撃を与えて比較した。図5は、強化ガラスを鍵で打撃を与えた場合の各周波数における時間ごとの周波数成分の強度レベルを表わすグラフである。図6は、 強化ガラスを木槌で打撃を与えた場合の各周波数における時間ごとの周波数成分の強度レベルを表わすグラフである。図7は、 強化ガラスをゴムボールで打撃を与えた場合の各周波数における時間ごとの周波数成分の強度レベルを表わすグラフである。図8は、強化ガラスにおける各衝突物の150kHzにおける強度レベルを表わすグラフである。実施例1と同様に、打撃用として、重さ10gの金属の鍵、重さ100gの木槌、直径30mmのゴムボールを用い、それぞれ高さ1mから落下させた。鍵で打撃を与えたときの時間による周波数成分の強度変化を図5に、木槌で打撃を与えたときの時間による周波数成分の強度変化を図6に、ゴムボールで打撃を与えたときの時間による周波数成分の強度変化を図7に示す。また、それぞれの衝突物の比較を図8に示す。これらと実施例1で記載されている金属棒を落下させた場合を比較した。金属棒を落下させた場合、50kHzでは信号の減衰はないが、200kHzで時間が経つと減衰が観測される。鍵を落下させた場合、20msec程度まで信号の減衰がなく、また周波数による強度の違いは、I50kHz>I100kHz>I150kHz>I200kHzとなり、0〜12秒の間で大小の関係は変化しない。木槌を落下させた場合では、各周波数において、時間が経つと緩やかな減衰が観測された。また周波数により、I50kHz>I100kHz>I150kHz>I200kHzとなり、0〜12秒の間で大小の関係は変化しない。ゴムボールを落下させた場合では、強度が他の衝突物を落下させた場合と比べると非常に小さい。以上の比較をすることにより、ガラスに打撃が与えられた場合、衝突物が何であるか判断が可能となる。
【0028】
(実施例2)
実施例2として、図17のガラス衝突試験装置を用いて、合わせガラスにおいてガラス衝突試験を行った。実施例1と同様にして、フレーム32にはめ込んだ縦200mm×横600mm×厚さ8.1mmの大きさの合わせガラスにガラス破壊検知器33を固定用テープ34で貼り付け固定し、合わせガラスの中央に衝突物をぶつけた。合わせガラスは4mmのガラスの間にフィルムが挟んである構造をとる。衝突物は、実施例1と同様に、破壊用として市販の車両脱出用のハンマー、打撃用として、合わせガラスが破壊されるよりわずかに弱い周波数成分の強度を打撃の最大の周波数成分の強度とするため、長さ150mm直径10mm重さ200gの金属棒を用いた。合わせガラスが破壊されたときの時間による強度変化を図9に、金属棒で打撃を与えたときの時間による強度変化を図10に示す。
【0029】
図9は、合わせガラスを破壊した場合の各周波数における時間ごとの周波数成分の強度レベルを表わすグラフである。図10は、合わせガラスを金属棒で打撃を与えた場合の各周波数における時間ごとの周波数成分の強度レベルを表わすグラフである。合わせガラスでは、ガラスが破壊された場合、強化ガラスのように急激に減衰することはなかった。周波数ごとに観察してみると、50kHzでは減衰がほとんどなく、長時間振動が続いているが、高周波になるにつれて減衰量が多くなっている。200kHzでは15dB減衰している。一方、金属棒を落下させた場合は8msecを境に急激に減衰している。特に150kHz以上で減衰が大きくなっている。
【0030】
強化ガラスと合わせガラスでは割れた場合の強度変化の様子に違いがあるが、センサを設置する際にガラスの種類によりガラス破壊検知装置の設定を変更すれば、正しく破壊と非破壊の判別をすることができる。
【0031】
次に、他の材料を用い、打撃を与えて比較した。図11は、合わせガラスを鍵で打撃を与えた場合の各周波数における時間ごとの周波数成分の強度レベルを表わすグラフである。図12は、合わせガラスを木槌で打撃を与えた場合の各周波数における時間ごとの周波数成分の強度レベルを表わすグラフである。図13は、合わせガラスをゴムボールで打撃を与えた場合の各周波数における時間ごとの周波数成分の強度レベルを表わすグラフである。図14は、合わせガラスにおける各衝突物の150kHzにおける強度レベルを表わすグラフである。実施例3と同様にして、打撃用として、重さ10gの金属の鍵、重さ100gの木槌、直径30mmのゴムボールを用い、それぞれ高さ1mから落下させた。鍵で打撃を与えたときの時間による強度変化を図11に、木槌で打撃を与えたときの時間による強度変化を図12に、ゴムボールで打撃を与えたときの時間による強度変化を図13に示す。また、それぞれの衝突物の比較を図14に示す。これらと実施例4で記載されている金属棒を落下させた場合を比較した。金属棒では8msecを境に減衰している。鍵を落とした場合では、一度減衰したのちに8msec付近で増幅している。木槌を落下させた場合は、4msecから緩やかに減衰している。ゴムボールを落下させたときは、他の場合よりもレベルが非常に小さい。以上の比較をすることにより、合わせガラスに打撃が与えられた場合、衝突物が何であるか判断できる。
【0032】
次に、強化ガラスと合わせガラスの破壊および衝突物の特定を行う判断の手順をまとめる。図15は、強化ガラスの判定フローチャートである。図16は、合わせガラスの判定フローチャートである。ガラスの破壊と非破壊、破壊における衝突物の特定、非破壊における衝突物の特定は、図15と図16に示すフローチャートのように行う。強化ガラスでは、4msecを境にした急激な減衰と、50kHzと150kHzの周波数の強度レベルが2〜4msecでI50kHz≦I150kHzとなり、10〜20msecではI50kHz>I150kHzとなったとき、破壊と判断する。それ以外の非破壊では、強度レベルが非常に小さければゴム、緩やかな減衰があれば木、減衰が小さければ金属と判断する。さらに金属のうち、6msecまでの周波数の強度レベルが同程度なら大きな金属、高周波帯ほどレベルが小さいならば薄く小さな金属、例えば鍵や硬貨など、と判定する。合わせガラスでは、レベルの減衰が16msec減衰しなければ、破壊と判断する。非破壊のうち、レベルが非常に小さければゴム、緩やかな減衰があれば木、減衰が小さければ金属と判断する。金属のうち、8〜10msecでレベルが上がっていれば鍵や硬貨などの小さな金属、6msecレベルの減衰がなく、その後急激に減衰していれば大きな金属と判断する。以上の判断の手順により、ガラスの破壊と非破壊を誤認することなく判定することができる。さらに、破壊時と非破壊時において、衝突物が何であるかを判定することができる。
【0033】
以上、実施例を用いて、この発明の実施の形態を説明したが、この発明は、これらの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なしえるであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれる。
【0034】
本発明は、対象物の振動現象を検出する振動検知装置及びガラス破壊検知器を備えた振動検知システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
11 ガラス破壊検知器
12 フィルタ
12a 第一のフィルタ
12b 第二のフィルタ
12c 第三のフィルタ
12d 第四のフィルタ
13 レベル検出回路
14 時間計測回路
15 演算回路
16 出力判断回路
17 警報出力
18 報知出力
21 ガラス破壊検知器
22 オペアンプ(OP)
23 A/Dコンバータ
24 CPU
25 警報出力
26 報知出力
31 ガラス
32 フレーム
33 ガラス破壊検知器
34 固定用テープ
35 ガラス中央部分
36 オシロスコープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスに設置されたガラス破壊検知器の電気信号から、特定の周波数成分の強度を算出し、前記周波数成分の強度を時間ごとに比較し、前記周波数成分の強度の減衰量の大小により、前記ガラスが破壊されたことと前記ガラスに打撃が与えられたことを判別するガラス破壊検知方法。
【請求項2】
二つ以上の前記周波数成分の強度を衝突物が前記ガラスに接触してから0−20msecの間で、大小を比較することにより、前記ガラスが破壊されたことと前記ガラスに打撃が与えられたことを判別することを特徴とする請求項1記載のガラス破壊検知方法。
【請求項3】
前記周波数成分の強度の絶対値を判断し、衝突物が何であるか判定することを特徴とする請求項1または2記載のガラス破壊検知方法。
【請求項4】
前記ガラスの種類によりガラス破壊検知装置の判定設定を変えることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載のガラス破壊検知方法。
【請求項5】
ガラスの振動を検知するガラス破壊検知器と、該ガラス検知器の出力から、互いに異なる複数の周波数帯の成分を各別に抽出する複数個のフィルタと、該各フィルタ毎の振動レベルを検出するレベル検出回路と、前記ガラス破壊検知器が振動を検知してからの時間を計測する時間計測回路と、前記レベル検出回路の出力を前記時間計測回路の出力により時間軸で処理し複数の時点で演算する演算回路と、該演算回路で求めたFFT出力によりガラス破壊の有無判断や衝突物の判定を行う出力判定回路を備えることを特徴とするガラス破壊検知装置。
【請求項6】
前記ガラス破壊検知器からの出力を、デジタル信号処理により実施することを特徴とする請求項5記載のガラス破壊検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−2276(P2011−2276A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143959(P2009−143959)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】