説明

ガラス破損検知装置

【課題】設置作業の容易化を図りつつ、高い信頼性でガラスの破損有無を検知することができるガラス破損検知装置を提供する。
【解決手段】ウインドウガラス1には、破損時に断線状態となる平面コイルパターン2と、その平面コイルパターン2に接着剤を介して接続された導電性接続部材3とによって第1共振回路部5が形成されている。この第1共振回路部5におけるコンデンサ機能部は、平面コイルパターン2の電極2bと導電性接続部材3の電極3bと、それら電極2b,3b間に介在された接着剤とによって構成されている。また、平面コイル部9とコンデンサ10とを有する第2共振回路部7が、その第1共振回路部5に対向配置されている。そして、制御部は、両共振回路部5,7の電磁結合状態を監視し、該電磁結合状態に基づいてウインドウガラス1の破損有無を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両のウインドウガラスなどの破損を検知するガラス破損検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のウインドウガラスの破損を検知するガラス破損検知装置が種々提案されている。
この種のガラス破損検知装置として、例えば特許文献1に示されるように、ガラスに配設された抵抗体の断線有無を検知することにより、ガラスの破損有無を検知するものが提案されている。
【特許文献1】特開2003−141649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、こうした従来のガラス破損検知装置では、ガラスに配設した抵抗体と検知部とを電気的に接続する必要がある。それゆえ、そのための接続端子をガラスに設けるとともに、ガラス枠からリード線を引き出すなどの措置が必要となってしまう。よって、ガラス破損検知装置の設置作業が煩雑であるとともに、美観も好ましいとはいえない。
【0004】
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、設置作業の容易化を図りつつ、高い信頼性でガラスの破損有無を検知することができるガラス破損検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、破損検知対象となるガラス面に形成されて該ガラスの破損時に断線状態となる平面コイルパターンと、その平面コイルパターンに電気的に接続されて共振回路を構成する第1コンデンサ機能部とを備える第1共振回路部と、前記平面コイルパターンと非接触状態で対向配置されて共振回路部と電磁結合するコイル部と、そのコイル部に電気的に接続されて共振回路を構成する第2コンデンサ機能部とを備える第2共振回路部と、両共振回路部の電磁結合状態を監視し、該電磁結合状態に基づいてガラスの破損有無を検知する破損検知手段とを備え、前記第1コンデンサ機能部は、前記平面コイルパターンの端縁に設けられた電極と、その電極と誘電体を介して接続される電極を有し、該平面コイルパターンの両端間を電気的に接続する導電性接続部材とによって構成されていることを要旨とする。
【0006】
上記構成によると、ガラスの非破損状態にあっては両共振回路部が電磁結合するものの、ガラスの破損状態にあっては平面コイルパターンが断線するため両共振回路部が電磁結合しなくなる。両共振回路部が電磁結合をしている状態としていない状態とでは、共振周波数における回路全体のインピーダンスに大幅な変化を生じるため、こうしたインピーダンスの変化を検知することにより、ガラスの破損有無を検知することが可能となる。しかも、破損検知手段と第1共振回路部とをリード線を用いて接続する必要がないため、破損検知対象として可動ガラスにも容易に適用可能となる。加えて、平面コイルパターンの両端に導電性接続部材を接続することによって第1コンデンサ機能部として機能させることができるため、チップコンデンサ等の実装部品を不要とすることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のガラス破損検知装置において、前記導電性接続部材は、誘電材料からなる接着剤によって前記平面コイルパターンの両端に貼着され、前記誘電体は、その貼着に用いられる該接着剤によって構成されていることを要旨とする。
【0008】
上記構成によると、導電性接続部材を接着剤によって平面コイルパターンの両端に貼着するだけで第1コンデンサ機能部を構成することができる。このため、第1共振回路部を単純且つ容易に形成可能となる。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載のガラス破損検知装置において、前記導電性接続部材は、前記平面コイルパターンと離間配置された基板に前記第2共振回路部と共に実装され、前記誘電体を介して前記電極と接触または近接することにより、該電極と共に前記第1コンデンサ機能部を構成することを要旨とする。
【0010】
上記構成によると、導電性接続部材は、第2共振回路部と共に基板に実装され、平面コイルパターンとは別体で構成されるため、ガラス面には平面コイルパターンのみを形成するだけでよい。よって、ガラスに対する部品実装点数を減らすことができ、ガラス面に導電性接続部材を実装する場合に比べて製造工程の簡素化を図ることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス破損検知装置において、前記導電性接続部材における両端間に、前記平面コイルパターンと対向配置される付加コイルパターンを設けたことを要旨とする。
【0012】
上記構成によると、第1共振回路部のコイル巻数を小面積で多く確保することができるとともに、第1コンデンサ機能部の容量を小さくすることができる。このため、平面コイルパターンの電極と導電性接続部材との接続面積を小さくしてガラス面における第1共振回路部の所要面積を小さくすることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明では、破損検知対象となるガラス面に形成されて該ガラスの破損時に断線状態となる断線検知用配線パターンの両端に電気的に接続されて共振回路を構成する第1コイル機能部及び第1コンデンサ機能部を備える第1共振回路部と、第1コイル機能部と非接触状態で対向配置されて該第1共振回路部と電磁結合するコイル部、及びそのコイル部に電気的に接続されて共振回路を構成する第2コンデンサ機能部を備える第2共振回路部と、両共振回路部の電磁結合状態を監視し、該電磁結合状態に基づいてガラスの破損有無を検知する破損検知手段とを備え、前記第1コイル機能部を、前記ガラス面に固着されるフレキシブルプリント基板に構成された平面コイル部、及び前記断線検知用配線パターンのうちの少なくとも一方によって構成するとともに、前記第1コンデンサ機能部を、第1電極、誘電体、第2電極の順に該フレキシブルプリント基板上に積層形成されたシート状コンデンサ部によって構成したことを要旨とする。
【0014】
上記構成によると、ガラスの非破損状態にあっては両共振回路部が電磁結合するものの、ガラスの破損状態にあっては断線検知用配線パターンが断線するため両共振回路部が電磁結合しなくなる。両共振回路部が電磁結合をしている状態としていない状態とでは、共振周波数における回路全体のインピーダンスに大幅な変化を生じるため、こうしたインピーダンスの変化を検知することにより、ガラスの破損有無を検知することが可能となる。しかも、破損検知手段と第1共振回路部とをリード線を用いて接続する必要がないため、破損検知対象として可動ガラスにも容易に適用可能となる。加えて、第1コンデンサ機能部はフレキシブルプリント基板上に積層形成されたシート状コンデンサ部によって構成されているため、このコンデンサ部を切断加工することにより、該コンデンサ部の静電容量を容易に調整可能となる。よって、第1共振回路部の共振周波数の微調整を容易に行うことができる。
【0015】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス破損検知装置において、前記第2共振回路部に対する発振周波数を可変とした周波数可変発振手段を備え、前記破損検知手段は、前記第2共振回路部の共振周波数を含む予め設定された範囲内で前記発振周波数を変化させるとともに、その変化に伴う第2共振回路部の電気的特性の変化に基づいて両共振回路部の電磁結合状態を監視し、該電磁結合状態に基づいてガラスの破損有無を検知することを要旨とする。
【0016】
上記構成によると、両共振回路部が電磁結合している状態と電磁結合していない状態とでは共振周波数付近の周波数での電気的特性の変化傾向が大幅に異なるため、たとえ製造上の誤差等によって各共振回路部の共振周波数にズレが生じていたとしても、破損検知手段は、該電気的特性の変化傾向に基づいてガラスの破損有無を確実に検知可能となる。
【0017】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス破損検知装置前記ガラス面における両共振回路部の電磁結合領域内に、前記第1共振回路部と非接続状態となる導電性材料からなるダンピング部を設けたことを要旨とする。
【0018】
上記構成によると、両共振回路部の電磁結合領域内にダンピング部を設けることにより、第1共振回路部の共振の鋭さ(Q)が急峻になりすぎてしまうことが抑止される。このため、両共振回路部の電磁結合を強固にすべく第1共振回路部のコイルの巻数を多くした場合においても、共振の鋭さ(Q)を制御可能となる。また、ガラス面にダンピング部をパターン形成することで該共振の鋭さを抑制することができるため、例えば第1共振回路部にチップ抵抗を付加したり、第1共振回路部のコイルの断面積を小さくしたりするなどの措置を施す場合よりも、容易且つ確実に該共振の鋭さを抑制することが可能となる。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載のガラス破損検知装置において、前記平面コイルパターンは、前記ガラス面に熱硬化性導電樹脂材料を固着することによって構成されていることを要旨とする。
【0020】
上記構成によると、ガラスの破損によって確実に断線する平面コイルパターンを容易且つ確実に形成することができる。ひいては、高い信頼性でガラスの破損有無を検知することができる。
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載のガラス破損検知装置において、前記破損検知対象は、自動車用のウインドウガラスであることを要旨とする。
【0022】
一般に、自動車用のウインドウガラスは、一箇所の破損で全体が粉々に破損するように構成されている。このため、平面コイルパターンをウインドウガラスのいずれの部位に配設した場合であれ、該ウインドウガラスの破損に伴い平面コイルパターンは断線する。すなわち、ウインドウガラスの破損可能性のある部位を想定し、この想定した部位に平面コイルパターンを必ずしも設ける必要はない。したがって、平面コイルパターンのウインドウガラスにおける配設の自由度が高められる。
【0023】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のガラス破損検知装置において、前記ウインドウガラスは、自動車のドアに対して開閉動作可能に設けられ、前記平面コイルパターンは、前記ウインドウガラスにおいて、その開閉状態にかかわらず常にドアの内部に収容された状態となる部位に設けられることを要旨とする。
【0024】
ガラス破損検知装置の破損検知対象を、ドアに対して開閉動作可能に設けられる自動車用のウインドウガラスとした場合には、平面コイルパターンは、本発明に示されるように、ウインドウガラスの開閉状態にかかわらず常にドアの内部に収容される部位に形成することが好ましい。この構成によれば、平面コイルパターンは常にドアに隠れるので、車両の見栄えがよい。
【0025】
請求項11に記載の発明は、請求項8〜請求項10のうちいずれか一項に記載のガラス破損検知装置において、前記熱硬化性導電樹脂材料は、銀ペーストであることを要旨とする。
【0026】
銀ペーストにより構成された平面コイルパターンは、該平面コイルパターンを例えば線材コイルとした場合と異なり、ウインドウガラスの破損に伴い確実に断線する。特に、本発明の銀ペーストによる平面コイルパターンを請求項9又は請求項10に記載される自動車用のウインドウガラスと併せて適用することにより、確実にウインドウガラスの破損を検知することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上詳述したように、本発明によれば、設置作業の容易化を図りつつ、高い信頼性でガラスの破損有無を検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(第1実施形態)
以下、本発明を車両用ウインドウガラスの破損有無を検知するガラス破損検知装置として具体化した第1実施形態を図1〜図5に基づき詳細に説明する。
【0029】
図1(a)に示すように、車両(自動車)のウインドウガラス1の一方の面(例えば室内側面)における下方部位には、平面コイルパターン2が形成されている。この平面コイルパターン2は、ペースト状の熱硬化性の導電性樹脂(ここでは銀ペースト)がウインドウガラス1のガラス面に塗布・加熱されることによって固着され、ウインドウガラス1の破損時には断線するようになっている。ちなみに、車両のウインドウガラスとして用いられるガラスは、一箇所が破損すると全体が粉々に破損するように構成されていることから、ウインドウガラス1の破損時には、平面コイルパターン2は必ず断線する。
【0030】
図1(b)に示すように、平面コイルパターン2は、コイル機能部2aと、そのコイル機能部2aの両端にそれぞれ設けられた一対の電極2bとを備えている。そして、図2(a)に併せ示すように、各電極2bには、細長状の導電性接続部材3が接続されている。この導電性接続部材3は、接続部3aとその接続部3aの両端にそれぞれ設けられた一対の電極3bとからなり、各電極3bは平面コイルパターン2の各電極2bと一致する形状をなしている。なお、導電性接続部材3の各電極3bは平面コイルパターン2の各電極2bと必ずしも一致する形状としなくてもよい。図2(b)に示すように、各電極2b,3b間には、誘電体からなる接着剤4aが介在され、この接着剤4aによって導電性接続部材3は平面コイルパターン2に貼着されている。そして、図2(c)に示すように、これら電極2b,3bと接着剤4aとによって第1コンデンサ機能部4が構成されるとともに、該第1コンデンサ機能部4と平面コイルパターン2のコイル機能部2aとによって第1共振回路部5が構成されている。また、図3に示すように、第1共振回路部5は、ウインドウガラス1の全閉状態においても常にドア6内に収容された状態となる部位に形成されている。
【0031】
一方、図1及び図3に示すように、ドア6内において第1共振回路部5と対向する箇所には、第2共振回路部7が配設されている。この第2共振回路部7はプリント配線板8に形成され、第1共振回路部5の平面コイルパターン2と非接触状態で対向配置された平面コイル部9と、その平面コイル部9の一端に接続された第2コンデンサ機能部としてのコンデンサ10とを備えている。そして、図4に示すように、平面コイル部9のコンデンサ10と反対側の端部とコンデンサ10の平面コイル部9と反対側の端部との間には発振部11が接続されている。また、平面コイル部9とコンデンサ10との接続点と該平面コイル部9のコンデンサ10と反対側の端部との間には検波部12が接続されている。このため、第2共振回路部7は、直列共振回路となっている。また、検波部12には、破損検知手段としての制御部13が接続されている。そして、これら第1共振回路部5、第2共振回路部7、発振部11、検波部12及び制御部13によってガラス破損検知装置14が構成されている。
【0032】
第1共振回路部5及び第2共振回路部7は、同じ共振周波数(図5に示す共振周波数fc)に設定され、発振部11の発振周波数は該共振周波数fcに設定されている。このため、該共振周波数fcとその近くの周波数においては、第2共振回路部7と第1共振回路部5とが電磁結合した状態となる。
【0033】
検波部12は、第2共振回路部7のインピーダンス変化に伴う電圧変化を検知するとともに、その検知信号を制御部13に出力する。第2共振回路部7は直列共振回路であるため、図5(a)に示すように、第2共振回路部7のインピーダンスZは共振周波数fcで最小となり、検波電圧Vは最大となる。ところが、第2共振回路部7と対向する箇所に第1共振回路部5が位置した状態(ウインドウガラス1の全閉状態)にあっては、第1共振回路部5が第2共振回路部7に電磁結合するとともに、該第1共振回路部5は並列共振回路であることから、図5(b)に示すように、共振周波数fcにおけるインピーダンスZは高くなる。また、第2共振回路部7と対向する箇所に第1共振回路部5が位置していない状態(ウインドウガラス1の開状態)や、第1共振回路部5の断線状態にあっては、第1共振回路部5が第2共振回路部7に電磁結合しなくなるため、図5(c)に示すように、共振周波数fcにおけるインピーダンスZは低くなる。よって、検波電圧Vは、電磁結合状態にあっては低くなり、非電磁結合状態にあっては高くなる。
【0034】
制御部13は、検波部12からの検知信号に基づいてウインドウガラス1の破損有無を判断する。詳しくは、図5(b),(c)に示すように、制御部13には予め設定された電圧閾値Vthが記録されており、該制御部13は、共振周波数fcにおける電圧変化を監視する。ウインドウガラス1が破損していない状態にあっては、第1共振回路部5と第2共振回路部7とが電磁結合した状態となるため、図5(b)に示すように共振周波数fcにおける検波電圧Vは電圧閾値Vthよりも低くなる。しかしながら、ウインドウガラス1が破損して第1共振回路部5の平面コイルパターン2が断線すると、第1共振回路部5と第2共振回路部7とは電磁結合しなくなるため、図5(c)に示すように共振周波数fcにおける検波電圧Vは電圧閾値Vthよりも高くなる。そして、制御部13は、検波部12によって検知された電圧値が電圧閾値Vthよりも高いか否かに基づいてウインドウガラス1の破損有無を判断し、ウインドウガラス1が破損していると判断した場合には、予め設定された制御対象に制御信号を出力する。具体的には、制御部13は、例えば制御対象としての報知器に対して作動制御信号を出力し、ウインドウガラス1の破損検知時においては該報知器を作動させてウインドウガラス1の破損を報知させることなどが挙げられる。
【0035】
したがって、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)ウインドウガラス1の非破損状態にあっては両共振回路部5,7が電磁結合するものの、ウインドウガラス1の破損状態にあっては第1共振回路部5の平面コイルパターン2が断線するため、両共振回路部5,7が電磁結合しなくなる。両共振回路部5,7が電磁結合をしている状態としていない状態とでは、共振周波数fcにおける回路全体のインピーダンスZに大幅な変化を生じる。このため、制御部13は、こうしたインピーダンスZの変化に基づく検波電圧Vの変化を検知することにより、ウインドウガラス1の破損有無を検知することができる。しかも、制御部13側の回路と第1共振回路部5とをリード線を用いて接続する必要がないため、破損検知対象として車両用のウインドウガラス1のような可動ガラスにも容易に適用することができる。ガラス破損検知装置14の設置作業の容易化も図られる。
【0036】
また、2つの共振回路部5,7を用いることにより、電磁結合状態と非電磁結合状態とでのインピーダンスZの変化幅、すなわち検波電圧Vの変化幅を大きく確保することができるため、ウインドウガラス1の破損有無を確実に検知することができる。ちなみに、例えば一次側(第2共振回路部7側)をコイル部のみで構成するなど共振回路としない場合には、第1共振回路部5との電磁結合力が小さくなってしまうため、電磁結合状態と非電磁結合状態とでのインピーダンスZの変化幅が小さくなってしまう。それゆえ検知精度が低く、第1共振回路部5に対するプリント配線板8(平面コイル部9)の配置をシビアに設定するなどの措置が必要となってしまう等の不都合が生じる。
【0037】
加えて、第1共振回路部5とのリード線等を用いた電気的接続が不要となるため、ウインドウガラス1等の可動ガラスにおいても、高い信頼性で破損有無を検知することができる。
【0038】
さらには、平面コイルパターン2の両端に設けられた電極2bに導電性接続部材3を接続することによって第1コンデンサ機能部4として機能させることができるため、第1共振回路部5を構成するにあたり、チップコンデンサ等の実装部品を不要とすることができる。よって、第1共振回路部5を薄く形成することができ、ウインドウガラス1からの第1共振回路部5の突出量を軽減することができる。このため、例えば第1共振回路部5を絶縁フィルムなどで防水保護加工する際に、その防水性を確保することができる。
【0039】
(2)導電性接続部材3の各電極3bを接着剤4aによって平面コイルパターン2の各電極2bに貼着するだけで、第1コンデンサ機能部4を構成することができる。このため、第1共振回路部5を単純且つ容易に形成することができる。
【0040】
(3)第1共振回路部5は並列共振回路によって構成され、第2共振回路部7は直列共振回路によって構成されている。このため、両共振回路部5,7の共振周波数fcで第2共振回路部7を発振させると第1共振回路部5のインピーダンスZが最小となるため、第1共振回路部5との間で強固に電磁結合するとともに、その電磁結合状態においては、第1共振回路部5の影響により回路全体のインピーダンスZは高くなる。よって、ウインドウガラス1の破損によって両共振回路部5,7の電磁結合が失われた場合には、インピーダンスZの変化が顕著に表れることとなる。よって、制御部13は、該インピーダンスZの変化に伴う検波電圧Vの変化を確実に検知することができ、ウインドウガラス1の破損有無を高精度に検知することができる。
【0041】
(4)平面コイルパターン2は、ウインドウガラス1のガラス面に熱硬化性導電樹脂材料を固着することによって構成した。このため、ウインドウガラス1の破損によって確実に断線する平面コイルパターン2を容易且つ確実に形成することができる。ひいては、高い信頼性でガラスの破損有無を検知することができる。
【0042】
(5)ドア6に対して開閉動作可能に設けられる自動車用のウインドウガラス1の破損有無をガラス破損検知装置14により検知するようにした。一般に、自動車用のウインドウガラス1、特にサイドガラス及びリアガラスは、一箇所の破損で全体が粉々に破損するように構成されている。このため、平面コイルパターン2(正確には、第1共振回路部5)をウインドウガラス1のいずれの部位に配設した場合であれ、該ウインドウガラス1の破損に伴い平面コイルパターン2は断線する。すなわち、ウインドウガラス1の破損可能性のある部位を想定し、この想定した部位に平面コイルパターン2を必ずしも設ける必要はない。したがって、平面コイルパターン2のウインドウガラス1における配設の自由度が高められる。
【0043】
(6)ガラス破損検知装置14の破損検知対象を、ドア6に対して開閉動作可能に設けられる自動車用のウインドウガラス1とした場合には、平面コイルパターン2は、ウインドウガラス1の開閉状態にかかわらず常にドア6の内部に収容される部位に形成することが好ましい。このようにすれば、平面コイルパターン2(正確には、第1共振回路部5)は常にドア6に隠れるので、車両の見栄えがよい。
【0044】
(7)平面コイルパターン2を構成する熱硬化性の導電樹脂材料として、ウインドウガラス1の破損時に確実に断線状態となる脆弱性を有する銀ペーストを採用した。このため、例えば第1共振回路部5の平面コイルパターン2を線材コイルとした場合と異なり、ウインドウガラス1の破損に伴い確実に断線する。特に、銀ペーストによる平面コイルパターン2を自動車用のウインドウガラス1と併せて適用したことにより、確実にウインドウガラス1の破損を検知することができる。
【0045】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図6及び図7に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態においては第1実施形態と相違する点を主に述べ、共通する点については同一部材番号を付すのみとしてその説明を省略する。
【0046】
本実施形態においては、第1共振回路部5の構成が前記第1実施形態と異なる。詳しくは、図6(a),(b)に示すように、ウインドウガラス1のガラス面には、第1実施形態と同様に平面コイルパターン2が形成されている。また、導電性接続部材3は、フレキシブルプリント基板21にプリント形成されている。この導電性接続部材3の接続部3aは平面コイル状に形成され、平面コイルパターン2のコイル機能部2aと対向配置される付加コイルパターンとなっている。このため、図7に示すように、第1共振回路部5は、コイル機能部2a及び導電性接続部材3の両方によってコイルが構成されることとなる。
【0047】
したがって、本実施形態によれば、前記第1実施形態における上記(1)〜(7)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(8)第1共振回路部5のコイル巻数を小面積で多く確保することができるとともに、第1コンデンサ機能部4の静電容量を小さくすることができる。このため、平面コイルパターン2の電極2bと導電性接続部材3の電極3bとの接続面積を小さくすることができ、ガラス面における第1共振回路部5の所要面積を小さくすることができる。
【0048】
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を図8及び図9に基づいて説明する。
図8に示すように、前記導電性接続部材3は、第2共振回路部7が実装されたプリント配線板8において、平面コイルパターン2の各電極2bに電極3bが対向するように実装されている。そして、該プリント配線板8は、導電性接続部材3の各電極3bにおける平面コイルパターン2との対向面には図示しない誘電体が積層され、それら誘電体が平面コイルパターン2の各電極に摺接(接触)または近接するように、ドア6内に配設されている。
【0049】
このため、導電性接続部材3はウインドウガラス1には設けられないものの、図9に示すように、各電極2b,3b及びその間に介在される誘電体によって第1コンデンサ機能部4が構成された状態となる。
【0050】
したがって、本実施形態によれば、前記第1実施形態における上記(1)〜(7)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(9)導電性接続部材3は、第2共振回路部7と共にプリント配線板8に実装され、平面コイルパターン2とは別体で構成されるため、ウインドウガラス1のガラス面には平面コイルパターン2のみを形成するだけでよい。よって、ウインドウガラス1に対する部品実装点数を減らすことができ、ガラス面に導電性接続部材3を実装する場合に比べて製造工程の簡素化を図ることができる。
【0051】
(第4実施形態)
次に、本発明を具体化した第4実施形態を図10〜図13に基づいて説明する。
図10に示すように、ウインドウガラス1のガラス面には、第1実施形態と同様に平面コイルパターン2が形成され、コイル機能部2aが断線検知用配線パターンとして構成されている。導電性接続部材3は、前記第2実施形態と同様に、フレキシブルプリント基板21にプリント形成されている。この導電性接続部材3の接続部3aは平面コイル状に形成され、平面コイルパターン2のコイル機能部2aと対向配置される付加コイルパターンとなっている。
【0052】
また、導電性接続部材3の接続部3aの経路上には、電気的に遮断された接続端子3c,3dが形成されている。そして、それら接続端子3c,3dの近傍には、フレキシブルプリント基板21上に第1電極22、導電体23、第2電極24の順に積層されてなるシート状コンデンサ部25が形成され、このシート状コンデンサ部25によって第1コンデンサ機能部が構成されている。そして、第1電極22が接続部3aの接続端子3cに接続され、第2電極24が接続端子3dに接続されている。すなわち、本実施形態においては、図11に示すように、平面コイルパターン2のコイル機能部2a、導電性接続部材3の接続部3a、及びシート状コンデンサ部25によって第1共振回路部5が構成されている。
【0053】
シート状コンデンサ部25は、フレキシブルプリント基板21上に積層形成されたシート状物であるため、一部位を切断加工することによって静電容量の調整が可能となり、可変容量コンデンサとして機能する。具体的には、例えば図12に破線Hで示すようにシート状コンデンサ部25の一部を切断すれば、各電極22,24の対向面積を小さくすることができるため、静電容量の微調整が可能となる。また、例えば図13に示すように、シート状コンデンサ部25にくり抜き孔26を設けても、該シート状コンデンサ部25の静電容量の微調整が可能となる。よって、こうしたシート状コンデンサ部25の切断加工により、第1共振回路部5の共振周波数fcの微調整が可能となる。
【0054】
なお、本実施形態においてウインドウガラス1のガラス面に対して、前記各実施形態と同様に平面コイルパターン2を形成し、該平面コイルパターン2のコイル機能部2aを断線検知用配線パターンとしている。しかし、導電性接続部材3の接続部3aによって平面コイルが形成されている場合には、必ずしもコイル機能部2aによって断線検知用配線パターンが構成されている必要はない。すなわち、ガラス面には、導電性接続部材3の両電極3b間を導通させるとともにウインドウガラス1の破損時に必ず断線状態となるパターンが形成されていればよい。一方、ガラス面にコイル機能部2aが形成されている場合には、導電性接続部材3の接続部3aは、必ずしも平面コイル状に形成されている必要はない。
【0055】
また、平面コイルパターン2の各電極2bと導電性接続部材3の各電極3bとは、前記第1,3実施形態と同様に接着剤4aを介して接続され、第1コンデンサ機能部4として機能するようになっていてもよいし、両電極2b,3bを導通させた状態で接続してもよい。
【0056】
したがって、本実施形態によれば、前記第1実施形態における上記(1)〜(7)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(10)第1コンデンサ機能部は、フレキシブルプリント基板上に積層形成されたシート状コンデンサ部25によって構成されているため、このシート状コンデンサ部25を切断加工することにより、第1コンデンサ機能部の静電容量を容易に調整可能となる。よって、第1共振回路部5の共振周波数の微調整を容易に行うことができる。
【0057】
(第5実施形態)
次に、本発明を具体化した第5実施形態を図14及び図15に基づいて説明する。
図14に示すように、ウインドウガラス1のガラス面には、第1実施形態と同様に平面コイルパターン2が形成され、該平面コイルパターン2の両端に導電性接続部材3が接続されることによって第1共振回路部5が形成されている。また、ガラス面における平面コイルパターン2のコイル機能部2aの中央部位には、該コイル機能部2aと非接続状態となる複数のダンピング部31が形成されている。本実施形態においてダンピング部31は四角形状をなし、平面コイルパターン2と共にガラス面に塗布・加熱されることによって固着されたペースト状の熱硬化性の導電性樹脂によって構成されている。
【0058】
このようにダンピング部31を形成した場合、第2共振回路部7と第1共振回路部5との電磁結合状態にあっては、各ダンピング部31がその電磁結合領域に形成されているため抵抗分として機能し、図15に示すように、第1共振回路部5に抵抗分Rが挿入された状態となる。すなわち、第1共振回路部5は、平面コイルパターン2のコイル機能部2a、第1コンデンサ機能部4、及び抵抗分Rによって構成された状態となる。このため、この抵抗分Rにより共振の鋭さ(Q)が鈍くなり、図5(b)に示した共振周波数fcにおけるインピーダンスZの変化が緩やかになる。
【0059】
なお、ダンピング部31は、必ずしも平面コイルパターン2の中央部位に形成されている必要はなく、第1共振回路部5と第2共振回路部7との電磁結合領域内に形成されていればよい。すなわち、ダンピング部31は、例えば平面コイルパターン2の外側に形成されてもよい。また、ダンピング部31は、必ずしも複数個設けられる必要はなく、形状も四角形状に限定されない。例えば、ダンピング部31は、ループ状に構成されてもよい。
【0060】
したがって、本実施形態によれば、前記第1実施形態における上記(1)〜(7)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(11)両共振回路部5,7の電磁結合領域内にダンピング部が設けられているため、第1共振回路部5の共振の鋭さ(Q)が急峻になりすぎてしまうことが抑止される。よって、両共振回路部5,7の電磁結合を強固にすべく第1共振回路部5のコイル機能部2aの巻数を多くした場合においても、共振の鋭さ(Q)を制御することができる。また、ガラス面にダンピング部31をパターン形成することで該共振の鋭さ(Q)を抑制することができるため、例えば第1共振回路部5にチップ抵抗を付加したり、コイル機能部2aの断面積を小さくしたりするなどの措置を施す場合よりも、容易且つ確実に該共振の鋭さを抑制することができる。
【0061】
(12)各ダンピング部31は、平面コイルパターン2のコイル機能部2aの中央部位に設けられている。電磁結合時においてコイル機能部2aの中央部位は磁束密度が高くなるため、こうした部位にダンピング部31を設けることにより、共振の鋭さ(Q)を効率的に抑制することができる。
【0062】
(第6実施形態)
次に、本発明を具体化した第6実施形態を図16及び図17に基づいて説明する。
図16に示すように、本実施形態のガラス破損検知装置14は、前記発振部11を周波数可変発振手段としての周波数可変発振部32に変更した点と、制御部13によってその周波数可変発振部32の発振周波数が制御される点で前記各実施形態と異なる。
【0063】
詳しくは、周波数可変発振部32は、両共振回路部5,7の共振周波数fcを含む複数種の周波数で発振可能に構成され、制御部13からの制御信号に基づいて発振周波数が変更される。
【0064】
制御部13は、ウインドウガラス1の破損有無監視時においては、図17に示すように、共振周波数fcよりも低く設定されたサーチ開始周波数fsから、該共振周波数fcよりも高く設定されたサーチ終了周波数feまでの周波数帯域において、該共振周波数fcを含む複数の周波数に変更するための制御信号を周波数可変発振部32に出力する。そして、制御部13は、それら周波数における検波電圧Vの変化傾向に基づいてウインドウガラス1の破損有無を判断する。
【0065】
具体的には、ウインドウガラス1に破損が生じていない場合、図17に示すように、共振周波数fcに近い周波数ほど検波電圧Vが低くなり、遠いほど高くなる。このため、制御部13は、発振周波数をサーチ開始周波数fsからサーチ終了周波数feに順に変化させていくと「高→低→高」と変化する電圧値を認識する。こうした変化傾向は、例えば同図に1点鎖線及び2点鎖線で示すように、たとえ両共振回路部5,7の製造上の誤差によって共振周波数fcが誤差周波数fcα,fcβ等にずれていたとしても同様に「高→低→高」となる。
【0066】
一方、ウインドウガラス1に破損が生じている場合には、図5(c)に示したように、共振周波数fcで最も検波電圧Vが高くなり、その共振周波数fcから遠くなるほど低くなる。このため、制御部13は、発振周波数をサーチ開始周波数fsからサーチ終了周波数feに順に変化させていくと「低→高→低」、あるいは、サーチする範囲をより狭く設定した場合には「高→高→高」と変化する電圧値を認識する。
【0067】
よって、制御部13は、こうした電圧値の変化傾向を監視することにより、電圧閾値Vthを基準とすることなくウインドウガラス1の破損有無を確実に認識可能となる。
したがって、本実施形態によれば、前記第1実施形態における上記(1)〜(7)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
【0068】
(13)両共振回路部5,7が電磁結合している状態と電磁結合していない状態とでは共振周波数fc付近の周波数での電気的特性の変化傾向が大幅に異なるため、たとえ製造上の誤差等によって各共振回路部5,7の共振周波数fcにズレが生じていたとしても、制御部13は、該電気的特性の変化傾向に基づいてガラスの破損有無を確実に検知することができる。
【0069】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 前記各実施形態を任意に組み合わせてもよい。例えば、第6実施形態における周波数可変発振部32の構成及び制御部13による破損有無判断を第1〜第5実施形態に適用したり、第5実施形態におけるダンピング部31の構成を第1〜第4及び第6実施形態に適用したりしてもよい。
【0070】
・ 第2共振回路部7は、必ずしも直列共振回路である必要はなく、並列共振回路によって構成されていてもよい。
・ 第1共振回路部5の表面に、絶縁フィルムを被覆するなどの保護処理を施してもよい。
【0071】
・ ウインドウガラス1のガラス面に形成された平面コイルパターン2は、必ずしも熱硬化性導電樹脂材料によって構成されている必要はなく、該ウインドウガラス1の破損時に確実に断線状態となる脆弱性を有する導電性材料によって構成されていればよい。
【0072】
・ 第2共振回路部7を構成するコイル部(平面コイル部9)は、必ずしも平面形状をなしている必要はない。
・ ガラス破損検知装置14は、必ずしも車両のウインドウガラス1の破損検知装置として適用される必要はなく、例えば住宅の窓ガラス等の破損検知装置として適用されてもよい。また、ガラス破損検知装置14は、必ずしも可動ガラスの破損検知装置として適用される必要はなく、固定ガラスの破損検知装置として適用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態のガラス破損検知装置の配設状態を概略的に示す斜視図、(b)は(a)の一部拡大図。
【図2】(a)は第1実施形態の第1共振回路部の概略構成を示す正面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は第1共振回路部の等価回路を示す回路図。
【図3】同実施形態のガラス破損検知装置の設置状態を概略的に示す断面図。
【図4】同実施形態のガラス破損検知装置の電気的構成を概略的に示す回路図。
【図5】(a)〜(c)は、同実施形態のガラス破損検知装置の検知波形特性を示すグラフ。
【図6】(a)は本発明の第2実施形態のガラス破損検知装置の配設状態を概略的に示す斜視図、(b)は(a)の一部拡大図。
【図7】同実施形態の第1共振回路部の等価回路を示す回路図。
【図8】本発明の第3実施形態のガラス破損検知装置の配設状態を概略的に示す斜視図。
【図9】同実施形態のガラス破損検知装置の電気的構成を概略的に示す回路図。
【図10】本発明の第4実施形態のガラス破損検知装置の配設状態を概略的に示す斜視図。
【図11】同実施形態の第1共振回路部の等価回路を示す回路図。
【図12】同実施形態の第1共振回路部の切断加工例を示す正面図。
【図13】同実施形態の第1共振回路部の切断加工例を示す正面図。
【図14】本発明の第5実施形態の第1共振回路部の概略構成を示す正面図。
【図15】同実施形態の第1共振回路部の等価回路を示す回路図。
【図16】本発明の第6実施形態のガラス破損検知装置の電気的構成を概略的に示す回路図。
【図17】同実施形態のガラス破損検知装置の検知波形特性を示すグラフ。
【符号の説明】
【0074】
1…ウインドウガラス、2…平面コイルパターン、2a…コイル機能部、2b…電極、3…導電性接続部材、3a…接続部、3b…電極、4…第1コンデンサ機能部、4a…接着剤、5…第1共振回路部、7…第2共振回路部、9…平面コイル部、10…コンデンサ、11…発振部、12…検波部、13…破損検知手段としての制御部、14…ガラス破損検知装置、21…フレキシブルプリント基板、22…第1電極、23…誘電体、24…第2電極、25…シート状コンデンサ部、31…ダンピング部、32…周波数可変発振部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破損検知対象となるガラス面に形成されて該ガラスの破損時に断線状態となる平面コイルパターンと、その平面コイルパターンに電気的に接続されて共振回路を構成する第1コンデンサ機能部とを備える第1共振回路部と、
前記平面コイルパターンと非接触状態で対向配置されて共振回路部と電磁結合するコイル部と、そのコイル部に電気的に接続されて共振回路を構成する第2コンデンサ機能部とを備える第2共振回路部と、
両共振回路部の電磁結合状態を監視し、該電磁結合状態に基づいてガラスの破損有無を検知する破損検知手段とを備え、
前記第1コンデンサ機能部は、前記平面コイルパターンの端縁に設けられた電極と、その電極と誘電体を介して接続される電極を有し、該平面コイルパターンの両端間を電気的に接続する導電性接続部材とによって構成されていることを特徴とするガラス破損検知装置。
【請求項2】
前記導電性接続部材は、誘電材料からなる接着剤によって前記平面コイルパターンの両端に貼着され、前記誘電体は、その貼着に用いられる該接着剤によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載のガラス破損検知装置。
【請求項3】
前記導電性接続部材は、前記平面コイルパターンと離間配置された基板に前記第2共振回路部と共に実装され、前記誘電体を介して前記電極と接触または近接することにより、該電極と共に前記第1コンデンサ機能部を構成することを特徴とする請求項1に記載のガラス破損検知装置。
【請求項4】
前記導電性接続部材における両端間に、前記平面コイルパターンと対向配置される付加コイルパターンを設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス破損検知装置。
【請求項5】
破損検知対象となるガラス面に形成されて該ガラスの破損時に断線状態となる断線検知用配線パターンの両端に電気的に接続されて共振回路を構成する第1コイル機能部及び第1コンデンサ機能部を備える第1共振回路部と、
第1コイル機能部と非接触状態で対向配置されて該第1共振回路部と電磁結合するコイル部、及びそのコイル部に電気的に接続されて共振回路を構成する第2コンデンサ機能部を備える第2共振回路部と、
両共振回路部の電磁結合状態を監視し、該電磁結合状態に基づいてガラスの破損有無を検知する破損検知手段とを備え、
前記第1コイル機能部を、前記ガラス面に固着されるフレキシブルプリント基板に構成された平面コイル部、及び前記断線検知用配線パターンのうちの少なくとも一方によって構成するとともに、
前記第1コンデンサ機能部を、第1電極、誘電体、第2電極の順に該フレキシブルプリント基板上に積層形成されたシート状コンデンサ部によって構成したことを特徴とするガラス破損検知装置。
【請求項6】
前記第2共振回路部に対する発振周波数を可変とした周波数可変発振手段を備え、
前記破損検知手段は、前記第2共振回路部の共振周波数を含む予め設定された範囲内で前記発振周波数を変化させるとともに、その変化に伴う第2共振回路部の電気的特性の変化に基づいて両共振回路部の電磁結合状態を監視し、該電磁結合状態に基づいてガラスの破損有無を検知することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス破損検知装置。
【請求項7】
前記ガラス面における両共振回路部の電磁結合領域内に、前記第1共振回路部と非接続状態となる導電性材料からなるダンピング部を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス破損検知装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載のガラス破損検知装置において、
前記平面コイルパターンは、前記ガラス面に熱硬化性導電樹脂材料を固着することによって構成されているガラス破損検知装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載のガラス破損検知装置において、
前記破損検知対象は、自動車用のウインドウガラスであるガラス破損検知装置。
【請求項10】
請求項9に記載のガラス破損検知装置において、
前記ウインドウガラスは、自動車のドアに対して開閉動作可能に設けられ、
前記平面コイルパターンは、前記ウインドウガラスにおいて、その開閉状態にかかわらず常にドアの内部に収容された状態となる部位に設けられるガラス破損検知装置。
【請求項11】
請求項8〜請求項10のうちいずれか一項に記載のガラス破損検知装置において、
前記熱硬化性導電樹脂材料は、銀ペーストであるガラス破損検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−293330(P2008−293330A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139126(P2007−139126)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】