説明

ガラス組成物、及び、誘電体製造方法

【課題】水性分散体の成分として採用された場合においてもゲル化などの問題を生じさせるおそれのない焼結助剤に適したガラス組成物を提供し、ひいては、誘電体の製造方法における作業性の低下を抑制しつつ環境負荷の軽減を図ることを目的としている。
【解決手段】酸化物換算の質量%で、SiO2が30〜60%;ZrO2及びTiO2のいずれか一方又は両方が合計3〜20%;B23が0〜20%;Al23が0〜15%;ZnOが0〜15%;MgO、CaO、SrO及びBaOの内の1種以上が合計0〜25%;Li2O、Na2O及びK2Oの内の1種以上が合計0〜20%の組成比を有し、しかも、B23、MgO、CaO、SrO、BaO、Li2O、Na2O、及びK2Oの総合計が、40質量%以下となる組成比を有しており、セラミック誘電体粒子の焼結助剤に用いられることを特徴とガラス組成物などを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス組成物、及び、誘電体製造方法に関し、より詳しくは、セラミックス誘電体粒子を焼結するための助剤として用いられるガラス組成物、及び、このようなガラス組成物を用いた誘電体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セラミックコンデンサや、高周波用途における波長短縮を行うための素子などには、20を超えるような高い比誘電率を有する物質で形成された誘電体が用いられている。
例えば、デジタル電子機器の小型化、高機能化にともなって積層セラミックコンデンサ(MLC)などにおいては小型化、高容量化が求められており、近年のMLCでは、BaTiO3のような高い誘電率を有する物質で形成された誘電体が複数層積層された状態で用いられている。
そして、この誘電体の層厚みを10μm以下の薄さとすることが求められたりしている。
【0003】
このような誘電体を作製する方法としては、BaTiO3粒子などのセラミック誘電体粒子を含有させたグリーンシートを用いる方法が知られており、グリーンシートで、一旦、誘電体形状を有する予備成形品を形成させ、この予備成形品を焼成することによってセラミック誘電体粒子どうしを結着させて誘電体を作製する方法が知られている。
このグリーンシートには、セラミック誘電体粒子を単独で焼結させるような場合よりも低温での焼結を可能にすることを目的として焼結を補助する焼結助剤が含有される場合があり、この焼結助剤としてガラス成分を含有させることが下記特許文献1などにおいて検討されている。
【0004】
このガラス成分は粉末ガラスのような形でグリーンシートに配合され、該グリーンシートは、セラミック誘電体粒子と粉末ガラスとを含むスラリーやペーストをポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの基材上にドクターブレード法などによって塗布又は印刷した後にオーブンなどで乾燥させる方法によって作製されている。
【0005】
このようなグリーンシートを利用する方法は、グリーンシート自体が取り扱い容易であるばかりでなく、所望の形状に加工しやすい点において誘電体の作製に好適であるといえる。
なお、この焼結助剤としてグリーンシートに含有されたガラス成分は、通常、焼結後の誘電体に残存することとなる。
【0006】
ところで、ガラスからは、酸性液体やアルカリ性液体などに接液した際に、その成分を溶出させる場合があることが知られており、例えば、中性の水に対しても成分溶出を生じることが知られている。
したがって、誘電体に残存する前記ガラス成分が水に対して溶出されやすいものであった場合には、当該誘電体に耐水性の点で問題を発生させるおそれを有する。
【0007】
また、近年、環境負荷軽減の観点から、有機溶剤に代えて水系溶剤を利用することが求められているが、グリーンシートの作製に用いるスラリーやペーストを水系溶剤を分散媒とした水性分散体とした場合には成分溶出を生じやすい粉末ガラスが採用されていると水性分散体にゲル化を生じさせるおそれを有する。
このようなゲル化が発生すると基材上への塗布や印刷を困難にさせることとなりグリーンシートの作製を困難にさせるおそれを有する。
【0008】
このように種々の観点から、セラミック誘電体粒子の焼結助剤として用いられるガラス組成物には、耐水性が求められるものではあるが下記特許文献1に示されているガラス組成物は、水系溶剤を用いた場合の泡立ちに着目してなされているもので成分の溶出について十分な考慮がなされておらず上記のような問題を回避できるものではない。
また、水性分散体を利用してグリーンシートを作製させる場合に焼結助剤として含有させる粉末ガラスを形成させるのに適したガラス組成物が見出されていないために、誘電体の製造における環境負荷の軽減を図ることが困難な状況となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−236264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み、水などの水系溶剤に対する成分溶出が少なく、焼結助剤として用いるのに適したガラス組成物を提供し、ひいては、誘電体の製造方法における環境負荷の軽減を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、このような課題を解決すべく、水などの水系溶剤に対して溶出し易い成分を特定し、このような成分の含有量の低減を図りつつ組成比を調整して本発明を完成させるに至ったものである。
【0012】
すなわち、上記課題を解決するための、ガラス組成物にかかる本発明は、
セラミック誘電体粒子の焼結助剤として用いられるガラス組成物であって、
酸化物換算の質量%で、
SiO2:30〜60%、
ZrO2及びTiO2のいずれか一方又は両方:合計3〜20%、
23:0〜20%、
Al23:0〜15%、
ZnO:0〜15%、
MgO、CaO、SrO及びBaOの内の1種以上:合計0〜25%、
Li2O、Na2O及びK2Oの内の1種以上:合計0〜20%
となる組成比を有し、しかも、
23、MgO、CaO、SrO、BaO、Li2O、Na2O、及びK2Oの総合計が、40質量%以下となる組成比を有していることを特徴としている。
【0013】
また、上記課題を解決するための、誘電体製造方法にかかる本発明は、
酸化物換算の質量%で、
SiO2:30〜60%、
ZrO2及びTiO2のいずれか一方又は両方:合計3〜20%、
23:0〜20%、
Al23:0〜15%、
ZnO:0〜15%、
MgO、CaO、SrO及びBaOの内の1種以上:合計0〜25%、
Li2O、Na2O及びK2Oの内の1種以上:合計0〜20%
となる組成比を有し、しかも、
23、MgO、CaO、SrO、BaO、Li2O、Na2O、及びK2Oの総合計が、40質量%以下となる組成比を有するガラス組成物を焼結助剤として用いてセラミック誘電体粒子の焼結を実施して誘電体を作製することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のガラス組成物は、耐水性に優れたガラスの形成に有用でありセラミック誘電体粒子の焼結助剤として用いられるのに好適なものである。
そして、耐水性に優れたガラスの形成に有用なガラス組成物が提供されることから、当該ガラス組成物を焼結助剤として用いることで水系溶剤を利用して誘電体を製造することができ、環境負荷の軽減を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、発明の実施の形態について説明する。
本実施形態におけるガラス組成物は、酸化物換算の質量%で、SiO2が30〜60%;ZrO2及びTiO2のいずれか一方又は両方が合計3〜20%;B23が0〜20%;Al23が0〜15%;ZnOが0〜15%;MgO、CaO、SrO及びBaOの内の1種以上が合計0〜25%;Li2O、Na2O及びK2Oの内の1種以上が合計0〜20%;となる組成比を有し、しかも、B23、MgO、CaO、SrO、BaO、Li2O、Na2O、及びK2Oの総合計が、40質量%以下となる組成比を有しており、セラミック誘電体粒子の焼結助剤として用いられるものである。
各成分に関して上記のような範囲が設定されているのは、次のような理由によるものである。
【0016】
SiO2は、ガラスの耐水性を向上させるのに必要な必須成分で含有量は酸化物換算で30〜60質量%である。
下限値が30質量%とされているのは、本実施形態のガラス組成物におけるSiO2の含有量が30質量%未満の場合は、得られるガラスの耐水性が不十分となり、スラリー等の水性分散体を作製した時にゲル化が生じる可能性を有するためである。
上限値が60質量%とされているのは、60質量%を超えて含有されると得られるガラスの軟化点が高くなり過ぎ、焼結助剤として十分な効果が得られなくなる可能性を有するためである。
このような点において、SiO2の含有量は、好ましくは35〜55質量%、より好ましくは40〜50質量%である。
【0017】
23は、ガラスの安定化、焼結性の調整に有効となる任意成分であり酸化物換算で20質量%以下の範囲で含有させることができる。
本実施形態のガラス組成物に含有させる場合において、その上限値が20質量%とされているのは、含有量が20質量%を超えた場合は、得られるガラスの耐水性が不十分となり、スラリー等の水性分散体を作製した時にゲル化が生じる可能性があるためである。
このような点においてB23の含有量は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
【0018】
Al23は、ガラスの耐水性を向上させるのに有効となる任意成分であり酸化物換算で15質量%以下の範囲で含有させることができる。
本実施形態のガラス組成物に含有させる場合において、その上限値が15質量%とされているのは、含有量が15質量%を超えた場合は、得られるガラスに結晶化を生じさせる可能性があるためである。
このような点においてAl23の含有量は、好ましくは2〜13質量%、より好ましくは5〜10質量%である。
【0019】
ZnOは、焼結性の調整に有効となる任意成分であり酸化物換算で15質量%以下の範囲で本実施形態のガラス組成物に含有させることができる。
上限値が15質量%とされているのは、本実施形態のガラス組成物におけるZnOの含有量が15質量%を超えた場合は、得られるガラスに結晶化を生じさせる可能性を有するためである。
このような点においてZnOの含有量は、好ましくは0〜13質量%、より好ましくは0〜10質量%である。
【0020】
MgO、CaO、SrO及びBaOは、焼結性の調整に有効となる任意成分であり酸化物換算の合計量で0〜25質量%含有させることができる。
上限値が25質量%とされているのは、本実施形態のガラス組成物におけるこれらの含有量の合計が25質量%を超えた場合は、得られるガラスの耐水性が不十分となり、スラリー等の水性分散体を作製した時にゲル化が生じる可能性を有するためである。
このような点においてMgO、CaO、SrO及びBaOの合計量は好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0〜15質量%である。
【0021】
Li2O、Na2O及びK2Oは、ガラスの軟化点を下げるのに有効となる任意成分であり酸化物換算の合計量で0〜20質量%含有させることができる。
これらの合計含有量の上限値が20質量%とされているのは、本実施形態のガラス組成物におけるこれらの含有量の合計が20質量%を超えた場合は、得られるガラスの耐水性が不十分となり、スラリー等の水性分散体を作製した時にゲル化が生じる可能性があるためである。
このような点においてLi2O、Na2O及びK2Oの合計量は好ましくは0〜15質量%、より好ましくは0〜10質量%である。
【0022】
ZrO2及びTiO2はガラスの耐水性を向上させるのに必要な必須成分で、これらは、いずれか1種のみを含有させても、両方を含有させてもよく、その合計含有量が酸化物換算で3〜20質量%であることが重要である。
これらの合計量における下限値が3質量%とされているのは、本実施形態のガラス組成物におけるZrO2及びTiO2の含有量の合計が3質量%未満の場合は、得られるガラスの耐水性が不十分となり、スラリー等の水性分散体を作製した時にゲル化が生じる可能性を有するためである。
上限値が20質量%とされているのは、本実施形態のガラス組成物に20質量%を超えて含有されると得られるガラスに結晶化を生じさせるおそれを有するためである。
このような点においてZrO2及びTiO2合計量は好ましくは3〜15質量%であり、より好ましくは5〜15質量%である。
【0023】
なお、本実施形態においては、ガラス組成物に占める、B23、MgO、CaO、SrO、BaO、Li2O、Na2O、及びK2Oの総合計が、40質量%以下とされることが重要である。
本実施形態のガラス組成物におけるこれらの成分の合計量が40質量%を超えると、仮に各成分の組成比が先述の範囲内となっている場合であってもガラスの耐水性が不十分となり、スラリー等の水性分散体を作製した時にゲル化が生じるおそれを有する。
このようなことから、これらの成分の合計量のより好ましい割合としては、35質量%以下である。
【0024】
なお、ここでは詳述しないが、本発明のガラス組成物は上記の成分以外にも本発明の効果を著しく損ねない範囲においては他の成分を許容しうるものである。
本発明のガラス組成物は、実質的に上記成分のみからなることが好ましいが、例えば、10質量%以下程度であれば本発明の効果を著しく損ねない範囲において他の成分が含有されていても良い。
【0025】
ガラス組成物におけるこれらの成分の組成比を調整して焼結助剤用の粉末ガラスを作製する場合は、例えば、全ての原料を例えば1200〜1500℃の温度で混合溶融して均一なガラスを作製し、該ガラスをボールミルなどの粉砕手段により粉末ガラスとする方法が挙げられる。
【0026】
積層セラミックコンデンサの誘電体を作製するための焼結助剤としてグリーンシートに含有させる粉末ガラスであれば、通常、平均粒子径が2μm以下、最大粒子径が10μm以下となるように粉砕条件の調整や、分級を実施することが好ましい。
【0027】
また、誘電体を作製する場合には、BaTiO3粒子等のセラミック誘電体粒子と上記のように作製された粉末ガラスとを一般的なバインダー樹脂とともに、水や水−アルコール混合溶媒などの水系溶剤に分散させてスラリーやペーストといった水性分散体を作製する工程を実施した後に、該水性分散体をドクターブレード法などによってPETフィルム上に成膜・乾燥して一旦グリーンシートを作製する工程を実施して、得られたグリーンシートをガラスの軟化点以上の温度に加熱してセラミック誘電体粒子どうしを結着させる方法を採用することができる。
このような方法によれば、手軽に誘電体を形成しうるのみならず、有機溶剤の使用が抑制されることから、環境負荷の軽減に有効であり、しかも、良好なる作業環境とすることができる。
さらには、防爆などのために特別な装置を用いる必要性も低減させ得る。
【0028】
また、本発明によれば、ガラスから水への成分溶出を抑制し得ることから、例えば、スラリーに予期せぬ粘度上昇が生じて、PETフィルムに所望の厚みで成膜することが難しくなったり、成膜自体が困難な状況にまでゲル化が生じたりすることを防止でき、例えば、厚みの薄い誘電体などを製造するような場合であっても、優れた厚み精度で誘電体を作製し得る。
したがって、本実施形態のガラス組成物は、焼結助剤として用いられる場合において、厚みの薄い誘電体を精度良く形成させることが求められている用途に適しているということができ、積層セラミックコンデンサの誘電体を作製するのに好適であるといえる。
【0029】
なお、水への成分溶出が少なく、ゲル化を生じさせにくいという効果においては、セラミック誘電体粒子の焼結助剤として用いられる場合のみならず、セラミック粒子や金属粒子などの無機物粒子とともに水性分散体を形成する場合も同様である。
すなわち、本実施形態においては、平均粒子径が2μm以下の微細な粉末ガラスが作製されるためにガラスからの成分溶出がより顕著なものとなりやすい点、ならびに有機溶剤を水などの水系溶剤に置き換えることを強く求められている点においてセラミック誘電体粒子の焼結助剤として用いる場合を例示しているが、主として誘電体粒子として利用されないような比誘電率が10未満の物質からなるセラミック粒子や、金属粒子などとともに水性分散体に含有させる粉末ガラスを形成させるべく本実施形態のガラス組成物を利用することでゲル化の抑制を図ることができるという点においては、上記例示と同様である。
【実施例】
【0030】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
(実施例1〜13、比較例1〜6)
(セラミッス誘電体粒子焼結助剤用粉末ガラスの作製)
表1〜3に示す配合組成となるよう原料を調合し、混合の後、白金ルツボ中で約1200〜1500℃の温度に加熱し1〜2時間溶融させた。
この溶融したガラスをステンレス製の冷却ロールにて急冷し、ガラスフレークを作製した。
なお、実施例及び比較例において使用した原料はSiO2、B23、Al23、ZnO、Mg(OH)2、CaCO3、SrCO3、BaCO3、Li2CO3、Na2CO3、K2CO3、TiO2及びZrO2である。
【0032】
ガラスフレークの一部は耐水性評価用に保管し、残りのガラスフレークをアルミナ製のボールミルを用い、アルコール及びジルコニアボールとで湿式粉砕することによって平均粒径を1μmとし得られたスラリーを乾燥後、解砕することによってセラミック誘電体粒子の焼結助剤として用いる粉末ガラスを作製した。
【0033】
(評価)
1)耐水性
ガラスフレークを乳鉢で粉砕し、600μmメッシュを通過し、425μmメッシュに留まる粉末を採取して、この粉末にエタノールを加え、超音波分散した後に上澄みを除去することによって粉末中の微粉を除去した。
この微粉除去を5回繰り返した後に乾燥し、耐水性試験用試料とした。
この耐水性試験用試料を目開きが200μmの白金製の籠にガラスの比重と同じグラム数入れ、沸騰水中に1時間浸漬した後にエタノール中で洗浄し、乾燥した。
この沸騰水に浸漬する前後の質量を比較し、その重量減量率(減量/初期質量×100%)を算出した。
結果を、表に示す。
なお、減量率が小さいガラスは、耐水性が良いと判定でき、減量率が大きいガラスは、耐水性が悪いと判定できる。
【0034】
2)ゲル化
アルミナ製ボールミルにチタン酸バリウム粉末100重量部、蒸留水100重量部、各実施例、比較例のガラス粉末3重量部を入れ、ジルコニアボールを用いて湿式分散を行い、ゲル化が発生したものを「×」、ゲル化はしないがスラリーの粘性が上昇したものを「△」、分散後もスラリーの粘度が上昇しなかったものを「○」とした。
結果を、表に示す。
【0035】
3)焼結性
ゲル化の評価においてゲル化が発生しなかったスラリーを乾燥し、乾燥した粉末を比重と同じグラム数となるように量り取り20mmφにプレス成形し、1200℃で1時間焼成し焼結体を作製した。
焼結体の断面を顕微鏡で観察し、緻密に焼結できているものを「○」、空隙が多く残っているものを「×」とした。
結果を、表に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
以上のように、酸化物換算の質量%でSiO2が30〜60%;B23が0〜15%;Al23が0〜15%;ZnOが0〜15%;MgO、CaO、SrO及びBaOの合計が0〜25%;Li2O、Na2O及びK2Oの合計が0〜20%;ZrO2及びTiO2の合計が3〜20%となる組成比で、しかも、B23、MgO、CaO、SrO、BaO、Li2O、Na2O、及びK2Oの総合計が、40質量%以下となる組成比のガラス組成物が用いられてなる粉末ガラスは耐水性が優れ積層セラミックコンデンサの誘電体を作製する場合の焼結助剤として好適なものであることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック誘電体粒子の焼結助剤として用いられるガラス組成物であって、
酸化物換算の質量%で、
SiO2:30〜60%、
ZrO2及びTiO2のいずれか一方又は両方:合計3〜20%、
23:0〜20%、
Al23:0〜15%、
ZnO:0〜15%、
MgO、CaO、SrO及びBaOの内の1種以上:合計0〜25%、
Li2O、Na2O及びK2Oの内の1種以上:合計0〜20%
となる組成比を有し、しかも、
23、MgO、CaO、SrO、BaO、Li2O、Na2O、及びK2Oの総合計が、40質量%以下となる組成比を有していることを特徴とするガラス組成物。
【請求項2】
前記セラミック誘電体粒子によって積層セラミックコンデンサの誘電体を形成させる際の焼結助剤として用いられる請求項1記載のガラス組成物。
【請求項3】
前記焼結助剤が粉末ガラスの状態で水系溶剤に分散されて用いられる請求項2記載のガラス組成物。
【請求項4】
酸化物換算の質量%で、
SiO2:30〜60%、
ZrO2及びTiO2のいずれか一方又は両方:合計3〜20%、
23:0〜20%、
Al23:0〜15%、
ZnO:0〜15%、
MgO、CaO、SrO及びBaOの内の1種以上:合計0〜25%、
Li2O、Na2O及びK2Oの内の1種以上:合計0〜20%
となる組成比を有し、しかも、
23、MgO、CaO、SrO、BaO、Li2O、Na2O、及びK2Oの総合計が、40質量%以下となる組成比を有するガラス組成物を焼結助剤として用いてセラミック誘電体粒子の焼結を実施して誘電体を作製することを特徴としている誘電体製造方法。
【請求項5】
作製する前記誘電体が、積層セラミックコンデンサの誘電体である請求項4記載の誘電体製造方法。
【請求項6】
前記焼結助剤が粉末ガラスの状態で水系溶剤に分散されているとともに前記セラミック誘電体粒子が分散されている水性分散体を作製する工程と、該水性分散体を基材上に塗布、乾燥してグリーンシートを作製する工程とを実施し、該グリーンシートを焼成して前記誘電体を作製する請求項4又は5記載の誘電体製造方法。

【公開番号】特開2011−68510(P2011−68510A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219974(P2009−219974)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000178826)日本山村硝子株式会社 (140)
【Fターム(参考)】