説明

キナゾリンおよび関連する複素環式化合物、ならびにそれらの治療的使用

式(I)の化合物(式中、Xは、CRまたはNであり;Yは、CRまたはNであり;R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、H、F、Cl、Br、I、または1個もしくは複数のヘテロ原子を必要に応じて有する炭化水素基であり;Rは、1個または複数のN原子を含む複素環基であり;R’は、RまたはNRであり、ここで、R、R、およびRは、各々Hであるか、またはN原子とRおよびRによって形成された環状基を含めて、C原子が最大で20個であり、N、O、およびSから選択されるヘテロ原子をさらに最大で3個必要に応じて含む同一もしくは異なる基である)、または薬学的に許容されるその塩、エステル、もしくは溶媒和物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キナゾリンおよび関連する複素環式化合物、ならびにそれらの治療的使用に関する。より詳細には、本発明は、ヒスタミン受容体と相互作用する化合物、ならびにヒスタミン受容体が介在する障害および不快感を治療、軽減、または予防するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒスタミンは、組織傷害時に、またはあるタイプの抗体による異物(例えば、抗原)の中和の際に、ある細胞(特に、肥満細胞)から放出される化学物質の1種であるので、ヒト生理学において重要である。放出されたヒスタミンは、毛細血管を拡張させる傾向があり、しばしば皮膚に赤みおよびほてった感じを与え、毛細血管をより透過性にして、体液を周辺組織に漏出させる。
【0003】
ヒスタミンの生体活性は、アレルギー応答、および炎症などのその有害な作用と密接に関係がある。炎症応答を誘発する事象としては、物理的刺激(外傷を含む)、化学的刺激、感染症、および微生物の侵入が挙げられる。炎症応答は、疼痛、体温上昇、発赤、腫張、機能低下、そう痒、またはこれらのいずれの組合せを特徴とする。
【0004】
肥満細胞脱顆粒(エキソサイトーシス)は、ヒスタミンを放出し、炎症応答をもたらす。多種多様な免疫刺激および非免疫刺激は、肥満細胞の活性化、動員、および脱顆粒を引き起こす可能性がある。肥満細胞の活性化は、アレルギー性炎症応答を惹起し、次いで、炎症応答のさらなる一因である他のエフェクター細胞の動員を引き起こす。
【0005】
ヒスタミンが及ぼす多数の機能は、いずれもGタンパク質共役受容体ファミリーのメンバーである、少なくとも4種の薬理学的に異なる受容体によって介在される。H受容体は、脳、内皮細胞、および平滑筋細胞中で発現される。その機能の多くは、アレルギー応答の一因であり、H受容体アンタゴニストは、アレルギー治療に非常に奏功する薬物である。H受容体は、胃酸分泌のための重要なモジュレーターとして機能することが実証されており、H受容体アンタゴニストは、消化管潰瘍の治療に広く使用されている。H受容体は、ヒト中枢神経系において主に発現される。これは、ヒスタミン、ノルエピネフリン、セロトニン、GABA、アセチルコリン、および他の神経伝達物質を調節することができるシナプス前放出制御受容体として機能すると考えられている。ヒスタミン受容体は、様々なGタンパク質を介して種々のシグナル伝達経路と共役する。
【0006】
最近、いくつかのグループが、第4のヒスタミン受容体を確認し、同定した(例えば、T.Odaら、J.Biol.Chem.2000年、275(47)、36781〜36786頁;C.Liuら、Mol.Pharmacol.2001年、59(3)、420〜426頁;T.Nguyenら、Mol.Pharmacol.2001年、59(3)、427〜433頁;Y.Zhuら、Mol.Pharmacol.2001年、59(3)、434〜441頁;K.L.Morseら、J.Pharmacol.Exp.Ther.2001年、296(3)、1058〜1066頁を参照されたい)。ヒスタミンH受容体は、ヒスタミンH受容体に対して約40%の相同性を有する7回膜貫通型Gタンパク質共役受容体である。しかし、H受容体とは対照的に、H受容体は、例えば、肥満細胞、好酸球、および免疫系の様々な他の細胞において、より高レベルで発現される。
【0007】
ヒスタミンH受容体アンタゴニストの投与は、ヒスタミンH受容体介在性カルシウム流入ならびに肥満細胞(Thurmondら、J.Pharmacol.Exp.Ther.2004年、309(1)、404〜413頁)および好酸球(Raibleら、Am.J.Respir.Crit.Care Med.1994年、149(6)、1506〜1511頁)の走化性を阻害することが示されている。これは、喘息、炎症性腸疾患、およびいくつかの皮膚障害などの炎症性疾患の治療のためのヒスタミンH受容体の重要な役割を示唆する。さらに、ヒスタミンHは、癌およびそう痒に関係している。J.K.Bellら、Br.J.Pharmacol.2004年、142(2)、374〜380頁;およびF.Cianchiら、Clin.Cancer Res.2005年、11、6807〜6815頁を参照されたい。
【0008】
米国特許出願公開第2005/0070527号は、白血球動員を阻害し、H受容体を調節する1H−キノキサリン化合物と、炎症などの状態の治療におけるその使用とを記載している。
【0009】
この全般的な領域におけるさらなる従来技術としては、国際公開第2006/050965号、国際公開第02/072548号、米国特許出願公開第20050070550A1号、国際公開第2007/031529号、国際公開第2004/022537号、欧州特許出願公開第1767537A1号、および米国特許出願公開第2006/0111416号が挙げられる。
【0010】
国際出願PCT/EP2007/056689号は、式Iの化合物
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、
Qは、CRまたはNであり;
Xは、CRまたはNであり、但し、QとXが同時にNであることはなく;
Yは、CRまたはNであり;
Zは、CHまたはNであり;
、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、H、F、Cl、Br、I、または1個もしくは複数のヘテロ原子を必要に応じて有する炭化水素基であり;
は、1個または複数のN原子を含む複素環基である)
または薬学的に許容されるその塩、エステル、もしくは溶媒和物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0070527号
【特許文献2】国際公開第2006/050965号
【特許文献3】国際公開第02/072548号
【特許文献4】米国特許出願公開第20050070550A1号
【特許文献5】国際公開第2007/031529号
【特許文献6】国際公開第2004/022537号
【特許文献7】欧州特許出願公開第1767537A1号
【特許文献8】米国特許出願公開第2006/0111416号
【特許文献9】国際出願PCT/EP2007/056689号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】T.Odaら、J.Biol.Chem.2000年、275(47)、36781〜36786頁
【非特許文献2】C.Liuら、Mol.Pharmacol.2001年、59(3)、420〜426頁
【非特許文献3】T.Nguyenら、Mol.Pharmacol.2001年、59(3)、427〜433頁
【非特許文献4】Y.Zhuら、Mol.Pharmacol.2001年、59(3)、434〜441頁
【非特許文献5】K.L.Morseら、J.Pharmacol.Exp.Ther.2001年、296(3)、1058〜1066頁
【非特許文献6】Thurmondら、J.Pharmacol.Exp.Ther.2004年、309(1)、404〜413頁
【非特許文献7】Raibleら、Am.J.Respir.Crit.Care Med.1994年、149(6)、1506〜1511頁
【非特許文献8】J.K.Bellら、Br.J.Pharmacol.2004年、142(2)、374〜380頁
【非特許文献9】F.Cianchiら、Clin.Cancer Res.2005年、11、6807〜6815頁
【非特許文献10】Winterbottomら、Studies in chemotherapy.XV.Amides of pantoyl turine.JACS、(1947年)、1393〜1401頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、新規化合物は、上記で定義した式Iであるが、式中、Zは、Nであり、Xは、C−NH−(CH2〜4−SOR’であり、R’は、RまたはNRであり、ここで、R、R、およびRは、各々Hであるか、またはC原子を最大で20個および必要に応じてヘテロ原子も有する同一もしくは異なる基である。
【0016】
本発明の別の態様によれば、本発明の化合物は、ヒスタミンH受容体が介在する障害および不快感を治療、軽減、または予防するために使用することができる。この目的で、本発明の化合物を、例えば、医薬組成物として治療有効量で対象に投与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の化合物は、キラルとすることができる。本発明は、ラセミ化合物をはじめとする任意のエナンチオマーまたはジアステレオマーの形のこうした化合物を包含する。本発明の化合物はまた、様々な互変異性体および様々な異性体形の原子の形で存在することができ、すべてが包含される。
【0018】
好ましくは、Rは、H、F、Cl、Br、I、C1〜4アルキル、C2〜5アルケニル、C1〜4アルコキシ、シクロアルキル、アリール(例えば、フェニルなど)、ヘテロアリール、−C1〜4アルキル−アリール、例えば、ベンジルまたはフェネチルなど、−C1〜4アルキル−ヘテロアリール、例えば、ヘテロアリールエチルなど、O−アリール、例えば、O−フェニルアリール、O−ヘテロアリールなど、NH−アリール、例えば、NH−フェニル、NH−ヘテロアリールなど、S−アリール(例えば、S−フェニルなど)、S−ヘテロアリール、O−C1〜4アルキル−アリール、例えば、O−CH−フェニル、O−(CH−フェニル、またはO−(CH−フェニルなど、O−C1〜4アルキル−ヘテロアリール、例えば、O−(CH−ヘテロアリールやO−(CH−ヘテロアリールなど、C1〜4アルキル−ヘテロアリール、例えば、CHCH−ヘテロアリールなど、NH−C1〜4アルキル−アリール、例えば、NHCH−フェニルなど、NH−C1〜4アルキル−ヘテロアリール、ヒドラジノ、ヒドロキシルアミノ、NH、O−(CH−N(CH、およびNRから選択され、ここで、Rは存在せず、かつRはアシルであるか、またはRおよびRの各々は、それぞれ独立に、H、C1〜4アルキル、シクロアルキル、フェニル、ベンジル、およびフェネチルから選択されるかのいずれかであり、前記アリール、ヘテロアリール、アルキル、アシル、フェニル、およびシクロアルキル部分のいずれも、例えば、C1〜4アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、およびC1〜3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換されている。
【0019】
好ましくは、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、H、F、Cl、Br、I、C1〜4アルキル、C2〜5アルケニル、C2〜5アルキニル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、C3〜6シクロアルキル、O−C3〜6シクロアルキル、フェニル、ベンジル、O−フェニル、NH−フェニル、S−フェニル、O−C1〜4アルキル−フェニル、例えば、O−(CH−フェニルまたはO−(CH−フェニルなど、C1〜4アルキル−アリール、例えば、CHCH−フェニルなど、CF、O−CF、S−CF、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、O−C1〜4アルキル−N(CH、O−(CH−N(CH、およびNRから選択され、ここで、RおよびRの各々は、それぞれ独立に、H、C1〜4アルキル、フェニル、ベンジル、およびフェネチルから選択され、フェニル、アルキル、またはシクロアルキル部分はいずれも、C1〜3アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、およびC1〜3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換されている。
【0020】
上記のように、Rは、1個または複数のN原子を含む複素環基である。RはNまたはC原子を介して二環式核と結合しているが、Nを介した結合が好ましい。この基は、単環式でも二環式でもよく、置換基、例えば、上記で定義した置換基を必要に応じて有している。
【0021】
例を挙げると、Rは、4〜7員ヘテロシクリル、C3〜7シクロアルキル−4〜7員ヘテロシクリル、およびビス−(4〜7員ヘテロシクリル)から選択される。好ましい一実施形態では、Rは、環状アミン、スピロアミン、および架橋シクロアミンから選択される。
【0022】
詳細には、Rは、次の群のうちのいずれかから選択することができ、
【0023】
【化2】

【0024】
式中、
nは、1または2であり;
およびRは、それぞれ独立に、HまたはC1〜3アルキルであり;
10は、H、R10が結合している窒素メンバーと直接結合しているsp−炭素メンバーを含まないC3〜5アルケニル、R10が結合している窒素メンバーと直接結合しているsp−炭素メンバーを含まないC3〜5アルキニル、CHCHOH、C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキル、またはハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、N,N−ジ(C1〜6アルキル)アミノ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルコキシ、もしくはC3〜8シクロアルキルで必要に応じて置換されているC1〜6アルキルであり;
あるいは、R10は、Rと一緒になってもよく、ここで、Rが結合している炭素メンバーおよびR10が結合している窒素メンバーは、5、6、または7員の複素環を形成し、前記環は、O、S、NH、およびNC1〜6アルキルから選択される0または1個のさらなるヘテロ原子を有し、前記複素環は、C1〜3アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、およびC1〜3アルコキシから各々選択される0、1、2、または3個の置換基で置換されており;
qは、1、2、または3であり;
rは、0または1であり;
11は、水素原子であるか、またはハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、N−(C1〜6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1〜6アルキル)アミノ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルコキシ、もしくはC3〜8シクロアルキルで必要に応じて置換されているC1〜6アルキルであり;
12、R13、R14、およびR15は、それぞれ独立に、水素であるか、またはハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、N−(C1〜6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1〜6アルキル)アミノ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルコキシ、もしくはC3〜8シクロアルキルで必要に応じて置換されているC1〜6アルキルである。
【0025】
次のアミン性置換基は、Rの例である:
【0026】
【化3】

【0027】
式中、Rは、H、または任意の置換基、例えばメチルもしくはエチルであり、曲がった線は、アミン基の複素環骨格との結合を表す。アミン5および6は、スピロアミンの例である。アミン7、8、9、および10は、立体異性体を有する化合物の例であり、そのすべての形(例えば、SおよびR異性体)が包含される。
【0028】
上記のように、Rはまた、C原子を介して二環式核と結合することができる。こうした基の例は、7−オクタヒドロインドリジニルおよび1−メチル−4−ピペリジニルである。
【0029】
基Rの広範な性質は、上記で確認した従来技術の文章に示されている。各々の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
、R、およびRは各々、上記で定義した基のいずれかとすることができる。これらには、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またNRによって定義した複素環が挙げられる。各々は、置換されていてもよい。
【0031】
典型的に、複素環基は、C原子を最大で6個、10個、または20個、ならびにN、O、およびSから選択されるヘテロ原子を最大で3個含有する。この基は、1個の環または縮合環を有することができ、飽和していても、部分的にまたは完全に不飽和でもよい。
【0032】
本明細書で使用する用語「アルキル」は、直鎖および分岐炭化水素基を含む。
【0033】
本明細書で使用する用語「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合(sp)を有する上記の直鎖および分岐炭化水素基を含む。
【0034】
本明細書で使用する用語「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合(sp)を有する上記の直鎖および分岐炭化水素基を含む。本明細書では、二重結合と三重結合が混在する炭化水素は、アルキニルとして分類する。
【0035】
本明細書で使用する用語「アルコキシ」は、アルキル基と分子の残りの部分とを結合する末端酸素を有する、直鎖および分岐アルキル基を含む。
【0036】
本明細書で使用する用語「アリール」は、芳香環を含む任意の官能基または置換基を含む。具体的には、アリールは、フェニル、ナフチル(naphtyl)、またはビフェニルを含む部分から選択することができる。アリールは、1個または複数のヘテロ原子を含むことができ、その場合、アリールは、「ヘテロアリール」と呼ぶことができる。ヘテロアリール基の好ましい例としては、ピリジン、フラン、チオフェン、トリアゾール、およびテトラゾールが挙げられる。
【0037】
いずれの炭化水素基も、例えば、C1〜20炭化水素、好ましくは、C1〜12炭化水素、より好ましくは、C1〜10炭化水素とすることができる。この範囲はまた、同様に好ましいものとして、複素環基をはじめとする他の基にも当てはまる。
【0038】
本明細書に列挙する置換および置換の組合せは、置換されているメンバーの結合価と一致する置換を指すということを理解されたい。
【0039】
「薬学的に許容されるその塩、エステルまたは溶媒和物」は、薬化学者には明らかである、すなわち、非毒性であり、前記の本発明の化合物の薬理学的性質に好都合に影響を及ぼす本発明の化合物の塩、エステル形および溶媒和物を指す。好都合な薬理学的性質を有する化合物、すなわち、非毒性であり、十分な嗜好性、吸収、分布、代謝、および排泄を提供するような薬理学的性質を有するものは、薬化学者には明らかであろう。選択において重要である、性質がより実用的なその他の因子は、原材料費、得られたバルク薬剤の結晶化の容易さ、収率、安定性、吸湿性、および流動性である。
【0040】
薬学的に許容される塩の調製において使用することができる代表的な酸としては、次のものが挙げられるが、それらだけに限らない:酢酸、2,2−ジクロロ乳酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、(+)−カンファー酸、カンファースルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、L−グルタミン酸、α−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、ヒプリックアシッド(hipuric acid)、臭化水素酸、塩酸、(+)−L−ラクチドアシッド(lactid acid)、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸 ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、およびウンデシレン酸。
【0041】
薬学的に許容される塩の調製において使用することができる代表的な塩基としては、次のものが挙げられる:アンモニア、L−アルギニン、ベネタミン(benethamine)、ベンザチン、水酸化カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リシン、水酸化マグネシウム、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、ピペラジン、水酸化カリウム、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、第二級アミン、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロメタミン、および水酸化亜鉛。
【0042】
適切なエステルの例としては、C1〜7アルキル、C5〜7シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、およびフェニル−C1〜6アルキルエステルが挙げられる。好ましいエステルとしては、メチルエステルが挙げられる。
【0043】
が式(II)の基である場合、nは、好ましくは1である。好ましい一実施形態では、RおよびRは、水素原子であり、R10は、メチル基である。
【0044】
が式(III)の基である場合、qおよびrの好ましい組合せは、例えば、q=1およびr=1、q=2およびr=0、ならびにq=3およびr=0である。
【0045】
好ましいクラスの化合物は、XおよびYがCRであり、QおよびZがNである本発明のキナゾリン化合物である。特に好ましい化合物は、R、R、R、およびRのうちの少なくとも3個の基が水素原子であるキナゾリンである。さらに好ましい化合物は、Rが4−メチルピペラジノであるキナゾリンである。
【0046】
別の好ましいクラスの化合物は、XがCRであり、YがCRである本発明のキノリン化合物である。特に好ましい化合物は、R、R、R、R、およびRが水素原子のキノリンである。Rが4−メチルピペラジノであることがさらに好ましい。
【0047】
R’は、好ましくは、ヘテロアリール(必要に応じて置換されている)、またはモルホリノなどの複素環を含むNRである。あるいは、RおよびRの一方または両方を、Hとすることができる。SOR’の例は、次のものである。
【0048】
【化4】

【0049】
R’は、縮合環状構造を含むことができる。一例は、ジヒドロインドリルである。
【0050】
表1は、本発明の化合物を例示するものである。縦列「活性クラス」において、記号は、以下の意味を有する:「−」は、K(H結合アッセイの阻害定数(上記の実施例を参照))>10μMを指し、「+/−」は、10μM<K<1μMを意味し、「+」は、K<1μMを意味する。
【0051】
【表1】

【0052】

【0053】
本発明は、本発明の化合物のプロドラッグを含む。一般に、こうしたプロドラッグは、in vivoで生物活性化合物に容易に変換可能である、化合物の官能性誘導体である。したがって、本発明の治療方法のための化合物の使用では、用語「投与」は、具体的に開示した化合物を用いた、または具体的には開示していない場合もあるが、患者への投与後にin vivoで特定した化合物に転換する化合物を用いた記載の様々な障害の治療を包含するものとする。同様に、用語「化合物」は、本発明の化合物に適用される場合、本発明の任意の特定の化合物、または投与後にin vivoで具体的に開示した化合物に転換する任意の化合物(またはプロドラッグ)を、たとえこうしたプロドラッグが本明細書に明確に開示されていない場合であっても、包含するものとする。
【0054】
本発明の化合物は、ヒスタミンH受容体のアンタゴニスト、インバースアゴニスト、または部分アゴニストを含むアゴニストである。したがって、これらの化合物は、可逆的または不可逆的にヒスタミンH受容体と結合する。さらに、いくつかの化合物は、HR親和性に加えてヒスタミンH受容体に対して親和性を有する可能性がある。こうした化合物は、HR成分とHR成分との両方による炎症性疾患を、選択的HRリガンドまたは選択的HRリガンドだけよりも効率的に調節することができる。特定の理論に拘束するものではないが、これは、治療的有用性を示すと考えられる。
【0055】
アンタゴニストの効果はまた、インバースアゴニストまたは部分アゴニストによって得ることができる。インバースアゴニズムとは、構成的活性を示す受容体を能動的に止める化合物の特性を説明するものである。構成的活性は、ヒトH受容体を過剰発現させられている細胞において確認することができる。構成的活性は、cAMP(環状アデノシン一リン酸)レベルを測定することによって、またはフォルスコリンなどのcAMP刺激剤で処理した後にcAMPレベルに対して感受性のあるレポーター遺伝子を測定することによって測定できる。H受容体を過剰発現する細胞は、フォルスコリン処理後に、非発現細胞よりも低いcAMPレベルを示す。Hアゴニストとして挙動する化合物は、H発現細胞において、フォルスコリンによって刺激されるcAMPレベルを用量依存的に低下させる。Hインバースアゴニストとして挙動する化合物は、H発現細胞において、cAMPレベルを用量依存的に刺激する。Hアンタゴニストとして挙動する化合物は、Hアゴニストによって誘導されるcAMPの阻害またはHインバースアゴニストによって誘導されるcAMPの増大のいずれかを妨げる。
【0056】
本発明の化合物は、治療において、例えば、炎症の治療のために対象に投与することができる。
【0057】
本明細書で使用する「炎症」は、例えば、免疫刺激または非免疫刺激であり得る、少なくとも1種の刺激によって順に引き起こされる、ヒスタミン、セロトニン、ロイコトリエン、プロスタグランジン、サイトカイン、ケモカインなどの炎症伝達物質の放出の結果として発症する応答を指す。
【0058】
本明細書で使用する用語「対象」としては、動物、特に、哺乳類、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ラット、ウサギ、マウス、およびヒト以外の霊長類が挙げられ、これらが好ましく、この動物は、関連する疾患または状態に関連して観察、実験、治療、または予防を必要とする。
【0059】
本出願において使用する用語「組成物」は、特定した量、例えば、治療有効量の特定した成分を含む生成物、ならびに特定した量の特定した成分の組合せから直接的または間接的に得られる任意の生成物を含む。
【0060】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用する用語「治療有効量」は、治療されている疾患または障害の症状の軽減を含む、研究者、獣医師、医師、またはその他の臨床家によって求められている、組織系、動物、またはヒトにおいて生物学的応答または医学的応答を誘発する、活性化合物または医薬品の量であることを意味する。
【0061】
本発明の化合物は、上記に示した特定の状態および疾患を含めた、炎症性障害、アレルギー性障害、皮膚障害、自己免疫疾患、リンパ系障害、免疫不全疾患、および癌などの状態および疾患の治療および/または予防に関連する症状の改善にとって有用である。
【0062】
本発明はまた、H受容体が介在する状態を治療、軽減、または予防するための治療有効量の本発明の少なくとも1種のH受容体アンタゴニストまたは部分アゴニストまたはインバースアゴニストを含む、対象においてH受容体が介在する状態を治療または予防するための医薬組成物を対象とする。こうした医薬組成物はまた、一般に、薬学的に許容される担体も含む。
【0063】
さらに、本発明は、炎症を治療または予防するための治療有効量の本発明の少なくとも1種の抗炎症化合物を含む、抗炎症組成物を特徴とする。これらの組成物はまた、一般に、薬学的に許容される担体も含む。
【0064】
本発明の別の実施例は、本明細書に言及する状態のいずれか1種を治療するための医薬品の調製における本発明の化合物の使用であり、こうした状態の1種は炎症である。本発明の別の実施例は、本明細書に言及する状態のいずれか1種の治療または予防における本発明の化合物の使用であり、こうした状態の1種は炎症である。
【0065】
本発明はまた、炎症応答に関連して対象に、治療有効量の少なくとも1種の本発明の抗炎症化合物を含む医薬組成物を投与することを含む、対象において炎症を治療または予防する方法を対象とする。
【0066】
本発明はまた、対象に、治療有効量の少なくとも1種の本発明のH受容体アンタゴニスト、部分アゴニスト、またはインバースアゴニストを含む医薬組成物を投与することを含む、対象においてH受容体が介在する状態を治療または予防する方法を特徴とする。
【0067】
炎症応答に関連して対象に、治療有効量の少なくとも1種の本発明の抗炎症化合物を含む医薬組成物を投与することを含む、対象において炎症を治療または予防する方法の実施形態は、以下のうちの少なくとも1つが満たされる方法を含む:前記炎症応答が、物理的刺激に対する応答である;前記炎症応答が、化学的刺激に対する応答である;前記炎症応答が、感染に対する応答である;前記炎症応答が、前記対象にとって異物である物体が侵入することに対する応答である;前記炎症応答が、免疫刺激に対する応答である;前記炎症応答が、非免疫刺激に対する応答である;前記炎症応答が、次の状態:アレルギー、喘息、慢性閉塞性肺疾患、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患(より具体的には、前記炎症性腸疾患は、クローン病および潰瘍性大腸炎のうちの少なくとも一方である)、乾癬、アレルギー性鼻炎、強皮症、自己免疫性甲状腺疾患、免疫介在性真性糖尿病、および狼瘡のうちの少なくとも1種に対する応答である;前記炎症応答が、次の状態:重症筋無力症、自己免疫性神経障害(より具体的には、前記自己免疫性神経障害は、ギランバレー神経障害である)、自己免疫性ブドウ膜炎、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、自己免疫性血小板減少症、側頭動脈炎、抗リン脂質抗体症候群、血管炎(より具体的には、前記血管炎は、ウェゲナー肉芽腫症である)、ベーチェット病、疱疹状皮膚炎、尋常性天疱瘡、ビティリジオ(vitiligio)、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性精巣炎、副腎の自己免疫疾患、多発性筋炎、皮膚筋炎、脊椎関節症(より具体的には、前記脊椎関節症は、強直性脊椎炎である)、およびシェーグレン症候群のうちの少なくとも1種に対する応答である;前記炎症応答が、急性炎症である;前記炎症応答が、慢性炎症である。さらに、本発明の化合物は、癌に対する治療または治療において使用することができる。さらに別の実施形態では、本発明の化合物を使用して、そう痒を軽減、抑制、または回避することができる。そう痒症は、HR成分とHR成分との両方によって引き起こされ、このような2種の作用リガンドから利益を得ることができる疾患である。本発明の炎症応答「と関連した」投与は、炎症の検出前、発症時、および検出後の少なくとも1時点で投与することを含む。
【0068】
本発明の態様は、本明細書に言及する状態の任意の1種、例えば、H介在性疾患または状態など、より詳細には、炎症の治療または予防のための、(a)少なくとも1種の本発明の化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物;(b)(1)少なくとも1種の本発明の化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物および(2)前記組成物の投与のための使用説明書を含むパッケージ化された薬物を含む。
【0069】
本発明は、対象においてHが介在する状態を治療、軽減、または予防する方法を提供し、前記方法は、対象に、少なくとも1種の本発明の化合物を含む、薬学的に有効な量の組成物を投与することを含む。これらの状態では、H受容体の作用が関与している。例えば、本発明は、対象において、Hが介在する状態を治療する方法を特徴とし、前記方法は、対象に、少なくとも1種の本発明の化合物を含む、薬学的に有効なHをアンタゴナイズする量の組成物を投与することを含む。本明細書では、障害を「治療すること」は、その原因および/または影響を排除、低減、またはその他の方法で改善することを意味する。障害または事象の発症を「抑制する」こと、および障害または状態を「予防する」ことなどの用語は、こうした発症の可能性を防止、遅延、または低減することを意味する。
【0070】
用語「単位用量」は、本明細書において、対象のための単一の投与量として適した物理的に別個の単位を指すのに使用され、各単位は、所望の薬理学的効果を生じるよう計算された、所定の有効な、薬理学的に有効な量の有効成分を含有する。本発明の新規な単位剤形の仕様は、有効成分の特徴、および対象における治療的使用のために、こうした有効成分を配合する技術分野における固有の限界によって決定され、それらに直接依存する。
【0071】
医薬組成物は、従来の薬学的賦形剤および配合技術を使用して調製することができる。適した単位剤形の例としては、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、散剤小包、顆粒剤、ウエハ剤など、任意の単位剤形の分離された複数のものならびに液体溶液および懸濁液がある。液体形態の中には、水性のものがあるが、液体形態のその他の実施形態は非水性である。経口剤形は、エリキシル剤、シロップ剤、カプセル剤、錠剤などとすることができる。固形担体の例としては、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、マンニトールなどの丸剤または錠剤の製造において通常使用される材料、トラガカントおよびメチルセルロースUSP、微粉SiO、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸マグネシウムなどの増粘剤などが挙げられる。典型的な液体経口用賦形剤としては、エタノール、グリセロール、水などが挙げられる。すべての賦形剤は、剤形を調製する技術分野の当業者に周知の従来の技術によって、必要に応じて、希釈剤(例えば、炭酸ナトリウムおよび炭酸カルシウム、リン酸ナトリウムおよびリン酸カルシウム、ならびにラクトース)、崩壊剤(例えば、コーンスターチおよびアルギン酸)、顆粒化剤、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、およびタルク)、結合剤(例えば、デンプンおよびゼラチン)、増粘剤(例えば、パラフィン、ワックス、およびワセリン)、香味剤、着色剤、保存剤などと混合することができる。コーティングが存在してもよく、例えば、モノステアリン酸グリセリルおよび/またはジステアリン酸グリセリルが挙げられる。経口用途のためのカプセル剤としては、有効成分が固体希釈剤と混合されている硬ゼラチンカプセル剤、および有効成分が水またはラッカセイ油、流動パラフィンもしくはオリーブ油などのオイルと混合されている軟ゼラチンカプセル剤が挙げられる。
【0072】
非経口剤形は、水または別の滅菌担体を使用して調製することができる。非経口溶液は、個々の用量への再分割に適合された容器にパッケージ化することができる。筋肉内、腹腔内、皮下、および静脈内の使用には、本発明の化合物は、一般に、適当なpHおよび等張性に緩衝された、滅菌水溶液または懸濁液中に提供される。適した水性ビヒクルとしては、リンゲル液および等張性塩化ナトリウムが挙げられる。水性懸濁液は、セルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、およびトラガカントゴムなどの懸濁剤、ならびにレシチンなどの湿潤剤を含むことができる。水性懸濁液に適した保存剤としては、p−ヒドロキシ安息香酸エチルおよびn−プロピルが挙げられる。非経口製剤としては、薬学的に許容される水性または非水性溶液、ディスパーション、懸濁液、エマルジョン、およびそれらを調製するための滅菌散剤が挙げられる。担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、植物油、および注射用有機エステル、例えば、オレイン酸エチルが挙げられる。流動性は、レシチンなどの被膜、界面活性剤を使用すること、または適当な粒径を維持することによって維持することができる。固形剤形のための担体としては、(a)充填剤または増量剤、(b)結合剤、(c)湿潤剤、(d)崩壊剤、(e)溶液抑制剤、(f)吸収促進剤、(g)吸着剤、(h)滑沢剤、(i)緩衝剤、および(j)噴霧剤が挙げられる。
【0073】
組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分配剤(dispensing agent)などの補助剤;パラベン、クロロブタノール、フェノール、およびソルビン酸などの抗菌剤;糖または塩化ナトリウムなどの等張化剤;モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収延長剤;ならびに吸収促進剤を含むことができる。
【0074】
生理学的に許容される担体は、当技術分野では周知である。液状担体の例は、本発明の化合物が溶液、エマルジョン、およびディスパーションを形成する溶液である。メチルパラベンやプロピルパラベンなどの適合する抗酸化剤は、固体および/または液体組成物中に存在することができ、同様に、甘味剤も存在することができる。
【0075】
本発明の医薬組成物は、エマルジョン組成物中に通常使用される適切な乳化剤を含むことができる。ゲル化剤もまた、本発明の組成物に添加することができる。カルボマーなどのポリアクリル酸誘導体が、ゲル化剤の例であり、より詳細には、様々な種類のカルボポールがある。懸濁液は、クリーム、水を含まない軟膏をはじめとする軟膏、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、およびエマルジョンゲル、またはゲルとして調製することができる。
【0076】
本発明の化合物は、経口または非経口経路、例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、直腸、嚢内、経膣、膀胱内、局所(topical)または局所(local)投与によって、および吸入(口内または経鼻、好ましくはスプレーの形で)によって投与することができる。経口投与には、本発明の化合物は、一般に、錠剤、カプセル剤の形で、または液剤もしくは懸濁剤として提供される。その他の投与方法としては、皮下埋め込みや皮膚パッチなどの制御放出製剤が挙げられる。
【0077】
本発明の化合物の薬学的に有効な量は、従来法によって確認することができる。任意の特定の対象にとって必要な具体的な投与量レベルは、状態の重症度、治療を必要としている症状の種類、投与経路、対象の体重、年齢、および全身状態、ならびに他の医薬品の投与をはじめとするいくつかの因子に依存する。
【0078】
通常、1日量(単一用量として投与されるか、または分割用量として投与されるかにかかわらず)は、1日当たり約0.01mg〜約1000mg、より通常には、1日当たり約1mg〜約500mg、最も通常には、1日当たり約10mg〜約200mgの範囲である。単位体重当たりの投与量として表される通常の用量は、約0.0001mg/kg〜約15mg/kg、特に、約0.01mg/kg〜約7mg/kg、最も特に、約0.15mg/kg〜2.5mg/kgであると予想される。
【0079】
経口用量範囲として、1日約0.01〜500mg/kgが挙げられ、約0.05〜約100mg/kgがより好ましく、1〜4回の分割用量で服用される。本発明の化合物には、1日約0.05〜約50mg/kgの範囲で経口投与できるものもあれば、1日0.05〜約20mg/kgで投与できるものもある。注入用量は、数分から数日の範囲の期間にわたって、薬学的担体と混合された、約1.0〜約1.0×10μg/(kg・分)の阻害剤の範囲とすることができる。局所投与には、本発明の化合物は、ビヒクルに対して約0.1〜約10%の薬物の濃度で薬学的担体と混合することができる。カプセル剤、錠剤、または他の製剤(液体やフィルムコート錠など)は、0.5〜200mg、例えば、1、3、5、10、15、25、35、50mg、60mg、および100mgなどとすることができ、開示する方法に従って投与することができる。1日の投与量は、例えば、標準体重の成人対象にとって10mg〜5000mgであることが企図される。
【0080】
本発明の化合物は、当技術分野の技術の範囲内の方法に従って、ならびに/または本発明の方法、例えば、以下の反応式および実施例中に記載されるものに従って、ならびにマトリクスまたはコンビナトリアル法によって調製することができる。
【0081】
以下の反応式に例示的調製を示す。本発明の他の化合物は、当業者には明らかである改変を使用して、同様の一般法で作製することができる。
【0082】
【化5】

【0083】
【化6】

【0084】
以下の実施例は、本発明を例示するものである。
【0085】
3−フタルイミドプロパンスルホニルクロリド
3−フタルイミドプロパン−1−スルホン酸カリウム(6.0g)を、窒素雰囲気下で乾燥トルエン(25ml)に懸濁させ、加熱還流した。次いで、PCl(4.11g)を少しずつ添加し、混合物を60分間加熱還流した。追加分のPCl(4.11g)を添加し、加熱を90分間継続した。反応混合物を蒸発乾固させ、残留固形物に砕氷を添加した。氷がちょうど溶けたとき、固体をろ過し、真空下で乾燥させて、固体5.64g(87%)を得た。1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 7.88-7.81 (m, 2H), 7.78-7.71 (m, 2H), 3.87 (t, J= 6.5 Hz, 2H), 3.77-3.69 (m, 2H), 2.48-2.34 (m, 2H).
【0086】
3−フタルイミドプロパン−1−スルホン酸カリウム
この化合物は、文献:Winterbottomら、Studies in chemotherapy.XV.Amides of pantoyl turine.JACS、(1947年)、1393〜1401頁において3−フタルイミドエタンスルホニルクロリドに関して記載された手順に従って、3−アミノ−1−プロパンスルホン酸(3.0g)から出発して調製した。収率:6.09g(98%)。1H-NMR (D2O) δ (ppm) 7.74 (s, 4H), 3.71 (t, J= 6.9 Hz, 2H), 2.97-2.89 (m, 2H), 2.12-1.98 (m, 2H).
一般法A:対応するスルホニルクロリド前駆体からのフタルイミドスルホンアミドの合成。2−フタルイミドエタン−N−フェニルスルホンアミドに関する下記の手順は、中間体スルホンアミドの合成に代表的なものである。
【0087】
2−フタルイミドエタン−N−フェニルスルホンアミド
2−フタルイミドエタンスルホニルクロリド(2.0g)を、アニリン(2.3g)のクロロホルム(15ml)溶液に少しずつ添加し、得られた混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、有機相を水および1MのHClで洗浄した。溶媒を除去して、固体として粗生成物を得、それをEtOHから再結晶して、固体として表題化合物1.76g(65%)を得た。1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 7.87-7.83 (m, 2H), 7.77-7.70 (m, 2H), 7.32-7.10 (m, 5H), 4.09-4.03 (m, 2H), 3.47-3.41 (m, 2H).
【0088】
2−フタルイミドエタンスルホンアミド
2−フタルイミドエタンスルホニルクロリド(2.0g)を、0.5Mのアンモニアのジオキサン(15ml)溶液に分割して添加し、この方法で得られた溶液を室温で撹拌した。48時間後、反応混合物を水(50ml)に注いで、表題化合物を沈澱させた。生成物をろ過により収集した。収率:1.52g(83%)の固体。1H-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 7.92-713 (m, 4H), 7.06 (s, 2H), 6.88-3.93 (m, 2H), 3.37-3.30 (m, 2H).
【0089】
2−(2−(モルホリノスルホニル)エチル)イソインドール−1,3−ジオン
一般法Aに従って、2−フタルイミドエタンスルホニルクロリド(2.0g)およびモルホリン(2.14ml)から調製した。収率:1.28g(48%)。1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 7.94-7.84 (m, 4H), 3.99 (t, J= 6.8 Hz, 2 H), 3.62 (t, J= 4.7 Hz, 4H), 3.45 (t, J= 6.8 Hz, 4H), 3.15 (t, J= 4.6 Hz, 4H).
【0090】
2−フタルイミドエタン−N−(4−ヨードフェニル)スルホンアミド
一般法Aに従って、2−フタルイミドエタンスルホニルクロリド(1.50g)および4−ヨードアニリン(2.70g)から調製した。収率:1.56g(56%)。1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 10.14 (s, 1H), 7.83 (s, 4H), 7.63 (d, J= 8.7 Hz, 2H), 7.00 (d, J= 8.8 Hz, 2H), 3.94 (t,J=7.1 Hz, 2H), 3.94-3.44 (m, 2H).
【0091】
3−フタルイミドプロパン−N−メチルスルホンアミド
2−フタルイミドエタン−N−メチルスルホンアミドに関して記載の方法に従って、3−フタルイミドプロパンスルホニルクロリド(2.50g)から合成した。収率:854mg(35%)。1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 7.82-7.76 (m, 2H), 7.72-7.64 (m, 2H), 4.13 (br s, 1H), 3.78 (t, J= 6.8 Hz, 2H), 3.07-2.99 (m, 2H), 2.74 (d, J= 5.2 Hz, 3H), 2.21-1.18 (m, 2H).
【0092】
2−フタルイミドエタン−N−メチルスルホンアミド
2−フタルイミドエタンスルホニルクロリド(2.0g)を、2.0MのメチルアミンのTHF(15ml)溶液に分割して添加し、この方法で得られた溶液を室温で撹拌した。48時間後、反応混合物を水(50ml)に注いで、表題化合物を沈澱させた。生成物をろ過により収集し、EtOH:水(50:1)から再結晶して、固体として所望の生成物1.04g(48%)を得た。
【0093】
2−フタルイミドエタン−N,N−ジメチルスルホンアミド
2−フタルイミドエタンスルホニルクロリド(2.0g)を、2−フタルイミドエタン−N−メチルスルホンアミドに使用したものと類似の手順において使用した。収率:1.03g(45%)。1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 7.87-7.79 (m, 2H), 7.75-7.66 (m, 2H), 4.11 (t, J= , 2H), 3.30 (t, J= Hz, 2H), 2.87 (s, 6H).
一般法B:対応する第一級アミンへのフタルイミドスルホンアミドの脱保護。以下の手順は、アミノエタンまたはアミノプロパンスルホンアミドの合成に代表的なものである。
【0094】
2−アミノエタンスルホンアミド塩酸塩
EtOH(30ml)中で2−フタルイミドエタンスルホンアミド(1.52g)の懸濁液を加熱還流し、その後、ヒドラジン(0.36ml)(水中で64%)を添加した。3時間後、沈澱物が形成され、それをろ過により除去した。ろ液を蒸発乾固させ、水(150ml)に添加した。水性懸濁液を濃HClで酸性化し、残留した不溶性の材料をろ過した。ろ液を蒸発乾固させ、粗製スルホンアミドをEtOH/水(9:1)から再結晶して、固体として最終生成物764mg(64%)を得た。1H-NMR (D2O) δ (ppm) 3.62-3.55 (m, 2H), 3.51-3.44 (m, 2H).
【0095】
3−アミノプロパン−N−メチルスルホンアミド塩酸塩
一般法Bに従って、3−フタルイミドプロパン−N−メチルスルホンアミド(847mg)から調製した。収率:500mg(88%)。1H-NMR (D2O) δ (ppm) 3.31 (t, J= 7.5 Hz, 2H), 3.15 (t, J= 7.7 Hz, 2H), 2.72 (s, 3H), 2.13 (p, J= 7.5 Hz, 2H).
【0096】
2−アミノエタン−N−メチルスルホンアミド塩酸塩
一般法Bに従って、3−フタルイミドエタン−N−メチルスルホンアミド(1.03g)から調製した。収率:415mg(72%)。1H-NMR (D2O) δ (ppm) 3.53-3.46 (m, 2H), 3.43-3.40 (m, 2H), 2.73 (s, 3H).
【0097】
2−アミノエタン−N,N−ジメチルスルホンアミド塩酸塩
一般法Bに従って、3−フタルイミドプロパン−N,N−ジメチルスルホンアミド(1.03g)から調製した。収率:602mg(87%)。1H-NMR (D2O) δ (ppm) 3.49 (s, 4H), 2.89 (s, 6H); 13C NMR (D2O) δ (ppm) 45.61, 38.31, 35.36.
【0098】
2−アミノエタン−N−フェニルスルホンアミド
一般法Bに従って、2−フタルイミドエタン−N−フェニルスルホンアミド(1.60g)から調製した。蒸発乾固させたろ液は、水に添加しなかったが、さらに精製しなくても次のステップで使用するのに十分な純度であった。収率:386mg(40%)の固体。1H-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 7.36-7.04 (m, 5H), 3.14 (t, J=7.0 Hz, 2H), 2.88 (t, J= 6.7 Hz, 2H).
【0099】
2−(モルホリノスルホニル)エタンアミン塩酸塩
一般法Bに従って、2−(2−(モルホリノスルホニル)エチル)イソインドール−1,3−ジオン(1.23g)から調製した。収率:429mg(57%)。
【0100】
2−アミノエタン−N−(4−ヨードフェニル)スルホンアミド塩酸塩
一般法Bに従って、2−フタルイミドエタン−N−(4−ヨードフェニル)スルホンアミド(1.47g)から調製した。粗製塩酸塩を水から再結晶した後、表題化合物を得た。収率:704mg(60%)。1H-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 8.17 (br m, 3H), 7.70 (d, J= 8.5 Hz, 2H), 7.07 (d, J= 8.6 Hz, 2H), 3.49-3.42 (m, 2H), 3.10 (m, 2H).
一般法C:対応するアントラニル酸前駆体からのキナゾリン−ジオンの合成。6,7−ジクロロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオンに関する下記の手順は、中間体キナゾリンジオンの合成に代表的なものである。
【0101】
6,7−ジクロロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
2−アミノ−4,5−ジクロロ安息香酸(920mg)および尿素(2.75g)を160℃で撹拌した。6時間後、混合物を100℃に冷却し、等容量の水を添加し、撹拌を5分間継続した。形成された沈澱物をろ過し、水で洗浄して、固体ケーキを得、それを0.5NのNaOH水溶液に懸濁させた。懸濁液を5分間沸騰加熱し、次いで、室温に冷却した。pHをHClで約2に調整し、キナゾリン−ジオンをろ過した。水とメタノールの混合液で洗浄した後、生成物を真空下で乾燥させて、固体994mg(94%)を得た。1H-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 7.89 (s,1H), 7.33 (s,1H).
【0102】
6,8−ジクロロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
一般法Cに従って、2−アミノ−3,5−ジクロロ安息香酸(3.0g)および尿素(8.8g)から調製した。収率:3.20g(95%)の固体。少量の不純物を含んでいたが、さらに精製することなく次のステップに使用した。1H-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 10.13 (br s,1H), 7.58 (d, J=2.5 Hz, 1H), 7.50 (d, J=2.6 Hz, 1H).
【0103】
7,8−ジクロロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
一般法Cに従って、2−アミノ−3,4−ジクロロ安息香酸(2.23g)および尿素(6.49g)から調製した。収率:2.18g(87%)の固体。1H-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 11.64 (br s, 1H), 10.87 (br s, 1H), 7.86 (d, J=8.5 Hz, 1H), 7.43 (d, J=8.5 Hz, 1H).
【0104】
5,7−ジクロロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
一般法Cに従って、6−アミノ−2,4−ジクロロ安息香酸(2.0g)および尿素(5.83g)から調製した。収率:1.72g(77%)の固体。1H-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 11.39 (br s, 2H), 7.32 (d, J=2.0 Hz, 1H), 7.15 (d, J=2.0 Hz, 1H).
【0105】
6−ヨードキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
一般法Bに従って、2−アミノ−5−ヨード安息香酸(5.0g)および尿素(11.4g)から調製した。収率:5.34g(98%)の固体。1H-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 8.04 (d, J= 2.0 Hz, 1H), 7.77 (dd, J= 2.1 Hz, J= 8.6 Hz, 1H), 6.90 (d, J= 8.6 Hz, 1H).
【0106】
5−トリフルオロメチルキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
一般法Cに従って、2−アミノ−6−トリフルオロメチル安息香酸(1.0g)および尿素(2.92g)から調製した。収率:948mg(85%)の固体。1H-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 11.43 (br s, 2H), 7.78 (t, J= 7.9 Hz, 1H), 7.58 (d, J= 7.4 Hz, 1H), 7.48 (d, J= 8.2 Hz, 1H).
【0107】
6−ブロモ−7−クロロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
一般法Cに従って、2−アミノ−5−ブロモ−4−クロロ安息香酸(987mg)および尿素(2.36g)から調製した。収率:1.00g(92%)の固体。1H-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 8.01 (s, 1H), 7.36 (s, 1H).
一般法D:対応するキナゾリン−ジオン前駆体からの2,4−ジクロロキナゾリンの合成。2,4,6,7−テトラクロロキナゾリンに関する下記の手順は、2,4−ジクロロキナゾリン中間体の合成に代表的なものである。
【0108】
2,4,6,7−テトラクロロキナゾリン
6,7−ジクロロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(800mg)、DIPEA(1.23ml)、およびPOCl(4.0ml)を加熱還流した。3時間後、反応混合物を砕氷上に注意して注ぎ、激しく撹拌した。この水性混合物を、CHCl(DCM)で抽出し、一緒にした有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させて固体を得、それをCHClに再溶解させ、その後、溶出液としてCHClを使用して、シリカパッドでろ過した。有機相を除去して、固体として生成物657mg(71%)を得た。1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 8.34 (s,1H), 8.31 (s,1H); 13C-NMR (CDCl3) δ (ppm) 162.67, 156.22, 150.56, 141.75, 134.24, 128.98, 126.55, 121.28.
【0109】
2,4,6,8−テトラクロロキナゾリン
一般法Dに従って、6,8−ジクロロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(1.544g)から調製した。収率:992mg(55%)。1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 8.15 (d, J= 2.2 Hz, 1H), 8.02 (d, J= 2.2 Hz, 1H); 13C-NMR (CDCl3) δ (ppm) 160.31, 144.80, 143.20, 134.25, 131.16, 130.88, 124.24, 123.34.
【0110】
2,4,7,8−テトラクロロキナゾリン
一般法Dに従って、7,8−ジクロロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(1.0g)から調製した。収率:1.03g(87%)。1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 8.11 (d, J=9.0 Hz, 1H), 7.75 (d, J=9.0 Hz, 1H); 13C-NMR (CDCl3) δ (ppm) 164.16, 156.83, 149.78, 141.15, 130.94, 130.44, 124.53, 121.61.
【0111】
2,4,5,7−テトラクロロキナゾリン
一般法Dに従って、5,7−ジクロロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(1.0g)から調製した。収率:1.00g(87%)。1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 87.86 (d, J=2.1 Hz, 1H), 7.70 (d, J=2.1 Hz, 1H); 13C-NMR (CDCl3) δ (ppm) 162.09, 156.06, 154.54, 141.29, 132.48, 132.44, 126.78, 118.71.
【0112】
2,4−ジクロロ−6−ヨードキナゾリン
一般法Dに従って、6−ヨードキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(2.0g)から調製した。収率:1.73g(87%);1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 8.59 (d, J= 1.9 Hz, 1H), 8.19 (dd, J= 1.9 Hz, J= 8.9 Hz, 1H), 7.69 (d, J= 8.9 Hz, 1H); 13C-NMR (CDCl3) δ (ppm) 162.25, 155.27, 151.16, 144.80, 134.53, 129.18, 123.46, 94.52.
【0113】
2,4−ジクロロ−5−トリフルオロメチルキナゾリン
一般法Dに従って、5−トリフルオロメチルキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(814mg)から調製した。収率:756mg(80%)。1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 8.23-8.17 (m, 2H), 8.00 (t, J=7.9 Hz, 1H).
【0114】
2,4,7−トリクロロ−6−ブロモキナゾリン
一般法Dに従って、6−ブロモ−7−クロロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(950mg)から調製した。収率:431mg(40%)。1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 8.52 (s, 1H), 8.10 (s, 1H); 13C-NMR (CDCl3) δ (ppm) 162.50, 156.26, 151.00, 143.34, 130.23, 128.57, 124.18, 121.45.
【0115】
2,4,6−トリクロロ−キナゾリン
一般法Dに従って、6−クロロ−キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(1.41g、7.17mmol)およびN,N−ジエチルアニリン(2.3ml)から調製した。収率:1.52g(6.51mmol、91%)。1H NMR (CDCl3) (ppm) δ 8.23-8.22 (m, 1H), 7.97-7.87 (m, 2H); 13C-NMR (CDCl3) δ (ppm) 162.50, 156.26, 151.00, 143.34, 130.23, 128.57, 124.18, 121.45.
一般法E:対応する2,4−ジクロロキナゾリン前駆体からの2,4−二置換キナゾリンの合成。
【0116】
2−(6,7−ジクロロ−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)キナゾリン−4−アミノ)−N−フェニルエタンスルホンアミド(14)に関する下記の手順は、化合物1〜17の合成に代表的なものである。
対応するスルホンアミド前駆体の塩酸塩または他の塩を使用する場合、以下の実施例には、DIPEAを2.1当量の代わりに3.1当量使用する。
【実施例1】
【0117】
【化7】

【0118】
2−(6−クロロ−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)キナゾリン−4−アミノ)−N−メチル−N−フェニルエタンスルホンアミド
一般法Eに従って、2,4,6−トリクロロキナゾリン(200mg)および2−アミノエタン−N−メチル−N−フェニルスルホンアミドから調製した。収率:231mg(57%)。1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 7.43-7.23 (m, 8H), 6.12 (m, 1H), 4.03 (q, J= 6.0 Hz, 2H), 3.85 (t, J= 5.0 Hz, 4H), 3.39-3.22 (m, 7H), 2.45 (t, J= 5.0 Hz, 4H), 2.32 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 158.45, 150.72, 140.67, 133.16, 129.29, 127.47, 127.29, 126.16, 125.81, 120.18, 110.68, 54.96, 47.74, 46.13, 43.63, 38.24, 35.39; MS (ESI) m/z 475 (M+H)+.
【実施例2】
【0119】
【化8】

【0120】
2−(6−クロロ−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)キナゾリン−4−アミノ)−N−フェニルエタンスルホンアミド
一般法Eに従って、2,4,6−トリクロロキナゾリン(200mg)および2−アミノエタン−N−フェニルスルホンアミド(172mg)から調製した。収率:312mg(79%)。1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 7.41-7.07 (m, 8H), 6.20 (m, 1H), 4.00 (m, 2H), 3.80 (m, 4H), 3.52 (t, J= 5.7 Hz, 2H), 2.41 (t, J= 5.0 Hz, 4H), 2.30 (s, 3H); 13C-NMR (CDCl3) δ (ppm) 158.57, 158.29, 150.63, 136.07, 133.20, 129.59, 127.26, 125.83, 125.32, 120.25, 110.62, 54.87, 49.89, 46.04, 43.56, 35.89; MS (ESI) m/z 385 (M+H)+.
【実施例3】
【0121】
【化9】

【0122】
2−(6−クロロ−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)キナゾリン−4−アミノ)−N,N−ジエチルエタンスルホンアミド
一般法Eに従って、2,4,6−トリクロロキナゾリン(200mg)および2−アミノエタン−N,N−ジエチルスルホンアミドシュウ酸塩(140mg)から調製した。収率:154mg(74%)。1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 7.41-7.27 (m, 3H), 6.32 (m, 1H), 4.01 (q, J= 5.8 Hz, 2H), 3.85 (t, J= 4.9 Hz, 4H), 3.31-3.17 (m, 6H), 2.41 (t, J= 4.9 Hz, 4H), 2.28 (s, 3H), 1.15 (t, J= 7.1 Hz, 6H); 13C NMR (CDCl3) δ 158.53, 150.69, 133.10, 127.24, 125.81, 120.23, 110.79, 54.97, 50.61, 46.11, 43.63, 41.41, 35.53, 14.24; MS (ESI) m/z 441 (M+H)+.
【実施例4】
【0123】
【化10】

【0124】
2−(6−クロロ−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)キナゾリン−4−アミノ)−N,N−ジメチルエタンスルホンアミド
一般法Eに従って、2,4,6−トリクロロキナゾリン(200mg)および2−アミノエタン−N,N−ジメチルスルホンアミド塩酸塩(162mg)から調製した。収率:117mg(33%)。1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 7.45-7.32 (m, 3H), 6.34 (m, 1H), 4.09 (q, J= 5.8 Hz, 2H), 3.89 (t, J= 5.0 Hz, 4H), 3.25 (t, J= 6.0 Hz, 2H), 2.89 (s, 6H), 2.46 (t, J= 5.0 Hz, 4H), 2.32 (s, 3H); 13C-NMR (CDCl3) δ (ppm) 158.52, 150.73, 133.19, 127.33, 125.91, 120.15, 110.74, 54.96, 46.43, 46.10, 43.63, 37.28, 35.24; MS (ESI) m/z 413 (M+H)+.
【実施例5】
【0125】
【化11】

【0126】
2−(6−クロロ−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)キナゾリン−4−アミノ)−N−メチルエタンスルホンアミド
一般法Eに従って、2,4,6−トリクロロキナゾリン(200mg)および2−アミノエタン−N−メチルスルホンアミド塩酸塩(131mg)から調製した。収率:117mg(34%)。1H-NMR (MeOD) δ (ppm) 7.85 (d, J= 2.3 Hz, 1H), 7.49 (dd, J= 2.3 Hz, J= 9.0 Hz, 1H), 7.35 (d, J= 9.0 Hz, 1H), 3.99-3.89 (m, 6H), 3.46-3.31 (m, 2H), 2.71 (s, 3H), 2.52 (t, J= 5.0 Hz, 4H), 2.34 (s, 3H); 13C-NMR (MeOD) δ (ppm) 160.73, 160.28, 151.72, 134.17, 127.66, 127.28, 122.69, 112.71, 55.96, 46.20, 44.69, 36.96, 29.18; MS (ESI) m/z 399 (M+H)+.
【実施例6】
【0127】
【化12】

【0128】
2−(6−クロロ−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)キナゾリン−4−アミノ)−エタンスルホンアミド
一般法Eに従って、2,4,6−トリクロロキナゾリン(200mg)および2−アミノエタンスルホンアミド塩酸塩(130mg)から調製した。収率:125mg(38%)。1H-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 8.23 (m, 1H), 8.04 (d, J= 2.3 Hz, 1H), 7.51 (dd, J= 2.3 Hz, J= 8.9 Hz, 1H), 7.27 (d, J= 8.9 Hz, 1H), 3.78 (m, 6H), 2.34 (m, 4H), 2.21 (s, 2H); 13C-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 158.60, 158.27, 150.25, 132.45, 126.80, 123.86, 121.76, 110.95, 54.38, 52.49, 45.64, 43.09, 35.67; MS (ESI) m/z 461 (M+H)+.
【実施例7】
【0129】
【化13】

【0130】
6−クロロ−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−N−(2−(モルホリノスルホニル)エチル)キナゾリン−4−アミン
一般法Eに従って、2,4,6−トリクロロキナゾリン(200mg)および4−(2−アミノエチルスルホニル)−モルホリン塩酸塩(218mg)から調製した。収率:303mg(77%)。1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 7.46 (s, 1H), 7.41-7.34 (m, 2H), 6.27 (m, 1H), 4.15-4.06 (m, 2H), 3.93 (t, J= 4.4 Hz, 4H), 3.74 (t, J= 4.7 Hz, 4H), 3.28-3.23 (m, 6H), 2.52 (t, J= 5.0 Hz, 4H), 2.36 (s, 3H); 13C-NMR (CDCl3) δ (ppm) 158.52, 158.31, 150.58, 133.27, 127.33, 126.05, 120.16, 110.72, 66.27, 54.84, 47.02, 45.91, 45.57, 43.46, 35.13.
【実施例8】
【0131】
【化14】

【0132】
2−(6−クロロ−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)キナゾリン−4−アミノ)−N−(4−ヨードフェニル)エタンスルホンアミド
一般法Eに従って、2,4,6−トリクロロキナゾリン(200mg)および2−アミノエタン−N−(4−ヨードフェニル)スルホンアミド(343mg)から調製した。収率:441mg(87%)。1H-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 9.69 (br s, 1H), 8.01-7.98 (m, 1H), 7.95 (d, J=2.4 Hz, 1H), 7.61-7.57 (m, 2H), 7.48 (dd, J=2.4 Hz, J=8.8 Hz, 1H), 7.27 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.04-7.01 (m, 2H), 3.85-3.80 (m, 2H), 3.69 (t, J=5.0 Hz, 4H), 3.53-3.50 (m, 2H), 2.31 (t, J=5.0 Hz, 4H), 2.24 (s, 3H); 13C-NMR (DMSO-δ6) δ 158.62, 158.01, 150.14, 137.77, 137.68, 132.51, 126.79, 123.94, 121.78, 120.89, 110.87, 87.49, 54.10, 48.71, 45.35, 42.77, 35.22.
【実施例9】
【0133】
【化15】

【0134】
2−(6−クロロ−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)キナゾリン−4−アミノ)−S−メチルエタンスルホン
一般法Eに従って、2,4,6−トリクロロキナゾリン(200mg)および市販の2−アミノエチルメチルスルホン塩酸塩(151mg)から調製した。収率:296mg(90%)。1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 7.45 (s, 1H), 7.41-7.32 (m, 2H), 6.25 (m, 1H), 4.13 (q, J= 5.8 Hz, 2H), 3.88 (t, J=5.0 Hz, 4H), 3.43 (t, J= 5.8 Hz, 2H), 2.96 (s, 3H), 2.46 (t, J= 5.0 Hz, 4H), 2.32 (s, 3H); 13C-NMR (CDCl3) δ (ppm) 158.61, 158.22, 150.30, 132.48, 126.83, 123.91, 121.75, 110.94, 54.38, 51.85, 45.65, 43.10, 34.34.
【実施例10】
【0135】
【化16】

【0136】
3−(6−クロロ−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)キナゾリン−4−アミノ)−N−メチルプロパンスルホンアミド
2,4,6−トリクロロキナゾリン(200mg)を、DIPEA(0.46ml)と3−アミノプロパン−N−メチルスルホンアミド塩酸塩(162mg)とのTHF(3.0ml)溶液に添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。溶液をEtOAcで希釈し、水およびブラインで洗浄した。NaSOで乾燥させ、溶媒を除去して固体を得、それをSiO(EtOAc:ヘキサン(1:1))で精製して、3−(2,6−ジクロロ−キナゾリン−4−アミノ)−N−メチルプロパンスルホンアミド中間体を得た。この中間体を、N−メチルピペラジン(1.0ml)およびTHF(3.0ml)の入ったマイクロ波管に添加し、この溶液を130℃で加熱した。15分後、得られた混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。一緒にした有機抽出物をNaSOで乾燥させ、蒸発させて、粗製生成物を得た。SiO(EtOAc:MeOH:EtN(90:5:5))で精製して、固体として表題化合物を得た。収率:104mg(30%)。1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 7.48-7.32 (m, 3H), 5.91 (m, 1H), 5.91 (m, 1H), 3.88 (t, J= 5.0 Hz, 4H), 3.78 (q, J=6.2 Hz, 2H), 3.12 (t, J= 7.2 Hz, 2H), 2.78 (s, 3H), 2.45 (t, J= 5.1 Hz, 4H), 2.32 (s, 3H), 2.22 (p, J= 7.1 Hz, 2H). 13C-NMR (CDCl3) δ (ppm); 158.88, 158.39, 150.28, 132.30, 126.76, 123.78, 121.81, 111.00, 54.39, 47.14, 45.64, 43.08, 28.34, 22.61; MS (ESI) m/z 413 (M+H)+.
【実施例11】
【0137】
【化17】

【0138】
2−(5−トリフルオロメチル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)キナゾリン−4−アミノ)−N−フェニルエタンスルホンアミド
一般法Eに従って、2,4−ジクロロ−5−トリフルオロメチルキナゾリン(200mg)および2−アミノエタン−N−フェニルスルホンアミド(164mg)から調製した。収率:308mg(93%)。1H-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 9.74 (br s, 1H), 7.64-7.57 (m, 2H), 7.50 (d, J=6.0 Hz, 1H), 7.32-7.28 (m, 2H), 7.24-7.21 (m, 2H), 7.11-7.06 (m, 1H), 6.56-6.55 (m, 1H), 3.98 (q, J=5.9 Hz, 2H), 3.74 (t, J=5.2 Hz, 4H), 3.47 (t, J=6.6 Hz, 2H), 2.32 (t, J=5.0 Hz, 4H), 2.23 (s, 3H).
【実施例12】
【0139】
【化18】

【0140】
2−(6,7−ジクロロ−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)キナゾリン−4−アミノ)−N−フェニルエタンスルホンアミド
一般法Eに従って、2,4,6,7−テトラクロロキナゾリン(200mg)および2−アミノエタン−N−フェニルスルホンアミド(164mg)から調製した。収率:284mg(75%)。1H-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 8.15-8.13 (m, 2H), 7.42 (s, 1H), 7.30-7.26 (m, 2H), 7.23-7.20 (m, 2H), 7.09-7.06 (m, 1H), 3.86-3.81 (m, 2H), 3.71 (t, J=5.0 Hz, 4H), 3.50-3.47 (m, 2H), 2.31 (t, J=5.0 Hz, 4H), 2.22 (s, 3H); 13C-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 158.44, 158.34, 151.12, 137.80, 134.90, 129.06, 125.57, 124.25, 123.60, 121.59, 119.08, 109.83, 54.23, 48.57, 45.58, 42.94, 35.23.
【実施例13】
【0141】
【化19】

【0142】
2−(6−ブロモ−7−クロロ−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)キナゾリン−4−アミノ)−N−フェニルエタンスルホンアミド
一般法Eに従って、6−ブロモ−2,4,7−トリクロロキナゾリン(200mg)および2−アミノエタン−N−フェニルスルホンアミド(140mg)から調製した。収率:208mg(60%)。1H-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 9.68 (br s, 1H), 8.29 (s, 1H), 8.15 (m, 1H), 7.42 (s, 1H), 7.30-7.26 (m, 2H), 7.21 (d, J=7.2 Hz, 2H), 7.09-7.05 (m, 1H), 3.84-3.80 (m, 2H), 3.71 (t, J=5.2 Hz, 4H), 3.48 (t, J=7.2 Hz, 2H), 2.30 (t, J=4.6 Hz, 4H), 2.22 (s, 3H).
【実施例14】
【0143】
【化20】

【0144】
2−(6,7−ジクロロ−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)キナゾリン−4−アミノ)−N−フェニルエタンスルホンアミド
2,4,6,8−テトラクロロキナゾリン(200mg)を、EtOAc(3.0ml)およびDIPEA(0.27ml)の入ったマイクロ波管に添加した。2−アミノエタン−N−フェニルスルホンアミド(164mg)を添加し、TLCによって出発材料が一置換キナゾリンにほぼ完全に転換したことが示されるまで、得られた混合物を室温で撹拌した。N−メチルピペラジン(約1.0ml)を添加し、反応混合物をマイクロ波照射下で120℃で10分間加熱した。次いで、得られた混合物をEtOAcで希釈し、水およびブラインで洗浄した。NaSOで有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させて粗製生成物を得、それをSiO(勾配:100%EtOAcから90%EtOAc、5%EtN、5%MeOH)で精製して、固体として表題化合物305mg(2ステップにわたる計算で82%)を得た。1H-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 8.14 (t, J=5.2 Hz, 1H), 7.95 (d, J=2.4 Hz, 1H), 7.70 (d, J=2.4 Hz, 1H), 7.30-7.26 (m, 2H), 7.23-7.20 (m, 2H), 7.10-7.07 (m, 1H), 3.84-3.82 (m, 2H), 3.76 (t, J=5.0 Hz, 4H), 3.51-3.47 (m, 2H), 2.33 (t, J=5.0 Hz, 4H), 2.23 (s, 3H); 13C-NMR (DMSO-δ6) δ 158.75, 157.99, 146.96, 137.79, 131.76, 129.07, 123.61, 122.74, 121.05, 119.10, 111.55, 54.23, 48.56, 45.60, 42.93, 35.39.
【実施例15】
【0145】
【化21】

【0146】
2−(6−ヨード−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)キナゾリン−4−アミノ)−N−フェニルエタンスルホンアミド
一般法Eに従って、2,4−ジクロロ−6−ヨードキナゾリン(200mg)および2−アミノエタン−N−フェニルスルホンアミド(134mg)から調製した。収率:261mg(76%)。1H-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 9.93 (br s, 1H), 7.72 (dd, J=1.8 Hz, J=8.8 Hz, 1H), 7.34-7.18 (m, 3H), 7.12-7.03 (m, 2H), 3.77-3.66 (m, 6H), 3.50-3.43 (m, 2H), 2.27 (m, 4H), 2.20 (s, 3H).
【実施例16】
【0147】
【化22】

【0148】
2−(7,8−ジクロロ−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)キナゾリン−4−アミノ)−N−フェニルエタンスルホンアミド
一般法Eに従って、2,4,7,8−テトラクロロキナゾリン(200mg)および2−アミノエタン−N−フェニルスルホンアミド(164mg)から調製した。収率:306mg(82%)。1H-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 8.15 (m, 1H), 7.82 (d, J=8.8 Hz, 1 H), 7.30-7.26 (m, 2H), 7.23-7.21 (m, 2H), 7.19 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.10-7.06 (m, 1H), 3.87-3.83 (m, 2H), 3.78 (t, J=5.0 Hz, 4H), 3.51-3.47 (m, 2H), 2.34 (t, J=5.0 Hz, 4H), 2.24 (s, 3H); 13C-NMR (DMSO-δ6) δ (ppm) 164.69, 163.67, 154.71, 143.09, 140.53, 134.35, 130.98, 128.88, 127.44, 125.76, 124.38, 114.86, 59.51, 53.93, 50.87, 48.21, 40.60.
【実施例17】
【0149】
【化23】

【0150】
2−(5,7−ジクロロ−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)キナゾリン−4−アミノ)−N−フェニルエタンスルホンアミド
一般法Eに従って、2,4,5,7−テトラクロロキナゾリン(200mg)および2−アミノエタン−N−フェニルスルホンアミド(164mg)から調製した。収率:296mg(80%)。1H-NMR (CDCl3) δ (ppm) 7.93 (m, 1H), 7.30-7.26 (m, 2H), 7.23-7.21 (m, 3H), 7.11 (d, J=2.1 Hz, 1H), 7.09-7.05 (m, 1H), 3.94 (q, J=6.4 Hz, 2H), 3.72 (t, J=5.0 Hz, 4H), 3.50 (t, J=6.8 Hz, 2H), 2.31 (t, J=5.0 Hz, 4H), 2.22 (s, 3H); 13C-NMR (CDCl3) δ (ppm) 163.21, 162.74, 160.33, 143.13, 141.35, 135.00, 134,32, 128.78, 128.68, 127.10, 124.41, 111.74, 59.51, 53.95, 50.88, 48.17, 41.19.
【0151】
ヒトH受容体での放射性リガンド置換研究
細胞培養およびトランスフェクション。HEK293T細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)、50 IU/mlペニシリン、および50μg/mlストレプトマイシンを補充したダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)中、5%CO2の加湿雰囲気下37℃で維持した。約400万個の細胞を10cmのディッシュに播種し、一晩培養し、その後トランスフェクションした。各ディッシュの細胞のトランスフェクションのために、トランスフェクション混合物を、血清不含DMEM1mlで調製し、これはヒトHR受容体プラスミド5μgおよび1mg/mlの25kDaの直鎖状ポリエチレンイミン(Polyscience,Inc.、USA)15μlを含有した。この混合物を室温で10〜15分間インキュベートし、その後、新鮮な細胞培養培地5mlを添加した単層細胞培養物に加えた。トランスフェクションの2日後、細胞を1mMのEDTAを含有するPBSで洗浄し、遠心分離によってペレットとして回収し、使用するまで−20℃で保存した。
【0152】
H]ヒスタミン結合アッセイ。放射性リガンド結合研究のために、トランスフェクションされた細胞のペレットを、HR結合緩衝液(100mMのTris−HCl、pH7.4)中でホモジナイズした。飽和結合アッセイは、様々な濃度の[H]ヒスタミン(Perkin−Elmer Life Science,Inc.、USA)を使用して実施し、一方、非特異的結合は、全アッセイ容量200μlにおいて3〜10μMのJNJ7777120存在下でのインキュベーションによって決定した。置換結合アッセイのためには、通常、メンブランを、全容量200μlにおいて、[H]ヒスタミンの存在下、10−4〜10−11Mのリガンド(ストック濃度は10mM 1 DMSO)と共にインキュベートした。反応混合物を室温(22℃)で1時間インキュベートし、0.3% 750kDaのPEIで前処理した96ウェルガラス繊維Cプレート上に採取した。結合アッセイデータは、Prism4.0(Graphpad Software Inc.、USA)を使用して分析した。
【0153】
本発明の化合物は、これらのアッセイにおいて活性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式の化合物
【化1】

(式中、
Xは、CRまたはNであり;
Yは、CRまたはNであり;
、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、H、F、Cl、Br、I、または1個もしくは複数のヘテロ原子を必要に応じて有する炭化水素基であり;
は、1個または複数のN原子を含む複素環基であり;
R’は、RまたはNRであり、ここで、R、R、およびRは、各々Hであるか、またはN原子と共にRおよびRによって形成された環状基を含めて、C原子が最大で20個であり、N、O、およびSから選択されるヘテロ原子をさらに最大で3個必要に応じて含む同一もしくは異なる基である)
または薬学的に許容されるその塩、エステル、もしくは溶媒和物。
【請求項2】
が、H、F、Cl、Br、I、C1〜4アルキル、C2〜5アルケニル、C1〜4アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−C1〜4アルキル−アリール、C1〜4アルキル−ヘテロアリール、アリールエチルO−アリール、O−ヘテロアリール、NH−アリール、NH−ヘテロアリール、S−アリール、S−フェニル、S−ヘテロアリール、O−C1〜4アルキル−アリール、O−C1〜4アルキル−ヘテロアリール、O−C1〜4アルキル−アリール、NH−C1〜4アルキル−アリール、NH−C1〜4アルキル−ヘテロアリール、ヒドラジノ、ヒドロキシルアミノ、NH、O−C1〜4アルキル−N(CH、またはNRから選択され、
ここで、Rは存在せず、かつRはアシルであるか、またはRおよびRの各々は、それぞれ独立に、H、C1〜4アルキル、シクロアルキル、フェニル、ベンジル、もしくはフェネチルから選択されるかのいずれかであり、前記アリール、ヘテロアリール、アルキル、アシル、フェニル、およびシクロアルキル部分のいずれも、C1〜4アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、およびC1〜3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
、R、R、およびRが、それぞれ独立に、H、F、Cl、Br、I、C1〜4アルキル、C2〜5アルケニル、C2〜5アルキニル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、C3〜6シクロアルキル、O−C3〜6シクロアルキル、フェニル、ベンジル、O−フェニル、NH−フェニル、S−フェニル、O−C1〜4アルキル−フェニル、C1〜4アルキル−フェニル、CF、O−CF、S−CF、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、O−C1〜4アルキル−N(CH、およびNRから選択され、ここで、RおよびRは、それぞれ独立に、H、C1〜4アルキル、フェニル、ベンジル、およびフェネチルから選択され、フェニル、アルキル、またはシクロアルキル部分はいずれも、C1〜3アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、およびC1〜3アルコキシから選択された1〜3個の置換基で必要に応じて置換されている、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
、R、R、およびRのうちの3個または4個すべてが、Hである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が、4〜7員ヘテロシクリル、C3〜7シクロアルキル−4〜7員ヘテロシクリル、およびビス−(4〜7員ヘテロシクリル)から選択される、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
が、4−メチルピペラジノである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Xが、Nであり、Yが、CRである、請求項1から6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
Xが、CRであり、Yが、CRである、請求項1から6のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
R’が、NRである、請求項1から8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
R’が、複素環またはヘテロアリール基である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
R’が、NHである、請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
本明細書の実施例から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
ヒスタミンH受容体でのアンタゴニズム、インバースアゴニズム、またはアゴニズムが関与する状態の治療において使用するための、請求項1から12のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
物理的刺激、化学的刺激、感染、対象にとって異物である物体の侵入、アレルギー、喘息、慢性閉塞性肺疾患、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患、重症筋無力症、自己免疫性神経障害、自己免疫性ブドウ膜炎、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、自己免疫性血小板減少症、側頭動脈炎、抗リン脂質抗体症候群、血管炎、ベーチェット病、疱疹状皮膚炎、尋常性天疱瘡、ビティリジオ、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性精巣炎、副腎の自己免疫疾患、多発性筋炎、皮膚筋炎、脊椎関節症、およびシェーグレン症候群に対する応答である、対象における障害または不快感の治療において使用するための、請求項1から12のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
急性炎症、アレルギー性炎症、慢性炎症、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬、アレルギー性鼻炎、強皮症、自己免疫性甲状腺疾患、免疫介在性真性糖尿病、癌、そう痒、および狼瘡の治療において使用するための、請求項1から12のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
請求項1から12のいずれかに記載の化合物と、少なくとも1種の薬学的に許容される添加剤とを含む医薬組成物。
【請求項17】
請求項13から15のいずれかに記載の治療で使用される医薬品の製造のための、請求項1から12のいずれかに記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2011−508756(P2011−508756A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541062(P2010−541062)
【出願日】平成21年1月2日(2009.1.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050012
【国際公開番号】WO2009/083608
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(510185192)
【Fターム(参考)】