説明

キノキサリニル大環状C型肝炎ウイルスセリンプロテアーゼインヒビター

本発明は、セリンプロテアーゼ活性、特にC型肝炎ウイルス(HCV)NS3-NS4Aプロテアーゼの活性を阻害する、式Iの化合物または薬学的に許容され得るその塩、エステルもしくはプロドラッグを含む化合物に関する。結果的に、本発明の化合物は、C型肝炎ウイルスのライフサイクルを妨害し、さらに抗ウイルス剤としても有用である。本発明はさらに、HCV感染に苦しむ被検体に投与するための、前述の化合物を含む粗医薬組成物に関する。本発明はまた、本発明の化合物を含む医薬組成物を投与して、ひけんたいにおけるHCV感染を治療する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2006年6月26日に出願された米国特許仮出願第60/872,442号の恩典を主張する。上述の出願の全教示は参照により本明細書に援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)に対する活性を有し、HCV感染の治療に有用な新規大環に関する。より具体的には、本発明は、大環状化合物、かかる化合物を含む組成物および該化合物を用いる方法ならびにかかる化合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
HCVは非A型肝炎、非B型肝炎の主要な原因であり、先進国と発展途上国の両方において深刻な公衆衛生課題として高まっている。このウイルスは世界中で2億を超える人に感染し、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染する個体の数をほぼ5倍超えると推測されている。HCVに感染した患者は、高い割合の個体が慢性感染に罹患するので、肝臓の硬変、その後の肝細胞癌および終末肝臓疾患を発症するリスクが高い。HCVは肝細胞癌の最も有力な原因であり、西洋で患者が肝臓移植を必要とする原因である。
【0004】
抗HCV治療剤の開発に対してかなり多くの障壁があり、限定されないが、ウイルスの持続性、宿主内での複製中のウイルスの遺伝的多様性、薬物耐性変異体を発現するウイルスの高い発生率、ならびにHCV複製および病因のための再現性のある感染培養系および小動物モデルの欠如が挙げられる。多くの場合で、感染の緩やかな進行および肝臓の複合生物学を仮定しても、大きな副作用がある可能性が高い抗ウイルス薬物には注意深く考慮する必要がある。
【0005】
HCV感染のための承認された2つの治療剤だけが現在利用可能である。元々の治療養生は一般的に、3〜12ヶ月の静脈内インターフェロン-α(IFN-α)を伴うが、新しく承認された第二世代治療はIFN-αおよびリバビリンのような一般的な抗ウイルスヌクレオシド模倣物との同時治療を伴う。これらの治療の両方は、インターフェロン関連副作用およびHCV感染に対する低い効果に悩む。不良な耐性および既存の治療剤の不満足な有効性のためにHCV感染の治療に有効な抗ウイルス剤の開発が必要性である。
【0006】
大部分の個体が慢性感染して無症候であり、予後が不明である患者集団において、有効的な薬物は、好ましくは現在利用可能な治療よりも有意に低い副作用を有する。C型肝炎非構造タンパク質-3(NS3)は、ウイルスポリタンパク質のプロセッシングおよび結果的にウイルス複製に必要なタンパク質分解性酵素である。HCV感染に関連するウイルスバリアントが存在するが、NS3プロテアーゼの活性部位は、高度に保存されているので、その阻害は魅力的な様式の介入となる。プロテアーゼインヒビターを用いたHIV治療の最近の成功によって、NS3の阻害はHCVとの戦いにおいて重要な標的であるという概念が支持される。
【0007】
HCVは、フラビリダエ(flaviridae)型RNAウイルスである。HCVゲノムはエンベロープに包まれ、およそ9600塩基対から構成される単鎖RNA分子を含む。これはおよそ3010アミノ酸から構成されるポリペプチドをコードする。
【0008】
HCVポリタンパク質は、ウイルスおよび宿主ペプチダーゼによって様々な機能を発揮する10個の別々の(discrete)ペプチドにプロセッシングされる。3つの構造タンパク質C、E1およびE2がある。P7タンパク質は機能が未知であり、非常に多様な配列から構成される。6個の非構造タンパク質がある。NS2は、NS3タンパク質の一部と共に機能する亜鉛依存性メタロプロテイナーゼである。NS3は、2つの触媒機能(NS2との結合とは別に):補因子としてNS4Aを必要とするN末端でのセリンプロテアーゼ、およびカルボキシル末端でのATPアーゼ依存性ヘリカーゼ機能を含む。NS4Aは強固に結合するが共有結合はしていないセリンプロテアーゼの補因子である。
【0009】
NS3.4Aプロテアーゼは、ウイルスポリタンパク質上の4つの部位を切断するために重要である。NS3-NS4A切断は、自己触媒であり、シスで生じる。残りの3つの加水分解物、NS4A-NS4B、NS4B-NS5AおよびNS5A-NS5Bは全てトランスで生じる。NS3は、キモトリプシン様プロテアーゼとして構造的に分類されるセリンプロテアーゼである。NSセリンプロテアーゼはそれ自体タンパク質分解性活性を有するが、HCVプロテアーゼ酵素は、ポリタンパク質切断を触媒する点で有効な酵素ではない。NS4Aタンパク質の中心疎水性領域はこの促進に必要とされることが示されている。NS3タンパク質のNS4Aとの複合体形成は、プロセッシングに必要であるように思われ、全ての部位でのタンパク質分解性効果を高める。
【0010】
抗ウイルス剤の開発のための一般的戦略は、ウイルスの複製に不可欠である、NS3を含むウイルスコード酵素を不活性化することである。NS3プロテアーゼインヒビターの発見に関する現在の努力は、S. Tan, A. Pause, Y. Shi, N. Sonenberg, Hepatitis C Therapeutics:Current Status and Emerging Strategies, Nature Rev. Drug Discov., 1, 867-881 (2002)に概説された。HCVプロテアーゼインヒビターの合成を記載した他の特許開示は、WO 00/59929 (2000);WO 99/07733 (1999);WO 00/09543 (2000);WO 99/50230 (1999);US5861297 (1999);US6410531;US7176208;US7125845;US特許公開公報20050153877、および20050261200である。
【発明の概要】
【0011】
発明の要旨
本発明は、セリンプロテアーゼ活性、特にC型肝炎ウイルス(HCV)NS3-NS4Aプロテアーゼの活性を阻害する新規HCVプロテアーゼインヒビター化合物、およびその薬学的に許容され得る塩、エステル、またはプロドラッグに関する。結果的に、本発明の化合物は、C型肝炎ウイルスの生活環に干渉し、抗ウイルス剤としても有用である。さらに本発明は、HCV感染を患う被験体への投与のための、前記化合物、塩、エステルまたはプロドラッグを含む医薬組成物に関する。さらに本発明は、本発明の化合物(またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグ)、およびインターフェロン(例えば、アルファ-インターフェロン、ベータ-インターフェロン、コンセンサスインターフェロン、ペグ化インターフェロン、またはアルブミンもしくは他のコンジュゲートインターフェロン)等の別の抗HCV剤、リバビリン、アマンタジン、別のHCVプロテアーゼインヒビター、またはHCVポリメラーゼ、ヘリカーゼもしくは内部リボソーム侵入部位インヒビターを含む医薬組成物を特徴とする。また、本発明は本発明の医薬
組成物を投与することによる被験体におけるHCV感染を治療する方法に関する。
【0012】
本発明の一態様において、式Iで表される化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグ:


(式中、
Aは、H、-(C=O)-O-R1、-(C=O)-R2、-C(=O)-NH-R2、または-S(O)2-R1、-S(O)2NHR2から選択される;
各R1は、独立して、
(i)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iii)各々がO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、または-C2〜C8アルキニル;各々がO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、または置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニル、または置換-C3〜C12シクロアルケニル
からなる群より選択される;
各R2は、独立して、
(i)水素;
(ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iv)各々がO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、または-C2〜C8アルキニル;各々がO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、または置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニル、または置換-C3〜C12シクロアルケニル
からなる群より選択される;
Gは、-NHS(O)2-R3または-NH(SO2)NR4R5から選択される;式中、各R3は、独立して、
(i)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール
(ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iii)各々がO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、または-C2〜C8アルキニル、各々がO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、または置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニル、または置換-C3〜C12シクロアルケニル
から選択される;
ただし、R3は-CH2Phまたは-CH2CH2Phでないものとする;
各R4およびR5は、独立して、
(i)水素;
(ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv)各々がO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、または-C2〜C8アルキニル;各々がO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、または置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニル、または置換-C3〜C12シクロアルケニル
から選択される;
Lは、-CH2-、-O-、-S-、または-S(O)2-から選択される;
XおよびYは、これらが結合している炭素原子とともに、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールから選択される環状部分を形成する;
Wは非存在であるか、または-O-、-S-、-NH-、-N(Me)-、-C(O)NH-、もしくは-C(O)N(Me)-から選択される;
あるいは、Wは、-C2〜C4アルキレン-、置換-C2〜C4アルキレン-であり得る;
Zは、
(i)水素;
(ii)-CN;
(iii)-N3
(iv)ハロゲン;
(v)-NH-N=CH(R2)、式中、R2は、上記で先に定義したとおりである;
(vi)アリール、置換アリール;
(vii)ヘテロアリール、置換ヘテロアリール;
(viii)-C3〜C12シクロアルキル、置換-C3〜C12シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル;
(ix)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含み、ハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で任意に置換された-C1〜C6アルキル;
(x)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含み、ハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で任意に置換された-C2〜C6アルケニル;
(xi)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含み、ハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で任意に置換された-C2〜C6アルキニル
からなる群より選択される;
j = 0、1、2、3または4;
k=1、2または3;
m = 0、1または2;ならびに


は、炭素-炭素単結合または二重結合を表す)
ならびにその薬学的に許容され得る塩、エステルおよびプロドラッグが開示される。
【0013】
別の態様において、本発明は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはロドラッグを含む医薬組成物を特徴とする。本発明のさらに別の態様において、薬学的に許容され得る担体または賦形剤と組み合わされた治療有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを含む医薬組成物が開示される。また別の態様において、本発明は、前記医薬組成物でのかかる治療を必要とする被験体におけるC型肝炎感染の治療方法である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本発明の第1の態様は、単独または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わされた上記の式Iで表される化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはロドラッグである。
【0015】
他の態様において、本発明は、単独または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わされた本明細書に記載の式II〜Vで表される化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである。
【0016】
式II:


(式中、各X1、X2、X3およびX4は、独立して、-CR6およびNから選択され、ここで、R6は、独立して、
(i)水素;ハロゲン;-NO2;-CN;
(ii)-M-R4、式中、Mは、O、S、NHであり、R4は先に定義したとおりである;
(iii)NR4R5、式中、R4およびR5は先に定義したとおりである;
(iv)各々がO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、または-C2〜C8アルキニル;各々がO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、または置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニル、または置換-C3〜C12シクロアルケニル;
(v)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(vi)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
ここで、A、G、W、Zは、式Iで定義したとおりである)
の化合物。
【0017】
一例において、Wは、存在しない、-C2〜C4アルキレン-、または置換-C2〜C4アルキレン-である。Zは、ヘテロアリール、置換(substitute)ヘテロアリール、アリール、または置換アリールである。Aは、-C(O)-R2、-C(O)-O-R2、-S(O)2NHR2および-C(O)-NH-R2からなる群より選択され、式中、R2は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、-C2〜C8アルキニル、置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、置換-C2〜C8アルキニル、-C3〜C12シクロアルキル、-C3〜C12シクロアルケニル、置換-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルケニルから選択される。Gは、-NH-SO2-NH-R3または-NHSO2-R3であり得、式中、R3は、-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、-C2〜C8アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、-C3〜C12シクロアルキル、-C3〜C12シクロアルケニル、置換-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルケニルから選択される。
【0018】
別の例において、Wは、存在しない、-C2〜C4アルキレン-、または置換-C2〜C4アルキレン-である。Zは、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリール、または置換アリールである。Aは、-C(O)-O-R2、-S(O)2NHR2または-C(O)-NH-R2であり、式中、R2は、-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、-C2〜C8アルキニル、置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、置換-C2〜C8アルキニル、-C3〜C12シクロアルキル、-C3〜C12シクロアルケニル、置換-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルケニルである。Gは、-NHSO2-R3であり、式中、R3は、-C1〜C8アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、-C3〜C12シクロアルキル、-C3〜C12シクロアルケニル、置換-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルケニルから選択される。
【0019】
別の例において、Wは、存在しない。Zは、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリール、または置換アリールである。Aは、-C(O)-O-R1であり、式中、R1は、-C1〜C8アルキル、-C3〜C12シクロアルキル、置換-C3〜C12シクロアルキル、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールである。Gは、-NHSO2-R3であり、式中、R3は、-C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキルから選択される。
【0020】
好ましい例において、Wは、存在しない。Zは、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである。Aは、-C(O)-O-R1であり、式中、R1は、-C1〜C8アルキル、-C3〜C12シクロアルキル、置換-C3〜C12シクロアルキル、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールである。Gは、-NHSO2-R3であり、式中、R3は、C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキルから選択される。
【0021】
別の好ましい例において、Wは、存在しない。Zは、2-チオフェニルである。Aは、-C(O)-O-R1であり、式中、R1は、-C1〜C8アルキル、-C3〜C12シクロアルキル、置換-C3〜C12シクロアルキル、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールである。Gは、-NHSO2-R3であり、式中、R3は、-C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキルから選択される。
【0022】
さらに別の好ましい例において、式IIの化合物は、式II’またはII”:


(式中、Aは、-C(O)-O-R1であり、R1は、-C1〜C8アルキル、-C3〜C12シクロアルキル、置換-C3〜C12シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキルである。Gは、-NHSO2-R3であり、R3は、-C3〜C12シクロアルキル(例えば、シクロプロピル)または置換-C3〜C12シクロアルキルである。R100は、水素または-O-CH3である)
から選択される式を有する。
【0023】
式III:


(式中、各Y1、Y2およびY3は、独立して、CR6、N、NR6、SおよびOから選択される;式中、A、G、W、Zは、式Iで定義したとおりであり、R6は、式IIで定義したとおりである)
の化合物。
【0024】
一例において、Wは、存在しない、-C2〜C4アルキレン-、または置換-C2〜C4アルキレン-である。Zは、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリール、または置換アリールである。Aは、-C(O)-R2、-C(O)-O-R2、-S(O)2NHR2および-C(O)-NH-R2からなる群より選択され、式中、R2は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、-C2〜C8アルキニル、置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、置換-C2〜C8アルキニル、-C3〜C12シクロアルキル、-C3〜C12シクロアルケニル、置換-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルケニルから選択される。Gは、-NH-SO2-NH-R3または-NHSO2-R3であり得、式中、R3は、C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、-C2〜C8アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、-C3〜C12シクロアルキル、-C3〜C12シクロアルケニル、置換-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルケニルから選択される。
【0025】
さらに別の例において、Wは、存在しない、-C2〜C4アルキレン-、または置換-C2〜C4アルキレン-である。Zは、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリール、または置換アリールである。Aは、-C(O)-O-R2、-S(O)2NHR2または-C(O)-NH-R2であり、式中、R2は、-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、-C2〜C8アルキニル、置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、置換-C2〜C8アルキニル、-C3〜C12シクロアルキル、-C3〜C12シクロアルケニル、置換-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルケニルである。Gは、-NHSO2-R3であり、式中、R3は、-C1〜C8アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、-C3〜C12シクロアルキル、-C3〜C12シクロアルケニル、置換-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルケニルから選択される。
【0026】
さらにまた別の例において、Wは、存在しない。Zは、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリール、または置換アリールである。Aは、-C(O)-O-R1であり、式中、R1は、-C1〜C8アルキル、-C3〜C12シクロアルキル、置換-C3〜C12シクロアルキル、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールである。Gは、-NHSO2-R3であり、式中、R3は、C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキルから選択される。
【0027】
さらに別の例において、Wは、存在しない。Zは、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールである。Aは、-C(O)-O-R1であり、式中、R1は、-C1〜C8アルキル、-C3〜C12シクロアルキル、置換-C3〜C12シクロアルキル、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールである。Gは、-NHSO2-R3であり、式中、R3は、C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキルから選択される。
【0028】
別の例において、Wは、存在しない。Zは、2-チオフェニルである。Aは、-C(O)-O-R1であり、式中、R1は、-C1〜C8アルキル、-C3〜C12シクロアルキル、置換-C3〜C12シクロアルキル、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールである。Gは、-NHSO2-R3であり、式中、R3は、-C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキルから選択される。
【0029】
また別の例において、Wは、存在しない。Zは、限定されないが、2-チオフェニルであり得る。Aは、-C(O)-O-R1であり、式中、R1は、-C1〜C8アルキル、-C3〜C12シクロアルキル、置換-C3〜C12シクロアルキル、ヘテロシクリル、または置換ヘテロシクリルである。Gは、-NHSO2-R3であり、式中、R3は、-C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキルから選択される。
【0030】
本発明の代表的な化合物としては、限定されないが、以下の式IVの化合物(表1〜4)が挙げられる。



































【0031】
本発明のさらなる化合物は式IV:


(式中、A、QおよびGは、本明細書のA-マトリックス、Q-マトリックスおよびG-マトリックス表(表5〜7)に定義したものである)
のものである。以下のA-マトリックス、Q-マトリックスおよびG-マトリックス表に、式(IV)に示すコア環構造上に存在する置換基を示し、ここで、1つのA置換基がA-マトリックスから選択される場合、1つのQ置換基はQ-マトリックスから選択され、1つのG置換基はG-マトリックスから選択され、本発明のさらなる化合物が示される。化合物は、A-マトリックスから任意の要素を選択するとともに、Q-マトリックスから任意の要素およびG-マトリックスから任意の要素を選択することにより形成され、式IVのA、Q、G-置換大環が得られた。例えば、式中、AがA-マトリックスの要素A01であり、QがQ-マトリックスの要素Q01であり、GがG-マトリックスの要素G02である式IVの化合物は番号A01Q01G02で指定される。
【0032】
したがって、本発明は、式中、AがA-マトリックスの任意の要素であり、QがQ-マトリックスの任意の要素であり、GがG-マトリックスの任意の要素である式IVの化合物およびその薬学的に許容され得る塩を含む。
【0033】
具体的な化合物としては、限定されないが、以下のもの:
A01Q01G02;A01Q02G02;A01Q03G02;A01Q38G02;A01Q48G02;A01Q49G02;A01Q61G02;A05Q01G03;A01Q02G03;A05Q03G05;A09Q38G02;A30Q48G02;A01Q49G03;A05Q01G20;A05Q01G24;A05Q01G05;A05Q61G11;A05Q01G11;A30Q01G11;A05Q38G24;A05Q38G02;A05Q49G05;A30Q02G03;A09Q01G02;A09Q02G02;A09Q03G02;A095Q38G02;A09Q48G02;A09Q61G03;A30Q03G02;A30Q03G03;A30Q05G09;A30Q61G02;A05Q03G09;A05Q03G09;A01Q38G02;A01Q49G24;A05Q61G20;A09Q38G20;A30Q48G24;A30Q48G20;A30Q49G24;A05Q38G09;A05Q17G09;A05Q09G09;A05Q04G09;A05Q08G11;A05Q01G06;A05Q16G02;A05Q17G02;A05Q25G02;A03Q01G02;A06Q01G02;A16Q01G02が挙げられる。
【0034】















【0035】
さらなる局面において、本発明は、式V:
式Vの化合物


(式中、
Aは、H、-(C=O)-O-R1、-(C=O)-R2、-C(=O)-NH-R2、または-S(O)2-R1、-S(O)2NHR2から選択される;
各R1は、独立して、
(i)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iii)各々がO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、または-C2〜C8アルキニル;各々がO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、または置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニル、または置換-C3〜C12シクロアルケニル
からなる群より選択される;
各R2は、独立して、
(i)水素;
(ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iv)各々がO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、または-C2〜C8アルキニル;各々がO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、または置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニル、または置換-C3〜C12シクロアルケニル
からなる群より選択される;
Gは、-OH、-NHS(O)2-R3、-NH(SO2)NR4R5から選択される;
各R3は、独立して、
(i)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール
(ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iii)各々がO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、または-C2〜C8アルキニル、各々がO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、または置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニル、または置換-C3〜C12シクロアルケニル
から選択される;
各R4およびR5は、独立して、
(i)水素;
(ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iv)各々がO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、または-C2〜C8アルキニル;各々がO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、または置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニル、または置換-C3〜C12シクロアルケニル
から選択される;
Lは、CH2-、-O-、-S-、または-S(O)2-から選択される;
XおよびYは、これらが結合している炭素原子とともに、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールから選択される環状部分を形成する;
Wは非存在であるか、または-O-、-S-、-NH-、-N(Me)-、-C(O)NH-、もしくは-C(O)N(Me)-から選択される;
Zは、
(i)水素;
(ii)-CN;
(iii)-N3
(iv)ハロゲン;
(v)-NH-N=CH(R2)であり、式中、R2は、上記定義したとおりである;
(vi)アリール、置換アリール;
(vii)ヘテロアリール、置換ヘテロアリール;
(viii)-C3〜C12シクロアルキル、置換-C3〜C12シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル;
(ix)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含み、ハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で任意に置換された-C1〜C6アルキル;
(x)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含み、ハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で任意に置換された-C2〜C6アルケニル;
(xi)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含み、ハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で任意に置換された-C2〜C6アルキニル
からなる群より選択される;
j = 0、1、2、3または4;
k=1、2または3;
m = 0、1または2;ならびに


は、炭素-炭素単結合または二重結合を表す)の化合物を提供する。
【0036】
一例において、Lは-CH2-であり、jは2であり、kは1である。Aは、-C(O)-R2、-C(O)-O-R2、-S(O)2NHR2および-C(O)-NH-R2からなる群より選択され、式中、R2は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、-C2〜C8アルキニル、置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、置換-C2〜C8アルキニル、-C3〜C12シクロアルキル、-C3〜C12シクロアルケニル、置換-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルケニルから選択される。Gは、-NH-SO2-NH-R3または-NHSO2-R3であり得、式中、R3は、C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、-C2〜C8アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、-C3〜C12シクロアルキル、-C3〜C12シクロアルケニル、置換-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルケニルから選択される。
【0037】
さらに別の例において、Lは-CH2-であり、jは2であり、kは1である。Aは、-C(O)-O-R2、-S(O)2NHR2または-C(O)-NH-R2であり、式中、R2は、-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、-C2〜C8アルキニル、置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、置換-C2〜C8アルキニル、-C3〜C12シクロアルキル、-C3〜C12シクロアルケニル、置換-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルケニルである。Gは、-NHSO2-R3であり、式中、R3は、-C1〜C8アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、-C3〜C12シクロアルキル、-C3〜C12シクロアルケニル、置換-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルケニルから選択される。
【0038】
さらにまた別の例において、Lは-CH2-であり、jは2であり、kは1である。Wは、存在しない。Zは、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリール、または置換アリールである。Aは、-C(O)-O-R1であり、式中、R1は、-C1〜C8アルキル、-C3〜C12シクロアルキル、置換-C3〜C12シクロアルキル、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールである。Gは、-NHSO2-R3であり、式中、R3は、C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキルから選択される。
【0039】
さらに別の例において、Lは-CH2-であり、jは2であり、kは1である。Wは、存在しない。Zは、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールである。Aは、-C(O)-O-R1であり、式中、R1は、-C1〜C8アルキル、-C3〜C12シクロアルキル、置換-C3〜C12シクロアルキル、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールである。Gは、-NHSO2-R3であり、式中、R3は、C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキルから選択される。
【0040】
また、本発明は、本発明の化合物(例えば、本明細書において上記の式I、II、III、IVまたはVの化合物)、またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを含む医薬組成物を特徴とする。
【0041】
代わりの態様によれば、本発明の医薬組成物は、他の抗HCV剤をさらに含み得るか、または他の抗HCV剤とともに(同時または逐次)、例えば、併用療法の一部として投与され得る。抗HCV剤の例としては、限定されないが、α-インターフェロン、β-インターフェロン、リバビリン、およびアマンタジンが挙げられる。さらなる詳細については、S. Tan、A. Pause、Y. Shi、N. Sonenberg、Hepatitis C Therapeutics:Current Status and Emerging Strategies、Nature Rev. DrugDiscov., 1、867-881 (2002);WO 00/59929 (2000);WO 99/07733 (1999);WO 00/09543 (2000);WO 99/50230 (1999);US5861297 (1999);およびUS2002/0037998 (2002)を参照のこと。これらは、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0042】
さらなる態様によれば、本発明の医薬組成物は、他のHCVプロテアーゼインヒビターをさらに含み得る。
【0043】
また別の態様によれば、本発明の医薬組成物は、HCVの生活環の他の標的、例えば、限定されないが、ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、メタロプロテアーゼ、および内部リボソーム侵入部位(IRES)のインヒビター(1つまたは複数)をさらに含み得る。
【0044】
さらなる態様によれば、本発明は、被験体に、抗HCVウイルス有効量または阻害量の本発明の医薬組成物を投与することによる、治療を必要とする被験体におけるC型肝炎感染の治療方法を含む。
【0045】
本発明のさらなる態様は、例えば、試料中に存在し得るHCVによる感染の可能性を低下させるために、生物試料を本発明の化合物と接触させることによる、生物試料の処理方法を含む。
【0046】
本発明のまたさらなる局面は、本明細書に示した任意の合成手段を用いて本明細書に示した任意の化合物を作製する方法である。
【0047】
定義
本発明を説明するために使用される種々の用語の定義を以下に記載する。これらの定義は、具体的な例において限定されることがなければ、個別にまたは大きな集団の一部として、本明細書および特許請求の範囲を通じて使用される用語に適用される。
【0048】
用語「C1〜C6アルキル」または「C1〜C8アルキル」は、本明細書で使用される場合、それぞれ1〜6または1〜8の炭素原子を含む、飽和、直鎖もしくは分岐鎖炭化水素ラジカルのことをいう。C1〜C6アルキルラジカルの例としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシルラジカルが挙げられ;C1〜C8アルキルラジカルの例としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、ヘプチル、オクチルラジカルが挙げられる。
【0049】
用語「C2〜C6アルケニル」または「C2〜C8アルケニル」は、本明細書で使用される場合、1つの水素原子を除去した、それぞれ、2〜6個または2〜8個の炭素原子を含む炭化水素部分由来の一価の基を示し、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する。アルケニル基としては、限定されないが、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1-メチル-2-ブテン-1-イル、ヘプテニル、オクテニル等が挙げられる。
【0050】
用語「C2〜C6アルキニル」または「C2〜C8アルキニル」は、本明細書で使用される場合、1つの水素原子を除去した、それぞれ、2〜6個または2〜8個の炭素原子を含む炭化水素部分由来の一価の基を示し、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する。代表的なアルキニル基としては、限定されないが、例えば、エチニル、1-プロピニル、1-ブチニル、ヘプチニル、オクチニル等が挙げられる。
【0051】
用語「C3〜C8-シクロアルキル」または「C3〜C12-シクロアルキル」は、本明細書で使用する場合、1つの水素原子を除去した、単環式もしくは多環式の飽和炭素環化合物由来の一価の基を示し、前記炭素環はそれぞれ3〜8個、または3〜12個の環原子を含む。C3〜C8-シクロアルキルの例としては、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロオクチルが挙げられ;C3〜C12-シクロアルキルの例としては、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、およびビシクロ[2.2.2]オクチルが挙げられる。
【0052】
用語「C3〜C8-シクロアルケニル」または「C3〜C12-シクロアルケニル」は、本明細書で使用する場合、1つの水素原子を除去した、単環式もしくは多環式の炭素環化合物由来の一価の基を示し、前記炭素環化合物は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有し、それぞれ3〜8個、または3〜12個の炭素原子を含む。C3〜C8-シクロアルケニルの例としては、限定されないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル等が挙げられ;C3〜C12-シクロアルケニルの例としては、限定されないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル等が挙げられる。
【0053】
用語「アリール」は、本明細書中で使用される場合、限定されないがフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニル(idenyl)等を含む、1つまたは2つの芳香族環を有する単環または二環式の炭素環系のことをいう。
【0054】
用語「アリールアルキル」は、本明細書で使用される場合、アリール環に結合されたC1〜C3アルキルまたはC1〜C6アルキル残基のことをいう。例としては、限定されないが、ベンジル、フェネチル等が挙げられる。
【0055】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書で使用される場合、5〜10個の環原子を有する、単環、二環または三環式の芳香族ラジカルもしくは芳香族環のことをいい、1つの環原子は、S、OおよびNから選択され;0、1または2個の環原子はS、OおよびNから独立して選択されるさらなるヘテロ原子であり;残りの環原子は炭素である。ヘテロアリールとしては、限定されないが、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノキサリニル等が挙げられる。
【0056】
用語「ヘテロアリールアルキル」は、本明細書で使用される場合、ヘテロアリール環に結合されたC1〜C3アルキルまたはC1〜C6アルキル残基残基のことをいう。例としては、限定されないが、ピリジニルメチル、ピリミジニルエチル等が挙げられる。
【0057】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、本明細書で使用される場合、非芳香族の3-、4-、5-、6-もしくは7員環、または2−もしくは3環基縮合系をいい、(i)それぞれの環は、酸素、硫黄および窒素から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含み、(ii)それぞれの5員環は0〜1個の二重結合を有し、それぞれの6員環は0〜2個の二重結合を有し、(iii)窒素および硫黄ヘテロ原子は任意に酸化され得、(iv)窒素ヘテロ原子は任意に4連であり得、(iv)上記の環のいずれかはベンゼン環に縮合し得る。代表的なヘテロシクロアルキル基としては、限定されないが、[1,3]ジオキソラン、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニルおよびテトラヒドロフリルが挙げられる。
【0058】
用語「置換された」とは、本明細書で使用される場合、化合物上の1、2または3個以上の水素原子を、限定されないが、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、-COOH、-C(O)O-C1〜C6アルキル、-C(O)O-C2〜C6アルケニル、-C(O)O-C2〜C6アルキニル、-C(O)O-アリール、-C(O)O-置換アリール、-C(O)O-ヘテロアリールアリール、-C(O)O-置換ヘテロアリール、-C(O)O-C3〜C12-シクロアルキル(alky)、-C(O)O-ヘテロシクロアルキル、-C(O)H、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、保護ヒドロキシ、-NO2、-CN、-NH2、保護アミノ、オキソ、チオキソ、-NH-C1〜C12-アルキル、-NH-C2〜C12-アルケニル、-NH-C2〜C12-アルケニル、-NH-C3〜C12-シクロアルキル、-NH-アリール、-NH-ヘテロアリール、-NH-ヘテロシクロアルキル、-ジアルキルアミノ、-ジアリールアミノ、-ジヘテロアリールアミノ、-O-C1〜C12-アルキル、-O-C2〜C12-アルケニル、-O-C2〜C12-アルケニル、-0-C3〜C12-シクロアルキル、-O-アリール、-O-ヘテロアリール、-O-ヘテロシクロアルキル、-C(O)-C1〜C12-アルキル、-C(O)-C2〜C12-アルケニル、-C(O)-C2〜C12-アルケニル、-C(O)-C3〜C12-シクロアルキル、-C(O)-アリール、-C(O)-ヘテロアリール、-C(O)-ヘテロシクロアルキル、-CONH2、-CONH-C1〜C12-アルキル、-CONH-C2〜C12-アルケニル、-CONH-C2〜C12-アルケニル、-CONH-C3〜C12-シクロアルキル、-CONH-アリール、-CONH-ヘテロアリール、-CONH-ヘテロシクロアルキル、-OCO2-C1〜C12-アルキル、-OCO2-C2〜C12-アルケニル、-OCO2-C2〜C12-アルケニル、-OCO2-C3〜C12-シクロアルキル、-OCO2-アリール、-OCO2-ヘテロアリール、-OCO2-ヘテロシクロアルキル、-OCONH2、-OCONH-C1〜C12-アルキル、-OCONH-C2〜C12-アルケニル、-OCONH-C2〜C12-アルケニル、-OCONH-C3〜C12-シクロアルキル、-OCONH-アリール、-OCONH-ヘテロアリール、-OCONH-ヘテロシクロアルキル、-NHC(O)H、-NHC(O)-C1〜C12-アルキル、-NHC(O)-C2〜C12-アルケニル、-NHC(O)-C2〜C12-アルケニル、-NHC(O)-C3〜C12-シクロアルキル、-NHC(0)-アリール、-NHC(O)-ヘテロアリール、-NHC(O)-ヘテロシクロアルキル、-NHCO2-C1〜C12-アルキル、-NHCO2-C2〜C12-アルケニル、-NHCO2-C2〜C12-アルケニル、-NHCO2-C3〜C12-シクロアルキル、-NHCO2-アリール、-NHCO2-ヘテロアリール、-NHCO2-ヘテロシクロアルキル、-NHC(O)NH2、-NHC(O)NH-C1〜C12-アルキル、-NHC(O)NH-C2〜C12-アルケニル、-NHC(O)NH-C2〜C12-アルケニル、-NHC(O)NH-C3〜C12-シクロアルキル、-NHC(O)NH-アリール、-NHC(O)NH-ヘテロアリール、-NHC(O)NH-ヘテロシクロアルキル、NHC(S)NH2、-NHC(S)NH-C1〜C12-アルキル、-NHC(S)NH-C2〜C12-アルケニル、-NHC(S)NH-C2〜C12-アルケニル、-NHC(S)NH-C3〜C12-シクロアルキル、-NHC(S)NH-アリール、-NHC(S)NH-ヘテロアリール、-NHC(S)NH-ヘテロシクロアルキル、-NHC(NH)NH2、-NHC(NH)NH-C1〜C12-アルキル、-NHC(NH)NH-C2〜C12-アルケニル、-NHC(NH)NH-C2〜C12-アルケニル、-NHC(NH)NH-C3〜C12-シクロアルキル、-NHC(NH)NH-アリール、-NHC(NH)NH-ヘテロアリール、-NHC(NH)NH-ヘテロシクロアルキル、-NHC(NH)-C1〜C12-アルキル、-NHC(NH)-C2〜C12-アルケニル、-NHC(NH)-C2〜C12-アルケニル、-NHC(NH)-C3〜C12-シクロアルキル、-NHC(NH)-アリール、-NHC(NH)-ヘテロアリール、-NHC(NH)-ヘテロシクロアルキル、-C(NH)NH-C1〜C12-アルキル、-C(NH)NH-C2〜C12-アルケニル、-C(NH)NH-C2〜C12-アルケニル、-C(NH)NH-C3〜C12-シクロアルキル、-C(NH)NH-アリール、-C(NH)NH-ヘテロアリール、-C(NH)NH-ヘテロシクロアルキル、-S(O)-C1〜C12-アルキル、-S(O)-C2〜C12-アルケニル、-S(O)-C2〜C12-アルケニル、-S(O)-C3〜C12-シクロアルキル、-S(O)-アリール、-S(O)-ヘテロアリール、-S(O)-ヘテロシクロアルキル-SO2NH2、-SO2NH-C1〜C12-アルキル、-SO2NH-C2〜C12-アルケニル、-SO2NH-C2〜C12-アルケニル、-SO2NH-C3〜C12-シクロアルキル、-SO2NH-アリール、-SO2NH-ヘテロアリール、-SO2NH-ヘテロシクロアルキル、-NHSO2-C1〜C12-アルキル、-NHSO2-C2〜C12-アルケニル、-NHSO2-C2〜C12-アルケニル、-NHSO2-C3〜C12-シクロアルキル、-NHS02-アリール、-NHSO2-ヘテロアリール、-NHSO2-ヘテロシクロアルキル、-CH2NH2、-CH2SO2CH3、-アリール、-アリールアルキル、-ヘテロアリール、-ヘテロアリールアルキル、-ヘテロシクロアルキル、-C3〜C12-シクロアルキル、ポリアルコキシアルキル、ポリアルコキシ、-メトキシメトキシ、-メトキシエトキシ、-SH、-S-C1〜C12-アルキル、-S-C2〜C12-アルケニル、-S-C2〜C12-アルケニル、-S-C3〜C12-シクロアルキル、-S-アリール、-S-ヘテロアリール、-S-ヘテロシクロアルキル、メチルチオメチル、-Si(アルキル)3、または-Si(アリール)3を含む置換基で独立して置換することをいう。いくつかの場合において、置換された部分の各置換基は、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、-NO2、-CNまたは-NH2から独立して選択される1つ以上の基で任意にさらに置換される。
【0059】
本発明に従って、本明細書に記載されるアリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールのいずれかは、任意の芳香族基であり得る。芳香族基は置換または非置換であり得る。
【0060】
本明細書に記載される任意のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル部分は、脂肪族基、脂環基または複素環基で置換され得ることが理解されよう。「脂肪族基」とは、炭素原子、水素原子、ハロゲン原子、酸素、窒素またはその他の原子の任意の組み合わせを含み、任意に、例えば二重結合および/または三重結合の1つ以上の不飽和の単位を含み得る、非芳香族部分である。脂肪族基は、直鎖、分岐鎖または環状であり得、好ましくは約1〜約24個の炭素原子、より典型的には約1〜約12個の炭素原子を含む。脂肪族炭化水素基に加えて、脂肪族基としては、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリアミン、およびポリイミンなどのポリアルコキシアルキルが挙げられる。かかる脂肪族基はさらに置換され得る。脂肪族基は、本明細書に記載されるアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン基の代わりに使用され得ることが理解されよう。
【0061】
用語「脂環」は、本明細書で使用される場合、1つの水素原子が除去された単環もしくは多環式の飽和炭素環化合物由来の一価の基を示す。例としては、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、およびビシクロ[2.2.2]オクチルが挙げられる。かかる脂環基がさらに置換されてもよい。
【0062】
用語「ハロ」および「ハロゲン」は、本明細書で使用される場合、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子のことをいう。
【0063】
本明細書に記載される化合物は1つ以上の非対称中心を含むので、エナンチオマー、ジアステレオマー、および絶対立体化学に関して、(R)-もしくは(S)-、またはアミノ酸について(D)-もしくは(L)-で規定され得るその他の立体異性体形態を生じる。本発明には、かかる全ての可能な異性体、ならびにそれらのラセミ体および光学的に純粋な形態を含むことが意図される。光学異性体は、上述の手順により、またはラセミ体混合物を分解することにより、それぞれの光学的に活性な前駆体から調製され得る。分解は、クロマトグラフィーまたは反復結晶化、あるいは当業者に公知のこれらの技術のうちのいくつかの組み合わせにより、分解剤の存在下で行われ得る。分解に関するさらなる詳細は、Jacques, et al., Enantiomers, Racemates, and Resolutions (John Wiley & Sons, 1981)に見ることができる。本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合、またはその他の幾何学非対称中心を含む場合、ならびに他に具体的に記載されない場合、化合物は、EおよびZ幾何学異性体の両方を含むことが意図される。同様に、全ての互変異性形態が含まれることも意図される。本明細書において明らかである任意の炭素-炭素二重結合の配置は使い易さのみで選択され、文章中で記載されない限り特定の配置が指定されることはないので、本明細書中に任意裁量でトランスとして示される炭素-炭素二重結合は、シス、トランスまたは任意の割合のその2つの混合物であり得る。
【0064】
用語「被験体」は、本明細書で使用する場合、哺乳動物のことをいう。したがって、被験体は、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモット等のことをいう。好ましくは、被験体はヒトである。被験体がヒトである場合、本明細書では被験体を患者という場合がある。
【0065】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容され得る塩」は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等を伴うことなく、ヒトおよび下等動物の組織に接触させる使用に適切で、正常医学判断の範囲内にある、本発明の方法によって形成される化合物の塩のことをいい、適当な益/リスクの比率の均衡が取れている。薬学的に許容され得る塩は当該技術分野に周知である。例えば、S. M. Bergeらは、J. Pharmaceutical Sciences, 66:1-19 (1977)に、薬学的に許容され得る塩を詳細に記載している。該塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製の間に、インサイチュで調製することができるか、または遊離塩基と適切な有機酸を反応させて別々に調製することができる。薬学的に許容され得るものの例としては、限定されることはないが、非毒性の酸付加塩、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸、または酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸で形成されるか、あるいはイオン交換などの当該技術分野で使用されるその他の方法を用いて形成されるアミノ基の塩が含まれる。その他の薬学的に許容され得る塩としては、限定されないが、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、ブチレート、カンホレート(camphorate)、カンホルスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ホルメート、フマレート、グルコヘプトネート、グリセロホスフェート、グルコネート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ヒドロヨーダイド、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオネート、乳酸塩、ラウレート、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロネート、メタンスルホネート、2-ナフタレンスルホネート、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、オキサロ酸塩、パルミチン酸塩、パモエート、ペクチネート、パースルフェート、3-フェニルプロピオネート、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート、プロピオネート、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルフェート、酒石酸塩、チオシアネート、p-トルエンスルホネート、ウンデカノエート、吉草酸塩等が挙げられる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。さらなる薬学的に許容され得る塩としては、適切な場合、非毒性アンモニウム、4級アンモニウム、ならびにハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、スルフェート、ホスフェート、硝酸塩、炭素数1〜6のアルキル、スルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩などの対イオンを用いて形成されるアミンカチオンが挙げられる。
【0066】
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容され得るエステル」は、インビボで加水分解される、本発明の方法によって形成される化合物のエステルのことをいい、ヒト体内で容易に分解されて親化合物またはその塩が残るエステルが含まれる。適切なエステル基としては、例えば、薬学的に許容され得る脂肪族カルボン酸、特に各アルキルもしくはアルケニル部分が都合よく6個以下の炭素原子を有するアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸および二アルカン酸由来のものが挙げられる。特定のエステルの例としては、限定されないが、ホルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、アクリレートおよびエチルスクシネートが挙げられる。
【0067】
用語「薬学的に許容され得るプロドラッグ」は、本明細書で使用される場合、過度な毒性、刺激、アレルギー反応等を伴い、ヒトおよび下等動物の組織と接触させる使用に適切で、正常な医学的判断の範囲内にある、本発明の方法によって形成される化合物のプロドラッグのことをいい、これは適当な益/リスクの比率の均衡が取れており、その目的の使用に効果的であり、可能な場合、本発明の化合物の両性イオン形態である。「プロドラッグ」は、本明細書で使用する場合、代謝的手段(例えば、加水分解)によりインビボで本発明の式で表される任意の化合物を提供するために変換可能な化合物を意味する。プロドラッグの種々の形態が当該技術分野に知られており、例えば、Bundgaard, (ed.), Design of Prodrugs, Elsevier (1985);Widder, et al. (ed.), Methods in Enzymology, vol. 4, Academic Press (1985);Krogsgaard-Larsen, et al., (ed). "Design and Application of Prodrugs, Textbook of Drug Design and Development, Chapter 5, 113-191 (1991);Bundgaard, et al., Journal of Drug Deliver Reviews, 8:1-38(1992);Bundgaard, J. of Pharmaceutical Sciences, 77:285以下参照(1988);Higuchi and Stella (eds.)Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems, American Chemical Society (1975);およびBernard Testa & Joachim Mayer, "Hydrolysis In Drug And Prodrug Metabolism:Chemistry, Biochemistry And Enzymology," John Wiley and Sons, Ltd. (2002)において議論されている。
【0068】
本発明により構想される置換基および改変体の組み合わせは、安定な化合物を形成するものだけである。用語「安定」は、本明細書で使用する場合、化合物の製造を可能にし、本明細書に詳述される目的(例えば、被験体への治療的または予防的な投与)に有用である十分な時間、化合物の完全性を維持するのに十分な安定性を有する化合物のことをいう。
【0069】
合成された化合物は反応混合物から分離することができ、さらに、カラムクロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィーまたは再結晶化などの方法により精製することができる。当業者に理解され得るように、本明細書の式の化合物を合成するさらなる方法は、本発明を鑑みると当業者に明らかである。さらに、種々の合成工程は、所望の化合物を生じるために代替的なシーケンスまたは順序で行ってもよい。また、本明細書に示した溶媒、温度、反応持続時間などは、単なる例示の目的のものであって、当業者には、反応条件を変えることにより、本発明の所望の架橋結合大環状生成物が作製され得ることが認識されよう。本明細書に記載される化合物の合成に有用な、合成化学の変形および官能基保護法(保護および脱保護)は、当該技術分野に公知であり、例えばR. Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989);T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 第2版, John Wiley and Sons (1991);L. Fieser and M. Fieser, Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994);およびL. Paquette, ed., Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995) などに記載されるものを含む。
【0070】
本発明の化合物は、本明細書に記載の任意の合成手段により種々の官能基を付加して修飾し、選択的な生物学的特性を高め得る。このような修飾は当該技術分野に公知であり、所定の生物系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的な浸透性を高め、経口利用可能性を高め、可溶性を高めて注射による投与を可能にし、代謝を改変し、排出速度を改変するものが含まれ得る。
【0071】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容され得る担体と共に調剤された、治療有効量の本発明の化合物を含む。本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容され得る担体」は、非毒性の不活性の固形、半固形もしくは液体の充填剤、希釈剤、封入物質、または任意の種類の調製助剤を意味する。薬学的に許容され得る担体として作用し得る物質のいくつかの例は、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖;コーンスターチおよびポテトスターチなどのデンプン;セルロースならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースの誘導体;強化トラガカント;モルト;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐剤ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油およびダイズ油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリル酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝化剤;アルギン酸;発熱源非含有水;等張食塩水;リンガー液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝液であり、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどのその他の非毒性の適合性潤滑剤、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、調味料および香料、保存料および抗酸化剤も、調製者の判断に従って組成物中に存在し得る。本発明の医薬組成物は、ヒトおよび他の動物に経口、経直腸、非経口、槽内、膣内、腹腔内、局所(粉末、軟膏もしくは点滴)、口内、または口腔もしくは経鼻スプレーで投与され得る。
【0072】
経口投与用の液体投与形態としては、薬学的に許容され得るエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。活性化合物に加えて、液体投与形態は、例えば、水またはその他の溶媒、可溶化剤およびエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、塊茎油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルなどの乳化剤ならびにそれらの混合物のような当該技術分野で一般に使用される不活性希釈剤を含み得る。不活性希釈剤の他に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、調味料および香料などの調整剤を含み得る。
【0073】
注射用調製物、例えば滅菌注射用液または油性懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、公知の当該技術に従って調製され得る。滅菌注射用調製物はまた、非毒性で非経口的に許容され得る希釈剤または溶媒、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液中の滅菌の注射用溶液、懸濁液またはエマルジョンであり得る。この中で、使用され得る許容可能なビヒクルおよび溶媒は、水、リンガー液、U.S.P.および等張塩化ナトリウム溶液である。また、溶媒または懸濁媒体としては、滅菌性の固定油が従来から使用されている。この目的のために、合成モノ-またはジグリセリドを含む、任意の刺激の弱い固定油が使用され得る。また、注射物の調製にはオレイン酸などの脂肪酸が使用される。
【0074】
注射可能な調製物は、例えば、細菌保持フィルターを用いたろ過、または使用前に滅菌水もしくはその他の滅菌注射可能な媒体中に溶解もしくは分散され得る滅菌固形組成の形態での滅菌剤を含むことにより滅菌され得る。
【0075】
薬物の効果を長くするために、しばしば、皮下または筋内注射で薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶解性の低い結晶性物質または非結晶性物質の液体懸濁物を使用することにより達成され得る。薬物の吸収速度は、その後、薬物の溶解速度に依存し、次いで、結晶の大きさおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与された薬物形態の遅い吸収は、薬物を油ビヒクルに溶解または懸濁することにより達成される。注射用の貯蔵形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に薬物の微小封入マトリクスを形成して作製される。薬物対ポリマーの比率および使用される特定のポリマーの性質に依存して、薬物の放出速度が調節され得る。その他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。貯蔵型注射用製剤はまた、生体組織に適合性のリポソームまたはマイクロエマルジョンに薬物をトラップすることで調製される。
【0076】
直腸または膣投与用の組成物は、好ましくは本発明の化合物と、室温では固体であるが体内では液体であるために直腸または膣内で溶解して活性化合物を放出するココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスなどの適切な非刺激性の賦形剤もしくは担体を混合することで調製され得る坐剤である。
【0077】
経口投与用の固形投与形態としては、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、および顆粒が挙げられる。かかる固形投与形態において、活性化合物と、少なくとも1つの、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの不活性な薬学的に許容され得る賦形剤または担体、および/または:a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤または増量剤、b)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアラビアゴムなどの結合剤、c)グリセロールなどの湿潤剤、d)アガー-アガー、炭酸カルシウム、ポテトスターチまたはタピオカスターチ、アルギン酸、特定のケイ酸塩および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶液保持剤、f)4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸湿剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの潤滑剤、ならびにそれらの組み合わせを混合する。カプセル、錠剤、および丸薬の場合において、投与形態には緩衝化剤も含まれ得る。
【0078】
また、同様の種類の固形組成物は、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、軟式および硬式の充填ゼラチンカプセル中で充填剤として使用され得る。
【0079】
また、活性化合物は、上記の1種類以上の賦形剤を有するマイクロカプセル封入形態であり得る。錠剤、糖剤、カプセル、丸薬、および顆粒の固形投与形態は、腸溶性コーティング、放出調節コーティングおよび医薬調製分野に周知のその他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。かかる固形投与形態では、活性化合物は、スクロース、ラクトースまたはデンプンなどの少なくとも1種類の不活性な希釈剤と混合され得る。かかる投与形態はまた、通常の実務と同様、不活性な希釈剤以外のさらなる物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微晶質セルロースなどの錠剤作製潤滑剤および他の錠剤作製補助剤を含み得る。カプセル、錠剤および丸剤の場合、投与形態はまた、緩衝剤を含み得る。それらは任意に不透明化剤を含んでもよく、さらに(1つ以上の)活性成分のみを放出する組成物であり得るか、または優先的に腸管の特定の部分、任意に遅延様式で存在し得る。使用可能な埋め込み組成物の例としては、ポリマー性物質およびワックスが挙げられる。
【0080】
本発明の化合物の局所投与または経皮投与用の投与形態としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸引剤またはパッチが挙げられる。滅菌条件下で活性成分と、薬学的に許容され得る担体および任意に必要な保存剤または必要とされ得るバッファとを混合する。点眼剤、耳用ドロップ、眼用軟膏、粉末および溶液も、本発明の範囲に包含される。
【0081】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、動物性油脂または植物性油脂、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの組み合わせなどの賦形剤を含み得る。
【0082】
粉末およびスプレーは、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含み得る。スプレーはさらに、クロロフルオロヒドロカーボンなどの習慣的なプロペラントを含み得る。
【0083】
経皮パッチは、化合物の体への制御送達をもたらすという追加的な利点を有する。かかる投与形態は、適切な媒体に化合物を溶解または分散することで作製され得る。また、吸収促進剤を使用して、皮膚を通過する化合物の流入を増加することも可能である。この速度は、速度調節膜を施すかまたは化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルに分散することで調節できる。
【0084】
しかしながら、本発明の化合物および組成物の一日当たりの全体の使用量は、正常な医学的判断の範囲内で、かかりつけの医師により決定されることが理解されよう。任意の特定の患者に対する具体的な治療有効投与レベルは、医学分野に周知である種々の因子、例えば治療される障害および障害の重症度;使用される具体的な化合物の活性;使用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、通常の健康状態、性別および食事;使用される具体的な化合物の投与時間、投与経路および排出速度;治療期間;使用される具体的な化合物と組み合わせるかまたはそれと同時に使用される薬物等に依存する。
【0085】
単回投与または分割投与でヒトまたはその他の動物に投与される本発明の化合物の一日当たりの全体の投与量は、例えば、0.01〜50mg/体重kg、またはより一般的には0.1〜25mg/体重kgの量であり得る。単回投与組成物は、一日当たりの投与量となるかかる量またはその複数分割量を含み得る。一般的に、本発明による治療養生法は、単回または複数回投与における一日当たり約10mg〜約1000mgの本発明の(1つ以上の)化合物のかかる治療を必要とする患者に対する投与を含む。
【0086】
上述のものよりも低いかまたは高い投与量が必要である場合もある。任意の特定の患者に対する具体的な投与および治療養生法は、種々の因子、例えば使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、通常の健康状態、性別、食事、投与時間、排出速度、薬物組み合わせ、疾患の重症度および経過、症状または症候、疾患に対する患者の素因、症状または症候、ならびに治療を行う医師の判断に依存する。
【0087】
抗ウイルス活性
本発明の化合物の阻害量または用量は、約0.1mg/Kg〜約500mg/Kg、あるいは約1〜約50mg/Kgの範囲であり得る。また、阻害量または用量は、投与経路、ならびに他の薬剤と同時に使用する可能性に応じて異なる。
【0088】
本発明の治療方法によれば、被験体に、抗C型肝炎ウイルス有効量または阻害量の本発明の化合物を、所望の結果が達成されるのに必要であるような量および時間で投与することにより、ヒトまたは下等哺乳動物などの被験体においてウイルス感染が治療または予防される。本発明のさらなる方法は、所望の結果が達成されるのに必要であるような量および時間での阻害量の本発明の化合物の組成物による生物試料の処理である。
【0089】
用語本発明の化合物の「抗C型肝炎ウイルス有効量」は、本明細書で使用される場合、生物試料または被験体におけるウイルス量が減少するような化合物の充分な量を意味する。医学技術分野でよく理解されているように、抗C型肝炎ウイルス有効量の本発明の化合物は、任意の医学的治療に適用可能な益/リスクの妥当な比率である。
【0090】
用語本発明の化合物の「阻害量」は、生物試料または被験体におけるC型肝炎ウイルス量を減少させるのに充分な量を意味する。前記阻害量の本発明の化合物が被験体に投与される場合、かかりつけの医師により決定されるような任意の医学的治療に適用可能な益/リスクの妥当な比率であることは理解されよう。用語「(1つ以上の)生物試料」は、本明細書で使用する場合、被験体に対する投与を目的とする、生物起源の物質を意味する。生物試料の例としては、限定されないが、血液および血漿、血小板、血液細胞の亜集団等の血液の成分;腎臓、肝臓、心臓、肺等の器官;精子および卵子;骨髄およびその成分;または幹細胞が挙げられる。従って、本発明の別の態様は、生物試料と阻害量の本発明の化合物または医薬組成物を接触させることによる、前記生物試料の処理方法である。
【0091】
患者の症状の改善において、必要に応じて、本発明の化合物、組成物またはその組み合わせの維持用量が投与され得る。続いて、投与の用量もしくは頻度、またはその両方は、症状が所望のレベルに改善されて治療が終了される場合、症候の関数として改善される症状が維持されるレベルまで減少し得る。しかしながら、被験体は疾患症候の任意の再発に基づいて、長期間の周期的な治療を必要とし得る。
【0092】
本発明のさらなる方法は、ウイルス複製を阻害するおよび/またはウイルス負荷を減少するために必要な量および時間での、阻害量の本発明の化合物による生物試料の治療である。用語「阻害量」は、生物試料中のウイルス複製を阻害するおよび/またはC型肝炎ウイルス負荷を減少するのに十分な量を意味する。用語「(1つ以上の)生物試料」は、本明細書で使用する場合、被験体に対する投与を目的とする、生物起源の物質を意味する。生物試料の例としては、限定されないが、血液および血漿、血小板、血液細胞の亜集団等の血液の成分;腎臓、肝臓、心臓、肺等の器官;精子および卵子;骨髄およびその成分;または幹細胞が挙げられる。従って、本発明の別の態様は、生物試料と阻害量の本発明の化合物または医薬組成物を接触させることによる、前記生物試料の処理方法である。
【0093】
他に規定されることがなければ、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者に一般的な公知である意味に従う。本明細書において言及される全ての文献、特許、公開特許出願、およびその他の参照は、その全体において参照によって本明細書に援用される。
【0094】
略語
以下のスキームの記載および実施例で使用した略語は;
ACN アセトニトリル;
BME 2-メルカプトエタノール;
BOP ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;
COD シクロオクタジエン;
DAST 三フッ化ジエチルアミノ硫黄;
DABCYL 6-(N-4'-カルボキシ-4-(ジメチルアミノ)アゾベンゼン)-アミノヘキシル-1-O-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)-ホスホルアミダイト;
DCM ジクロロメタン;
DIAD ジイソプロピルアゾジカルボキシレート;
DIBAL-H 水素化ジイソブチルアルミニウム;
DIEA ジイソプロピルエチルアミン;
DMAP N,N-ジメチルアミノピリジン;
DME エチレングリコールジメチルエーテル;
DMEM ダルベッコ改変イーグル培地;
DMF N,N-ジメチルホルムアミド;
DMSO ジメチルスルホキシド;
DUPHOS


EDANS 5-(2-アミノ-エチルアミノ)-ナフタレン-1-スルホン酸;
EDCIまたはEDC 1-(3-ジエチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩;
EtOAc 酢酸エチル;
HATU O(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;
KHMDSは、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドである;
Ms メシル;
NMM N-4-メチルモルホリン
PyBrOP ブロモ-トリ-ピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;
Ph フェニル;
RCM 閉環メタセシス;
RT 逆転写;
RT-PCR 逆転写ポリメラーゼ連鎖反応;
TEA トリエチルアミン;
TFA トリフルオロ酢酸;
THF テトラヒドロフラン;
TLC 薄層クロマトグラフィー;
TPPまたはPPh3 トリフェニルホスフィン;
tBOCまたはBoc tert-ブチルオキシカルボニル;および
Xantphos 4,5-ビス-ジフェニルホスファニル-9,9-ジメチル-9H-キサンテン
である。
【0095】
合成方法
本発明の化合物およびプロセスは、本発明の化合物が調製され得る方法を図示する以下の合成スキームと組み合わせて良好に理解されよう。
【0096】

【0097】
すべてのキノキサリンアナログを共通の中間体1-6から調製した。化合物1-6の合成をスキーム1に概説する。ジオキサン中HClによる市販のBoc-ヒドロキシプロリン1-1の脱保護の後、HATUを用いた酸1-2とのカップリングにより中間体1-3が得られた。種々の大環状構造を作製するため、末端アルケンを含む他のアミノ酸誘導体が1-2の代わりに使用され得る(さらなる詳細については、WO/0059929参照)。LiOHでの1-3の加水分解の後、続くシクロプロピル含有アミン1-4でのペプチドカップリングにより、トリ-ペプチド1-5が得られた。最後に、ジクロロ(o-イソプロポキシフェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)などのルテニウム系触媒による閉環メタセシスにより、所望の重要な中間体1-6が得られた(閉環メタセシスに関するさらなる詳細については、最近の概説:Grubbs et al, Ace. Chem. Res., 1995, 28, 446;Shrock et al., Tetrahedron 1999, 55, 8141;Furstner, A. Angew. Chem. Int. Ed. 2000, 39, 3012;Trnka et al., Ace. Chem. Res. 2001, 34, 18;and Hoveyda et al., Chem. Eur. J. 2001, 7, 945を参照)。
【0098】

【0099】
本発明のキノキサリンアナログを、いくつかの異なる合成経路によって調製した。スキーム2に示す最も簡単な方法は、ミツノブ条件を使用し、限定されないが化合物2-2〜2-5を含む市販の1H-キノキサリン-2-オンアナログを重要な中間体1-6と縮合した後、LiOHで加水分解することであった。既存の文献では、1位の窒素においてミツノブ(Mistonobu)生成物の形成が予想されているが、カルボニル酸素における結合が観察され、化合物2-1が形成された。予想外のオキソミツノブ(Mitosunobu)付加生成物の同定および特徴付けの詳細な記載を本明細書の実施例に示す。ミツノブ反応に関するさらなる詳細については、O. Mitsunobu, Synthesis 1981, 1-28;D. L. Hughes, Org. React. 29, 1- 162 (1983);D. L. Hughes, Organic Preparations and Procedures Int. 28, 127-164 (1996);およびJ. A. Dodge, S. A. Jones, Recent Res. Dev. Org. Chem. 1, 273-283 (1997を参照)。
【0100】

【0101】
式3-3の種々のキノキサリン誘導体は、無水メタノール中、室温での式3-2(式中、R7は、先に定義したW-Zである)のケト酸またはエステルとの式3-1(式中、R6は先に定義したとおりである)のフェニルジアミンの縮合によって作製され得る(この反応のさらなる詳細については、Bekerman et al., J. Heterocycl. Chem. 1992, 29, 129-133参照)。式3-3のキノキサリン誘導体の作製に適したフェニルジアミンの例としては、限定されないが、1,2-ジアミノ-4-ニトロベンゼン(benze)、o-フェニレンジアミン、3,4-ジアミノトルエン、4-クロロ-1,2-フェニレンジアミン、メチル-3,4-ジアミノベンゾエート、ベンゾ[1,3]ジオキソール-5,6-ジアミン、1,2-ジアミノ-4,5-メチレンジオキシベンゼン、4-クロロ-5-(トリフルオロメチル)-1,2-ベンゼンジアミン等が挙げられる。スキーム3に記載の反応に適したケト酸の例としては、限定されないが、ベンゾイルギ酸、フェニルピルビン酸、インドール-3-グリオキシル酸、インドール-3-ピルビン酸、ニトロフェニルピルビン酸、(2-フリル)グリオキシル酸等が挙げられる。スキーム3に記載の反応に適したケトエステルの例としては、限定されないが、チオフェン-2-グリオキシル酸エチル、2-オキソ-4-フェニル酪酸エチル、2-(ホルミルアミノ)-4-チアゾリルグリオキシル酸エチル、エチル-2-アミノ-4-チオゾリルグリオキシレート、エチル-2-オキソ-4-フェニルブチレート、エチル-(5-ブロモチエン-2-イル)グリオキシレート、エチル-3-インドリルグリオキシレート、エチル-2-メチルベンゾイルホルメート、エチル-3-エチルベンゾイルホルメート、エチル-3-エチルベンゾイルホルメート、エチル-4-シアノ-2-オキソブチレート、(1-メチルインドリル)-3-グリオキシル酸メチル等が挙げられる。
【0102】

【0103】
式4-4(式中、R7は、先に定義したW-Zである)の3,6-置換キノキサリン-2-オンは、4-メトキシ-2-ニトロアニリン4-1と置換グリオキシル酸4-2のアミドカップリングにより化合物4-3を得ることから始め、6位の置換に有利なようにレギオ選択的様式で作製され得る。3,6-置換キノキサリン-2-オン4-4を、ニトロ化合物4-3の触媒的還元の後、縮合によって作製した。他の2-ニトロアニリンの使用により、4-4に他の置換基を導入してもよい。スキーム4に記載の反応に適したケト酸の例としては、限定されないが、ベンゾイルギ酸、フェニルピルビン酸、インドール-3-グリオキシル酸、インドール-3-ピルビン酸、ニトロフェニルピルビン酸、(2-フリル)グリオキシル酸等が挙げられる。スキーム4に記載の反応に適した2-ニトロアニリンの例としては、限定されないが、4-エトキシ-2-ニトロアニリン、4-アミノ-3-ニトロベンゾトリフルオリド、4,5-ジメチル-2-ニトロアニリン、4-フルオロ-2-ニトロアニリン、4-クロロ-2-ニトロアニリン、4-アミノ-3-ニトロメチルベンゾエート、4-ベンゾイル-2-ニトロアニリン、3-ブロモ-4-メトキシ-2-ニトロアニリン、3'-アミノ-4'-メチル-2-ニトロアセトフェノン、5-エトキシ-4-フルオロ-2-ニトロアニリン、4-ブロモ-2-ニトロアニリン、4-(トリフルオロメトキシ)-2-ニトロアニリン、エチル-4-アミノ3-ニトロベンゾエート、4-ブロモ-2-メチル-6-ニトロアニリン、4-プロポキシ-2-ニトロアニリン、5-(プロピルチオ)-2-ニトロアニリン等が挙げられる。
【0104】

【0105】
A. 重要な中間体3-クロロ-1H-キノキサリン-2-オン5-3は、スキーム3に記載のものと同様の条件下、先に定義した式3-1のフェニルジアミンとシュウ酸ジエチルエステル5-1の縮合から始めて、2工程で合成され得る(Bekerman et al, J. Heterocycl. Chem. 1992, 29, 129-133を参照)。次いで、得られた1,4-ジヒドロ-キノキサリン-2,3-ジオン5-2を1:40 DMF:トルエン中SOCl2(1.37当量)で処理し(さらなる詳細については、Loev et al, J. Med. Chem. (1985), 28, 363-366を参照)、所望の中間体5-3を得た。
【0106】
B. 予測される1位の窒素ではなくカルボニル酸素によって付加されるミツノブ条件によって、重要な3-クロロ-キノキサリン-2-オン5-3を大環状前駆体1-6に付加し、式5-4の大環状(macrocylic)中間体を得た。この中間体により、キノキサリンの3位への種々の置換基の導入が簡単になる。
【0107】
スズキカップリング
式5-5(式中、R6は先に定義したとおりであり、Rは、先に定義したアリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである)の化合物は、Pd(PPh3)4およびCsCO3の存在下、DME中、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールボロン酸とのスズキカップリング反応によって合成され得る。スズキカップリング反応に関するさらなる詳細については、A. Suzuki, Pure Appl. Chem. 1991, 63, 419-422およびA. R. Martin, Y. Yang, Acta Chem. Scand. 1993, 47, 221-230参照。大環状の重要な中間体5-5へのスズキカップリングに適したボロン酸の例としては、限定されないが、2-ブロモチオフェン、フェニルボロン酸、5-ブロモチオフェン-3-ボロン酸、4-シアノフェニルボロン酸、4-トリフルオロメトキシフェニルボロン酸等が挙げられる。
【0108】
ソノガシラ反応
式5-6(式中、R1は先に定義したとおりであり、R6は先に定義したとおりである)の化合物は、トリエチルアミン、PdCl2(PPh3)2およびCuIの存在下、大環状の重要な中間体およびアセトニトリル中末端アルキンによる90℃で12時間のソノガシラ反応によって合成され得る。ソノガシラ反応のさらなる詳細については、Sonogashira, Comprehensive Organic Synthesis, 第3巻, 第2,4章およびSonogashira, Synthesis 1977, 777を参照。大環状の重要な中間体5-5とのソノガシラ反応に適した末端アルケンとしては、限定されないが、エチニルベンゼン、4-シアノ-エチニルベンゼン、プロパギルベンゼン等が挙げられる。
【0109】
スティルカップリング
式5-7(式中、R6は先に定義したとおりであり、Rは、先に定義したアリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである)の化合物は、Pd(PPh3)4の存在下、式5-4の重要な大環状中間体およびジオキサン中アリールスズ酸塩によるスティルカップリング反応によって合成され得る。スティルカップリング反応のさらなる詳細については、J. K. Stille, Angew. Chem. Int. Ed. 1986, 25, 508-524, M. Pereyre et al, Tin in Organic Synthesis (Butterworths, Boston, 1987)pp 185-207の諸所、およびT. N. Mitchell, Synthesis 1992, 803-815の合成適用の概説を参照のこと。重要な大環状中間体5-4とのスティルカップリングに適した有機スズ酸塩としては、限定されないが、トリブチルスズシアニド、アリル-トリ-n-ブチルスズ、2-トリブチルスズ-ピリジン、2-トリ-n-ブチルスズフラン、2-トリ-n-ブチルスズチオフェン、2,3-ジヒドロン-5-(トリ-n-ブチルスズ)ベンゾフラン等が挙げられる。
【0110】

【0111】
重要な大環状3-クロロ-キノキサリニル中間体5-4により、3種類のさらなる置換基がキノキサリン環の3位に導入され得る。特に導入され得る種々の基は、一置換アミノ、二置換アミノ、エーテルおよびチオ-エーテルである。
【0112】
アミノ置換キノキサリン6-1(式中、R4、R5、R6は先に定義しており、R8は、先に定義したZである(例えば、式I参照))は、K2CO3(2.0当量)およびHNR4R5(1.2当量)を10mlのDMF中、大環状キノキサリニル中間体5-4の0.1M溶液に添加し、得られた反応混合物を室温で5〜12時間攪拌することにより形成され得る。これらの条件に適するアミンとしては、限定されないが、エチルアミン、2-フェニルエチルアミン、シクロヘキシルアミン、エチルメチルアミン、ジイソプロピルアミン、ベンジルエチルアミン、4-ペンテニルアミン、プロパギルアミン等が挙げられる。
【0113】
式HNR4R5(式中、R4はHであり、R5は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールである)のアミンでは、対応する化合物6-1を作製するために、異なる設定条件が使用されなければならない。THF中、大環状キノキサリニル中間体5-4の0.1M溶液へのNaH(2.0当量)およびHNR4R5(1.2当量)の添加、および得られた反応混合物の5〜12時間の攪拌により、アニリン置換化合物6-1が得られた。これらの条件に適するアミンは、アニリン、4-メトキシアニリン、2-アミノ-ピリジン等である。
【0114】
キノキサリン環の3位へのエーテルの導入は、DMF中、大環状キノキサリニル中間体5-4の0.1M溶液をK2CO3(2.0当量)およびHOR8(1.2当量)(式中、R8= 先に定義したZ)で処理することにより達成され得る。次いで、得られた反応混合物は、室温で5〜12時間攪拌され得、3位に所望のエーテル部分が生成される。これらの条件に適するアルコールとしては、限定されないが、エタノール、プロパノール、イソブタノール、トリフルオロメタノール、フェノール、4-メトキシフェノール、ピリジン-3-オール等が挙げられる。チオエステルは、同じ手順によって、例えば、大環状キノキサリニル中間体5-4とHS-R8形態の試薬の反応によって作製され得る。
【0115】

【0116】
キノキサリン環のベンゾ部分の誘導体化は、式7-2のハロゲン-置換キノキサリンを経て達成され得る。式7-2のキノキサリンは、先に詳述したような無水メタノール中でのブロモ-置換フェニルジアミン7-1と式3-2(式中、R7= 先に定義したW-Z)のジケト化合物との縮合によって形成され得る。中間体7-3を、ミツノブ条件下で、大環状前駆体7-6およびブロモ置換キノキサリン7-2により形成した。次いで、中間体7-3は、ブロモに占められた位置でスズキカップリング反応、ソノガシラ反応またはスティルカップリングが行なわれ得る。さらなる詳細については、スズキカップリング、ソノガシラ反応、およびスティルカップリングの先の記載を参照のこと。バックウォルド反応は、第1級および第2級両方のアミン、ならびに臭化アリールの1H-窒素複素環の置換を可能にする。バックウォルド反応のさらなる詳細については、J. F. Hartwig, Angew. Chem. Int. Ed. 1998, 37, 2046-2067を参照のこと。
【0117】

【0118】
3-置換2-オキソ-1,2-ジヒドロ-キノキサリン-6-カルボン酸中間体8-4は、スキーム3で先に記載した方法を使用し、3,4-ジアミノ安息香酸エチル(8-1)と式8-2(式中、R7= 先に定義したW-Z)のオキソ酢酸との縮合によって形成され得る(さらなる詳細については、Bekerman et al., J. Heterocycl. Chem. 1992, 29, 129-133を参照)。次いで、得られたエチルエステル8-3をMeOH中LiOHで室温にて加水分解し、カルボン酸中間体8-4を得る。
【0119】
次いで、カルボン酸8-4は、ワインレブアミド8-5を経由し、続いて種々のグリニャール試薬で処理することにより置換ケトン8-6 (式中、R1は先に定義したとおりである)に変換され得る(ワインレブアミドの形成および使用の詳細については、Weinreb et al. Tetrahedron Lett. 1977, 33, 4171;Weinreb et al, Synth. Commun. 1982, 12, 989を参照;ならびにB. S. Furniss, A.J. Hannaford, P.W.G. Smith, A.R. Tatchell, Vogel's Textbook of Practical Organic Chemistry, 第5版, Longman, 1989参照)。添加は、不活性な溶媒中で、一般的に低温で行なった。適当な溶媒としては、限定されないが、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1、2-ジメトキシエタン、およびヘキサンが挙げられる。好ましくは、溶媒はテトラヒドロフランまたはジエチルエーテルとした。好ましくは、反応は、-78℃〜0℃で行なった。
【0120】
あるいは、カルボン酸8-4は、スキーム8に一般的に記載された様式で、式8-7(式中、R4は先に定義したとおりである))の種々のアミドを作製するために使用され得る。スキーム8に記載された種々のキノキサリン-2-オン化合物はすべて、上記のミツノブ条件によって大環状前駆体にさらにカップリングされる。
【0121】

【0122】
さらに、6-置換キノキサリン-2-オン化合物は、スキーム9に示された一般手順によって作製され得る。
【0123】
A. 6-ニトロの還元およびアミド形成
6-ニトロ-1H-キノキサリン-2-オン(9-3)は、先に記載したような様式で、3,4-ジアミノニトロベンゼンおよび式9-2(式中、R7= 上記のW-Z)のオキソ酢酸から形成され得る。6-位のニトロ基の還元は、還流MeOH中で、Pd/CによってH2NNH2・H2Oを用いて達成され得る。次いで、アミン9-4の6-位は広範な酸塩化物で処理され得、式9-5(式中、R1は先に定義したとおりである)の種々のアミドが得られる。
【0124】
B. ベンジルアルコールの酸化および還元型アミノ化
式9-7のキノキサリン-2-オンは、3,4-ジアミノベンジルアルコールおよび式9-2の種々のオキソ酢酸(式中、R7=先に記載されたとおりのW-Zである)の縮合により作製することができる。次いで、得られたベンジルアルコール9-7をSwern条件下または任意の他の酸化条件下で酸化して、式9-8のアルデヒドを作製し得る。Swern反応に関するさらなる詳細については、A. J. Mancuso, D. Swern, Synthesis 1981, 165-185 passim;T. T. Tidwell, Org. React. 1990, 39, 297-572 passimの諸所を参照のこと。他の酸化条件については、B. S. Furniss, A.J. Hannaford, RW. G. Smith, A.R. Tatchell, Vogel's Textbook of Practical Organic Chemistry, 第5版, Longman, 1989を参照のこと。その後、NaCNBH3および酢酸の存在下で一級もしくは二級アミンにより還元型アミノ化を行い、式9-9の化合物(式中、R4およびR5は先に規定されたとおりである)を生じ得る。
【0125】

【0126】
標準的様式で、前述のキノキサリニル大環状化合物の加水分解を行った。THF/MeOH/H2O中でエチルエステル7-4の溶液をLiOH・H2Oで処理して、対応する遊離酸(式中、R6は先に規定したとおりであり、R7=先に規定したとおりのW-Zである)を直接得た。
【0127】

【0128】
酸を室温または高温でカップリング試薬(すなわち、CDI、HATU、DCC、EDC等)に供し、その後塩基の存在下で対応するスルホアミドR3-S(O)2-NH2を添加して、対応する酸10-1からスルホアミド11-1を調製した(式中、R3、R6およびRは先に規定したとおりであり、R7=先に規定したとおりのW-Zである)。
【0129】
本明細書、または印刷物、電子的コンピューター読み取り可能保存媒体もしくはその他の形式に引用した、限定されないが、要約、論文、雑誌、刊行物、文書、条約、インターネットウェブサイト、データベース、特許および特許公開公報などの全ての参考文献は、その全てにおいて参照により援用される。
【実施例】
【0130】
本発明の化合物および方法は、例示のみの目的であり、本発明の範囲を限定することを意図しない以下の実施例との関連においてさらに理解されよう。開示される態様についての種々の変更および改変は当業者にとって明らかであり、かかる変更および改変は、限定されることなく、本発明の化学構造、置換基、誘導体、調製および/または方法を含み、本発明の精神および添付の特許請求の範囲を逸脱することなくなされ得る。
【0131】
実施例1. 環状ペプチド前駆体の合成:


1A. Boc-L-2-アミノ-8-ノネノン酸1a(1.36g、5mol)および市販のcis-L-ヒドロキシプロリンメチルエステル1b(1.09g、6mmol)の溶液に、15ml DMF、DIEA(4ml、4等量)およびHATU(4g、2等量)を添加した。0℃で1時間かけてカップリングを行った。反応混合物を100mL EtOAcで希釈して、5%クエン酸(2x20ml)、水(2x20ml)、1M NaHCO3(4x20ml)およびブライン(2x10ml)で直接洗浄した。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、その後真空下で濃縮して、ジペプチド1c(1.91g、95.8%)を得、HPLC(保持時間=8.9分、30〜70%、90%B)、およびMS(実測421.37, M+Na+)で同定した。
【0132】
1B. ジペプチド1c(1.91g)を15mLのジオキサンおよび15mLの1N LiOH水溶液に溶解して、得られた溶液を室温で4時間攪拌した。反応混合物を5%クエン酸で酸性化し、100mL EtOAcで抽出した。次いで有機部分を水(2x20ml)、1M NaHCO3(2x20ml)およびブライン(2x20ml)で洗浄した。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、ろ過して真空下で濃縮し、遊離カルボン酸化合物1d(1.79g、97%)を得、これをさらに精製することなく直接使用した。
【0133】
1C. 前述の得られた遊離酸(1.77、4.64mmol)の溶液に5ml DMF、D-β-ビニルシクロプロパンアミノ酸エチルエステル1e(0.95g、5mmol)、DIEA(4ml、4等量)およびHATU(4g、2等量)を添加した。0℃で5時間かけてカップリングを行った。反応混合物を80mL EtOAcで希釈し、5%クエン酸(2x20ml)、水(2x 20ml)、1M NaHCO3(4x20ml)、およびブライン(2x10ml)で洗浄した。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、次いで真空下で濃縮した。ヘキサンの勾配溶液:EtOAc(5:1→3:1→1:1→1:2→1:5)を使用して、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製した。直鎖トリペプチド1fを油状物(1.59g、65.4%)として単離し、HPLC(保持時間=11.43分)およびMS(実測544.84, M+Na+)により同定した。
【0134】
1D. 環閉鎖メタセシス(RCM)。200mlの乾燥DCM中の直鎖トリペプチド1f(1.51g、2.89mmol)の溶液をN2バブリングで脱酸素化した。環閉鎖メタセシス(RCM)用の触媒(例えば、Grubb触媒、Nolan触媒、またはHoveyda触媒等)(例えば、5mol%等量)を固体で添加した。反応を窒素雰囲気下で12時間還流した。溶媒を蒸発させて、ヘキサン:EtOAc(9:1→5:1→3:1→1:1→1:2→1:5)を使用してシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製した。環状ペプチド前駆体1を白色粉末(1.24g、87%)として単離し、HPLC(保持時間=7.84分、30〜70%、90%B)、およびMS(実測516.28, M+Na+)により同定した。環状ペプチド前駆体1を生成するために使用した合成方法のさらなる詳細については、WO 00/059929 (2000)を参照のこと。

【0135】
実施例2. 式IVの化合物(式中A=

、Q=

、G=OH)。


THF中の大環状前駆体1,3-(チオフェン-2-イル)-1H-キノキサリン-2-オン2a(1.1等量)およびトリフェニルホスフィン(2等量)の冷却した混合物に、DIAD(2等量)を0℃で滴下した。得られた混合物を0℃で15分間保持して、室温まで温めた。18時間後、真空下で混合物を濃縮し、クロマトグラフィーで精製し、ヘキサン中の60% EtOAcで溶出して、透明油状物2b(35mg、99%)を得た。
MS(実測): 704.4 (M+H).
H1-NMR [CDCl3, δ(ppm)]: 8.6 (d, 1H), 8.0 (d, 1H), 7.8 (d, 1H), 7.6 (m, 2H), 7.5 (d, 2H), 7.2 (t, 1H), 7.0 (brs, 1H), 6.0 (brt, 1H), 5.5 (m, 1H), 5.3 (brd, 1H), 5.2 (t, 1H), 5.0 (m. 1H), 4.6 (brt, 1H), 4.1-4.3 (m, 3H), 3.1 (m, 1H), 5.3 (m, 1H), 2.1〜2.3 (m, 2H), 1.3 (brs, 9H), 1.2 (t, 3H).
【0136】


THF/MeOH/H2O(2:1:0.5)中の化合物2bおよび水酸化リチウム(10等量)の溶液を室温で20時間攪拌した。真空下で過剰な溶媒を蒸発させ、得られた残渣を水で希釈し、pH約5まで酸性化した。混合物をEtOAc(2x)で抽出した。合わせた混合抽出物をブラインで1回洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、ろ過し、真空下で濃縮して油状残渣を得、それをカラムクロマトグラフィーで精製し、2〜10%メタノール-クロロホルム(87%)で溶出した。
MS (実測): 676.3
1H-NMR [CD3OD, δ(ppm)]: 8.14 (1H), 7.96 (1H), 7.86 (1H), 7.65 (1H), 7.62 (1H), 7.59 (1H), 7.19 (1H), 6.07 (1H), 5.53 (1H), 5.52 (1H), 4.81 (1H), 4.75 (1H), 4.23 (1H), 4.12 (1H), 2.65-2.75 (2H), 2.52 (1H), 2.21 (1H), 1.97 (1H), 1.80 (1H), 1.62 (2H), 1.54 (1H), 1.47 (2H), 1.44 (2H), 1.41 (2H), 1.09 (9H).
13C-NMR [CD3OD, δ(ppm)]: 176.2, 174.1, 173.4, 156.0, 152.9, 141.0, 139.6, 138.9, 138.6, 131.5, 130.6, 130.0, 129.3, 128.1, 127.8, 127.1, 126.6, 78.6, 76.1, 59.8, 53.3, 52.3, 41.4, 34.5, 32.3, 30.0, 27.5, 27.4, 27.2 (3C), 26.1, 22.6, 22.4.
【0137】
実施例3. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
工程3A-アミン脱保護
工程2Aの表題の化合物(82mg、0.116mmol)をHCl(ジオキサン中4M、3mL、12mmol)で処理した。反応混合物を室温で、LCMSが開始物質の完全な消費を示すまで2時間攪拌した。真空下で溶媒を除去した。
【0138】
工程3B-クロロホルメート試薬
THF(5ml)に0.22mmolのシクロペンタノールを溶解し、トルエン中の0.45mmolのホスゲン(20%)を添加して、クロロホルメート試薬3bを調製した。得られた反応混合物を室温で2時間攪拌し、真空下で溶媒を除去した。残渣にDCMを添加し、次いで濃縮して真空下で2回乾燥させクロロホルメート試薬3bを得た。
【0139】
工程3C-カルバメート形成
工程3aで得られた残渣をDCM(3mL)に溶解して、その後工程3bで調製したシクロペンチルクロロホルメート試薬(0.22mmol)およびiPr2NEt(0.35mL、2mmol)で処理した。反応混合物を2.5時間攪拌した。溶液に酢酸エチル(15mL)を添加した。混合物を飽和NaHCO3水溶液、最終的に水およびブラインで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、有機相をろ過して、真空下で濃縮し、その後フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン1:2)で精製して、60.0mgのエステルを得た。MS (ESI) m/z 716.31 (M+H)+.
【0140】
工程-エステルの加水分解
工程3cのエステルを、実施例2に記載の手順で加水分解して、表題の化合物(3工程で42.0mg、55%)を得た。
MS (ESI) m/z 688.37 (M+H)+.
13C-NMR (125 MHz, CD3OD): δ 174.6, 173.5, 173.0, 156.7, 152.9, 141.1, 140.0, 139.2, 138.8, 133.4, 130.8, 130.1, 129.3, 128.0, 127.2, 126.7, 126.3, 77.5, 76.2, 59.7, 53.3, 52.6, 40.3, 34.8, 34.4, 32.4, 32.2, 32.1, 30.8, 27.5, 27.4, 26.4, 23.6, 23.3, 23.0, 22.3.
【0141】
実施例4. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
表題の化合物をジオキサン中の4mlの4M HCl溶液中の工程2Aの化合物で調製して反応混合物を1時間攪拌した。真空下で反応残渣を濃縮した。この残渣に4mlのTHFおよび0.045mmolのTEAを添加して、混合物を0℃まで冷却し、これに0.045mmolのシクロプロピル塩素酸を添加した。得られた反応混合物を0℃で2時間攪拌した。次いで、反応混合物をEtOAcで抽出し、1M重炭酸ナトリウム、水およびブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空下で濃縮乾燥させた。粗製の化合物をシリカカラムで精製して、その後実施例2に記載の手順で加水分解した。
【0142】
実施例5. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
表題の化合物を、ジオキサン中の4mlの4MのHCl溶液中の化合物2bで調製し、1時間攪拌した。得られた反応残渣を真空下で濃縮し、4ml THFに溶解して、0℃まで冷却した。0℃の溶液に0.045mmolのシクロペンチルイソシアネートを添加し、得られた反応混合物を室温で4時間攪拌した。次いで溶液をEtOAcで抽出して、1%HCl、水およびブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させて、乾燥するまで真空下で濃縮した。粗製化合物をシリカカラムで精製し、その後実施例2に記載の手順で加水分解した。
【0143】
実施例6〜14、式IV(式中、A=tBOC)を、実施例2に記載のMitsunobu条件下実施例1の表題の化合物と適切な1H-キノキサリン-2-オン(

)を反応させて、実施例2に記載されるようにエチルエステルをLiOHで加水分解して作製する。実施例に使用される1H-キノキサリン-2-オン(

)は市販品であるか、または、スキーム3〜9に記載の合成方法もしくは当業者に周知の合成方法により市販の開始物質から容易に作製することができる。
【0144】
実施例6. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=0H)。
MS (ESI) m/z 736.18 (M+H)+.
【0145】
実施例7. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 710.22 (M+H)+.
【0146】
実施例8. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 697.4 (M+H)+.
【0147】
実施例9. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 696.4 (M+H)+.
【0148】
実施例10. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 726.2 (M+H)+.
【0149】
実施例11. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 716.2 (M+H)+.
【0150】
実施例12. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 703.1 (M+H)+.
【0151】
実施例13. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 702.0 (M+H)+.
【0152】
実施例14. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 705.50 (M+H)+.
【0153】
実施例15〜25、式IV(式中、A=

)は、工程2Aに記載されるMitsunobu条件下で、実施例1の表題の化合物と、対応する1H-キノキサリン-2-オン(

)を反応させて、その後実施例3の手順を行うことで作製される。
【0154】
実施例15. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 748.30 (M+H)+.
【0155】
実施例16. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 756.10 (M+H)+
【0156】
実施例17. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 718.11 (M+H)+.
【0157】
実施例18. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 718.11 (M+H)+.
【0158】
実施例19. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 748.20 (M+H)+
【0159】
実施例20. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 714.26 (M+H)+.
【0160】
実施例21. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 766.15 (M+H)+.
【0161】
実施例22. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 722.2 (M+H)+.
【0162】
実施例23. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 717.24 (M+H)+.
【0163】
実施例24. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 734.17 (M+H)+.
【0164】
実施例25. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 716.30 (M+H)+.
【0165】
実施例26〜28は、適切なクロロホルメート試薬を使用して、実施例3に記載の手順を行うことで作製される。
【0166】
実施例26. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 666.29 (M+H)+.
【0167】
実施例27. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 674.19 (M+H)+.
【0168】
実施例28. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 702.27 (M+H)+.
【0169】
実施例29〜39は、対応する活性化酸誘導体を使用して、実施例4に記載の手順を行うことにより作製される:
【0170】
実施例29. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 686.28 (M+H)+.
【0171】
実施例30. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 680.35 (M+H)+.
【0172】
実施例31. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 669.35 (M+H)+.
【0173】
実施例32. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 683.37 (M+H)+.
【0174】
実施例33. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 670.33 (M+H)+.
【0175】
実施例34. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 697.37 (M+H)+.
【0176】
実施例35. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 712.39 (M+H)+.
【0177】
実施例36. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 670.34 (M+H)+.
【0178】
実施例37. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 670.31 (M+H)+.
【0179】
実施例38. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 670.09 (M+H)+.
【0180】
実施例39. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 712.38 (M+H)+.
【0181】
実施例40. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
表題の化合物は実施例5に記載の手順に従って調製された。
MS (ESI) m/z 665.25 (M+H)+.
【0182】
実施例41. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
表題の化合物は実施例2に記載の手順に従って調製された。
MS (ESI) m/z 682.08 (M+H)+.
【0183】
実施例42. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 670.33 (M+H)+.
【0184】
実施例43. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 698.41 (M+H)+.
【0185】
実施例44. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 685.43 (M+H)+.
【0186】
実施例45. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=OH)。
MS (ESI) m/z 722.14(M+H)+.
【0187】
実施例46. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。


工程46a:シクロプロピルスルホニルクロライド(1.4g、10mmol)を、室温でジオキサン中0.5Mアンモニア(50ml、25mmol)に溶解した。反応を室温で3日間維持した。大量の沈殿物をろ過して廃棄した。透明なろ液を真空下で蒸発させて、白色残渣を24時間、真空で乾燥させて、シクロプロピルスルホンアミド(0.88g、74%)を得た。1H-NMR (500 MHz, CD3Cl): δ 4.62 (2H, s), 2.59 (1H, m), 1.20 (2H, m), 1.02 (2H, m).
【0188】
工程46b:実施例2の表題の化合物(21.0mg、0.031mmol)およびカルボニルジイミダゾール(6.0mg、0.037mmol)を0.7ml無水DMFに溶解し、得られた溶液を40℃まで1時間加熱した。シクロプロピルスルホンアミド(8.0mg、0.06mmol)を反応物に添加して、その後DBU(7.0mg、0.046mmol)を添加した。反応混合物を40℃で10時間攪拌した。LCMSにより所望の生成物の形成が示された。反応物を冷却して、溶液に10mlの酢酸エチルを添加した。混合物を飽和NaHCO3水溶液、水およびブラインで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、有機相を濾過し、真空下で濃縮し、その後フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン1:1)で精製して17.0mg(71%)の表題の化合物を得た。
MS (ESI) m/z 779.2 (M+H)+.
1H-NMR (500 MHz, CD3Cl): δ 10.24 (1H, s), 8.10 (1H, s), 8.00 (1H, d, J= 8.0 Hz), 7.82 (1H, d, J=8.0 Hz), 7.60 (2H, m), 7.49 (1H, d, J=5.0 Hz), 7.16 (1H, s), 6.91 (1H, s), 6.09 (1H, s), 5.67 (1H, m), 5.12 (1H, m), 4.98 (1H, t, J=8.0 Hz), 4.70 (1H, t, J=8.0 Hz), 4.62 (2H, s), 4.33 (1H, m), 4.10 (1H, m), 2.92 (1H, m), 2.75 (2H, m), 2.58 (2H, m), 2.28 (1H, m), 1.91 (2H, m), 1.60-0.80 (20 H, m).
13C-NMR (125 MHz, CD3Cl, 200-40ppm領域): δ 177.1, 173.5, 168.1, 155.2, 152.5, 140.7, 139.8, 139.1, 136.5, 130.5, 130.4, 129.7, 128.7, 128.3, 127.6, 127.1, 124.8, 80.1, 75.8, 59.7, 53.5, 52.3, 44.8.
【0189】
実施例47. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
表題の化合物は、実施例14の表題の化合物から開始して実施例46に記載の手順を行うことによって調製した。
MS (ESI): m/z 808.22 (M+H)+.
【0190】
実施例48. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
表題の化合物は、実施例3の表題の化合物から開始して実施例46に記載の手順を行うことによって調製した。
MS (ESI) m/z 791.2 (M+H)+.
1H-NMR (500 MHz, CD3Cl): δ 10.3 (1H, s), 8.10 (1H, d, J=3.5 Hz), 8.00 (1H, d, J=8.0Hz), 7.83 (1H, d, J=8.0 Hz), 7.66-7.59 (2H, m), 7.48 (1H, d, J=5.0 Hz), 7.31 (1H, s), 7.14 (1H, t, J=4.2 Hz), 6.10 (1H, s), 5.60 (1H, m), 5.42 (1H, d, J=8.0 Hz), 4.92 (1H, t, J=8.0 Hz), 4.89 (3H, m), 4.71 (1H, t, J=8.0 Hz), 4.64 (1H, d, J=11.5 Hz), 4.39 (1H, m), 4.10 (1H, m), 2.88 (1H, m), 2.69 (2H, m), 2.58 (2H, m), 2.24 (1H, m), 1.95-0.80 (20 H, m).
13C-NMR (125 MHz, CD3Cl): δ 177.4, 173.3, 168.4, 156.0, 152.5, 140.7, 140.0, 139.1, 136.5, 130.7, 130.3, 129.8, 128.7, 128.4, 127.6, 127.1, 124.7, 78.1, 75.9, 59.7, 53.5, 52.5, 44.7, 33.1, 32.7, 32.6, 31.3, 30.0, 27.5, 27.3, 26.3, 23.8, 22.4, 21.0, 6.9, 6.4, 6.3.
【0191】
実施例49. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
表題の化合物は実施例23の表題の化合物およびシクロプロピルスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって調製した。
MS (ESI): m/z 820.22 (M+H)+.
【0192】
実施例50. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
表題の化合物は、実施例22のカルボン酸およびシクロプロピルスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって調製した。
MS (ESI) m/z 825.17 (M+H)+.
【0193】
実施例51. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
表題の化合物は、実施例19由来のカルボン酸およびシクロプロピルスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって調製した。
MS (ESI) m/z 851.33 (M+H)+.
【0194】
実施例52. 式IVの化合物(式中、A=-H、Q=

、G=

)。
実施例46由来の表題の化合物(164mg、0.21mmol)をHCl(ジオキサン中4M、3mL、12mmol)で処理した。反応混合物を室温で、LCMSが開始物質の完全な消費を示すまで、0.5時間攪拌した。真空下で溶媒を除去した。真空下でCH2Cl2(15mL)を添加した後除去して(3回繰り返した)、表題のアミンを得た。
MS (ESI) m/z 679.36 (M+H)+.
【0195】
実施例53. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
シクロペント-3-エノールを使用して、工程3bおよび工程3cに記載の手順を行うことによって、実施例52の化合物から表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 789.29 (M+H)+.
【0196】
実施例54. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
テトラヒドロ-ピラン-4-オールを使用して、工程3bおよび工程3cに記載の手順を行うことによって、実施例52の化合物から表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 807.40 (M+H)+.
【0197】
実施例55. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
シクロブタノールを使用して、工程3bおよび工程3cに記載の手順を行うことによって実施例52の化合物から表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 777.29 (M+H)+.
13C-NMR (125 MHz, CD3Cl): δ 177.3, 173.4, 168.4, 155.4, 152.5, 140.7, 139.7, 139.1, 136.5, 130.7, 130.3, 129.8, 128.7, 128.3, 127.7, 127.1, 124.7, 110.0, 75.7, 69.4, 59.8, 53.6, 52.5, 44.7, 34.9, 33.0, 31.3, 30.8, 30.2, 29.9, 27.4, 27.3, 26.3, 22.4, 14.4, 13.3, 6.9, 6.4.
【0198】
実施例56. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
1-ヒドロキシシクロプロパンカルボン酸メチルを使用して、工程3bおよび工程3cに記載の手順を行うことによって、実施例52の化合物から表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 821.13 (M+H)+.
【0199】
実施例57. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例4に記載の手順を行うことによって、実施例52の化合物から表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 789.15 (M+H)+.
【0200】
実施例58. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例17の表題の化合物およびシクロプロピルスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI): m/z 821.43 (M+H)+.
【0201】
実施例59. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例18の表題の化合物およびシクロプロピルスルホンアミドから開始して実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI): m/z 821.44 (M+H)+.
【0202】
実施例60. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例20の表題の化合物およびシクロプロピルスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI): m/z 817.44 (M+H)+.
【0203】
実施例61. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例45の表題の化合物およびシクロプロピルスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI): m/z 825.32 (M+H)+.
【0204】
実施例62. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例24の表題の化合物およびシクロプロピルスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI): m/z 837.40 (M+H)+.
【0205】
実施例63. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例42の表題の化合物およびシクロプロピルスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI): m/z 773.54 (M+H)+.
【0206】
実施例64. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例63の表題の化合物から開始して、実施例3に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI): m/z 785.40 (M+H)+.
【0207】
実施例65. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例43の表題の化合物およびシクロプロピルスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI): m/z 801.46 (M+H)+.
【0208】
実施例66. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例65の表題の化合物から開始して、実施例3に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI): m/z 813.52 (M+H)+.
【0209】
実施例67. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例25の表題の化合物およびシクロプロピルスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI): m/z 819.45 (M+H)+.
【0210】
実施例68. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例44の表題の化合物およびシクロプロピルスルホンアミドから開始して実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI): m/z 788.48 (M+H)+.
【0211】
実施例69. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例52由来の化合物を、アセトニトリル中の3,3-ジメチル-ブチルアルデヒドおよびNaBFBCNで処理することで表題の化合物を調製した。
MS (ESI): m/z 763.41 (M+H)+.
【0212】
実施例70. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例46の化合物を、ヨードメタン、DMF中のK2CO3で処理することにより表題の化合物を調製した。
MS (ESI): m/z 793.40 (M+H)+.
【0213】
実施例71. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例3の表題の化合物およびイソプロピルスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 793.5 (M+H)+.
【0214】
実施例72. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例3の表題の化合物および2,2,2-トリフルオロ-エタンスルホン酸アミドから開始して、実施例46記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 833.1 (M+H)+.
【0215】
実施例73. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例3の表題の化合物およびトリフルオロ-メタンスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 819.2 (M+H)+.
【0216】
実施例74〜実施例109(式IV)は実施例2、3、4、5、46または52に記載の手順を行うことによって作製することができる。









【0217】
実施例110. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例3の表題の化合物およびフェニルスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 827.3 (M+H)+.
【0218】
実施例111. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例3の表題の化合物および4-アセトアミドベンゼンスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 884.5 (M+H)+.
【0219】
実施例112. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例3の表題の化合物および4-メチルフェニルスルホンアミドから開始して実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 841.3 (M+H)+.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ 10.49 (1H, s), 8.09 (1H, d, J=3.5 Hz), 8.01 (1H, d, J=8.5 Hz), 7.87 (2H, d, J=8.5), 7.85 (1H, d, J=8.5 Hz), 7.66-7.58 (2H, m), 7.48 (1H, m), 7.27 (2H, d, J=8.5 Hz), 7.12 (1H, m), 6.66 (1H, s), 6.16 (1H, s), 5.43 (1H, m), 5.30 (1H, m), 5.13 (1H, m), 4.93 (1H, m), 4.78 (1H, m), 4.53-4.49 (1H, m), 4.38-4.35 (1H, m), 4.13-4.11 (1H, m), 3.66-3.40 (2H, m), 2.81-2.72 (2H, m), 2.42 (3H, s), 2.00-0.80 (19H, m).
【0220】
実施例113. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例3の表題の化合物および4-カルボキシフェニルスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 871.2 (M+H)+.
【0221】
実施例114. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例3の表題の化合物および4-メトキシフェニルスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 857.2 (M+H)+.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ 10.48 (1H, s), 8.09 (1H, d, J=3.5 Hz), 8.01 (1H, d, J=8.0 Hz), 7.92 (2H, d, J=8.5 Hz), 7.85 (1H, dd, J=8.0, 1.0 Hz), 7.66-7.58 (2H, m), 7.48 (1H, d, J=4.5 Hz), 7.11 (1H, t, J=4.5 Hz), 6.93 (2H, d, J=8.5 Hz), 6.75 (1H, s), 6.14 (1H, s), 5.30 (1H, dd, J=18.0, 9.0 Hz), 5.16 (1H, d, J=8.0 Hz), 4.77 (1H, m), 4.65 (2H, dd, J=16.5, 8.0 Hz), 4.49 (1H, t, J=9.0 Hz), 4.36 (1H, ddd, J=11.0, 11.0, 3.5 Hz), 4.13-4.10 (1H, m), 3.86 (3H, s), 2.81-2.72 (2H, m), 2.44-2.37 (1H, m), 2.17 (1H, dd, J=17.5, 8.5 Hz) 1.82-0.8 (19H, m).
【0222】
実施例115. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例3の表題の化合物および2-アミノベンゼンスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 842.24 (M+H)+.
【0223】
実施例116. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例3の表題の化合物およびキノリン-8-スルホン酸アミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 878.3 (M+H)+.
【0224】
実施例117. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例3の表題の化合物および3-フルオロベンゼンスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 845.2 (M+H)+.
【0225】
実施例118〜実施例122(式IV)は、実施例2、3、4、5、46または52に記載の手順を行うことによって作製することができる。



【0226】
実施例123. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例3の表題の化合物およびベンゾ[b]チオフェン-2-スルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 883.3 (M+H)+.
【0227】
実施例124. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例3の表題の化合物および2-チオフェンスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 833.4 (M+H)+.
【0228】
実施例125. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例3の表題の化合物および5-メチル-2-ピリジンスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 842.2 (M+H)+.
【0229】
実施例126. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例3の表題の化合物および4-クロロ-3-ピリジンスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 862.2 (M+H)+.
【0230】
実施例127. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例3の表題の化合物および1-メチル-1H-イミダゾール-4-スルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 831.2 (M+H)+.
【0231】
実施例128〜実施例142(式IV)は、実施例3の表題の化合物および対応するスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって作製した。
【0232】
実施例128. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
MS (ESI) m/z 862.4 (M+H)+.
【0233】
実施例129. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
MS (ESI) m/z 803.3 (M+H)+.
【0234】
実施例 130. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
MS (ESI) m/z 805.3 (M+H)+.
【0235】
実施例 131. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
MS (ESI) m/z 817.3 (M+H)+.
【0236】
実施例132. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
MS (ESI) m/z 831.3 (M+H)+.
【0237】
実施例133. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
MS (ESI) m/z 795.2 (M+H)+.
【0238】
実施例134. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
MS (ESI) m/z 792.2 (M+H)+.
【0239】
実施例135. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
MS (ESI) m/z 818.3 (M+H)+.
【0240】
実施例136. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
MS (ESI) m/z 821.2 (M+H)+.
【0241】
実施例137. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
MS (ESI) m/z 835.1 (M+H)+.
【0242】
実施例138. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
MS (ESI) m/z 835.1 (M+H)+.
【0243】
実施例139. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
MS (ESI) m/z 819.4 (M+H)+.
【0244】
実施例140. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
MS (ESI) m/z 805.2 (M+H)+.
【0245】
実施例141. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
MS (ESI) m/z 825.4 (M+H)+.
【0246】
実施例142. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
MS (ESI) m/z 867.4 (M+H)+.
【0247】
実施例143および144(式IV)は、実施例2の表題の化合物および対応するスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって作製することができる。
【0248】
実施例143. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
【0249】
実施例144. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
【0250】
実施例145. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例3の表題の化合物および4-モルホリンスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 836.3 (M+H)+.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ 10.05 (1H, s), 8.09 (1H, d, J=3.5 Hz), 8.01 (1H, d, J=8.0 Hz), 7.83 (1H, dd, J=8.0, 1.5 Hz), 7.66-7.58 (2H, m), 7.50 (1H, d, J=5.0 Hz), 7.14 (1H, t, J=4.0 Hz), 6.74 (1H, s), 6.13 (1H, s), 5.79 (1H, dd, J=18.0, 9.0 Hz), 5.12 (1H, m), 5.05 (1H, t, J=9.5 Hz), 4.76 (1H, m), 4.68-4.65 (2H, m), 4.38-4.33 (2H, m), 4.09 (1H, dd, J=11.5, 3.5 Hz), 3.79 (2H, t, 3.6 Hz), 3.76-3.67 (2H, m), 3.38-3.28 (2H, m), 3.17 (2H, t, 3.6 Hz), 2.76-2.70 (2H, m), 2.59 (1H, m), 2.28 (1H, dd, J=6.4, 3.6 Hz) 1.93-1.78 (2 H, m), 1.57-0.80 (16H, m).
【0251】
実施例146. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例3の表題の化合物および4-メチル-1ピペラジンスルホンアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 849.3 (M+H)+.
【0252】
実施例147. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例3の表題の化合物およびジメチルアミノ-スルホン酸アミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 794.3 (M+H)+
【0253】
実施例148. 式IVの化合物(式中、A=

、Q=

、G=

)。
実施例3の表題の化合物およびスルホニルジアミドから開始して、実施例46に記載の手順を行うことによって表題の化合物を調製した。
MS (ESI) m/z 766.4 (M+H)+.
【0254】
実施例149〜実施例156(式IV)は、実施例2、3、4、5、42または59に記載の手順を行うことによって作製することができる。





【0255】
本発明の化合物は、HCV NS3プロテアーゼに対して強力な阻害特性を示す。以下の実施例には、抗HCV効果について本発明の化合物を試験し得るアッセイが記載される。
【0256】
実施例 157. NS3/NS4aプロテアーゼ酵素アッセイ
HCVプロテアーゼの活性および阻害は、内部消光蛍光物質を使用してアッセイされる。DABCYLおよびEDANS基を短いペプチドのそれぞれの末端に結合させる。DABCYL基によるEDANS蛍光の消光は、タンパク質分解性の切断の際に軽減する。355nmの励起波長および485nmの発光波長を使用して、Molecular Devices Fluoromax(または同等)により蛍光を測定する。
【0257】
NS4A補因子とつないだ完全長NS3 HCVプロテアーゼIb(酵素終濃度1〜15nM)を添加したCorning white half-area 96ウェルプレート(VWR 29444-312 [Corning 3693])でアッセイを行う。アッセイバッファに10μM NS4A補因子Pep 4A(Anaspec 25336または弊社、MW 1424.8)を補充する。RET S1(Ac-Asp-Glu-Asp(EDANS)-Glu-Glu-Abu-[COO]Ala-Ser-Lys-(DABCYL)-NH2, AnaSpec 22991, MW 1548.6)を蛍光ペプチド物質として使用する。アッセイバッファに、50mM Hepes、pH7.5、30mM NaClおよび10mM BMEを含ませる。室温で、インヒビターの非存在下および存在下で、30分間のタイムコースで酵素反応を行なう。
【0258】
ペプチドインヒビターHCV Inh 1(Anaspec 25345, MW 796.8)Ac-Asp-Glu-Met-Glu-Glu-Cys-OH、[-20℃]およびHCV Inh 2(Anaspec 25346, MW 913.1)Ac-Asp-Glu-Dif-Cha-Cys-OHを参照化合物として使用する。
【0259】
等式205:y=A+((B-A)/(1+((C/x)^D)))を使用して、ActivityBase(IDBS)のXLFitを使用してIC50値を計算する。
【0260】
実施例158. 細胞系レプリコンアッセイ
Huh 11-7細胞株を使用して、HCVレプリコンRNAの定量(HCV細胞系アッセイ)を行う(Lohmann, et al Science 285:110-113, 1999)。96ウェルプレートに、細胞を4x103細胞/ウェルで播種して、DMEM(高グルコース)、10%ウシ胎児血清、ペニシリン-ストレプトマイシンおよび非必須アミノ酸を含むメディウムを加える。37℃で、7.5%CO2インキュベーター内で細胞をインキュベートする。インキュベーションの終わりの時点で、Ambion RNAqueous 96 Kit(カタログ番号AMI 812)を使用して、細胞から全RNAを抽出して精製する。HCV RNAを増幅して、HCV特異的プローブ(下記)で十分な物質を検出できるようにするために、HCVに特異的なプライマー(下記)は、TaqMan One-Step RT-PCR Master Mix Kit(Applied Biosystems カタログ番号4309169)を使用した、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるHCV RNAの逆転写およびcDNAの増幅の両方を仲介する。HCVゲノムのNS5B領域に位置するRT-PCRプライマーのヌクレオチド配列は、以下:
HCVフォワードプライマー「RBNS5bfor」
5' GCTGCGGCCTGTCGAGCT(配列番号:1):
HCVリバースプライマー「RBNS5Brev」
5' CAAGGTCGTCTCCGCATAC(配列番号:2)である。
【0261】
RT-PCR産物の検出は、蛍光レポーター色素およびクエンチャー色素で標識されたプローブがPCR反応中に分解された場合に発せられる蛍光を検出するApplied Biosystems (ABI) Prism 7500 Sequence Detection System(SDS)を使用して行われる。蛍光の量の増加は、PCRのそれぞれのサイクル中に測定され、RT-PCR産物の量の増加を示す。具体的に、定量は、増幅プロットが規定の蛍光閾値と交差する閾値サイクルに基づく。試料の閾値サイクルと既知標準の比較により、種々の試料における相対的鋳型濃度の高感度測定が提供される(ABI User Bulletin #2 December 11, 1997)。ABI SDSプログラムバージョン1.7を使用してデータを解析する。既知のコピー数を用いたHCV RNA標準の標準曲線を使用することで、相対鋳型濃度はRNAコピー数に変換することができる(ABI User Bulletin #2 December 11, 1997)。
【0262】
以下の標識プローブ:
5' FAM-CGAAGCTCCAGGACTGCACGATGCT-TAMRA(配列番号:3)
FAM= 蛍光レポーター色素
TAMRA= クエンチャー色素
を使用してRT-PCR産物を検出した。
【0263】
RT反応を48℃で30分間行い、その後PCRを行う。ABI Prism 7500 Sequence Detection SystemでのPCR反応に使用するサーマルサイクラーパラメーターは:95℃、10分、1サイクル、次いでそれぞれ95℃、15秒間の1回のインキュベーションおよび60℃、1分間での第2のインキュベーションを含むものを40サイクルである。
【0264】
細胞RNA内の内部対照分子に対するデータを標準化するために、細胞メッセンジャーRNAグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)に対してRT-PCRを行う。使用する細胞株において、GAPDHコピー数は非常に安定している。HCVコピー数を測定するものと同じRNA試料においてGAPDH RT-PCRを行う。GAPDHプライマーおよびプローブは、ABI Pre-Developed TaqMan Assay Kit(カタログ番号4310884E)に含まれる。HCV/GAPDH RNAの比は、HCV RNA複製の阻害について評価される化合物の活性を計算するために使用される。
【0265】
レプリコンを含むHuh-7細胞株におけるHCV複製のインヒビターとしての化合物の活性(細胞系アッセイ)。
Huh-1 1-7細胞中のHCVレプリコンRNAレベルに対する特異的な抗ウイルス化合物の効果は、DMSOビヒクルに曝露された細胞(陰性対照)に対する化合物に曝露された細胞において、GAPDHに対して標準化されたHCV RNAの量(例えば、HCV/GAPDHの比)を比較することにより測定される。具体的には、96ウェルプレートに細胞を4x103細胞/ウェルで播種し、1)1%DMSOを含むメディウム(0%阻害対照)、または2)固定濃度の化合物を含む培地/1%DMSOのいずれかでインキュベートする。上述のように、その後96ウェルプレートを37℃で4日間インキュベートする(EC50測定)。パーセント阻害は:
%阻害 = 100-100*S/C1
(式中、
S= 試料中のHCV RNAコピー数/GAPDH RNAコピー数の比;
C1= 0%阻害対照(メディウム/1%DMSO)中のHCV RNAコピー数/GAPDH RNAコピー数の比)で規定される。
【0266】
1.5μMで特定の化合物の最高濃度で開始して、0.23nMの最低濃度で終了するようにウェルに3種類の対数に関して3倍希釈して化合物を連続して添加することにより、インヒビターの用量応答曲線を作成する。EC50値が曲線上で良好な位置にない場合は、さらなる希釈シリーズ(例えば、500nM〜0.08nM)を行う。4パラメーターの非直線回帰適合(regression fit)(バージョン4.2.1、ビルド16のモデル番号205)を使用して、IDBS Activity Base program 「XL Fit」によりEC50を測定する。
【0267】
上述のアッセイにおいて、HCV複製阻害活性およびHCV NS3プロテアーゼ阻害活性を有する本発明の代表的な化合物が見出された。例えば、上記の代表的な式IIの化合物は、有意なHCV複製阻害活性を示した。これらの化合物はまた、遺伝子型1、2、3および4などの異なるHCV遺伝子型のHCV NS3プロテアーゼの阻害に効果的であった。非限定的な例として、式IIの好ましい例における代表的な化合物は、細胞系レプリコンアッセイを使用して、0.2nM未満〜約2nMの範囲のEC50を示した。これらの好ましい例の代表的な化合物もまた、0.2nM未満〜約50nMの範囲のIC50で、遺伝子型1a、1b、2a、2bおよび4aなどの種々のHCV遺伝子型のHCV NS3プロテアーゼを阻害した。
【0268】
式IIの代表的な化合物は、HCV NS3プロテアーゼ阻害活性アッセイにおいて対応する酸誘導体と比較して、効力において、少なくとも10倍の改善を有することがわかった。
【0269】
代表的な化合物の薬理動態解析により、高い肝臓薬物レベルが示された。肝臓/血漿の濃度比は、これらの化合物について約50〜500であることがわかった。
【0270】
代表的な化合物の薬理動態解析により、高い肝臓薬物レベル、ならびに低い血漿および心臓薬物レベルが示された。ラットにおける20mg/kgの単回経口用量について、式II’およびII”の化合物は、投与後3時間で約100〜約300の肝臓薬物濃度/血漿濃度の比を示した。また式II’の化合物は、投与後24時間で肝臓においてレプリコンEC50値よりも600倍高い濃度を生じた。ラットにおいて20mg/kgで、式II’の化合物はまた、0.15の心臓/血漿の薬物濃度のCmax比で、心臓において血漿よりも低い薬物濃度を示した。
【0271】
本発明の化合物はシトクロムP450酵素の有意な阻害は示さなかった。
【0272】
代表的な化合物の薬理動態解析は高い肝臓薬物レベルを示した。肝臓/血漿の濃度比は、これらの化合物について約50〜500であることがわかった。
【0273】
本発明は種々の好ましい態様に関して記載されるが、それには限定されずに、むしろ当業者は、本明細書において本発明の精神および添付の特許請求の範囲で変更および改変がなされ得ることを理解しよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:


(式中:
AがH、-(C=O)-O-R1、-(C=O)-R2、-C(O)-NH-R2、または-S(O)2-R1、-S(O)2NHR2
(式中、各R1が独立して:
(i) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換へテロアリール;
(ii) ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iii) それぞれO、S、もしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、または-C2〜C8アルキニル;それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、または置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニル、または置換-C3〜C12シクロアルケニル
からなる群より選択され;
各R2が独立して:
(i) 水素;
(ii) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii) ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iv) それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、または-C2〜C8アルキニル;それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、または置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニル、または置換-C3〜C12シクロアルケニルからなる群より選択される)
から選択され;
Gが-NHS(O)2-R3または-NH(SO2)NR4R5(式中、各R3が独立して:
(i) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール
(ii) ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iii) それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、または-C2〜C8アルキニル;それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2-C8アルケニル、または置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニル、または置換-C3〜C12シクロアルケニル
から選択される;
ただし、R3は-CH2Phまたは-CH2CH2Phではないとものとする;
各R4およびR5が独立して:
(i) 水素;
(ii) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii) ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv) それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、または-C2〜C8アルキニル;それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、または置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニル、または置換-C3〜C12シクロアルケニル
から選択される)
から選択され;
Lが-CH2-、-O-、-S-、または-S(O)2-から選択され;
XおよびYが、それらが結合する炭素原子と一緒に、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールから選択される環状部分を形成し;
Wが非存在であるか、または-O-、-S-、-NH-、-N(Me)-、-C(O)NH-、もしくは-C(O)N(Me)-から選択されるか;あるいはWは-C2〜C4アルキレン-、置換-C2〜C4アルキレン-であり得;
Zが:
(i) 水素;
(ii) -CN;
(iii) -N3
(iv) ハロゲン;
(v) R2が先に規定されたとおりである-NH-N=CH(R2);
(vi) アリール、置換アリール;
(vii) ヘテロアリール、置換ヘテロアリール;
(viii) -C3〜C12シクロアルキル、置換-C3〜C12シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル;
(ix) O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含み、任意にハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で置換された-C1〜C6アルキル;
(x) O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含み、任意にハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で置換された-C2〜C6アルケニル;
(xi) O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含み、任意にハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で置換された-C2〜C6アルキニル
からなる群より選択され;
j=0、1、2、3または4;
k=1、2または3;
m=0、1または2であり;

が炭素-炭素の単結合または二重結合を示す)
の化合物ならびにその薬学的に許容され得る塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項2】
式II:


(式中:
X1、X2、X3およびX4のそれぞれが独立して-CR6およびNから選択され、
R6が独立して:
(i) 水素;ハロゲン;-NO2;-CN;
(ii) MがO、S、NHであり、R4が先に規定の通りである-M-R4
(iii) R4およびR5が先に規定の通りであるNR4R5
(iv) それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、または-C2〜C8アルキニル;それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、または置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニル、または置換-C3〜C12シクロアルケニル;
(v) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(vi) ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル
から選択され;
A、G、W、Zが請求項1に規定の通りである)
の化合物ならびにその薬学的に許容され得る塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項3】
Wが非存在、-C2〜C4アルキレン-、置換-C2〜C4アルキレン-であり、Zがヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリール、または置換アリールであり、Aが-C(O)-R2、-C(O)-O-R2、-S(O)2NHR2および-C(O)-NH-R2(式中、R2がアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、-C2〜C8アルキニル、置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、置換-C2〜C8アルキニル、-C3〜C12シクロアルキル、-C3〜C12シクロアルケニル、置換-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルケニルから選択される)からなる群より選択され、Gが-NH-SO2-NH-R3または-NHSO2-R3(式中、R3が-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、-C2〜C8アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、-C3〜C12シクロアルキル、-C3〜C12シクロアルケニル、置換-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルケニルから選択される)であり得る、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
Wが非存在であり、Zが2-チオフェニルであり、Aが-C(O)-O-R1(式中、R1が-C1〜C8アルキル、-C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールである)であり、Gが-NHSO2-R3(式中、R3が-C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキルから選択される)である、請求項2記載の化合物。
【請求項5】
式III:


(式中:
Y1、Y2およびY3のそれぞれが独立してCR6、N、NR6、SおよびOから選択され;
R6、A、G、W、Zが請求項1および2に規定の通りである)
の化合物ならびにその薬学的に許容され得る塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項6】
Wが非存在、-C2〜C4アルキレン-、置換-C2〜C4アルキレン-であり、Zがヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリール、または置換アリールであり、Aが-C(O)-R2、-C(O)-O-R2、-S(O)2NHR2および-C(O)-NH-R2(式中、R2がアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、-C2〜C8アルキニル、置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、置換-C2〜C8アルキニル、-C3〜C12シクロアルキル、-C3〜C12シクロアルケニル、置換-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルケニルから選択される)からなる群より選択され、Gが-NH-SO2-NH-R3または-NHSO2-R3(式中、R3が-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、-C2〜C8アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、-C3〜C12シクロアルキル、-C3〜C12シクロアルケニル、置換-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルケニルから選択される)であり得る、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
Wが非存在であり、Zが2-チオフェニルであり、Aが-C(O)-O-R1(式中、R1が-C1〜C8アルキル、-C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3-C12シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールである)であり、Gが-NHSO2-R3(式中、R3が-C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキルから選択される)である、請求項5記載の化合物。
【請求項8】
式IV(式中、A、QおよびGが表1〜4:




































に示される)
の化合物から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
式IV:


(式中、A、QおよびGが明細書中のA-マトリックス、Q-マトリックスおよびG-マトリックスの表(表5〜7)で規定される)
の化合物。
【請求項10】
限定されないが、以下:A01Q01G02;A01Q02G02;A01Q03G02;A01Q38G02;A01Q48G02;A01Q49G02;A01Q61G02;A05Q01G03;A01Q02G03;A05Q03G05;A09Q38G02;A30Q48G02;A01Q49G03;A05Q01G20;A05Q01G24;A05Q01G05;A05Q61G11;A05Q01G11;A30Q01G11;A05Q38G24;A05Q38G02;A05Q49G05;A30Q02G03;A09Q01G02;A09Q02G02;A09Q03G02;A095Q38G02;A09Q48G02;A09Q61G03;A30Q03G02;A30Q03G03;A30Q05G09;A30Q61G02;A05Q03G09;A05Q03G09;A01Q38G02;A01Q49G24;A05Q61G20;A09Q38G20;A30Q48G24;A30Q48G20;A30Q49G24;A05Q38G09;A05Q17G09;A05Q09G09;A05Q04G09;A05Q08G11;A05Q01G06;A05Q16G02;A05Q17G02;A05Q25G02;A03Q01G02;A06Q01G02;A16Q01G02の化合物番号から選択される、請求項7記載の化合物。
【請求項11】
阻害量の請求項1〜10記載の化合物の1つを単独で含むか、または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせて含む、医薬組成物。
【請求項12】
被検体に、阻害量の請求項11記載の医薬組成物を投与する工程を含む、被検体におけるC型肝炎ウイルス感染の治療方法。
【請求項13】
C型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼ阻害量の請求項11記載の医薬組成物を供給する工程を含む、C型肝炎ウイルスの複製の阻害方法。
【請求項14】
さらなる抗C型肝炎ウイルス剤を同時に投与する工程をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記さらなる抗C型肝炎ウイルス剤がα-インターフェロン、β-インターフェロン、リバビリン、およびアマンタジン(adamantine)からなる群より選択される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記さらなる抗C型肝炎ウイルス剤がC型肝炎ウイルスヘリカーゼ、ポリメラーゼ、メタロプロテアーゼ、またはIRESのインヒビターである、請求項14記載の方法。
【請求項17】
式I:


(式中、
AがH、-(C=O)-O-R1、-(C=O)-R2、-C(O)-NH-R2、または-S(O)2-R1、-S(O)2NHR2(式中、各R1が独立して:
(i) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(ii) ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iii) それぞれO、S、もしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、または-C2〜C8アルキニル;それぞれO、S、もしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、または置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニル、または置換-C3〜C12シクロアルケニルからなる群より選択され;
各R2が独立して:
(i) 水素;
(ii) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii) ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iv) それぞれO、S、もしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、または-C2〜C8アルキニル;それぞれO、S、もしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、または置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニル、または置換-C3〜C12シクロアルケニル
からなる群選択される)
から選択され;
Gが-NHS(O)2-R3または-NH(SO2)NR4R5(式中、各R3が独立して:
(i) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール
(ii) ヘテロシクロアルキルまたは置換 ヘテロシクロアルキル;および
(iii) それぞれO、S、もしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、または-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニル、または置換-C3〜C12シクロアルケニルから選択され;
各R4およびR5が独立して:
(i) 水素;
(ii) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii) ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv) それぞれO、S、もしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜Csアルケニル、または-C2〜C8アルキニル;それぞれO、S、もしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニル、または置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキル、または置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニル、または置換-C3〜C12シクロアルケニルから選択される)
から選択され;
Lが-CH2-、-O-、-S-、または-S(O)2-から選択され;
XおよびYが、それらが結合する炭素原子と一緒に、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールから選択される環部分を形成し;
Wが非存在であるか、または-O-、-S-、-NH-、-N(Me)-、-C(O)NH-、または-C(O)N(Me)-から選択されるか;あるいはWが-C2〜C4アルキレン-、置換-C2〜C4アルキレン-であり得;
Zが:
(i) 水素;
(ii) -CN;
(iii) -N3
(iv) ハロゲン;
(v) R2が先に規定された通りである-NH-N=CH(R2);
(vi) アリール、置換アリール;
(vii) ヘテロアリール、置換ヘテロアリール;
(viii) -C3〜C12シクロアルキル、置換-C3〜C12シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル;
(ix) O、S、もしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含み、任意にハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で置換される-C1〜C6アルキル;
(x) O、S、もしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含み、任意にハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で置換される-C2〜C6アルケニル ;
(xi) O、S、もしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含み、任意にハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で置換される-C2〜C6アルキニル
からなる群より選択され;
j=0、1、2、3または4;
k=1、2または3;
m=0、1または2であり;


が炭素-炭素単結合または二重結合を示す)
の化合物、ならびにその薬学的に許容され得る塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項18】
式Vの化合物または前記化合物の薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項19】
明細書に記載のスキーム、方法またはプロセスに従って、式I、II、III、IV、またはVから選択される式により化合物を作製する方法。

【公表番号】特表2009−541491(P2009−541491A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518517(P2009−518517)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/072140
【国際公開番号】WO2008/002924
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(503323970)エナンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】