説明

キャリアテープの製造方法およびキャリアテープ

【課題】本発明の課題は、キャリアテープにヒーターマークが形成されず、かつ、ポケットを設計通りの形状に成形しやすいキャリアテープの製造方法、およびキャリアテープを提供することである。
【解決手段】本発明にかかるキャリアテープ200の製造方法は、加熱工程と、成形工程とを備える。加熱工程では、樹脂組成物シート210の所定の箇所が、電磁波および超音波の少なくとも一方で加熱される。成形工程では、加熱工程において加熱された樹脂組成物シート210の所定の箇所にポケット220が成形される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアテープの製造方法およびキャリアテープに関する。
【背景技術】
【0002】
IC(Integrated Circuit)をはじめとしたトランジスター、ダイオード、コンデンサー、圧電素子レジスター等の電子部品は、キャリアテープと、キャリアテープがヒートシール等によって接着されたカバーテープとを備える包装体で包装されることが多い。
【0003】
ところで、加熱で一部を軟化させた樹脂組成物シートに、成形装置を用いてポケットを成形することで、キャリアテープが従来から作製されている。樹脂組成物シートの加熱は、例えば、接触式ヒーター装置(以下、「ヒーター」という)を樹脂組成物シートに接触させて行う。しかし、ヒーターで樹脂組成物シートを圧縮して加熱する場合、樹脂組成物シートのヒーターと接触した箇所にヒーターマークが形成される。
【0004】
そして、図12に示されるように、従来の包装体500は、ポケット620の開口にヒーターマーク610が形成されたキャリアテープ600に、カバーテープ700がヒートシールされて作製される。キャリアテープ600のポケット620には、電子部品400が収納される。
【0005】
ところで、カバーテープ700は、弛みにくくなるように、ポケット620の開口近傍でキャリアテープ600にヒートシールされることが多い。カバーテープ700の弛みが抑制されることで、包装体500は、電子部品400をポケット620内で安定して保管しやすくなる。
【0006】
しかし、包装体500では、ポケット620の開口にヒーターマーク610があることによって、キャリアテープ600とカバーテープ700との接触面積が狭くなる。そのため、キャリアテープ600とカバーテープ700との接着力が低下または変化してしまい、一様なピール性能が得られない。
【0007】
そこで、特許文献1に記載のように、樹脂組成物シートをヒーターで加熱することに代えて、樹脂組成物シートを熱風で加熱することが考えられる。樹脂組成物シートを熱風加熱することで得られたキャリアテープには、ヒーターマークが形成されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−74408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、熱風では局所加熱することが難しく、樹脂組成物シートの軟化させたい箇所以外の箇所を加熱して軟化させてしまう。そのため、樹脂組成物シートにポケットを成形する際、ポケットを設計通りの形状に成形しにくい。
【0010】
本発明の目的は、キャリアテープにヒーターマークが形成されず、かつ、ポケットを設計通りの形状に成形しやすいキャリアテープの製造方法、およびキャリアテープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)
本発明にかかるキャリアテープの製造方法は、加熱工程と、成形工程とを備える。加熱工程では、樹脂組成物シートの所定の箇所が、電磁波および超音波の少なくとも一方で加熱される。成形工程では、加熱工程において加熱された樹脂組成物シートの所定の箇所にポケットが成形される。
【0012】
樹脂組成物シートの所定の箇所は、ヒーターで圧縮して加熱されるのではなく、電磁波および超音波の少なくとも一方で加熱される。そのため、樹脂組成物シートにヒーターマークが形成されない。よって、ポケットの開口近傍でカバーテープが接着された場合、このキャリアテープは、ヒーターマークが形成されたキャリアテープと比べて、カバーテープとの接触面積が広くなり、カバーテープとの接着力を安定させることができる。
【0013】
また、電磁波および超音波は、樹脂組成物シートの特定の箇所のみを局所加熱することができる。そのため、樹脂組成物シートにポケットが成形される際、ポケットは設計通りの形状で成形されやすい。さらに、樹脂組成物シートにおいて、例えば、ポケットの底面となる箇所を加熱せず、その周囲の箇所を加熱することで、ポケットの底面の厚みを樹脂組成物シートの厚みで維持することができる。
【0014】
(2)
上述(1)のキャリアテープの製造方法では、電磁波および超音波の少なくとも一方が、照射箇所を変更しつつ照射されて、樹脂組成物シートの所定の箇所が加熱されることが好ましい。
【0015】
電磁波および超音波の少なくとも一方が照射箇所を変更しつつ照射される。そのため、ポケットの形状またはサイズを変えるために樹脂組成物シートを加熱する箇所が変更されたときであっても、照射箇所の形状に合わせて加熱装置を変更する必要がない。よって、キャリアテープの製造コストを低減させることができる。
【0016】
(3)
上述(1)または(2)のキャリアテープの製造方法において、加熱工程では、樹脂組成物シートの所定の箇所が、誘導加熱、誘電加熱、赤外線加熱、およびレーザー加熱の少なくとも1つで加熱されることが好ましい。
【0017】
加熱工程では、樹脂組成物シートの所定の箇所は、ヒーターで圧縮して加熱されるのではなく、誘導加熱、誘電加熱、赤外線加熱、およびレーザー加熱の少なくとも1つで加熱される。そのため、樹脂組成物シートにヒーターマークが形成されない。よって、ポケットの開口近傍でカバーテープが接着される場合、このキャリアテープは、ヒーターマークのあるキャリアテープと比べて、カバーテープとの接触面積が広くなり、カバーテープとの接着力の向上、安定を図る。
【0018】
(4)
上述(3)のキャリアテープの製造方法において、樹脂組成物シートには、導電体が含まれることが好ましい。加熱工程では、樹脂組成物シートの所定の箇所が誘導加熱される。
【0019】
誘導加熱において、導電体を含む樹脂組成物シートは、導電体を含まない樹脂組成物シートに比べて、加熱されやすく、短時間で加熱工程を終えることができる。
【0020】
(5)
上述(3)または(4)のキャリアテープの製造方法おいて、樹脂組成物シートには、赤外線吸収剤が含まれることが好ましい。加熱工程では、樹脂組成物シートの所定の箇所が赤外線加熱される。
【0021】
赤外線加熱において、赤外線吸収剤を含む樹脂組成物シートは、赤外線吸収剤を含まない樹脂組成物シートに比べて、加熱されやすく、短時間で加熱工程を終えることができる。
【0022】
(6)
上述(3)〜(5)のいずれかのキャリアテープの製造方法において、樹脂組成物シートには、レーザー吸収剤が含まれることが好ましい。加熱工程では、樹脂組成物シートの所定の箇所がレーザー加熱される。
【0023】
レーザー加熱において、レーザー吸収剤を含む樹脂組成物シートは、レーザー吸収剤を含まない樹脂組成物シートに比べて、加熱されやすく、短時間で加熱工程を終えることができる。
【0024】
(7)
本発明にかかるキャリアテープは、上述(1)〜(6)のいずれかのキャリアテープの製造方法で製造された。
【0025】
このキャリアテープは、ヒーターマークが形成されていない。そのため、ポケットの開口近傍でカバーテープが接着された場合、このキャリアテープは、ヒーターマークのあるキャリアテープと比べて、カバーテープとの接触面積が広くなり、カバーテープとの接着力の向上、安定を図る。
【0026】
(8)
本発明にかかるキャリアテープ製造装置は、加熱装置と、成形装置とを備える。加熱装置は、電磁波および超音波の少なくとも一方を、移動しつつ照射して、樹脂組成物シートの所定の箇所を加熱する。成形装置は、加熱された樹脂組成物シートの所定の箇所にポケットを成形する。
【0027】
加熱装置は、電磁波および超音波の少なくとも一方を、移動しつつ照射する。そのため、ポケットの形状またはサイズを変えるために樹脂組成物シートを加熱する箇所が変更されたときであっても、照射箇所の形状に合わせて加熱装置を変更する必要がない。よって、様々な形状またはサイズのポケットを有するキャリアテープを製造する際に、キャリアテープの製造コストを低減させることができる。
【0028】
樹脂組成物シートの所定の箇所は、ヒーターで圧縮して加熱されるのではなく、電磁波および超音波の少なくとも一方で加熱される。そのため、樹脂組成物シートにヒーターマークが形成されない。また、電磁波および超音波は、樹脂組成物シートの特定の箇所のみを局所加熱することができる。
【0029】
(9)
本発明にかかるキャリアテープ製造装置は、加熱装置と、成形装置とを備える。加熱装置は、電磁波および超音波の少なくとも一方を、照射箇所を変更しつつ照射して、樹脂組成物シートの所定の箇所を加熱する。成形装置は、加熱された樹脂組成物シートの所定の箇所にポケットを成形する。
【0030】
加熱装置は、電磁波および超音波の少なくとも一方を、照射箇所を変更しつつ照射する。そのため、ポケットの形状またはサイズを変えるために樹脂組成物シートを加熱する箇所が変更されたときであっても、照射箇所の形状に合わせて加熱装置を変更する必要がない。よって、様々な形状またはサイズのポケットを有するキャリアテープを製造する際に、キャリアテープの製造コストを低減させることができる。
【0031】
樹脂組成物シートの所定の箇所は、ヒーターで圧縮して加熱されるのではなく、電磁波および超音波の少なくとも一方で加熱される。そのため、樹脂組成物シートにヒーターマークが形成されない。また、電磁波および超音波は、樹脂組成物シートの特定の箇所のみを局所加熱することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明にかかるキャリアテープの製造方法は、キャリアテープにヒーターマークが形成されず、かつ、ポケットを設計通りの形状に成形しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態にかかるキャリアテープを備える包装体の斜視図である。
【図2】図1に示した包装体のA−A線断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るキャリアテープ製造装置の構成を示す概念図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるキャリアテープの加熱前の状態における樹脂組成物シートの平面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるキャリアテープの樹脂組成物シートを加熱している状態を示した平面図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかるキャリアテープの樹脂組成物シートを加熱している状態を示した平面図である。
【図7】キャリアテープからカバーテープを剥離させている状態を示した斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態の変形例(A)にかかるキャリアテープの加熱前の状態における樹脂組成物シートの平面図である。
【図9】本発明の一実施形態の変形例(A)にかかるキャリアテープの樹脂組成物シートを加熱している状態を示した平面図である。
【図10】本発明の一実施形態の変形例(B)にかかるキャリアテープの加熱前の状態における樹脂組成物シートの平面図である。
【図11】本発明の一実施形態の変形例(B)にかかるキャリアテープの樹脂組成物シートを加熱している状態を示した平面図である。
【図12】従来の包装体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1、2に示されるように、本発明の一実施形態にかかる包装体100は、主に、キャリアテープ200と、カバーテープ300とから構成される。カバーテープ300は、電子部品400を収納したキャリアテープ200にヒートシールされる。このカバーテープ300として、公知のものが用いられる。以下、キャリアテープ200について詳しく説明する。
【0035】
<キャリアテープ>
図1、2に示されるように、キャリアテープ200は、樹脂組成物シート210と、ポケット220と、スプロケットホール230とを有する。
【0036】
樹脂組成物シート210の材料として、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂など)、ポリカーボネート系樹脂などの各種樹脂が用いられる。なお、この樹脂組成物シート210は、単層構造体であるが(図2参照)、帯電防止層などの機能層を有する多層構造体であってもよい。
【0037】
ポケット220は、電子部品400を収容可能な形状であり、キャリアテープ200の長手方向に沿って、等間隔で複数個形成される。このポケット220の開口には、従来のキャリアテープ600にあったヒーターマーク610が形成されていない(図2、7参照)。
【0038】
図1に示されるように、スプロケットホール230は、キャリアテープ200の長手方向に沿って、等間隔で複数個形成される穴である。このスプロケットホール230は、カバーテープ300がキャリアテープ200に接着されたとき、カバーテープ300で覆われない位置に形成される。スプロケットホール230は、スプロケットホイール(図示せず)の歯と嵌合する。スプロケットホール230にスプロケットホイールが嵌合した状態でスプロケットホイールが回転することで、キャリアテープ200は搬送される。
【0039】
<キャリアテープの製造方法>
平板状の樹脂組成物シート210に、ポケット220が成形され、かつ、スプロケットホール230が形成されることによって、キャリアテープ200は製造される。
【0040】
図3に示されるように、ポケット220の成形は、加熱装置800による加熱工程と、成形装置900による成形工程とを経ることによって行われる。具体的に、原反211から送り出される樹脂組成物シート210は、照射部810を有する加熱装置800、成形装置900の順に一方向(白抜き矢印方向)に送られる。
【0041】
図4に示されるように、加熱工程において、樹脂組成物シート210の所定の箇所である加熱部240(灰色で表示)が加熱されて軟化する。加熱部240は、ポケット220の成形工程後において、ポケット220の各面を構成する。また、加熱部240は、ポケット220の形状またはサイズに応じた形状である。
【0042】
図5に示されるように、加熱は、電磁波および超音波の少なくとも一方を、移動しつつ照射する加熱装置800の照射部810によって行われる。具体的に、照射部810は、平面視において渦巻き状に動いて(図5の破線矢印参照)、電磁波および超音波の少なくとも一方を加熱部240に照射する。照射部810は、電磁波および超音波の少なくとも一方を、移動しつつ照射することによって、種々の形状の加熱部240を加熱することができる。そのため、加熱部240の形状に合わせて加熱装置800を変更する必要がない。また、加熱装置800は、電磁波および超音波の少なくとも一方を照射するので、特定の箇所のみを局所加熱することができる。
【0043】
なお、図6に示されるように、照射部810は、平面視において方形波状に動いて(図6の破線矢印参照)、電磁波および超音波の少なくとも一方を加熱部240に照射してもよい。なお、照射部810は、加熱部240を加熱するのであれば、上記と異なる動きであってもよい。
【0044】
また、加熱装置800は、電磁波および超音波の少なくとも一方を、移動しつつ加熱部240に照射するのではなく、照射箇所を変更しつつ加熱部240に照射してもよい。具体的に、加熱装置800の照射部810は、照射角度を変えながら電磁波および超音波の少なくとも一方を加熱部240に照射することができる構造である。加熱装置800は、電磁波および超音波の少なくとも一方を、照射箇所を変更しつつ照射することによって、種々の形状の加熱部240を加熱することができる。そのため、加熱部240の形状に合わせて加熱装置を変更する必要がない。なお、加熱装置800は、電磁波および超音波の少なくとも一方を、照射箇所を変更しつつ、かつ、移動しつつ加熱部240に照射してもよい。
【0045】
また、加熱装置800は、加熱部240に与える熱量を適宜調整してもよい。加熱部240に与えられる熱量を調整することによって、ポケット220の各面の厚みを調整することができる。具体的に、加熱部240に与えられる熱量を増減させて樹脂組成物シート210の伸び方に差を与えることで、より設計通りの形状のポケット220を成形することができる。加熱部240に与えられる熱量は、全体的に均一であってもよいし、全体的に均一でなくてもよい。熱量が全体的に均一でない場合、加熱部240に与えられる熱量は、例えば、加熱部240の中心に向かって漸減または漸増するように調整される。また、各加熱部240は、1つずつ加熱されてもよいし、複数同時に加熱されてもよい。
【0046】
樹脂組成物シート210の加熱部240は、具体的に、誘導加熱、誘電加熱、赤外線加熱、およびレーザー加熱の少なくとも1つで加熱される。
【0047】
誘導加熱には、高周波加熱、マイクロ波加熱の2種類がある。高周波加熱で用いられる高周波の周波数は3MHz以上3000MHz以下であり、マイクロ波加熱で用いられるマイクロ波の周波数は3GHz以上30GHz以下である。加熱部240が誘導加熱される場合、加熱の効率を向上させるために、樹脂組成物シート210には導電体が含まれていることが好ましい。
【0048】
赤外線加熱には、遠赤外線加熱、近赤外線加熱の2種類がある。遠赤外線加熱で用いられる遠赤外線の波長は10−5m以上10−4m以下であり、近赤外線加熱で用いられる近赤外線の波長は10−6m以上10−5m以下である。加熱部240が赤外線加熱される場合、加熱の効率を向上させるために、樹脂組成物シート210には赤外線吸収剤が含まれていることが好ましい。
【0049】
加熱部240がレーザー加熱される場合、加熱の効率を向上させるために、樹脂組成物シート210にはレーザー吸収剤が含まれていることが好ましい。
【0050】
図3に示されるように、成形工程では、加熱工程において加熱されて軟化した樹脂組成物シート210の加熱部240にポケット220が成形装置900を用いて成形される。このポケット220は、例えば、プレス成形、真空成形、圧空成形などの公知の成形方法によって樹脂組成物シート210に成形される。なお、ポケット220の成形後、打ち抜き金型などを用いて樹脂組成物シート210にスプロケットホール230が形成される。
【0051】
<キャリアテープとカバーテープとの接着>
キャリアテープ200とカバーテープ300とは、ヒートシールによって接着される。ヒートシールは、シール機を用いて、カバーテープ300の長辺の各縁に沿って行われる。なお、キャリアテープ200とカバーテープ300とは、ヒートシールに代えて、接着剤を用いて接着されてもよい。
【0052】
<カバーテープの剥離>
図7に示されるように、包装体100では、カバーテープ300の端部を長手方向に引っ張ることで、キャリアテープ200からカバーテープ300が剥離される。そして、カバーテープ300が剥離されたキャリアテープ200から、電子部品400が取り出される。
【0053】
<本実施形態における効果>
樹脂組成物シート210の加熱部240は、接触式ヒーター装置(以下、「ヒーター」という)で圧縮して加熱されるのではなく、電磁波および超音波の少なくとも一方で加熱される。そのため、樹脂組成物シート210にヒーターマークが形成されない。よって、ポケット220の開口近傍でカバーテープ300が接着された場合、このキャリアテープ200は、ヒーターマークが形成されたキャリアテープと比べて、カバーテープ300との接触面積が広くなり、カバーテープ300との接着力を安定させることができる。
【0054】
また、電磁波および超音波は、樹脂組成物シート210の特定の箇所のみを局所加熱することができる。そのため、樹脂組成物シート210にポケット220が成形される際、ポケット220は設計通りの形状で成形されやすい。
【0055】
電磁波および超音波の少なくとも一方が照射箇所を変更しつつ照射される。そのため、ポケット220の形状またはサイズを変えるために樹脂組成物シート210を加熱する箇所が変更されたときであっても、照射箇所の形状に合わせて加熱装置800を変更する必要がない。よって、キャリアテープ200の製造コストを低減させることができる。
【0056】
加熱工程では、樹脂組成物シート210の加熱部240は、ヒーターで圧縮して加熱されるのではなく、誘導加熱、誘電加熱、赤外線加熱、およびレーザー加熱の少なくとも1つで加熱される。そのため、樹脂組成物シート210にヒーターマークが形成されない。よって、ポケット220の開口近傍でカバーテープ300が接着される場合、このキャリアテープ200は、ヒーターマークのあるキャリアテープと比べて、カバーテープ300との接触面積が広くなり、カバーテープ300との接着力の向上、安定を図る。
【0057】
誘導加熱において、導電体を含む樹脂組成物シート210は、導電体を含まない樹脂組成物シート210に比べて、加熱されやすく、短時間で加熱工程を終えることができる。
【0058】
赤外線加熱において、赤外線吸収剤を含む樹脂組成物シート210は、赤外線吸収剤を含まない樹脂組成物シート210に比べて、加熱されやすく、短時間で加熱工程を終えることができる。
【0059】
レーザー加熱において、レーザー吸収剤を含む樹脂組成物シート210は、レーザー吸収剤を含まない樹脂組成物シート210に比べて、加熱されやすく、短時間で加熱工程を終えることができる。
【0060】
このキャリアテープ200は、ヒーターマークが形成されていない。そのため、ポケット220の開口近傍でカバーテープ300が接着された場合、このキャリアテープ200は、ヒーターマークのあるキャリアテープと比べて、カバーテープ300との接触面積が広くなり、カバーテープ300との接着力の向上、安定を図る。また、このキャリアテープ200では、ポケット220が設計通りの形状に成形されやすい。
【0061】
加熱装置800が電磁波および超音波の少なくとも一方を、移動しつつ照射する場合、ポケット220の形状またはサイズを変えるために樹脂組成物シート210を加熱する箇所が変更されたときであっても、照射箇所の形状に合わせて加熱装置800を変更する必要がない。よって、様々な形状またはサイズのポケット220を有するキャリアテープ200を製造する際に、キャリアテープ200の製造コストを低減させることができる。
【0062】
加熱装置800が電磁波および超音波の少なくとも一方を、照射箇所を変更しつつ照射する場合、ポケット220の形状またはサイズを変えるために樹脂組成物シート210を加熱する箇所が変更されたときであっても、照射箇所の形状に合わせて加熱装置800を変更する必要がない。よって、様々な形状またはサイズのポケット220を有するキャリアテープ200を製造する際に、キャリアテープ200の製造コストを低減させることができる。
【0063】
<変形例>
(A)
図8に示されるように、樹脂組成物シート210aでは、加熱工程において加熱される所定の箇所が、第1加熱部241(濃い灰色箇所)と、第2加熱部242(薄い灰色箇所)とから構成されてもよい。第2加熱部242は、第1加熱部241に囲まれて形成される。第1加熱部241は、ポケット220の成形工程後、主にポケット220の側面となる。第2加熱部242は、ポケット220の成形工程後、主にポケット220の底面となる。
【0064】
図9に示されるように、照射部810は、平面視において渦巻き状に動いて(図9の破線矢印参照)、電磁波および超音波の少なくとも一方を、熱量を変えて第1加熱部241および第2加熱部242に照射する。なお、照射部810は、第1加熱部241および第2加熱部242を加熱するのであれば、上記と異なる動きであってもよい。
【0065】
第1加熱部241は、第2加熱部242に比べて与えられる熱量が多い。そのため、第1加熱部241は、第2加熱部242に比べてポケット220の成形時に延びて薄くなる。よって、ポケット220の底面の厚みは、ポケット220の側面の厚みよりも厚くなる。したがって、第1加熱部241および第2加熱部242に与えられる熱量を調整することによって、ポケット220の各面の厚みを調整することができる。また、第2加熱部242の面積を調整することによって、ポケット220の各面の厚みを調整することもできる。なお、第2加熱部242に与えられる熱量は、第1加熱部241に与えられる熱量より多くてもよい。また、樹脂組成物シート210は、ポケット220をより設計通りの形状で成形するために、第2加熱部242に囲まれ、第1加熱部241および第2加熱部242と与えられる熱量が異なる第3加熱部をさらに有していてもよい。
【0066】
(B)
図10に示されるように、樹脂組成物シート210bは、加熱部243に囲まれた加熱されない非加熱部250を有していてもよい。加熱部243は、ポケット220の成形工程後、主にポケット220の側面となる。非加熱部250は、ポケット220の成形工程後、主にポケット220の底面となる。
【0067】
図11に示されるように、照射部810は、平面視において渦巻き状に動いて(図11の破線矢印参照)、電磁波および超音波の少なくとも一方を、加熱部243に照射する。非加熱部250が加熱されないことによって、ポケット220の底面の厚みを樹脂組成物シート210bの厚みで維持することができる。なお、照射部810は、加熱部243を加熱するのであれば、上記と異なる動きであってもよい。
【符号の説明】
【0068】
100 包装体
200 キャリアテープ
210、210a、210b 樹脂組成物シート
220 ポケット
240、243 加熱部(所定の箇所)
241 第1加熱部(所定の箇所)
242 第2加熱部(所定の箇所)
300 カバーテープ
800 加熱装置
900 成形装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂組成物シートの所定の箇所を、電磁波および超音波の少なくとも一方で加熱する加熱工程と、
前記加熱工程において加熱された前記樹脂組成物シートの前記所定の箇所にポケットを成形する成形工程とを備えるキャリアテープの製造方法。
【請求項2】
前記加熱工程では、前記電磁波および前記超音波の少なくとも一方が、照射箇所を変更しつつ照射されて、前記樹脂組成物シートの前記所定の箇所が加熱される請求項1に記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項3】
前記加熱工程では、前記樹脂組成物シートの前記所定の箇所が、誘導加熱、誘電加熱、赤外線加熱、およびレーザー加熱の少なくとも1つで加熱される請求項1または2に記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項4】
前記樹脂組成物シートには、導電体が含まれており、
前記加熱工程では、前記樹脂組成物シートの前記所定の箇所が誘導加熱される請求項3に記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項5】
前記樹脂組成物シートには、赤外線吸収剤が含まれており、
前記加熱工程では、前記樹脂組成物シートの前記所定の箇所が赤外線加熱される請求項3または4に記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項6】
前記樹脂組成物シートには、レーザー吸収剤が含まれており、
前記加熱工程では、前記樹脂組成物シートの前記所定の箇所がレーザー加熱される請求項3〜5のいずれか1項に記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のキャリアテープの製造方法で製造されたキャリアテープ。
【請求項8】
電磁波および超音波の少なくとも一方を、移動しつつ照射して、樹脂組成物シートの所定の箇所を加熱する加熱装置と、
加熱された前記樹脂組成物シートの前記所定の箇所にポケットを成形する成形装置とを備えるキャリアテープ製造装置。
【請求項9】
電磁波および超音波の少なくとも一方を、照射箇所を変更しつつ照射して、樹脂組成物シートの所定の箇所を加熱する加熱装置と、
加熱された前記樹脂組成物シートの前記所定の箇所にポケットを成形する成形装置とを備えるキャリアテープ製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−206738(P2012−206738A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72725(P2011−72725)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】