キャリブレーションシステム及びキャリブレーション方法並びに補正処理プログラム
【課題】濃度ムラの影響を抑制し、キャリブレーションの精度を向上させることができるキャリブレーションシステム及びキャリブレーション方法並びに補正処理プログラムの提供。
【解決手段】トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の前記測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシート50を用いてキャリブレーションを行うキャリブレーションシステムであって、前記基準パッチの測色値に基づいて、当該基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチの測色値を補正する補正部(濃度ムラ補正部22)を備える。
【解決手段】トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の前記測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシート50を用いてキャリブレーションを行うキャリブレーションシステムであって、前記基準パッチの測色値に基づいて、当該基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチの測色値を補正する補正部(濃度ムラ補正部22)を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色補正のためのキャリブレーションシステム及びキャリブレーション方法並びに補正処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラー印刷機能を備えた複写機や複合機(MFP:Multi Function Peripheral)などの画像形成装置が普及している。この画像形成装置では、ホストコンピュータから送信される印刷データに基づいて画像を形成し、帯電された感光体に画像に応じた光を照射して静電潜像を形成し、帯電したトナーを付着させて現像し、そのトナー像を転写ローラや転写ベルトなどの中間転写体を介して用紙に転写する処理を行う。
【0003】
カラー印刷の場合、ホストコンピュータのモニタに表示される色を正確に再現するために、ホストコンピュータでは、色補正テーブルを用いて色補正(キャリブレーションと呼ぶ。)を行う。この色補正テーブルは、Yellow、Magenta、Cyan、Blackの各トナーの色毎に、濃度を変化させたパターン(以下、測定パッチと呼ぶ。)を印刷し、測定パッチを測色器で測色し、その測色値を処理することによって生成することができる。
【0004】
しかしながら、画像形成装置では、感光体や中間転写体の回転ムラなどによる周期的な濃度ムラや、偶発的な濃度ムラが発生することがあり、測定パッチを所定の方向に配列した用紙(以下、パッチシートと呼ぶ。)の印刷時に濃度ムラが発生すると、キャリブレーションの精度が悪化するという問題が生じる。
【0005】
そこで、従来は、複数枚のパッチシートを印刷して測色し、測色値の平均を求めることにより、濃度ムラの影響を抑制する方法を用いていた。
【0006】
また、感光体や中間転写体の回転ムラなどによる周期的な濃度ムラは紙送り方向と垂直な方向に発生しやすい(すなわち、紙送り方向と垂直な方向に沿って濃度ムラによる帯が発生しやすい)ことから、各色の測定パッチを紙送り方向に配列することにより、濃度ムラの影響を抑制する方法を用いていた(下記特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平2001−94803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、測色値の平均を求める方法では、複数枚のパッチシートを印刷しなければならず、用紙を無駄に消費してしまうという問題があった。また、同じ位置に濃度ムラが発生した場合には、測色値の平均を求めても濃度ムラの影響を抑制することができず、キャリブレーションの精度が悪化してしまうという問題があった。
【0009】
また、特許文献1の方法は、周期的な濃度ムラが一色に偏らないようにするだけであり、発生した濃度ムラに対する補正は行わないため、濃度ムラの影響が全ての色に及んでしまうという問題があった。また、偶発的な濃度ムラは紙送り方向と垂直な方向に生じるとは限らず、紙送り方向に濃度ムラが発生した場合には、ある色の測定パッチの全てが薄く印刷されてしまい、キャリブレーションの精度が悪化してしまうという問題があった。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、濃度ムラの影響を抑制し、キャリブレーションの精度を向上させることができるキャリブレーションシステム及びキャリブレーション方法並びに補正処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の前記測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシートを用いてキャリブレーションを行うキャリブレーションシステムであって、前記基準パッチの測色値に基づいて、当該基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチの測色値を補正する補正部を備えるものである。
【0012】
本発明においては、前記補正部は、各々の前記基準パッチの測色値と全ての前記基準パッチの測色値の平均値又は予め定めた値とに基づいて、各々の前記基準パッチの濃度ずれ量を算出し、前記濃度ずれ量が基準値を超える前記基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチに対して、前記濃度ずれ量に基づいて当該測定パッチの測色値の補正量を算出し、前記補正量に基づいて当該測定パッチの測色値を補正する構成とすることができる。
【0013】
また、本発明のキャリブレーション方法は、トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の前記測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシートを出力する第1のステップと、前記パッチシートの前記測定パッチ及び前記基準パッチを測色する第2のステップと、前記基準パッチの測色値に基づいて、当該基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチの測色値を補正する第3のステップと、補正後の前記測定パッチの測色値に基づいて、色補正データを生成する第4のステップと、を少なくとも実行するものである。
【0014】
また、本発明のキャリブレーション方法は、トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の前記測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシートのトナー画像を形成する第1のステップと、中間転写体に転写された前記パッチシートのトナー画像を用いて、前記測定パッチ及び前記基準パッチを測色する第2のステップと、前記基準パッチの測色値に基づいて、当該基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチの測色値を補正する第3のステップと、補正後の前記測定パッチの測色値に基づいて、色補正データを生成する第4のステップと、を少なくとも実行するものである。
【0015】
また、本発明は、トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の前記測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシートを用いてキャリブレーションを行うシステムで動作する補正処理プログラムであって、コンピュータを、前記基準パッチの測色値に基づいて、当該基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチの測色値を補正する補正部、として機能させるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシートを用いる。そして、基準パッチの測色値に基づいて、パッチシート内の濃度ムラを検出し、濃度ムラに基づいて、測定パッチの測色値を補正し、補正した測色値に基づいて色補正テーブルを生成する。
【0017】
これにより、周期的な濃度ムラや偶発的な濃度ムラが発生した場合であっても、濃度ムラの影響を抑制することができ、キャリブレーションの精度を向上させることができる。また、濃度ムラの検出と測定パッチの測色とを別々に行う必要がないため、キャリブレーションを効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、その好ましい一実施の形態において、パッチシートを用いてキャリブレーションを行うキャリブレーションシステムにおいて、画像形成装置は、トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシートを出力する。画像形成装置又は測色器は、パッチシートの測定パッチ及び基準パッチを測色し、その測色値をホストコンピュータ又は画像形成装置に通知する。ホストコンピュータ又は画像形成装置に設けた濃度ムラ補正部は、基準パッチの測色値に基づいてパッチシート内の濃度ムラを検出し、濃度ムラが発生した基準パッチの位置と濃度ずれ量を算出し、その濃度ずれ量を用いて濃度ムラが発生した基準パッチの近傍に配置された測定パッチの測色値を補正する。そして、ホストコンピュータ又は画像形成装置に設けたキャリブレータは、補正後の測定パッチの測色値を従来のキャリブレーション方式で処理し、色補正テーブルを生成する。
【実施例】
【0019】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係るキャリブレーションシステム及びキャリブレーション方法並びに補正処理プログラムについて、図1乃至図15を参照して説明する。図1及び図2は、本実施例のキャリブレーションシステムの構成を模式的に示す図である。また、図3は、ホストコンピュータの構成を示すブロック図、図4は、画像形成装置の構成を示すブロック図であり、図5は、キャリブレーションシステムの概略動作を示す図である。また、図6乃至図8は、本実施例のキャリブレーションの手順を示すフローチャート図であり、図9乃至図15は、本実施例のパッチシートの構成例を示す図である。
【0020】
図1に示すように、本実施例のキャリブレーションシステム10は、パッチシート50の出力を指示する1又は複数のクライアント装置(以下、ホストコンピュータ20とする。)と、ホストコンピュータ20からの指示に基づいてパッチシート50を出力する1又は複数の画像形成装置30と、パッチシート50を測色する測色器40とを備え、これらは、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークを介して接続されている。以下、各々の装置について詳述する。
【0021】
[ホストコンピュータ]
図3に示すように、ホストコンピュータ20は、制御部21と、濃度ムラ補正部22と、キャリブレータ23と、記憶部24と、操作部25と、表示部26と、ネットワークI/F部27などを備える。
【0022】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)21a、ROM(Read Only Memory)21b、RAM(Random Access Memory)21cなどで構成される。CPU21aは、画像形成装置30を制御するためのソフトウェアであるプリンタドライバをROM21b又は記憶部24から読み出してRAM21cに展開し、実行する。プリンタドライバは、画像形成装置30に測定パッチと基準パッチとを備えるパッチシート50(その詳細は後述する。)を印刷させるための印刷データを作成する。
【0023】
濃度ムラ補正部22は、測色器40で測色した基準パッチの測色値に基づいてパッチシート50内の濃度ムラを検出し、その濃度ムラに基づいて測色器40で測定した測定パッチの測色値を補正する。
【0024】
キャリブレータ23は、補正後の測定パッチの測色値と標準データとを比較してキャリブレーションを行い、色補正テーブルを生成する。
【0025】
記憶部24は、HDD(Hard Disk Drive)などで構成され、プログラムやデータを記憶する。本実施例では、パッチシート50を印刷させるための印刷データ(パッチデータと呼ぶ。)、標準データ(画像の各階調値に対して実際に出力されるべき濃度を示したデータ)、色補正テーブル(標準データで指定された濃度で印刷されるように、画像形成装置30の濃度特性に合わせて補正するための情報を収めたデータ)などを記憶する。
【0026】
操作部25は、キーボードやマウスなどで構成され、パッチシート50の出力指示などの操作を可能とする。
【0027】
表示部26は、LCD(Liquid Crystal Display)などで構成され、印刷に関する各種項目の設定(特に、パッチシート50の出力指示など)を行うためのプリンタドライバ設定画面などを表示する。
【0028】
ネットワークI/F部27は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、画像形成装置30との通信を可能にする。
【0029】
なお、濃度ムラ補正部22はハードウェアとして構成してもよいし、コンピュータを、濃度ムラ補正部22として機能させる補正処理プログラムとして構成し、該補正処理プログラムを制御部21上で動作させる構成としてもよい。
【0030】
[画像形成装置]
図4に示すように、画像形成装置30は、制御部31と、記憶部32と、ネットワークI/F部33と、表示操作部34と、画像読取部35と、画像処理部36と、印刷処理部37などで構成され、これらはバスを介して接続されている。
【0031】
制御部31は、CPU31a、ROM31b、RAM31cなどで構成され、CPU31aは、各種プログラムをROM31b又は記憶部32から読み出してRAM31cに展開し、実行する。
【0032】
記憶部32は、HDDなどで構成され、画像形成装置30の動作を制御するプログラムやホストコンピュータ20から取得した印刷データ、必要に応じて、パッチシート50の画像や色補正テーブルなどを記憶する。
【0033】
ネットワークI/F部33は、NICやモデムなどで構成され、ホストコンピュータ20との通信を可能とする。本実施例では、ホストコンピュータ20から印刷データなどを受信する。
【0034】
表示操作部34は、LCDなどの表示部と表示部を覆うタッチパネルなどの操作部から構成され、CPU31aからの表示信号に従って、アイコンやキーボタンなどをLCD等に表示すると共に、タッチパネル等から入力される操作信号をCPU31aに出力する。なお、表示操作部34は一体的に構成してもよいし、表示部と操作部とに分離して構成してもよい。
【0035】
画像読取部35は、原稿を走査する光源と、原稿で反射された光を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサ等の各色を検出するセンサと、電気信号をA/D変換して画像データを生成するA/D変換器等により構成される。この画像読取部35は、パッチシート50の測色を画像形成装置30で実行する場合に測色部として機能する。
【0036】
画像処理部36は、ホストコンピュータ20から取得した印刷データを解析し、ビットマップ形式の画像データ(本実施例では、パッチシート50の画像)を作成する。
【0037】
印刷処理部37は、画像処理部36で作成された画像データに基づき電子写真プロセスに従って形成された画像を用紙に転写してパッチシート50を作成する。具体的には、一様に帯電された感光体ドラム上に画像データに応じた光を照射して静電潜像を形成し、この静電潜像に帯電したトナーを付着させてトナー像として顕像化し、そのトナー像を一次転写ローラ、二次転写ベルトなどの中間転写体を介して用紙に転写し、その後にトナー像を加熱加圧することにより用紙上に定着させる処理を行う。
【0038】
なお、本実施例では画像形成装置30に画像処理部36を設ける構成としているが、画像処理部36の処理をネットワークに接続されるRIP(Raster Image Processor)コントローラなどで実行する構成としてもよく、その場合は、RIPコントローラで印刷データを解析し、パッチシート50の画像を作成して画像形成装置30に送信する構成となる。
【0039】
[測色器]
測色器40は、測色部とネットワークI/F部などで構成される(図示せず)。
【0040】
測色部は、例えばRed、Green、Blueの光の3原色に対応する3種類のセンサを備え、カラー画像の各部に対する3種類のセンサからの出力値(RGB値)に基づいて測色し、測色結果を測色値としてのL*a*b*データに変換する。
【0041】
尚、測色器40としては、刺激値直読方法を採用した色彩計(例えば、コニカミノルタセンシング社製色彩色差計CR−400)、分光測色方法を採用した分光測色計(例えば、コニカミノルタセンシング社製分光測色計CM−200d)を採用してもよい。
【0042】
ネットワークI/F部は、NICやモデムなどで構成され、ホストコンピュータ20との通信を可能とする。本実施例では、ホストコンピュータ20に各パッチの測色値を送信する。
【0043】
[パッチシート]
図9に示すように、パッチシート50は、Yellow、Magenta、Cyan、Blackのトナーの色毎(ここではハッチングの種類を変えて色の違いを表現している。)に、測定パッチ51(実線の枠)と基準パッチ52(破線の枠)とを備える。各々の色の測定パッチ51は、理想的にはその色の濃度が所定の方向(例えば、紙送り方向又はそれに直交する方向)に沿って徐々に変化するように配列されている。また、基準パッチ52は、各々の色の測定パッチ51の近傍に配置され、その測定パッチ51と同じ色、かつ、理想的には一定の濃度(例えば、50%の濃度)で印刷されている。ここで「理想的には」と記載したのは、測定パッチ51も基準パッチ52も、実際に印刷される際には画像形成装置の機構上、環境上の影響を受けて想定した濃度とは異なる濃度で印刷されることがあるためである。
【0044】
測定パッチ51と基準パッチ52との間隔は、画像形成装置30の特性やキャリブレーションの要求精度に応じて適宜設定することができる。また、上記間隔はパッチの配列方向に応じて変化させることもできる。例えば、感光体や中間転写体の回転ムラなどによる周期的な濃度ムラが帯状に生じることを想定した場合、帯状濃度ムラが生じやすい方向(すなわち、濃度ムラによる帯の長手方向、通常は紙送り方向に直交する方向)に関しては当該方向に沿っては濃度変化が実質ないため測定パッチ51と基準パッチ52との間隔を大きくしてもよく、帯状の濃度ムラが生じにくい方向(すなわち、帯の長手方向に直交する方向、通常は紙送り方向)に関しては当該方向に沿っては著しい濃度変化が生じる可能性があるため測定パッチ51と基準パッチ52との間隔を可能な限り小さくする、或いは無くすこともできる。即ち、基準パッチ52が測定パッチ51の近傍に配置されるとは、基準パッチ52の測色値に基づいて測定パッチ51の測色値が補正可能な限りにおいて適宜選択可能な位置関係を意味する。
【0045】
なお、測定パッチ51と基準パッチ52とは必ずしも1対1の関係になっていなくてもよく、例えば、図10に示すように、測定パッチ51の間に基準パッチ52を配置してもよい。また、図11に示すように、基準パッチ52を帯状に連続して形成してもよい。また、図12に示すように、測定パッチ51を取り囲むように基準パッチ52を配置してもよい。また、図13に示すように、1つの測定パッチ51に対して複数の基準パッチ52を配置してもよいし、複数の測定パッチ51に対して1つの基準パッチ52を配置してもよい。特に、図12、図13の例では、濃度ムラが帯状であるか斑状であるかといった形状によらず、また帯状濃度ムラの場合にその長手方向が何れの方向であるかによらず、精度良く測定値の補正が行えるため好ましい。
【0046】
また、測定パッチ51と基準パッチ52とは形状が異なっていてもよく、例えば、図14に示すように、基準パッチ52を小さくして、測定パッチ51の間隔を狭めてもよい。
【0047】
更に、測定パッチ51の配列方向に配置される基準パッチ52に加えて、測定パッチ51の配列方向に直交する方向に基準パッチ53(色は任意)を配置してもよい。
【0048】
以上、本実施例のキャリブレーションシステム10の基本構成について示したが、図2に示すように、キャリブレーションシステム10を画像形成装置30と測色器40とで構成してもよい。その場合は、画像形成装置30の記憶部32に色補正テーブルを記憶し、画像形成装置30に、濃度ムラ補正部及びキャリブレータを設ければよい。
【0049】
また、画像形成装置30の画像読取部35でパッチの測色を行うこともできる。その場合は、測色器40を省略して、キャリブレーションシステム10を画像形成装置30のみで構成することもできる。
【0050】
また、印刷処理部37に、中間転写体に転写されたパッチシート50の画像を読み取るセンサを配置して、印刷処理部37を測色部として機能させることもできる。この構成では、パッチシート50を印刷する必要がないため、キャリブレーションを迅速に実行でき、用紙を節約することができる。
【0051】
また、図1及び図2の構成において、測色器40で測定パッチ51を測色し、画像形成装置30の画像読取部35又は印刷処理部37で基準パッチ52を測色するなど、測色器40及び画像形成装置30の双方を測色部として機能させることも可能である。
【0052】
以下、上記構成のキャリブレーションシステム10を用いたキャリブレーション方法について、図5の概略動作図及び図6のフローチャート図を参照して概説する。なお、以下では、図1の構成を前提にして説明する。
【0053】
まず、ホストコンピュータ20の操作部23を操作してパッチシート50の出力を指示すると、制御部21(プリンタドライバ)は、記憶部24に予め記憶されたパッチデータを読み出し、画像形成装置30に送信する。
【0054】
次に、ステップS100で、画像形成装置30の画像処理部36は、パッチデータを解析してパッチシート50の画像を形成し、印刷処理部37は、その画像を用紙に転写してパッチシート50を出力する。このパッチシート50は、前述したように測定パッチ51と基準パッチ52とで構成される。測定パッチ51は、濃度を増減させた単色(C、M、Y、K)のグラデーションパッチであり、基準パッチ52は、単色(C、M、Y、K)のハーフトーンパッチである。
【0055】
次に、ステップS200で、出力されたパッチシート50を測色器40にセットすると、測色器40はパッチシート50をスキャンし、各色の測定パッチ51及び基準パッチ52を測色する。そして、取得した測色値をホストコンピュータ20に送信する。なお、パッチの配置パターンと各パッチの測色値のデータサイズやデータの並び順が分かっていれば、ホストコンピュータ20は、各測定パッチ51の測色値、各基準パッチ52の測色値、及び両者の位置関係を認識することができる。
【0056】
次に、ステップS300で、ホストコンピュータ20の濃度ムラ補正部22は、基準パッチ52の測色値に基づいてパッチシート50内の濃度ムラを検出する(詳細は後述する)。この濃度ムラの検出は、濃度ムラが発生した基準パッチ52の位置と濃度ムラの程度(濃度ずれ量)とを取得することが目的である。
【0057】
次に、ステップS400で、濃度ムラ補正部22は、パッチの配置パターンと測色値のデータサイズや並び順等から、濃度ムラが発生した基準パッチ52の近傍にある測定パッチ51を特定し、その測定パッチ51の測色値を補正する(詳細は後述する)。
【0058】
次に、ステップS500で、キャリブレータ23は、補正後の測定パッチ51の測色値と標準データとを比較し、公知の手法を用いて色補正テーブルを生成し、生成した色補正テーブルを記憶部24に保存する。
【0059】
その後、ホストコンピュータ20の制御部21(プリンタドライバ)は、文書等の印刷を指示する際に、記憶部24に保存された色補正テーブルを参照して色補正を行った後、印刷データに変換して画像形成装置30に送信する。
【0060】
次に、濃度ムラ補正部22で濃度ムラを検出する手順(ステップS300)について、図7のフローチャートを参照して詳述する。
【0061】
まず、ステップS301で、測色器40から取得した測色値の中から基準パッチ52の測色値を抽出する。また、濃度ずれ量の算出に測色値の平均値を使用する場合は、基準パッチ52の平均測色値を算出する(図の一点鎖線内参照)。
【0062】
次に、ステップS302で、各基準パッチ52の測色値に対して、濃度ずれ量を求める。この濃度ずれ量は、濃度ムラが発生した基準パッチ52の測色値と全基準パッチ52の平均測色値との差(式1参照)、あるいは基準パッチ52の測色値と設定濃度(例えば、50%)との差(式2参照)とすることができる。
【0063】
濃度ずれ量=基準パッチの測色値−全基準パッチの平均測色値 … (式1)
濃度ずれ量=基準パッチの測色値−設定濃度(50%) … (式2)
【0064】
次に、ステップS303で、算出した濃度ずれ量が予め設定した基準値を超えているかを判断し、越えている場合は濃度ムラがあると判定する。
【0065】
濃度ムラがあると判定した場合は、ステップS304で、その基準パッチ52の位置と濃度ずれ量を取得し、記憶部24等に保持する。この基準パッチ52の位置は、パッチシート50上の基準パッチ52の印刷位置としてもよいし、測色値データ内における基準パッチ52の位置(オフセット値)としてもよい。この基準パッチ52の位置を求めるのは、その基準パッチ52の近傍にある測定パッチ51の測色値を特定するためである。
【0066】
その後、ステップS305で、最後の基準パッチ52であるかを判断し、他の基準パッチ52がある場合は、ステップS302に戻って同様の処理を繰り返す。
【0067】
次に、濃度ムラ補正部22で測色値を補正する手順(ステップS400)について、図8のフローチャート図を参照して詳述する。
【0068】
まず、ステップS401で、測色器40から取得した測色値の中から測定パッチ51の測色値を取得する。
【0069】
次に、ステップS402で、記憶部24等から、濃度ずれが発生した基準パッチ52の位置と濃度ずれ量とを取得する。
【0070】
次に、ステップS403で、パッチの配置パターンと取得した基準パッチ52の位置及びその濃度ずれ量から、測定パッチ51が濃度ムラの影響を受けているかどうかを判定する。具体的には、その測定パッチ51の近傍にある基準パッチ52に濃度ずれがある場合に、濃度ムラの影響を受けていると判定する。なお、その測定パッチ51に隣接する測定パッチ51の近傍にある基準パッチ52に濃度ずれがある場合も、濃度ムラの影響を受けていると判定してもよい。
【0071】
そして、濃度ムラの影響を受けている場合は、ステップS404で、その測定パッチ51の測色値を補正する。例えば、測定パッチ51の設定濃度と基準パッチ52の平均濃度と濃度ずれ量から補正量を求める。具体的には、取得した濃度ずれ量は基準パッチ52の濃度が50%のときの値であるため、50%以外の測定パッチ51の測色値の補正にはそのままでは使えない。そこで、濃度ムラによる測定パッチ51の濃度ずれ量は濃度に比例すると考える。つまり、基準パッチ(濃度50%)の濃度が2%ずれていた場合、基準パッチ(濃度25%)では1%、基準パッチ(濃度100%)では4%ずれると考えて補正量を算出し(式3参照)、測定パッチ51の測色値からこの補正量を減算する(式4参照)。
【0072】
補正量=(測定パッチの設定濃度)/(基準パッチの設定濃度)×濃度ずれ量 … (式3)
補正後の測定パッチの測色値=測定パッチの測色値−補正量 … (式4)
【0073】
次に、ステップS405で、濃度ムラがないと判定した測定パッチ51に対してはそのままの測色値を、濃度ムラがあると判定した測定パッチ51に対しては補正後の測色値を記憶部24等に保持する。
【0074】
次に、ステップS406で、最後の測定パッチ51であるかを判断し、他の測定パッチ51がある場合は、ステップS403に戻って同様の処理を繰り返す。
【0075】
なお、上述したフローは、ホストコンピュータ20で測定パッチ51の測色値の補正を行う場合の手順であるが、画像形成装置30で測定パッチ51の測色値の補正を行う場合は、測色器40又は画像読取部35又は印刷処理部37から測定パッチ51及び基準パッチ52の測色値を取得して同様の処理を行えばよい。
【0076】
このように、ホストコンピュータ20(又は画像形成装置30)に、濃度ムラ補正部を設け、濃度ムラ補正部は、測色器40(又は画像形成装置30)で測色した測定パッチ51及び基準パッチ52の測色値を取得し、基準パッチ52の測色値に基づいて濃度ムラを検出し、その濃度ムラに基づいて測定パッチ51の測色値を補正することにより、周期的な濃度ムラや偶発的な濃度ムラが発生した場合であっても、濃度ムラの影響を抑制して、キャリブレーションの精度を向上させることができる。
【0077】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、測定パッチ51と基準パッチ52とを備えるパッチシート50を用い、基準パッチ52の測色値に基づいて測定パッチ51の測色値が補正可能な限りにおいて、適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、パッチシート50を利用してキャリブレーションを行うシステム及び方法並びにプログラムに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施例に係るキャリブレーションシステムの構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係るキャリブレーションシステムの他の構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施例に係るホストコンピュータの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施例に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施例に係るキャリブレーションシステムの概略動作を示す図である。
【図6】本発明の一実施例に係るキャリブレーション方法の手順を示すフローチャート図である。
【図7】本発明の一実施例に係るキャリブレーション方法の濃度ムラの検出手順を示すフローチャート図である。
【図8】本発明の一実施例に係るキャリブレーション方法の測色値の補正手順を示すフローチャート図である。
【図9】本発明の一実施例に係るパッチシートの構成例を示す図である。
【図10】本発明の一実施例に係るパッチシートの他の構成例を示す図である。
【図11】本発明の一実施例に係るパッチシートの他の構成例を示す図である。
【図12】本発明の一実施例に係るパッチシートの他の構成例を示す図である。
【図13】本発明の一実施例に係るパッチシートの他の構成例を示す図である。
【図14】本発明の一実施例に係るパッチシートの他の構成例を示す図である。
【図15】本発明の一実施例に係るパッチシートの他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
10 キャリブレーションシステム
20 ホストコンピュータ
21 制御部
21a CPU
21b ROM
21c RAM
22 濃度ムラ補正部
23 キャリブレータ
24 記憶部
25 操作部
26 表示部
27 ネットワークI/F部
30 画像形成装置
31 制御部
31a CPU
31b ROM
31c RAM
32 HDD
33 ネットワークI/F部
34 表示操作部
35 画像読取部
36 画像処理部
37 印刷処理部
40 測色器
50 パッチシート
51 測定パッチ
52 基準パッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、色補正のためのキャリブレーションシステム及びキャリブレーション方法並びに補正処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラー印刷機能を備えた複写機や複合機(MFP:Multi Function Peripheral)などの画像形成装置が普及している。この画像形成装置では、ホストコンピュータから送信される印刷データに基づいて画像を形成し、帯電された感光体に画像に応じた光を照射して静電潜像を形成し、帯電したトナーを付着させて現像し、そのトナー像を転写ローラや転写ベルトなどの中間転写体を介して用紙に転写する処理を行う。
【0003】
カラー印刷の場合、ホストコンピュータのモニタに表示される色を正確に再現するために、ホストコンピュータでは、色補正テーブルを用いて色補正(キャリブレーションと呼ぶ。)を行う。この色補正テーブルは、Yellow、Magenta、Cyan、Blackの各トナーの色毎に、濃度を変化させたパターン(以下、測定パッチと呼ぶ。)を印刷し、測定パッチを測色器で測色し、その測色値を処理することによって生成することができる。
【0004】
しかしながら、画像形成装置では、感光体や中間転写体の回転ムラなどによる周期的な濃度ムラや、偶発的な濃度ムラが発生することがあり、測定パッチを所定の方向に配列した用紙(以下、パッチシートと呼ぶ。)の印刷時に濃度ムラが発生すると、キャリブレーションの精度が悪化するという問題が生じる。
【0005】
そこで、従来は、複数枚のパッチシートを印刷して測色し、測色値の平均を求めることにより、濃度ムラの影響を抑制する方法を用いていた。
【0006】
また、感光体や中間転写体の回転ムラなどによる周期的な濃度ムラは紙送り方向と垂直な方向に発生しやすい(すなわち、紙送り方向と垂直な方向に沿って濃度ムラによる帯が発生しやすい)ことから、各色の測定パッチを紙送り方向に配列することにより、濃度ムラの影響を抑制する方法を用いていた(下記特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平2001−94803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、測色値の平均を求める方法では、複数枚のパッチシートを印刷しなければならず、用紙を無駄に消費してしまうという問題があった。また、同じ位置に濃度ムラが発生した場合には、測色値の平均を求めても濃度ムラの影響を抑制することができず、キャリブレーションの精度が悪化してしまうという問題があった。
【0009】
また、特許文献1の方法は、周期的な濃度ムラが一色に偏らないようにするだけであり、発生した濃度ムラに対する補正は行わないため、濃度ムラの影響が全ての色に及んでしまうという問題があった。また、偶発的な濃度ムラは紙送り方向と垂直な方向に生じるとは限らず、紙送り方向に濃度ムラが発生した場合には、ある色の測定パッチの全てが薄く印刷されてしまい、キャリブレーションの精度が悪化してしまうという問題があった。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、濃度ムラの影響を抑制し、キャリブレーションの精度を向上させることができるキャリブレーションシステム及びキャリブレーション方法並びに補正処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の前記測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシートを用いてキャリブレーションを行うキャリブレーションシステムであって、前記基準パッチの測色値に基づいて、当該基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチの測色値を補正する補正部を備えるものである。
【0012】
本発明においては、前記補正部は、各々の前記基準パッチの測色値と全ての前記基準パッチの測色値の平均値又は予め定めた値とに基づいて、各々の前記基準パッチの濃度ずれ量を算出し、前記濃度ずれ量が基準値を超える前記基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチに対して、前記濃度ずれ量に基づいて当該測定パッチの測色値の補正量を算出し、前記補正量に基づいて当該測定パッチの測色値を補正する構成とすることができる。
【0013】
また、本発明のキャリブレーション方法は、トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の前記測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシートを出力する第1のステップと、前記パッチシートの前記測定パッチ及び前記基準パッチを測色する第2のステップと、前記基準パッチの測色値に基づいて、当該基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチの測色値を補正する第3のステップと、補正後の前記測定パッチの測色値に基づいて、色補正データを生成する第4のステップと、を少なくとも実行するものである。
【0014】
また、本発明のキャリブレーション方法は、トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の前記測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシートのトナー画像を形成する第1のステップと、中間転写体に転写された前記パッチシートのトナー画像を用いて、前記測定パッチ及び前記基準パッチを測色する第2のステップと、前記基準パッチの測色値に基づいて、当該基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチの測色値を補正する第3のステップと、補正後の前記測定パッチの測色値に基づいて、色補正データを生成する第4のステップと、を少なくとも実行するものである。
【0015】
また、本発明は、トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の前記測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシートを用いてキャリブレーションを行うシステムで動作する補正処理プログラムであって、コンピュータを、前記基準パッチの測色値に基づいて、当該基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチの測色値を補正する補正部、として機能させるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシートを用いる。そして、基準パッチの測色値に基づいて、パッチシート内の濃度ムラを検出し、濃度ムラに基づいて、測定パッチの測色値を補正し、補正した測色値に基づいて色補正テーブルを生成する。
【0017】
これにより、周期的な濃度ムラや偶発的な濃度ムラが発生した場合であっても、濃度ムラの影響を抑制することができ、キャリブレーションの精度を向上させることができる。また、濃度ムラの検出と測定パッチの測色とを別々に行う必要がないため、キャリブレーションを効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、その好ましい一実施の形態において、パッチシートを用いてキャリブレーションを行うキャリブレーションシステムにおいて、画像形成装置は、トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシートを出力する。画像形成装置又は測色器は、パッチシートの測定パッチ及び基準パッチを測色し、その測色値をホストコンピュータ又は画像形成装置に通知する。ホストコンピュータ又は画像形成装置に設けた濃度ムラ補正部は、基準パッチの測色値に基づいてパッチシート内の濃度ムラを検出し、濃度ムラが発生した基準パッチの位置と濃度ずれ量を算出し、その濃度ずれ量を用いて濃度ムラが発生した基準パッチの近傍に配置された測定パッチの測色値を補正する。そして、ホストコンピュータ又は画像形成装置に設けたキャリブレータは、補正後の測定パッチの測色値を従来のキャリブレーション方式で処理し、色補正テーブルを生成する。
【実施例】
【0019】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係るキャリブレーションシステム及びキャリブレーション方法並びに補正処理プログラムについて、図1乃至図15を参照して説明する。図1及び図2は、本実施例のキャリブレーションシステムの構成を模式的に示す図である。また、図3は、ホストコンピュータの構成を示すブロック図、図4は、画像形成装置の構成を示すブロック図であり、図5は、キャリブレーションシステムの概略動作を示す図である。また、図6乃至図8は、本実施例のキャリブレーションの手順を示すフローチャート図であり、図9乃至図15は、本実施例のパッチシートの構成例を示す図である。
【0020】
図1に示すように、本実施例のキャリブレーションシステム10は、パッチシート50の出力を指示する1又は複数のクライアント装置(以下、ホストコンピュータ20とする。)と、ホストコンピュータ20からの指示に基づいてパッチシート50を出力する1又は複数の画像形成装置30と、パッチシート50を測色する測色器40とを備え、これらは、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークを介して接続されている。以下、各々の装置について詳述する。
【0021】
[ホストコンピュータ]
図3に示すように、ホストコンピュータ20は、制御部21と、濃度ムラ補正部22と、キャリブレータ23と、記憶部24と、操作部25と、表示部26と、ネットワークI/F部27などを備える。
【0022】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)21a、ROM(Read Only Memory)21b、RAM(Random Access Memory)21cなどで構成される。CPU21aは、画像形成装置30を制御するためのソフトウェアであるプリンタドライバをROM21b又は記憶部24から読み出してRAM21cに展開し、実行する。プリンタドライバは、画像形成装置30に測定パッチと基準パッチとを備えるパッチシート50(その詳細は後述する。)を印刷させるための印刷データを作成する。
【0023】
濃度ムラ補正部22は、測色器40で測色した基準パッチの測色値に基づいてパッチシート50内の濃度ムラを検出し、その濃度ムラに基づいて測色器40で測定した測定パッチの測色値を補正する。
【0024】
キャリブレータ23は、補正後の測定パッチの測色値と標準データとを比較してキャリブレーションを行い、色補正テーブルを生成する。
【0025】
記憶部24は、HDD(Hard Disk Drive)などで構成され、プログラムやデータを記憶する。本実施例では、パッチシート50を印刷させるための印刷データ(パッチデータと呼ぶ。)、標準データ(画像の各階調値に対して実際に出力されるべき濃度を示したデータ)、色補正テーブル(標準データで指定された濃度で印刷されるように、画像形成装置30の濃度特性に合わせて補正するための情報を収めたデータ)などを記憶する。
【0026】
操作部25は、キーボードやマウスなどで構成され、パッチシート50の出力指示などの操作を可能とする。
【0027】
表示部26は、LCD(Liquid Crystal Display)などで構成され、印刷に関する各種項目の設定(特に、パッチシート50の出力指示など)を行うためのプリンタドライバ設定画面などを表示する。
【0028】
ネットワークI/F部27は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、画像形成装置30との通信を可能にする。
【0029】
なお、濃度ムラ補正部22はハードウェアとして構成してもよいし、コンピュータを、濃度ムラ補正部22として機能させる補正処理プログラムとして構成し、該補正処理プログラムを制御部21上で動作させる構成としてもよい。
【0030】
[画像形成装置]
図4に示すように、画像形成装置30は、制御部31と、記憶部32と、ネットワークI/F部33と、表示操作部34と、画像読取部35と、画像処理部36と、印刷処理部37などで構成され、これらはバスを介して接続されている。
【0031】
制御部31は、CPU31a、ROM31b、RAM31cなどで構成され、CPU31aは、各種プログラムをROM31b又は記憶部32から読み出してRAM31cに展開し、実行する。
【0032】
記憶部32は、HDDなどで構成され、画像形成装置30の動作を制御するプログラムやホストコンピュータ20から取得した印刷データ、必要に応じて、パッチシート50の画像や色補正テーブルなどを記憶する。
【0033】
ネットワークI/F部33は、NICやモデムなどで構成され、ホストコンピュータ20との通信を可能とする。本実施例では、ホストコンピュータ20から印刷データなどを受信する。
【0034】
表示操作部34は、LCDなどの表示部と表示部を覆うタッチパネルなどの操作部から構成され、CPU31aからの表示信号に従って、アイコンやキーボタンなどをLCD等に表示すると共に、タッチパネル等から入力される操作信号をCPU31aに出力する。なお、表示操作部34は一体的に構成してもよいし、表示部と操作部とに分離して構成してもよい。
【0035】
画像読取部35は、原稿を走査する光源と、原稿で反射された光を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサ等の各色を検出するセンサと、電気信号をA/D変換して画像データを生成するA/D変換器等により構成される。この画像読取部35は、パッチシート50の測色を画像形成装置30で実行する場合に測色部として機能する。
【0036】
画像処理部36は、ホストコンピュータ20から取得した印刷データを解析し、ビットマップ形式の画像データ(本実施例では、パッチシート50の画像)を作成する。
【0037】
印刷処理部37は、画像処理部36で作成された画像データに基づき電子写真プロセスに従って形成された画像を用紙に転写してパッチシート50を作成する。具体的には、一様に帯電された感光体ドラム上に画像データに応じた光を照射して静電潜像を形成し、この静電潜像に帯電したトナーを付着させてトナー像として顕像化し、そのトナー像を一次転写ローラ、二次転写ベルトなどの中間転写体を介して用紙に転写し、その後にトナー像を加熱加圧することにより用紙上に定着させる処理を行う。
【0038】
なお、本実施例では画像形成装置30に画像処理部36を設ける構成としているが、画像処理部36の処理をネットワークに接続されるRIP(Raster Image Processor)コントローラなどで実行する構成としてもよく、その場合は、RIPコントローラで印刷データを解析し、パッチシート50の画像を作成して画像形成装置30に送信する構成となる。
【0039】
[測色器]
測色器40は、測色部とネットワークI/F部などで構成される(図示せず)。
【0040】
測色部は、例えばRed、Green、Blueの光の3原色に対応する3種類のセンサを備え、カラー画像の各部に対する3種類のセンサからの出力値(RGB値)に基づいて測色し、測色結果を測色値としてのL*a*b*データに変換する。
【0041】
尚、測色器40としては、刺激値直読方法を採用した色彩計(例えば、コニカミノルタセンシング社製色彩色差計CR−400)、分光測色方法を採用した分光測色計(例えば、コニカミノルタセンシング社製分光測色計CM−200d)を採用してもよい。
【0042】
ネットワークI/F部は、NICやモデムなどで構成され、ホストコンピュータ20との通信を可能とする。本実施例では、ホストコンピュータ20に各パッチの測色値を送信する。
【0043】
[パッチシート]
図9に示すように、パッチシート50は、Yellow、Magenta、Cyan、Blackのトナーの色毎(ここではハッチングの種類を変えて色の違いを表現している。)に、測定パッチ51(実線の枠)と基準パッチ52(破線の枠)とを備える。各々の色の測定パッチ51は、理想的にはその色の濃度が所定の方向(例えば、紙送り方向又はそれに直交する方向)に沿って徐々に変化するように配列されている。また、基準パッチ52は、各々の色の測定パッチ51の近傍に配置され、その測定パッチ51と同じ色、かつ、理想的には一定の濃度(例えば、50%の濃度)で印刷されている。ここで「理想的には」と記載したのは、測定パッチ51も基準パッチ52も、実際に印刷される際には画像形成装置の機構上、環境上の影響を受けて想定した濃度とは異なる濃度で印刷されることがあるためである。
【0044】
測定パッチ51と基準パッチ52との間隔は、画像形成装置30の特性やキャリブレーションの要求精度に応じて適宜設定することができる。また、上記間隔はパッチの配列方向に応じて変化させることもできる。例えば、感光体や中間転写体の回転ムラなどによる周期的な濃度ムラが帯状に生じることを想定した場合、帯状濃度ムラが生じやすい方向(すなわち、濃度ムラによる帯の長手方向、通常は紙送り方向に直交する方向)に関しては当該方向に沿っては濃度変化が実質ないため測定パッチ51と基準パッチ52との間隔を大きくしてもよく、帯状の濃度ムラが生じにくい方向(すなわち、帯の長手方向に直交する方向、通常は紙送り方向)に関しては当該方向に沿っては著しい濃度変化が生じる可能性があるため測定パッチ51と基準パッチ52との間隔を可能な限り小さくする、或いは無くすこともできる。即ち、基準パッチ52が測定パッチ51の近傍に配置されるとは、基準パッチ52の測色値に基づいて測定パッチ51の測色値が補正可能な限りにおいて適宜選択可能な位置関係を意味する。
【0045】
なお、測定パッチ51と基準パッチ52とは必ずしも1対1の関係になっていなくてもよく、例えば、図10に示すように、測定パッチ51の間に基準パッチ52を配置してもよい。また、図11に示すように、基準パッチ52を帯状に連続して形成してもよい。また、図12に示すように、測定パッチ51を取り囲むように基準パッチ52を配置してもよい。また、図13に示すように、1つの測定パッチ51に対して複数の基準パッチ52を配置してもよいし、複数の測定パッチ51に対して1つの基準パッチ52を配置してもよい。特に、図12、図13の例では、濃度ムラが帯状であるか斑状であるかといった形状によらず、また帯状濃度ムラの場合にその長手方向が何れの方向であるかによらず、精度良く測定値の補正が行えるため好ましい。
【0046】
また、測定パッチ51と基準パッチ52とは形状が異なっていてもよく、例えば、図14に示すように、基準パッチ52を小さくして、測定パッチ51の間隔を狭めてもよい。
【0047】
更に、測定パッチ51の配列方向に配置される基準パッチ52に加えて、測定パッチ51の配列方向に直交する方向に基準パッチ53(色は任意)を配置してもよい。
【0048】
以上、本実施例のキャリブレーションシステム10の基本構成について示したが、図2に示すように、キャリブレーションシステム10を画像形成装置30と測色器40とで構成してもよい。その場合は、画像形成装置30の記憶部32に色補正テーブルを記憶し、画像形成装置30に、濃度ムラ補正部及びキャリブレータを設ければよい。
【0049】
また、画像形成装置30の画像読取部35でパッチの測色を行うこともできる。その場合は、測色器40を省略して、キャリブレーションシステム10を画像形成装置30のみで構成することもできる。
【0050】
また、印刷処理部37に、中間転写体に転写されたパッチシート50の画像を読み取るセンサを配置して、印刷処理部37を測色部として機能させることもできる。この構成では、パッチシート50を印刷する必要がないため、キャリブレーションを迅速に実行でき、用紙を節約することができる。
【0051】
また、図1及び図2の構成において、測色器40で測定パッチ51を測色し、画像形成装置30の画像読取部35又は印刷処理部37で基準パッチ52を測色するなど、測色器40及び画像形成装置30の双方を測色部として機能させることも可能である。
【0052】
以下、上記構成のキャリブレーションシステム10を用いたキャリブレーション方法について、図5の概略動作図及び図6のフローチャート図を参照して概説する。なお、以下では、図1の構成を前提にして説明する。
【0053】
まず、ホストコンピュータ20の操作部23を操作してパッチシート50の出力を指示すると、制御部21(プリンタドライバ)は、記憶部24に予め記憶されたパッチデータを読み出し、画像形成装置30に送信する。
【0054】
次に、ステップS100で、画像形成装置30の画像処理部36は、パッチデータを解析してパッチシート50の画像を形成し、印刷処理部37は、その画像を用紙に転写してパッチシート50を出力する。このパッチシート50は、前述したように測定パッチ51と基準パッチ52とで構成される。測定パッチ51は、濃度を増減させた単色(C、M、Y、K)のグラデーションパッチであり、基準パッチ52は、単色(C、M、Y、K)のハーフトーンパッチである。
【0055】
次に、ステップS200で、出力されたパッチシート50を測色器40にセットすると、測色器40はパッチシート50をスキャンし、各色の測定パッチ51及び基準パッチ52を測色する。そして、取得した測色値をホストコンピュータ20に送信する。なお、パッチの配置パターンと各パッチの測色値のデータサイズやデータの並び順が分かっていれば、ホストコンピュータ20は、各測定パッチ51の測色値、各基準パッチ52の測色値、及び両者の位置関係を認識することができる。
【0056】
次に、ステップS300で、ホストコンピュータ20の濃度ムラ補正部22は、基準パッチ52の測色値に基づいてパッチシート50内の濃度ムラを検出する(詳細は後述する)。この濃度ムラの検出は、濃度ムラが発生した基準パッチ52の位置と濃度ムラの程度(濃度ずれ量)とを取得することが目的である。
【0057】
次に、ステップS400で、濃度ムラ補正部22は、パッチの配置パターンと測色値のデータサイズや並び順等から、濃度ムラが発生した基準パッチ52の近傍にある測定パッチ51を特定し、その測定パッチ51の測色値を補正する(詳細は後述する)。
【0058】
次に、ステップS500で、キャリブレータ23は、補正後の測定パッチ51の測色値と標準データとを比較し、公知の手法を用いて色補正テーブルを生成し、生成した色補正テーブルを記憶部24に保存する。
【0059】
その後、ホストコンピュータ20の制御部21(プリンタドライバ)は、文書等の印刷を指示する際に、記憶部24に保存された色補正テーブルを参照して色補正を行った後、印刷データに変換して画像形成装置30に送信する。
【0060】
次に、濃度ムラ補正部22で濃度ムラを検出する手順(ステップS300)について、図7のフローチャートを参照して詳述する。
【0061】
まず、ステップS301で、測色器40から取得した測色値の中から基準パッチ52の測色値を抽出する。また、濃度ずれ量の算出に測色値の平均値を使用する場合は、基準パッチ52の平均測色値を算出する(図の一点鎖線内参照)。
【0062】
次に、ステップS302で、各基準パッチ52の測色値に対して、濃度ずれ量を求める。この濃度ずれ量は、濃度ムラが発生した基準パッチ52の測色値と全基準パッチ52の平均測色値との差(式1参照)、あるいは基準パッチ52の測色値と設定濃度(例えば、50%)との差(式2参照)とすることができる。
【0063】
濃度ずれ量=基準パッチの測色値−全基準パッチの平均測色値 … (式1)
濃度ずれ量=基準パッチの測色値−設定濃度(50%) … (式2)
【0064】
次に、ステップS303で、算出した濃度ずれ量が予め設定した基準値を超えているかを判断し、越えている場合は濃度ムラがあると判定する。
【0065】
濃度ムラがあると判定した場合は、ステップS304で、その基準パッチ52の位置と濃度ずれ量を取得し、記憶部24等に保持する。この基準パッチ52の位置は、パッチシート50上の基準パッチ52の印刷位置としてもよいし、測色値データ内における基準パッチ52の位置(オフセット値)としてもよい。この基準パッチ52の位置を求めるのは、その基準パッチ52の近傍にある測定パッチ51の測色値を特定するためである。
【0066】
その後、ステップS305で、最後の基準パッチ52であるかを判断し、他の基準パッチ52がある場合は、ステップS302に戻って同様の処理を繰り返す。
【0067】
次に、濃度ムラ補正部22で測色値を補正する手順(ステップS400)について、図8のフローチャート図を参照して詳述する。
【0068】
まず、ステップS401で、測色器40から取得した測色値の中から測定パッチ51の測色値を取得する。
【0069】
次に、ステップS402で、記憶部24等から、濃度ずれが発生した基準パッチ52の位置と濃度ずれ量とを取得する。
【0070】
次に、ステップS403で、パッチの配置パターンと取得した基準パッチ52の位置及びその濃度ずれ量から、測定パッチ51が濃度ムラの影響を受けているかどうかを判定する。具体的には、その測定パッチ51の近傍にある基準パッチ52に濃度ずれがある場合に、濃度ムラの影響を受けていると判定する。なお、その測定パッチ51に隣接する測定パッチ51の近傍にある基準パッチ52に濃度ずれがある場合も、濃度ムラの影響を受けていると判定してもよい。
【0071】
そして、濃度ムラの影響を受けている場合は、ステップS404で、その測定パッチ51の測色値を補正する。例えば、測定パッチ51の設定濃度と基準パッチ52の平均濃度と濃度ずれ量から補正量を求める。具体的には、取得した濃度ずれ量は基準パッチ52の濃度が50%のときの値であるため、50%以外の測定パッチ51の測色値の補正にはそのままでは使えない。そこで、濃度ムラによる測定パッチ51の濃度ずれ量は濃度に比例すると考える。つまり、基準パッチ(濃度50%)の濃度が2%ずれていた場合、基準パッチ(濃度25%)では1%、基準パッチ(濃度100%)では4%ずれると考えて補正量を算出し(式3参照)、測定パッチ51の測色値からこの補正量を減算する(式4参照)。
【0072】
補正量=(測定パッチの設定濃度)/(基準パッチの設定濃度)×濃度ずれ量 … (式3)
補正後の測定パッチの測色値=測定パッチの測色値−補正量 … (式4)
【0073】
次に、ステップS405で、濃度ムラがないと判定した測定パッチ51に対してはそのままの測色値を、濃度ムラがあると判定した測定パッチ51に対しては補正後の測色値を記憶部24等に保持する。
【0074】
次に、ステップS406で、最後の測定パッチ51であるかを判断し、他の測定パッチ51がある場合は、ステップS403に戻って同様の処理を繰り返す。
【0075】
なお、上述したフローは、ホストコンピュータ20で測定パッチ51の測色値の補正を行う場合の手順であるが、画像形成装置30で測定パッチ51の測色値の補正を行う場合は、測色器40又は画像読取部35又は印刷処理部37から測定パッチ51及び基準パッチ52の測色値を取得して同様の処理を行えばよい。
【0076】
このように、ホストコンピュータ20(又は画像形成装置30)に、濃度ムラ補正部を設け、濃度ムラ補正部は、測色器40(又は画像形成装置30)で測色した測定パッチ51及び基準パッチ52の測色値を取得し、基準パッチ52の測色値に基づいて濃度ムラを検出し、その濃度ムラに基づいて測定パッチ51の測色値を補正することにより、周期的な濃度ムラや偶発的な濃度ムラが発生した場合であっても、濃度ムラの影響を抑制して、キャリブレーションの精度を向上させることができる。
【0077】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、測定パッチ51と基準パッチ52とを備えるパッチシート50を用い、基準パッチ52の測色値に基づいて測定パッチ51の測色値が補正可能な限りにおいて、適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、パッチシート50を利用してキャリブレーションを行うシステム及び方法並びにプログラムに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施例に係るキャリブレーションシステムの構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係るキャリブレーションシステムの他の構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施例に係るホストコンピュータの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施例に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施例に係るキャリブレーションシステムの概略動作を示す図である。
【図6】本発明の一実施例に係るキャリブレーション方法の手順を示すフローチャート図である。
【図7】本発明の一実施例に係るキャリブレーション方法の濃度ムラの検出手順を示すフローチャート図である。
【図8】本発明の一実施例に係るキャリブレーション方法の測色値の補正手順を示すフローチャート図である。
【図9】本発明の一実施例に係るパッチシートの構成例を示す図である。
【図10】本発明の一実施例に係るパッチシートの他の構成例を示す図である。
【図11】本発明の一実施例に係るパッチシートの他の構成例を示す図である。
【図12】本発明の一実施例に係るパッチシートの他の構成例を示す図である。
【図13】本発明の一実施例に係るパッチシートの他の構成例を示す図である。
【図14】本発明の一実施例に係るパッチシートの他の構成例を示す図である。
【図15】本発明の一実施例に係るパッチシートの他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
10 キャリブレーションシステム
20 ホストコンピュータ
21 制御部
21a CPU
21b ROM
21c RAM
22 濃度ムラ補正部
23 キャリブレータ
24 記憶部
25 操作部
26 表示部
27 ネットワークI/F部
30 画像形成装置
31 制御部
31a CPU
31b ROM
31c RAM
32 HDD
33 ネットワークI/F部
34 表示操作部
35 画像読取部
36 画像処理部
37 印刷処理部
40 測色器
50 パッチシート
51 測定パッチ
52 基準パッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の前記測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシートを用いてキャリブレーションを行うキャリブレーションシステムであって、
前記基準パッチの測色値に基づいて、当該基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチの測色値を補正する補正部を備えることを特徴とするキャリブレーションシステム。
【請求項2】
前記補正部は、各々の前記基準パッチの測色値と全ての前記基準パッチの測色値の平均値又は予め定めた値とに基づいて、各々の前記基準パッチの濃度ずれ量を算出し、前記濃度ずれ量が基準値を超える前記基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチに対して、前記濃度ずれ量に基づいて当該測定パッチの測色値の補正量を算出し、前記補正量に基づいて当該測定パッチの測色値を補正することを特徴とする請求項1に記載のキャリブレーションシステム。
【請求項3】
前記キャリブレーションシステムは、前記パッチシートの出力を指示するホストコンピュータと、前記パッチシートを出力する画像形成装置と、前記パッチシートの前記測定パッチ及び前記基準パッチを測色する測色器と、を含み、
前記ホストコンピュータは、前記補正部と、補正後の前記測定パッチの測色値に基づいて色補正テーブルを生成するキャリブレータと、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャリブレーションシステム。
【請求項4】
前記キャリブレーションシステムは、前記パッチシートを出力する画像形成装置と、前記パッチシートの前記測定パッチ及び前記基準パッチを測色する測色器と、を含み、
前記画像形成装置は、前記補正部と、補正後の前記測定パッチの測色値に基づいて色補正テーブルを生成するキャリブレータと、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャリブレーションシステム。
【請求項5】
前記キャリブレーションシステムは、前記パッチシートを出力する画像形成装置を含み、
前記画像形成装置は、前記パッチシートの前記測定パッチ及び前記基準パッチを測色する画像読取部と、前記補正部と、補正後の前記測定パッチの測色値に基づいて色補正テーブルを生成するキャリブレータと、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャリブレーションシステム。
【請求項6】
前記キャリブレーションシステムは、前記パッチシートのトナー画像を形成する画像形成装置を含み、
前記画像形成装置は、中間転写体に転写された前記パッチシートのトナー画像を用いて前記測定パッチ及び前記基準パッチを測色する測色部と、前記補正部と、補正後の前記測定パッチの測色値に基づいて色補正テーブルを生成するキャリブレータと、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャリブレーションシステム。
【請求項7】
トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の前記測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシートを出力する第1のステップと、
前記パッチシートの前記測定パッチ及び前記基準パッチを測色する第2のステップと、
前記基準パッチの測色値に基づいて、当該基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチの測色値を補正する第3のステップと、
補正後の前記測定パッチの測色値に基づいて、色補正データを生成する第4のステップと、を少なくとも実行することを特徴とするキャリブレーション方法。
【請求項8】
トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の前記測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシートのトナー画像を形成する第1のステップと、
中間転写体に転写された前記パッチシートのトナー画像を用いて、前記測定パッチ及び前記基準パッチを測色する第2のステップと、
前記基準パッチの測色値に基づいて、当該基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチの測色値を補正する第3のステップと、
補正後の前記測定パッチの測色値に基づいて、色補正データを生成する第4のステップと、を少なくとも実行することを特徴とするキャリブレーション方法。
【請求項9】
前記第3のステップでは、各々の前記基準パッチの測色値と全ての前記基準パッチの測色値の平均値又は予め定めた値とに基づいて、各々の前記基準パッチの濃度ずれ量を算出し、前記濃度ずれ量が基準値を超える前記基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチに対して、前記濃度ずれ量に基づいて当該測定パッチの測色値の補正量を算出し、前記補正量に基づいて当該測定パッチの測色値を補正することを特徴とする請求項7又は8に記載のキャリブレーション方法。
【請求項10】
トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の前記測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシートを用いてキャリブレーションを行うシステムで動作する補正処理プログラムであって、
コンピュータを、
前記基準パッチの測色値に基づいて、当該基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチの測色値を補正する補正部、として機能させることを特徴とする補正処理プログラム。
【請求項11】
前記補正部は、各々の前記基準パッチの測色値と全ての前記基準パッチの測色値の平均値又は予め定めた値とに基づいて、各々の前記基準パッチの濃度ずれ量を算出し、前記濃度ずれ量が基準値を超える前記基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチに対して、前記濃度ずれ量に基づいて当該測定パッチの測色値の補正量を算出し、前記補正量に基づいて当該測定パッチの測色値を補正することを特徴とする請求項10に記載の補正処理プログラム。
【請求項1】
トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の前記測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシートを用いてキャリブレーションを行うキャリブレーションシステムであって、
前記基準パッチの測色値に基づいて、当該基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチの測色値を補正する補正部を備えることを特徴とするキャリブレーションシステム。
【請求項2】
前記補正部は、各々の前記基準パッチの測色値と全ての前記基準パッチの測色値の平均値又は予め定めた値とに基づいて、各々の前記基準パッチの濃度ずれ量を算出し、前記濃度ずれ量が基準値を超える前記基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチに対して、前記濃度ずれ量に基づいて当該測定パッチの測色値の補正量を算出し、前記補正量に基づいて当該測定パッチの測色値を補正することを特徴とする請求項1に記載のキャリブレーションシステム。
【請求項3】
前記キャリブレーションシステムは、前記パッチシートの出力を指示するホストコンピュータと、前記パッチシートを出力する画像形成装置と、前記パッチシートの前記測定パッチ及び前記基準パッチを測色する測色器と、を含み、
前記ホストコンピュータは、前記補正部と、補正後の前記測定パッチの測色値に基づいて色補正テーブルを生成するキャリブレータと、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャリブレーションシステム。
【請求項4】
前記キャリブレーションシステムは、前記パッチシートを出力する画像形成装置と、前記パッチシートの前記測定パッチ及び前記基準パッチを測色する測色器と、を含み、
前記画像形成装置は、前記補正部と、補正後の前記測定パッチの測色値に基づいて色補正テーブルを生成するキャリブレータと、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャリブレーションシステム。
【請求項5】
前記キャリブレーションシステムは、前記パッチシートを出力する画像形成装置を含み、
前記画像形成装置は、前記パッチシートの前記測定パッチ及び前記基準パッチを測色する画像読取部と、前記補正部と、補正後の前記測定パッチの測色値に基づいて色補正テーブルを生成するキャリブレータと、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャリブレーションシステム。
【請求項6】
前記キャリブレーションシステムは、前記パッチシートのトナー画像を形成する画像形成装置を含み、
前記画像形成装置は、中間転写体に転写された前記パッチシートのトナー画像を用いて前記測定パッチ及び前記基準パッチを測色する測色部と、前記補正部と、補正後の前記測定パッチの測色値に基づいて色補正テーブルを生成するキャリブレータと、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャリブレーションシステム。
【請求項7】
トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の前記測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシートを出力する第1のステップと、
前記パッチシートの前記測定パッチ及び前記基準パッチを測色する第2のステップと、
前記基準パッチの測色値に基づいて、当該基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチの測色値を補正する第3のステップと、
補正後の前記測定パッチの測色値に基づいて、色補正データを生成する第4のステップと、を少なくとも実行することを特徴とするキャリブレーション方法。
【請求項8】
トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の前記測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシートのトナー画像を形成する第1のステップと、
中間転写体に転写された前記パッチシートのトナー画像を用いて、前記測定パッチ及び前記基準パッチを測色する第2のステップと、
前記基準パッチの測色値に基づいて、当該基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチの測色値を補正する第3のステップと、
補正後の前記測定パッチの測色値に基づいて、色補正データを生成する第4のステップと、を少なくとも実行することを特徴とするキャリブレーション方法。
【請求項9】
前記第3のステップでは、各々の前記基準パッチの測色値と全ての前記基準パッチの測色値の平均値又は予め定めた値とに基づいて、各々の前記基準パッチの濃度ずれ量を算出し、前記濃度ずれ量が基準値を超える前記基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチに対して、前記濃度ずれ量に基づいて当該測定パッチの測色値の補正量を算出し、前記補正量に基づいて当該測定パッチの測色値を補正することを特徴とする請求項7又は8に記載のキャリブレーション方法。
【請求項10】
トナーの色毎に、濃度を変化させて所定の方向に配列した測定パッチと、一定の濃度で各々の前記測定パッチの近傍に配置した基準パッチと、を作成するデータに基づいて作成されるパッチシートを用いてキャリブレーションを行うシステムで動作する補正処理プログラムであって、
コンピュータを、
前記基準パッチの測色値に基づいて、当該基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチの測色値を補正する補正部、として機能させることを特徴とする補正処理プログラム。
【請求項11】
前記補正部は、各々の前記基準パッチの測色値と全ての前記基準パッチの測色値の平均値又は予め定めた値とに基づいて、各々の前記基準パッチの濃度ずれ量を算出し、前記濃度ずれ量が基準値を超える前記基準パッチの近傍に配置された前記測定パッチに対して、前記濃度ずれ量に基づいて当該測定パッチの測色値の補正量を算出し、前記補正量に基づいて当該測定パッチの測色値を補正することを特徴とする請求項10に記載の補正処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−219070(P2009−219070A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63347(P2008−63347)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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