説明

キーパッド内蔵型携帯電話機用スライドヒンジモジュール

【課題】操作が容易なキーパッド内蔵型携帯電話機用スライドヒンジモジュールを提供する。
【解決手段】キーパッドが設けられた第1ボディーと、この第1ボディーの前方から左側又は右側の方向にスライド開閉され、前面に画像部が設けられた第2ボディーとを有する携帯用端末機に用いられ、第1ボディーに固定される移動プレート100と、正面が前記第2ボディーに固定され、背面が全体的に平坦に形成され、移動プレートと共に左右方向にスライド移動可能に結合される固定プレート200と、移動プレートが固定プレートの左側又は右側に止まるように弾性力を働かせる弾性装置300とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドヒンジモジュールに関するものであって、より詳細には、携帯電話機に組み付けられたスライドヒンジモジュールにおいて外部に露出される表面の形状を改善し、且つ、上下対称に弾性力が作用するように構成することによって、荷重の増加が自由に図れると共に、操作が容易なキーパッド内蔵型携帯電話機用スライドヒンジモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機は、無線通信技術の発展に伴って多様な機能を持つことになっており、その種類は、フリップ式(flip-type)、折り畳み式(folder-type)、スライド式(slide-type)の3種類に大別できる。
【0003】
また、最近、携帯電話機は、音声通信ばかりでなく、電子メール、インターネット接続、写真撮影、ゲームなどの多様な機能を提供しており、こうした様々な複合機能を高効率に活用するために個人用コンピュータのキーボードと同じクワーティ(QWERTY)配列のキーパッドを内蔵した携帯電話機が発売されている。
【0004】
さらに、現在では、携帯電話機を所持していない人はないほど携帯電話機の保有率が増加しており、消費者による携帯電話機の選択に際しては、様々な機能ばかりでなく、電話機の外見デザインも重要な選択要素として作用している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クワーティ配列のキーパッドは、その形態において縦長より横長が遥かに長く形成されている。このため、従来の上下方向にカバーをスライド移動することにより本体の数字キーパッドを開閉させる携帯電話機とは違って、左右方向にスライド移動することにより、クワーティ配列のキーパッドを開閉させるようになっている。
【0006】
多くのキーが配列されているクワーティ配列のキーパッドを露出させるためには、携帯電話機の相当部分をスライド式により開閉させなければならない。このような携帯電話機のスライド動作を行うためにはスライド装置が必要となり、クワーティ配列のキーパッドを露出させるべくスライド移動を行った場合には、携帯電話機の背面にスライド装置の一部が露出することになる。特に、スライド装置に通常使われるガイドレール又はガイド溝などは、その相当部分が露出することになる。このため、スライド動作時において、半自動の作動を可能とさせるための弾性部材を設けるために形成された収納空間などは、美観を損なう要因となり、外観上の欠点として作用する。
【0007】
また、カバーをスライド移動させるためにカバーの一側に外力を加えることになるが、カバーが左右にスライド移動する方向を長手方向から見ると、長さに比して相対的にカバーの幅は広いので、ヒンジ点を中心としてカバーが回転しながら歪み、損傷が発生する危険性があった。
【0008】
様々な機能を保有した携帯電話機と映像や図等を表示する画像部のサイズ拡大に対する要求に応じて、最近の携帯電話機は、それ自体のサイズが比較的に大きくなると共に、その重量も増加している。従って、このような携帯電話機に適合なスライド装置が必要となる。
【0009】
しかも、従来のようにバネヒンジとしてトーションバネを採用した場合には、端末機の厚さが増加し、組立と分解の作業が大変となり、更には、長期間に亘って使用すると、トーションバネの磨耗によってスライド感が低下し、ひいては使用不能となる問題が生じる。さらに、圧縮ばねを装着したバネケーシングを使用する場合には、1ピースのケース、または2ピースの上下ケースを適用し、圧縮ばねの離脱を防止することになる。このため、バネケーシングの厚み増加に起因して端末機のスリム化に制約を受けることになり、部品点数の増加により組立工数が増えるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述したような問題点等を解決するために案出されたものであって、携帯電話機に組み付けられたスライドヒンジモジュールにおいて外部に露出する表面の形状を改善し、上下対称に弾性力が作用するように構成することによって、荷重の増大が自由に図れる共に、操作が容易なキーパッド内蔵型携帯電話機用スライドヒンジモジュールに関する。
【0011】
本発明は、望ましくは、キーパッドが設けられた第1ボディーと、この第1ボディーの前方から左側又は右側の方向にスライド開閉され、前面に画像部が設けられた第2ボディーとを有する携帯用端末機に使われ、第1ボディーに固定される移動プレートと、正面が前記第2ボディーに固定され、背面が全体的に平坦に形成され、移動プレートと共に左右方向にスライド移動可能に結合される固定プレートと、移動プレートが固定プレートの左側又は右側に止まるように弾性力を働かせる弾性装置とを備えることを特徴とするキーパッド内蔵型携帯電話機用スライドヒンジモジュールを提供する。
【発明の効果】
【0012】
前述したような本発明によれば、第一に、携帯端末機が左右方向にスライド開放される場合、スライドヒンジモジュールの露出部分が最大限に同一で均一な表面を有するように形成されるため、携帯端末機の美観を向上させることができる。
【0013】
第二に、弾性装置が上下対称に構成されているので、携帯端末機を開閉する際に操作が容易であり、荷重の増大が自由に図れる。
【0014】
第三に、上下に配置された弾性装置により携帯端末機を開閉するとき、均一な荷重を伝えることができ、且つ、互いに対称の関係にある2支点で支持されるので、一方に偏る現象を防止することができ、特定部位への荷重集中に起因する破損などを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例のスライドヒンジモジュールが使われた 携帯電話機の分解斜視図である。
【図2A】本発明の第1実施例のスライドヒンジモジュールを示す正面図である。
【図2B】本発明の第1実施例のスライドヒンジモジュールを示す背面図である。
【図3A】図2A及び図2Bに図示したスライドヒンジモジュールの分解斜視図である。
【図3B】図2A及び図2Bに図示したスライドヒンジモジュールの分解斜視図である。
【図4A】本発明の第2実施例のスライドヒンジモジュールを示す正面図である。
【図4B】本発明の第2実施例のスライドヒンジモジュールを示す背面図である。
【図5A】本発明の第3実施例のスライドヒンジモジュールの分解斜視図ある。
【図5B】本発明の第3実施例のスライドヒンジモジュールの分解斜視図ある。
【図6】本発明の第1実施例乃至第3実施例の弾性装置の斜視図である。
【図7】図6に図示した弾性装置の分解斜視図である。
【図8A】図2乃至図5に図示したスライドヒンジモジュールのスライド状態を示した使用状態図である。
【図8B】図2乃至図5に図示したスライドヒンジモジュールのスライド状態を示した使用状態図である。
【図8C】図2乃至図5に図示したスライドヒンジモジュールのスライド状態を示した使用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図2Aと図2Bは、本発明の第1実施例のスライドヒンジモジュールの正面図及び背面図である。
【0017】
本発明の望ましい実施例のキーパッド内蔵型携帯電話機用スライドヒンジモジュール1は、キーパッドが備えられた第1ボディー600と、前記第1ボディー600の前方から左側又は右側方向にスライド開閉され、前面に画像部が備えられた第2ボディー700とを有する携帯用端末機に使用され、前記第1ボディー600に固定される移動プレート100と、正面が前記第2ボディー700に固定され、背面が全体的に平坦に形成され、移動プレート100と共に左右方向にスライド可能に結合される固定プレート200と、前記移動プレート100が固定プレート200の左側又は右側に止まるように弾性力を働かせる弾性装置300とを備える。
【0018】
本発明は、キーパッド内蔵型携帯電話機に使われるスライドヒンジモジュールに関するものである。本発明におけるキーパッド内蔵型携帯電話機は、クワーティ配列のキーパッドを備えた通常の携帯電話機のように上下方向にスライド移動するものではなく、左右方向にスライド開閉するように形成された携帯電話機のことをいう。
【0019】
本発明を明確に説明するために、携帯電話機の画像が見られるように、即ち、前方に向けて携帯電話機を置いた状態を基準に方向を決める。
【0020】
キーパッド内蔵型の携帯電話機は、クワーティ配列のキーパッドが備えられた前記第1ボディー600と、画像部が備えられた前記第2ボディー700とからなる。前記第2ボディー700は、前記第1ボディー600を基準に左右方向にスライド移動して開閉される。
【0021】
前記移動プレート100は、前記第1ボディー600に固定結合され、前記第1ボディー600と共にスライド移動する。前記移動プレート100は、全体的に薄板形状に形成されている。前記移動プレート100は、前記第1ボディー600の前方で結合し、キーパッドの形成された部分から離間して結合される。
【0022】
前記固定プレート200は、前記第2ボディー700に固定結合される部分であって、前記第2ボディー700の背面全体に結合される。前記固定プレート200は、その正面が前記第2ボディー700に結合され、背面が前記移動プレート100に結合される。前記固定プレート200の背面は、キーパッドを露出させるためにスライド開放される時に、外部に露出することになる。
【0023】
この場合、前記移動プレート100は、前記第1ボディー600に隠されているので、外部へ露出することはなく、前記固定プレート200の背面のみが露出することになる。前記固定プレート200は、背面全体が、後述するガイド溝230を除いて、突出したり陥没したりした表面を持たずに、同一平面で平らに形成されている。従って、携帯電話機の後方部においても綺麗な外観を形成することができ、美観が向上する。また、スライドヒンジモジュール1の構成を携帯電話機の内部に形成することによって、異物の侵入を防止することができ、それによる破損などを予防することができる。
【0024】
前記弾性装置300は、前記移動プレート100が前記固定プレート200と共にスライド動作する際に、半自動の作動を可能とするための構成物である。前記弾性装置300は、前記移動プレート100が前記固定プレート200の左側又は右側に止まるように弾性力を提供し、デッドポイント(dead point)を除いて、携帯電話機が完全に開放されたり、または完全に閉鎖された状態のみにあるように作用する。
【0025】
本発明の望ましい実施例のキーパッド内蔵型携帯電話機用スライドヒンジモジュール1では、一対の前記弾性装置300が上下対称に配設される。
【0026】
一対の前記弾性装置300は、携帯電話機の中心から左右を繋ぐ線を基準として上下対称に配設される。本発明に用いられる携帯電話機は上下方向に長く形成されているので、前記弾性装置300を一つだけ設けた場合は、次のような問題点を誘発することになる。
【0027】
本発明で前記弾性装置300は、前記第1ボディー600と前記第2ボディー700が単純にスライド作動するのではなく、半自動の作動を可能とさせるように作用する手段である。前記弾性装置300は、一側は前記第1ボディー600に連結されており、他側は、前記第2ボディー700に連結されていることから、相互弾性力が作用するようになっている。この際、前記連結される2支点は、スライド方向と同一線上に形成されることはできず、一側が他側の上側方又は下側方に位置するように設けられる。従って、前記弾性装置300が一つだけ設けられた場合は、前記弾性装置300から前記第1ボディー600または第2ボディー700に連結される部分、またはスライド作動されるように案内するガイド部分において均一な荷重が伝わるようにすることが困難であった。この場合、相互スライドされる何処かに集中的な荷重が伝えられることがあり、これは携帯電話機の破損を招く原因となる。本発明では、前記弾性装置300を上下対称に配置形成することによって、携帯電話機のスライド開閉時に、前記弾性装置の連結部分または相互スライドされる部分に作用する荷重を上下に等しく分配することができるので、上述したような問題点を解消することができる。
【0028】
図3A及び図3Bは、図2に図示のスライドヒンジモジュールの分解斜視図である。
【0029】
本発明の望ましい実施例によるキーパッド内蔵型携帯電話機用スライドヒンジモジュール1において、前記移動プレート100は、前記固定プレート200の背面に配置され、上下側の端部のそれぞれにはガイド部110が設けられている。前記ガイド部110のそれぞれには、締結部120が延長形成されている。前記固定プレート200は、上下側の各端部が対応する前記ガイド部110に挿入される固定板210と、固定板210を取囲むように形成される固定フレーム220とを備えている。このスライドヒンジモジュール1では、前記固定フレーム220の内側縁が前記固定板210の上下側の端部には密着しないように構成されることにより、二つのガイド溝230が形成される。
【0030】
前記移動プレート100は、前記固定プレート200の背面に位置し、前記固定プレート200に結合される。前記移動プレート100の上下側の各端部にはガイド部110が設けられ、移動プレート100は、前記ガイド部110によって前記固定プレート200に結合される。
【0031】
本実施例では、移動プレート100の上下側の端部から一体に折曲げ形成されたガイド部110の例が挙げられており、前記ガイド部110において前記固定板210の上下側端部が挿入されて当接する部分には補強部111が設けられる。前記補強部111は、前記ガイド部110の内側に固定結合され、スライド開閉時に、前記固定プレート200を案内する。また、前記補強部111は、合成樹脂材からなり、前記移動プレート100と前記固定板210の摩擦やそれに起因する磨耗を防止する。
【0032】
前記締結部120は、前記ガイド部110の端部から一体に延長形成され、前記弾性装置300と回動可能に結合され、前記移動プレート100と前記弾性装置300を連結する。
【0033】
前記固定板210は、実質的に前記移動プレート100と連結される部分であり、前記固定プレート200の中央部を占める。前記固定板210の上下側の端部は、前記補強部111が形成されている前記ガイド部110に挿入され、前記移動プレート100と結合することになる。前記固定板210は、前記移動プレート100がスライド方向以外の方向に離隔することがないように前記移動プレート100の大きさに合わせて形成される。前記固定板210は、勿論のこと、左右側に均一な高さを有するように形成される。
【0034】
前記固定フレーム220は、前記固定板210と結合し、前記固定プレート200を構成する。前記固定フレーム220は、前記固定板210を取囲むように形成されており、前記固定板210の左右側には密着するように形成されが、前記固定板210の上下側には密着しないように形成される。そのことから、前記固定プレート200には前記ガイド溝230が形成され、前記ガイド部110が前記固定板210に結合され、前記ガイド溝230に沿って左右側にスライド移動することができる。
【0035】
前記ガイド溝230は、前記ガイド部110の補強部111の高さを考慮し、スライド移動に妨害とならない程度のサイズに形成され、できるだけ狭く形成される。
【0036】
本実施例において、前記弾性装置300は、前記固定板210の正面に位置し、一側が前記締結部120に回動可能に結合されており、他側は前記固定板210の中央部に回動可能に結合される。
【0037】
前記弾性装置300は、前記固定板210の正面に位置する。
【0038】
前記弾性装置300は、前記第1ボディー600と前記第2ボディー700が単純にスライド動作するのではなく、相互半自動の作動を可能とするための手段であって、前記第1ボディー600と前記第2ボディー700とに連結されなければならない。通常は、スライドヒンジモジュール1の構造を単純化するために、前記弾性装置300に相当する構成は前記固定プレート200に相当する構成の背面に位置させるが、この場合には、前記弾性装置300が作動するための空間が必要となる。前記弾性装置300が前記固定板210の背面に位置すると、前記第1ボディー600と前記第2ボディー700は密着状態でスライド作動することになるので、前記固定プレート200の背面に前記弾性装置300が作動するための陥没部を形成しなければならない。このように形成された陥没部は、携帯電話機がスライド開放され、前記固定プレート200の背面が露出されると、やはり現れる部分である。そして、このような陥没部が露出すると、携帯電話機の綺麗な外観を期待することが難しく、しかも粗雑なものに見られ得る。また、陥没部が設けられた隙間を介して外部から異物が侵入しやすくなるので、携帯電話機の故障を引き起こすこともある。
【0039】
本発明による前記弾性装置300は、前記固定板210の正面に配置されているため、上述した問題点を前もって防ぐことができる。
【0040】
前記弾性装置300は、一側が前記締結部120に、他側が前記固定板210に結合される。一方の前記弾性装置300は、前記移動プレート100の上側に形成された締結部120に一側が結合され、他方の前記弾性装置300は、前記移動プレート100の下側に形成された締結部120に一側が結合される。また、前者の他側は、前記固定板210の中央部からやや上方に結合され、後者の他側は、前記固定板210の中央部からやや下方に結合される。前記弾性装置300は、前記移動プレート100を前記固定プレート200を基準として左側又は右側に止まるように外力を作用し、弾性変形される構成なので、それにより前記第1ボディー600と前記第2ボディー700は相互に半自動作動可能にスライド移動する。
【0041】
図4A及び図4Bは、本発明の第2実施例のスライドヒンジモジュールの正面図及び背面図である。
【0042】
本実施例では、前述した第1実施例において前記固定プレート200の正面に結合され、前記弾性装置300を遮蔽する蓋板400をさらに包含する。
【0043】
また、前記蓋板400の上下側のそれぞれには左右方向に長く形成され、前記締結部120を露出させるための切開溝410が設けられ、それぞれの前記切開溝410の左右側の端部には、ダンパー500が結合される。
【0044】
前記蓋板400は、前記固定プレート200の正面に位置し、前記弾性装置300をカバーする。前記蓋板400は、前記固定プレート200に固定結合され、前記第2ボディー700と前記弾性装置300を分離する。前記蓋板400は、周縁に沿って端部は前記固定プレート200と結合され、中央部には前記弾性装置300の作動を妨害しないように空間を設けなければならないので、多少屈曲して形成される。
【0045】
前記蓋板400の上側及び下側には、前記移動プレート100の上下側端部を形成する前記締結部120のスライディングを確認できる前記切開溝410が形成されており、前記切開溝410の左右側端部には、前記締結部120の移動を支持するダンパー500が固定結合される。前記切開溝410と前記ダンパー500により前記移動プレート100が前記固定プレート200に対して相対的に左右側にスライド移動する区間が決められる。これは、本発明が適用される携帯電話機のサイズに合わせられて形成される。前記ダンパー500は、前記移動プレート100の進行を単純に阻止することだけでなく、前記移動プレート100のスライド移動に起因して生じる衝撃を吸収することができるように形成される。前記移動プレート100は、スライド作動時、前記弾性装置300により加速されるので、前記固定プレート200の左右側に停止するときに比較的大きい衝撃が発生することがあるが、前記ダンパー500は、その衝撃を緩和することができる。それゆえ、前記ダンパー500は、ゴム、ウレタンのように衝撃を吸収することができる材料によって形成される。
【0046】
図5A及び図5Bは、本発明の第3実施例によるスライドヒンジモジュールを示した分解斜視図である。
【0047】
本実施例は、弾性装置300の一側が前記締結部120に回動可能に結合されるという点では、第1及び第2実施例と同様であるが、弾性装置300の他側が前記蓋板400に回動可能に結合されるという点で第1及び第2実施例と相違している。
【0048】
具体的に、本実施例において、弾性装置300は、その一側が前記締結部120に、他側が前記蓋板400にそれぞれ結合される。前記弾性装置300は、第1及び第2実施例と同じく一対から構成されている。一方の弾性装置300は、前記移動プレート100の上側に形成された締結部120に一側が結合され、他方の弾性装置300は、前記移動プレート100の下側に形成された締結部120に一側が結合される。さらに、前者の他側は、前記蓋板400の中央部からやや上方の位置に結合され、後者の他側は、前記蓋板400の中央部からやや下方の位置に結合される。
【0049】
弾性装置300の他側は、図5Bに示したように、リベッド10などの固定部材を介して蓋板400に取り付けられることができる。
【0050】
本実施例において、このような固定板210を用いない構造、即ち蓋板400に弾性装置300が結合される構造にしたのは、携帯電話機の美観向上のためであり、具体的な内容は、次のとおりである。
【0051】
第1及び第2実施例では、弾性装置300の他側が固定板210に結合しており、この場合、後述する固定口313(図6及び図を7参照)を通じてリベット10(図3B参照)などの固定部材を用いて結合することができる。この際、肉薄の固定板210には、固定部材による結合のために結合孔212(図3B参照)を貫通形成することが必要不可欠となる。そして、この結合孔212を通じて固定部材が結合された場合には、固定板210の背面に固定部材の端部が露出する。
【0052】
この場合、第2ボディー700を第1ボディー600に対してスライド移動させ、第2ボディー700の背面に固定プレート200の背面(具体的には、固定板210の背面)が露出すると前述した結合孔212及び固定部材の端部が共に露出するので、携帯電話機の外観を損なうことがある。
【0053】
それに対し、本実施例のように、弾性装置300の他側が固定板210ではなく蓋板400に結合(具体的には、蓋板400に形成の結合孔410を介してリベット10により結合)するように構成すれば、第1及び第2実施例のように固定板210に結合孔212を形成する必要がなくなる。そして、それによって、固定板210の露出される背面が滑らかな面をなすことになるので、スライド作動の際に美観向上に役立つ。
【0054】
一方、本実施例では、図5Bに示したように、第1及び第2実施例で説明されたガイド部110の他の例が提示される。
【0055】
本実施例のガイド部110は、移動プレート100の上下側の端部から一体に折曲げ形成されるのではなく、移動プレート100の上下側の端部に合成樹脂製のガイド本体112が結合することによって形成される。ガイド本体112には、内側に固定板210の上下側端部が挿入されたままスライド移動することができる溝112aが形成されている。そして、締結部120は、ガイド本体112の上側に結合され、ガイド本体112から延長形成される。
【0056】
このように、ガイド部110がプラスチック材質のガイド本体112との組合せにより形成されることにより、ガイド部110の摩擦による騒音発生を最小限に抑えることはもちろん、スライディング感をより向上させることができる。
【0057】
図6は、本発明の第1実施例乃至第3実施例の弾性装置の斜視図である。
【0058】
本発明の望ましい実施例によるキーパッド内蔵型携帯電話機用スライドヒンジモジュール1において、前記弾性装置300は、互いに対向するように結合された一対の弾性本体310と、前記一対の弾性本体310の内側に位置し、前記一対の弾性本体310同士が互いに離間するように作用するばね320と、前記ばね320が前記弾性本体310の内側に止まるように支持する支持フレーム330とからなり、前記弾性本体310のそれぞれは、一側にスライドバー311が形成され、他側にスライド溝312が形成されており、互いにスライド結合される。
【0059】
また、前記弾性本体310のそれぞれには、前記締結部120及び前記固定プレート200(第1及び第2実施例では固定板210がこれに該当し、第3実施例では蓋板400がこれに該当する)と結合されるための固定口313が設けられている。この固定口313は、前記弾性装置300の全回動区間のうち前記弾性本体310の最上側又は最下側に形成される。
【0060】
前記弾性本体310は二つの部分に分けられて構成されており、相互結合して前記弾性本体310を構成する。前記弾性本体310のうち一つは、一側に前記スライドバー311が形成され、他側に前記スライド溝312が形成されている。また、他の一つの弾性本体310にも、前記スライドバー311と前記スライド溝312が対応して形成されている。つまり、前記一つの弾性本体310が他の一つの弾性本体310とスライド結合するように前記スライドバー311及びスライド溝312が互いに対応付けられるように形成されている。
【0061】
前記弾性本体310がスライド移動すると、前記弾性装置300の全長が変化する。前記弾性本体310は、両側で一対の前記スライドバー311及びスライド溝が互いに支持されながら作動するので、より安定的にスライド移動することができる。前記弾性装置300には、前記弾性装置300のスライド方向以外に携帯電話機のスライド方向へも外力が作用し、こうした外力が持続的に作用すると、前記弾性本体300に無理が与えられる。本発明では、こうした問題点を勘案し、ガイドされる部分を前記弾性本体310の両側に備えるように構成したため、さらに安定的な動作を期待することができる。さらに、前記弾性装置300を二つ備えることによって、与えられた荷重をより効果的に分散させることができる。
【0062】
前記ばね320は、一対の前記弾性本体310の内側に位置し、前記弾性本体310を外側方向に押し出す役割を奏する。
【0063】
前記支持フレーム330は、前記ばね320を支持し、前記ばね320が前記弾性本体310の外部に離脱することを防止する。
【0064】
前記弾性本体310には、前記締結部120及び前記固定プレート200(第1及び第2実施例では固定板210がこれに該当し、第3実施例では蓋板400がこれに該当する)と結合することができるように前記固定口313が形成されている。それぞれの前記弾性本体310には前記固定口313が一つずつ設けられており、一方の前記弾性本体310が前記締結部120に結合され、他方の前記弾性本体310が前記固定板210(第1及び第2実施例の場合)または前記蓋板400(第3実施例の場合)に結合される。
【0065】
前記固定口313は、前記弾性装置300が前記締結部120及び前記固定プレート200(第1及び第2実施例では固定板210がこれに該当し、第3実施例では蓋板400がこれに該当する)と結合して回動する全区間において前記弾性本体310の最上側又は最下側に形成される。つまり、前記弾性本体310の長手方向の両側端部がある程度尖って形成されたり、或いは全体的に斜方形に形成され、前記弾性本体310の長手方向の両側端部に前記固定口313が形成される。前記弾性装置300の直上には前記締結部120及びガイド部110が形成され、前記弾性装置300の直下には貫通孔211、420が形成される。前記貫通孔211、420は、前記第1ボディー600と第2ボディー700をつなげるケーブルなどが貫通するための通路であり、これらは必須構成要素である。前記弾性装置300が回動しながら前記ガイド部110又は前記貫通孔211、420を通るケーブルなどと干渉が生じると、携帯電話機がスライドし難くなる。そこで、前記固定口313をいつも前記弾性装置300の最上側又は最下側に位置するように構成すれば、上記問題点等を防止することができる。
【0066】
図7は、本発明の図6に図示の弾性装置の分解斜視図である。
【0067】
本発明の望ましい実施例によるキーパッド内蔵型携帯電話機用スライドヒンジモジュール1において、前記ばね320は、コイルばね320であり、前記支持フレーム330を中心として二分されている。前記支持フレーム330は、二分された前記ばね320の境界をなす境界部331と、前記境界部331の両側から前記弾性本体310のスライド方向に長く延長形成され、前記ばね320に挿入されて前記ばね320を支持する支持ロッド332とからなる。
【0068】
前記ばね320は、コイルばね320からなり、望ましくは複数個からなり、前記弾性本体310の内部に位置する。コイルばね320は弾性復元力が極めて優れており、前記弾性装置300に弾性力を提供するのに好適である。前記コイルばね320は、前記弾性本体310の厚さより厚くならないように約1〜2mm程度のサイズに形成される。前記ばね320は前記弾性本体310のように二分され、前記支持フレーム330により前記弾性本体310に連結される。
【0069】
前記支持フレーム330は、中央に前記境界部331を備えており、前記境界部331の両側から前記ばね320に挿入される前記支持ロッド332が形成される。前記支持ロッド332は、前記ばね320が離脱することを防ぐ役割を奏し、その端部が前記弾性本体310の挿入孔314に挿入される。前記挿入孔314は、前記弾性本体310を貫通して形成されている。前記ばね320が圧縮された状態では、前記支持ロッド332の端部の一部が前記弾性本体310の外に突出することになる。
【0070】
図8A、図8B、及び図8Cには、図2乃至図5に図示のスライドヒンジモジュールの移動プレート100がガイド溝230に沿って固定板210の一側から他側にスライド移動する様態が示されている。
【符号の説明】
【0071】

1 スライドヒンジモジュール
100 移動プレート
110 ガイド部
111 補強部
112 ガイド本体
120 締結部
200 固定プレート
210 固定板
211 貫通孔
212 結合孔
220 固定フレーム
230 ガイド溝
300 弾性装置
310 弾性本体
311 スライドバー
312 スライド溝
313 固定口
314 挿入孔
320 ばね
330 支持フレーム
331 境界部
332 支持ロッド
400 蓋板
401 結合孔
410 切開溝
420 貫通孔
500 ダンパー
600 第1ボディー
700 第2ボディー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーパッドが設けられた第1ボディーと、前記第1ボディーの前方から左側又は右側方向にスライド開閉され、前面に画像部が設けられた第2ボディーとを有する携帯用端末機に用いられ、
前記第1ボディーに固定される移動プレートと、
正面が前記第2ボディーに固定され、背面が全体的に平坦に形成され、前記移動プレートと共に左右方向に沿ってスライド移動可能に結合される固定プレートと、
前記移動プレートが前記固定プレートの左側又は右側に止まるように弾性力を働かせる弾性装置とを備えることを特徴とするキーパッド内蔵型携帯電話機用スライドヒンジモジュール。
【請求項2】
前記弾性装置が二つ設けられており、二つの前記弾性装置が上下対称に配設されることを特徴とする請求項1に記載のキーパッド内蔵型携帯電話機用スライドヒンジモジュール。
【請求項3】
前記移動プレートは、前記固定プレートの背面に位置し、上下側の端部のそれぞれにはガイド部が設けられ、前記ガイド部のそれぞれには締結部が延長形成されており、
前記固定プレートには、上下側の端部のそれぞれが前記ガイド部に挿入される固定板と、前記固定板を取囲むように形成される固定フレームとが設けられ、前記固定フレームの内側縁を前記固定板の上下側端部に密着しないように構成することによって二つのガイド溝が形成され、
前記弾性装置は、前記固定板の正面に位置し、その一側が前記締結部に回動可能に結合され、その他側が前記固定板の中央部に回動可能に結合されることを特徴とする請求項2に記載のキーパッド内蔵型携帯電話機用スライドヒンジモジュール。
【請求項4】
前記固定プレートの正面に結合され、前記弾性装置を遮蔽する蓋板をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のキーパッド内蔵型携帯電話機用スライドヒンジモジュール。
【請求項5】
前記移動プレートは、前記固定プレートの背面に位置し、上下側の端部のそれぞれにはガイド部が設けられ、前記ガイド部のそれぞれには締結部が延長形成されており、
前記固定プレートには、上下側の端部のそれぞれが前記ガイド部に挿入される固定板と、前記固定板を取囲むように形成される固定フレームと、前記固定フレームの正面に結合する蓋板とが設けられ、前記固定フレームの内側縁を前記固定板の上下側端部に密着しないように構成することによって二つのガイド溝が形成され、
前記弾性装置は、前記固定板の正面に位置しながら前記蓋板により遮蔽されることになり、その一側が前記締結部に回動可能に結合され、その他側が前記蓋板の中央部に回動可能に結合されることを特徴とする請求項2に記載のキーパッド内蔵型携帯電話機用スライドヒンジモジュール。
【請求項6】
前記蓋板の上下側のそれぞれには、左右方向に長く形成されて前記締結部を露出させる切開溝が備えられ、
前記各切開溝の左右側の両端部には、ダンパーが設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載のキーパッド内蔵型携帯電話機用スライドヒンジモジュール。
【請求項7】
前記弾性装置は、互いに対向するように組み合わされた一対の弾性本体と、前記一対の弾性本体の内側に位置して前記弾性本体同士が互いに離れるように作用するばねと、前記ばねが前記弾性本体の内側に止まるように支持する支持フレームとからなり、
前記弾性本体のそれぞれは、一側にスライドバーが形成され、他側にスライド溝が形成され、互いにスライド結合するようになっていることを特徴とする請求項3乃至5のうち何れか一項に記載のキーパッド内蔵型携帯電話機用スライドヒンジモジュール。
【請求項8】
前記弾性本体のそれぞれには、前記締結部及び前記固定プレートと回動可能に結合するための固定口が設けられ、前記固定口は、前記弾性装置の全回動区間のうち前記弾性本体の最上側又は最下側に形成されることを特徴とする請求項7に記載のキーパッド内蔵型携帯電話機用スライドヒンジモジュール。
【請求項9】
前記ばねは、コイルばねからなり、前記支持フレームを中心に二分され、
前記支持フレームは、二分された前記ばねの境界をなす境界部と、前記境界部の両側から前記弾性本体のスライド方向に長く延長形成され、前記ばねに挿入されて前記ばねを支持する支持ロッドとからなることを特徴とする請求項8に記載のキーパッド内蔵型携帯電話機用スライドヒンジモジュール。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公開番号】特開2010−103998(P2010−103998A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−243191(P2009−243191)
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(509273411)ハンビット プレシジョン カンパニー リミテッド (10)
【Fターム(参考)】