説明

キーモジュール、導光板および電子機器

【課題】光の利用効率を高めることで、省電力化と薄型化が実現できるキーモジュール、当該キーモジュールに用いる導光板、当該キーモジュールを用いた電子機器を提供する。
【解決手段】少なくとも1つ以上の入力キーと、前記入力キーの下方に配置され、前記入力キーの押圧によってスイッチングされるドームスイッチと、前記入力キーと前記ドームスイッチとの間に配置され、光源から入射した光を出射して前記入力キーの下方から照光する導光板とを備えた、キーモジュールであって、前記導光板は、表面の前記入力キーと対向する部分に凹部を備えている。これにより、省電力化と薄型化を図りつつ入力キーを効率的に照光することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーモジュール、導光板および電子機器に関し、より具体的には、携帯電話等の電子機器に組み込まれ、入力キーを照光するために用いられるキーモジュール、当該キーモジュールに用いられる導光板、および当該キーモジュールを入力手段として用いる電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機をはじめとする電子機器において、入力キーを照光するために従来では入力キーの背面にLED等の光源を複数配置していたが、最近ではバックライト光源として導光板が用いられつつある。ここで導光板とは、LED等の光源からの照明光を側面から入射し、導光板の表面から光を出射することで、入力キーを照光するものである。この導光板を用いれば、LED等の光源の数を1〜2個程度まで減らすことができ、消費電力を低減することができる。また、入力キーとスイッチング素子であるドームスイッチとで構成されるキーモジュールに導光板を用いれば、当該キーモジュールを薄くすることができ、電子機器の省電力化や薄型化に大きく寄与することができる。
【0003】
また、さらなる省電力化が求められており、そのためには光利用効率を高める必要がある。そこで、導光板の表面に微細な凹凸を設け、光を取り出しやすくするための光出射構造を備えた導光板が提案されており、当該導光板は入力キーに対応した箇所のみ光を取り出し効率的に照光することができる(特許文献1)。また、導光板のさらなる薄型化に対応して、光源からの照明光の導光板への結合効率(入射効率)を高めるため、導光板の側面の受光部をテーパ状とし、光源となるLEDの大きさまで広げた導光板が提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開平5−210014号公報
【特許文献2】特開2004−69751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電話機等の電子機器では、さらに高機能化が図られており、消費電力が増大する傾向にあることから省電力化の要求がますます強まっている。また、搭載すべき部品の数が増大する傾向にあることから搭載スペースが限られるため、搭載部品の薄型化も要求されている。そのため、これらに搭載する導光板やこれを用いたキーモジュールにも同様に省電力化や薄型化が要求されている。
【0005】
一般に、導光板に入射した光は導光板の上下面で全反射を繰り返しながら伝搬されていく。そこで、上記の特許文献1に開示された導光板では、この全反射条件を崩して伝搬された光の一部を導光板の表面または裏側から取り出すべく光出射構造が導光板の表面または裏側上に設けられている。これにより、光を取り出して照光したい箇所(すなわち、入力キーがある箇所)のみ光らせることができるが、導光板内に入射した光の利用効率は必ずしも十分ではなく、光出射構造部で取り出されずそのまま伝搬したり、導光板内を反射することなくそのままストレートに透過してしまい、無駄となる光が多く存在している。
【0006】
また、導光板の薄型化を進めると導光板の側面に設けられている受光部の面積が減少し、光源から出射した光を導光板に入射させ結合する際にロスが大きくなり、光の結合効率が低下する。そこで、上記の特許文献2に開示された導光板では、側面をテーパ状に広げることで光源からの光の導光板への結合効率を高めようとしている。しかし、結合効率は高まっても、入力キーを照光する光量が不足する、すなわち、出射効率が低いという問題は上述の通り、依然として残っている。
【0007】
本発明は、光の利用効率を高め、省電力化と薄型化が実現できるキーモジュール、当該キーモジュールに用いる導光板、当該キーモジュールを入力手段として用いる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1発明に係る導光板は、少なくとも1つ以上の入力キーと、前記入力キーの下方に配置され、前記入力キーの押圧によってスイッチングされるドームスイッチと、前記入力キーと前記ドームスイッチとの間に配置され、光源から入射した光を出射して前記入力キーの下面から照光する導光板とを備えた、キーモジュールであって、前記導光板は、表面の前記入力キーと対向する部分に凹部を備えている。
【0009】
光源から出射し導光板に入射した光は、導光板内部を表面と裏面で全反射を繰り返しながら伝搬していく。そして、導光板の表面や裏面から、一部の光が漏れ出て出射され、入力キーを照光している。
【0010】
この発明によれば、導光板の凹部が形成された箇所では、導光板の厚みが薄くなっている。そのため、当該箇所を照明光が伝搬する際、表面と裏面との間の距離が短くなり、反射する頻度が増加する。すなわち、当該箇所では導光板内部を伝搬する光の反射回数を増やすことができるので、導光板から漏れ出て出射する光の量を増加させることができる。
【0011】
また、当該箇所では、導光板の厚みが局所的に薄くなっているため、導光板の面方向と平行に入射した光の一部は、進行する方向が強制的に偏向されることになる。そのため、導光板内部をストレートに透過してしまい、出射されずに無駄になっていた光を低減することができ、入力キーを照光する光として有効に利用することができる。
【0012】
このように、入力キーを照光するための光を効率的かつ有効に利用することで、光利用効率を高めることができ、省電力化を実現したキーモジュールを提供することができる。
【0013】
当該導光板を用いれば、導光板を薄くすることにより光源および導光板間での光の結合効率が低下した場合であっても、導光板内部に入射した光の出射効率は高められる。従って、トータルとして入力キーを照光する明るさを維持することができる。さらに、凹部は入力キーに対応する部分に設けられていることから、凹部内に入力キーを嵌め込むように重ねることができる。このため、当該導光板はキーモジュールを薄型化する上でも適している。
【0014】
凹部は入力キーに対応した箇所に設けられている。当該箇所では導光板の厚みが薄いので、入力キーを押したときのクリック感を向上させることができ、本発明に係る導光板は確実な入力を行う上でも好適である。
【0015】
また、第2発明に係る導光板は、第1発明において、さらに裏面の前記ドームスイッチに対向する部分にも凹部を備えている。
【0016】
この発明によれば、導光板の表面と裏面間の距離をさらに短くし、当該箇所での光の反射回数をさらに増加させることができるので、出射する光の量をより一層増加させることができる。
【0017】
また、入力キーのみならず、ドームスイッチのドーム部も導光板の凹部内に嵌め込むように重ねることができるので、キーモジュール全体としてさらに薄型化することもできる。
【0018】
また、導光板内部をストレートに透過してしまい、出射されずに無駄になっていた光をさらに低減することができ、入力キーを照光する光としてより一層有効に利用することができる。
【0019】
また、第3発明に係る導光板は、第1発明および第2発明において、前記凹部の開口径が、前記ドームスイッチのドーム部の最大径の1/2以上であるように形成されている。
【0020】
これにより、光が導光板から出射し入力キーを照光する領域を所定範囲で確保できるため、光の利用効率を高めつつ、入力キーの視認性を向上させることができる。当該部分は、少なくともドームスイッチのドーム部の最大径の1/2以上であれば、視認性の観点からも好適である。
【0021】
ここで、凹部の開口径とは、導光板の表面上および/または裏面上における大きさをいい、円であれば直径を、多角形や楕円形等であれば当該開口面積と同等面積の円を想定した場合の直径をいう。
【0022】
また、第4発明に係る導光板は、第1発明〜第3発明において、複数の前記凹部を備えるとともに、側面の一部に光源からの光が入射される受光部を備えており、前記凹部の深さは、前記受光部からの距離が遠い位置に設けられた凹部の深さが、前記受光部からの距離が近い位置に設けられた凹部の深さよりも深く形成されている。
【0023】
一般に、導光板内部において、受光部から入射した光は、受光部から遠ざかるほど強度が弱くなる。これは、導光板内部を伝搬する光は拡散や出射をしながら、あるいは一部ロスしながら伝搬していくためである。
【0024】
この発明によれば、受光部からの距離が遠い位置に設けられた凹部ほど深さが深く形成されている。そのため、光の強度が弱くなる位置ほど当該箇所を伝搬する光が導光板の表面と裏面間で反射する頻度が増加することになるため、光の出射効率を高められることになる。従って、入力キーを受光部からの位置によらず均一に照光することができる。
【0025】
ここで、凹部の深さとは、導光板の表面または裏面から凹部の底面までの深さをいい、底面が平坦でなければ最も深い深さをいう。
【0026】
また、第5発明に係る導光板は、複数の入力キーと、前記入力キーの下方に配置され、前記入力キーの押圧によってスイッチングされるドームスイッチと、前記入力キーと前記ドームスイッチとの間に配置され、光源から入射した光を出射して前記入力キーの下面から照光する導光板とを備えた、キーモジュールであって、前記導光板は、裏面のドームスイッチ側と対向する部分に凹部を備えるとともに、側面の一部に光源からの光が入射される受光部とを備えており、前記凹部の深さは、前記受光部からの距離が遠い位置に設けられた凹部の深さが、前記受光部からの距離が近い位置に設けられた凹部の深さよりも深く形成されている。
【0027】
このように、凹部はドームスイッチ側のみに設けられていてもよく、上述の通り、同様に入力キーを受光部からの位置によらず均一に照光しながら光の利用効率を高めつつ、薄型化を図ることができる。
【0028】
また、第6発明に係る導光板は、第1発明〜第5発明において、前記導光板の前記入力キーに対応する部分には、前記導光板の表面または裏面側に光を出射しやすくした出射構造がさらに設けられている。
【0029】
出射構造が設けられた箇所では、より積極的に光を取り出し出射することができる。これは全反射条件を積極的に崩し、光の漏れ量を増大させることができるからである。入力キーに対応する位置に形成されていれば、入力キーをより一層効率的に照光することができる。なお、出射構造は入力キーに対応する部分であれば、導光板の表面および裏面のいずれか一方、あるいは両面に形成されていてもよく、凹部の表面上に直接形成されていてもよい。
【0030】
また、第7発明に係る導光板は、第6発明において、前記出射構造は前記表面または裏面上に形成された突起あるいは窪みによる凹凸パターン、または光散乱剤を含む印刷パターンであり、前記受光部から離れるほどパターンの密度が大きくなるように、前記パターン間の距離を小さくするあるいは前記パターンの大きさを大きくするように形成されている。
【0031】
この発明によれば、受光部から遠くなるほど出射構造を構成するパターンの密度が高められている。そのため、導光板を平面的に見た場合、全体として受光部からの位置によらず、入力キーをより一層効率的かつ均一に照光することができる。
【0032】
また、第8発明に係る導光板は、第1発明〜第7発明のキーモジュールに用いる導光板である。このような導光板は、キーモジュールの光の利用効率を高め、省電力化と薄型化を図る上で適している。
【0033】
また、第9発明に係る電子機器は、第1発明〜第7発明のキーモジュールを入力手段として用いた電子機器である。このような電子機器は、光の利用効率を高め、省電力化と薄型化に優れるものである。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、本発明は、光の利用効率を高め、省電力化と薄型化が実現できるキーモジュール、当該キーモジュールに用いる導光板、当該キーモジュールを入力手段として用いる電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるキーモジュールを組み込んだ携帯電話機の構造を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、携帯電話機10は、伝達すべき情報を入力する入力部13と、各種情報を表示するための表示部12を備えており、ヒンジ部14を介して回転可能に接続されており、開閉可能な構造(折りたたみ可能な構造)とされている。また、入力部13にはヒンジ部14と反対側の位置にマイク17が、また、表示部12にはヒンジ部14と反対側の位置にスピーカー16がそれぞれ設けられている。
【0036】
入力部13には、各種情報を入力するために、数字や文字等が印刷された入力キー21が複数配置されており、キーモジュール20を構成している。表示部12には、各種情報を表示するために液晶表示装置15が設けられている。
【0037】
図2は、図1に示す携帯電話機のキーモジュールを模式的に示す平面図である。また、図3は、図2に示すII−II線における断面模式図である。
【0038】
図2、図3に示すように、キーモジュール20は、入力キー21と、入力キー21の押圧によりスイッチングされるドームスイッチ25と、入力キー21とドームスイッチ25の間に配置される導光板27とを備えている。さらに、キーモジュール20は、ドームスイッチ25に電気的に接続されるフレキシブルプリント配線板23と、その上部に積層された光反射部材24と、フレキシブルプリント配線板23の端部に配置された光源22と、導光板27の上に配置され、入力キー21を支持するラバーシート28とを備えている。
【0039】
導光板27の側面の一部には受光部31が設けられ、光源22から出射される光は受光部31から導光板27内部に入射し、全反射を繰り返しながら伝搬するとともに、導光板27の表面27aから出射された光はラバーシート28を透過して入力キー21を照光する。
【0040】
光源22はフレキシブルプリント配線板23上に電気的に接続するように配置されており、例えばLED(発光ダイオード)が用いられ、他にもLD(レーザーダイオード)や冷陰極管など照明光を発光するものが使用できる。また、導光板27の側面から光を入射させるため、導光板27の側面に位置するように配置されている。
【0041】
フレキシブルプリント配線板23は、導体層と絶縁層(図示せず)とからなる可撓性を有する電気回路が形成された配線板であって、入力キー21が押されれば、フレキシブルプリント配線板23上に設けられたドームスイッチ25により発生した電気信号を制御部(図示せず)に電気的に伝達する。また、光源22に対して電力の供給も行っている。
【0042】
光反射部材24は、導光板27から下方(フレキシブルプリント配線板23側)に漏れ出た光を上方(入力キー21側)に反射する。下方に漏れ出た光を入力キー21の照光に再利用できるので、光の利用効率を向上させることができる。また、光反射部材24は、光源22から出射した光で受光部31から入射せず導光板27の下面側に漏れた光も同様に上方に反射させることもできるので、光の利用効率をさらに向上させることができる。この光反射部材24は、例えばフレキシブルプリント配線板の上部に白色のインクを印刷することにより形成され、当該インクに光散乱剤等が含まれていればさらに反射率を向上させることができる。また、光反射部材24は別途、シート状で形成しておきフレキシブルプリント配線板23の上に載置してもよい。
【0043】
ラバーシート28は入力キー21を支持するとともに入力キーの押し圧をドームスイッチ25に伝達するために弾性体で形成されており、例えばゴム等から形成されている。さらにラバーシート28の下部側には突起状の押し子29が設けられており、入力キー21の押し圧をドームスイッチ25に確実に伝達するとともに、クリック感を向上させている。なお、この押し子29は入力キー21に直接形成されていてもよい。押し子29は、例えば円柱形状を有しており、直径1mm、高さ0.5mmである。
【0044】
ドームスイッチ25を構成する半円状のドーム部は、例えばステンレスをプレス加工して形成されている。このように形成することで、ドームスイッチ25を押したときにクリック感を生じさせ、入力を確実に行う上で好適な構造である。また当該ドームは導電性があるものであればよく、銅や銅合金などの金属を用いることができる。また、当該ドームの厚みは例えば0.01mm〜0.1mmであり、ドームスイッチ25の高さは例えば0.15mm〜0.5mm、ドーム径は1〜5mmである。
【0045】
また、導光板27は、透光性のある材料、例えばポリカーボネート樹脂、ポリエチレンフタレート樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、シクロオレフィン系樹脂、シリコン樹脂などによって形成されている。また、導光板27の厚みは例えば50μm〜200μmであり、携帯電話機の薄型化の観点からは50μm〜100μmであればより好ましい。
【0046】
導光板27の表面27aには、入力キー21に対応する位置に凹部30が設けられている。凹部30の開口径dはドームスイッチ25のドーム部の最大径Dの1/3以上、好ましくは1/2以上であればよく、より具体的には例えば2mm以上、より好ましくは3mm以上である。凹部30の深さtは例えば10〜30μmであり、導光板27の厚みの半分以上であれば、導光板27内部を反射せずにストレートに透過する光をさらに低減できるのでより好ましい。これにより、後述する通り、入力キーの視認性を確保しつつ、キーモジュール全体を薄型化することができる。
【0047】
また、凹部は、射出成形や金型を用いた型押し等の常法で作製することができ、導光板27を作製する際に同時に一体として成型しても、導光板27を一旦成型後、凹部のみ後で別途形成してもよい。なお、凹部の開口形状は円、楕円、矩形などいずれの形状であってもよく、凹部30の底面は必ずしも平坦ではなくてもよく、効果を発揮し得る形状であればいずれであってもよい。また、凹部の断面形状は、曲線状や矩形状のいずれであってもよいが、受光部31側へ不要な反射を防止する上では曲線状であることがより好ましい。
【0048】
導光板27の裏面27bの入力キー21に対応する位置に出射構造26が設けられている。出射構造26は、導光板27の裏面27b上に設けた微小な凹凸パターンである。導光板27は、射出成形や金型を用いた型押し等の常法で作製することができ、凹凸を有する出射構造26は、導光板27と同時に形成されてもよく、あるいは導光板27を事前に作製し、その後さらに型押しやレザー加工、サンドブラスト等により形成することもできる。出射構造の凹凸パターンの形状は円、楕円あるいは多角形のいずれであってもよく、凹凸パターンを平面的にみた外接円の径は、例えば1μm〜100μmであり、凹部の最大深さあるいは凸部の最大高さは、例えば0.1μm〜1μmである。
【0049】
出射構造26は光散乱剤を含有したインクを用いた印刷や導光板27の材質とは異なる屈折率を有するインクを用いた印刷により形成されていてもよい。これは例えばスクリーン印刷やインクジェット印刷等の常法で作製することができる。インクを用いたパターンの形状は円、楕円あるいは多角形のいずれであってもよく、当該パターンを平面的にみた外接円の径は、例えば1μm〜100μmであり、最大高さは、例えば0.1μm〜1μmである。
【0050】
なお、出射構造26は入力キー21に対応する部分であれば、導光板27の表面27aおよび裏面27bのいずれか一方、あるいは両面に形成されていてもよく、凹部30の表面上に直接形成されていてもよい。この出射構造26により、導光板27内部を伝搬してきた光の全反射条件が積極的に崩されるため、光を導光板27内部から外部へより一層効率的に出射させ、入力キーを照光することができる。
【0051】
受光部31より入射した光は全反射しながら導光板27内部を伝搬する。ここで、凹部が形成された場所では導光板27の表面27aと裏面27bの距離が狭められているため、当該箇所では光の反射回数が増大する。そのため、出射構造26から出射される光の量を増大させることができる。ここで、凹部30は入力キー21に対応して形成されていることから、上方(入力キー21側)に出射した光は入力キーを直接的に照光することができる。一方、導光板27の下方(ドームスイッチ25側)に出射した光は、光反射部材24により上方に戻され、入力キー21を照光するのに再度利用されることになる。
【0052】
また、凹部30が形成された箇所では、導光板27の厚みが薄くなっているため、導光板27の表面27aの面方向と平行に入射した光の一部は進行する方向が強制的に偏向されることになる。そのため、導光板27内部をストレートに透過してしまい、出射されずに無駄になっていた光を低減することができ、入力キーを照光する光として有効に利用することができる。
【0053】
また、導光板27を薄くすることにより光源22および導光板27間での光の結合効率が低下した場合であっても、導光板27内部に入射した光の出射効率は高められる。従って、トータルとして入力キー21を照光する明るさを維持することができる。さらに、凹部30は入力キーに対応する部分に設けられていることから、凹部30内に入力キー21を嵌め込むように重ねることができる。このため、当該導光板はキーモジュールを薄型化する上でも適している。
【0054】
さらに、凹部30は入力キー21に対応した箇所に設けられている。当該箇所では導光板27の厚みが薄いので、入力キー21を押したときのクリック感を向上させることができ、確実な入力を行う上でも好適である。なお、図3では本発明の技術的特徴を説明するために実際のキーモジュールと比べ、導光板の厚み等を強調して図示してある。以下、他の図でも同様である。
【0055】
このように、導光板27に凹部30が形成されていることにより、入力キー21を照光するための光を効率的かつ有効に利用できるので、省電力化と薄型化を実現した高機能なキーモジュールを提供することができる。
【0056】
図4は、図3に示すキーモジュールの変形例を示す模式断面図である。なお、図3と同一符号のものは、同一又は相当物であり、以下の説明を省略する。
【0057】
同図に示すように、凹部30は導光板27の表面27aおよび裏面27bの両面に設けられており、入力キー21とドームスイッチ25のドーム部に対向してそれぞれ設けられている。また、出射構造26は表面27a側の凹部30上に直接形成されている。
このように導光板27の両面に凹部30が設けられていれば、入力キー21の下方に形成されている押し子29とドームスイッチ25のドーム部を凹部30にそれぞれ嵌め込むように重ねることができる。従って、キーモジュール20全体をさらに薄くすることができる。また、クリック感もさらに向上させることもできる。
ここで、凹部30の開口径d、dや深さt、tは、表面27a側と裏面27b面側で異なっていていてもよい。すなわち、押し子29およびドームスイッチ25の大きさや形状に合わせて、上記効果を生じるように適宜変更することができる。また、出射構造26も表面27a側と裏面27b側のいずれか一方、あるいは両方に設けていてもよい。
【0058】
(実施の形態2)
図5は、発明の実施の形態2におけるキーモジュールを模式的に示す平面図である。また、図6は、図5に示すIII−III線における断面模式図である。なお、図3と同一符号のものは、同一又は相当物であり、以下の説明を省略する。
【0059】
同図に示すように、凹部30は表面27a上に設けられており、凹部30の深さtは受光部31から遠い位置にあるものほど近い位置にあるものよりも深くなるように形成されている。また、出射構造26は裏面27bに入力キー21に対応して設けられている。
【0060】
一般に、導光板27内部において、受光部31から入射した光は、受光部31から遠ざかるほど強度が弱くなる。これは、導光板内部を伝搬する光は拡散や出射をしながら、あるいは一部ロスしながら伝搬していくためである。しかし、これによれば、受光部からの距離が遠い位置に設けられた凹部ほど深さが深く形成されている。そのため、光の強度が弱くなる位置ほど当該箇所を伝搬する光が導光板の表面と裏面間で反射する頻度が増加することになるため、光の出射効率を高められることになる。従って、入力キー21を受光部31からの距離によらず均一に照光することができる。
【0061】
図7は、図6に示すキーモジュールの変形例を示す模式断面図である。
同図によれば、凹部30が裏面27b上に設けられ、出射構造26が表面27a上に設けられている点で異なっている。このように、裏面27b側に凹部30が設けられていれば、凹部30にドームスイッチ25のドーム部を嵌め込むように重ねて配置することができるとともに、導光板全体として入力キーを受光部31からの距離によらず均一に照光することができる。
【0062】
なお、凹部30は、導光板27の表面27aと裏面27bの両面上に設けていてもよく、その場合よりキーモジュール20をより一層薄型化することができる。さらに、出射構造26も導光板27のいずれか一方の面あるいは両面に形成してもよく、凹部30が形成された面に形成される場合は、凹部30の表面に形成してもよい。さらに、出射構造26は入力キー21に対応して設けられることが、入力キー21を照光するという観点から望ましいが、入力キー21以外の箇所を照光する必要があれば、当該箇所にも設けてもよい。
【0063】
(実施の形態3)
図8は、実施の形態3における導光板の面上に形成された出射構造のパターンを示す平面図である。
【0064】
同図に示すように、出射構造26は受光部31から遠くなるほど出射構造26を構成するパターンの間隔を小さくすることで密度を大きくしている。これにより、受光部31から離れても出射構造26から出射する光量が少なくなることがなく、導光板27全体として均一に入力キー21を均一に照光することができる。すなわち、光利用効率を高めて省電力化を図りながらも確実に照光をすることができる。
【0065】
図9は、図8に示す導光板の変形例を示す平面図である。
【0066】
同図に示すように、出射構造26は受光部31から遠くなるほど出射構造26を構成するパターンの大きさを大きくすることで密度を大きくしている。これにより、受光部31から離れても出射構造26から出射する光量が少なくなることがなく、導光板27全体として、入力キー21を受光部31からの距離によらず均一に照光することができる。すなわち、光利用効率を高めて省電力化を図りながらも確実に照光をすることができる。
【0067】
図10は、図8に示す導光板の変形例を示す平面図である。
【0068】
同図に示すように、出射構造26は入力キー21に対応する位置に設けられており、かつ、受光部31から遠くなるほど出射構造26を構成するパターンの数を多くすることにより密度を高めている。これにより、本来照光したい入力キー21のみを光らすことができるとともに、受光部31から離れても導光板27全体として均一に入力キー21を照光することができる。また、入力キー21以外の所では光を出射しないため、光利用効率を高め、省電力化を図る上でも適している。
【0069】
ここでは入力キー21に対応する位置においてパターン密度を高めて入力キー21を照光することについて説明したが、入力キー21に対応した位置にのみ、図8または図9に示すような出射構造26を設けることでも同様に、本来照光したい入力キー21のみを確実に照光することができる。
【0070】
なお、ここでいうパターンとは、形状は特に限定されず、円形、矩形、文字・記号の形等いずれの形状であってもよい。また、当該パターンは、導光板27の面上に設けられた突起を有する凸型形状だけでなく、窪みを有する凹型形状でもよい。さらに、当該パターンは光散乱剤を含有したインクを印刷することにより形成されていてもよく、光源22から離れるほど光散乱剤の反射率を高くする、光散乱剤の含有量を多くする、あるいはインクの屈折率を変化させることにより、入力キー21を均一に照光することもできる。
【0071】
ここでは、本発明に係るキーモジュールを入力手段として用いる携帯電話機について説明したが、例えば、PDA(Personal Digital Assistants;個人用携帯端末)などの電子機器にも同様に用いることもできる。また、キーモジュールにおいて用いられる電気信号等の伝達回路基板は、フレキシブルプリント配線板を用いて説明したが、リジッドタイプのプリント配線板であってもよい。
【0072】
上記開示された本発明の実施の形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態1におけるキーモジュールを組み込んだ携帯電話機の構造を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1に示す携帯電話機のキーモジュールを模式的に示す平面図である。
【図3】図2に示すII−II線における断面模式図である。
【図4】図3に示すキーモジュールの変形例を示す模式断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2におけるキーモジュールを模式的に示す平面図である。
【図6】図5に示すIII−III線における断面模式図である。
【図7】図6に示すキーモジュールの変形例を示す模式断面図である。
【図8】実施の形態3における導光板の面上に形成された出射構造のパターンを示す平面図である。
【図9】図8に示す導光板の変形例を示す平面図である。
【図10】図8に示す導光板の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0074】
10 携帯電話機
12 表示部
13 入力部
14 ヒンジ部
15 液晶表示装置
16 スピーカー
17 マイク
20 キーモジュール
21 入力キー
22 光源
23 フレキシブルプリント配線板
24 光反射部材
25 ドームスイッチ
26 出射構造
27 導光板
27a 表面
27b 裏面
28 ラバーシート
29 押し子
30 凹部
31 受光部
開口径
開口径
深さ
深さ
D ドーム径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ以上の入力キーと、
前記入力キーの下方に配置され、前記入力キーの押圧によってスイッチングされるドームスイッチと、
前記入力キーと前記ドームスイッチとの間に配置され、光源から入射した光を出射して前記入力キーの下方から照光する導光板とを備えた、キーモジュールであって、
前記導光板は、表面の前記入力キーと対向する部分に凹部を備えていることを特徴とする、キーモジュール。
【請求項2】
前記導光板は、さらに裏面の前記ドームスイッチに対向する部分にも凹部を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のキーモジュール。
【請求項3】
前記凹部の開口径が、前記ドームスイッチのドーム部の最大径の1/2以上であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のキーモジュール。
【請求項4】
前記導光板は、複数の前記凹部を備えるとともに、側面の一部に光源からの光が入射される受光部を備えており、
前記凹部の深さは、前記受光部からの距離が遠い位置に設けられた凹部の深さが、前記受光部からの距離が近い位置に設けられた凹部の深さよりも深く形成されていることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のキーモジュール。
【請求項5】
複数の入力キーと、
前記入力キーの下方に配置され、前記入力キーの押圧によってスイッチングされるドームスイッチと、
前記入力キーと前記ドームスイッチとの間に配置され、光源から入射した光を出射して前記入力キーの下面から照光する導光板とを備えた、キーモジュールであって、
前記導光板は、裏面のドームスイッチ側と対向する部分に凹部を備えるとともに、側面の一部に光源からの光が入射される受光部とを備えており、
前記凹部の深さは、前記受光部からの距離が遠い位置に設けられた凹部の深さが、前記受光部からの距離が近い位置に設けられた凹部の深さよりも深く形成されていることを特徴とする、キーモジュール。
【請求項6】
前記導光板の前記入力キーに対応する部分には、前記導光板の表面または裏面側に光を出射しやすくした出射構造がさらに設けられていることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のキーモジュール。
【請求項7】
前記出射構造は前記表面または裏面上に形成された突起あるいは窪みによる凹凸パターン、または光散乱剤を含む印刷パターンであり、
前記受光部から離れるほどパターンの密度が大きくなるように、前記パターン間の距離を小さくするあるいは前記パターンの大きさを大きくするように形成されていることを特徴とする、請求項6に記載のキーモジュール。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のキーモジュールに用いられる導光板。
【請求項9】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のキーモジュールを入力手段として用いた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−153042(P2010−153042A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326647(P2008−326647)
【出願日】平成20年12月23日(2008.12.23)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】