説明

ギヤ空転機構およびディスクプレーヤ

【課題】ディスクプレーヤのディスク挿入時や引き抜き時の不快感を大幅に緩和可能で、かつ、安価、小型化、軽量化が可能なギヤ空転機構を提供する。
【解決手段】モータにより回転駆動されるギヤ列が組み合わされて構成される動力伝達部として、モータからの回転駆動力を受け取る第1ギヤ5と負荷側の搬送用ローラに回転駆動力を伝達する第2ギヤ6と該第2ギヤ6の内周側に設けた内歯ギヤ63と噛合するギヤ73を外周側に有する遊星ギヤ7とを少なくとも備え、遊星ギヤ7の出力側の面に形成されたボス71と係合させ、該ボス71が自由に移動可能な幅を円周方向に穿設したストッパ61を、あらかじめ空転範囲として定めた調整幅に応じて、第2ギヤ6の入力側の面に穿設して備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギヤ空転機構およびディスクプレーヤに関し、特に、ディスクプレーヤの動力伝達部におけるギヤの空転機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1の特開2003−166604号公報「動力伝達機構」に記載されているように、MD、CD、DVDなどのディスクに情報の記録、再生のいずれか一方または双方の動作を行うディスクプレーヤの本体内には、ディスクの記録・再生時にディスク挿入口から挿入されたディスクをターンテーブルまで搬送して載置したり、逆に、記録・再生済みのディスクの排出時にターンテーブルからディスクをディスク挿入口まで搬送したりするための動力伝達部が備えられている。
【0003】
該動力伝達部は、モータにより回転駆動されるギヤ列が組み合わされて構成されており、該ギヤ列の回転動作により搬送用ローラをディスク表面に圧着させるとともに、該搬送用ローラを回転させてディスクを搬送する構成とされているが、利用者がディスクをディスク挿入口に挿入したり、ディスクをディスク挿入口から引き抜いたりし易くするために、例えば、図3に示すように、ギヤが空転して搬送用ローラが自由に回転することを可能とする空転機構が備えられている。
【0004】
図3は、従来のディスクプレーヤの動力伝達部におけるギヤ空転機構を示す模式図であり、図3(A)は、ギヤ間に1個のレバーを緩挿させた場合を示し、図3(B)は、ギヤの空転範囲を拡大するために、ギヤ間に複数個のレバーを緩挿させた場合を示している。なお、説明を簡明にするために、以下の説明においては、図3の紙面上の左側つまりモータに近い側を表面側、図3の紙面上の右側つまりモータから離れた側を裏面側と表現することとする。
【0005】
図3(A)は、モータからの回転駆動力を受ける第1ギヤ1と、ローラ側へ回転駆動力を伝達する第2ギヤ2との間に、1枚のレバー3が緩挿されている。つまり、レバー3の両面の中心に形成された凸部32、凸部33が、第1ギヤ1、第2ギヤ2の中心にそれぞれ穿設されている孔12、孔23に緩挿された状態に組み立てられる。ここで、第1ギヤ1のレバー3に当接する裏面側にはボス11が、第2ギヤ2のレバー3に当接する表面側にはボス21が、それぞれ、設けられており、レバー3の外周部には突起部(ノブ)31が設けられている。
【0006】
図3(A)において、モータからの回転駆動を受けて、第1ギヤ1が図3(A)の矢印方向に回転すると、第1ギヤ1の裏面に設けられたボス11が回転して、レバー3の外周部に設けられた突起部31の側面31aに接触して、レバー3が、第1ギヤ1と同一方向すなわち図3(A)の矢印方向に回転する。
【0007】
しかる後、レバー3の外周部に設けられた突起部31の他方の側面31bが、第2ギヤ2の表面に設けられたボス21に接触すると、第2ギヤ2も、第1ギヤ1と同一方向すなわち図3(A)の矢印方向に回転する。第2ギヤ2の回転により、ディスクを搬送する搬送用ローラへ回転力が伝達されることになる。
【0008】
以上のように、モータの回転が搬送用ローラに伝達されるまでに、1枚のレバー3が介在することにより、搬送用ローラが自由に回転することが可能な空転範囲を設定することができるので、ディスクの挿入時や引き抜き時に、ディスクを扱う利用者に不快感を与えることを防止することができる。
【0009】
また、図3(B)は、複数枚のレバー(図3(B)の例では、2枚のレバー)をギヤ間に緩挿させた場合を示しており、第1ギヤ1と第2ギヤ2との間に、2枚のレバー3およびレバー4が緩挿されている。つまり、レバー3の表面の中心に形成された凸部32が、第1ギヤ1の中心に穿設されている孔12に緩挿され、レバー4の両面の中心に形成された凸部42、凸部43が、レバー3、第2ギヤ2の中心にそれぞれ穿設されている孔34、孔23に緩挿された状態に組み立てられる。ここで、第1ギヤ1のレバー3に当接する裏面側およびレバー4に当接するレバー3の裏面側には、それぞれ、ボス11およびボス35が、また、第2ギヤ2のレバー4に当接する表面側にはボス21が、それぞれ、設けられており、レバー3およびレバー4の外周部にはそれぞれ突起部(ノブ)31および突起部(ノブ)41が設けられている。
【0010】
図3(B)において、モータからの回転駆動を受けて、第1ギヤ1が図3(B)の矢印方向に回転すると、第1ギヤ1の裏面に設けられたボス11が回転して、レバー3の外周部に設けられた突起部31の側面31aに接触して、レバー3が、第1ギヤ1と同一方向すなわち図3(B)の矢印方向に回転する。
【0011】
しかる後、レバー3の外周部に設けられた突起部31のボス35が、次段のレバー4の外周部に設けられた突起部41の側面41aに接触すると、次段のレバー4が、第1ギヤ1と同一方向すなわち図3(B)の矢印方向に回転する。
【0012】
さらに、レバー4の外周部に設けられた突起部41の他方の側面41bが、第2ギヤ2の表面に設けられたボス21に接触すると、第2ギヤ2も、第1ギヤ1と同一方向すなわち図3(A)の矢印方向に回転する。第2ギヤ2の回転により、ディスクを搬送する搬送用ローラへ回転力が伝達されることになる。
【0013】
以上のように、モータの回転が搬送用ローラに伝達されるまでに、2枚のレバー3、レバー4が介在することにより、搬送用ローラが自由に回転することが可能な空転範囲を、図3(A)の場合よりもより拡大させて設定することができるので、ディスクの挿入時や引き抜き時に、ディスクを扱う利用者に対して、より確実に不快感を与えないように調整することができる。かくのごとく、必要に応じて、レバーの枚数を追加していくことにより、ギヤの空転範囲を所望の範囲に調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2003−166604号公報(第2−3頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、図3に示すような従来のギヤの空転機構においては、レバー3、レバー4のように、ギヤの空転範囲を調整するための部品を、所望の調整範囲に応じて、1ないし複数枚、必要な枚数分、追加することが必要であり、その分、ディスクプレーヤのコストが高くなるという問題がある。
【0016】
さらには、ギヤの空転範囲を調整するための部品の追加により、ディスクプレーヤの容積や重量も増加することになり、ディスクプレーヤの小型化、軽量化の妨げになっている。
【0017】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、新たな部品を追加することなく、動力伝達部におけるギヤの空転範囲の調整が可能なギヤ空転機構およびディスクプレーヤを提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前述の課題を解決するため、本発明によるギヤ空転機構およびディスクプレーヤは、次のような特徴的な構成を採用している。
【0019】
(1)モータにより回転駆動されるギヤ列が組み合わされて構成される動力伝達部として出力側のギヤを自由に空転させる機構を備えたギヤ空転機構において、モータからの回転駆動力を受け取る第1ギヤと負荷側に回転駆動力を伝達する第2ギヤと該第2ギヤの内周側に設けた内歯ギヤと噛合するギヤを外周側に有する遊星ギヤとを少なくとも備え、前記遊星ギヤの出力側の面に形成されたボスと係合させ、該ボスが自由に移動可能な幅で円周方向に穿設したストッパを、あらかじめ空転範囲として定めた調整角度に応じて、前記第2ギヤの入力側の面に穿設して備えているギヤ空転機構。
(2)前記ストッパとして穿設された孔を開閉自在に覆う羽根を備えることにより、前記ストッパとして穿設された孔の角度を可変に調整可能とする上記(1)のギヤ空転機構。
(3)ディスクをディスク挿入口とターンテーブルとの間を搬送するためのギヤ列を動力伝達部として備えたディスクプレーヤにおいて、前記動力伝達部に、上記(1)または(2)のギヤ空転機構を備えているディスクプレーヤ。
【発明の効果】
【0020】
本発明のギヤ空転機構およびディスクプレーヤによれば、以下のような効果を得ることができる。
【0021】
ギヤの空転範囲を調整するための新たな部品の追加が不要であり、動力伝達部としてギヤ空転機構を備えた装置例えばディスクプレーヤのコストの低減、小型化、軽量化を図ることができる。
【0022】
而して、かかるギヤ空転機構をディスクプレーヤに備えることにより、ディスクの挿入時や引き抜き時の不快感を大幅に緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るギヤ空転機構の構成の一例を示す模式図である。
【図2】図1に示すギヤ空転機構の動作の一例を説明するための説明図である。
【図3】従来のディスクプレーヤの動力伝達部におけるギヤ空転機構を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明によるギヤ空転機構およびディスクプレーヤの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。
【0025】
(本発明に係る実施形態の構成)
まず、本発明に係るギヤ空転機構の一実施形態の構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係るギヤ空転機構の構成の一例を示す模式図であり、本発明によるディスクプレーヤの動力伝達部におけるギヤ空転機構の構成の一例を示している。図1(A)は、モータからの回転駆動力を受け取る第1ギヤ5と搬送用ローラへ回転駆動力を伝達するための第2ギヤ6との間に遊星ギヤ7が介在している様子を示す分解図であり、図1(B)は、第2ギヤ6および遊星ギヤ7の断面形状を示す断面図である。なお、説明を簡明にするために、以下の説明においては、図1の紙面上の左側つまりモータに近い側つまり入力側を表面側、図1の紙面上の右側つまりモータから離れた側つまり出力側を裏面側と表現することとする。
【0026】
図1(A)に示すように、モータからの回転駆動力を受ける第1ギヤ5と出力側の負荷である搬送用ローラ側へ回転駆動力を伝達する第2ギヤ6とは、中心が同一延長線上になるように、孔52、孔62それぞれに回転軸が挿入されることにより、同一の中心軸の周りを矢印方向に回転するように構成される。また、第1ギヤ5と第2ギヤ6との間に介在する遊星ギヤ7は、その中心に穿設されている孔72が第1ギヤ5の裏面側に設けられたボス51に緩挿された状態に組み立てられる。
【0027】
また、遊星ギヤ7は、その外周部に形成されているギヤ73が、図1(B)に示すように、第2ギヤ6の内歯ギヤ63に噛合された状態に組み立てられ、裏面側に設けられたボス71は、第2ギヤ6の表面側に穿設して形成されているストッパ61と係合するように組み立てられる。なお、ストッパ61の形状については、あらかじめ定めた角度までドーナツ型に穿設された形状であり、詳細は後述の図2に示す。
【0028】
図1に示すように、本実施形態のギヤ空転機構は、空転機構内に、太陽ギヤの位置付けとなる第2ギヤ6に設けられた内歯ギヤ63と、該内歯ギヤ63と噛合する遊星ギヤ7とを備えるとともに、遊星ギヤ7の裏面側に設けたボス71と係合させ、該ボス71を自由に移動可能とするための任意の幅(つまりあらかじめ調整すべき空転範囲として定めた所望の調整幅)を有するストッパ61が、第2ギヤ6の表面側に穿設されることにより、空転範囲を調整することができる所望の範囲を、新たな部品の追加を行うことなく、従来技術に比し、任意の幅まで大幅に拡大することができる。
【0029】
つまり、モータからの回転駆動を受けて、第1ギヤ5が図1(A)の矢印方向に回転すると、第1ギヤ5の裏面に設けられたボス51が回転して、該ボス51に係合している該第2ギヤ6の内周部に設けられた内歯ギヤ63との噛合いによって、遊星ギヤ7が、第1ギヤ5と逆方向すなわち図1(A)の矢印方向に回転する。
【0030】
ここで、遊星ギヤ7は、第1ギヤ5が一回転する都度、第2ギヤ6の内歯ギヤ63と遊星ギヤ7の外周部に形成されているギヤ73との歯数の差分だけ回転する。
【0031】
第1ギヤ5の回転が継続することにより、遊星ギヤ7の回転が進んでいって、遊星ギヤ7の裏面側に設けられたボス71が、第2ギヤ6の表面側にドーナツ型に穿設して形成されているストッパ61の終縁部に当接すると、遊星ギヤ7が回転移動することができなくなる。この結果、第1ギヤ5と第2ギヤ6とが自由には回転することができなくなり、第1ギヤ5と第2ギヤ6とが連動して搬送用ローラ側へ回転駆動力を伝達するようになり、モータからの回転駆動力が搬送用ローラに直接伝達されることになる。
【0032】
以上の構成により、搬送用ローラとモータとの間の空転する範囲つまり搬送用ローラが自由に回転することができる範囲を大きく設定することができる。
【0033】
次に、図1のギヤ空転機構の動作について、図2を用いてさらに説明する。図2は、図1に示すギヤ空転機構の動作の一例を説明するための説明図であり、図2(a)→図2(b)→図2(c)→図2(d)→図2(e)の順序で、第2ギヤ6、遊星ギヤ7の状態が遷移していく様子を示している。なお、図2においては、第2ギヤ6の内歯ギヤ63の歯数(z)が18であり、遊星ギヤ7のギヤ73の歯数(z)が15の場合を例示している。
【0034】
まず、図2(a)の初期状態においては、遊星ギヤ7のボス71が、第2ギヤ6のストッパ61の始縁部に当接していて、第2ギヤ6の内歯ギヤ63と遊星ギヤ7のギヤ73の第1歯同士が噛合している状態にある。ここで、第1ギヤ5のボス51つまり遊星ギヤ7の中心が、図2(b)に示す矢印方向に4歯分回転すると、図2(b)に示すように、第2ギヤ6の内歯ギヤ63と遊星ギヤ7のギヤ73の第5歯同士が噛合している状態になり、遊星ギヤ7のボス71が第2ギヤ6のストッパ61の始縁部から終縁部に向かって若干移動した状態に移行する。
【0035】
しかる後、図2(b)の状態から、第1ギヤ5のボス51つまり遊星ギヤ7の中心が、図2(c)に示す矢印方向に10歯分回転して、遊星ギヤ7のギヤ73の歯数(z=15)だけ回転すると、図2(c)に示すように、第2ギヤ6の内歯ギヤ63と遊星ギヤ7のギヤ73の第15歯同士が噛合している状態になり、遊星ギヤ7のボス61が第2ギヤ6のストッパ61の始縁部から終縁部に向かってさらに移動した状態に移行する。
【0036】
図2(c)の状態から、第1ギヤ5のボス51つまり遊星ギヤ7の中心が、図2(d)に示す矢印方向に3歯分回転して、第1ギヤ5のボス51つまり遊星ギヤ7の中心が1回転すると、図2(d)に示すように、第2ギヤ6の内歯ギヤ63の第1歯と遊星ギヤ7のギヤ73の第4歯が噛合している状態になり、第1ギヤ5が1回転する都度、遊星ギヤ7は、(3/15)回転している状態になる。つまり、第1ギヤ5が1回転する都度、遊星ギヤ7のボス71は、第2ギヤ6のストッパ61の始縁部から終縁部に向かって、(3/15)ずつ回転移動していくことになる。
【0037】
図2(d)において、第1ギヤ5のボス51つまり遊星ギヤ7の中心が、さらに回転を継続すると、遊星ギヤ7のボス71は、第2ギヤ6のストッパ61の始縁部から終縁部に向かって、第2ギヤ6のストッパ61の調整幅(つまり始縁部から終縁部に至るまでの角度)としてあらかじめ定めたボス71の可動範囲に応じて、さらに移動していく。第1ギヤ5のボス51つまり遊星ギヤ7の中心が、n回転して、遊星ギヤ7のボス71が、第2ギヤ6のストッパ61の終縁部に当接すると、遊星ギヤ7が回転できなくなり、第1ギヤ5と第2ギヤ6とが連動して搬送用ローラ側へ回転駆動力を伝達するようになり、モータからの回転駆動力が搬送用ローラに直接伝達されることになる。
【0038】
つまり、前述のように、第2ギヤ6と遊星ギヤ7との歯数を、それぞれ、18,15に設定している場合、第1ギヤ5が一回転する都度、遊星ギヤ7のボス71は、第2ギヤ6のストッパ61の始縁部から終縁部に向かって、(3/15)ずつ回転移動し、第2ギヤ6のストッパ61の始縁部から終縁部に至るまでのあらかじめ定めた角度(遊星ギヤ7のボス71の可動範囲)として、例えば、180度に設定している場合には、第1ギヤ5が2.5回転した時点で、遊星ギヤ7のボス71が、第2ギヤ6のストッパ61の終縁部に当接する。この結果、搬送用ローラへ駆動力を伝達する第2ギヤ6に対してモータからの回転駆動力が直接伝達されることになる。
【0039】
かくのごとく、第2ギヤ6のストッパ61の始縁部から終縁部に至るまでのあらかじめ定めた角度(遊星ギヤ7のボス71の可動範囲)を、必要に応じて任意の調整幅に調整することにより、搬送用ローラとモータとの間の空転範囲つまり搬送用ローラが自由に回転することができる範囲を適切に調整することができる。なお、ストッパ61の幅のみならず、第2ギヤ6の内歯ギヤ63と遊星ギヤ7のギヤ73との歯数の比を、所望の調整幅に応じて設定することとしても良いし、さらには、第2ギヤ6のストッパ61として穿設された孔を複数枚の羽根により開閉自在に覆うように構成することにより、用途に応じて、複数枚の当該羽根を重ねたり広げたりして、所望の調整幅に可変に調整することを可能な構成とするようにしても良い。
【0040】
(本実施形態の効果)
以上に説明したように、本実施形態によれば、第2ギヤ6の内歯ギヤ63と遊星ギヤ7のギヤ73とを使用し、第2ギヤ6のストッパ61として、始縁部から終縁部に至るまでのあらかじめ定めた角度(つまり、遊星ギヤ7のボス71の可動範囲)を適切に設定することにより、従来技術のような空転範囲を確保するためのレバーを追加することが不要となり、空転機構としてスペースを増やすことなく、空転範囲を大幅に拡大することができる。
【0041】
以上、本発明の好適実施例の構成を説明した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【符号の説明】
【0042】
1 第1ギヤ
2 第2ギヤ
3 レバー
4 レバー
5 第1ギヤ
6 第2ギヤ
7 遊星ギヤ
11 ボス
12 孔
21 ボス
23 孔
31 突起部(ノブ)
31a 側面
31b 側面
32 凸部
33 凸部
34 孔
35 ボス
41 突起部(ノブ)
41a 側面
41b 側面
42 凸部
43 凸部
51 ボス
52 孔
61 ストッパ
62 孔
63 内歯ギヤ
71 ボス
72 孔
73 ギヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータにより回転駆動されるギヤ列が組み合わされて構成される動力伝達部として出力側のギヤを自由に空転させる機構を備えたギヤ空転機構において、モータからの回転駆動力を受け取る第1ギヤと負荷側に回転駆動力を伝達する第2ギヤと該第2ギヤの内周側に設けた内歯ギヤと噛合するギヤを外周側に有する遊星ギヤとを少なくとも備え、前記遊星ギヤの出力側の面に形成されたボスと係合させ、該ボスが自由に移動可能な幅で円周方向に穿設したストッパを、あらかじめ空転範囲として定めた調整角度に応じて、前記第2ギヤの入力側の面に穿設して備えていることを特徴とするギヤ空転機構。
【請求項2】
前記ストッパとして穿設された孔を開閉自在に覆う羽根を備えることにより、前記ストッパとして穿設された孔の角度を可変に調整可能とすることを特徴とする請求項1に記載のギヤ空転機構。
【請求項3】
ディスクをディスク挿入口とターンテーブルとの間を搬送するためのギヤ列を動力伝達部として備えたディスクプレーヤにおいて、前記動力伝達部に、請求項1または2に記載のギヤ空転機構を備えていることを特徴とするディスクプレーヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−203550(P2010−203550A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51089(P2009−51089)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】