説明

クライオポンプ及びフィルタ装置

【課題】実用性に優れるフィルタ構造を有するクライオポンプを提供する。
【解決手段】クライオポンプは、外部環境からクライオポンプ内部空間を画定するクライオポンプ容器30と、クライオポンプ容器30に接続されており、クライオポンプ内部空間から外部環境へと流体を排出するための排出ダクト82と、排出ダクト82を排出される流体から異物を除去するためのフィルタ102と、フィルタ102を排出ダクト82に取り付けるためのフィルタ取付部材108と、を備え、フィルタ102を迂回させるためのバイパス流路112の少なくとも一部がフィルタ取付部材108に形成されているフィルタ構造100と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クライオポンプ、及びクライオポンプに使用するためのフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、排出用フィルタを備えたクライオポンプが記載されている。フィルタパイプ搭がクライオポンプの逃がし管内に組込まれている。逃がし管は排出管にT字に接続され、その排出管は真空チャンバを形成するハウジングに接続される。逃がし管の終端に逃がし弁が取り付けられる。フィルタパイプ搭は、逃がし流路内の取付け位置から排出流路に延出している。フィルタパイプ搭は、排出流路内に配置された開口リムを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2002−501146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のクライオポンプのフィルタパイプ搭は中空の円錐型スクリーンであり、粒子が詰まったときにガスを流すための開口が空けられている。そのため、フィルタパイプ搭を延出させ開口リムを排出流路に十分に近づけて開口へ流入する粒子を減らすようにしなければ、逃がし弁へと開口を漏れ流れる粒子を十分に捕獲することはできない。排出流路にフィルタパイプ搭を延出させるためのT字管も必要である。よって、フィルタの構成や配置、さらにその取付構造に設計上の自由度は小さい。
【0005】
本発明の目的の1つは、クライオポンプから流体を排出するための経路に取り付けるのに好適なフィルタ構造及びそのフィルタ構造をもつクライオポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様のクライオポンプは、外部環境からクライオポンプ内部空間を画定するクライオポンプ容器と、前記クライオポンプ容器に接続されており、前記クライオポンプ内部空間から外部環境へと流体を排出するための排出ダクトと、前記排出ダクトを排出される流体から異物を除去するためのフィルタと、該フィルタを前記排出ダクトに取り付けるためのフィルタ取付部材と、を備え、該フィルタを迂回させるためのバイパス流路の少なくとも一部が前記フィルタ取付部材に形成されているフィルタ構造と、を備える。
【0007】
この態様によると、排出ダクトに取り付けられるフィルタ構造は、フィルタを迂回させるためのバイパス流路をもつ。このため、通常はフィルタを通じて流体が排出され、フィルタに目詰まりが生じたときにはバイパス流路を通じて内圧を逃がすことができる。よって、クライオポンプ内部の不測の内圧上昇を抑制し、クライオポンプの安全性を高めることができる。また、フィルタ取付部材を介してフィルタを取り付けるようにすることにより、取付位置またはその態様の柔軟性を高めることも可能となる。フィルタ取付部材にバイパス流路の少なくとも一部を形成することにより、排出ダクト内部の限られた空間に効率的にバイパス流路を収めることも可能となる。
【0008】
前記フィルタは、前記排出ダクトの流れ方向の下流側に底部をもち上流側が開放された有底形状を有し、該有底形状の内部にフィルタ内部空間が形成されていてもよい。前記フィルタ取付部材は、前記フィルタ内部空間に流れを導く導管を含んでもよい。該導管の末端が前記フィルタ内部空間へと突き出しており、該導管の末端と前記フィルタの開放端との間隙が前記バイパス流路の入口を形成してもよい。このようにすれば、フィルタ内部空間への通常の流れとは逆向きの流れをバイパス流路の入口に生成することができる。よって、フィルタが有効に機能しているときにバイパス流路に進入する流れを抑制または最小化することができる。
【0009】
前記フィルタ構造は、前記フィルタへ向かう排出流れの流路面積を狭くする内管と該内管の外側に形成される外管とを有する二重管構造を備えてもよい。前記バイパス流路は前記内管を前記外管に接続してもよい。バイパス流路が二重管構造の内管から外管へと流れを導くことにより、フィルタの外側へと流れを迂回させることができる。よって、必ずしもバイパスのための開口をフィルタに直接設けなくてもよくなる。また、フィルタへと向けて流路面積を狭くする内管をもつ構造を採用することにより、フィルタ設置のために大径の排出ダクトに交換するのではなく、既存の排出ダクトにフィルタ構造を設置することが容易となる。
【0010】
前記フィルタ及び前記フィルタ取付部材は前記排出ダクトに収容され流れ方向に互いに隣接していてもよい。前記バイパス流路は、前記排出ダクトの断面の面内方向に流体を流すための主バイパス路を含んでもよい。該主バイパス路は前記フィルタ取付部材に形成されていてもよい。フィルタとフィルタ取付部材とを流れ方向にずらして配置することにより、排出ダクト断面におけるフィルタ面の占有率を大きくすることができる。面内方向の主バイパス路をフィルタ取付部材に形成することで、主バイパス路も比較的広くすることが可能となる。
【0011】
前記バイパス流路は、入口部分と、該入口部分よりも広い中間部分と、該中間部分より狭い出口部分と、を備えてもよい。入口部分を相対的に狭くすることにより、フィルタが有効に機能しているときにバイパス流路に進入する流れを抑制することができる。中間部分を相対的に広くすることにより、バイパス流路の実効的な開口面積を広くすることが可能となる。出口部分を比較的狭くすることにより、例えば、排出ダクト内の限られた空間にバイパス流路を効率的に収めることができる。
【0012】
前記バイパス流路は、前記排出ダクトの流れ方向とは逆方向に流体を流すための第1間隙と、第1間隙を通過した流体を前記フィルタの下流へと合流させるための第2間隙と、を含んでもよい。間隙であることにより、フィルタを流れる通常の流路を広く取ることができる。
【0013】
前記フィルタ構造は、クランプ形継手のセンターリングを備えてもよい。このようにすれば、真空装置の配管に典型的なクランプ形継手にフィルタ構造を容易に適用することができる。フィルタ構造の交換やメンテナンスも容易となる。
【0014】
クライオポンプは、前記排出ダクトの流れ方向において前記フィルタ構造よりも下流に設けられており、前記クライオポンプ容器の外部よりも内部のほうが高圧である設定差圧が作用したときに機械的に開弁される常閉型の弁をさらに備えてもよい。このようにすれば、クライオポンプの内圧を逃がすための安全弁として機能させることができる。流れがフィルタを迂回可能であることにより、弁の上流のフィルタが目詰まりしたときにもクライオポンプの内圧が安全弁に作用することが保証されるため、クライオポンプの安全性を高めることができる。
【0015】
本発明の別の態様は、フィルタ装置である。この装置は、クライオポンプから外部環境に流体を放出するための放出ラインで使用するためのフィルタ装置であって、流体から異物を除去するためのフィルタと、該フィルタを放出ラインに支持するフィルタ支持部と、を備え、該フィルタを迂回させるためのバイパス流路の少なくとも一部が前記フィルタ支持部に形成されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、実用性に優れるフィルタ構造を有するクライオポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るクライオポンプを模式的に示す図である。
【図2】ダクトに取り付けられたフィルタの一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るフィルタ構造を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るフィルタ構造を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るフィルタ構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るクライオポンプ10を模式的に示す図である。クライオポンプ10は、例えばイオン注入装置やスパッタリング装置等の真空チャンバに取り付けられて、真空チャンバ内部の真空度を所望のプロセスに要求されるレベルまで高めるために使用される。クライオポンプ10は、クライオポンプ容器30と、放射シールド40と、冷凍機50と、を含んで構成される。
【0019】
冷凍機50は、例えばギフォード・マクマホン式冷凍機(いわゆるGM冷凍機)などの冷凍機である。冷凍機50は、第1シリンダ11、第2シリンダ12、第1冷却ステージ13、第2冷却ステージ14、バルブ駆動モータ16を備える。第1シリンダ11と第2シリンダ12は直列に接続される。第1シリンダ11の第2シリンダ12との結合部側には第1冷却ステージ13が設置され、第2シリンダ12の第1シリンダ11から遠い側の端には第2冷却ステージ14が設置される。図1に示す冷凍機50は、二段式の冷凍機であり、シリンダを直列に二段組み合わせてより低い温度を達成している。冷凍機50は冷媒管18を介して圧縮機52に接続される。
【0020】
圧縮機52は、例えばヘリウム等の冷媒ガス、すなわち作動気体を圧縮して、冷媒管18を介して冷凍機50に供給する。冷凍機50は、作動気体を蓄冷器を通過させることにより冷却しつつ、まず第1シリンダ11の内部の膨張室で、次いで第2シリンダ12の内部の膨張室で膨張させてさらに冷却する。蓄冷器は膨張室内部に組み込まれている。これにより、第1シリンダ11に設置される第1冷却ステージ13は第1の冷却温度レベルに冷却され、第2シリンダ12に設置される第2冷却ステージ14は第1の冷却温度レベルよりも低温の第2の冷却温度レベルに冷却される。例えば、第1冷却ステージ13は65K〜100K程度に冷却され、第2冷却ステージ14は10K〜20K程度に冷却される。
【0021】
膨張室で順次膨張することで吸熱し、各冷却ステージを冷却した作動気体は、再び蓄冷器を通過し、冷媒管18を経て圧縮機52に戻される。圧縮機52から冷凍機50へ、また冷凍機50から圧縮機52への作動気体の流れは、冷凍機50内のロータリバルブ(図示せず)により切り替えられる。バルブ駆動モータ16は、外部電源から電力の供給を受けて、ロータリバルブを回転させる。
【0022】
冷凍機50を制御するための制御部20が設けられている。制御部20は、第1冷却ステージ13または第2冷却ステージ14の冷却温度に基づいて冷凍機50を制御する。そのために、第1冷却ステージ13または第2冷却ステージ14に温度センサ(図示せず)が設けられていてもよい。制御部20は、バルブ駆動モータ16の運転周波数を制御することにより冷却温度を制御してもよい。そのために制御部20は、バルブ駆動モータ16を制御するためのインバータを備えてもよい。制御部20は圧縮機52、及び後述する各バルブを制御するよう構成されていてもよい。制御部20はクライオポンプ10に一体に設けられていてもよいし、クライオポンプ10とは別体の制御装置として構成されていてもよい。
【0023】
図1に示されるクライオポンプ10は、いわゆる横型のクライオポンプである。横型のクライオポンプとは一般に、冷凍機の第2冷却ステージ14が筒状の放射シールド40の軸方向に交差する方向(通常は直交方向)に沿って放射シールド40の内部に挿入されているクライオポンプである。なお、本発明はいわゆる縦型のクライオポンプにも同様に適用することができる。縦型のクライオポンプとは、放射シールドの軸方向に沿って冷凍機が挿入されているクライオポンプである。
【0024】
クライオポンプ容器30は、一端に開口を有し他端が閉塞されている円筒状の形状に形成された部位(以下、「胴部」と呼ぶ)32を有する。開口は、スパッタ装置等の真空チャンバから排気されるべき気体が進入する吸気口34として、設けられている。吸気口34はクライオポンプ容器30の胴部32の上端部内面により画定される。また胴部32には冷凍機50を挿通するための開口37が形成されている。胴部32の開口37には円筒状の冷凍機収容部38の一端が取り付けられ、他端は冷凍機50のハウジングに取り付けられている。冷凍機収容部38は冷凍機50の第1シリンダ11を収容する。
【0025】
またクライオポンプ容器30の胴部32の上端には径方向外側に向けて取付フランジ36が延びている。クライオポンプ10は、排気対象容積であるスパッタ装置等の真空チャンバに、取付フランジ36を用いて取り付けられる。
【0026】
クライオポンプ容器30は、クライオポンプ10の内部と外部とを隔てるために設けられている。上述のようにクライオポンプ容器30は胴部32と冷凍機収容部38とを含んで構成されており、胴部32及び冷凍機収容部38の内部は共通の圧力に気密に保持される。クライオポンプ容器30の外面は、クライオポンプ10の動作中、すなわち冷凍機が作動している間も、クライオポンプ10の外部の環境にさらされるため、放射シールド40よりも高い温度に維持される。典型的にはクライオポンプ容器30の温度は環境温度に維持される。ここで環境温度とは、クライオポンプ10が設置されている場所の温度、またはその温度に近い温度をいい、例えば室温程度である。
【0027】
クライオポンプ容器30には、制御弁70、ラフバルブ72、及びパージバルブ74が接続されている。制御弁70、ラフバルブ72、及びパージバルブ74はそれぞれ制御部20により制御される。また、クライオポンプ容器30の内圧を測定するための圧力センサ(図示せず)が設けられていてもよい。
【0028】
制御弁70は、放出ライン80の例えば末端に設けられている。あるいは制御弁70は放出ライン80の中途に設けられ末端には放出された流体を回収するためのタンク等が設けられていてもよい。制御弁70が開弁されることにより放出ライン80の流れが許容され、制御弁70が閉弁されることにより放出ライン80の流れが遮断される。排出される流体は基本的にはガスであるが、液体または気液の混合物であってもよい。例えばクライオポンプ10に凝縮されたガスの液化物が排出流体に混在していてもよい。制御弁70が開弁されることにより、クライオポンプ容器30の内圧が外部に解放される。
【0029】
放出ライン80は、クライオポンプ10の内部空間から外部環境へと流体を排出するための排出ダクト82を含む。排出ダクト82は例えばクライオポンプ容器30の冷凍機収容部38に接続されている。排出ダクト82は流れ方向に直交する断面が円形のダクトであるが、その他のいかなる断面形状を有してもよい。放出ライン80は、排出ダクト82を排出される流体から異物を除去するためのフィルタを含むフィルタ構造100を含む。フィルタ構造100は、放出ライン80において制御弁70の上流に設けられている。一実施例においてはフィルタ構造100は、放出ライン80に完全に収容されており、クライオポンプ容器30の外側に配置されている。フィルタ構造100は、取り外し可能に放出ライン80に取り付けられている。
【0030】
制御弁70は、いわゆる安全弁兼ベントバルブとして機能する。制御弁70は、排出ダクト82の流れ方向においてフィルタ構造100よりも下流に設けられている例えば常閉型の電磁開閉弁である。制御弁70は、所定の高圧である設定差圧が作用したときに機械的に開弁されるよう閉弁力が予め設定されている。設定差圧は例えば、クライオポンプ容器30に作用し得る内圧やポンプ容器30の構造的な耐久性等を考慮して適宜設定することができる。クライオポンプ10の外部環境は通常大気圧であるから、大気圧を基準として所定の高圧に設定される。
【0031】
制御弁70は、例えば再生中などのようにクライオポンプ10から流体を放出するときに制御部20によって開弁される。放出すべきでないときは制御部20によって制御弁70は閉弁される。このようにして、制御弁70はいわゆるベントバルブとして機能する。一方、制御弁70は、設定差圧が作用したときに機械的に開弁される。このため、クライオポンプ内部が何らかの理由で高圧となったときに制御を要することなく機械的に開弁される。それにより内部の高圧を逃がすことができる。こうして制御弁70は安全弁として機能する。このように制御弁70を安全弁と兼用することにより、2つの弁をそれぞれ設ける場合に比べてコストダウンや省スペース化という利点を得られる。
【0032】
なお、一実施例においては、機械的な安全弁といわゆるベントバルブとしての制御弁とを個別的にクライオポンプ10に設けてもよい。この場合、制御弁70に代えて、機械的な安全弁が放出ライン80に設けられ、フィルタ構造100がその安全弁の上流に設けられていてもよい。ラフバルブ72やパージバルブ74と同様に、機械的な安全弁とベントバルブとはクライオポンプ容器30に対し並列に接続される。
【0033】
また、後述するようにフィルタ構造100はバイパス付きフィルタを備える。フィルタを迂回させるための流路の少なくとも一部は、フィルタを支持するためのフィルタ支持部に形成される。例えばフィルタを排出ダクト82に取り付けるための取付部材に迂回路が形成されてもよいし、排出ダクト82のフィルタ取付部位である管壁に迂回路が形成されてもよい。
【0034】
排出流れに乗って制御弁70に達する異物がフィルタにより捕捉され、制御弁70を開閉したときの異物の噛み込みを防ぐことができる。それにより制御弁70のシール性を良好に維持することができる。その一方で、迂回路が設けられていることにより、異物の堆積でフィルタが仮に閉塞されたとしても流れの継続を保証することができる。よって、クライオポンプ容器30内部の過度の昇圧を避けることができる。
【0035】
ラフバルブ72は、図示しない粗引きポンプ(真空ポンプ)に接続される。ラフバルブ72の開閉により、粗引きポンプとクライオポンプ10とが連通または遮断される。パージバルブ74は図示しないパージガス供給装置に接続される。パージガスは例えば窒素ガスである。制御部20がパージバルブ74を制御することにより、パージガスのクライオポンプ10への供給が制御される。
【0036】
放射シールド40は、クライオポンプ容器30の内部に配設されている。放射シールド40は、一端に開口を有し他端が閉塞されている円筒状の形状、すなわちカップ状の形状に形成されている。放射シールド40は、図1に示されるような一体の筒状に構成されていてもよく、また、複数のパーツにより全体として筒状の形状をなすように構成されていてもよい。これら複数のパーツは互いに間隙を有して配設されていてもよい。
【0037】
クライオポンプ容器30の胴部32及び放射シールド40はともに略円筒状に形成されており、同軸に配設されている。クライオポンプ容器30の胴部32の内径が放射シールド40の外径を若干上回っており、放射シールド40はクライオポンプ容器30の胴部32の内面との間に若干の間隔をもってクライオポンプ容器30とは非接触の状態で配置される。すなわち、放射シールド40の外面は、クライオポンプ容器30の内面と対向している。なお、クライオポンプ容器30の胴部32および放射シールド40の形状は、円筒形状には限られず、角筒形状や楕円筒形状などいかなる断面の筒形状でもよい。典型的には、放射シールド40の形状はクライオポンプ容器30の胴部32の内面形状に相似する形状とされる。
【0038】
放射シールド40は、第2冷却ステージ14およびこれに熱的に接続される低温クライオパネル60を主にクライオポンプ容器30からの輻射熱から保護する放射シールドとして設けられている。第2冷却ステージ14は、放射シールド40の内部において放射シールド40のほぼ中心軸上に配置される。放射シールド40は、第1冷却ステージ13に熱的に接続された状態で固定され、第1冷却ステージ13と同程度の温度に冷却される。
【0039】
低温クライオパネル60は、例えば複数のパネル64を含む。パネル64は例えば、それぞれが円すい台の側面の形状、いわば傘状の形状を有する。各パネル64は、第2冷却ステージ14に取り付けられているパネル取付部材66に取り付けられている。各パネル64には通常活性炭等の吸着剤(図示せず)が設けられている。吸着剤は例えばパネル64の裏面に接着されている。
【0040】
パネル取付部材66は一端が閉塞され他端が開放されている円筒状の形状を有し、閉塞された端部が第2冷却ステージ14の上端に取り付けられて円筒状側面が第2冷却ステージ14を取り囲むように放射シールド40の底部に向けて延びている。パネル取付部材66の円筒状側面に複数のパネル64が互いに間隔をあけて取り付けられている。パネル取付部材66の円筒状側面には、冷凍機50の第2シリンダ12を通すための開口が形成されている。
【0041】
放射シールド40の吸気口には、真空チャンバ等からの輻射熱から第2冷却ステージ14およびこれに熱的に接続される低温クライオパネル60を保護するために、バッフル62が設けられている。バッフル62は、例えば、ルーバ構造やシェブロン構造に形成される。バッフル62は、放射シールド40の中心軸を中心とする同心円状に形成されていてもよいし、あるいは格子状等他の形状に形成されていてもよい。バッフル62は放射シールド40の開口側の端部に取り付けられており、放射シールド40と同程度の温度に冷却される。なおバッフル62と真空チャンバとの間にはゲートバルブ(図示せず)が設けられていてもよい。このゲートバルブは例えばクライオポンプ10を再生するときに閉とされ、クライオポンプ10により真空チャンバを排気するときに開とされる。
【0042】
放射シールド40の側面には冷凍機取付孔42が形成されている。冷凍機取付孔42は、放射シールド40の中心軸方向に関して放射シールド40側面の中央部に形成されている。放射シールド40の冷凍機取付孔42はクライオポンプ容器30の開口37と同軸に設けられている。冷凍機50の第2シリンダ12及び第2冷却ステージ14は冷凍機取付孔42から放射シールド40の中心軸方向に垂直な方向に沿って挿入されている。放射シールド40は、冷凍機取付孔42において第1冷却ステージ13に熱的に接続された状態で固定される。
【0043】
なお放射シールド40が第1冷却ステージ13に直接取り付けられる代わりに、接続用のスリーブによって放射シールド40が第1冷却ステージ13に取り付けられてもよい。このスリーブは例えば、第2シリンダ12の第1冷却ステージ13側の端部を包囲し、放射シールド40を第1冷却ステージ13に熱的に接続するための伝熱部材である。
【0044】
上記の構成のクライオポンプ10による動作を以下に説明する。クライオポンプ10の作動に際しては、まずその作動前にラフバルブ72を通じて他の適当な粗引きポンプで真空チャンバ内部を1Pa程度にまで粗引きする。その後クライオポンプ10を作動させる。冷凍機50の駆動により第1冷却ステージ13及び第2冷却ステージ14が冷却され、これらに熱的に接続されている放射シールド40、バッフル62、クライオパネル60も冷却される。
【0045】
冷却されたバッフル62は、真空チャンバからクライオポンプ10内部へ向かって飛来する気体分子を冷却し、その冷却温度で蒸気圧が充分に低くなる気体(例えば水分など)を表面に凝縮させて排気する。バッフル62の冷却温度では蒸気圧が充分に低くならない気体はバッフル62を通過して放射シールド40内部へと進入する。進入した気体分子のうちクライオパネル60の冷却温度で蒸気圧が充分に低くなる気体は、クライオパネル60の表面に凝縮されて排気される。その冷却温度でも蒸気圧が充分に低くならない気体(例えば水素など)は、クライオパネル60の表面に接着され冷却されている吸着剤により吸着されて排気される。このようにしてクライオポンプ10は真空チャンバの真空度を所望のレベルに到達させることができる。
【0046】
図2は、ダクトAに取り付けられたフィルタBの一例を示す図である。フィルタBは、ダクトAにおける流れ方向(図において右から左)に下流側に突き出したドーム形状を有し、上流側の端部が円形リムCで支持されている。ダクトAのフィルタ取付位置には管の内面から径方向内側に向けて凸部を形成する環状支持部Dが設けられている。環状支持部Dの環状部分にフィルタBの円形リムCが係合され固定されている。こうしてフィルタBがダクトAに取り付けられている。この場合、上流からの流れE(実線矢印で示す)はフィルタBを通過して流れF(破線矢印で示す)となる。流れEに含まれる異物はフィルタBにより、流れFから除去される。フィルタBに異物が堆積すれば、ダクトAの流れは遮断されてしまう。
【0047】
図3及び図4は、本発明の一実施形態に係るフィルタ構造100を示す図である。図3は通常時の流れを示し、図4はフィルタ構造100を迂回する流れを示す。フィルタ構造100は、フィルタ102及びフィルタ支持部104を含んで構成される。フィルタ102は、上流からフィルタ102へと流れる流体から異物を捕捉する。こうして、フィルタ102を通過した下流の流れから異物が除去される。
【0048】
フィルタ支持部104は、フィルタ102をクライオポンプ10の放出ライン80に支持する。フィルタ支持部104は、放出ライン80の排出ダクト82における取付部位106と、その取付部位106にフィルタ102を取り付けるためのフィルタ取付部材108と、を含む。
【0049】
放出ライン80を流れる流体は典型的には低温クライオパネル60に凝縮された気体が例えば再生により気化したものである。異物は例えば低温クライオパネル60に接着されていた活性炭等の吸着剤に由来する粒子である。この流れはクライオポンプ容器30から制御弁70へと排出ダクト82を流れ、クライオポンプ10から外部環境へと放出される。フィルタ102が異物で閉塞されていない通常時においては、矢印110で図示されるように、放出ライン80の管路方向に沿う流れが生じる。以下ではこの流れを通常流れ110とも称する。通常流れ110は、レジューサ160から内部配管170を経由してフィルタ内部空間136に流入する。フィルタ内部空間136からフィルタ102を通過して下流へと流れる。
【0050】
フィルタ102とフィルタ取付部材108とは排出ダクト82において隣接しており、フィルタ取付部材108によってフィルタ102は排出ダクト82の内部に支持されている。フィルタ取付部材108は、フィルタ102よりも上流に配置される。なおフィルタ取付部材108はフィルタ102よりも下流に配置されてもよい。フィルタ取付部材108の外側面の形状は排出ダクト82の取付部位106に対応している。排出ダクト82の断面が円形の場合、対応するフィルタ取付部材108の外側面の形状も実質的に同径の円形である。よって、フィルタ構造100を既存の排出ダクト82に容易に適用することができる。バイパス流路112を形成するためにダクトを拡径する、あるいは大径のダクトに置き換える等の変更が不要であり好適である。
【0051】
フィルタ支持部104またはフィルタ取付部材108にはバイパス流路112が形成されている。バイパス流路112は、フィルタ102が異物である程度閉塞されたときにフィルタ102を迂回する流れを許容するための流路である。以下ではバイパス流路112を流れる流れをバイパス流れ114とも称する。
【0052】
図4に示すように、バイパス流れ114は、レジューサ160から内部配管170を経由してフィルタ内部空間136に流入する。ここまでは通常流れ110と同様である。バイパス流れ114が生じるときはフィルタ102が閉塞されているため、フィルタ内部空間136から第1間隙122、主バイパス路124、第2間隙126を経由しフィルタ102を迂回して下流へと流れる。
【0053】
バイパス流路112をフィルタ支持部104またはフィルタ取付部材108に形成することにより、排出ダクト82のより大きな断面積をフィルタ102が占有することが可能となる。通常流れ110がフィルタを通過する流量を十分に確保することが可能となる。一実施例においては、フィルタ102は排出ダクト82の中心部を占有するように配置され、バイパス流路112は排出ダクト82の流路の周縁部に形成されてもよい。一実施例においては、バイパス流路112は、通常時のバイパス流れ114を抑制するための屈曲流路または迷路構造を含んでもよい。
【0054】
バイパス流路112は、入口部分116と、中間部分118と、出口部分120と、を含む。入口部分116において通常流れ110からバイパス流れ114に分岐し、出口部分120においてバイパス流れ114から通常流れ110に合流する。入口部分116と出口部分120とは中間部分118を通じて接続されている。中間部分118は入口部分116及び出口部分120よりも広い開口面積を有する。バイパス流路の開口面積を流れに沿って均一とする代わりに中間部分118を相対的に広くすることで、バイパス流路112の実効的な開口面積を所望の大きさにする設計が容易になる。
【0055】
バイパス流路112の開口面積は、フィルタ102が所定の閉塞状態にあるときの開口面積よりもバイパス流路112の開口面積が大きくなるよう設定される。このようにすれば、その所定の閉塞状態を超えてフィルタ102が目詰まりしたときに通常流れ110からバイパス流路112へと流れを切り替えることができる。
【0056】
入口部分116は、通常流れ110の流れ方向とは逆方向に流体を流すための第1間隙122を含む。すなわち、第1間隙122における流れは通常流れ110とは逆向きの成分を含み、さらに排出ダクト82の径方向(すなわち通常流れ110に直交する面内方向)を向く成分を有してもよい。第1間隙122を逆方向流れとなるよう構成することにより、通常時のバイパス流れ114を最小化することができる。
【0057】
中間部分118は、フィルタ取付部材108に形成された主バイパス路124を含む。主バイパス路124の流路面積は第1間隙122よりも広い。フィルタ取付部材108はフィルタ102とは流れ方向にずれた位置に並設されているので、主バイパス路124の面積を比較的広く取ることができる。主バイパス路124は、通常流れ110の流れ方向に交差する方向、すなわち排出ダクト82断面の面内方向に流体を流すよう形成されている。主バイパス路124は第1間隙122から流入した流体を、例えば通常流れ110に直交する方向に排出ダクト82の径方向外側へ向けて導く。第1間隙122と主バイパス路124とにより、通常流れ110の逆向きから排出ダクト82の径方向外向きへと流れを導く第1屈曲流路が構成される。
【0058】
出口部分120は、フィルタ102の下流に流れを合流させるための第2間隙126を含む。出口部分120は、通常流れ110の方向に流体を流す。第2間隙126における流れは通常流れ110とは同方向の成分を含み、さらに排出ダクト82の径方向を向く成分を有してもよい。第2間隙126の流路面積は主バイパス路124よりも狭い。主バイパス路124から流入した流体は第2間隙126へと導かれる。主バイパス路124と第2間隙126とにより、排出ダクト82の径方向外向きから通常流れ110の方向へと流れを導く第2屈曲流路が構成される。通常流れ110に沿う方向に流体を流す流路を第1間隙122及び第2間隙126として狭くすることにより、排出ダクト82の限られた断面積にバイパス流路112を効率的に収めるとともに、フィルタ102を流れる通常の流路を広く取ることができる。
【0059】
一実施例においては、バイパス流路112は排出ダクト82の全周にわたって形成される。バイパス流路112は放射状に離散的に複数箇所に形成されてもよい。あるいは、バイパス流路112は排出ダクト82の中心軸を包囲する周方向に1箇所または複数箇所が放射状に離散的に形成されてもよい。
【0060】
フィルタ取付部材108は、第1部分128と第2部分130とを含む。フィルタ取付部材108は、第1部分128が第2部分130の上流側となるよう排出ダクト82に取り付けられる。第1部分128が排出ダクト82の取付部位106に固定され一体化される。第2部分130は外周部分が第1部分128よりも若干縮径されている。第2部分130は排出ダクト82に同軸の二重管構造を形成する。第2部分130にバイパス流路112が形成される。
【0061】
この二重管構造の内管132に通常流れ110が導かれ、内管132から外管134へとバイパス流れ114が導かれる。内管132はフィルタ102へ向かう排出流れの流路面積を狭くする。外管134は内管132の外側かつ排出ダクト82の内側に形成される。バイパス流路112は内管132を外管134に接続する。第1部分128が取付部位106に固定されていることにより、外管134は下流方向への流れが許容され上流方向への流れは規制されている。外管134の下流側末端部に第2間隙126が形成されている。
【0062】
フィルタ102は、排出ダクト82の流れ方向の下流側に底部をもち上流側が開放された有底形状を有する。例えば下流方向に突き出して形成されるドーム状の形状を有する。フィルタ102の有底形状の内部にはフィルタ内部空間136が形成される。フィルタ102は例えば金網である。フィルタ102の開放端にはフィルタ102の形状を支持するための環状部材であるベースリム138が取り付けられている。ベースリム138を介してフィルタ102はフィルタ取付部材108の第2部分130に取り付けられる。第2部分130は、ベースリム138に対応する環状の取付座をもつ。こうしてフィルタ102は、排出ダクト82の中心軸に同軸にフィルタ取付部材108によって支持される。フィルタ102は図2に示す汎用のフィルタBと同一であってもよく、フィルタ取付部材108には既存のフィルタを適用することができる。
【0063】
フィルタ取付部材108は、いわゆるレジューサ160及び内部配管170を含んで構成されている。レジューサ160は、第1部分128及び第2部分130を含む。第1部分128の内壁は上流から連続的に(または段階的に)縮径され、内部配管170へと流れを導く。内部配管170はフィルタ内部空間136に流れを導くための導管である。内部配管170は第2部分130の内部に同軸に取り付けられており、その内面は、フィルタ内部空間136に流れを導くための主開口140を画定する内側壁142である。なお、内部配管170から主バイパス路124に流れを直接導くための副バイパス路が内側壁142に形成されていてもよい。この場合、バイパス流れ114は第1間隙122を迂回する流れをもつことになる。
【0064】
内部配管170によってレジューサ160の第2部分130に、3重の流路が構成されている。内部配管170の内側となる中心部がレジューサ160からフィルタ内部空間136へと流れを導く流路である。また、内部配管170と第2部分130との間にバイパス流路112の入口部分から主バイパス路124へと接続する流路が形成され、第2部分130の外側に主バイパス路124からバイパス流路112の出口部分へと接続する流路が形成されている。
【0065】
フィルタ取付部材108は、フィルタ内部空間136に流れを導くための主開口140を画定する内側壁142を有する。フィルタ102の開放端と内側壁142の末端144との第1間隙122がバイパス流路112の入口を形成する。内側壁142の末端144がフィルタ内部空間136へと突き出している。内側壁142の末端144は、ベースリム138の上流側端面よりも下流側に突き出している。内側壁142の末端144は、フィルタ102の金網部分まで突き出していてもよい。こうして突き出していることにより、第1間隙122には主開口140からフィルタ内部空間136への通常の流れ方向とは逆向きの流れが生成されることが保証される。
【0066】
また、フィルタ取付部材108は、排出ダクト82の内面146に対向する外側壁148を有し、内面146と外側壁148との第2間隙126がバイパス流路112の出口を形成する。外側壁148は第2部分130の側面である。第2間隙126にバイパス流路112の入口を接続するための貫通孔150が外側壁148に形成されている。貫通孔150により主バイパス路124が形成される。貫通孔150は、フィルタ取付部材108の第2部分130の周方向に沿って複数箇所に形成されており、例えば90度おきに4箇所形成されている。このようにしてフィルタ取付部材108の第2部分130に主バイパス路124が形成されている。
【0067】
図5は、本発明の一実施形態に係るフィルタ構造100を示す図である。フィルタ構造100がクランプ形継手のセンターリングを備える点を除いて、図3及び図4に示すフィルタ構造100と同様の構成を有する。図5に示すフィルタ構造100は、フィルタ取付部材108の上流側がセンターリングとして形成され、それに隣接する下流側がバイパス流路部として形成されている。
【0068】
具体的には、フィルタ取付部材108のレジューサ160の外周部にセンターリングとしてのOリング用ガイド部180が形成されている。このガイド部180にOリング182が装着され、フィルタ構造100は公知のクランプ形継手184に取り外し可能に取り付けられる。真空配管に典型的に用いられるクランプ形継手184にフィルタ構造100が取り付けられることにより、フィルタ交換やメンテナンス等を容易にすることのできるフィルタ構造を提供することができる。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、フィルタ102の手前にレジューサ160と内部配管170とを配置して放出ガスをフィルタ120の中央部に導いている。内部配管170の出口位置はフィルタ102に囲まれた空間136に突き出しており、フィルタ102と内部配管170との間に隙間が形成されている。放出ガスのバイパス流路112は内部配管170の出口の手前に位置している。
【0070】
よって、フィルタが目詰まりしていないときにはバイパス流路112に放出ガスが流れないようになっている。異物がバイパス流路112を通過して下流に流出することを防止している。フィルタが目詰まりしたときには、放出ガスは内部配管170とフィルタ102との隙間を通ってバイパス流路112に流れる。このため放出ライン80は閉塞されない。クライオポンプ10の内圧の上昇を防止することができるので、安全性が一層向上される。
【符号の説明】
【0071】
10 クライオポンプ、 11 第1シリンダ、 12 第2シリンダ、 13 第1冷却ステージ、 14 第2冷却ステージ、 20 制御部、 30 クライオポンプ容器、 40 放射シールド、 43 冷凍機挿通孔、 50 冷凍機、 60 低温クライオパネル、 70 制御弁、 80 放出ライン、 82 排出ダクト、 100 フィルタ構造、 102 フィルタ、 104 フィルタ支持部、 108 フィルタ取付部材、 112 バイパス流路、 122 第1間隙、 124 主バイパス路、 126 第2間隙、 132 内管、 134 外管、 136 フィルタ内部空間、 184 クランプ形継手。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部環境からクライオポンプ内部空間を画定するクライオポンプ容器と、
前記クライオポンプ容器に接続されており、前記クライオポンプ内部空間から外部環境へと流体を排出するための排出ダクトと、
前記排出ダクトを排出される流体から異物を除去するためのフィルタと、該フィルタを前記排出ダクトに取り付けるためのフィルタ取付部材と、を備え、該フィルタを迂回させるためのバイパス流路の少なくとも一部が前記フィルタ取付部材に形成されているフィルタ構造と、を備えることを特徴とするクライオポンプ。
【請求項2】
前記フィルタは、前記排出ダクトの流れ方向の下流側に底部をもち上流側が開放された有底形状を有し、該有底形状の内部にフィルタ内部空間が形成され、
前記フィルタ取付部材は、前記フィルタ内部空間に流れを導く導管を含み、
該導管の末端が前記フィルタ内部空間へと突き出しており、該導管の末端と前記フィルタの開放端との間隙が前記バイパス流路の入口を形成することを特徴とする請求項1に記載のクライオポンプ。
【請求項3】
前記フィルタ構造は、前記フィルタへ向かう排出流れの流路面積を狭くする内管と該内管の外側に形成される外管とを有する二重管構造を備え、前記バイパス流路は前記内管を前記外管に接続することを特徴とする請求項1または2に記載のクライオポンプ。
【請求項4】
前記フィルタ及び前記フィルタ取付部材は前記排出ダクトに収容され流れ方向に互いに隣接しており、
前記バイパス流路は、前記排出ダクトの断面の面内方向に流体を流すための主バイパス路を含み、該主バイパス路は前記フィルタ取付部材に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のクライオポンプ。
【請求項5】
前記バイパス流路は、入口部分と、該入口部分よりも広い中間部分と、該中間部分より狭い出口部分と、を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のクライオポンプ。
【請求項6】
前記バイパス流路は、前記排出ダクトの流れ方向とは逆方向に流体を流すための第1間隙と、第1間隙を通過した流体を前記フィルタの下流へと合流させるための第2間隙と、を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のクライオポンプ。
【請求項7】
前記フィルタ構造は、クランプ形継手のセンターリングを備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のクライオポンプ。
【請求項8】
前記排出ダクトの流れ方向において前記フィルタ構造よりも下流に設けられており、前記クライオポンプ容器の外部よりも内部のほうが高圧である設定差圧が作用したときに機械的に開弁される常閉型の弁をさらに備えることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のクライオポンプ。
【請求項9】
クライオポンプから外部環境に流体を放出するための放出ラインで使用するためのフィルタ装置であって、
流体から異物を除去するためのフィルタと、該フィルタを放出ラインに支持するフィルタ支持部と、を備え、該フィルタを迂回させるためのバイパス流路の少なくとも一部が前記フィルタ支持部に形成されていることを特徴とするフィルタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−57604(P2012−57604A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204874(P2010−204874)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】