説明

クラフト包装機

【課題】特別な技術をもたなくても、中綴じ本の梱包を確実に行うことができるクラフト包装機を得ることにある。
【解決手段】包装装置(10)が、梱包物(M)を垂直移動させ、包装紙(P)を梱包物の下面および側面に沿ってU字状に折り曲げる包装紙巻き付け部と、梱包物の上面に向かってU字状の包装紙における一方の側面を曲げたあと、水平搬送しつつ、梱包物の端面に沿って包装紙の端面を曲げて耳(Ef,Eb)を形成し、包装紙における梱包物の上面にある側縁間を結合し、双方の耳を折り畳み、折り畳まれた耳を結合している包装紙折り曲げ部とを有する。制御装置(11)は、中綴じ本の判形、厚みおよび梱包冊数が入力されると、梱包高さHを決め、梱包高さHにもとづいて包装紙の上面曲げ位置を定め、上面曲げ位置を基準に梱包物の降下位置、耳形成位置および水平搬送高さを変更している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クラフト包装機に係わり、さらに詳しくは、複数冊積み重ねた週刊誌のような中綴じ本をクラフト紙によって梱包する機械に関する。
【背景技術】
【0002】
積み重ねた中綴じ本は、図8に示すように、天地側から見たときに、中央が低く、左右に向かうほど高くなる。クラフト紙による梱包は、作業者が差dを見込んで梱包物の高さを決め、これにもとづいてクラフト包装機の調整を行い、試験梱包を行い、これらを繰り返したあとに、本梱包を行っている。しかしながら、背高さAと中央高さBとの差dは、個々の本の寸法や紙質などによって異なっており、さらに積み重ねてからの経過時間によっても違うため、経験ある作業者でもかなりの手間を必要としている。
【0003】
このような問題に対する一つの解決として、ベルトコンベアによって梱包物を常に圧縮しながら搬送することで、緩みなく梱包する包装機が提供されている(例えば特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平8−244718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この包装機は、梱包物を送り込んだときに、その最上部および最下部にある中綴じ本とベルトコンベアとが直接接触するため、表紙あるいは裏表紙が簡単に傷むおそれがある。このため、ベルトコンベアの押し付け力の設定に、かなり熟練した技術を必須としている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、特別な技術をもたなくても、中綴じ本の梱包を確実に行うことができるクラフト包装機を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係るクラフト包装機は、中綴じ本積層物を梱包物としこれを包装紙としてのクラフト紙によって梱包するクラフト包装装置であって、包装紙に載置された梱包物を垂直移動させ、包装紙を梱包物の下面および側面に沿ってU字状に折り曲げる包装紙巻き付け手段と、梱包物の上面に向かってU字状の包装紙における一方の側面を曲げたあと、水平搬送しつつ、梱包物の端面に沿って包装紙の端面を曲げて耳を形成し、包装紙における梱包物の上面にある側縁間を結合し、双方の耳を折り畳み、折り畳まれた耳を結合している包装紙折り曲げ手段と、中綴じ本の判形、厚みおよび梱包冊数に基づいて梱包高さを設定し、該梱包高さにもとづいて包装紙の上面曲げ位置を定め、上面曲げ位置を基準に梱包物の降下位置、耳形成位置および水平搬送高さを変更する制御手段とを有することによって、上記課題を解決したものである。
【0007】
請求項2のクラフト包装機は、請求項1に記載のクラフト包装機において、前記包装紙巻き付け手段が、梱包物およびこれを載せた包装紙を担持する昇降台と、昇降台の降下に際して、梱包物の下面および側面を包み込むように包装紙をU字状に折り曲げる、昇降台の昇降路に沿って配置された巻き付け部材とを備えることによって、上記課題を解決したものである。
【0008】
請求項3のクラフト包装機は、請求項1または請求項2に記載のクラフト包装機において、前記包装紙折り曲げ手段が、梱包物の上面に向かってU字状包装紙の一方側側面を折り曲げる作動位置とこれから待避する位置との間を移動する昇降台の降下位置に配置された第一の上面折り曲げ部材と、降下位置にある梱包物に向かって水平移動して包装紙を折り曲げ、一方の耳を形成する昇降台の降下位置に配置された第一の耳形成部材と、梱包物を水平移動する水平搬送機構と、水平搬送路に沿って作動位置にある第一の上面折り曲げ部材の延長線上に配置された梱包物上面に向かって包装紙の他方側側面を折り曲げる第二の上面折り曲げ部材、作動位置にある第一の上面折り曲げ部材による折り曲げに対応して配置された固定材および固定材に対する距離を変更可能な移動可能な可動材とからなり、包装紙における梱包物の他方側端面を折り曲げて他方の耳を形成する水平搬送路に沿って配置された第二の耳形成手段と、包装紙における梱包物上面に位置する側縁間を結合する水平搬送路に沿って配置された第一のテープ貼り付け器と、双方の耳を折り畳む水平搬送路に沿って配置された耳畳み部材および折り畳まれた耳を結合する水平搬送路に沿って配置された第二のテープ貼り付け器とを備えることによって、上記課題を解決したものである。
【0009】
請求項4のクラフト包装機は、請求項3に記載のクラフト包装機において、前記水平搬送機構が第一の水平搬送手段と第二の水平搬送手段とからなり、前記第一の水平搬送手段がU字状包装紙の側面を押さえて梱包物を第二の水平搬送手段まで移動させる一対の押さえ部材を備え、前記第二の水平搬送手段が梱包物の上面に接触するベルトコンベアと梱包物の下面に接触する、制御装置によって高さ調整されるベルトコンベアとからなり、前記第二の上面折り曲げ部材、第一の耳形成部材および第一のテープ貼り付け器が第一の水平搬送機構の水平搬送路に、耳畳み部材および第二のテープ貼り付け器が第一の水平搬送機構の水平搬送路に配置されていることによって、上記課題を解決したものである。
【0010】
請求項5に係るクラフト包装機は、請求項4に係るクラフト包装機において、前記第二の上面折り曲げ部材が、梱包物を水平搬送するときに、包装紙における他方の側面を予備曲げする柔軟性をもつ部材を含むことにより、上記課題を解決したものである。
【0011】
請求項6に係るクラフト包装機は、請求項4に係るクラフト包装機において、前記第一および第二のテープ貼り付け手段が、ぞれぞれ、昇降可能な支持台とテープヘッドとからなり、テープヘッドがカムローラとテープを保持するテープローラとを備え、支持台がその下降によってテープヘッドを回転させ、テープを介してテープローラを包装紙に圧着させるカム面を備えていることにより、上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1のクラフト包装機は、包装紙に載置された梱包物を垂直移動させ、包装紙を梱包物の下面および側面に沿ってU字状に折り曲げる包装紙巻き付け手段と、梱包物の上面に向かってU字状の包装紙における一方の側面を曲げたあと、水平搬送しつつ、梱包物の端面に沿って包装紙の端面を曲げて耳を形成し、包装紙における梱包物の上面にある側縁間を結合し、双方の耳を折り畳み、折り畳まれた耳を結合している包装紙折り曲げ手段と、中綴じ本の判形、厚みおよび梱包冊数に基づいて梱包高さHを設定し、該梱包高さHにもとづいて包装紙の上面曲げ位置を定め、上面曲げ位置を基準に梱包物の降下位置、耳形成位置および水平搬送高さを変更する制御手段とを有することにより、梱包する中綴じ本の判形、厚みおよび梱包冊数を入力すると、制御装置が梱包高さHを決め、包装装置における関係する部材の位置決めと作動を行うため、誰にでも簡単に、一定した梱包を行える。しかも、重力を利用して梱包物下面と側面とに梱包紙をしっかり巻き付けてから、梱包紙の折り曲げおよび固定、耳の形成および耳の固定を行っているので、梱包が強固であり、しかも少ないエネルギーでこれを行うことができる。
【0013】
請求項2のクラフト包装機は、包装紙巻き付け手段が、梱包物およびこれを載せた包装紙を担持する昇降台と、昇降台の降下に際して、梱包物の下面および側面を包み込むように包装紙をU字状に折り曲げる、昇降台の昇降路に沿って配置された巻き付け部材とを備えることにより、前記請求項1に記載のクラフト包装機の効果に加えて、梱包物下面と側面との梱包紙の巻き付けを確実に行うことができる。
【0014】
請求項3に係るクラフト包装機は、包装紙折り曲げ手段を、梱包物の上面に向かってU字状包装紙の一方側側面を折り曲げる作動位置とこれから待避する位置との間を移動する昇降台の降下位置に配置された第一の上面折り曲げ部材と、降下位置にある梱包物に向かって水平移動して包装紙を折り曲げ、一方の耳を形成する昇降台の降下位置に配置された第一の耳形成部材と、梱包物を水平移動する水平搬送機構と、水平搬送路に沿って作動位置にある第一の上面折り曲げ部材の延長線上に配置された梱包物上面に向かって包装紙の他方側側面を折り曲げる第二の上面折り曲げ部材、作動位置にある第一の上面折り曲げ部材による折り曲げに対応して配置された固定材および固定材に対する距離を変更可能な移動可能な可動材とからなり、包装紙における梱包物の他方側端面を折り曲げて他方の耳を形成する水平搬送路に沿って配置された第二の耳形成手段と、包装紙における梱包物上面に位置する側縁間を結合する水平搬送路に沿って配置された第一のテープ貼り付け器と、双方の耳を折り畳む水平搬送路に沿って配置された耳畳み部材および折り畳まれた耳を結合する水平搬送路に沿って配置された第二のテープ貼り付け器とを備えることにより、梱包紙の折り曲げおよび固定、耳の形成および耳の固定が確実で、折り畳まれた耳のテープ貼り付けを正確、且つ確実に行なうことができる。
【0015】
請求項4に係るクラフト包装機は、水平搬送機構が第一の水平搬送手段と第二の水平搬送手段とからなり、第一の水平搬送手段がU字状包装紙の側面を押さえて梱包物を第二の水平搬送手段まで移動させる一対の押さえ部材を備え、第二の水平搬送手段が梱包物の上面に接触するベルトコンベアと梱包物の下面に接触する、制御装置によって高さ調整されるベルトコンベアとからなり、第二の上面折り曲げ部材、第一の耳形成部材および第一のテープ貼り付け器が第一の水平搬送機構の水平搬送路に、耳畳み部材および第二のテープ貼り付け器が第一の水平搬送機構の水平搬送路に配置されているため、前記請求項に記載の効果に加え、押さえ部材が梱包物に巻き付けた包装紙を緩ませずに、第一および第二の上面折り曲げ部材による包装紙を梱包物の上面に向かって曲げる作業、折り曲げた梱包紙縁部の結合および第一の耳形成手段による一方の耳を形成する作業作業を行なえるため、より緩みのない梱包を得ることができる。
【0016】
請求項5に係るクラフト包装機は、第二の上面折り曲げ部材が、梱包物を水平搬送するときに、包装紙における他方の側面を予備曲げする柔軟性をもつ部材を含んでいるため、前記請求項に記載の効果に加えて、梱包物を単に水平移動させ、第二の上面折り曲げ部材をくぐらせるだけで、クラフト紙によって梱包物を包み込むことができ、さらに確りとした梱包をおこなうことができる。
【0017】
請求項6に係るクラフト包装機は、第一および第二のテープ貼り付け手段が、ぞれぞれ、昇降可能な支持台とテープヘッドとからなり、テープヘッドがカムローラとテープを保持するテープローラとを備え、支持台がその下降によってテープヘッドを回転させ、テープを介してテープローラを包装紙に圧着させるカム面を備えているため、前記請求項に記載の効果に加えて、支持台を単に昇降させるだけで、包装紙へのテープの貼り付けを行なうことができ、さらにまたしっかりした梱包を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明のクラフト包装機の一実施例を説明する。
【0019】
図7は本発明のクラフト包装機による梱包工程を示し、梱包物Mはたとえば週刊誌のような中綴じ本を積み重ねたものである。
【0020】
まず、中綴じ本積層物である梱包物Mは、図7の(A)に示すようにクラフト紙からなる包装紙Pの上に載せられ、降下され、包装紙Pは、図7の(B)に示すように梱包物Mの側面あるいは中綴じ本積送物の小口に沿ってU字状に折り曲げられる。
【0021】
次いで、包装紙Pは、図7の(C)に示すように、一方の側面を梱包物Mの上面あるいは上部にある中綴じ本の表紙あるいは裏表紙の上に折り重ねたあと、一方の端面を梱包物Mの端面あるいは中綴じ本積層物の天地に沿って折り曲げることで、耳Efを形成される。
【0022】
それから、包装紙Pは、図7の(D)に示すように、他方の側面を梱包物Mの上面あるいは上部にある中綴じ本の表紙あるいは裏表紙の上に折り重ねられたあと、図7の(E)に示すように、他方の端面を中綴じ本の天地に沿って折り曲げることで、耳Ebを形成される。
【0023】
その後、図7の(F)に示すように、包装紙Pにおける梱包物Mの上面に位置する縁部がテープTtによって結合されて、図7の(G)に示すように耳Ef,Ebが折り畳まれ、図7の(H)に示すように耳Ef,EbがテープTeによって結合される。
【0024】
次に、本発明のクラフト包装機を、図1〜6により説明する。
【0025】
ベルトコンベアよりなる搬入コンベア21と転向台22とを備えた搬入機構20の一端から梱包物Mをから投入すると、これを転向台22に向かって搬送する。転向台22は送り溝23を有し、送り溝23は梱包物Mの小口幅よりも僅かに広くなっている。搬入コンベア21の搬送端には、動力シリンダおよび伸縮ロッドに固定された押し板をもつ押し出し器24が配置されており、梱包物Mは、押し出し器24によって送り溝23に押し出され、天地を先頭にして位置決め台41に送り出される。
【0026】
位置決め台41は転向台22の末端と包装紙巻き付け手段を構成する昇降台42との間に配置され、位置決め台41の周囲には、板状の突き当て43と押し出し器44とが配置されている。突き当て43は、送り溝23の端部から昇降台42に向かって延びており、この突き当て43によって転向台22から送り出された梱包物Mの片方の小口を位置決めしている。押し出し器44は、動力シリンダとロッドに固定された押し板とをもつもので、位置決め台41の端部に配置され、ロッドの伸縮によって梱包物Mを昇降台42に送り込んでいる。
【0027】
昇降台42は、梱包物Mおよびこれを載せた包装紙Pを担持し、表面が位置決め台41の表面に一致する上位置と後述する搬送台45の表面に一致する下位置との間を昇降することができる。上位置には前記板状の突き当て43と,板状の突き当て46,47が梱包物Mの三方を囲むように配置され、梱包物Mの位置決めを行っている。
【0028】
昇降台42には、送り込まれた梱包物Mを載置するシャッター板48が間隔を置いて配置され、シャッター板48は動力シリンダによって、図1に示す昇降台42の上部と、これから待避した位置との間を水平移動することができるようにされている。また、昇降台42の上部には、梱包物Mを上部から押圧するように、動力シリンダと伸縮ロッドに固定した押し板とを有する押し下げ器49が設けられている。
【0029】
昇降台42の側方には、昇降台42に包装紙Pであるクラフト紙を一枚ずつ送るための包装紙供給機構50が配置され、カセット,紙さばき部、紙送り部などを備えている。カセットはクラフト紙を積層状態で収納している。紙さばき部は、カセット内部に組み込まれ、エアーをクラフト紙の間に送り込み、クラフト紙を分離している。紙送り部は、たとえば複数のローラからなり、昇降台42が上動位置にあるときに、昇降台42とシャッター板48との間にクラフト紙を搬送する。
【0030】
昇降台42の下方には、昇降路に沿って、包装紙巻き付け手段を構成する巻き付け部材46Aと巻き付け部材56が配置され、巻き付け部材46Aは前記突き当て46の下方を延長した延長部によリ構成している。巻き付け部材56は、断面L字状部材からなり、巻き付け部材46Aと一緒に包装紙Pを上方にU字状に曲げるためのもので、梱包物Mの小口幅に対応する間隔を形成して平行配置されている。
【0031】
包装紙折り曲げ手段は、第一の上面折り曲げ部材51と、第一の耳形成部材54、押さえ部材52,53を含む第一の水平搬送機構、第二の上面折り曲げ部材57、第二の耳形成部材58、第一のテープ貼り付け器59、水平搬送機構71、耳畳み部材72および第二のテープ貼り付け器73を備えている。
【0032】
第一の上面折り曲げ部材51は、突き当て46の延長部によって曲げられた包装紙Pにおける片方の垂直側面を水平に曲げるためのもので、昇降台42の降下位置に配置され、梱包物Mの上面に向かってU字状の包装紙Pにおける一方の側面を曲げる作動位置とこれから待避する位置との間を動力シリンダを含む駆動機構によって移動することができる。駆動機構は、常態にて、図2に示すように、第一の上面折り曲げ部材51を斜め上方に傾斜させているが、作動状態において、水平にさせたあと、そのまま梱包物Mの上に水平移動し、包装紙Pを折り曲げ、元の位置にもどすようにしている。
【0033】
第一の耳形成部材54は、昇降台42の降下位置に配置され、包装紙Pにおける一方の端面を折り曲げて一方の耳Efを形成するた包装紙Pを折り、片方の耳Efを形成するもので、梱包物Mの側面に向かって延びる折り込みアーム54’を有する。
【0034】
第一の耳形成部材54は、移動台55に水平移動可能に保持されていると共に、移動台55に保持されたボールねじ54Aのナットに結合され、移動台55に設置された電動機54Bがボールねじ54Aを回移転させると、移動台上で往復動することができる。コイルばねが第一の耳形成部材54と押さえ部材55との間に配置されている。
【0035】
また、包装紙Pの両側面を挟持し、包装紙Pが拡がるのを防ぐと共に、降下された梱包物Mを水平搬送するために、下降位置にある昇降台42を間にして対面して押さえ部材52,53が配置されている。
【0036】
押さえ部材52は、押さえ部材53に保持されたボールねじ52Aのナットに固定されており,押さえ部材53に設置された電動機52Bがボールねじ52Aを回転することによって,押さえ部材52は押さえ部材53との間の幅を変更することができる。押さえ部材53は移動台55に固定されている。
【0037】
移動台55は、動力シリンダによって、降下位置にある昇降台42の下方と水平搬送機構71の始端との間を往復し、基台45の下部に下降し、かつ基台45の上部に上昇することができる。すなわち、移動台55は、押さえ部材52,53および第一の耳形成部材54を昇降台42から搬送台45の末端付近まで移動させ、基台45の下部に下降し、昇降台42の幅に対応する距離戻したあと、元の位置に上昇させ、昇降台42の幅に対応する距離搬送台45の末端に向かって移動させ、ふたたび基台45の下部に下降させ、元の位置に帰還することができる。
【0038】
第二の上面折り曲げ部材57は、弾性部材56Aと共に、押さえ部材52,53によって水平搬送された梱包物MのU字状の包装紙Pの反対側面を梱包物上面に向かって曲げるためのもので、水平搬送路に沿いかつ作動位置にある第一の上面折り曲げ部材51の延長線上に配置されている。弾性部材56Aは、包装紙Pを曲げることができる重さをもちかつ柔軟性をもつ、たとえばゴム板などからなっており、端部を弾性部材56Aに結合されていて、梱包物Mが押さえ部材52,53によって水平搬送されたときに、包装紙Pの上部を予備曲げしている。
【0039】
第二の耳形成部材58は、搬送方向の残部側の耳Ebを形成するためのもので、図2に示すように、上部にある固定材および下部にある可動材からなっている。固定材は作動位置にある第一の上面折り曲げ部材51の高さに対応して搬送台45に沿って配置されている。可動材は、搬送台45に沿って昇降可能に配置されていると共に、ボールねじのナットに結合され、電動機がボールねじを回転することよって、固定材に対する距離を変更することができる。固定材と可動材との先端間隔は梱包物Mの高さより狭く、後端間隔は、梱包物Mの高さに対応している。第二の上面折り曲げ部材57は第二の耳形成部材58の先端側に担持されている。
【0040】
第一のテープ貼り付け器59は第二の耳形成部材58あるいは搬送台45の端部付近に配置されている。このテープ貼り付け器59は、包装紙Pにおける第一の上面折り曲げ部材51および第二の上面折り曲げ部材57により水平に曲げられた上端を結合するためのもので、図3に示すように、支持台61およびテープヘッド62を有している。テープの貼り付けは、梱包物Mの位置を光センサなどで検出し、支持台61を動力シリンダによって下降させると、テープヘッド62のカムローラ63が鎖線で示すように支持台61のカム面64に沿って移動し、同時にテープヘッド62が回転して、テープヘッド上の圧着ローラ65,66を順次に梱包物Mに圧着させ、テープTを包装紙に接着し、テープカッター67によってテープTを切断することで行っている。
【0041】
水平搬送機構71は、梱包物Mを押さえ部材52,53から引き継ぎ水平搬送するためのもので、図1に示すように、一対のベルトコンベアからなっている。下部コンベアは動力シリンダなどによって昇降可能になっている。
【0042】
耳畳み部材72は、耳Ef,Ebを畳むもので、水平搬送機構71の両側に配置されている。耳畳み部材自体は、梱包物Mの天地幅に関連する間隔を形成して水平搬送機構71の両側に配置された板状材からなっている。耳Ebの形成は、梱包物Mが耳畳み部材72を通過するときに、耳畳み部材72の先端が包装紙Pに突き当たって、包装紙Pを折り込み、耳畳み部材72の残部が折り込み状態を維持することでなされている。
【0043】
第二のテープ貼り付け器73は、耳Ef,Ebを結合するもので、水平搬送機構71の末端付近に配置されている。この第二のテープ貼り付け器73は、第一のテープ貼り付け器59と同様に構成されている。
【0044】
搬出コンベア31は、押し出された梱包物Mをこのクラフト包装機の外部に搬出するもので、たとえば、水平搬送機構71の下部コンベアと搬送面を一致させて配置されたベルトコンベアからなっている。押し出し器32が、水平搬送機構71の末端に配置され、光センサが梱包物Mの到着を検出すると作動して、梱包物Mを搬出コンベア31に押し出している。
【0045】
制御手段11は、梱包物Mである中綴じ本の判型、厚みおよび包装数にもとづいて、梱包物Mの高さを求めて、包装装置10における関係する機構を動かすアクチュエータの作動量を決め、各々のアクチュエータに駆動回路に信号を送って、梱包を行わせている。詳しく説明する。
【0046】
作業者が包装モードを、つまり、包装しようとする中綴じ本の判型、厚みおよび包装数を外部から制御手段11に入力すると、制御手段11は、まず梱包高さHを演算する。演算は、例えば、梱包物Mの全高をA、中央高さをBとしたときに、梱包高さHを下記式によって求める。
H=[(A−B)/C]+B ・・・(1)
これにおいて、値A、Bは中綴じ本の判型、厚みからテーブルを参照して求め、Cは、C=3を標準とする定数であるが、梱包物Mの積送状態に応じて任意の値を外部入力することもできる。
【0047】
制御手段11は、梱包高さHから昇降台42の降下位置を決定し、昇降台を駆動する電動機の駆動回路を制御して、昇降台42の高さ調整を行わせると共に、移動台55を昇降する動力シリンダ、第二の耳形成部材58の可動材を昇降するボールねじの電動機および水平搬送機構71の下部コンベアを昇降する動力シリンダを作動させ、第一の上面折り曲げ部材51および第二の上面折り曲げ部材57の下面を基準に、第一の耳形成部材54を支持する移動台55、第二の耳形成部材58の可動材および水平搬送機構71の下部コンベアを昇降させて、図1に示す距離Lを設定する。また、制御装置11は、包装紙供給機構50を作動させ、包装紙Pをカセットから引き出し、昇降台42の上に搬送する。なお、包装紙供給機構50の作動停止は、光センサが包装紙Pの先端を検出することでなされる。
【0048】
作業者が梱包物Mを搬入機構20に搭載し、スタートスイッチを押すと、光センサが梱包物Mを検知し、搬入コンベア21の電動機が作動し、天地を先頭にして梱包物Mを転向台22に向かって搬送する。転向台22に到達すると、光センサが押し出し器24の動力シリンダを作動させ、梱包物Mを転向台22の送り溝23に送り込む。梱包物Mは、小口を先頭にして位置決め台41に送り込まれ、突き当て43によって位置決めされる。位置決めされると、押し出し器44が梱包物Mをシャッター板48の上に移動させ、梱包物Mは突き当て43,46,47によって位置決めされる。
【0049】
梱包物Mがシャッター板48に移送されると、光センサがシャッター板48の動力シリンダを作動させ、シャッター板48を引き抜く。梱包物Mは昇降台上の包装紙Pに載る。光センサが搭載を検出し、制御装置11が押し下げ器49を作動させ、梱包物Mを押し下げると共に、昇降台42の動力シリンダを作動させ、梱包物Mおよび梱包紙Pを載せたまま昇降台42を下降させる。
【0050】
包装紙Pは、図4に示すように、昇降台42が下降すると、突き当て46の延長である巻き付け部材46A、巻き付け部材56および押さえ部材53によって、図7の(B)に示すように、梱包物Mの側面に沿って上方に折り曲げられる。押し下げ器49は、昇降台42が所定位置に下降しても梱包物Mを押し、梱包物Mを構成する中綴じ本と中綴じ本との間にあるエアーを抜く。制御装置11は、ある時間経過すると、押し下げ器49を元の位置に戻し、ボールねじ52Aおよび電動機52Bを作動させ、押さえ部材52を水平移動させて、押さえ部材53と一緒に包装紙Pを介して梱包物Mを挟持する。包装紙PはU字状曲げ状態を維持される。つづいて、制御装置11は、第一の上面折り曲げ板51の動力シリンダを作動させ、第一の上面折り曲げ板51を作動位置に移動し、包装紙Pの片方の側面を梱包物Mの上面に向かって直角に曲げる。曲げたあと、元の位置に戻される。これによって、梱包物Mの片側面が包装紙Pによって包み込まれる。それから、制御装置11は、電動機54Bを作動させ、ボールねじ54Aによって第一の耳形成部材54を移動し、折り込みアーム54’を包装紙Pにおける梱包物Mの端面から突出している部分を押し、耳Efを形成させる。図7の(c)はこのときの状態を示している。
【0051】
それから、制御装置11は、移動台55を駆動する電動機を作動させ、移動台55を水平移動させて、押さえ部材52,53および第一の耳形成部材54を搬送台45の末端付近まで水平移動する。包装紙Pにおける反対側の立ち上がり部は、図5に示すように、弾性部材56Aによって予備曲げされ、第二の上面折り曲げ部材57を通過するときに直角に曲げられ、図7の(D)に示すように、梱包物Mの反対側を包み込む。同時に、第二の耳形成部材58が、包装紙Pにおける水平に曲げられた部分を折り、図7の(E)に示すように、反対側の耳Ebを形成する。
【0052】
梱包物Mが搬送台45の終端付近に到達すると、光センサがこれを検出する。制御装置11は、光センサからの信号によって第一のテープ貼り付け器59を下降させ、図6に示すように、包装紙Pの曲げた縁部にテープTtを貼り付け、包装紙Pの巻き付けを固定する。貼り付け終わると、制御装置11は、第一のテープ貼り付け器59を元の位置にもどし、移動台55を動かす動力シリンダを作動させ、移動台55の下降、反対側への移動、上昇を行って、押さえ部材53を梱包物M側面に接触させたあと、移動台55を動かして、押さえ部材53に梱包物Mを水平搬送機構71に押し出させる。押し出すと、制御装置11は、移動台55の動力シリンダを作動させて、移動台55を下降させかつ昇降台42に向かって水平移動させ、押さえ部材52,53および第一の耳形成部材54を元の位置に帰還させる。
【0053】
他方、梱包物Mが水平搬送機構71に送り込まれると、制御装置11は、水平搬送機構71のベルトコンベアを作動させる。梱包物Mが耳畳み部材72に向かって水平搬送される。水平搬送中に、耳畳み部材72が耳Ef,Ebを折り畳む。梱包物Mが第二のテープ貼り付け器73まで搬送され、光センサが梱包物Mの位置検出を行なうと、制御装置11が水平搬送機構71のベルトコンベアを停止し、第二のテープ貼り付け器73を作動させる。テープTeが梱包物Mの耳Ef,Ebに貼り付けられ、図7の(H)に示すように、耳Ef,Ebが結合される。貼り付けが終わると、制御装置11は水平搬送機構71を作動させ、梱包物Mが水平搬送機構71の末端に向かって搬送させる。末端付近に到達すると、光センサが梱包物Mの検出を行い、制御装置11が水平搬送機構71を止め、搬出装置30の押し出し器32を作動させる。梱包物Mは搬出コンベア31に送り出される。光センサが送り出しを検出すると、搬出コンベア31が作動し、梱包物Mをこのクラフト包装機の外部に搬送する。
【0054】
以上説明した実施例において、梱包物Mの梱包高さHは、式(1)によって求めているが、この式のみに限定されず、他の式を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明のクラフト包装機の全体構成を示す説明図。
【図2】図1に示すクラフト包装機の一部を側面からみた説明図。
【図3】図2の3−3線に沿うテープ貼り付け手段の正面図。
【図4】図1に示すクラフト包装機の梱包状態を示す説明図。
【図5】図1に示すクラフト包装機の次の梱包状態を示す説明図。
【図6】図1に示すクラフト包装機のさらに次の梱包状態を示す説明図。
【図7】図1に示すクラフト包装機における包装過程を示す説明図。
【図8】集積された中綴じ本の撓み状態を説明する図。
【符号の説明】
【0056】
10 包装装置
11 制御装置
20 搬入機構
21 搬入コンベア
22 転向台
23 送り溝
24 押し出し器
30 搬出装置
31 搬出コンベア
32 押し出し器
41 位置決め台
42 昇降台
43 突き当て
44 押し出し器
45 搬送台
46 突き当て
47 突き当て
48 シャッター板
49 押し下げ器
50 包装紙供給機構
51 第一の上面折り曲げ板
52 押さえ部材
52A ボールねじ
52B 電動機
53 押さえ部材
54 第一の耳形成部材
54A ボールねじ
54B 電動機
55 移動台
56 巻き付け部材
56A 弾性部材
57 第二の上面折り曲げ部材
58 第二の耳形成部材
59 第一のテープ貼り付け器
61 支持台
62 テープヘッド
63 カムローラ
64 カム面
65 圧着ローラ
66 圧着ローラ
67 テープカッター
71 水平搬送機構
72 耳畳み部材
73 第二のテープ貼り付け器
Ef 耳
Eb 曲げて耳
M 梱包物
P 包装紙
Te テープ
Tt テープ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
中綴じ本積層物を梱包物としこれを包装紙としてのクラフト紙によって梱包するクラフト包装装置であって、
包装紙に載置された梱包物を垂直移動させ、包装紙を梱包物の下面および側面に沿ってU字状に折り曲げる包装紙巻き付け手段と、梱包物の上面に向かってU字状の包装紙における一方の側面を曲げた後、水平搬送しつつ梱包物の端面に沿って包装紙の端面を曲げて耳を形成し、包装紙における梱包物の上面にある側縁間を結合し、双方の耳を折り畳み、折り畳まれた耳を結合している包装紙折り曲げ手段と、中綴じ本の判形、厚みおよび梱包冊数に基づいて梱包高さHを設定し、該梱包高さHにもとづいて包装紙の上面曲げ位置を定め、上面曲げ位置を基準に梱包物の降下位置、耳形成位置および水平搬送高さを変更する制御手段とを有することを特徴とするクラフト包装機。
【請求項2】
前記包装紙巻き付け手段が、梱包物およびこれを載せた包装紙を担持する昇降台と、昇降台の降下に際して、梱包物の下面および側面を包み込むように包装紙をU字状に折り曲げる、昇降台の昇降路に沿って配置された巻き付け部材とを備えることを特徴とする請求項1に記載のクラフト包装機。
【請求項3】
前記包装紙折り曲げ手段が、梱包物の上面に向かってU字状包装紙の一方側側面を折り曲げる作動位置とこれから待避する位置との間を移動する昇降台の降下位置に配置された第一の上面折り曲げ部材と、降下位置にある梱包物に向かって水平移動して包装紙を折り曲げ、一方の耳を形成する昇降台の降下位置に配置された第一の耳形成部材と、梱包物を水平移動する水平搬送機構と、水平搬送路に沿って作動位置にある第一の上面折り曲げ部材の延長線上に配置された梱包物上面に向かって包装紙の他方側側面を折り曲げる第二の上面折り曲げ部材、作動位置にある第一の上面折り曲げ部材による折り曲げに対応して配置された固定材および固定材に対する距離を変更可能な移動可能な可動材とからなり、包装紙における梱包物の他方側端面を折り曲げて他方の耳を形成する水平搬送路に沿って配置された第二の耳形成手段と、包装紙における梱包物上面に位置する側縁間を結合する水平搬送路に沿って配置された第一のテープ貼り付け器と、双方の耳を折り畳む水平搬送路に沿って配置された耳畳み部材および折り畳まれた耳を結合する水平搬送路に沿って配置された第二のテープ貼り付け器とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載のクラフト包装機。
【請求項4】
前記水平搬送機構が第一の水平搬送手段と第二の水平搬送手段とからなり、前記第一の水平搬送手段がU字状包装紙の側面を押さえて梱包物を第二の水平搬送手段まで移動させる一対の押さえ部材を備え、前記第二の水平搬送手段が梱包物の上面に接触するベルトコンベアと梱包物の下面に接触する、制御装置によって高さ調整されるベルトコンベアとからなり、前記第二の上面折り曲げ部材、第一の耳形成部材および第一のテープ貼り付け器が第一の水平搬送機構の水平搬送路に、耳畳み部材および第二のテープ貼り付け器が第一の水平搬送機構の水平搬送路に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のクラフト包装機。
【請求項5】
前記第二の上面折り曲げ部材が、梱包物を水平搬送するときに、包装紙における他方の側面を予備曲げする柔軟性をもつ部材を含んでいることを特徴とする請求項4に記載のクラフト包装機。
【請求項6】
前記第一および第二のテープ貼り付け手段が、ぞれぞれ、昇降可能な支持台とテープヘッドとからなり、テープヘッドがカムローラとテープを保持するテープローラとを備え、支持台がその下降によってテープヘッドを回転させ、テープを介してテープローラを包装紙に圧着させるカム面を備えていることを特徴とする請求項3に記載のクラフト包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−21786(P2006−21786A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200215(P2004−200215)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(592139854)図書印刷株式会社 (5)
【Fターム(参考)】