説明

クリップ

【課題】簡素な構造を有し、比較的小さな径の貫通孔に結合可能なクリップを提供する。
【解決手段】サイレンサ50の表面51及び裏面52を連通する貫通孔53に係合するクリップ1であって、筒部2と、筒部の基端部に設けられたフランジ部15と、フランジ部に設けられ、筒部の先端部側へと向けて、筒部の軸線に対して傾斜して延びる可撓性を有する連結片部21と、連結片部の先端に設けられたフック基部31及びフック先端部32からなるL字形のフック部22とを有し、筒部を貫通孔に表面側から裏面側へと挿入する際には、フック先端部が筒部と共に貫通孔に通過し、連結片部が貫通孔の表面側の孔縁に押圧されて屈曲し、連結片部の屈曲に伴ってフック部が回転し、フック基部が筒部の外面に沿うように変位し、フック先端部が貫通孔の他面側の孔縁の外方へと回り込み、係合することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート部材に形成された貫通孔に係合するクリップに係り、詳しくはサイレンサ等のシート部材を車体パネルに取り付けるためのクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
サイレンサ等のシート部材を車体パネルに取り付けるためのクリップとして、シート部材に形成された貫通孔に挿入可能な筒部(軸部)と、筒部の一端に設けられ、貫通孔よりも大きいフランジ部と、筒部の他端にヒンジ部を介して設けられた脚部及びレバーとを備えたクリップが公知となっている(例えば、特許文献1)。このようなクリップは、脚部及びレバーが協働して略C字状となるように配置され、初期状態において、脚部が筒部の軸線方向におけるフランジ部側と相反する側に延び、レバーが筒部の径方向外方に延びている。そして、クリップを貫通孔に挿入すると、脚部が筒部と共に貫通孔を通過し、その後、レバーが貫通孔の孔縁に押圧されて、レバー及び脚部がヒンジ部により筒部に対して回転し、脚部が通過した貫通孔の径方向外方へと回り込み、クリップが貫通孔に係合する。そして、筒部の内部に車体パネルに突設されたスタッドボルトを挿入することによって、クリップを介したシート部材の車体パネルへの取り付け構造を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−151224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたクリップは、脚部が貫通孔を通過できるようにしつつ、レバーが貫通孔の孔縁に押圧された際に脚部が通過した貫通孔の径方向外方へと突出できるようにするため、脚部とレバーとの間の距離が大きくなる。また、脚部とレバーとの間の距離を大きくすることで、レバーが回転する際にフランジ部に接触するため、回転のためにレバーを変形させなければならず、クリップの貫通孔への挿入力が高くなる。レバーに接触するシート部材の材質が硬くなるほどレバーの変形が阻害されるため、クリップの貫通孔への挿入力はより高くなる。また、脚部及びレバーを連結するためのヒンジ部を筒部の外面に設けているため、脚部等の回転スペースを考慮すると、結合可能な貫通孔が比較的大きくなるという問題がある。逆に、貫通孔を小さくすると、ヒンジ部のスペースを確保するために、筒部の幅(直径)が小さくなり、内部にスタッドボルト等を受容できなくなる。すなわち、ヒンジ部が筒部の外面において嵩張り、クリップの汎用性を低下させているという問題がある。
【0005】
本発明は、以上の問題を鑑みてなされたものであって、簡素な構造を有し、比較的小さな径の貫通孔に結合可能なクリップを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、シート部材(50)の一面(51)及び他面(52)を連通する貫通孔(53)に係合するクリップ(1)であって、前記貫通孔に挿入可能な筒部(2)と、前記筒部の基端部に設けられ、前記貫通孔よりも大きいフランジ部(15)と、前記フランジ部に設けられ、前記筒部の先端部側へと向けて、前記筒部の軸線に対して傾斜して延びる可撓性を有する連結片部(21)と、前記連結片部の先端に設けられたフック基部(31)及び前記フック基部に突設されたフック先端部(32)を備えたL字形のフック部(22)とを有し、前記筒部を前記貫通孔に前記一面側から前記他面側へと挿入する際には、前記フック先端部が前記筒部と共に前記貫通孔に通過し、前記連結片部が前記貫通孔の前記一面側の孔縁に押圧されて屈曲し、前記連結片部の屈曲に伴って前記フック部が回転し、前記フック基部が前記筒部の外面に沿うように変位し、前記フック先端部が前記貫通孔の前記他面側の孔縁の外方へと回り込み、係合することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、筒部の外面にフック部を回転可能に支持する必要がないため、貫通孔の径方向において筒部の外面と貫通孔の孔壁との間の距離を小さくすることができる。すなわち、貫通孔の径を小さくすることができる。
【0008】
本発明の他の側面は、前記フック基部及び前記筒部の一方には係止爪(33)が設けられ、前記フック基部及び前記筒部の他方には前記係止爪を係止可能な係止孔(7)が設けられ、前記係止爪が前記係止孔に係止されることによって、前記フック先端部が前記貫通孔の前記多面側の孔縁に係合した状態に維持されることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、簡素な構成でクリップと貫通孔との係合状態を維持することができる。
【0010】
本発明の他の側面は、前記連結片部は、前記フランジ部に連続した可撓性を有する第1節部(24)と、前記第1関節部に連続し、前記筒部の先端部側へと前記筒部の軸線に対して傾斜して直線状に延びる板片部(25)と、前記板片部の先端部と前記フック基部との間に設けられた可撓性を有する第2節部(26)とを有することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、屈曲部位が予め設定されているため、クリップが貫通孔に係合する際に、フック部が所定の位置に確実に移動するようになる。
【0012】
本発明の他の側面は、前記筒部の内面には、前記筒部の中心側へと突設された突片(11)が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする
【0013】
この構成によれば、筒部の内部において他の部材と係合することができる。
【0014】
本発明の他の側面は、前記筒部、前記フランジ部、前記連結片部及び前記フック部は、1つの連続した樹脂材料から形成されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、部品点数が少ないため、製造及び取り付け作業が容易となる。
【発明の効果】
【0016】
以上の構成によれば、簡素な構造を有し、比較的小さな径の貫通孔に結合可能なクリップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係るクリップを斜め上方から見た斜視図
【図2】実施形態に係るクリップを斜め下方から見た斜視図
【図3】実施形態に係るクリップの平面図
【図4】実施形態に係るクリップの正面図
【図5】実施形態に係るクリップの側面図
【図6】実施形態に係るクリップの底面図
【図7】図3のVII−VII断面図
【図8】実施形態に係るクリップをサイレンサの貫通孔に取り付ける際の途中の形態を示す断面図
【図9】実施形態に係るクリップをサイレンサの貫通孔に取り付ける際の途中の形態を示す断面図
【図10】実施形態に係るクリップをサイレンサの貫通孔に取り付ける際の途中の形態を示す断面図
【図11】実施形態に係るクリップをサイレンサの貫通孔に取り付ける際の途中の形態を示す断面図
【図12】実施形態に係るクリップをサイレンサの貫通孔に取り付けた形態を示す断面図
【図13】実施形態に係るクリップを使用してサイレンサを車体パネルに取り付けた形態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明を自動車のエンジンルームとキャビンとを仕切る隔壁(ダッシュボード)等にシート状のサイレンサ(インシュレータ)を固定するために使用するクリップに適用した実施形態を詳細に説明する。以下の説明においては、各図に示す座標軸に基づいて各方向を定める。
【0019】
図1〜図7に、クリップ1の斜視図、正面図、平面図、側面図、底面図及び断面図を示す。なお、クリップ1は、左右対称かつ前後対称の形態を有するため、正面図と同様の背面図は省略し、左右同様の側面図は単に側面図として示す。図1〜図6に示すように、クリップ1は、上下方向に延在する軸線Aを有し、軸線Aを軸線として上下方向に延在する筒部2を有している。筒部2は、左方を向く平面を有する左側壁3と、右方を向く平面を有する右側壁4と、左側壁3及び右側壁4の前端同士を連続する前側壁5と、左側壁3及び右側壁4の後端同士を連続する後側壁6とを有している。左側壁3及び右側壁4の外面には、前後方向に延在して前後端が前側壁5及び後側壁6の外面に連通する係止溝7が形成されている。なお、他の実施形態では、係止溝7を係合孔とし、前後端が前側壁5及び後側壁6の外面に連通しないようにしてもよい。前側壁5及び後側壁6の外面は、軸線Aを中心とする円周面を形成しており、その適所には肉抜き部8が形成されている。
【0020】
筒部2の内部には、軸線Aに沿って上下方向に貫通する断面円形状の内孔9が形成されている。内孔9の孔壁の前部及び後部の互いに対向する部分には、上下方向に延在して筒部の上面及び下面に連通する断面四角形状の溝10がそれぞれ凹設されている。図3及び7に示すように、各溝10の底部の上下方向における中間部には、軸線A側へと突出する片持ち片状の突片11が形成されている。突片11は、先端が溝10から内孔9内へと突出する長さに形成されている。突片11は、可撓性を有し、上下方向に傾倒可能となっている。突片11は、内孔9内に突入するスタッドボルトや拡頭部を有する軸等に引っ掛かることができるようになっている。
【0021】
筒部2の上端部には、軸線Aの径方向外側に延出する円板状のフランジ部15が設けられている。フランジ部15の下面の前部及び後部には、径方向に延在する突条16が設けられている。突条16は、クリップ1が取り付けられるシート部材(サイレンサ)の表面との密着性を高める目的で設けられている。突条16が、径方向に延在していることで、クリップ1のシート部材に対する軸線A回りの回転が抑制される。
【0022】
フランジ部15の周縁部の左右端部分には、それぞれ連結片部21が連結されている。各連結片部21の先端にはフック部22が連結されている。左右一対の連結片部21及びフック部22は同一の形状を有する。連結片部21は、フランジ部15の周縁部の左端部又は右端部に連結された第1節部24と、第1節部24の先端に連結された板片部25と、板片部25の先端部に連結された第2節部26とを有している。
【0023】
第1節部24は、板片部材が湾曲したC字形状をなし、フランジ部15の左端部(右端部)から径方向外方に突出した後、湾曲して軸線Aの径方向内方かつ下方の、軸線Aと略45°の角度をなす方向に延びている。板片部25は、細長い板片に形成され、第1節部24の先端から、軸線Aの径方向内方かつ下方の、軸線Aと略45°の角度をなす方向に延在している。第2節部26は、板片状をなし、板片部25の先端から板片部25の延在方向と同方向、すなわち軸線Aの径方向内方かつ下方の、軸線Aと略45°の角度をなす方向に延びている。第1節部24及び第2節部26は、板片部25よりも薄肉に形成され、可撓性を有している。また、第1節部24は、その形状から第2節部26よりも撓み易くなっている。
【0024】
フック部22は、板状をなすフック基部31及びフック先端部32を互いに直交するように接続し、前後方向から見てL字形状をなすように構成したものである。フック基部31は、第2節部26の先端部に連結され、板片部25の延在方向と同方向、すなわち軸線Aの径方向内方かつ下方の、軸線Aと略45°の角度をなす方向に延在している。フック先端部32は、フック基部31の先端から、フック基部31の延在方向と直交する方向であって、軸線Aの径方向外方かつ下方へと延びている。
【0025】
フック基部31の筒部2側を向く面には係止爪33が突設されている。係止爪33は、直角三角形状の断面を有し、フック基部31の先端側にフック基部31の延在方向と直交する逆止面34を有している。フック基部31の前後端には、前方または後方へと突出する拡張部35が設けられている。フック基部31及びフック先端部32の連結部には、フック基部31からフック先端部32と延在するリブ37が形成されている。
【0026】
以上に説明したクリップ1は、各構成が連続した樹脂材料から形成されている。クリップ1は初期状態において、図4に示すように、フック基部31及びフック先端部32の連結部の軸線A側に形成される角部38が、筒部2の下端よりも下方に位置し、かつ上下方向から見て筒部2と重なる位置に配置されている。クリップ1の初期状態においては、フック先端部32の先端同士間の左右方向における長さは、L1となっている。クリップ1の左右方向における長さ(幅)は、第1節部24の軸線Aの径方向における外端同士間において最大となり、その長さはL2となっている。
【0027】
次に、図8〜図13を参照して、上述したクリップ1を用いてサイレンサ(インシュレータ)50をエンジンフード60の裏面に取り付ける方法及びその取り付け構造について説明する。
【0028】
サイレンサ50は、フェルトや発泡ウレタン等から形成された軟質シート部材であり、防音の目的で使用されるものである。図8に示すように、サイレンサ50には、その表面51及び裏面52を連通するように断面円形状の貫通孔53が形成されている。貫通孔53の周囲は、形状を保持するために、圧縮等の処理がなされて固められていてもよい。貫通孔53の直径D1は、長さL1より大きく、かつ長さL2より小さく設定されている。
【0029】
最初に、図8に示すように、クリップ1をフック部22側から、貫通孔53に表面51側から挿入する。このとき、フック先端部32の先端同士間の長さL1が貫通孔53の直径D1よりも小さいため、フック部22は貫通孔53を通過することができる。クリップ1の貫通孔53への挿入が進むと、図8に示すように、貫通孔53の表面51側の孔縁が第2節部26に当接する。この状態から更にクリップ1を貫通孔53内へと挿入すると、第2節部26を含む連結片部21が押圧されて第1節部24が変形し、第1節部24を中心として板片部25、第2節部26及びフック部22は互いの相対位置を維持しつつ一体となってフック部22が筒部2の下端に近接する方向に回転する。そして、フック基部31の係止爪33が筒部2の下端に当接する。
【0030】
図9に示す状態から、更にクリップ1を貫通孔53内へと挿入すると、係止爪33が筒部2の下端に当接しているため、板片部25、第2節部26及びフック部22は互いの相対位置を維持しつつ回転することはできず、図10に示すように第2節部26が屈曲する。これにより、板片部25は第1節部24を中心にフランジ部15に近接する方向に回転する。フック部22は、板片部25の回転に伴ってフランジ部15側に変位しつつ、第2節部26を中心にフック先端部32の先端が貫通孔53の径方向外方に進む方向に、すなわちフック先端部32の先端が、貫通孔53の裏面52側の孔縁の外方に回り込むように回転する。
【0031】
図11に示すように、クリップ1の貫通孔53内への挿入が進むと、板片部25はフランジ部15に近接し、第2節部26は筒部2とフランジ部15との連結部に近接し、フック基部31は筒部2の左右側壁3、4と概ね平行に延在し、フック先端部32は軸線Aの径方向に延在するようになる。
【0032】
図12に示すように、クリップ1の貫通孔53内への挿入は、板片部25がフランジ部15に当接した状態で完了となる。この状態では、第2節部26は筒部2とフランジ部15との連結部に近接して略90°に屈曲し、フック基部31は筒部2の左右側壁3、4と概ね平行に延在し、フック先端部32は軸線Aの径方向に延在して先端部が貫通孔53の裏面52側の孔縁外方に回り込む。このとき、左右方向におけるフック先端部32の先端間の長さはL3となり、貫通孔53の直径D1よりも長くなる。また、フック基部31の係止爪33が筒部2の係止溝7に突入して係止されることによって、フック部22の筒部に対する下方への変位が抑制される。この状態では、連結片部21によって、フック部22の回転は規制されているため、係止爪33と係止溝7との係合状態は維持され、フック部22の筒部2に対する位置は固定される。
【0033】
クリップ1の貫通孔53への挿入が完了した状態では、フック部22のリブ37は、貫通孔53の孔壁に当接して、クリップ1の貫通孔53に対する左右方向の変位(がた付き)を規制する。なお、前後方向においては、筒部2の前側壁5及び後側壁6が貫通孔53の孔壁に当接し、クリップ1の貫通孔53に対する変位が規制されている。
【0034】
以上のようにして、クリップ1は貫通孔53に固定される。クリップ1は、筒部2の長さによってスペーサとして機能する他、はとめやグロメットとして機能する。本実施形態の構成によれば、筒部2の外面にフック部22を回転可能に支持する必要がないため、貫通孔53の径方向において筒部2の外面と貫通孔の孔壁との間の距離を小さくすることができる。
【0035】
クリップ1を取り付けたサイレンサ50をエンジンフード60の裏面に取り付ける方法及びその取り付け構造について説明する。図13に示すように、エンジンフード60の裏面にはスタッドボルト61が突設されている。サイレンサ50に取り付けられたクリップ1の内孔9内にスタッドボルト61を挿入することによって、突片11がスタッドボルト61のねじ部に係合し、クリップ1がスタッドボルト61に固定される。この状態で貫通孔64が形成された板状のカバー部材63でクリップ1及びサイレンサ50を覆い、カバー部材63の貫通孔64からスタッドボルト61を突出させ、スタッドボルト61にナット65を螺合させる。これにより、エンジンフード60、クリップ1、サイレンサ50及びカバー部材63を一体に固定することができる。なお、カバー部材63は適宜省略してもよい。
【0036】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、実施形態では連結片部21を第1節部24、板片部25及び第2節部26から構成したが、連結片部21を1つの可撓性部材としてもよい。実施形態の連結片部21では第1節部24又は第2節部26で屈曲するが、1つの可撓性部材とした場合には貫通孔53の形状、大きさ等によって屈曲する位置が変化する。また、実施形態では、フック基部31に係止爪33を設け、左右側壁3、4に係合溝7を設けたが、フック基部31に係止溝(係止孔)を設け、左右側壁3、4にフック基部31の係止溝に係止される係止爪を設けてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…クリップ、2…筒部、3…左側壁、4…右側壁、7…係止溝(係止孔)、9…内孔、11…突片、15…フランジ部、21…連結片部、22…フック部、24…第1節部、25…板片部、26…第2節部、31…フック基部、32…フック先端部、33…係止爪、50…サイレンサ(シート部材)、51…表面(一面)、52…裏面(他面)、53…貫通孔、60…エンジンフード、61…スタッドボルト、63…カバー部材、64…貫通孔、65…ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート部材の一面及び他面を連通する貫通孔に係合するクリップであって、
前記貫通孔に挿入可能な筒部と、
前記筒部の基端部に設けられ、前記貫通孔よりも大きいフランジ部と、
前記フランジ部に設けられ、前記筒部の先端部側へと向けて、前記筒部の軸線に対して傾斜して延びる可撓性を有する連結片部と、
前記連結片部の先端に設けられたフック基部及び前記フック基部に突設されたフック先端部を備えたL字形のフック部と
を有し、
前記筒部を前記貫通孔に前記一面側から前記他面側へと挿入する際には、前記フック先端部が前記筒部と共に前記貫通孔に通過し、前記連結片部が前記貫通孔の前記一面側の孔縁に押圧されて屈曲し、前記連結片部の屈曲に伴って前記フック部が回転し、前記フック基部が前記筒部の外面に沿うように変位し、前記フック先端部が前記貫通孔の前記他面側の孔縁の外方へと回り込み、係合することを特徴とするクリップ。
【請求項2】
前記フック基部及び前記筒部の一方には係止爪が設けられ、
前記フック基部及び前記筒部の他方には前記係止爪を係止可能な係止孔が設けられ、
前記係止爪が前記係止孔に係止されることによって、前記フック先端部が前記貫通孔の前記多面側の孔縁に係合した状態に維持されることを特徴とする請求項1に記載のクリップ。
【請求項3】
前記連結片部は、前記フランジ部に連続した可撓性を有する第1節部と、前記第1関節部に連続し、前記筒部の先端部側へと前記筒部の軸線に対して傾斜して直線状に延びる板片部と、前記板片部の先端部と前記フック基部との間に設けられた可撓性を有する第2節部とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクリップ。
【請求項4】
前記筒部の内面には、前記筒部の中心側へと突設された突片が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つの項に記載のクリップ。
【請求項5】
前記筒部、前記フランジ部、前記連結片部及び前記フック部は、1つの連続した樹脂材料から形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つの項に記載のクリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−225404(P2012−225404A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92562(P2011−92562)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】