説明

クリヤー塗料組成物及び複層塗膜形成方法

【課題】ベース塗膜の色戻りを抑制し、優れた複層塗膜を形成することができるクリヤー塗料組成物を提供すること。
【解決手段】エステル部が炭素数9〜15の直鎖炭化水素基である長鎖(メタ)アクリル酸エステルモノマー、カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマー、及び、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーを含んだモノマー混合物から得られるアクリル樹脂を含むことを特徴とするクリヤー塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリヤー塗料組成物及び複層塗膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体等の塗装においては、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を含有する上塗り塗膜を形成することが広く行われている。特にクリヤー塗膜は、自動車車体等の塗膜における最外層を構成するものであることから、意匠性、耐酸性、耐擦り傷性等の諸物性が求められている。
【0003】
従来、自動車塗装用のクリヤー塗料として、アクリル/メラミン樹脂熱硬化型塗料が使用されていた。しかし、このようなメラミン樹脂を硬化剤として用いることにより得られる塗膜は、耐酸性に劣るため、酸性雨により劣化され易く、外観上の不具合を生じるおそれがあった。
【0004】
このようなアクリル/メラミン樹脂熱硬化型以外のクリヤー塗料としては、例えば、ウレタン系塗料(例えば、特許文献1参照)等が存在する。
しかしながら、ウレタン系塗料は、耐酸性及び耐擦り傷性に優れた塗膜を得ることができるものの、未硬化ベース塗膜上に、ウレタン系塗料によりクリヤー塗膜を形成し、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を同時に加熱硬化させる所謂2コート1ベークによる上塗り塗膜の形成を行った場合、クリヤー塗料組成物中のアクリル樹脂(アクリルポリオール)が未硬化ベース塗膜中へ浸透して意匠性に影響を与える場合があった。
【0005】
特に、ベース塗料組成物が光輝性顔料を有するメタリック塗料である場合、クリヤー塗料組成物中の成分の浸透によって、未硬化ベース塗膜中の光輝性顔料の配列が乱され、その結果、ハイライト(正面)が暗くなる一方でシェード(すかし面)が明るくなるベース塗膜の色戻りと呼ばれる現象が発生し、意匠性が悪化する場合があった。
そのため、ウレタン系塗料は、自動車塗装用のクリヤー塗料、特に、高い意匠性が要求される市場向けの自動車塗装用のクリヤー塗料としては、優れた意匠性を有する塗膜を得ることが困難であるという問題があった。
【特許文献1】特開2005−787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の現状に鑑み、ベース塗膜の色戻りを抑制し、ベース塗膜の本来有する高い意匠性を維持する複層塗膜を形成することができる意匠維持性に優れたクリヤー塗料組成物及び複層塗膜形成方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、エステル部が炭素数9〜15の直鎖炭化水素基である長鎖(メタ)アクリル酸エステルモノマー、カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマー、及び、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーを含んだモノマー混合物から得られるアクリル樹脂を含むことを特徴とするクリヤー塗料組成物である。
本発明のクリヤー塗料組成物は、更に、カルボキシル基及び/又は水酸基と硬化可能な硬化剤を含むことが好ましい。
上記硬化剤は、ポリイソシアネート化合物であることが好ましい。
【0008】
上記モノマー混合物中の長鎖(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量は、モノマー固形分全量に対して5〜15質量%であることが好ましい。
上記アクリル樹脂の固形分酸価は、1〜10mgKOH/gであることが好ましい。
【0009】
本発明はまた、基材に対して、ベース塗料を塗布して未硬化ベース塗膜を形成する工程(1)と、上記工程(1)で得られた未硬化ベース塗膜上に、クリヤー塗料を塗布して未硬化クリヤー塗膜を形成する工程(2)と、上記工程(1)及び工程(2)で得られた未硬化ベース塗膜及び未硬化クリヤー塗膜を同時に加熱硬化して複層塗膜を形成する工程(3)とを含む複層塗膜形成方法であって、上記クリヤー塗料は、上述したクリヤー塗料組成物であることを特徴とする複層塗膜形成方法でもある。
本発明の複層塗膜形成方法は、上記工程(1)以前に、上記基材に中塗り塗料又はプライマーサーフェイサーを塗布して中塗り塗膜又はプライマーサーフェイサー塗膜を得る工程(P)を含むものであってもよい。
以下に本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明のクリヤー塗料組成物は、エステル部が炭素数9〜15の直鎖炭化水素基である長鎖(メタ)アクリル酸エステルモノマー、カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマー、及び、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーを含んだモノマー混合物から得られるアクリル樹脂を含むものである。
本発明のクリヤー塗料組成物は、優れた耐酸性及び耐擦り傷性を有する塗膜の形成が可能であり、更に、ベース塗膜の色戻りを抑制することができるため、優れた意匠性を有する塗膜を形成することができる。従って、自動車塗装用の2液型クリヤー塗料として好適に用いることができる。
【0011】
本発明のクリヤー塗料組成物によって、優れた外観を有する塗膜を形成することができる理由は、上記アクリル樹脂が、比較的長い炭素数9〜15の直鎖炭化水素基を側鎖として有するため、2コート1ベークによる上塗り塗膜の形成工程において、クリヤー塗料を塗布した際、上記直鎖炭化水素基の立体障害によって、アクリル樹脂が未硬化のベース塗膜に浸透することを防止することができるからであると考えられる。更に、アクリル樹脂を酸価の高いものとすることも、アクリル樹脂の未硬化のベース塗膜への浸透を防止することに効果を有すると考えられる。
【0012】
このように、本発明のクリヤー塗料組成物によれば、アクリル樹脂の未硬化のベース塗膜への浸透を防止することができ、ベース塗料組成物が光輝性顔料を有するメタリック塗料である場合に、光輝性顔料の配向の乱れを防止することができるため、ベース塗膜の色戻りを抑制することができると推測される。
【0013】
上記アクリル樹脂は、エステル部が炭素数9〜15の直鎖炭化水素基である長鎖(メタ)アクリル酸エステルモノマー、カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマー、及び、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーを含むモノマー混合物から得られるものである。
【0014】
上記長鎖(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、例えば、下記一般式(A)
【0015】
【化1】

【0016】
(Rは水素又はメチル基、nは8〜14の自然数を表す)で表されるものである。
【0017】
上記長鎖(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、エステル部が炭素数9〜15の直鎖炭化水素基であれば、特に限定されるものではなく、例えば、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ノニルを挙げることができる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
上記モノマー混合物中の長鎖(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量は、モノマー固形分全量に対して5〜15質量%であることが好ましい。5質量%未満であると、クリヤー塗膜のベース塗膜側への影響を充分に抑制することが困難である。一方、15質量%を超えると、再塗装の際の密着性が低下するおそれがある。
【0019】
上記カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二量体、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸を挙げることができる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマーを用いることにより、優れた意匠性の塗膜を形成することができる。このような効果は、カルボキシル基の会合によって上記アクリル樹脂の見かけの分子量を高めることができるため、上記アクリル樹脂のベース塗膜への浸透を防止することができるからであると推測される。
【0020】
上記水酸基含有(メタ)アクリルモノマーは、特に限定されるものではなく、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、アリルアルコール、メタクリルアルコール、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの付加物等を挙げることができる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
上述した長鎖(メタ)アクリル酸エステルモノマー、カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマー及び水酸基含有(メタ)アクリルモノマーを含むモノマー混合物から、上記アクリル樹脂を得ることができる。また、上記モノマー混合物は、その他の不飽和モノマーを含有してもよい。
【0022】
上記その他の不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルとして、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等のエステル部の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸環状炭化水素エステル;(メタ)アクリル酸イソボロニル;(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、重合度2〜10のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールエステル;及び、炭素数1〜3のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート等のほか、(メタ)アクリルアミド;スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルトルエン、アクリロニトリル等のビニル化合物;並びに、クロトン酸エステル類;マレイン酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類等の不飽和二塩基酸のジエステルを挙げることができる。上記その他の不飽和モノマーは、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
上記アクリル樹脂を得るための重合方法は、特に限定されるものではなく、溶液重合、分散重合、乳化重合等の公知の方法を使用することができる。
【0024】
上記アクリル樹脂は、固形分酸価が1〜10mgKOH/gであることが好ましい。
酸価を上記範囲内とすることにより、カルボキシル基の会合によって見かけの分子量を高めることができるため、上記アクリル樹脂のベース塗膜への浸透を防止することができ、優れた意匠性の塗膜を形成することができるからである。
固形分酸価が1mgKOH/g未満であると、会合する点が少なくなり、見かけの分子量を上昇させることが困難になるため、優れた意匠性を有する塗膜の形成が困難になるおそれがある。固形分酸価が10mgKOH/gを超えると、粘度が高くなりすぎ、高固形分の塗料組成物になりにくい場合がある。固形分酸価は2〜7mgKOH/gであることがより好ましい。
【0025】
上記アクリル樹脂は、固形分水酸基価が50〜140mgKOH/gであることが好ましい。固形分水酸基価が50mgKOH/g未満であると、硬化性が低下するおそれがある。固形分水酸基価が140mgKOH/gを超えると、塗膜の耐水性が低下するおそれがある。固形分水酸基価は80〜140mgKOH/gであることがより好ましい。なお、上記酸価及び水酸基価は、原料モノマーの配合比によって調整することができる。
【0026】
上記アクリル樹脂は、数平均分子量(Mn)が2000〜10000であることが好ましい。数平均分子量(Mn)が2000未満であると、塗料の硬化性が充分ではなく、10000を超えると、粘度が高くなり、高固形分の塗料組成物になりにくい場合がある。上記アクリル樹脂の数平均分子量は、4000〜6000であることがより好ましい。
なお、本明細書において、数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量である。
【0027】
上記アクリル樹脂は、ガラス転移点温度(Tg値)が−30〜50℃であることが好ましい。Tg値が−30℃未満であると、塗膜硬度が低下するおそれがあり、また、塗料液温度の変動によって形成される塗膜の膜厚にばらつきが生じるおそれがある。一方、50℃を超えると、粘度が高くなりすぎ、高固形分の塗料組成物になりにくい場合がある。上記アクリル樹脂のTg値は、−10〜30℃であることがより好ましい。
【0028】
上記アクリル樹脂のTg値は、例えば、構成するモノマー又はホモポリマーの既知のTg値と組成比とから計算することによって算出することができる。
【0029】
上記クリヤー塗料組成物は、カルボキシル基及び/又は水酸基と硬化可能な硬化剤を含有することが好ましい。
上記硬化剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ポリカルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物等を挙げることができる。なかでも、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
【0030】
上記ポリイソシアネート化合物としては、2以上のイソシアネート基を有する化合物であれば、特に限定されず、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート等の脂肪族環式イソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネートメチル等の脂環族イソシアネート、これらのヌレート体、ビューレット体、アダクト体等の多量体及び混合物等を挙げることができる。なかでも、耐候性の点から、ヌレート体が好ましい。
【0031】
上記カルボジイミド基含有化合物としては、加熱下で反応して架橋構造を形成するために官能基を少なくとも2つ有するものであれば特に限定されないが、好ましくは分子中に2つのイソシアネート基を有するもの(1)、及び、分子中に少なくとも2つのカルボジイミド基を有するもの(2)を挙げることができる。このようなカルボジイミド基含有化合物としては、上述したようなイソシアネート化合物の脱炭酸反応によって得られたものを使用することができる。
【0032】
上記分子中に2つのイソシアネート基を有するもの(1)としては、下記式で表されるものを挙げることができる。
OCN−R−(NCN−R)n−NCO
(式中、Rは同一又は異なって、有機ジイソシアネートからイソシアネート基を除いた残基、nは1以上の整数であり、カルボジイミド基の繰り返し数を表す。)
【0033】
上記分子中に少なくとも2つのカルボジイミド基を有するカルボジイミド基含有カルボジイミド(2)としては、下記式で表されるものを挙げることができる。
−NCN−R−(NCN−R)m−NCN−R
(式中、Rは同一又は異なって、有機ジイソシアネートからイソシアネート基を除いた残基、Rは同一又は異なって、モノイソシアネート化合物からイソシアネートを除いた残基、mは0又は1以上の整数であり、カルボジイミド基の繰り返し数を表す。)
【0034】
上記オキサゾリン基含有化合物としては、1分子中に、複数個のオキサゾリン基を有する化合物である。上記オキサゾリン基含有化合物としては特に限定されず、例えば、2,2′−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス−(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−(1,3−フェニレン)−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−(1,3−フェニレン)−ビス−(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−(1,4−フェニレン)−ビス−(2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等のジオキサゾリン化合物;2,2′−(1,2,4−フェニレン)−トリス−(2−オキサゾリン)等のトリオキサゾリン化合物等が挙げられる。
【0035】
上記硬化剤は、上記アクリル樹脂が有するカルボキシル基及び/又は水酸基と硬化可能な官能基を有するものである。上記アクリル樹脂が有するカルボキシル基及び/又は水酸基と硬化可能な官能基の官能基量比は、1/1.5〜1.5/1であることが好ましい。上記官能基量比が1/1.5未満であると、硬化性が不十分となり、1.5/1であると、硬化膜が固くなりすぎ脆くなる。上記官能基量比は、1.4/1〜1/1.4であることがより好ましい。
【0036】
上記クリヤー塗料組成物中には、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸化防止剤、架橋樹脂粒子、表面調整剤等を配合しても良い。上記架橋樹脂粒子を用いる場合は、本発明の硬化性樹脂組成物の樹脂固形分に対して、下限0.01質量%、上限10質量%の割合で配合することが好ましい。上記下限は、0.1質量%であることがより好ましく、上記上限は、5質量%であることがより好ましい。上記架橋樹脂粒子の添加量が10質量%を超えると得られる塗膜の外観が悪化し、0.01質量%未満であるとレオロジーコントロール効果が得られない。
【0037】
本発明のクリヤー塗料組成物は、上記アクリル樹脂を含有する組成物と、カルボキシル基及び/又は水酸基と硬化可能な硬化剤との2液硬化型の塗料組成物であることが好ましい。
【0038】
本発明のクリヤー塗料組成物は、スプレー塗装、刷毛塗り塗装、浸漬塗装、ロール塗装、流し塗装等により塗装することができる。上記クリヤー塗料組成物が2液硬化型塗料組成物である場合には、使用直前に両者を混合した後に、上述した方法により塗装することができる。
【0039】
本発明のクリヤー塗料組成物は、例えば、木、金属、ガラス、布、プラスチック、発泡体等、特に、プラスチック及び金属表面、例えば、スチール、アルミニウム及びこれらの合金に有利に用いることができる。特に自動車塗装用のクリヤー塗料として使用することが好ましい。
【0040】
本発明の複層塗膜形成方法は、(1)基材に対して、ベース塗料を塗布して未硬化ベース塗膜を得た後、(2)上記未硬化ベース塗膜上に上記クリヤー塗料組成物を塗布して未硬化クリヤー塗膜を形成し、(3)未硬化ベース塗膜及び未硬化クリヤー塗膜を加熱硬化して複層塗膜を形成する複層塗膜形成方法である。このような方法は、特に自動車用塗装として好適に使用することができる。
【0041】
上記基材としては、例えば金属成型品、プラスチック成型品、発泡体等に用いることができるが、自動車用の複層塗膜を形成させる基材としては、鉄、アルミニウム、亜鉛系基材及びこれらの合金等の金属成型品やプラスチック成型品等を挙げることができる。カチオン電着塗装可能な金属成型品に対して適用することが好ましい。上記基材は、表面が化成処理されていることが好ましい。更に、基材は、電着塗膜が形成されていてもよい。上記電着塗料としては、上記カチオン型及びアニオン型を使用することができるが、防食性の観点から、カチオン型電着塗料であることが好ましい。
【0042】
上記ベース塗料としては、ベース樹脂成分、光輝性顔料、着色顔料、体質顔料、溶媒等を含有する光輝剤系ベース塗料を用いることができる。このベース塗料組成物は、水分散系又は有機溶媒分散系を含む、水系又は有機溶媒系のものである。水性溶媒、有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。
【0043】
これらのベース塗料に含まれるベース樹脂成分は、ベース樹脂と必要に応じてベース硬化剤とから構成される。ベース樹脂成分を使用して、光輝剤系ベース塗料では光輝性顔料と必要に応じて着色顔料が分散される。
【0044】
上記ベース樹脂として、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂のうち、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましく使用される。これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
ベース樹脂には一般に、硬化可能なタイプとラッカータイプとがあるが、硬化可能なタイプのものが好ましく使用される。硬化可能なタイプを使用する場合は、ベース樹脂と併せて、メラミン樹脂、(ブロック)イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物及びカルボジイミド化合物などのベース硬化剤を使用する。このベース硬化剤を、ベース樹脂成分中に含めて、後に加熱下又は常温下において硬化反応を進行させることができる。また、硬化可能なタイプのベース樹脂と、硬化可能ではないタイプのものとを併用することもできる。
【0046】
ベース硬化剤が含まれる場合、塗料固形分中におけるベース樹脂とベー硬化剤との好ましい質量割合は、90/10〜50/50、より好ましくは85/15〜60/40である。ベース樹脂とベース硬化剤との質量割合が90/10から外れる程、ベース硬化剤の量が少ない場合は、塗膜中の十分な架橋が得られないことがある。一方、この割合が50/50から外れる程、ベース硬化剤の量が多い場合は、塗料の貯蔵安定性が低下するとともに硬化速度が大きくなり、塗膜外観が悪くなる恐れがある。
【0047】
ベース硬化剤として、上述したものの他にエーテル化メラミン樹脂を使用することができる。エーテル化メラミン樹脂は、メラミンをメタノールやブタノール等のアルコールでエーテル化することにより得られる。
【0048】
ベース塗料に含まれる顔料として、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、酸化アルミニウム等の金属または合金等の無着色若しくは着色された鱗片状の金属製光輝材及びその混合物、又は干渉マイカ粉、着色マイカ粉、ホワイトマイカ粉、グラファイト、ガラスフレーク等の無着色有色の光輝材等の光輝性顔料が挙げられる。
また、上記光輝性顔料以外には、例えば、バリタ粉、沈殿性硫酸バリウム、炭酸バリウム、石膏、クレー、シリカ、タルク、炭酸マグネシウム、アルミナホワイトなどの体質顔料、及び着色顔料などが挙げられる。着色顔料として、例えば、アゾレーキ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジコ系顔料、ベリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、金属錯体顔料等の有機顔料、あるいは黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、二酸化チタン、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。顔料の量は、所望の性能及び色相を発現するのに合わせて任意に設定できる。これら顔料は、1種のみ単独で用いてもよく、また2種以上を併用して用いてもよい。
【0049】
ベース塗料は、上記成分の他に、脂肪族アミドの潤滑分散体であるポリアミドワックスや酸化ポリエチレンを主体としたコロイド状分散体であるポリエチレンワックス、硬化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、シリコンや有機高分子等の表面調整剤、タレ止め剤、増粘剤、消泡剤、滑剤、架橋性重合体粒子(ミクロゲル)等を適宜添加することができる。これらの添加剤を、ベース樹脂成分100質量部(固形分基準)に対して15質量部以下の割合で配合することにより、塗料や塗膜の性能を改善することができる。
【0050】
ベース塗料の塗料固形分に対する顔料の濃度(PWC)は、上限65質量%であるのが好ましい。上記下限は5質量%であることがより好ましい。また、ベース塗料の固形分濃度は、下限15質量%上限60質量%の範囲が好ましい。
【0051】
ベース塗料の塗布方法として、具体的には、エアー静電スプレーまたは回転霧化式静電塗装機による多ステージ塗装、好ましくは2ステージ塗装を挙げることができる。この塗布方法を行なうことによって、意匠性を高めることができる。又は、ベース塗料の塗布方法として、エアー静電スプレー回転霧化式の静電塗装機とを組合せた塗装方法が挙げられる。上塗りベース塗膜の乾燥膜厚は、1コートにつき5〜50μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
【0052】
得られた未硬化のベース塗膜はプレヒートを行ってもよい。ベース塗料を塗布した後にプレヒートを行って未硬化のベース塗膜を形成することによって、最終的に、より良好な仕上り外観を有する複層塗膜を得ることができる。なお本発明において「未硬化」とは、完全に硬化していない状態をいい、塗布後、プレヒートが行なわれた塗膜の状態も含むものである。「プレヒート」は、加熱硬化(焼付け)処理で用いられる温度より低い温度である室温〜100℃で、1〜10分間放置又は加熱することにより、行なうことができる。
【0053】
本発明の複層塗膜形成方法において上記クリヤー塗料組成物を塗装する方法としては、具体的には、マイクロマイクロベル、マイクロベルと呼ばれる回転霧化式の静電塗装機による塗装方法を挙げることができる。上記クリヤー塗料組成物が2液硬化型である場合には、両者を使用前に混合した後に、上記方法により上記クリヤー塗料組成物を塗装することができる。本発明の複層塗膜形成方法における上記クリヤー塗料組成物の塗装膜厚は、乾燥膜厚で下限20μm、上限60μmの範囲内であることが好ましい。
【0054】
上記の方法によって形成されたベース未硬化塗膜及びクリヤー未硬化塗膜は、同時に加熱されて硬化し、複層塗膜を形成することが好ましい。上記加熱温度は、下限100℃、上限180℃の範囲内で行うことが好ましい。また、下限120℃、上限160℃であることがより好ましい。加熱硬化時間は硬化温度等によって変化するが、上記加熱硬化温度で行う場合は、10〜30分であることが適当である。
【0055】
このようにして得られた複層塗膜のベース塗膜及びクリヤー塗膜の合計膜厚は、下限30μm、上限80μmの範囲内であることが好ましい。上記方法によって得られた複層塗膜は、耐擦り傷性及び耐酸性及び耐溶剤性等の塗膜物性に優れており、意匠性の高いものである。
【0056】
また、本発明の複層塗膜形成方法においては、工程(1)以前に、上記基材に中塗り塗料又はプライマーサーフェイサーを塗布して中塗り塗膜又はプライマーサーフェイサー塗膜を得る工程(P)を含むものであってもよい。すなわち、本発明の複層塗膜形成方法は、自動車車体の塗装時においても、補修時の塗装にも適用することができる。上記(P)の工程で使用可能な中塗り塗料としては、通常用いられている中塗り塗料を用いることができる。
【0057】
上記中塗り塗料としては、水性塗料であってもよく、また溶剤型塗料であってもよい。これらの塗料の成分としては、中塗り樹脂成分、着色顔料、体質顔料、そして水性溶媒及び/又は有機溶媒が挙げられる。中塗り樹脂成分は、中塗り塗料樹脂及び、必要に応じて中塗り硬化剤から構成される。上記中塗り塗料に含まれる中塗り樹脂成分、中塗り硬化剤、着色顔料、体質顔料、各種添加剤及び溶媒としては、上述したベース塗料に関して記載したものをいずれも使用することができる。
【0058】
中塗り塗料の塗料固形分に対する顔料の濃度(PWC)は、下限30質量%上限65質量%の範囲であるのが好ましい。上記上限は50質量%であることがより好ましい。また、中塗り塗料の固形分濃度は、下限35質量%上限65質量%の範囲が好ましい。
【0059】
中塗り塗料の塗布方法として、スプレー法、ロールコーター法などを用いたものが挙げられる。具体的には、「リアクトガン」といわれるエアー静電スプレーを用いたり、「マイクロ・マイクロ(μμ)ベル」、「マイクロ(μ)ベル」、「メタベル」などといわれる回転霧化式の静電塗装機を用いたりして塗装するのが好ましい。この中で、回転霧化式の静電塗装機を用いて塗装するのが、特に好ましい。中塗り塗膜の好ましい乾燥膜厚は5〜80μmであり、10〜50μmがより好ましい。
【0060】
こうして形成された未硬化の中塗り塗膜を、120〜160℃で所定時間焼付けて硬化させて、硬化した中塗り塗膜を得ることができる。こうして得られた硬化した中塗り塗膜の上に、上記ベース塗料及び上記クリヤー塗料を塗布することができる。
【0061】
また、得られた未硬化の中塗り塗膜上に上記ベース塗料及びクリヤー塗料を、ウェットオンウェットで塗布して、未硬化の中塗り塗膜上に、未硬化のベース塗膜及びクリヤー塗膜を順次形成することが好ましい。このようにウェットオンウェットでベース塗料及びクリヤー塗料を塗布する場合、中塗り塗料を塗布した後にプレヒートを行って未硬化の中塗り塗膜を形成することによって、最終的に、より良好な仕上り外観を有する複層塗膜を得ることができる。
【0062】
また、本発明においては、中塗り塗料にかえて、プライマーサーフェイサーを用いることも可能である。すなわち、本発明の複層塗膜形成方法は、自動車補修時の塗装に適用することも可能である。なお、プライマーサーフェイサーとしては、従来公知のものを用いることが可能である。
【発明の効果】
【0063】
本発明によれば、ベース塗膜の色戻りを抑制し、ベース塗膜の本来有する高い意匠性を維持する複層塗膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を意味する。
【0065】
[合成例a]
温度計、撹拌羽根、窒素導入管、冷却コンデンサー及び滴下ロートを備えた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート448部を加え、窒素雰囲気下120℃に加温した。その容器に、滴下ロートを用いてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート105部、及び、モノマー配合がスチレン200部、メタクリル酸イソボルニル270部、アクリル酸−n−ブチル67部、メタクリル酸−ラウリル100部、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル360部、メタクリル酸3部からなるモノマー混合液を3時間かけて等速滴下した。その後120℃で0.5時間保持し、50部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解したtert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート10部を30分で等速滴下した。更に、120℃で1時間加温を続けた。
その結果、計算Tg4.8℃、固形分酸価2mgKOH/g、水酸基価140mgKOH/g、GPCを用いて得られた標準ポリスチレン換算で数平均分子量(Mn)4600、重量平均分子量(Mw)11600、樹脂固形分は62.5%のアクリル樹脂共重合体aを得た。
【0066】
[合成例b〜k]
表1に示す配合を用いること以外は合成例aと同様にして、表1に示すヒドロキシ基含有アクリル樹脂共重合体b〜kを得た。
なお、メタクリル酸アルキルとしては、メタクリル酸ラウリル/メタクリル酸トリデシルの混合比(質量基準)が4/6であるアクリエステルSL(三菱レイヨン社製)を用いた。
【0067】
【表1】

【0068】
[実施例1〜7、比較例1〜4]
表2に示した配合組成に従って、ヒドロキシ基含有アクリル樹脂共重合体a〜kと、イソシアヌレート型イソシアネート化合物(ディスモジュールN−3300、住化バイエルウレタン社製)とを配合し、各実施例1〜7及び比較例1〜4のクリヤー塗料組成物を得た。
【0069】
リン酸処理鋼板に日本ペイント社製カチオン電着塗料「パワートップU−50」及びグレー中塗り塗料「オルガP−30」(いずれも商品名)を、それぞれ乾燥膜厚が25μm及び40μmになるように塗装して加熱硬化させた試験板に、日本ペイント社製水性塗料「アクアレックスAR−2000」(商品名)のシルバーメタリックベース塗料を塗布し、その上にウェットオンウェットで、実施例1〜7、比較例1〜4のクリヤー塗料組成物をそれぞれ塗布して140℃で30分間焼付け乾燥を行い、塗装方式として2コート1ベークの塗装試験板を作製した。なお、上記ベース塗料及びクリヤー塗料組成物による複層塗膜は、乾燥膜厚がそれぞれ15μm及び40μmとなるように塗装した。なお、別途、上記試験板に上記シルバーメタリックベース塗料を乾燥膜厚が15μmとなるように塗布して、140℃で30分間焼付け乾燥を行い、ベース単層塗膜の塗装試験板を作製した。
【0070】
[評価方法]
実施例1〜7、比較例1〜4のクリヤー塗料組成物により得られた塗装試験板を用いて、下記(1)〜(4)の方法で評価した。評価結果を表2に示す。
【0071】
【表2】

【0072】
(1)L値
対応するメタリックベース単層塗膜を基準とし、2コート1ベークにより得られたメタリック塗膜との色差を測定した。
測定はミノルタ社製CM−512m3を用いて行い、受光角25°(ハイライト)、75°(シェード)におけるL値を測定し、次式により、ΔL値を算出した。
ΔL値=(複層塗膜のL値)−(未硬化ベース単層塗膜のL値)
【0073】
(2)目視観察
目視判定による複層塗膜の意匠性の評価を示した。評価基準としては、◎はフリップフロップ性が非常に強く、意匠性が極めて良好であること、○は僅かにベース塗膜とクリヤー塗膜との混層が見られるものの、フリップフロップ性が強く、ベース塗膜が本来有する意匠性を維持していること、△はベース塗膜とクリヤー塗膜とが混層しており、フリップフロップ性が弱く、意匠性が低いこと、×はベース塗膜とクリヤー塗膜とが混層し、フリップフロップ性が非常に弱く、意匠性が極めて低いことを示す。
【0074】
(3)再塗装での一次付着性
加熱硬化後の複層塗膜上に再び同一の水性ベース塗料を塗布し、更に同一のクリヤー塗料組成物を塗布して120℃で30分間焼付け乾燥を行い、付着性評価用試験板を作成した。得られた試験板を、JIS K 5600−5−6に準拠して碁盤目試験を実施し、塗膜の剥離の有無を評価した。○は塗膜の剥離がないもの、×は塗膜の剥離があることを示す。
【0075】
(4)再塗装の耐水二次付着性
上記付着性評価用試験板を40℃に保持したイオン交換水中に10日間浸漬した。取り出した直後、表面の水分を拭き取り、JIS K 5600−5−6に準拠して碁盤目試験を実施し、塗膜の剥離の有無を評価した。○は塗膜の剥離がないもの、×は塗膜の剥離があることを示す。
【0076】
実施例1〜7では、ハイライト及びシェードともにΔL値が小さく、色戻りが抑制されベース塗膜の本来有する高い意匠性を維持する複層塗膜を得ることができた。
一方、比較例1〜4では、ハイライト及びシェードともにΔL値が大きく、色戻りが生じていた。また塗膜の意匠性も良好ではなかった。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、自動車塗装用のクリヤー塗料、なかでも、高い意匠性が要求される市場向けの自動車塗装用のクリヤー塗料として、新車用又は補修用のいずれにおいても好適に用いることができる。特に、メタリックベース塗膜に塗装されるクリヤー塗料として好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステル部が炭素数9〜15の直鎖炭化水素基である長鎖(メタ)アクリル酸エステルモノマー、カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマー、及び、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーを含むモノマー混合物から得られるアクリル樹脂を含むことを特徴とするクリヤー塗料組成物。
【請求項2】
更に、カルボキシル基及び/又は水酸基と硬化可能な硬化剤を含む請求項1に記載のクリヤー塗料組成物。
【請求項3】
前記硬化剤は、ポリイソシアネート化合物である請求項2に記載のクリヤー塗料組成物。
【請求項4】
前記モノマー混合物中の長鎖(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量は、モノマー固形分全量に対して5〜15質量%である請求項1〜3のいずれか1に記載のクリヤー塗料組成物。
【請求項5】
前記アクリル樹脂の固形分酸価は、1〜10mgKOH/gである請求項1〜4のいずれか1に記載のクリヤー塗料組成物。
【請求項6】
基材に対して、ベース塗料を塗布して未硬化ベース塗膜を形成する工程(1)と、
前記工程(1)で得られた未硬化ベース塗膜上に、クリヤー塗料を塗布して未硬化クリヤー塗膜を形成する工程(2)と、
前記工程(1)及び工程(2)で得られた未硬化ベース塗膜及び未硬化クリヤー塗膜を同時に加熱硬化して複層塗膜を形成する工程(3)と
を含む複層塗膜形成方法であって、
前記クリヤー塗料は、請求項1〜5のいずれか1に記載のクリヤー塗料組成物であることを特徴とする複層塗膜形成方法。
【請求項7】
前記工程(1)以前に、前記基材に中塗り塗料又はプライマーサーフェイサーを塗布して中塗り塗膜又はプライマーサーフェイサー塗膜を得る工程(P)を含む請求項6に記載の塗膜形成方法。

【公開番号】特開2009−155396(P2009−155396A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332808(P2007−332808)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【Fターム(参考)】