説明

クリーニング装置及びこれを用いた画像形成装置

【課題】クリーニングブレードに捲れが発生するのを防止することが可能なクリーニング装置及びこれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数のロール間に張り渡された無端状ベルト部材12の表面にエッジ部が当接するように配置されたブレード状クリーニング部材31と、前記ブレード状クリーニング部材のエッジ部が当接する前記無端状ベルト部材の裏面側を支持する部材であって、前記ブレード状クリーニング部材のエッジ部が前記無端状ベルト部材の表面に食い込む方向に変形した際に、前記無端状ベルト部材が前記ブレード状クリーニング部材から逃げるのを許容する逃げ許容部を設けた対向部材32とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クリーニング装置及びこれを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記画像形成装置において、転写・定着用のベルトや中間転写ベルトなどの無端状ベルト部材の表面をクリーニングするクリーニング装置に関連する技術としては、例えば、特開平6−27834号公報、特開平7−56444号公報、特開平8−227237号公報、特開平9−152787号公報、特開平9−311561号公報、特開平10−326068号公報、特開2001−312147号公報、特開2002−148952号公報、特開2002−82529号公報、特開2005−173138号公報等に開示されているものが既に種々提案されている。
【0003】
上記特開平6−27834号公報に係る転写・定着装置は、感光体の近傍に配された転写用ローラと、定着部に配された定着用ローラと、転写用ローラおよび定着用ローラに掛け渡され、転写用ローラにより感光体に圧接される中間転写体としてのエンドレス状ベルトとを備え、さらに、ベルトの内側に配され、定着用ローラを通過して転写用ローラに至るまでのベルトの内面に当接し、その当接面でベルトから熱を奪い、その奪った熱を空中へ放散する放熱部材と、この放熱部材に対向してベルトの外側に配され、放熱部材の前記当接面との間にベルトを挟んだ状態でベルトの外面における残留トナーをクリーニングするクリーニング部材とを具備してなるものである。
【0004】
また、上記特開平7−56444号公報に係る転写ベルトユニットは、駆動ローラと、該駆動ローラと間隔をおいて配設された從動ローラと、該駆動ローラと該從動ローラとに張設せしめられた転写ベルトと、該転写ベルトの表面に接触して配設されたクリーニングブレードを備え、該転写ベルトと像担持体との間に供給される複写紙に像担持体上に形成されたトナー像を転写し、トナー像が転写された転写紙を搬送する画像生成機の転写ベルトユニットにおいて、該転写ベルトを挟んで該像担持体と対向して配設され両端部が支持部材によって回転自在に軸支された転写ローラと、該転写ローラを該像担持体に向けて移動し該転写ベルトを該像担持体に押圧せしめる第1の位置と、該転写ローラを該像担持体と反対方向に向けて移動し該転写ベルトを該像担持体から離隔する第2の位置に作動せしめる移動手段と、を具備するように構成したものである。
【0005】
さらに、上記特開平8−227237号公報に係る画像形成装置は、静電潜像形成体と、この静電潜像形成体を密着内接するベルト状現像像担持体と、前記静電潜像形成体への潜像形成手段と、前記ベルト状現像像担持体上に現像剤を供給する現像器と、前記ベルト状現像像担持体内面に密着し前記ベルト状現像像担持体上の前記現像剤を予備加熱する第1のライン状固体発熱体と、前記ベルト状現像像担持体内面に密着し前記第1のライン状固体発熱体により予備加熱された前記現像剤を記録媒体に転写定着する第2のライン状固体発熱体とを備えるように構成したものである。
【0006】
又、上記特開平9−152787号公報に係る画像形成装置の転写装置は、画像形成装置の像担持体に担持されたトナー画像を用紙に転写するための画像形成装置の転写装置であって、駆動ローラと、前記駆動ローラと間隔をおいて配設された従動ローラと、前記駆動ローラと従動ローラとに張設され、前記用紙を介して画像形成装置の像担持体と当接する転写ベルトと、前記転写ベルトと像担持体との間に供給される用紙に像担持体に形成されたトナー像を転写するための電荷を印加する電圧印加手段と、弾性体で構成され、前記転写ベルトの内面に当接する弾性体ローラと、前記転写ベルトの外方より前記転写ベルトを介して弾性体ローラに圧接するクリーニングブレードと、を備えるように構成したものである。
【0007】
更に、上記特開平9−311561号公報に係る画像形成装置は、転写材と接触する面を誘電体層、その裏面を導電体層の少なくとも2層の積層体で構成された無端状ベルトと、無端状ベルトを支持、張架し、一定方向に回転移動させるロールと、無端状ベルトの誘電体層面に接触してベルト表面をクリーニグするクリーニング手段を備え、無端状ベルトの導電体層を接地、あるいは転写装置で印加する極性と逆極性のバイアス電圧を印加し、転写装置の下流側でベルトを転写材に接触あるいは接近させ転写材を像担持体から剥離して搬送する剥離搬送装置を備えた画像形成装置において、前記剥離搬送装置のクリーニング手段は導電性を有するブレードで構成されると共に、導電性ブレードは放電開始電圧以上のピーク電圧を持つAC電圧を印加されるよう構成されてなるものである。
【0008】
また、上記特開平10−326068号公報に係る画像形成装置は、回動するベルト状部材と、前記ベルト状部材の周面に当接するブレード部材を備える画像形成装置において、前記ベルト状部材が接合部を有していて、前記ブレード部材の当接部を挟む前記ベルト状部材の周面にテンション部材を設けるように構成したものである。
【0009】
さらに、上記特開2001−312147号公報に係る画像形成装置は、表面にトナー像が形成される像担持体と、駆動手段によって駆動走行されるとともに前記像担持体上のトナー像が表面に直接転写される無端状のベルト部材とを備えた画像形成装置において、前記ベルト部材の表面に当接される当接部材と、前記ベルト部材の裏面側における前記当接部材に対応する位置に配設されて前記ベルト部材の裏面に当接される板状の対向部材と、を備え、前記対向部材は、体積抵抗率が107 から1012Ω・cmの、接地された部材であるように構成したものである。
【0010】
又、上記特開2002−148952号公報に係る画像形成装置は、像担持体と、この像担持体に画像を形成するための画像形成手段と、像担持体に対向して張設され、記録媒体を像担持体の転写位置へ搬送するための転写搬送手段と、前記転写位置において前記画像を像担持体から記録媒体あるいは転写搬送手段の表面に転写するための転写手段と、転写搬送手段の搬送路中に設けられ、転写搬送手段の表面の異物を除去するためのクリーニング手段とを備えてなり、クリーニング手段が、前記搬送路中に上流側から下流側へかけて設けられた複数のクリーニングブレードから構成され、上流側の第1クリーニングブレードが、転写搬送手段の支持ローラに対向しない位置に、転写搬送手段の回転方向に対してカウンター状に配置され、下流側の第2クリーニングブレードが、転写搬送手段の支持ローラに対向した位置に配置されているように構成したものである。
【0011】
更に、上記特開2002−82529号公報に係る画像形成装置は、静電転写プロセスを利用する画像形成装置であって、可視像を直接担持する無端状の担持体、または、記録材を担持する無端状の担持体の表面に当接する当接部材を少なくとも一つ備え、さらに、該当接部材の対向部材として板状の部材が担持体の裏面に設置され、該対向部材が該担持体と摺動する画像形成装置において、該対向部材は10点平均粗さRzが3〜20μmの範囲に設定されるように構成したものである。
【0012】
また、上記特開2005−173138号公報に係る転写ベルト装置は、複数のローラに張架されて感光体ドラムに対向する画像形成領域を含むループ状の経路を所定の搬送方向に搬送される転写ベルトを備え、この転写ベルトを介して感光体ドラム上の画像情報を用紙上に転写する転写ベルト装置において、
前記転写ベルトの外周面に当接するクリーニングブレードを備えたクリーニングユニットを、前記複数のローラのうち前記経路における画像形成領域を除く範囲に位置する特定のクリーニング位置ローラの前記搬送方向上流側近傍で、かつ前記転写ベルトの内側面が前記複数のローラのいずれにも接しない位置に配置したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平6−27834号公報
【特許文献2】特開平7−56444号公報
【特許文献3】特開平8−227237号公報
【特許文献4】特開平9−152787号公報
【特許文献5】特開平9−311561号公報
【特許文献6】特開平10−326068号公報
【特許文献7】特開2001−312147号公報
【特許文献8】特開2002−148952号公報
【特許文献9】特開2002−82529号公報
【特許文献10】特開2005−173138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、クリーニングブレードに捲れが発生するのを防止することが可能なクリーニング装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
すなわち、請求項1に記載された発明は、複数のロール間に張り渡された無端状ベルト部材の表面にエッジ部が当接するように配置されたブレード状クリーニング部材と、
前記ブレード状クリーニング部材のエッジ部が当接する前記無端状ベルト部材の裏面側を支持する部材であって、前記ブレード状クリーニング部材のエッジ部が前記無端状ベルト部材の表面に食い込む方向に変形した際に、前記無端状ベルト部材が前記ブレード状クリーニング部材から逃げるのを許容する逃げ許容部を設けた対向部材とを備えたことを特徴とするクリーニング装置である。
【0016】
また、請求項2に記載された発明は、請求項1に記載のクリーニング装置において、
前記逃げ許容部は、前記対向部材の端部を前記ブレード状クリーニング部材のエッジ部から予め設定された微少な距離だけ離間して配置することによって設けられていることを特徴とするクリーニング装置である。
【0017】
さらに、請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載のクリーニング装置において、
前記対向部材は、前記無端状ベルト部材の裏面側と面状又は線状に接触し、前記ブレード状クリーニング部材のエッジ部が当接する部位が切り欠かれた断面形状に形成されていることを特徴とするクリーニング装置である。
【0018】
又、請求項4に記載された発明は、請求項1又は2に記載のクリーニング装置において、
前記対向部材の外周面には、筒状部材が回転自在に被覆されていることを特徴とするクリーニング装置である。
【0019】
更に、請求項5に記載された発明は、請求項1又は2に記載のクリーニング装置において、
前記対向部材は、前記無端状ベルト部材の裏面側と接触する部位に、断面円形状の線状部材を配置して構成されていることを特徴とするクリーニング装置である。
【0020】
また、請求項6に記載された発明は、請求項5に記載のクリーニング装置において、
前記対向部材は、前記無端状ベルト部材の裏面側と接触する部位に配置された断面円形状の線状部材と、
前記断面円形状の線状部材を回転自在に支持する少なくとも1つ以上のロール状部材とを備えていることを特徴とするクリーニング装置である。
【0021】
さらに、請求項7に記載された発明は、トナー像が形成される像保持体と、
複数のロール間に張り渡されて前記像保持体上に形成されたトナー像が転写される無端状の中間転写ベルトと、
前記無端状ベルト部材の表面にエッジ部が当接するように配置されたブレード状クリーニング部材と、
前記ブレード状クリーニング部材のエッジ部が当接する前記無端状ベルト部材の裏面側を支持する部材であって、前記ブレード状クリーニング部材のエッジ部が前記無端状ベルト部材の表面に食い込む方向に変形した際に、前記無端状ベルト部材が前記ブレード状クリーニング部材から逃げるのを許容する逃げ許容部を設けた対向部材とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、クリーニングブレードに捲れが発生するのを防止することができる。
【0023】
また、請求項2に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、無端状ベルト部材のクリーニング性を維持しつつ、クリーニングブレードに捲れが発生するのを防止することができる。
【0024】
さらに、請求項3に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、簡単な構成で、クリーニングブレードに捲れが発生するのを防止することができる。
【0025】
又、請求項4に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、無端状ベルト部材と対向部材との間の摺動性を改善することができる。
【0026】
更に、請求項5に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、簡単な構成で、無端状ベルト部材と対向部材との間の摺動性を改善しつつ、クリーニングブレードに捲れが発生するのを防止することができる。
【0027】
また、請求項6に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、無端状ベルト部材と対向部材との間の摺動性を改善しつつ、クリーニングブレードに捲れが発生するのを防止することができる。
【0028】
さらに、請求項7に記載された発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、クリーニングブレードに捲れが発生するのを防止することができ、画像形成装置のメンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係るクリーニング装置を示す構成図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係るクリーニング装置を適用した画像形成装置としてのタンデム型のカラープリンタを示す構成図である。
【図3】図3はこの発明の実施の形態1に係るクリーニング装置を適用した画像形成装置としてのタンデム型のカラープリンタの画像形成部を示す構成図である。
【図4】図4はこの発明の実施の形態1に係るクリーニング装置を適用した画像形成装置としてのタンデム型のカラープリンタの要部を示す構成図である。
【図5】図5はこの発明の実施の形態1に係るクリーニング装置の要部を示す説明図である。
【図6】図6は従来のクリーニング装置の作用を示す説明図である。
【図7】図7は従来のクリーニング装置の作用を示す説明図である。
【図8】図8はこの発明の実施の形態1に係るクリーニング装置の変形例を示す構成図である。
【図9】図9はこの発明の実施の形態2に係るクリーニング装置を示す構成図である。
【図10】図10はこの発明の実施の形態3に係るクリーニング装置の変形例を示す構成図である。
【図11】図11はこの発明の実施の形態4に係るクリーニング装置を示す構成図である。
【図12】図12はこの発明の実施の形態5に係るクリーニング装置を示す構成図である。
【図13】図13はこの発明の実施の形態6に係るクリーニング装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0031】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係るクリーニング装置を適用した画像形成装置としてのタンデム型のカラープリンタを示す構成図である。また、図3は同カラープリンタの画像形成部を示す構成図である。
【0032】
このカラープリンタは、図2に示すように、パーソナルコンピュータや図示しない画像読取装置等から出力される画像データ、あるいは電話回線やLAN等を介して送られてくる画像データに応じて、フルカラーやモノクロの画像を出力するものである。
【0033】
このカラープリンタ本体1の内部には、図2に示すように、パーソナルコンピュータ(PC)2や図示しない画像読取装置等から送られてくる画像データに対して、必要に応じて、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の予め定められた画像処理を施す画像処理部3が配置されているとともに、カラープリンタ全体の動作を制御する制御部4が配置されている。
【0034】
そして、上記の如く画像処理部3で予め定められた画像処理が施された画像データは、同じく画像処理部3によって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の画像データに変換され、次に述べるように、カラープリンタ本体1の内部に設けられた画像出力部5によってフルカラー画像やモノクロ画像として出力される。
【0035】
上記カラープリンタ本体1の内部には、図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット(画像形成部)6Y、6M、6C、6Kが、第1色目のイエロー(Y)の画像形成ユニット6Yが相対的に高く、最終色の黒(K)の画像形成ユニット6Kが相対的に低くなるように、水平方向に対して予め定められた角度(例えば、約10度)だけ傾斜した状態で一定の間隔を隔てて並列的に配置されている。なお、上記画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの傾斜角度は、約10度に限定されるものではなく、これよりも大きな角度であっても小さな角度であっても良いことは勿論である。
【0036】
このように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kを、予め定められた角度だけ傾斜した状態で配置することにより、これら4つの画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kを水平に配置した場合と比較して、画像形成ユニット6Y、6M、6C、6K間の距離を短く設定することができ、カラープリンタ本体1の幅を小さくしてより一層の小型化が可能となる。
【0037】
これらの4つの画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kは、基本的に、形成する画像の色以外は同様に構成されており、図2及び図3に示すように、大別して、図示しない駆動手段により矢印A方向に沿って予め定められた速度で回転駆動される像保持体としての感光体ドラム8と、この感光体ドラム8の表面を一様に帯電する一次帯電用の帯電ロール9と、当該感光体ドラム8の表面に予め定められた色に対応した画像データに応じて画像を露光して静電潜像を形成するLEDプリントヘッドからなる画像露光装置7と、感光体ドラム8上に形成された静電潜像を予め定められた色のトナーで現像する現像装置10と、感光体ドラム8の表面を清掃するクリーニング装置11とから構成されている。
【0038】
上記感光体ドラム8としては、例えば、直径30mm程度のドラム状に形成され、表面に有機光導電体(OPC)等からなる感光体層を被覆したものが用いられ、図示しない駆動モータにより矢印A方向に沿って予め定められた速度で回転駆動される。
【0039】
また、上記帯電ロール9としては、例えば、芯金の表面に合成樹脂や合成ゴムからなり電気抵抗を調整した導電層を被覆したロール状の帯電器が用いられ、この帯電ロール9の芯金には、予め定められた帯電バイアスが印加される。
【0040】
上記画像露光装置7は、図2に示すように、4つの画像形成ユニット6Y、6M、6C、6K毎にそれぞれ個別に配置されており、各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kに設けられた画像露光装置7としては、LED発光素子を予め定められたピッチ(例えば、600dpi〜1200dpi)で感光体ドラム8の軸方向に沿って直線状に配置したLED発光素子アレイと、当該LED発光素子アレイの各LED発光素子から出射された光を感光体ドラム8上にスポット状に結像するロッドレンズアレイとを備えたものが用いられる。また、上記画像露光装置7は、図2及び図3に示すように、下方から感光体ドラム8上に画像を走査露光するように構成されている。
【0041】
なお、上記画像露光装置7としてLED発光素子アレイからなるものを用いた場合には、画像露光装置を大幅に小型化することができ望ましいが、画像露光装置7としては、LED発光素子アレイからなるものに限らず、レーザービームを各感光体ドラム8の軸方向に沿って偏向走査するものなどを用いても良い。この場合には、4つの画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kに対して1つの画像露光装置7が配設される。
【0042】
上記画像処理部3からは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kに個別に設けられた画像露光装置7Y、7M、7C、7Kに、対応する色の画像データが順次出力され、これらの画像露光装置7Y、7M、7C、7Kから画像データに応じて出射された光束は、対応する感光体ドラム8Y、8M、8C、8Kの表面に走査露光され、画像データに応じた静電潜像が形成される。上記感光体ドラム8Y、8M、8C、8K上に形成された静電潜像は、現像装置10Y、10M、10C、10Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
【0043】
上記各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの感光体ドラム8Y、8M、8C、8K上に、順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの上方にわたって傾斜した状態で配置された中間転写体としての中間転写ベルト12上に、4つの一次転写ロール13Y、13M、13C、13Kによって順次多重に一次転写される。
【0044】
この中間転写ベルト12は、複数のロールによって張り渡された無端状ベルト部材であって、当該ベルト部材の下辺走行領域が、その走行方向に沿った下流側が相対的に低く、且つ上流側が相対的に高くなるように、水平方向に対して傾斜した状態で配置されている。
【0045】
即ち、上記中間転写ベルト12は、図2に示すように、二次転写部の背面支持ロールとしての機能を兼ね備えた駆動ロール15と、従動ロール14との間に予め定められた張力で掛け回されており、図示しない定速性に優れた駆動モータによって回転駆動される駆動ロール15により、矢印B方向に沿って予め定められた速度で循環駆動される。上記中間転写ベルト12としては、例えば、可撓性を有するポリイミドやポリアミドイミド等の合成樹脂フィルムによって無端状ベルトとして形成したものが用いられる。上記中間転写ベルト12は、その下辺走行領域において、各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの感光体ドラム8Y、8M、8C、8Kに接触するように配置されている。
【0046】
また、上記中間転写ベルト12には、図2に示すように、当該中間転写ベルト12の走行領域の低位側端部に配置され、中間転写ベルト12上に一次転写されたトナー像を記録媒体16上に二次転写する二次転写手段としての二次転写ロール17が、駆動ロール15によって張架された中間転写ベルト12の表面に接触するように配置されている。
【0047】
上記中間転写ベルト12上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、図2に示すように、駆動ロール15に中間転写ベルト12を介して接触する二次転写ロール17によって、記録媒体としての記録用紙16上に二次転写され、これらの各色のトナー像が転写された記録用紙16は、鉛直方向の上方に位置する定着装置18へと搬送される。上記二次転写ロール17は、駆動ロール15の側方に中間転写ベルト12を介して圧接しており、鉛直方向の下方から上方に搬送される記録用紙16上に、各色のトナー像を一括して二次転写するようになっている。
【0048】
上記二次転写ロール17としては、例えば、ステンレス等の金属からなる芯金の外周に、導電剤を添加した合成ゴム材料等の導電性弾性体からなる弾性体層を予め定められた厚さに被覆したものが用いられる。
【0049】
そして、上記各色のトナー像が転写された記録用紙16は、定着装置18の加熱ロール19及び加圧ベルト(又は加圧ロール)20によって熱及び圧力で定着処理を受けた後、排出ロール21によってプリンタ本体1の上端部に設けられた排出トレイ22上に画像面を下にした状態で排出される。
【0050】
上記記録用紙16は、図2に示すように、プリンタ本体1内の底部に配置された給紙トレイ23から予め定められたサイズ及び材質のものが、給紙ロール24及び用紙分離ロール25により一枚ずつ分離された状態で給紙され、レジストロール26まで一旦搬送されて停止される。そして、上記給紙トレイ23から供給された記録用紙16は、中間転写ベルト12上のトナー像と同期して回転駆動されるレジストロール26によって中間転写ベルト12の二次転写位置へと送り出される。上記記録用紙16としては、普通紙以外にも、表面又は表裏両面にコーティング処理が施されたコート紙等の厚紙なども供給可能となっており、コート紙からなる記録用紙16には、写真画像なども出力される。
【0051】
なお、トナー像の一次転写工程が終了した感光体ドラム8の表面は、図2及び図3に示すように、クリーニング装置11によって残留トナーが除去されて、次の画像形成工程に備える。
【0052】
ところで、トナー像の二次転写工程が終了した中間転写ベルト12の表面は、図2に示すように、駆動ロール15の下流側の近傍に配置されたベルト用のクリーニング装置27によって残留トナー等が除去されて、次の画像形成工程に備える。
【0053】
図1はこの発明の実施の形態1に係るベルト用のクリーニング装置を示す構成図である。
【0054】
このベルト用クリーニング装置27は、図1及び図4に示すように、中間転写ベルト12の表面にエッジ部が当接するように配置されたブレード状のクリーニング部材としてのクリーニングブレード31と、中間転写ベルト12の裏面側に配置される対向部材32と、クリーニングブレード31によって除去されたトナーを回収する回収用オーガー33と、クリーニング装置27と中間転写ベルト12との間をシールするシール部材34とを備えるように構成されている。上記クリーニングブレード31は、図1に示すように、その先端部35の中間転写ベルト12側に位置するエッジ部(角部)36が、中間転写ベルト12の移動方向に沿った上流側に配置されているとともに、その基端部37が中間転写ベルト12の移動方向に沿った下流側に配置されており、中間転写ベルト12の移動方向と対向するように設定された所謂ドクターブレードを構成している。
【0055】
上記クリーニングブレード31は、例えば、予め定められた厚さt及び自由長Lを有するポリウレタン樹脂等からなる合成樹脂によって形成されており、当該クリーニングブレード31の基端部37は、板金等によって接着等の手段によって固定した状態で取り付けられている。また、上記クリーニングブレード31は、図 に示すように、予め定められた設置角度θ及び当接圧力(ノーマルフォース)Nで中間転写ベルト12の表面に当接するように配置されている。
【0056】
また、上記クリーニングブレード31のエッジ部36に対応した中間転写ベルト12の裏面側には、当該中間転写ベルト12の表面にクリーニングブレード31のエッジ部36が当接した状態で、中間転写ベルト12の裏面側がクリーニングブレード31のエッジ部36から離間する方向に移動するのを規制することによって、クリーニングブレード31のエッジ部36が予め定められた圧力Nで中間転写ベルト12の表面に当接するように対向部材32が設けられている。
【0057】
この対向部材32としては、図1に示すように、例えば、金属や合成樹脂等によって角部が円弧状に形成された断面矩形状の部材が用いられ、対向部材32の表面には、必要に応じて、中間転写ベルト12との接触抵抗を低減するため、フッ素樹脂等の低摩擦材料からなる被覆層が設けられる。上記対向部材32は、中間転写ベルト12の裏面側を支持するようにプリンタ本体1側に固定した状態で配置されており、当該対向部材32の中間転写ベルト12の移動方向に沿った下流側の端部38は、クリーニングブレード31のエッジ部36の極く近傍であって、且つ中間転写ベルト12の移動方向に沿った上流側に離間した状態で配置されている。
【0058】
上記対向部材32は、図6及び図7に示す従来技術のように、クリーニングブレード31のエッジ部36に対応した中間転写ベルト12の裏面側に配置した場合、中間転写ベルト12の表面にクリーニングブレード31のエッジ部36が当接した状態で、中間転写ベルト12の裏面側がクリーニングブレード31のエッジ部36から離間する方向に移動するのを直接規制することができ、クリーニングブレード31のエッジ部36の当接力Nを予め定められた値に設定することが容易であり、良好なクリーニング性を得る上で望ましい。
【0059】
その反面、上記クリーニングブレード31の設置状態に誤差がある場合や、クリーニングブレード31のエッジ部36が磨耗した場合、あるいはクリーニングブレード31のエッジ部36にトナーが供給されない状態が継続した場合など、クリーニングブレード31のエッジ部36と中間転写ベルト12表面との摩擦係数μが増大すると、クリーニングブレード31のエッジ部36が中間転写ベルト12表面の移動に伴って、図6や図7に示すように、当該中間転写ベルト12の表面に密着するように変形する場合がある。
【0060】
このとき、上記対向部材32をクリーニングブレード31のエッジ部36に対応した中間転写ベルト12の裏面側に配置した場合には、図6や図7に示すように、クリーニングブレード31のエッジ部36が中間転写ベルト12の表面に密着するように変形すると、中間転写ベルト12の裏面側は対向部材32によって移動が規制され、クリーニングブレード31のエッジ部36は、中間転写ベルト12表面との摩擦力が更に増大して、しまいにはクリーニングブレード31のエッジ部36が中間転写ベルト12表面の移動に伴って移動し、クリーニングブレード31のエッジ部36に捲れが発生するという致命的な欠陥に至る虞れがある。
【0061】
また、上述の図6や図7で説明した現象は、クリーニングブレード31を駆動ロール15や従動ロール16等に対向させて配置させた場合も同様である。
【0062】
そこで、この実施の形態では、図1に示すように、対向部材32の中間転写ベルト12の移動方向に沿った下流側の端部36を、クリーニングブレード31のエッジ部36の極く近傍であって、且つ中間転写ベルト12の移動方向に沿った上流側に配置することにより、クリーニングブレード31のエッジ部36が中間転写ベルト12の表面に食い込む方向に変形した際に、中間転写ベルト12の裏面側が逃げる方向に変形するのを許容する逃げ部40を設けるように構成されている。
【0063】
この対向部材32の逃げ部40は、例えば、当該対向部材32の中間転写ベルト12の移動方向に沿った下流側の端部38を、中間転写ベルト12の移動方向に沿った上流側にずらして配置するか、又はクリーニングブレード31のエッジ部36に対応した位置の対向部材32を切り欠く(対向部材を設けない)ことによって設けられる。
【0064】
上記対向部材32の逃げ部40をどの程度の長さDにわたって設けるか、即ち、対向部材32の中間転写ベルト12の移動方向に沿った下流側の端部38を、中間転写ベルト12の移動方向に沿った上流側にどの程度の距離Dだけずらして配置するかは、クリーニングブレード31のエッジ部36が中間転写ベルト12の表面に予め定められた圧力Nで当接し、且つ、クリーニングブレード31のエッジ部36が中間転写ベルト12の表面に食い込む方向に変形した際に、中間転写ベルト12の裏面側が逃げる方向に変形するのを許容し、クリーニングブレード31のエッジ部36が中間転写ベルト12の表面に当接する圧力Fが増大するのを防止できる程度に設定される。上記距離Dは、例えば、数mm〜10mm程度の値に設定されるが、これらの範囲に限定されるものではない。
【0065】
上記距離Dを大きな値に設定した場合には、クリーニングブレード31のエッジ部36が中間転写ベルト12の表面に食い込む方向に変形した際に、中間転写ベルト12の裏面側が逃げる方向により一層変形し易くなり、クリーニングブレード31のエッジ部36と中間転写ベルト12表面との摩擦力(=μN)の増大を回避し易くなって、クリーニングブレード31のエッジ部36の捲れを防止する上では望ましい。
【0066】
ただし、その反面、上記距離Dを大きな値に設定すると、クリーニングブレード31のエッジ部36が中間転写ベルト12の表面に当接する圧力Nが低下し、クリーニング性が低下する虞れがある。
【0067】
そこで、上記距離Dは、クリーニングブレード31のエッジ部36の捲れ防止効果と、良好なクリーニング性が両立するように、例えば、数mm〜10mm程度の値に設定される。また、上記対向部材32の中間転写ベルト12の移動方向に沿った下流側の端部38が、クリーニングブレード31のエッジ部36から僅かな距離Dでもずれていれば、クリーニングブレード31のエッジ部36が中間転写ベルト12の表面に食い込む方向に変形した際に、中間転写ベルト12の裏面側が逃げる方向に変形することが可能となることを考慮すれば、距離Dは2〜3mm程度と小さな値に設定しても良い。
【0068】
ただし、クリーニングブレード31のエッジ部36が中間転写ベルト12の表面に食い込む方向に変形した際に、中間転写ベルト12の裏面側が逃げる方向に変形する量は、中間転写ベルト12の張力や肉厚、中間転写ベルト12の材質(剛性)等にも依存するものであるため、これらを考慮して設定される。
【0069】
尚、クリーニングブレード31を駆動ロール15や従動ロール16等の近傍、すなわち中間転写ベルト12の移動方向の下流側近傍に配置させた場合には、クリーニングブレード31のエッジ部36が中間転写ベルト12の表面に食い込む方向の変形が生じた場合に対する、丁度良い逃げ部を設けることが難しい。なぜならば、駆動ロール15や従動ロール16等は径が大きく、対向部材32と比べ、曲率が小さい。この為、距離Dが同じ位置における、駆動ロール15や従動ロール16等の表面と中間転写ベルト12の裏面側との距離は、対向部材32と比べて短くなり、上述の図6や図7で説明した現象が起きやすい。この現象を起きにくくする為に、距離Dを大きな値に設定すると、その結果、クリーニングブレード31のエッジ部36が中間転写ベルト12の表面に当接する圧力Nが低下し、クリーニング性が低下する虞れがある。このバランスを高温高湿の環境下や低温低湿の環境下など、様々な環境下で成り立たせることは困難であり、そのため駆動ロール15や従動ロール16等よりも中間転写ベルト12の移動方向の下流側の曲率が大きな対向部材32を用いている。
【0070】
以上の構成において、この実施の形態に係るクリーニング装置を適用したカラープリンタでは、次のようにして、クリーニングブレードに捲れが発生するのを防止することが可能となっている。
【0071】
すなわち、上記カラープリンタでは、図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの感光体ドラム8Y、8M、8C、8K上に形成された各色のトナー像は、一次転写ロール13Y、13M、13C、13Kによって中間転写ベルト12上に順次多重に一次転写された後、中間転写ベルト12から記録用紙16上に一括して二次転写され、記録用紙16は、定着装置18によって定着処理が施されて、フルカラーやモノクロ等の画像が形成される。
【0072】
その際、上記中間転写ベルト12の表面に残った転写残トナーや、中間転写ベルト12の表面に予め定められたタイミングで形成されるパッチを構成するトナーは、図2に示すように、ベルト用クリーニング装置27のクリーニングブレード31によって中間転写ベルト12の表面から掻き取られて清掃される。
【0073】
上記ベルト用クリーニング装置27のクリーニングブレード31は、図1(b)に示すように、中間転写ベルト12の表面に対して予め定められた設置角度θ及び当接力Nで当接するように設定されている。
【0074】
しかしながら、上記クリーニングブレード31の設置状態に誤差がある場合や、クリーニングブレード31のエッジ部36が磨耗した場合、あるいはクリーニングブレード31のエッジ部36にトナーが供給されない状態が継続した場合など、クリーニングブレード31のエッジ部36と中間転写ベルト12表面との摩擦係数μが増大すると、クリーニングブレード31のエッジ部36が中間転写ベルト12表面の移動に伴って、図5に示すように、当該中間転写ベルト12の表面に密着するように変形する場合がある。
【0075】
このとき、上記対向部材32は、図1に示すように、その後端38がクリーニングブレード31のエッジ部36から微少な距離Dだけ中間転写ベルト12の移動方向上流側にずれた位置に配置されている。上記対向部材32の後端38には、図1及び図5に示すように、中間転写ベルト12がクリーニングブレード31から離間する方向に移動するのを許容する逃げ部40が設けられているため、クリーニングブレード31のエッジ部36が中間転写ベルト12の表面に密着するように変形した場合には、中間転写ベルト12がクリーニングブレード31から離間する方向に移動して(逃げて)、クリーニングブレード31のエッジ部36が中間転写ベルト12の表面に当接する圧力Nが低下する。その結果、上記クリーニングブレード31は、それ自身が有する弾性復元力によって、そのエッジ部36が中間転写ベルト12の表面に密着するように変形する状態から開放され、クリーニングブレード31に捲れが発生するのを防止することができる。
【0076】
これに対して、従来のクリーニング装置では、図6及び図7に示すように、クリーニングブレード31のエッジ部36が中間転写ベルト12の表面に密着するように変形すると、中間転写ベルト12が対向部材32によって移動が規制されてクリーニングブレード31から離間する方向に逃げることができないため、クリーニングブレード31のエッジ部36が中間転写ベルト12の表面に当接する圧力Nが増大し、クリーニングブレード31に捲れが発生する虞れがある。
【0077】
なお、図8は本実施の形態1の変形例を示すものであり、対向部材32の形状のみが異なっている。
【0078】
実施の形態2
図9はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態2では、対向部材の形状が前記実施の形態と相違しており、当該対向部材が平板状ではなく、中間転写ベルト12の裏面側に略線接触する形状に形成されている。
【0079】
すなわち、この実施の形態2では、図9に示すように、金属や合成樹脂等からなり、ある程度の厚みを有する断面異形の剛体状に形成された対向部材32が、中間転写ベルト12の裏面側であって、クリーニングブレード31のエッジ部36よりも微少な距離Dだけ中間転写ベルト12の移動方向上流側にずれた位置に配置されている。
【0080】
上記対向部材32は、その尖鋭に形成された上端部が中間転写ベルト12の裏面に線接触するように形成されているとともに、その上端部よりも中間転写ベルト12の移動方向上流側に位置する部分が、円弧形状に近い湾曲した形状に形成されている。この対向部材32の上端部よりも上流側に位置する部分は、中間転写ベルト12の裏面に接触しない部分であり、当該対向部材32の上端部よりも上流側の部分には、中間転写ベルト12を対向部材32側に変位させる力を作用させる部材が存在しないため、中間転写ベルト12の搬送性に影響しない部分である。
【0081】
また、上記対向部材32の上端部よりも下流側に位置する部分は、クリーニングブレード31のエッジ部36によって中間転写ベルト12の表面が押し下げられた際に、中間転写ベルト12の裏面と接触する可能性のある部分であり、中間転写ベルト12の搬送性に影響を与える部分である。
【0082】
この対向部材32の上端部よりも下流側に位置する部分には、曲率半径が小さく湾曲した形状に形成された湾曲部を介して、中間転写ベルト12の裏面と略直交する方向に形成された直線部が設けられている。
【0083】
この実施の形態では、図9(b)に示すように、対向部材32の上端部51よりも下流側に位置する部分52に、曲率半径が小さく湾曲した形状に形成された湾曲部が設けられているため、当該湾曲部52の曲率半径や形状を適宜設定することにより、クリーニングブレード31のエッジ部36が中間転写ベルト12の表面に密着するように変形した場合に、中間転写ベルト12がクリーニングブレード31から離間する方向に移動する量や形状を容易に設計することが可能となる。
【0084】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0085】
実施の形態3
図10はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態3では、対向部材の形状が前記実施の形態と相違しており、当該対向部材が平板状ではなく、断面略半円形状に形成されている。
【0086】
すなわち、この実施の形態3では、図10に示すように、金属や合成樹脂等からなる対向部材32が、比較的大きな半径を有する断面略半円形状に形成されており、略半円形状の曲面を有する側が、中間転写ベルト12の移動方向に沿った上流側に位置し、中間転写ベルト12と交差する方向に形成された直線状の断面を有する側が、中間転写ベルト12の移動方向に沿った下流側に位置するように配置されている。
【0087】
また、上記対向部材32の外周には、可撓性を有する合成樹脂フィルム等によって、対向部材32よりも相対的に大きな半径を有する断面円形状に形成されたフィルム状筒状部材60が装着されている。このフィルム状筒状部材60は、中間転写ベルト12の裏面側に接触して、当該中間転写ベルト12の移動に伴って回動自在となっており、中間転写ベルト12と対向部材32との摩擦抵抗を低減する効果がある。
【0088】
さらに、上記中間転写ベルト12と対向部材32との摩擦抵抗を低減させて摺動性を向上させるためには、フィルム状筒状部材60の内面にシリコンオイル等の潤滑剤を塗布するように構成しても良い。
【0089】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0090】
実施の形態4
図11はこの発明の実施の形態4を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態4では、対向部材の形状が前記実施の形態と相違しており、当該対向部材が相対的に直径の小さなロール状部材と、当該ロール状部材を支持する支持部材とから構成されている。
【0091】
すなわち、この実施の形態4に係る対向部材32は、図11に示すように、金属や合成樹脂等からなり、直径が約2mm程度と相対的に直径の小さなロール状部材71と、金属や合成樹脂等からなり、当該ロール状部材71を支持する凹部72を上端面に有する支持部材73とから構成されている。上記ロール状部材72は、中間転写ベルト12の裏面側と接触することにより、当該中間転写ベルト12の移動に伴って支持部材73の凹部72において回転自在となっている。
【0092】
また、クリーニングブレード31は、図11に示すように、当該グクリーニングブレード31のエッジ部36が、ロール状部材72と中間転写ベルト12とが接触する接点よりも、予め定められた距離だけ、中間転写ベルト12の移動方向に沿った下流側に当接するように配置されている。
【0093】
さらに、上記中間転写ベルト12とロール状部材71との摩擦抵抗を低減させて摺動性を向上させるためには、支持部材73の凹部72にシリコンオイル等の潤滑剤を収容して、ロール状部材の表面に塗布するように構成しても良い。
【0094】
図12はこの実施の形態5の変形例を示すものである。上述した実施の形態5では、直径が相対的に小さなロール状部材を、上端部に凹部を有する支持部材によって支持する場合について説明したが、この実施の形態5の変形例では、図12に示すように、直径が相対的に小さな中間転写ベルト12と当接する当接用の第1のロール状部材81を、当該第1のロール状部材81と同程度の直径に設定された支持用の第2及び第3のロール状部材82、83によって回転自在に支持するように構成したものである。
【0095】
上記第2及び第3のロール状部材82、83は、例えば、予め定められた距離だけ離間させて、固定した状態で配置されており、第1のロール状部材81と第2及び第3のロール状部材82、83とは、互いに滑るように接触することで、第1のロール状部材81が回転自在に支持されている。また、第2及び第3のロール状部材82、83の表面には、摩擦抵抗を低減させて摺動性を向上させるためには、シリコンオイル等の潤滑剤を塗布しても良い。さらに、これら第2及び第3のロール状部材82、83を上述した第1のロール状部材71と同様に凹部72を有する支持部材73によって回転自在に支持しても良い。
【0096】
図13はこの実施の形態5の更なる変形例を示すものである。上述した実施の形態5では、直径が相対的に小さなロール状部材を、上端部に凹部を有する支持部材によって支持する場合について説明したが、この実施の形態5の更なる変形例では、図14に示すように、直径が相対的に小さな中間転写ベルトと当接する当接用の第1のロール状部材91を、相対的に直径の大きな支持用のロール状部材92によって回転自在に支持するように構成したものである。
【0097】
上記支持用のロール状部材92は、相対的に直径が大きな円筒形状に形成されており、当該1つの支持用のロール状部材92によって当接用の第1のロール状部材91が中間転写ベルト12から受ける荷重を支持することが可能となっている。
【0098】
上記当接用の第1のロール状部材91が中間転写ベルト12から受ける荷重は、中間転写ベルト12を張り渡すための荷重全体ではなく、中間転写ベルト12の表面にクリーニングブレード31が当接することに起因した荷重のみであるため、相対的にそれ程大きな荷重ではなく、支持用のロール状部材92の直径は、その材質にもよるが、当該クリーニングブレード31の当接荷重に対向し得る程度の剛性を有するように設定すれば良く、それ程大きな直径は必要なく、設置スペースの増大も招くことがない。
【0099】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0100】
なお、図1(b)等においては、便宜上、中間転写ベルト12の変形等を明確化するために、クリーニングブレード31や中間転写ベルト12等が微少な隙間を介して図示されているが、クリーニングブレード31は撓むように変形した中間転写ベルト12を介して対向部材32の表面に当接していることは勿論である。
【符号の説明】
【0101】
27:クリーニング装置、31:クリーニングブレード、32:対向部材、36:エッジ部、40:逃げ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のロール間に張り渡された無端状ベルト部材の表面にエッジ部が当接するように配置されたブレード状のクリーニング部材と、
前記ブレード状のクリーニング部材のエッジ部が当接する前記無端状ベルト部材の裏面側を支持する部材であって、前記ブレード状クリーニング部材のエッジ部が前記無端状ベルト部材の表面に食い込む方向に変形した際に、前記無端状ベルト部材が前記ブレード状クリーニング部材から逃げるのを許容する逃げ許容部を設けた対向部材とを備えたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のクリーニング装置において、
前記逃げ許容部は、前記対向部材の端部を前記ブレード状クリーニング部材のエッジ部から予め設定された微少な距離だけ離間して配置することによって設けられていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のクリーニング装置において、
前記対向部材は、前記無端状ベルト部材の裏面側と面状又は線状に接触し、前記ブレード状クリーニング部材のエッジ部が当接する部位が切り欠かれた断面形状に形成されていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のクリーニング装置において、
前記対向部材の外周面には、筒状部材が回転自在に被覆されていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のクリーニング装置において、
前記対向部材は、前記無端状ベルト部材の裏面側と接触する部位に、断面円形状の線状部材を配置して構成されていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項6】
請求項5に記載のクリーニング装置において、
前記対向部材は、前記無端状ベルト部材の裏面側と接触する部位に配置された断面円形状の線状部材と、
前記断面円形状の線状部材を回転自在に支持する少なくとも1つ以上のロール状部材とを備えていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項7】
トナー像が形成される像保持体と、
複数のロール間に張り渡されて前記像保持体上に形成されたトナー像が転写される無端状の中間転写ベルトと、
前記無端状ベルト部材の表面にエッジ部が当接するように配置されたブレード状クリーニング部材と、
前記ブレード状クリーニング部材のエッジ部が当接する前記無端状ベルト部材の裏面側を支持する部材であって、前記ブレード状クリーニング部材のエッジ部が前記無端状ベルト部材の表面に食い込む方向に変形した際に、前記無端状ベルト部材が前記ブレード状クリーニング部材から逃げるのを許容する逃げ許容部を設けた対向部材とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−186311(P2011−186311A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53199(P2010−53199)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】