説明

クリーニング装置

【課題】液体現像剤を確実に回収することができるクリーニング装置を提供する。
【解決手段】クリーニング装置100は、キャリア液に現像剤粒子を混合させてなる液体現像剤を担持しながら回転する現像ローラ56から現像処理済みの液体現像剤を回収する装置である。クリーニング装置100は、現像ローラ56と摺接して、現像ローラ56上の液体現像剤を掻き取るクリーニングブレード110と、クリーニングブレード110の先端111側を加熱する面状ヒータ140(加熱装置)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリア液に現像剤粒子を混合させてなる液体現像剤を担持しながら回転する現像ローラから現像処理済みの液体現像剤を回収するクリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、キャリア液にトナー粒子を混合させてなる液体トナーを現像ローラに担持させ、この現像ローラから感光体に形成された静電潜像に液体トナー(トナー粒子)を供給して感光体上にトナー像を形成する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置では、現像ローラから感光体に一部の液体トナーを供給した後(現像処理後)、現像ローラ上に残った現像処理済みの液体トナーを回収して再利用するものがある。
【0003】
例えば、現像ローラと摺接するクリーニングブレードを設け、このクリーニングブレードで現像ローラ上の現像処理済みの液体トナーを掻き取って回収し、液体トナー収容タンクに戻すことで、液体トナーを再利用可能としている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−296747号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液体トナーを使用する画像形成装置では、現像ローラに電界を印加して、液体トナー中のトナー粒子を現像ローラの表面に押し付けることで、トナー粒子が現像ローラから感光体に確実に移動するように構成されている。このように構成された画像形成装置において、文書などトナー粒子の消費量が少ない画像を形成する場合、現像ローラから感光体に移動するトナー粒子の量が少なくなるので、現像処理後の現像ローラの表面はトナー粒子が密集した状態、すなわち、トナー粒子の濃度が高い状態となる。
【0006】
トナー粒子の濃度が高くなると液体トナーの粘度が高くなって流動性が低下するので、図5に示すように、現像ローラDR上に残った液体トナーDを掻き取るクリーニングブレードBLの先端にトナー粒子Tが付着して堆積する。クリーニングブレードBLの先端にトナー粒子Tが堆積すると、後の液体トナーDをせき止めてしまい、流動性をさらに低下させるとともに、せき止められた液体トナーDがクリーニングブレードBL上から現像ローラDRの軸方向外側に向かって溢れ出して回収が困難となるおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、液体トナー(液体現像剤)を確実に回収することができるクリーニング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した目的を達成するため、本発明のクリーニング装置は、キャリア液に現像剤粒子を混合させてなる液体現像剤を担持しながら回転する現像ローラから現像処理済みの液体現像剤を回収するクリーニング装置であって、前記現像ローラと摺接して、前記現像ローラ上の液体現像剤を掻き取るクリーニングブレードと、前記クリーニングブレードの少なくとも前記現像ローラと摺接する先端側を加熱する加熱装置とを備えたことを特徴とする。
【0009】
このように構成されたクリーニング装置によれば、クリーニングブレードの少なくとも先端側を加熱する加熱装置によって、クリーニングブレードで掻き取られる液体現像剤を加熱することができるので、液体現像剤の粘度を低下させて流動性を向上させることができる。これにより、クリーニングブレード先端の現像剤粒子の堆積を抑制することができるので、液体現像剤のせき止めや溢れ出しが防止され、液体現像剤を確実に回収することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のクリーニング装置によれば、クリーニングブレードで掻き取られる液体現像剤を加熱することで、液体現像剤の流動性を向上させることができるので、液体現像剤を確実に回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<レーザプリンタの概略構成>
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は本実施形態に係るクリーニング装置を備えたレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【0012】
図1に示すように、レーザプリンタ1は、用紙P上にトナー像を転写するプロセス部5を主に備えている。なお、レーザプリンタ1は、用紙Pをプロセス部5に給紙する給紙部と、感光体ドラム51を露光する露光装置と、用紙P上に転写されたトナー像を熱定着させる定着装置とを備えているが、公知のものを利用することができるので図示および説明を省略する。
【0013】
プロセス部5は、感光体ドラム51と、第1帯電器52と、液体トナー収容部53と、供給ローラ54と、中間ローラ55と、現像ローラ56と、第2帯電器57と、転写ローラ59と、クリーニング装置100とを主に備えている。なお、クリーニング装置100の詳細な構成については後述する。
【0014】
感光体ドラム51は、導電性を有する円筒状のドラム本体の表面(外周面)に、有機感光体(Organic Photoconductor)からなる感光層が形成されて構成されている。
第1帯電器52は、感光体ドラム51と接触しないように所定間隔を隔てて対向して配置され、感光体ドラム51に電界を印加することによって、感光体ドラム51の表面を一様に帯電させるように構成されている。
【0015】
液体トナー収容部53は、液体現像剤の一例としての液体トナーDを収容する容器である。液体トナーDは、供給ローラ54および中間ローラ55により液体トナー収容部53内から現像ローラ56上に供給されるとともに、クリーニング装置100により現像ローラ56上から回収され、濃度が再調整された後に液体トナー収容部53内に戻るようになっている。本実施形態の液体トナーDは、現像剤粒子の一例としてのトナー粒子Tを不揮発性のキャリア液Cに混合したものである(図3参照)。
【0016】
供給ローラ54は、図示しないモータからの動力を受けて回転することで、液体トナー収容部53に収容された液体トナーDを表面に担持して中間ローラ55に供給するローラである。
中間ローラ55は、表面に形成された凹部に所定量の液体トナーDを担持可能に構成されたローラである。この中間ローラ55を介して現像ローラ56に液体トナーDを供給することにより、現像ローラ56への液体トナーDの供給量を均一に保つことができる。
【0017】
現像ローラ56は、図示しないモータからの動力を受けて回転することで、表面に担持した液体トナーD(トナー粒子)を感光体ドラム51上に形成された静電潜像に供給して、感光体ドラム51上にトナー像を形成するローラである。
第2帯電器57は、現像ローラ56と接触しないように所定間隔を隔てて対向して配置され、現像ローラ56に電界を印加することによって、液体トナーD中のトナー粒子を現像ローラ56の表面に押し付けるように構成されている。
【0018】
転写ローラ59は、給紙部から搬送された用紙Pを、感光体ドラム51との間で挟み込んだ状態で搬送することにより、感光体ドラム51上に形成されたトナー像を、用紙Pに転写するローラである。この転写ローラ59には、転写時に転写バイアスが印加される。
【0019】
以上のように構成されたプロセス部5では、感光体ドラム51の表面が第1帯電器52により一様に帯電された後、露光装置から出射されるレーザ光LBによって露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、感光体ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、液体トナー収容部53内の液体トナーDは、供給ローラ54および中間ローラ55を介して現像ローラ56に供給される。
【0020】
その後、現像ローラ56上に担持された液体トナーD(トナー粒子)が感光体ドラム51上の静電潜像に供給されることで、感光体ドラム51上にトナー像が形成される。そして、給紙部から搬送された用紙Pを、感光体ドラム51と転写ローラ59との間で挟み込んで搬送することで、感光体ドラム51上に形成されたトナー像が用紙Pに転写される。用紙Pに転写されたトナー像は、用紙Pが定着装置を通過する間に熱定着される。このようにして用紙P上にトナー像(画像)が形成される。
【0021】
<クリーニング装置の構成>
次に、クリーニング装置100の詳細な構成について説明する。図2はクリーニング装置の斜視図であり、図3はクリーニング装置の断面図である。
クリーニング装置100は、現像ローラ56から感光体ドラム51に一部の液体トナーDを供給した後(現像処理後)に、現像ローラ56上に残った現像処理済みの液体トナーDを回収する装置である。
【0022】
このクリーニング装置100は、現像ローラ56上に残った現像処理済みの液体トナーDを回収するために、現像ローラ56と感光体ドラム51との当接部よりも現像ローラ56の回転方向下流側であって、現像ローラ56と中間ローラ55との当接部よりも現像ローラ56の回転方向上流側に配置されている(図1参照)。
【0023】
図2および図3に示すように、クリーニング装置100は、クリーニングブレード110と、ブレードホルダ120と、一対の側壁130と、加熱装置の一例としての面状ヒータ140とを備えて構成されている。
【0024】
クリーニングブレード110は、現像ローラ56と摺接して、現像ローラ56上の液体トナーDを掻き取る板状の部材である。このクリーニングブレード110には、先端111側(現像ローラ56と摺接する側)の上面(現像ローラ56が配置される側とは反対側の面)に、後述する面状ヒータ140を取り付けるための凹部112が設けられている。
【0025】
ブレードホルダ120は、クリーニングブレード110を保持するとともに、クリーニングブレード110により掻き取られた液体トナーDを集めるための部材である。具体的に、ブレードホルダ120には、クリーニングブレード110の基端113側の中央に位置する回収孔121と、クリーニングブレード110上を流れる液体トナーDを現像ローラ56の軸方向外側から内側に向けて案内するように傾斜した一対の案内面122とが設けられている。
【0026】
クリーニングブレード110により掻き取られた液体トナーDは、クリーニングブレード110上を先端111側から基端113側に向かって流れていく過程で、案内面122によって回収孔121に集められる。回収孔121に集められた液体トナーDは、回収孔121を通過して図示しない公知の濃度調整部に搬送され、濃度を再調整された後に液体トナー収容部53内に戻されるようになっている。
【0027】
側壁130は、クリーニングブレード110の先端111寄りの両側(現像ローラ56の軸方向における両側)に設けられた壁であり、クリーニングブレード110上を流れる液体トナーDを先端111側から基端113側に向けて案内する。このような側壁130を設けることによって、液体トナーDがクリーニングブレード110の両側から流れ落ちることを防止することができる。なお、側壁130は、クリーニングブレード110またはブレードホルダ120と一体成形されていてもよい。
【0028】
面状ヒータ140は、線状または面状の発熱抵抗体をシート状の絶縁材で挟み込んだ公知の部材であり、クリーニングブレード110に設けられた凹部112に取り付けられることで、クリーニングブレード110の先端111側を加熱できるようになっている。なお、本実施形態では、面状ヒータ140は、クリーニングブレード110の凹部112に取り付けられることで、その上面がクリーニングブレード110の基端113側の上面と略同一面上に位置している。これにより、液体トナーDをクリーニングブレード110の先端111側から基端113側に向けて良好に流すことができる。
【0029】
次に、以上のように構成されたクリーニング装置100の作用効果について説明する。
図3に示すように、クリーニングブレード110によって掻き取られた現像処理済みの液体トナーDは、面状ヒータ140により加熱されることで粘度が低下して流動性が向上する。粘度が低下し、流動性が向上した液体トナーDは、クリーニングブレード110の先端111付近に堆積しにくくなるので、クリーニングブレード110上を先端111側から基端113側へ向かって良好に流れていき、側壁130および案内面122によって回収孔121に集まり、最終的に液体トナー収容部53に回収される。
【0030】
このように、本実施形態のクリーニング装置100によれば、クリーニングブレード110で掻き取られる液体トナーDを加熱することで、液体トナーDの粘度を低下させて流動性を向上させることができるので、液体トナーDを確実に回収することが可能となる。また、クリーニングブレード110の先端111付近でのトナー粒子Tの堆積を抑制することができるので、後の液体トナーDがせき止められることがなく、せき止めによって発生する液体トナーDの溢れ出しを防止することができる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0032】
前記実施形態では、面状ヒータ140をクリーニングブレード110の先端111側(凹部112)に取り付けた構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図4に示すクリーニング装置200のように、面状ヒータ240を、一対の側壁130(図4では一方のみ図示)に架け渡すように取り付けて、クリーニングブレード210の先端側の面212と所定間隔を隔てて対向するように配置してもよい。すなわち、本発明において、面状ヒータ(加熱装置)は、クリーニングブレードの少なくとも先端側を加熱できるように設けられていれば配置位置は特に限定されない。
【0033】
なお、図4に示すように、面状ヒータ240は、現像ローラ56の表面の一部も加熱できるように、側壁130の端部から現像ローラ56の回転方向上流側に向かって張り出すように設けてもよい。これによれば、現像ローラ56上の液体トナーDを加熱することができるので、クリーニングブレード110によって掻き取る前の段階で予め液体トナーDの粘度を低下させて流動性を向上させておくことができる。
【0034】
前記実施形態では、面状ヒータ140,240(加熱装置)がクリーニングブレード110の先端側を加熱できるように設けられた構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、加熱装置がクリーニングブレードの先端側から基端側に亘る全面を加熱できるように設けられていてもよい。すなわち、本発明において、加熱装置は、クリーニングブレードの少なくとも先端側を加熱できるように設けられていれば加熱する範囲は特に限定されない。
【0035】
前記実施形態では、加熱装置として面状ヒータ140,240を例示したが、本発明の加熱装置はこれに限定されるものではない。例えば、加熱装置としての発熱抵抗体をクリーニングブレードの内部に直接設けた構成としてもよい。
【0036】
なお、本発明は、加熱装置の動作を制御するように構成されていてもよい。例えば、画像データの印字画素の割合などに応じて加熱装置のON・OFFを制御するようにしてもよい。具体的には、写真などトナー粒子の消費量が多い画像を形成する場合には、加熱装置をOFFとするように制御してもよい。この場合には、現像ローラ上のトナー粒子の大部分が感光体に移動するので、現像処理後の現像ローラの表面はトナー粒子がまばらな状態、すなわち、トナー粒子の濃度が低い状態となり、液体トナーの粘度が高くなりにくいからである。これによれば、装置全体の省電力化を図ることができる。
また、加熱装置への通電量などを制御して、温度を2段階以上に制御するように構成してもよい。
【0037】
前記実施形態では、本発明のクリーニング装置が、レーザプリンタ1に備えられた例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、LEDプリンタや複写機、複合機などで使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態に係るクリーニング装置を備えたレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るクリーニング装置の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るクリーニング装置の断面図である。
【図4】変形例に係るクリーニング装置の断面図である。
【図5】従来のクリーニング装置の断面図である。
【符号の説明】
【0039】
56 現像ローラ
100 クリーニング装置
110 クリーニングブレード
111 先端
112 凹部
120 ブレードホルダ
130 側壁
140 面状ヒータ
C キャリア液
D 液体トナー
T トナー粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア液に現像剤粒子を混合させてなる液体現像剤を担持しながら回転する現像ローラから現像処理済みの液体現像剤を回収するクリーニング装置であって、
前記現像ローラと摺接して、前記現像ローラ上の液体現像剤を掻き取るクリーニングブレードと、
前記クリーニングブレードの少なくとも前記現像ローラと摺接する先端側を加熱する加熱装置とを備えたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記クリーニングブレードの両側には、前記クリーニングブレード上を流れる液体現像剤を案内する壁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記加熱装置は、前記クリーニングブレードの前記現像ローラが配置される側とは反対側の面上の前記先端側に設けられた面状ヒータであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクリーニング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−122570(P2010−122570A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297702(P2008−297702)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】